JP2005057828A - 電線余長吸収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲面から成る移動体の曲面への接続電線の余長を吸収する。
【解決手段】自動車のバックドア1に設けられ電熱線を布設した開閉ウインドウガラス2が上昇した状態を示し、バックドア1内にはウインドウガラス2の開閉方向に沿って余長吸収装置3が配置されている。この余長吸収装置3から給電線4を介してウインドウガラス2の移動体側コネクタ5に給電され、余長吸収装置3にはバックドア1内のドア側コネクタ6から給電線7が接続されている。ウインドウガラス2は曲面とされ、余長吸収装置3のケースもウインドウガラス2に沿った曲面とされている。ウインドウガラス2の昇降に伴って、給電線4が移動するが、この移動は余長吸収装置3内のU字状に屈曲したフラットケーブルによって吸収される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の車体側に配置し、開閉ウインドウガラスに電線を接続し、開閉に伴う電線の余長を吸収する電線余長吸収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1に記載されているように、開閉可能なリアウインドガラスにヒータ線を取り付け、このヒータ線に給電をすることがある。ウインドウガラスの開閉に伴って、給電線が垂るむことになるので、そのための電線余長吸収装置を設けることがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−108750号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、自動車のウインドウガラスは平面ではなく、緩やかな曲面となっていることが多いため、余長吸収機構の形状を工夫しなければウインドウガラスの開閉の障害となり、空間を有効に利用できず、車体の厚みが大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題点を解消し、曲面を有す移動体に対応して曲面を有するケースを備え、ケース内のフラットケーブルをU字状に弯曲して配索することにより移動体に適応した電線余長吸収装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る電線余長吸収装置は、曲面を有し該曲面方向に沿って移動する移動体に電線を接続し、その移動時の前記電線の余長を吸収する電線余長吸収装置において、前記移動体の曲面に沿った曲面を有する細長のケースと、該ケースの曲面に沿って移動し前記電線を接続した摺動部と、前記摺動部と反対側の面に設けた固定部と、前記摺動部と固定部間を前記ケース内においてU字状に弯曲して結ぶフラットケーブルとを備え、前記電線は前記摺動部において前記フラットケーブルと一体又は接続したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は概略構成図であり、自動車のバックドア1に設けられ電熱線を布設した開閉ウインドウガラス2に適用した例を示している。この図1は曲面を有するウインドウガラス2が下降した状態を示し、バックドア1内にはウインドウガラス2の開閉方向に沿って余長吸収装置3が配置されている。この余長吸収装置3から給電線4を介してウインドウガラス2の移動体側コネクタ5に給電され、余長吸収装置3にはバックドア1内のドア側コネクタ6から給電線7が接続されている。また、図2はウインドウガラス2を上昇した状態を示している。
【0008】
図3は余長吸収装置3の斜視図、図4は余長吸収装置3のケース11の一部を取り外した状態の斜視図を示し、ケース11は金属又は合成樹脂から成り、電線の余長を吸収する機構を内蔵している。
【0009】
このケース11は断面矩形状の細長形状とされ、断面「コ」字状の2つ割りの部材11a、11bが、長手方向に沿った3個所においてボルト12により筐体状に組み立てられている。部材11a、11bの両側の合わせ面13a、13bは、共にウインドウガラス2の曲面と同様な曲率を有する曲面とされている。ケース11の合わせ面13aには、フラットケーブルから成る給電線7をケース11内に導入する箱形の固定部材14が固定されている。また、反対側の合わせ面13bにはケース11に沿って設けられたスリット15に沿って箱形の摺動部材16が摺動できるように取り付けられている。
【0010】
固定部材14を介してケース11に導入される給電線7は、ケース11の外部においては、例えば5枚の長尺のフラットケーブル17a〜17eが重ね合わされたものとされ、フラットケーブル17a〜17cとフラットケーブル17d、17eは、図4に示すように折曲によって方向変換されてケース11内においてそれぞれ反対方向に対称的に分けられ、それぞれU字状に弯曲されて全体としてループ形状に配索されている。
【0011】
これらのフラットケーブル17a〜17eは、このループ部を介して合わせ面13bの摺動部材16において再び集合して重ね合わされ、折曲による方向変換によって、重ね合わされたまま摺動部材16から外部に給電線4として導出され、可撓性を有する蛇腹状の保護管18を通って、渡り部としてガラスウインドウ2の移動体側コネクタ5に接続されている。なお、保護管18内において、必要に応じてフラットケーブル17a〜17eに金属ばね板材を沿わせることもできる。
【0012】
フラットケーブル17a〜17eは固定部材14、摺動部材16内において折曲されると共に、例えば固定部材14、摺動部材16内に設けられた図示しないピンを、フラットケーブル17a〜17eの絶縁シートに挿通することにより、固定部材14、摺動部材16に固定されている。
【0013】
ケース11内において、フラットケーブル17a〜17eは左右にループ状に展開することになるが、摺動部材16の左右の摺動に対応してケース11内で追従できるように、その両側には空間的な余裕が設けられている。ケース11内でのフラットケーブル17a〜17eのU字状の屈曲は、弾性限界を超えないような大き目の曲率半径が選択されている。
