JP2005060544A - ポリトリメチレンテレフタレート重合装置の洗浄方法 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート重合装置の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、洗浄のための特殊な設備を使わずに、洗浄時の廃棄物発生量やエネルギー使用量を低減でき、且つ、洗浄直後より品質の良いポリマーを重合することができる、PTT重合装置の洗浄方法の提供を目的とする。
【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレートの溶融重合装置を洗浄する際に、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態にて、150℃以上、蒸気圧が0.5MPaとなる温度以下に加熱したトリメチレングリコールを用いて洗浄する。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明はポリトリメチレンテレフタレート溶融重合装置の洗浄方法に関する。
近年ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と略す。)は、繊維化した場合、低弾性率から由来する柔らかい風合、優れた弾性回復性、易染性といったナイロン繊維に類似した性質と、ウォッシュアンドウェアー性、寸法安定性、耐黄変性といったポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略す。)繊維に類似した性質を併せ持つ画期的な繊維となり、その特徴を活かして、カーペットや衣料等へ応用のできる素材として注目され始めている。また、低吸湿性、耐黄変性といったナイロンにない特徴や、易成形性といったポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と略す。)にない特徴を利用して、優れた成形材料となることも予想される。今後、このような特徴を生かして更に用途を拡大していくためには、白度に優れ、異物の混入が少ない、品質の良いポリマーを、工業的に高い生産性にて製造できることが求められている。
通常PTTの重合は、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチル(以下、「DMT」と略す。)のようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルと、トリメチレングリコール(以下、「TMG」と略す。)とを、無触媒あるいは金属カルボン酸塩、チタンアルコキサイド等の触媒存在下で加熱してエステル交換反応または直接エステル化反応させてビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレート(以下、「BHPT」と略す。)を得た後、該BHPTをチタンアルコキサイドやアンチモン酸化物等の触媒存在下、溶融状態にて加熱して、副生するTMGを系外に抜き出しながら重縮合反応させることにより行う。
重合を長期間連続して行っていると、原料、ポリマーや添加剤等の熱分解物により重合装置内部が汚れたり、昇華性のある原料やオリゴマーなどによりベント配管等が閉塞したりしてしまい、品質の良いポリマーを得られなくなるばかりか、安定して重合を行うことが困難となってしまう。このようなことを防ぐためには、定期的に運転を停止して装置を洗浄する必要がある。また、たとえ長期間連続運転しなくても、生産量を調整するためなどの理由で、長期間重合せずに高温で保持したり、重合装置の温度を下げて運転を停止したりした場合には、再度重合する前に装置を洗浄する必要がある。運転を停止した後に洗浄を行わないと、装置内部に残った劣化ポリマーが新しく重合するポリマーに長期間にわたって混入するため、長い間、得られるポリマーが着色するという問題も発生する。
PTTの重合技術及び重合装置に関してはこれまでいくつかの提案があるが、PTTの重合装置の洗浄に関しては全く記載された文献がない。
ところで、PETなど他のポリエステルポリマーの重合装置を洗浄する技術としては、エチレングリコールなどのグリコールを沸点以上の温度に加熱し、装置に付着しているポリマー等を解重合して洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。 しかしながらこのような方法では、用いるグリコールの沸点以上の温度とするために装置を密閉して加圧状態にする必要がある。このため装置の耐圧を上げる必要があるとともに、真空圧力計の受圧部などのように加圧に耐えられない部分や、送液ポンプなど構造上密閉することが困難な部分は洗浄することができない。また、加圧状態から洗浄液を抜き出す必要があるため、蒸気がフラッシュし引火爆発の危険性も高い。
