JP2005058881A - 同時重層用スライド型コータ及び同時重層塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 少なくとも1つの塗布液に揮発性溶剤を含有した複数の塗布液を使用して同時重層塗布を行ってもスライド面の最上部の気液個界面に固化物の発生がなく安定した同時重層が行うことが出来るスライド型コータの提供。
【解決手段】 連続走行する帯状支持体上に、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する塗布方式に用いる少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4つのバーとを有する同時重層用スライド型コータにおいて、該塗布液の少なくとも1つの塗布液は揮発性溶媒を含有しており、前記塗布液の内、最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面が、他のスライド面より2〜4mm高いことを特徴とする同時重層用スライド型コータ。
【選択図】 図1
【解決手段】 連続走行する帯状支持体上に、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する塗布方式に用いる少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4つのバーとを有する同時重層用スライド型コータにおいて、該塗布液の少なくとも1つの塗布液は揮発性溶媒を含有しており、前記塗布液の内、最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面が、他のスライド面より2〜4mm高いことを特徴とする同時重層用スライド型コータ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、連続走行する帯状支持体上に、少なくとも1つの塗布液は揮発性溶剤を含有した複数の塗布液を同時に塗布する塗布方式に用いる少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4つのバーとを有する同時重層用スライド型コータ(以下、単にスライド型コータともいう)及び同時重層塗布方法に関する。
従来より、連続走行する帯状支持体(以下、支持体ともいう)に塗布液を塗布する方法として、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、例えばディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライド塗布法、カーテン塗布法等が知られている。そして、これらの塗布方法において、支持体の幅方向に均一な乾燥膜厚にするため、塗布時の塗布膜厚精度、均一性等に注意が払われ塗布を行っている。
これらの塗布方法の中で、一般的に感光材料や磁気記録材料等の塗布には高速、薄膜、多層同時塗布が可能であることから、スライド型コータを使用したスライド塗布法及びカーテン塗布法が広く用いられている。スライド型コータを使用したスライド塗布法に付き図で概略を説明する。
図4はスライド型コータを使用したスライド塗布方式の概略図である。図4の(a)はバックロールで塗布反対面を保持された支持体の保持部へ、スライド型コータを使用して塗布するスライド塗布方式の模式図である。図4の(b)は図4の(a)に示されるスライド型コータの拡大概略平面図である。図4の(c)は図4の(a)のXで示される部分の拡大概略断面図である。
図中、1はスライド型コータを示し、2はバックロールを示し、3は連続走行する帯状支持体を示す。矢印は帯状支持体3の搬送方向を示す。101はスライド型コータを構成しているバーを示し、本図の場合はバー101a〜101dの4本のバーでスライド型コータ1を構成している。バーの数は固定されているのではなく、塗布する層の数に応じて増減することが可能である。
102はバーの間に作られた塗布液の流出口であるスリットを示し、本図の場合はバー101a〜101dの4本のバーの間に作られた各スリット102a〜102cを有している。102a1〜102c1は各スリットの出口のエッジ部を示し、103はリップ部を示す。
104は供給管403から送られてくる塗布液をスリット102より幅方向に均一に押し出すためにスリットに設けられたポケットを示す。104a〜104cは各スリット102a〜102cに設けられているポケットを示す。
105は各バーの先端面で構成されたコータのスライド面を示し、本図の場合は各バー101a〜101dによりスライド面105a〜105dが構成されている。111a、111bはスライド面105の両端に設けられたエッジガイドを示す。塗布液供給系4の調製釜401で調製された塗布液を送液ポンプ402により供給管403を通して、各スリットに作られたポケット104に供給され、各スリットから押し出された塗布液はエッジガイド111a、111bにより幅を規制されスライド面105を流下し、バックロール2により塗布反対面を保持され搬送される支持体3の保持部に塗布される。111cはエッジガイド111aの塗布液と接する面(以下、接液面ともいう)を示し、111dはエッジガイド111bの接液面を示す。エッジガイド111a、111bにより塗布幅の均一性が規制されるため、スライド型コータ1を使用した塗布方法ではエッジガイド111a、111bは必須の部材となっている。5aは支持体に塗布された塗布層を示す。6は塗布の安定化のためスライド型コータの下部に設けられた減圧室を示し、601は吸引管を示す。
Pはスライド型コータ1の最上部のスリット102cから吐出した塗布液が、スリット102cの上流側のスライド面105dにまで達している位置を示す。一般的にスライド型コータを使用して塗布を行う場合この様な現象が生じることが知られている。そして、スリットの上流側のスライド面にまで達した塗布液の気液固界面の位置で塗布液の乾燥及び同時に起こるゲル化に伴い固化物が生成する。そして、この固化物の影響でスライド面上を流れる塗布液面が平坦でなくなりスジが発生してしまう。このようなスジの発生は、塗布製品の品質を阻害するばかりでなく、連続的な安定製造を阻害し生産性を低下させる重大な問題である。また、この問題は、塗布液の少なくとも1つの塗布液に揮発性溶剤を含有した塗布液の場合に、更に悪化することが知られている。
