JP2005052107A - 水田作業機の昇降制御装置 - Google Patents

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Takashi Suzuki
隆 鈴木
Satoru Kato
哲 加藤
Masashi Ito
政志 伊藤
Hitoshi Okumura
仁 奥村
Hideyuki Kusamoto
英之 草本
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Abstract

【課題】水田作業機の昇降制御の精度向上。
【解決手段】走行車体2にはリンク装置3により対地作業手段4を昇降自在に支持し、この対地作業手段4には左右方向の軸58回りに揺動するようにセンターフロート52及び左・右サイドフロート53,53を左右方向に並列して設ける。このセンターフロート52をセンサフロートとしてセンターフロート52の揺動により対地高さを検出して、対地作業手段4を昇降制御するように構成し、左・右サイドフロート53,53が水田面に接しながら上下に揺動し、所定値以上前下がり、あるいは、前上りに揺動したときには、対地作業手段4における上昇側の制御感度を敏感側あるいは鈍感側に補正するように構成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、乗用田植機などの水田作業機の対地作業手段の昇降制御装置に関するものである。
水平面に対する機体の前後の傾斜角度を検出する前後傾斜センサを備えて、前後傾斜センサが前下がり姿勢を検出すると、昇降制御手段における制御感度を自動的に鈍感側に変更するものは公知である(例えば、特許文献1)。
対地作業装置の昇降制御装置において、圃場面の泥硬さに対応して圃場面の沈む込み量が変化する泥面フロートの上下変位量に基づいて、感知フロートの目標姿勢を設定する対地作業装置の昇降制御装置は公知である(例えば、特許文献2)。
特開平8−228533号公報 特開平11−89350号公報
特許文献1の技術は、前後傾斜センサにより走行車体の前下がり姿勢を検出すると、対地作業装置の昇降制御手段における制御感度を自動的に鈍感側に変更するものであり、水田内での対地作業装置の昇降のハンチングを防止できるが、畦際で水田から脱出しながら対地作業をする場合等、機体が前上がり姿勢で作業をする場合には、対地作業装置の適正な昇降制御ができないという不具合がある。
また、特許文献2の技術は、泥面フロートの圃場面に対する沈み込み量により圃場面の硬軟を判断し昇降制御の制御感度を補正するものであり、泥面フロートと感知フロートとの沈み込み量が相違し、対地作業装置の対地作業深さが異なる等の不具合が発生する。そして、この技術は、あくまで泥面フロ−トで圃場の硬軟を判断するもので、フロ−トで機体の前後傾斜は判断できなかった。
そこで、この発明は対地作業装置に設けられている複数のフロートを有効に活用しながら、複数のフロートの一部を利用してフロートの底面が水田面に接触しながら走行して水田作業装置の水田面に対する前後傾斜を検出し、昇降制御装置の上昇側制御感度を敏感側あるいは鈍感側に補正することにより、このような不具合を解消しようとするものである。
前記問題点を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、走行車体には対地作業手段を昇降自在に設け、前記対地作業手段には左右方向の軸回りに揺動する複数のフロートを左右に並列して設け、前記複数のフロートのうちの一部を該フロートの揺動により対地高さを検出するセンサフロートとして、センサフロートの検出値に基づいて前記対地作業手段が地表面から設定高さに維持されるように昇降制御をし、複数のフロートのうち前記センサフロート以外のフロートを前後傾斜検出フロートとして、前後傾斜検出フロートの揺動に基づき該フロートが所定値以上前下がりあるいは前上りのときには、対地作業手段の上昇側制御感度を敏感側あるいは鈍感側に補正する制御補正手段を設けたことを特徴とする。
