JP2005053251A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】リム組み性能を損ねることなく耐リム外れ性能を向上させる。
【解決手段】ビードコア5のタイヤ軸方向の内側面Sに、カーカス6のプライ本体部6aにより覆われ、かつ半径方向内端10eを前記内側面Sの内端Seに揃えた補強ゴム体10を設ける。補強ゴム体10は、ゴム硬度を80〜95゜、厚さT1を1.0〜3.0mm、しかも半径方向高さh1を内側面Sの高さh0の0.5倍以上とした。
【選択図】 図2
【解決手段】ビードコア5のタイヤ軸方向の内側面Sに、カーカス6のプライ本体部6aにより覆われ、かつ半径方向内端10eを前記内側面Sの内端Seに揃えた補強ゴム体10を設ける。補強ゴム体10は、ゴム硬度を80〜95゜、厚さT1を1.0〜3.0mm、しかも半径方向高さh1を内側面Sの高さh0の0.5倍以上とした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を向上した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に略示するように、空気入りタイヤのビード部aには、カーカスbの両端部を固定しかつリムrとの嵌合力を充分に確保するために、円環状の強固なビードコアcが設けられている。このビードコアcとしては、スチールなどの高強度のビードワイヤの1本を多列多段に巻回させた所謂シングルワインド構造、或いは複数本のビードワイヤを引き揃えたテープ状体を複数層に巻重ねた所謂テープビード構造のものが、一般に採用されている。
【0003】
他方、走行中のタイヤ変形の際、カーカスには引張力Aが繰り返して作用し、このときビードコアcには、ビードトウが浮き上がる向きの捻りモーメントMが作用する。従って、ビードコアの捻り剛性が低いと、例えば低圧走行時にタイヤがリムの内側に落ちてリムから外れやすくなるという問題が生じる。
【0004】
そのため、従来においては、ビードワイヤを太くしたり、又ビードワイヤの巻き数を増加させる等の手法によりビードコア自体を強化し、その捻じり剛性を高めることにより、捻り変形に伴うリム外れを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしかかる手法では、リムとの嵌合圧の大幅な増加を招き、リム組み性能を著しく阻害することになる。
【0006】
そこで本発明は、ビードコアの内側面とカーカスとの間に、所定の硬度及び厚さを有する硬質の補強ゴム体を設けることを基本として、リムとの嵌合圧の増加を抑えながら、ビード部の捻り変形を効果的に抑えることができ、リム組み性能と耐リム外れ性能との双方に優れた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−25213号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、該ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライからなるカーカスを具える空気入りタイヤであって、
前記ビードコアのタイヤ軸方向の内側面に、前記プライ本体部により覆われかつゴム硬度(デュロメータA硬さ)を80〜98゜、厚さT1を1.0〜3.0mm、しかも半径方向内端を前記内側面の半径方向内端に揃えたリム外れ防止用の補強ゴム体を設けるとともに、
前記補強ゴム体は、その半径方向高さh1を前記ビードコアの内側面高さh0の0.5倍以上であることを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアの内側面の半径方向外端以下の高さで途切れることを特徴としている。
【0010】
又請求項3の発明では、前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアから半径方向外方にのびるビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の外側面に沿って半径方向外方に延在し、かつ前記ビードコアの内側面の半径方向外端から前記内側面高さh0の0.8倍以下の高さで途切れることを特徴としている。
【0011】
なお本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、非リム組状態において、タイヤサイズで規定されるリム巾に合わせてビード部を保持したときに特定される値とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は本発明の空気入りタイヤが乗用車用タイヤである場合を示す断面図、図2はそのビード部を拡大して示す断面図である。
【0013】
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
【0014】
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35°の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから構成される。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように傾斜の向きを違えて重置され、これによってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。ベルトコードとしては、スチールコード、及びそれに匹敵するコード強力を有する例えば芳香族ポリアミド等の高モジュラス有機繊維コードが好適に採用できる。
【0015】