このスライドコータの最上部のスライド面の気液固界面の位置に発生する固化物の対策として、スライドコータの最上部の塗布液を吐出するスリットの上流側のスライド面を段差を付けて他のスライド面より高くし、且つ段差を付けた部分に撥水加工をする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術には次の様な欠点を有しいてる。
1)粘度が0.2〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が30mN/m以下の低粘度の塗布液の場合、スライドコータの最上部のスライド面の気液固界面の位置に発生する固化物の対策としては効果が不十分である。
2)撥水加工を施しても使用する塗布液が揮発性溶媒を含んでいる場合、塗布液の表面張力が低いためスライドコータの最上部のスライド面の気液固界面の位置に発生する固化物の対策としては効果が不十分である。
これらの状況より、少なくとも1つの塗布液に揮発性溶剤を含有した複数の塗布液をスライドコータを使用して同時重層塗布を行ってもスライド面の最上部の気液個界面に発生する固化物による塗布筋の発生が無い安定したスライド型コータの開発が望まれている。
特開2002−18338号公報
本発明は上記状況に鑑み成されたものであり、その目的としては少なくとも1つの塗布液に揮発性溶剤を含有した複数の塗布液を使用して同時重層塗布を行ってもスライド面の最上部の気液個界面に固化物の発生がなく安定した同時重層が行うことが出来るスライド型コータを提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
(請求項1)
連続走行する帯状支持体上に、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層用スライド型コータにおいて、
被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4本のバーとを有し、
該塗布液の少なくとも1つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
該スライド面の内、最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面が、他のスライド面より2〜4mm高いことを特徴とする同時重層用スライド型コータ。
連続走行する帯状支持体上に、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層用スライド型コータにおいて、
被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4本のバーとを有し、
該塗布液の少なくとも1つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
該スライド面の内、最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面が、他のスライド面より2〜4mm高いことを特徴とする同時重層用スライド型コータ。
(請求項2)
前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項1に記載の同時重層用スライド型コータ。
前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項1に記載の同時重層用スライド型コータ。
(請求項3)
前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の同時重層用スライド型コータ。
前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の同時重層用スライド型コータ。
(請求項4)
連続走行する帯状支持体上に、被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリットを構成する少なくとも4本のバーとから形成されるスライド面を有する同時重層用スライド型コータを用いて、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層塗布方法において、
該塗布液の少なくとも一つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
前記塗布液の吐出量の設定時から塗布直前まで最上部のスリットから、被膜形成防止溶液を吐出し、
該溶液の吐出を塗布直前に止め、
該スライド面上の前記塗布液の気液固界面近傍を最上部のスライド面から下側に向けて清掃手段により清掃した後、塗布を開始することを特徴とする同時重層塗布方法。
連続走行する帯状支持体上に、被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリットを構成する少なくとも4本のバーとから形成されるスライド面を有する同時重層用スライド型コータを用いて、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層塗布方法において、
該塗布液の少なくとも一つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
前記塗布液の吐出量の設定時から塗布直前まで最上部のスリットから、被膜形成防止溶液を吐出し、
該溶液の吐出を塗布直前に止め、
該スライド面上の前記塗布液の気液固界面近傍を最上部のスライド面から下側に向けて清掃手段により清掃した後、塗布を開始することを特徴とする同時重層塗布方法。
(請求項5)
前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
(請求項6)
前記同時重層用スライド型コータが、請求項1に記載の同時重層用スライド型コータであることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
前記同時重層用スライド型コータが、請求項1に記載の同時重層用スライド型コータであることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