この様な問題を避けるために、加圧しないで洗浄する方法として、トリエチレングリコールに代表される高沸点のグリコールを装置内に導入し、ポリマーの融点以上に加熱して残存する物質を解重合したり溶解したりする方法も提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかしながら、このような方法では、高価な高沸点グリコールや高沸点グリコール取扱い用の設備が必要なうえに、多量の洗浄廃液が発生してしまう。更に、高沸点のグリコールは原料と異なるため、ポリマーに混入すると、着色、融点低下、耐候性の悪化、熱安定性の悪化などの問題を引き起こしてしまう。このため高沸点グリコール洗浄の後に原料グリコールでの洗浄が必要であるので、更に多量の洗浄廃液が発生してしまうとともに、洗浄に長い時間を必要とし、エネルギーの使用量も多くなってしまう。
この他に、グリコール類以外のアルカリ、界面活性剤、リン系化合物、無水酢酸などを用いて洗浄する技術も提案されている(例えば、特許文献7〜9参照)。
しかしながらこのような方法でも原料と異なる物質を用いるため、重合再開してしばらくは、着色、融点低下、耐候性の悪化、熱安定性の悪化などの品質悪化を避けられない。また、酸やアルカリを用いると反応装置や装置に用いられている弁類などが腐食するという問題も発生してしまう。
このように、これまでPTT重合装置を洗浄するための技術は全く提案されておらず、また、従来のPETなどのポリエステル系ポリマー重合装置の洗浄方法をそのまま応用しても、洗浄時の廃棄物の発生やエネルギーの使用が多かったり、洗浄直後より品質の良いポリマーを得ることはできないという問題があった。
特開昭51−17296号公報 特開昭54−28394号公報 特開昭58−47021号公報 特開昭48−78297号公報 特開昭55−12162号公報 特開平5−295392号公報 特開昭49−121894号公報 特開昭52−148591号公報 特開平8−48997号公報
本発明は、洗浄のための特殊な薬剤や設備を使わずに、洗浄時の廃棄物発生量やエネルギー使用量を低減でき、且つ、洗浄直後より品質の良いポリマーを重合することができるPTT重合装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、驚くべきことに、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態にて、加熱したTMGを用いて装置を洗浄すると、該装置に付着している原料、中間体、ポリマー及びこれらの変成物を取り除くことができ、効率的にPTT重合装置を洗浄できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] ポリトリメチレンテレフタレートの溶融重合装置を洗浄するにあたり、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態にて、150℃以上、蒸気圧が0.5MPaとなる温度以下に加熱したトリメチレングリコールを用いて洗浄することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート重合装置の洗浄方法。
[2] 加熱したトリメチレングリコールの温度が180℃以上、トリメチレングリコールの沸点以下であることを特徴とする上記[1]記載の洗浄方法。
[3] 上記[1]又は[2]記載の洗浄方法によって洗浄してなるポリトリメチレンテレフタレートの溶融重合装置。
[4] 上記[3]記載の溶融重合装置を用いることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートの製造方法。
本発明の方法を用いると、特殊な薬剤や設備が不要な上に、廃棄物発生やエネルギー使用を抑制して効率良くPTT重合装置を洗浄することが可能となる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明はPTT溶融重合装置を洗浄する方法に関してのものである。ここでPTTとは50モル%以上、好ましくは70モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰返し単位から構成され、50モル%以下、好ましくは30モル%以下が1種類以上の他の共重合成分から構成されるポリエステルである。共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、アジピン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のエステル形成性モノマー由来の繰返し単位が挙げられる。
本発明の洗浄方法は、原料や重合方式が異なる種々の溶融重合装置に適用することができる。