なお本例では、前記ベルト層7に対する拘束力を高めて高速耐久性能等を向上させる目的で、ベルト層7の外側にバンド層9を配した場合を例示している。このバンド層9は、タイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で螺旋巻きしたバンドコードを有し、少なくとも前記ベルト層7のタイヤ軸方向外端部を覆って延在する。
【0016】
次に、前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列する1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aからなり、カーカスコードとして、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの有機繊維コードが好適に採用される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
【0017】
又前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5から半径方向外方に向かって先細状にのびるビードエーペックスゴム8が設けられ、ビード部4からサイドウォール部3にかけて補強している。このビードエーペックスゴム8には、ゴム硬度H0(デュロメータA硬さ)が80〜98°の硬質のゴムが用いられる。
【0018】
又前記ビードコア5は、ビードワイヤを多段多列に巻回することによって形成される断面矩形状のリング状体であって、テープビード構造、及びシングルワインド構造の何れのものも採用できる。ビードワイヤとしては、例えば鋼線などのスチールの他、芳香族ポリアミド繊維などの種々のワイヤ素材が採用しうる。
【0019】
そして本発明では、図2に拡大して示すように、前記ビードコア5のタイヤ軸方向の内側面Sに、前記プライ本体部6aによって覆われる補強ゴム体10が形設される。
【0020】
この補強ゴム体10は、ゴム硬度H1(デュロメータA硬さ)が80〜98゜、かつ厚さT1が1.0〜3.0mmの硬質のシート状をなし、その半径方向内端10eを、前記内側面Sの半径方向内端Seに揃えて形成される。
【0021】
又補強ゴム体10の半径方向高さh1は、少なくとも前記ビードコア5の内側面Sの高さh0(内側面高さh0という)の0.5倍以上であり、本例では、補強ゴム体10が前記内側面Sを越え、前記ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の内側面に沿って半径方向外方に延在する、即ちh1>h0の場合を例示している。
【0022】
ここで、ビードコア5に、ビードトウが浮き上がる向きの捻りモーメントが作用した際、ビードコア5の中心(断面中心)を通る半径方向線よりもタイヤ軸方向内側は、タイヤ周方向に引張り力を受ける引張り領域となる。特に、前記内側面Sに沿う領域では、大きい引張り力が作用する。従って、引張りに対する抗力に優れる硬質の補強ゴム体10を、前記内側面Sに沿って配することにより、前記捻りモーメントに基づくビード部4の捻り変形を効果的に抑えることができ、耐リム外れ性能を大巾に向上させることが可能となる。
【0023】
さらに補強ゴム体10は、その内端10eが前記内側面Sの内端Seと整一することにより、ビードコア5の巾を実質的に増大させるのと同様の効果、即ち捻り変形を抑制する効果を奏することが可能となり、耐リム外れ性能のさらなる向上が達成される。
【0024】
他方、補強ゴム体10は、ビードワイヤに比して圧縮に対する抗力が十分に低い。そのため、ビードワイヤの巻き数を増加させる場合のような、リムとの嵌合力の著しい上昇をもたらすことがなく、従って、リム組み性能の低下を低く抑えることが可能となる。
【0025】
なお補強ゴム体10の前記ゴム硬度H1が80゜未満、前記厚さT1が1.0mm未満、及び高さh1が前記内側面高さh0の0.5倍未満では、捻りモーメントに対向する抗力が過小となるなど耐リム外れ性能の向上効果を充分に発揮することができなくなる。又前記ゴム硬度H1が98°より大、及び前記厚さT1が3.0mmより大のときには、リムとの嵌合力が不必要に上昇し、リム組み性能の低下を招く。かかる観点から、前記ゴム硬度H1は、好ましくは、前記ビードエーペックスゴム8のゴム硬度H0より大、さらには90〜95°の範囲とするのが望ましく、又厚さT1は、好ましくは、1.5〜2.5mmの範囲が望ましい。
【0026】
又補強ゴム体10の前記高さh1が高過ぎる場合には、前記耐リム外れ性能の向上効果が頭打ちとなる他、重量増加、ビード耐久性の低下、乗心地性悪化等の不利を招く。従って、補強ゴム体10は、前記高さh1を前記内側面高さh0の1.8倍以下、即ちビードコア5の内側面Sの半径方向外端からの突出高さを、前記内側面高さh0の0.8倍以下として終端させることが好ましい。
【0027】
なお補強ゴム体10は、図3に示すように、前記高さh1を前記内側面高さh0の1.0倍以下、即ち前記内側面Sの外端以下の高さで終端させることも好ましい。
【0028】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0029】
【実施例】
図1の構造をなすタイヤサイズが215/45R17のタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの、耐リム外れ性能、及びリム組み性能をテストし比較した。なお表1の仕様以外は同一仕様とした。
【0030】
【表1】
【0031】
(1)耐リム外れ性能;
・リム外れ抗力
JISD4230の5.2項に規定されるビードアンシーティング試験に準拠し、標準リムに潤滑剤なしでリム組みした後、内圧を抜き、タイヤのビード部に横力を加えてビード部がリム外れが生じたときの横力の値を測定した。