(請求項7)
前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の同時重層塗布方法。
前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の同時重層塗布方法。
少なくとも1つの塗布液に揮発性溶剤を含有した複数の塗布液を使用して同時重層塗布を行ってもスライド面の最上部の気液個界面に固化物の発生がなく安定した同時重層が行うことが出来るスライド型コータを提供することが出来、性能・物性面の品質が向上し塗布の安定生産が容易となった。
以下に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施の形態に付き説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明のスライド型コータを使用したスライド塗布方式の概略図である。図1の(a)はバックロールで塗布反対面を保持された支持体の保持部へ、スライド型コータを使用して塗布するスライド塗布方式の模式図である。図1の(b)は図1の(a)に示されるスライド型コータの拡大概略平面図である。図1の(c)は図1の(a)のXで示される部分の拡大概略断面図である。尚、図1の(c)はスライド型コータを構成しているバーの形状を示すため塗布液は省略してある。
図中、7はスライド型コータを示し、2はバックロールを示し、3は連続走行する帯状支持体を示す。矢印は帯状支持体3の搬送方向を示す。701はスライド型コータを構成しているバーを示し、本図の場合はバー701a〜701dの4本のバーでスライド型コータ7を構成している。
702はバーの間に作られた塗布液の流出口であるスリットを示し、本図の場合はバー701a〜701dの4本のバーの間に作られた3つの各スリット702a〜702cを有している。
バーの数は固定されているのではなく、塗布する層の数に応じて増減することが可能である。例えば最下層の塗布液が0.2〜2.0Pa・sの高粘度の場合スライド面上の最下層の塗布液の流れを良くし、塗布安定のために最下層の塗布液の下に塗布補助液(本発明ではスリップ層塗布液ともいう)を供給するためのスリットを設けるためにバーが1本追加される場合もある。
本図のスライド型コータ7の場合は、スリット702a及び702bは塗布液を吐出するスリットであり、使用する塗布液は少なくとも1つの塗布液が揮発性溶剤を含有した塗布液である。スリット702cは、塗布液に使用している主揮発性溶媒の沸点と同じか主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した被膜形成防止溶液を吐出する様に配設されている。被膜形成防止溶液をスリット702cより吐出するタイミングは、塗布開始前に塗布液流量を決めるために、スリット702a、702bから塗布液を吐出している間であり、塗布直前に中止する。
主揮発性溶媒の沸点より低い場合は、スライド面上での乾きが早いため、流量を多く必要とするため、揮発性溶媒の種類によっては費用が掛かる場合がある。20℃を越えた場合は、スライド面上での乾きが遅くなるため、塗布開始までの時間が長くなり塗布液のロスが多くなり費用が掛かる場合がある。
スリット702cから吐出する被膜形成防止溶液の量は、塗布液の種類により異なるため一義的に決めることは出来ないが、200〜2000ml/min・mを目安にすることが好ましい。200ml/min・m未満の場合は、使用する被膜形成防止溶液の種類によってはスライド面の全幅に被膜形成防止溶液が濡れ広がらない場合がある。2000ml/min・mを越えた場合は、スライド面上の塗布液の流れが乱れてしまい、塗布液の種類によっては塗布故障が発生する場合がある。本発明において揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液とは、揮発性溶媒単独でも良いことを意味する。
702a1〜702c1は各スリットの出口のエッジ部を示し、703はリップ部を示す。704は供給管403から送られてくる塗布液をスリット702より幅方向に均一に押し出すためにスリットに設けられたポケットを示す。704a〜704cは各スリット702a〜7028cに設けられているポケットを示す。
705は各バーの先端面で構成されたコータのスライド面を示し、本図の場合は各バー701a〜701dによりスライド面705a〜705dが構成されている。
各バー701a〜701dの内、スリット702bより上流側にあるスライド面705c、705dはスリット702bより下流側にあるスライド面705a、705bより高くなっている。高くすることでスリット702bから吐出される塗布液は上流側にあるスライド面705cに回り込むことが防止される。詳細は図2で説明する。
706a、706bはスライド面705の両端に設けられたエッジガイドを示す。塗布液供給系4の調製釜401で調製された塗布液を送液ポンプ402により供給管403を通して、各スリットに作られたポケット109に供給され、各スリットから押し出された塗布液はエッジガイド706a、706bにより幅を規制されスライド面705を流下し、バックロール2により塗布反対面を保持され搬送される支持体3の保持部に塗布される。706cはエッジガイド706aの塗布液と接する面(以下、接液面ともいう)を示し、706dはエッジガイド706bの接液面を示す。エッジガイド706a、706bにより塗布幅の均一性が規制されるため、スライド型コータ1を使用した塗布方法ではエッジガイド706a、706bは必須の部材となっている。5bは支持体に塗布された塗布層を示す。6は塗布の安定化のためスライド型コータの下部に設けられた減圧室を示し、601は吸引管を示す。
本発明に係る揮発性の溶媒を含む塗布液は、粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることが好ましい。粘度が0.2Pa・s未満の場合は、多量の溶媒を使用し低粘度にするため、使用する溶媒の種類によっては乾燥負荷が掛かり生産性が劣化かる場合がある。粘度が2.0Pa・sを越えた場合は、溶媒の量が減少することにより、添加剤の種類によっては溶解し難くなり必要とする性能が得られなくなる場合がある。