PTTの溶融重合は、原料の違いにより大きく分けて、テレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとをエステル交換反応させてPTTの中間体であるBHPTを得た後、該BHPTを重縮合反応させてPTTを重合する方法(以下、「エステル交換法」と略す。)と、テレフタル酸とTMGとをエステル化反応させてBHPTを得た後、エステル交換法と同様にBHPTを重縮合反応させてPTTを重合する方法(以下、「直接エステル化法」と略す。)がある。また、重合方式の違いにより大きく分けて、原料等を反応装置に全て投入し、これらを同時に反応させてPTTを得るバッチ重合法(回分法とも言う。)と、原料を反応装置に連続して投入し、連続してPTTを得る連続重合法がある。
なお、ここでBHPTとは、純粋なBHPT以外に未反応のテレフタル酸、テレフタル酸の低級アルコールエステル、TMG及びPTTオリゴマーが含まれている場合も含む。本発明は、これらいずれの重合装置にも適用することができる。また、本発明は、上記したような原料より重合を行う装置以外に、中間体であるBHPTや低重合度のポリマーより所望の重合度のポリマーを得る装置にも適用できる。
本発明は、上記したような方法の重合装置の全体、具体的には縦型攪拌反応器や1軸又は2軸の攪拌翼を有した横型攪拌反応器、支持体に沿わせてポリマーを落下させながら重合させる反応器などの反応器、反応器内の攪拌翼、精留塔、コンデンサー、真空ベント配管など、PTTポリマー、オリゴマー及び原料が付着する様々な機器の洗浄に適用できる。
本発明では加熱したTMGを用いてPTTの溶融重合装置を洗浄する。
重合装置に付着している汚れの殆どは原料、中間体、ポリマー及びこれらの変成物である。従ってこれらを取り除くためにはアルコール類やグリコール類を用いて解重合などの反応や溶解させることが好ましい。反応や溶解を効率よく行うためには高温で行う事が望ましく、PTT重合装置では原料である沸点の高いTMGを用いることが望ましい。TMGを用いることで、PET重合装置の洗浄にしばしば用いられるトリエチレングリコールなどの原料と異なる異種グリコールが不要となり、異種グリコールの洗浄廃液も出なくなる。更に、異種グリコールを貯蔵したり、送液したり、回収したりする特殊な設備も必要なくなる。
洗浄に用いるTMGの温度は150℃以上であることが必要である。このような温度とすることで、初めて解重合反応や溶解が速やかに進行して装置の洗浄が可能となる。温度は180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。一方、TMGの温度を沸点を超えて高くするためには、圧力を高める必要があるが、装置の耐圧性、作業性の観点よりTMGの蒸気圧が0.5MPaとなる温度以下にすることが必要であり、0.2MPaとなる温度以下にすることが好ましく、TMGの沸点以下として装置を密閉することなく洗浄できるようにすることがより好ましい。
本発明においては、上記したTMGによる洗浄を、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態で行うことが重要である。PTTは他の一般的なPETやPBTに比べて熱をかけると変性して黒く着色するとともに、溶融しにくくなったり、TMGに溶解しにくくなったりしてしまい、洗浄が非常に困難になってしまう。
しかしながら驚くべきことに、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態にすることでこのような変性を抑えることができ、重合装置の洗浄が容易になる。酸素濃度を5体積%以下に保つ必要があるのは、装置の温度が150℃以上の時である。これは、汚れ物の熱分解が150℃以上で顕著になるためである。酸素濃度は3体積%以下が好ましく、2体積%以下がより好ましく、1体積%以下が特に好ましい。もちろん0%が最も好ましい。このように酸素濃度を低く保つためには、減圧での重合が終了した後に、窒素などの不活性ガスで減圧解除し、そのまま不活性ガスを微量流し続けて空気中の酸素が装置内に入らないようにすることが望ましい。
本発明で洗浄に用いるTMGは、加熱してから装置に入れても、装置に入れてから加熱しても良いが、取扱い性、装置の複雑さより考え、後者のうち、予め加熱していた装置にTMGを入れて所定の温度に加熱する方法が望ましい。また、TMGは、重合装置内のポリマーを排出した後に入れることも、ポリマーを排出せずに入れることもできるが、原料のロスやTMG洗浄液の汚れを抑える観点からはポリマーをできる限り排出した後に入れることが好ましい。用いるTMGはPTTポリマー由来の低分子量物などを含んでいる場合も含むが、洗浄効果を高めるためには、これらの物質が20wt%以下であることが好ましく、10wt%以下であることがより好ましい。本発明に用いたTMG洗浄液は、蒸留精製して再度、洗浄や重合に用いることができる。