【0014】
更に、ケース11内のフラットケーブル17a〜17eの外側には、図5に示すように金属ばね板材19が沿わされており、フラットケーブル17a〜17eを保護すると共に、フラットケーブル17a〜17eに弾性力を与えている。そして、フラットケーブル17a〜17eは金属ばね板材19を含めて、外側のフラットケーブルほどその長さを大きくして、内側のフラットケーブルと摩擦等の干渉が少なくなるようにしている。
【0015】
なお、ケース11内の金属ばね板材19は、フラットケーブル17a〜17eがケース11の内面に摺動して損傷や絶縁不良を生ずることを防止する役割を果たしているが、フラットケーブル17a〜17eが可動しても損傷等の虞れがなく、かつ十分な弾性力を有していれば、この金属ばね板材19を省略することもできる。
【0016】
摺動部材16には、図6に示すように上下の中間部に幅細部16aが設けられており、この幅細部16aがケース11の合わせ面13bに沿ったスリット15に嵌合して摺動できるようにされている。ケース11の内部に位置する上部摺動部16bにおいて、図7に示すようにフラットケーブル17a〜17eは面を上下に向けていたループ形状のAの状態から、面を摺動方向と平行な前後方向に向けて折曲されたBの状態で、幅細部16a内を立ち下がって下部摺動部16cに至り、下部摺動部16c内において面を摺動方向に直交する左右方向に向けると共に、全体を水平方向に向けて折曲したCの状態で摺動部材16の出口16dから導出されている。
【0017】
実施の形態においては、ウインドウガラス2が開閉しても、バックドアに固定されたケース11は不動であるので、ウインドウガラス2の上昇に伴って移動体側コネクタ5が移動すると、保護管18を介して摺動部材16が、図4の一点鎖線で示すようにケース11のスリット15に沿って摺動することになる。このとき、ケース11内のフラットケーブル17a〜17eはループ形状を維持しながら、ケース11内を移動して摺動部16の上下移動に追従する。
【0018】
この場合に、保護管18に保護された渡り部である給電線4のフラットケーブル17a〜17eの長さを稍々長くして弾性的に弯曲できるようにしておけば、摺動部材16とウインドウガラス2の移動体側コネクタ5間に余裕を持たせることができ、この部分におけるフラットケーブル17a〜17eに過度の緊張を与えることがない。なお、保護管18内のフラットケーブル17a〜17eに前述したように金属ばね板材19を沿わせることにより、摺動部材16から外部への出口16dにおいて、摺動部材16が移動してもフラットケーブル17a〜17eは過度に屈曲することがなく、耐久性が向上する。
【0019】
このように実施の形態においては、複数枚のフラットケーブルをドア側コネクタ6から移動体側コネクタ5まで切れ目なく使用したが、フラットケーブルはケース11内でのみ使用し、ケース11の外部においては通常の電線を使用することもできる。また、フラットケーブルの重ね合わせ枚数には特に限定はなく、実施の形態のウインドウガラス2においては配線数も多くないので、フラットケーブル1枚のみをケース11内において片側にのみU字状に屈曲してもよい。ただ、ケース11内における左右のU字部においてフラットケーブルはほぼ同数であることが、応力を平衡させる意味で好ましい。
【0020】
また、フラットケーブルの繰り返しての屈曲は、所定の曲率半径以下にならない限り、十分な耐久性があることは、既に各種の電気機器において実証されている。
【0021】
なお実施の形態においては、合わせ面13a、13bを共に曲面としたが、ウインドウガラス2側の合わせ面13bのみを曲面とし、他の合わせ面13aは平面とするとしている。また、本発明を自動車のウインドウガラスに適用した場合を説明したが、これに限定されず、建造物などの移動体に対しても適用が可能であり、余長吸収装置3を移動体側に配置してもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る電線余長吸収装置は、ケースが曲面を有する移動体に合わせた曲面を有し、ケース内においてフラットケーブルをU字状に弯曲しているため、空間を有効に利用でき、またフラットケーブル同士の摩擦力が少なくなり操作力が少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウインドウガラスが下降した状態の概略構成図である。
【図2】ウインドウガラスを上昇した状態の構成図である。
【図3】実施の形態の斜視図である。
【図4】ケースの一部を取り外した状態の斜視図である。
【図5】ケース内のフラットケーブルの説明図である。
【図6】摺動部材の斜視図である。
【図7】摺動部材内におけるフラットケーブルの折曲状態の説明図である。
【符号の説明】
1 バックドア
2 ウインドウガラス
3 余長吸収装置
4、7 給電線
5 移動体側コネクタ
6 ドア側コネクタ
14 固定部材
15 スリット
16 摺動部材
17a〜17e フラットケーブル
18 保護管
19 金属ばね板材

Claims (4)

  1. 曲面を有し該曲面方向に沿って移動する移動体に電線を接続し、その移動時の前記電線の余長を吸収する電線余長吸収装置において、前記移動体の曲面に沿った曲面を有する細長のケースと、該ケースの曲面に沿って移動し前記電線を接続した摺動部と、前記摺動部と反対側の面に設けた固定部と、前記摺動部と固定部間を前記ケース内においてU字状に弯曲して結ぶフラットケーブルとを備え、前記電線は前記摺動部において前記フラットケーブルと一体又は接続したことを特徴とする電線余長吸収装置。
  2. 前記フラットケーブルは少なくとも2枚とし、前記ケース内において両側に分けてそれぞれU字状に弯曲してループ状に配索した請求項1に記載の電線余長吸収装置。
  3. 前記フラットケーブルは前記ケース内において積層した請求項1に記載の電線余長吸収装置。
  4. 前記フラットケーブルの外側に板ばねをU字状に弯曲して沿わせた請求項1に記載の電線余長吸収装置。
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