表面張力が15mN/m未満の場合は、使用する溶媒(例えば、メチルエチルケトン(MEK))の使用が制限されるため、必要とする性能が得られなくなる場合がある。表面張力が35mN/mを越えた場合は、使用する溶媒(例えば、MEK)の使用が制限されるため、必要とする性能が得られなくなる場合がある。
本発明に係る揮発性の溶媒を含む塗布液は、粘度及び表面張力がこれらの範囲にあれば特くに限定はなく、例えば熱現像感光材料用塗布液、磁気材料用塗布液、ハロゲン化銀感光材料等の画像記録材料用塗布液が挙げられる。
本図に示すスライド型コータは、塗布時に待機位置より塗布位置まで移動し、塗布終了後は待機位置まで移動するようになっている。待機位置では各スリットから吐出する塗布液の吐出量の調整、スライド面の清掃等が行われる。
図2は図1の(c)のYで示される部分の拡大概略断面図である。
図中、Hはスリット702bの下流側のスライド面705bからスリット702bの上流側のスライド面705cまでの高さを示す。高さHは2〜4mmである。2mm未満の場合は、粘度が0.2〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が15〜35mNの塗布液の場合は、塗布液がスライド面にまで回り込み、スライド面上に気液固界面が発生し、固化固着物により塗布故障が発生するため好ましくない。4mmを越えた場合は、段差の部分に気液固界面が発生し、固化固着物により塗布故障が発生するため好ましくない。
図1、図2に示される本発明のスライド型コータの効果を以下に示す。
1)塗布開始前の塗布液吐出量調整時に最上部のスリットから塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか塗布液の主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した含有した被膜形成防止溶液を吐出することでスライド面上の塗布液の蒸発を防止し、塗布液のスライド面上の気液固界面での固形物の付着を防止することが出来、スライド面上の気液固界面が幅手で均一となり安定した塗布が可能となる。
2)最上層用の塗布液を吐出するスリットの上流側のスライド面を2〜4mm高くすることで、粘度が0.5〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が15〜35mNの塗布液の場合でも塗布液の気液固界面が、最上層用の塗布液のスリット出口上流側のスライド面まで達することが抑えられる為、最上層用の塗布液の気液固界面が、幅手で均一となり、皮膜の発生を防止し、安定した塗布が可能となる。
図3は図1に示すスライド型コータのスライド面の自動拭き取り装置の概略斜視図である。
図中、8は清掃手段の自動拭き取り装置を示し、9は拭き取り部を示す。801は拭き取り部9をスライド型コータ7の幅手方向(X軸)に対して直交方向(Y軸)に往復移動可能(図中A矢印方向)な第1移動手段を示す。802は第1移動手段801に保持され、コータ7の幅手方向(X軸)に往復移動可能(図中B矢印方向)な第2移動手段を示す。
803は第2移動手段802に配設され、X軸及びY軸方向に対して直交方向(Z軸)に移動可能(図中D矢印方向)な第3移動手段を示す。
第1移動手段801は、ステッピングモータ(不図示)により回転するプーリ801bに架けられ往復駆動する駆動ベルト801cとを配設した基台801dを有している。駆動ベルト801cの他の一方も回転するプーリに架けられている。
駆動ベルト801cの片側に第2移動手段802をY軸に沿って移動させる移動部材801eが取り付けられている。尚、移動部材801eには第2移動手段の基台802aが固定されている。
基台801dは、スライド型コータ7の領域外まで延びており、第2移動手段802がコータ領域外に移動できることで、この領域外の部分に第2移動手段802を、拭き取り作業時以外の時、他の作業を阻害しない様、待機させることができる。
第2移動手段802は、ステッピングモータ(不図示)により回転するプーリ(不図示)に架けられ往復駆動する駆動ベルト802dとを配設した基台802aを有している。駆動ベルト802dの片側に拭き取り部9を取り付けた基台802eが固定された移動部材802fが取り付けられている。これにより、拭き取り部9はX軸に沿って移動が可能となっている。
第3移動手段803は、ステッピングモータ(不図示)により回転するボールネジ803aを配設した基台803bを有している。ボールネジ803aには移動部材803cが取り付けられている。移動部材803cには拭き取り部9を有する取り付け部材803dが取り付けられている。
第3移動手段803により、拭き取り部9はZ軸方向(図中D矢印方向)に往復移動(昇降)が可能になっている。
第1移動手段701の配置は、塗布及び作業に支障が無ければ特に限定なく、例えば、天井、壁あるいは門型支柱等で支持し、拭き取り作業時に下降するようにコータ上部に配置しても良い。このような配置にすることで、拭き取り作業時以外には自動拭き取り装置7を他の作業の支障とならない様にすることが可能となる。
図中、803eは拭き取り部9を取り付け部材803dに取り付ける回転手段を有する部材を示す。901aは拭き取り部材9の枠体901bに配設され、拭き取り部材9を取り付け部材803eに回転可能に取り付ける部材示す。取り付け部材803eへ部材801aを取り付けることで拭き取り手段8はZ軸に対して180度回転(図中の矢印方向)が可能となる。取り付け部材803eが有する回転手段としてはステッピングモータ、ロータリーアクチエータ等が挙げられる。
901cは巻芯に拭き取り部材901dをロール状に巻いたロール体を示し、巻芯は枠体901bに回転可能に軸支されている。尚、ロール体の回転を押さえるために、回転制御手段としてのブレーキ901eを有している。
901fは巻き取り軸に巻き取られた使用済みの拭き取り部材901eを示し、巻き取り手段901gにより巻き取り可能に枠体901bに軸支されている。巻き取り手段としては特に限定はなく、例えばエアーモータ、電動モータ等が挙げられる。
901hは拭き取り部材901dをスライド型コータ7のスライド面705に押付ける押付け搬送ローラを示し、回転手段により回転可能に枠体901bに軸支されており、拭き取り部材901dの搬送ローラーを兼ねている。回転手段としては特に限定はなく、例えばエアーモータ、電動モータ等が挙げられる。