・実車リム外れ
供試タイヤを低内圧状態(50kPa)でテスト車両に装着し、進入速度40km/Hで半径25mのUターンを10回繰り返して行い、リム外れの有無で判定した。リム外れのないものが合格、有るものは不合格。
【0032】
(2)リム組み性能;
供試タイヤをタイヤレバーを用いて正規リムに手組みし、そのときの装着容易性に関して作業者の官能評価により、○(良好)、△(少し難がある)、×(困難)の三段階で評価した。
【0033】
表の如く実施例のタイヤは、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を向上しうるのが確認できた。
【0034】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、ビードコアの内側面とカーカスとの間に、所定の硬度及び厚さを有する硬質の補強ゴム体を設けているため、リムとの嵌合圧の増加を抑えながら、ビード部の捻り変形を効果的に抑えることができ、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を大巾に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を説明するビード部の断面図である。
【図4】従来技術を説明する断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b プライ折返し部
8 ビードエーペックスゴム
10 補強ゴム体
S ビードコアの内側面
【発明の属する技術分野】
本発明は、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を向上した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に略示するように、空気入りタイヤのビード部aには、カーカスbの両端部を固定しかつリムrとの嵌合力を充分に確保するために、円環状の強固なビードコアcが設けられている。このビードコアcとしては、スチールなどの高強度のビードワイヤの1本を多列多段に巻回させた所謂シングルワインド構造、或いは複数本のビードワイヤを引き揃えたテープ状体を複数層に巻重ねた所謂テープビード構造のものが、一般に採用されている。
【0003】
他方、走行中のタイヤ変形の際、カーカスには引張力Aが繰り返して作用し、このときビードコアcには、ビードトウが浮き上がる向きの捻りモーメントMが作用する。従って、ビードコアの捻り剛性が低いと、例えば低圧走行時にタイヤがリムの内側に落ちてリムから外れやすくなるという問題が生じる。
【0004】
そのため、従来においては、ビードワイヤを太くしたり、又ビードワイヤの巻き数を増加させる等の手法によりビードコア自体を強化し、その捻じり剛性を高めることにより、捻り変形に伴うリム外れを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしかかる手法では、リムとの嵌合圧の大幅な増加を招き、リム組み性能を著しく阻害することになる。
【0006】
そこで本発明は、ビードコアの内側面とカーカスとの間に、所定の硬度及び厚さを有する硬質の補強ゴム体を設けることを基本として、リムとの嵌合圧の増加を抑えながら、ビード部の捻り変形を効果的に抑えることができ、リム組み性能と耐リム外れ性能との双方に優れた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−25213号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、該ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライからなるカーカスを具える空気入りタイヤであって、
前記ビードコアのタイヤ軸方向の内側面に、前記プライ本体部により覆われかつゴム硬度(デュロメータA硬さ)を80〜98゜、厚さT1を1.0〜3.0mm、しかも半径方向内端を前記内側面の半径方向内端に揃えたリム外れ防止用の補強ゴム体を設けるとともに、
前記補強ゴム体は、その半径方向高さh1を前記ビードコアの内側面高さh0の0.5倍以上であることを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアの内側面の半径方向外端以下の高さで途切れることを特徴としている。
【0010】
又請求項3の発明では、前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアから半径方向外方にのびるビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の外側面に沿って半径方向外方に延在し、かつ前記ビードコアの内側面の半径方向外端から前記内側面高さh0の0.8倍以下の高さで途切れることを特徴としている。
【0011】
なお本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、非リム組状態において、タイヤサイズで規定されるリム巾に合わせてビード部を保持したときに特定される値とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は本発明の空気入りタイヤが乗用車用タイヤである場合を示す断面図、図2はそのビード部を拡大して示す断面図である。
【0013】
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
【0014】