装置の洗浄は、TMGを装置に入れて所定時間後洗浄した後に排出して行うバッチ式と、TMGを流通させながら行う流通式のどちらで行うこともできる。使用するTMGの量を減らすためには、反応槽及び精留塔、真空ライン等の付帯機器はバッチ式で洗浄し、反応槽などをつないでいる配管やポンプ類は流通式でおこなうことが望ましい。バッチ式の場合は1回でもよいが、よりきれいにするためには複数回、洗浄液を入れ替えて洗浄することが好ましい。通常は2〜3回で十分である。いずれの方法でも、上記したように、洗浄時のTGMは150℃以上にし、且つ装置が150℃以上になる時は酸素濃度を5体積%以下に保つ必要がある。
バッチ式にて洗浄を複数回行う場合は、TMGの不純物を次第に少なくすることが望ましい。また、反応槽が複数ある場合は、一つの反応槽を洗浄した液を次の反応器に移して用いる事も洗浄液の使用量を少なくするために望ましい方法である。もちろん、一度使用したものをタンク等に抜き出して再度使用してもかまわない。
洗浄する時間は装置の形状によって異なるが、所定の温度に達してから10〜360分とすることが好ましい。配管のように単純な構造の機器では短くでき、ポンプなど複雑な構造の機器では長くする必要がある。時間は30〜240分がより好ましく、60〜180分が更に好ましい。
洗浄の効率を高めるためには、洗浄液を攪拌、熱対流、流通などによって移動させることが好ましい。このためには、攪拌翼等で攪拌したり、ポンプ等で循環させたりすることが好ましい。また、洗浄液に浸からない精留塔や真空ベントライン、反応槽上部付近を洗浄するには、装置内部で還流をかけて洗浄液がこれらの機器等の壁面を流れるようにすることが好ましい。このためには反応槽などのTMGを上記した温度とし、洗浄液の浸からない機器の上部壁面の温度を沸点より下げることが望ましい。
本発明においては、洗浄に用いるTMGの中にPTTペレットを入れ、攪拌翼等で攪拌することによりペレットで壁面を擦り、反応器壁面に付着している触媒残差等を洗浄することもできる。この場合、洗浄する装置にて製造するのと同種のPTTからなり、1粒当たりの重量が2〜100mgであるペレットを用いるのが好ましい。ペレットは洗浄液に対して1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましく、10〜20重量%であることが更に好ましい。ペレットの形状は球形、直方体、円筒、円錐のいずれの場合も含むが、洗浄性を考えた場合は円筒あるいは直方体が好ましい。
本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
[η]=lim(ηsp/C)
C→0
(2)色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)のカラーコンピューターを用いて測定した。
[参考例1]
原料としてDMTとTMGを用いて、図1の装置によりバッチ重合法によりPTTポリマーを重合した。エステル交換反応器1にはタービン状の攪拌翼2を有した内容積2mの縦型攪拌反応器を、重縮合反応器4には螺旋型攪拌翼を有した内容積2mの縦型攪拌反応器用いた。
重合は、まずDMT650kg、TMG560kg、チタンテトラブトキシドをDMTに対して0.1重量%を仕込み、常圧下、160〜230℃に徐々に昇温しながら3時間エステル交換反応を行いBHPTを得た。次に得られたBHPTにトリメチルフォスフェートを原料として用いたDMTに対してリン元素の重量割合が20ppmとなるように添加した後、重縮合反応器4に移送し、240〜260℃に徐々に昇温しながら減圧下で重縮合反応を3時間行い、PTTポリマーを得た。減圧度は時間とともに下げていき、最終的には50Paとした。このような重合を1日6バッチ、3ヶ月連続して行った。得られたポリマーは、固有粘度が0.75〜0.77であり、色調はL*が80〜85、b*が4〜10の範囲に入った良好なポリマーであった。
生産を中止し、重合装置内部を観察したところ、真空ベント配管とコンデンサーの接続部分を中心にオリゴマー等の付着があり閉塞気味であった。また、反応器内壁にはポリマーの付着や残存が観察され、気相部にも黒色、茶色及び白色の付着物が観察された。
[実施例1]
参考例1の付着物が観察された重合装置の洗浄を以下の手順で行った。