拭き取り部材901dは、押付け搬送ローラ901hの回転によりロール体901cから繰り出され、巻き取り手段901gにより巻き取り軸に巻き取られる(図中の矢印方向)。このとき、巻き取り軸への拭き取り部材901dの巻き取り量は押付け搬送ローラ901hによる拭き取り部材901dの繰り出し量に合わせられており、ブレーキ901eによりロール体901cの回転量を制御することで張力を調整しながら巻き取ることが可能となっている。
拭き取り部材901dが繰り出された時、弛みが発生しない様にするためには、拭き取り部材901dの巻き取り張力を拭き取り部材901eの繰り出し張力の1.2〜2.5倍の間に設定することが好ましい。繰り出し張力に対する巻き取り張力が1.2倍未満では、拭き取り部材の種類によっては弛みが発生する場合がある。2.5倍を越える場合は、拭き取り部材にかかる負荷が過度となり、拭き取り部材の種類によっては拭き取り能力が低下する場合もある。拭き取り部材の巻き取り張力及び繰り出し張力は、概ね1m幅当たり10〜200N程度が好ましい。
スライド面705への拭き取り部材901dの押付け圧は、第3移動手段803の、Z軸方向への移動量により適宜決めることが可能である。
拭き取り部材901eの幅はとくには限定はなく、スライド型コータの大きさに合わせ適宜決めることが可能である。勿論、一度にスライド型コータのスライド面全幅を拭き取りできる幅で合ってもかまわない。但し、拭き取り部材901eの幅が広がることは拭き取り装置が大きくなることになるため、スライド面の幅を数回に分けて分割して拭き取ることが出来る幅であることが設置場所、操作性を含めて好ましい。
拭き取り装置8によるスライド面705の拭き取り方向は、スライド面の上流側から下流側に向けて(スライド面705dからスライド面705に向けて)行い、拭き取り対象のスライド面としてスライド面705dとスライド面705cとが挙げられる。
拭き取り部材801eの巻き取り速度、スライド面への押付け圧及びエッジガイドの接液面への押付け圧は、スライド面及び接液面の汚れの状態により適宜決めることが好ましい。
尚、本発明に係わる清掃手段の一例として、本図では自動式の拭き取り装置を示したが、勿論、手動式の拭き取りローラであってもよい。但し拭き取る方向はスライド面の上流側から下流側に向けて行う必要がある。この様な方向にすることでスリットのエッジ及びスリット近傍のスライド面上の固化固着物を取り除くことが可能となる。
清掃手段によるスライド面の清掃のタイミングは、塗布直前に塗布液の流量を調整するのに合わせ、最上部のスリットから被膜形成防止溶液の吐出を止めた時である。
清掃手段によるスライド面の清掃が終了した後、塗布が開始される。塗布直前にスライド面を清掃することで以下の効果が得られる。
1)最上層用の塗布液を吐出するスリット出口上流側のスライド面に付着している固化固着物を除去するため、連続に塗布を行っても固化する核となる物がないため、固化物が固着しないためスリットの幅方向で安定した塗布液面が維持され、安定した塗布が可能となる。
本発明に係る清掃手段の拭き取り部材としては、スライド面の拭き取り過程で発塵等による雰囲気の汚染源とならないこと、耐久性があること等が重要な要件であり、これらの観点から不織布を用いることが好ましい。素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ポリエステル、コットン、ウッドパルプ等を用いることができる。
押付け搬送ローラに使用する素材としては、アルミニウム、ステンレス等のロールの表面に拭き取り部材のすべり防止、スライド面に対し均一に接触させる観点から、表面にゴムライニングした素材を用いることが好ましい。ライニングされたゴムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。表面に弾性体を使用することで、押付け搬送ローラにより拭き取り部材が押付けられた状態でスライド面の端部にきたとき、押付け搬送ローラの表面の弾性部材が変形しリップに拭き取り部材が接触し、リップ部の拭き取りが可能になる。
図1〜図3に示す本発明のスライド型コータを用いた塗布方法の概要を段階的に以下に説明する。
第1段階:塗布液の吐出に合わせ、最上部のスリットから塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか塗布液の主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を含有した被膜形成防止溶液の吐出を開始する。被膜形成防止溶液を200〜2000ml/min・mを目安に吐出する。
第2段階:使用する塗布液の種類に合わせ組み立てられたスライド型コータを用いて塗布液用のスリットから少なくとも1つの塗布液粘度が0.2〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が15〜35mNのを有する塗布液が塗布速度、目標とする塗布厚に合わせ吐出される。
第3段階:塗布液の吐出量が決定した時点で、最上部のスリットから被膜形成防止溶液の吐出のみを中止する。
第4段階:清掃手段により最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面を清掃する。
第5段階:清掃終了後にスライド型コータを塗布位置まで移動し塗布が開始される。
以上、本発明のスライド型コータを使用し、第1段階〜第5段階の過程を経て塗布を行うことで得られる効果を以下に示す。
1)粘度が0.2〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が15〜35mNの塗布液の使用が可能となり、塗布液の範囲が広がり要求に対しての対応が容易になった。
2)粘度が0.2〜2.0Pa・sで、且つ表面張力が15〜35mNの塗布液を使用しても長時間の安定塗布が可能となり製品の安定品質化と生産効率が向上した。
本発明による効果は、カーテン塗布方式の場合もスライド塗布方式の場合と同じ効果が得られた。