前記構成によると、対地作業手段に左右に並列配置されている複数個のフロートは左右方向の軸回りに揺動し、複数のフロートのうちの一部のフロートをセンサフロートとしてセンサフロートの揺動により対地高さを検出し、センサフロートの検出値に基づいて対地作業手段が地表面から所定高さに維持されるように昇降制御がなされる。また、複数のフロートのうちセンサフロート以外のフロートを前後傾斜検出フロートとして、前後傾斜検出フロートの揺動により該フロートが所定値以上前下がりあるいは前上りのときには、対
地作業手段の上昇側制御感度が敏感側あるいは鈍感側に補正され、この補正値に基づき対地作業手段の昇降制御がなされる。
請求項1の発明は、複数のフロートのうちの一部をセンサフロートとして対地作業手段の昇降制御をし、複数のフロートのうちセンサフロート以外のフロートを前後傾斜検出フロートとして、前後傾斜検出フロートの揺動により該フロートが所定値以上前下がりあるいは前上りのときには、対地作業手段の上昇側制御感度が敏感側あるいは鈍感側に補正されるので、複数のフロートを有効活用しながら対地作業手段の圃場面に対する前後傾斜の判断を正確にし、畦際から水田に入りながらの対地作業あるいは水田から畦際に出ながらの対地作業を精度を高めながら昇降制御を行なうことができる。
以下、図面に示すこの発明の実施例の形態について説明する。
図1〜図3により田植機1の全体構成について説明する。田植機1は、走行車体2の後部に設けたリンク装置3に例えば6条植えの植付部4が装着されていて、全体で乗用田植機を構成している。
走行車体2は、前後に長い平面視方形状のフレーム6を備え、このフレーム6の中間部後側寄りにエンジン10が、その前方にミッションケース11が夫れ夫れ配設されている。また、ミッションケース11の後部上面に油圧ポンプ12が一体的に組み付けられ、そのミッションケース11の前部からステアリングポスト13が上方に向けて延出されている。そして、ミッションケース11の左右側方に前輪支持ケース14,14が変向可能に取り付けられていて、その下端部に前輪15,15が軸支されている。
また、フレーム6の後端部に突出支持したローリング軸16にローリング杆17がローリング自在に支持され、そのローリング杆17の左右両端部に取り付けた後輪支持ケース18,18に後輪19,19が軸支されている。そして、これらフレーム6等の上側に操縦用のステップとなるカバー20が取り付けられ、エンジン10の上側に操縦席21が設置されている。
エンジン10の出力軸に取り出されたエンジン出力は、ベルト23を介して油圧ポンプ12の駆動軸に伝えられ、更に油圧ポンプ12の駆動軸からベルト24を介してミッション入力軸11aに伝えられる。ベルト24が巻き掛けられているプーリ25,26は溝幅を調節可能に構成されていて、該溝幅を調節してプーリ25,26の有効径を変えることにより、伝動比率を連続的に変化させることができる。しかして、油圧ポンプ12の駆動軸からミッション入力軸11aへの伝動部がベルト無段変速式の副変速装置に構成されている。ミッション入力軸11aからミッションケース11への入力部に主クラッチ(図示省略)が設けられていて、ミッションケース11内には、主変速装置、株間変速装置、後輪デフ装置、前輪デフ装置、後輪ブレーキ装置等が収納されている。
ミッションケース11から前輪駆動出力、後輪駆動出力及び作業出力が取り出され、前輪駆動出力は前輪支持ケース14,14に伝えられ、後輪駆動出力は後輪伝動軸28,28を介して後輪支持ケース18,18に伝えられ、また、作業出力は植付部伝動軸29を介してエンジン10の斜め後方に設けた植付クラッチケース30に伝えられる。植付クラッチケース30からPTO軸32が後側に向けて突出している。
リンク装置3は、フレーム6の後端部に立設したリンクベース枠34に1本の上リンク35と2本の下リンク36,36が回動自在に支持され、これら上・下リンク35,36,36の後端部に連結枠37が取り付けられている。連結枠37から後方に突設したローリング軸38に植付部4がローリング可能に装着される。リンク装置3の駆動手段である昇降シリンダ39は、基部がフレーム6に枢支され、ピストンロッドの先端が上リンク35の基部に設けたスイングアーム(図示省略)の下端部に連結されている。昇降シリンダ39を伸縮させると、連結枠37が略一定姿勢を保持しながら上下動され、これに連結されている植付部4が昇降される。