重合装置は重合終了後、窒素を内部に流通させながら200℃にした。この後、まずエステル交換反応器1に1mのTMG洗浄液を入れて210℃に昇温して、攪拌翼で攪拌しながら3時間洗浄を行った。この際、精留塔よりTMGを還流させて、精留塔、配管及び気相部にTMGを流して洗浄した。この後、洗浄液を重縮合反応器4に移送しながら移送配管を洗浄し、同様にして重縮合反応器4を攪拌翼で攪拌しながら3時間洗浄した後、洗浄に用いたTMGを排出しながら排出配管を洗浄した。重縮合反応器では真空ベント配管温度を1〜5℃下げることによりTMGを凝縮させて配管や重合器の気相部を洗浄した。次に、新たなTMGを用いて同様にして重合装置の洗浄を行った。洗浄中は常に窒素ガスを流した。装置からの排出ガスの酸素濃度は、重合が終了してから洗浄が終了するまで1体積%以下であった。また、内部を観察したところ、内部に付着していた残留ポリマーや、黒色、茶色及び白色の付着物は完全に除去され、壁面は金属特有の光沢を有していた。また、ベント配管の詰まりも完全に解消されていた。
洗浄後、参考例1と同様にして重合を行ったところ、粘度、色調ともに洗浄前と同じ範囲のものが重合再開直後より得られた。
[実施例2]
該重合装置より得られた1粒当りの重量20mgである円筒状のPTTペレットを15重量%入れた新たなTMGを用いて重縮合反応器を洗浄した以外は、実施例1と同様にして参考例1の重合装置を洗浄した。洗浄中は常に窒素ガスを流した。装置からの排出ガスの酸素濃度は、重合が終了してから洗浄が終了するまで1体積%以下であった。また、内部を観察したところ、内部に付着していた残留ポリマーや、黒色、茶色及び白色の付着物は完全に除去され、壁面は金属特有の光沢を有していた。また、ベント配管の詰まりも完全に解消されていた。
洗浄後、参考例1と同様にして重合を行ったところ、粘度、色調ともに洗浄前と同じ範囲のものが重合再開直後より得られた。
[比較例1]
重合終了後に窒素を流さなかった以外は実施例1と同様にして洗浄を行った。洗浄液を入れるまでの排出ガスは酸素濃度が10体積%を越えていた。洗浄を行った後に内部を観察したところ、反応器内部には黒色の付着物が残っていた。また、このまま重合を行ったところ、b*が12と着色したポリマーしか得られなかった。
[参考例2]
原料としてDMTとTMGを用いて、図2の装置により連続重合法により1日に1000kgのPTTポリマーを重合した。エステル交換反応器9にはタービン状の攪拌翼を有した内容積0.4mの縦型攪拌反応器を、第一重縮合反応器13はタービン状の攪拌翼を有した内容積0.2mの縦型攪拌反応器を、第二重縮合反応器19には内容積0.4mの1軸のディスク状攪拌翼を有した横型攪拌反応器を用いた。
重合は、まず1:1.5のモル比のDMT、TMG及びDMTに対して0.1重量%のチタンテトラブトキシドを220℃の熱媒で加熱したエステル交換反応器9に連続投入し、常圧にて攪拌翼10で攪拌し、精留塔11を通して副生するメタノールを抜き出しながらエステル交換反応を行った。
その後、移送ポンプ12にて250℃の熱媒で加熱した第一重縮合反応器13に送液し、減圧下1000Paにて攪拌翼14で攪拌し、副生するTMG等を真空ベント配管21より抜き出しながら重縮合を行って低重合度のポリマーを得た。次いで、移送ポンプ18にて255℃の熱媒で加熱した第二重縮合反応器19に送液し、減圧下100Paにて攪拌翼20で攪拌し、副生するTMG等を真空ベント配管21より抜き出しながら重縮合を行って重合度を高め、PTTポリマーを得た。重縮合反応の触媒はエステル交換反応の時に添加したものをそのまま用いた。このような重合を3ヶ月連続して行った。得られたポリマーは、固有粘度が0.85〜0.87であり、色調はL*が80〜85、b*が4〜10の範囲に入った良好なポリマーであった。
生産を中止し、重合装置内部を観察したところ、真空ベント配管とコンデンサーの接続部分を中心にオリゴマー等の付着があり閉塞気味であった。また、反応器、特に第二重縮合反応器の内壁にはポリマーの付着や残存が観察され、気相部にも黒色、茶色及び白色の付着物が観察された。
[実施例3]
参考例2の付着物が観察された重合装置の洗浄を以下の手順で行った。
重合装置は重合終了後、可能な限り残存ポリマーを排出した後、窒素を内部に流通させながら210℃にした。この後、まずエステル交換反応器9に0.1mのTMG洗浄液を入れて210℃に昇温して、攪拌翼で攪拌しながら3時間洗浄を行った。この際、精留塔よりTMGを還流させて、精留塔、配管及び気相部にTMGを流して洗浄した。この後、洗浄液を第一重縮合反応器13に移送しながら移送配管を洗浄し、同様にして第一重縮合反応器13を攪拌翼で攪拌しながら3時間洗浄した。最後に、洗浄液を第二重縮合反応器19に移送しながら移送配管を洗浄し、同様にして第二重縮合反応器19を攪拌翼で攪拌しながら3時間洗浄した後、洗浄に用いたTMGを排出しながら排出配管を洗浄した。第一、第二重縮合反応器では真空ベント配管温度を1〜5℃下げることによりTMGを凝縮させて配管や重合器の気相部を洗浄した。次に、新たなTMGを用いて同様にして重合装置の洗浄を行った。洗浄中は常に窒素ガスを流した。装置からの排出ガスの酸素濃度は、重合が終了してから洗浄が終了するまで1体積%以下であった。また、内部を観察したところ、内部に付着していた残留ポリマーや、黒色、茶色及び白色の付着物は完全に除去され、壁面は金属特有の光沢を有していた。また、ベント配管の詰まりも完全に解消されていた。