以下に本発明の効果を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下に示す方法に従って、有機銀成分を含有した感光層塗布液及び表面保護層塗布液を調製した。
以下に示す方法に従って、有機銀成分を含有した感光層塗布液及び表面保護層塗布液を調製した。
〈感光層塗布液〉
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900L中にイナートゼラチン7.5kg及び臭化カリウム10gを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74kgを含む水溶液370Lと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6モルを含む水溶液370Lを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し、NaOHでpHを5に調整して、平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理を行った後、フェノキシエタノール100gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに、得られたハロゲン化銀乳剤に、塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行いハロゲン化銀乳剤Aを得た。
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900L中にイナートゼラチン7.5kg及び臭化カリウム10gを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74kgを含む水溶液370Lと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6モルを含む水溶液370Lを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し、NaOHでpHを5に調整して、平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理を行った後、フェノキシエタノール100gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに、得られたハロゲン化銀乳剤に、塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行いハロゲン化銀乳剤Aを得た。
上記単分散度及び投影直径面積の変動係数は、下式により算出した。
単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
投影直径面積の変動係数(%)=(投影直径面積の標準偏差)/(投影直径面積の平均値)×100
《ベヘン酸Na溶液の調製》
945Lの純水にベヘン酸32.4kg、アラキジン酸9.9kg、ステアリン酸5.6kgを90℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液98Lを添加した。次に濃硝酸0.93Lを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
(プレフォーム乳剤の調製)
上記のベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1kg添加し水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1モル/Lの硝酸銀溶液147Lを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。出来たベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させ、次に、ポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544kgとトルエン107kgを徐々に添加して混合した後に、メディア分散機により27.6MPaで分散させプレフォーム乳剤を調製した。
投影直径面積の変動係数(%)=(投影直径面積の標準偏差)/(投影直径面積の平均値)×100
《ベヘン酸Na溶液の調製》
945Lの純水にベヘン酸32.4kg、アラキジン酸9.9kg、ステアリン酸5.6kgを90℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液98Lを添加した。次に濃硝酸0.93Lを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
(プレフォーム乳剤の調製)
上記のベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1kg添加し水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1モル/Lの硝酸銀溶液147Lを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。出来たベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させ、次に、ポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544kgとトルエン107kgを徐々に添加して混合した後に、メディア分散機により27.6MPaで分散させプレフォーム乳剤を調製した。
〈感光層塗布液の調製〉
プレフォーム乳剤 240kg
増感色素−1(0.1%メタノール溶液) 1.7L
ピリジニウムプロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3L
臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7L
カブリ防止剤−1(10%メタノール溶液) 1.2L
2−(4−クロロベンゾイル安息香酸(12%メタノール溶液))
9.2L
2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11L