植付部4は、前記PTO軸32を介して走行車体2から動力の伝動される伝動ケース40と、伝動ケース40の両側面部に突設した伝動パイプ41,…と、伝動ケース40の中央部及び伝動パイプ41,41の両端部から後方に延設した3個のチエンケース42,…とで植付部フレームが構成され、各チエンケース42,…の後端部両側に1組づつ合計6組の植付装置43,…が設けられている。
植付装置43,43の上側には、前側が上位となるように傾斜した苗載せ台44が支持枠45とレール46により左右に滑動自在に支持されている。苗載せ台44の上面は植付条数分(この実施例では6)の苗載せ部44a,…に仕切られており、各苗載せ部44a,…毎に苗を下方に送るベルト式の苗送り装置47,…が設けられている。また、苗載せ台44の下端部には、植付装置43,…に対応する苗取出口48,…の形成された受け板49が支持枠45と一体に設けられている。また、各条の苗載せ部44a,…には、該苗載せ部44a,…の苗残量が所定量以下になったことを検出する苗減少センサ110,…がそれぞれ設けられている。
植付装置43は、植付装置取付軸49を中心として回転するロータリケース50、該ロータリケース50に取り付けた一対の植付杆51,51を備え、ロータリケース50が所定の方向に回転することにより、植付杆51,51が所定の軌跡を描きながら上下動し、苗取出口48に供給された苗を挟持して圃場に植え付けるように構成されている。
植付部4の下側には、中央にセンターフロート52と、左右両側に一対のサイドフロート53,53が設けられている。各フロート52,53,53の両側部に苗移植用の溝を成形する作溝部が設けられている。各フロート52,53,53は、チエンケース42,…に取り付けたフロート支持アーム54,…の下端部にその前端部が上下動自在に枢支されている。
支持フレーム部55の下部に回動自在に支持された左右に長いフロート支持軸56に左右一対づつのフロート支持アーム54、…が一体に取り付けられていて、その左右一対のフロート支持アーム54,…の後端部に、左右方向の枢支軸58,…を介して各フロート52,53,53の後部上面に固着した取付脚59,…が回動自在に連結されている。フロート支持軸56に取り付けられている植付深さ調節レバー60を操作してフロート支持軸56を回動させると、各フロートの上下位置が変わり、苗の植付深さが変更される。植付深さ調節レバー60を複数段階の任意位置に固定するレバーガイド61が苗載せ台フレームに取り付けられている。
センターフロート52の水平面に対する角度(フロート向い角)が対地高さ検出機構62を介してセンターフロート向い角センサ63に検出され、その検出結果に基づいて前記昇降シリンダ39制御用の昇降制御弁64が駆動される。しかして、圃場面が高くなってセンターフロート52の前端部が上動すると、昇降シリンダ39が伸びる方向に昇降制御弁64が駆動される。例えば、表土面が高くなっているところでは、センターフロート52の前側部が押し上げられ、フロート向い角ガイド小さく検出される。すると、昇降シリンダ39を突出作動させるように昇降制御弁64に指令を出し、苗植付部4を上昇させる。また、表土面が低くなっているところでは、センターフロート52の前側部が下がるので、向い角が大きく検出される。すると、昇降シリンダ39を短縮作動させるように昇降制御弁64に指令を出し、苗植付部4を下降させる。このように、圃場表土面の高低に応じて苗植付部4の対地高さを制御することにより、苗の植付深さを一定に維持する。