洗浄後、参考例2と同様にして重合を行ったところ、各反応器のレベル、温度、真空度等が安定した直後より、粘度、色調とも洗浄前と同じ範囲のポリマーが得られた。
[参考例3]
第二重縮合反応器35として内容積1mの支持体に沿わせてポリマーを落下させながら重合させる反応器を用いた以外は実施例2と同様にして3ヶ月連続して重合を行った。得られたポリマーは固有粘度が1.0〜1.05であり、色調はL*が80〜85、b*が4〜10の範囲に入った良好なポリマーであった。
生産を中止し、重合装置内部を観察したところ、真空ベント配管とコンデンサーの接続部分を中心にオリゴマー等の付着があり閉塞気味であった。また、反応器、特に第二重縮合反応器の気相部には黒色、茶色及び白色の付着物が観察された。
[実施例4]
参考例3の付着物が観察された重合装置を実施例3と同様にして洗浄した。ただし、第二重縮合反応器は0.1mのTMG洗浄液を原料供給口36より投入し、多孔板37を通して支持体38に沿わせて落下させながら下部に溜めた後、TMGが沸騰している状態にて3時間加熱して洗浄を行った。この時、反応器の側壁面及び上壁面の温度を1〜5℃下げ、TMGを凝縮させながら洗浄した。洗浄中は常に窒素ガスを流した。装置からの排出ガスの酸素濃度は、重合が終了してから洗浄が終了するまで1体積%以下であった。また、内部を観察したところ、内部に付着していた残留ポリマーや、黒色、茶色及び白色の付着物は除去された。また、ベント配管の詰まりも完全に解消されていた。
洗浄後、参考例3と同様にして重合を行ったところ、重合を開始し、各反応器のレベル、温度、真空度等が安定した直後より、粘度、色調とも洗浄前と同じ範囲のポリマーが得られた。
[実施例5]
実施例1にて洗浄に用いたTMG廃液を理論段15段の回分蒸留装置を用いて、1kPa、130℃にて減圧蒸留して、純度98重量%のTMGを廃液に対して80重量%得た。得られたTMGを用いて、参考例1と同様に重合を3ヶ月行った重合装置を洗浄したところ、実施例1同様に内部に付着していた残留ポリマーや、黒色、茶色及び白色の付着物は完全に除去され、壁面は金属特有の光沢を有していた。また、ベント配管の詰まりも完全に解消されていた。洗浄後、参考例1と同様にして重合を行ったところ、粘度、色調とも、洗浄前と同じ範囲のものが直後より得られた。
本発明の洗浄法は、繊維や樹脂成形用のポリマー製造の分野で好適に利用できる。
バッチ重合法の重合装置の概略を示す模式図である。 1軸のディスク状攪拌翼を有した横型攪拌反応器を用いた連続重合法の重合装置の概略を示す模式図である。 支持体に沿わせてポリマーを落下させながら重合させる反応器を用いた連続重合法の重合装置の概略を示す模式図である。
符号の説明
1.エステル交換反応器
2.攪拌翼
3.精留塔
4.重縮合反応器
5.攪拌翼
6.真空ベント配管
7.コンデンサー
8.真空ポンプ
9.エステル交換反応器
10.攪拌翼
11.精留塔
12.移送ポンプ
13.第一重縮合反応器
14.攪拌翼
15.真空ベント配管
16.コンデンサー
17.真空ポンプ
18.移送ポンプ
19.第二重縮合反応器
20.攪拌翼
21.真空ベント配管
22.コンデンサー
23.真空ポンプ
24.排出ポンプ
25.エステル交換反応器
26.攪拌翼
27.精留塔
28.移送ポンプ
29.第一重縮合反応器
30.攪拌翼
31.真空ベント配管
32.コンデンサー
33.真空ポンプ
34.移送ポンプ
35.第二重縮合反応器
36.原料供給口
37.多孔板
38.支持体及び落下ポリマー
39.真空ベント配管
40.コンデンサー
41.真空ポンプ
42.排出ポンプ
43.排出口

Claims (4)

  1. ポリトリメチレンテレフタレートの溶融重合装置を洗浄するにあたり、気相部の酸素濃度を5体積%以下に保った状態にて、150℃以上、蒸気圧が0.5MPaとなる温度以下に加熱したトリメチレングリコールを用いて洗浄することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート重合装置の洗浄方法。
  2. 加熱したトリメチレングリコールの温度が180℃以上、トリメチレングリコールの沸点以下であることを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
  3. 請求項1又は2記載の洗浄方法によって洗浄してなるポリトリメチレンテレフタレートの溶融重合装置。
  4. 請求項3記載の溶融重合装置を用いることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートの製造方法。
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