トリブロモメチルスルホキノリン(5%メタノール溶液) 17L
現像剤−1(20%メタノール溶液) 29.5L
プレフォーム乳剤 240kg
増感色素−1(0.1%メタノール溶液) 1.7L
ピリジニウムプロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3L
臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7L
カブリ防止剤−1(10%メタノール溶液) 1.2L
2−(4−クロロベンゾイル安息香酸(12%メタノール溶液))
9.2L
2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11L
トリブロモメチルスルホキノリン(5%メタノール溶液) 17L
現像剤−1(20%メタノール溶液) 29.5L
〈非感光性保護層塗布液〉
《非感光性保護層塗布液の調製》
メチルエチルケトン 52L
酢酸セルロース 2.3kg
メタノール 7L
フタラジン 250g
4−メチルフタル酸 180g
テトラクロロフタル酸 150g
テトラクロロフタル酸無水物 170g
マット剤:単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ 70g
C9H19−C6H4−SO3Na 10g
〈スリップ層塗布液〉
上記感光層塗布液をMEKで希釈し、粘度を0.03Pa・sに調整した。
《非感光性保護層塗布液の調製》
メチルエチルケトン 52L
酢酸セルロース 2.3kg
メタノール 7L
フタラジン 250g
4−メチルフタル酸 180g
テトラクロロフタル酸 150g
テトラクロロフタル酸無水物 170g
マット剤:単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ 70g
C9H19−C6H4−SO3Na 10g
〈スリップ層塗布液〉
上記感光層塗布液をMEKで希釈し、粘度を0.03Pa・sに調整した。
感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液の調製量は上記の調製量を1単位とし、塗布量に応じて調製を実施した。
〈スライド型コータの準備〉
最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面を他のスライド面より表1に示す様に変えた、図1、図2に示すスライド型コータにスリップ層塗布液を吐出するスリットを追加したスライド型コータを準備し1−1〜1−5とした。尚、スライド型コータの幅は340mmとした。
最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面を他のスライド面より表1に示す様に変えた、図1、図2に示すスライド型コータにスリップ層塗布液を吐出するスリットを追加したスライド型コータを準備し1−1〜1−5とした。尚、スライド型コータの幅は340mmとした。
〈塗布液の吐出量の調整とスライド面の清掃〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.5Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.8Pa・sに調整し、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行うのに必要な塗布液の吐出量の調整を準備したスライド型コータ1−1に付き待機場所にて行った。尚、同時に最上部のスリットから被膜形成防止溶液として、塗布液の主揮発性溶媒である揮発性溶媒(MEK)を1000ml/min・m吐出した。
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.5Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.8Pa・sに調整し、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行うのに必要な塗布液の吐出量の調整を準備したスライド型コータ1−1に付き待機場所にて行った。尚、同時に最上部のスリットから被膜形成防止溶液として、塗布液の主揮発性溶媒である揮発性溶媒(MEK)を1000ml/min・m吐出した。
塗布液の吐出量が決まった後、最上部のスリットからMEKの吐出を止め、直ちに最上層用の塗布液を吐出するスリットの上流側のスライド面を図3に示す自動拭き取り装置を使用してスライド型コータの上流側から下流側に向けて清掃を行った。
〈塗布・乾燥〉
スライド面の清掃が終了した後、スライド型コータ1−1を塗布位置に移動し、厚さ100μm、幅400mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、80℃で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料101とした。
〈塗布・乾燥〉
スライド面の清掃が終了した後、スライド型コータ1−1を塗布位置に移動し、厚さ100μm、幅400mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、80℃で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料101とした。
尚、スライド型コータ1−1に変えて準備したスライド型コータ1−2〜1−5を使用した他は全て同じ条件で塗布液の吐出量の調整、スライド面の清掃を行い塗布・乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料102〜105とした。
〈評価〉
得られた各試料101〜105に付き、塗布開始から500mと塗布終了前の500mに付き目視で塗布筋故障の有無を観察し、以下に示す評価ランクで評価した結果を表2に示す。
得られた各試料101〜105に付き、塗布開始から500mと塗布終了前の500mに付き目視で塗布筋故障の有無を観察し、以下に示す評価ランクで評価した結果を表2に示す。
評価ランク
○:塗布筋故障の発生が認められない
△:1〜2本の塗布筋故障の発生が認められ、削除すれば製品化は可能
×:3本以上の塗布筋故障の発生が認められる製品化は困難