前記対地高さ検出機構62は図6に示すように構成されている。即ち、伝動ケース40のフレーム41aに上・下平行リンク62a,62bの後端部がピンにより上下回動自在に枢支され、その上・下平行リンク62a,62bの先端部に縦リンク62cが枢支連結され、平行リンク機構を構成している。そして、上平行リンク62aの前端部に天秤アーム62dが回動自在に取り付けられ、この天秤アーム62dの後端部とセンターフロート52の前側部上面とが連結リンク62eにより連結されている。植付深さ調節レバー60の後端部に連結された連結ロッド62fの前端部が上平行リンク62aの基部に一体に設けたアーム62gに連結されている。植付深さ調節レバー60の回動操作に連動して上・下平行リンク62a,62bが上下回動し植付深さを変えると、フロート取り付け高さの変化分に相当するだけ天秤アーム62dの支点位置が変動する。
天秤アーム62dの前端部には、フロートを圃場の泥面に設置させた状態においてセン
ターフロート52の前側部を下向きに付勢するスプリング65が連結されている。このスプリング65の張力を接地圧調節ワイヤ66によって調節することにより、センターフロート52の前側部の接地圧が変えられる。
縦リンク62cの上端部にはセンターフロート向い角センサ63が取り付けられ、その検出アーム63aがロッド67を介して天秤アーム62dの前側部に連結されている。これにより、センターフロート52の向い角がセンターフロート向い角センサ63により検出される。
次に、図7〜図11に基づき苗植付部4の昇降制御装置の向い角補正装置について説明する。
制御部69の入力側には、入力インターフェイスを介して、センターフロート52の向い角を検出するセンターフロート向い角センサ63、左サイドフロート53の向い角を検出する左サイドフロート向い角センサ70、右サイドフロート53の向い角を検出する右サイドフロート向い角センサ71、植付昇降レバー72の操作位置を検出する植付昇降レバーセンサ73、副変速レバー(図示省略)の変速位置を検出する副変速レバーセンサ74、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサ75、左・右サイドフロート53,53の後端位置の上昇を検出するサイドフロート後端上昇検出センサ76が接続されており、制御部69の出力側には昇降シリンダ39を作動する昇降制御弁の作動用モータ77が接続されている。
前記実施例と同様に左右に長いフロート支持軸56に取り付けられているフロート支持アーム54、…の後端部に、左右方向の枢支軸58,…によりセンターフロート52、左・右サイドフロート53,53を支持している。
次に、図8及び図9に基づき左・右サイドフロート53,53の向い角センサ検出構成について説明する。伝動ケース40のフレーム41aに軸支されている左右に長いフロート支持軸56には、左右一対づつのフロート支持アーム54、…が一体的に取り付けられていて、そのフロート支持アーム54,…の後端部に、左右方向の枢支軸58,…を介して左・右サイドフロート53,53の後部上面の取付脚59,…が回動自在に支持されている。
また、枢支軸58には後リンク78の下端部が軸支されていて、フロート支持アーム54の中途部にはピン79により前リンク80の下端部が軸支されていて、前・後リンク80,78の上端部に上平行リンク81がピンにより枢支連結されていている。しかして、前・後リンク80,78、上平行リンク81及びフロート支持アーム54により、平行リンク機構が構成されている。
後リンク78に前方へ突出するように設けられている支持部78aには、左・右サイドフロート向い角センサ70,71を取り付け、前リンク80の下端部を枢支しているピン79により天秤アーム82の中間部が軸支され、天秤アーム82の前端部と左・右サイドフロート53,53の前側上面に構成した取付片53a,53aとの間を連結リンク83によりピン連結し、天秤アーム82の後端部を左・右サイドフロート向い角センサ70,71に連係している。これにより、左・右サイドフロート53,53のフロート向い角が左・右サイドフロート向い角センサ70,71により検出される。
次に、図11及び図12のフローに基づき制御内容を説明する。