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35°の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから構成される。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように傾斜の向きを違えて重置され、これによってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。ベルトコードとしては、スチールコード、及びそれに匹敵するコード強力を有する例えば芳香族ポリアミド等の高モジュラス有機繊維コードが好適に採用できる。
【0015】
なお本例では、前記ベルト層7に対する拘束力を高めて高速耐久性能等を向上させる目的で、ベルト層7の外側にバンド層9を配した場合を例示している。このバンド層9は、タイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で螺旋巻きしたバンドコードを有し、少なくとも前記ベルト層7のタイヤ軸方向外端部を覆って延在する。
【0016】
次に、前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列する1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aからなり、カーカスコードとして、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの有機繊維コードが好適に採用される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
【0017】
又前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5から半径方向外方に向かって先細状にのびるビードエーペックスゴム8が設けられ、ビード部4からサイドウォール部3にかけて補強している。このビードエーペックスゴム8には、ゴム硬度H0(デュロメータA硬さ)が80〜98°の硬質のゴムが用いられる。
【0018】
又前記ビードコア5は、ビードワイヤを多段多列に巻回することによって形成される断面矩形状のリング状体であって、テープビード構造、及びシングルワインド構造の何れのものも採用できる。ビードワイヤとしては、例えば鋼線などのスチールの他、芳香族ポリアミド繊維などの種々のワイヤ素材が採用しうる。
【0019】
そして本発明では、図2に拡大して示すように、前記ビードコア5のタイヤ軸方向の内側面Sに、前記プライ本体部6aによって覆われる補強ゴム体10が形設される。
【0020】
この補強ゴム体10は、ゴム硬度H1(デュロメータA硬さ)が80〜98゜、かつ厚さT1が1.0〜3.0mmの硬質のシート状をなし、その半径方向内端10eを、前記内側面Sの半径方向内端Seに揃えて形成される。
【0021】
又補強ゴム体10の半径方向高さh1は、少なくとも前記ビードコア5の内側面Sの高さh0(内側面高さh0という)の0.5倍以上であり、本例では、補強ゴム体10が前記内側面Sを越え、前記ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の内側面に沿って半径方向外方に延在する、即ちh1>h0の場合を例示している。
【0022】
ここで、ビードコア5に、ビードトウが浮き上がる向きの捻りモーメントが作用した際、ビードコア5の中心(断面中心)を通る半径方向線よりもタイヤ軸方向内側は、タイヤ周方向に引張り力を受ける引張り領域となる。特に、前記内側面Sに沿う領域では、大きい引張り力が作用する。従って、引張りに対する抗力に優れる硬質の補強ゴム体10を、前記内側面Sに沿って配することにより、前記捻りモーメントに基づくビード部4の捻り変形を効果的に抑えることができ、耐リム外れ性能を大巾に向上させることが可能となる。
【0023】
さらに補強ゴム体10は、その内端10eが前記内側面Sの内端Seと整一することにより、ビードコア5の巾を実質的に増大させるのと同様の効果、即ち捻り変形を抑制する効果を奏することが可能となり、耐リム外れ性能のさらなる向上が達成される。
【0024】
他方、補強ゴム体10は、ビードワイヤに比して圧縮に対する抗力が十分に低い。そのため、ビードワイヤの巻き数を増加させる場合のような、リムとの嵌合力の著しい上昇をもたらすことがなく、従って、リム組み性能の低下を低く抑えることが可能となる。
【0025】
なお補強ゴム体10の前記ゴム硬度H1が80゜未満、前記厚さT1が1.0mm未満、及び高さh1が前記内側面高さh0の0.5倍未満では、捻りモーメントに対向する抗力が過小となるなど耐リム外れ性能の向上効果を充分に発揮することができなくなる。又前記ゴム硬度H1が98°より大、及び前記厚さT1が3.0mmより大のときには、リムとの嵌合力が不必要に上昇し、リム組み性能の低下を招く。かかる観点から、前記ゴム硬度H1は、好ましくは、前記ビードエーペックスゴム8のゴム硬度H0より大、さらには90〜95°の範囲とするのが望ましく、又厚さT1は、好ましくは、1.5〜2.5mmの範囲が望ましい。
【0026】
又補強ゴム体10の前記高さh1が高過ぎる場合には、前記耐リム外れ性能の向上効果が頭打ちとなる他、重量増加、ビード耐久性の低下、乗心地性悪化等の不利を招く。従って、補強ゴム体10は、前記高さh1を前記内側面高さh0の1.8倍以下、即ちビードコア5の内側面Sの半径方向外端からの突出高さを、前記内側面高さh0の0.8倍以下として終端させることが好ましい。
【0027】
なお補強ゴム体10は、図3に示すように、前記高さh1を前記内側面高さh0の1.0倍以下、即ち前記内側面Sの外端以下の高さで終端させることも好ましい。