○:塗布筋故障の発生が認められない
△:1〜2本の塗布筋故障の発生が認められ、削除すれば製品化は可能
×:3本以上の塗布筋故障の発生が認められる製品化は困難
本発明の有効性が確認された。
実施例2
〈感光層塗布液の準備〉
実施例1で調製した感光層塗布液の粘度、表面張力を表3に示す様に変え塗布液2−a〜2−fとした。
〈感光層塗布液の準備〉
実施例1で調製した感光層塗布液の粘度、表面張力を表3に示す様に変え塗布液2−a〜2−fとした。
〈非感光性保護層塗布液の準備〉
実施例1で調製した非感光性保護層塗布液の粘度、表面張力を表4に示す様に変え塗布液2−A〜2−Fとした。
実施例1で調製した非感光性保護層塗布液の粘度、表面張力を表4に示す様に変え塗布液2−A〜2−Fとした。
〈スライド型コータの準備〉
実施例1で準備した同時重層用スライド型コータNo1−3を使用した。
実施例1で準備した同時重層用スライド型コータNo1−3を使用した。
〈塗布・乾燥〉
準備した感光層塗布液2−a〜2−f、非感光性保護層塗布液2−A〜2−Fを使用し、実施例1と同じ条件で塗布液の吐出量の調整とスライド面の清掃を行った後、実施例1と同じ条件で塗布・乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料201〜212とした。
準備した感光層塗布液2−a〜2−f、非感光性保護層塗布液2−A〜2−Fを使用し、実施例1と同じ条件で塗布液の吐出量の調整とスライド面の清掃を行った後、実施例1と同じ条件で塗布・乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料201〜212とした。
〈評価〉
得られた各試料201〜212に付き、実施例1と同じ方法で塗布筋故障の有無を観察し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表5に示す。
得られた各試料201〜212に付き、実施例1と同じ方法で塗布筋故障の有無を観察し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表5に示す。
本発明の有効性が確認された。
1、7 スライド型コータ
101、701、101a〜101d、701a〜701d バー
102、702、102a〜102c、702a〜702c スリット
105、705、105a〜105d、705a〜705d スライド面
2 バックロール
3 帯状支持体
8 自動拭き取り装置
9 拭き取り部
901d 拭き取り部材
101、701、101a〜101d、701a〜701d バー
102、702、102a〜102c、702a〜702c スリット
105、705、105a〜105d、705a〜705d スライド面
2 バックロール
3 帯状支持体
8 自動拭き取り装置
9 拭き取り部
901d 拭き取り部材
Claims (7)
- 連続走行する帯状支持体上に、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層用スライド型コータにおいて、
被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリット及びスライド面を構成する少なくとも4本のバーとを有し、
該塗布液の少なくとも1つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
該スライド面の内、最上層用の塗布液を吐出するスリットより上流側のスライド面が、他のスライド面より2〜4mm高いことを特徴とする同時重層用スライド型コータ。 - 前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項1に記載の同時重層用スライド型コータ。
- 前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の同時重層用スライド型コータ。
- 連続走行する帯状支持体上に、被膜形成防止溶液を吐出するスリットを含む少なくとも3つのスリットと、該スリットを構成する少なくとも4本のバーとから形成されるスライド面を有する同時重層用スライド型コータを用いて、少なくとも2つの塗布液を同時に塗布する同時重層塗布方法において、
該塗布液の少なくとも一つの塗布液は揮発性溶媒を含有し、
前記塗布液の吐出量の設定時から塗布直前まで最上部のスリットから、被膜形成防止溶液を吐出し、
該溶液の吐出を塗布直前に止め、
該スライド面上の前記塗布液の気液固界面近傍を最上部のスライド面から下側に向けて清掃手段により清掃した後、塗布を開始することを特徴とする同時重層塗布方法。 - 前記被膜形成防止溶液は、最上部のスリットから吐出され、塗布液の主揮発性溶媒の沸点と同じか該主揮発性溶媒の沸点より20℃以内で高い沸点の揮発性溶媒を少なくとも10%以上含有した溶液であることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
- 前記同時重層用スライド型コータが、請求項1に記載の同時重層用スライド型コータであることを特徴とする請求項4に記載の同時重層塗布方法。
- 前記揮発性溶媒を含有した塗布液は粘度が0.2〜2.0Pa・sで、表面張力が15〜35mN/mであることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の同時重層塗布方法。
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Cited By (2)
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JP2012236315A (ja) * | 2011-05-11 | 2012-12-06 | Osaka Sealing Printing Co Ltd | 感熱記録体の製造方法 |
CN115318554A (zh) * | 2022-08-09 | 2022-11-11 | 深圳市盛发源自动化设备有限公司 | 视觉在线自动跟随动态点胶机及其控制方法 |
-
2003
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