本制御が開始されると、各センサ63,70,71,73,74,75の検出値が読み込まれ(ステップS1)、次いで、エンジン10がOFFであったか否かにより植付作業の開始状態の判断がなされる(ステップS2)。エンジン始動直後の植付作業開始前(D=0)と判断される(ステップS3)と、植付作業開始時の予備データの平均値が演算され(ステップS4)、次いで、植付作業開始時の設定値を演算した平均値に置換する(ステップS5)。
また、エンジン等がOFFでない場合には、次いで、植付昇降レバーセンサ73が「下げ状態」あるいは「植付状態」にあるか否かの判定がなされ(ステップS6)、「下げ状態」あるいは「植付状態」でない場合には、畦際旋回時で植付作業開始前(C=0)と判定する(ステップS7)。また、「下げ状態」あるいは「植付状態」にある場合には、次
いで、センターフロート向い角センサ63が接地状態であるか否かの判定をし(ステップS8)、接地状態でない場合には非植付作業状態と判断してフローのスタート位置に復帰し、また、接地状態である場合には、エンジン始動直後の植付作業開始状態(D=0)であるか否かの判定をする(ステップS9)。
しかして、植付作業開始状態(D=0)でない場合には、次いで、畦際旋回が終了した直後の植付開始状態か否か(C≧5)の判定がなされる(ステップS10)。そして、旋回直後ではない植付作業状態(C≧5)である場合には、左・右サイドフロート向い角センサ70,71の平均値を演算し(ステップS11)、演算した左・右サイドフロート向い角センサ70,71の平均値に補正値を置換する(ステップS12)。
次いで、補正値が所定範囲内か否かの判定をし(ステップS13)、補正値が所定値より前上りの場合には昇降制御感度を鈍感側に補正し(ステップS14)、また、補正値が所定値より前下がりの場合には昇降制御感度を敏感側に補正する(ステップS15)。
尚、センターフロート向い角センサ63の制御目標値を、フロ−トが前上がり姿勢となる側に設定すると昇降制御感度が鈍感になり、フロ−トが前下がり姿勢となる側に設定すると昇降制御感度が敏感になる。これに代えて、苗植付部4の昇降作動速度を変更して昇降制御感度を変更する構成としてもよい。
そして、補正値が所定範囲内の場合には、畦際旋回直後の植付作業開始状態を判定する識別子に1を加えてカウントし(ステップS16)、左・右サイドフロート向い角センサ70,71の平均値をエンジン始動直後の植付作業開始予備データに置換する(ステップS17)。次いで、畦際旋回が終了した直後の植付開始状態か否か(C≧5)の判定をし(ステップS18)、畦際旋回が終了した直後の植付開始時である場合には、左・右サイドフロート向い角センサ70,71の平均値を植付開始予備データに置換する(ステップS19)。次いで、畦際旋回が終了した直後の植付作業が完了したところ(C=5)がどうかの判定をし(ステップS20)、畦際旋回が終了した直後の植付作業が完了したところである場合には、植付開始予備データの平均値を演算し(ステップS21)、植付開始設定値を演算した平均値に置換する(ステップS22)。
エンジン始動直後の植付作業開始状態(D=0)であるか否かの判定をし(ステップS9)、作業開始時と判定した場合には、次いで、畦際旋回等が終了した直後の植付1行程における植付開始状態(C≧5)か否かの判定がなされ(ステップS23)、畦際旋回が終了した直後の植付開始時でない場合には、識別子Dを「1」としてステップS11に移行し、また、畦際旋回等が終了した直後の植付1行程における植付開始時である場合には、作業開始時の設定値に補正値を置換し(ステップS24)、次いで、ステップS13に移行する。
前記のように、センターフロート52以外の左・右サイドフロート53,53の上下揺動により圃場面に対する機体の前後傾斜を判断するので、圃場面に対する前後傾斜の判断が正確となり、畦際から水田に入りながらの植付作業、あるいは、水田から畦際に出ながらの植付作業における苗植付部4の昇降制御を適正に行なうことができる。
センターフロート52以外の左・右サイドフロート53,53の揺動により圃場面に対する機体の前後傾斜を判断し昇降制御の感度を補正するので、機体に格別に前後傾斜センサを設ける必要もなく、苗植付部4の昇降制御を適正に維持することができる。また、左右に並列したセンターフロート52以外の左・右サイドフロート53,53の揺動により圃場面に対する機体の前後傾斜を判断するので圃場面に対する前後傾斜の判断を正確なものとすることができる。