【0028】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0029】
【実施例】
図1の構造をなすタイヤサイズが215/45R17のタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの、耐リム外れ性能、及びリム組み性能をテストし比較した。なお表1の仕様以外は同一仕様とした。
【0030】
【表1】
【0031】
(1)耐リム外れ性能;
・リム外れ抗力
JISD4230の5.2項に規定されるビードアンシーティング試験に準拠し、標準リムに潤滑剤なしでリム組みした後、内圧を抜き、タイヤのビード部に横力を加えてビード部がリム外れが生じたときの横力の値を測定した。
・実車リム外れ
供試タイヤを低内圧状態(50kPa)でテスト車両に装着し、進入速度40km/Hで半径25mのUターンを10回繰り返して行い、リム外れの有無で判定した。リム外れのないものが合格、有るものは不合格。
【0032】
(2)リム組み性能;
供試タイヤをタイヤレバーを用いて正規リムに手組みし、そのときの装着容易性に関して作業者の官能評価により、○(良好)、△(少し難がある)、×(困難)の三段階で評価した。
【0033】
表の如く実施例のタイヤは、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を向上しうるのが確認できた。
【0034】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、ビードコアの内側面とカーカスとの間に、所定の硬度及び厚さを有する硬質の補強ゴム体を設けているため、リムとの嵌合圧の増加を抑えながら、ビード部の捻り変形を効果的に抑えることができ、リム組み性能を損ねることなく、耐リム外れ性能を大巾に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】そのビード部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を説明するビード部の断面図である。
【図4】従来技術を説明する断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b プライ折返し部
8 ビードエーペックスゴム
10 補強ゴム体
S ビードコアの内側面
Claims (3)
- トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、該ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライからなるカーカスを具える空気入りタイヤであって、
前記ビードコアのタイヤ軸方向の内側面に、前記プライ本体部により覆われかつゴム硬度(デュロメータA硬さ)を80〜98゜、厚さT1を1.0〜3.0mm、しかも半径方向内端を前記内側面の半径方向内端に揃えたリム外れ防止用の補強ゴム体を設けるとともに、
前記補強ゴム体は、その半径方向高さh1を前記ビードコアの内側面高さh0の0.5倍以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアの内側面の半径方向外端以下の高さで途切れることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強ゴム体は、その半径方向外端部が、前記ビードコアから半径方向外方にのびるビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の外側面に沿って半径方向外方に延在し、かつ前記ビードコアの内側面の半径方向外端から前記内側面高さh0の0.8倍以下の高さで途切れることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003205452A JP2005053251A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003205452A JP2005053251A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7578328B2 (en) * | 2005-05-09 | 2009-08-25 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Heavy duty tire |
JP2010105625A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ |
JP2015209141A (ja) * | 2014-04-28 | 2015-11-24 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ組立体 |
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-
2003
- 2003-08-01 JP JP2003205452A patent/JP2005053251A/ja active Pending
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US7578328B2 (en) * | 2005-05-09 | 2009-08-25 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Heavy duty tire |
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