なお、補正値が所定値より前上りの場合には昇降制御感度を鈍感側に補正し(ステップS14)、補正値が所定値より前下がりの場合には昇降制御感度を敏感側に補正する(ステップS15)にあたり、左・右サイドフロート向い角センサ70,71の何れか一方の高い検出向い角に基づき補正するように構成してもよい。
また、苗植付部4の昇降制御をするにあたり、センターフロート向い角センサ63の検出速度が速くなると、昇降制御弁作動用モータ77の作動速度を比例的に速くして昇降制御弁64を作動するように構成してもよい。このように構成することにより、センターフ
ロート向い角センサ63の検出速度に合わせて、昇降制御弁64の作動速度を速くすることにより、昇降制御の精度を向上させることができる。
また、苗植付部4の昇降制御をするにあたり、主変速レバー(図示省略)の変速位置を主変速レバーセンサ84により検出して車体の走行速度を検出し、走行速度の速さに比例して昇降制御弁作動用モータ77の作動速度を速くし昇降制御弁64を作動するように構成してもよい。このように構成することにより、車体の走行速度に応じて苗植付部4の昇降速度を変えることができて、昇降制御の精度を向上させることができる。
次に、図7及び図12に基づき苗植付部4の昇降制御の他の実施例について説明する。
左・右サイドフロート53,53の後端部上方のフレーム部85には、図12に示すようにサイドフロート後端上昇検出センサ76が設けられている。植付深さ調節レバー60を操作しフロート支持軸56を回動させて、各フロート52,53,53を上方に調節する。しかして、所定値以上上昇した左・右サイドフロート53,53の後端部がサイドフロート後端上昇検出センサ76に当接すると、植付作業終了と判定する。しかして、制御部69から苗植付部上昇指令が出され、昇降制御弁64の作動用モータ77が作動し、昇降シリンダ39が伸長し苗植付部4が上昇する制御がなされる。従って、水田から畦を越えて出ながら植付作業をするとき、機体が所定の前上がり姿勢になったことをサイドフロート後端上昇検出センサ76が検出して苗植付部4を上昇させることにより、植付作業終了時における苗植付部4の上昇操作を簡単化することができる。
次に、図7、図13及び図14に基づき苗植付部4のピッチング昇降制御について説明する。
フレーム6の後端部に立設したリンクベース枠34には、1本の上リンク35と2本の下リンク36,36が上下回動自在に枢支され、これら上・下リンク35,36,36の後端部に連結枠37が取り付けられている。連結枠37から後方に突設したローリング軸38に植付部4がローリング可能に装着されている。リンク装置3の駆動手段である昇降シリンダ39は、基部側がフレーム6に枢支され、ピストンロッドの先端側が上リンク35の基部に設けたスイングアーム(図示省略)の下端部に連結されている。昇降シリンダ39が伸縮すると、連結枠37が略一定姿勢を保持しながら上下動し植付部4が昇降する。
また、下リンク36,36の後端部には下ピン37aにより連結枠37が枢支連結されていて、上リンク35の後端部には長孔35aが構成されていて、連結枠37の上ピン37bが長孔35aに係合されていて、リンク装置3に連結枠37及び苗植付部4がピッチング回動自在に取り付けられている。そして、ピッチングシリンダ68の前端部を上リンク35の中途部にブラケットを介して連結し、ピッチングシリンダ68のピストンロッドの先端部を連結枠37の上端部にピン連結している。
また、操縦席21の右側には、植付昇降レバー72及び副変速レバー86を配置し、植付昇降レバー72の操作状態を植付昇降レバーセンサ73で検出し、副変速レバー86の操作状態を副変速レバーセンサ74で検出できるように構成している。
しかして、副変速レバー86の切り操作状態を副変速レバーセンサ74で検出すると共に、各条の苗減少センサ110,…によりいずれかの条の苗載せ部44a,…の苗残量が所定量以下になったことを検出すると、制御部69からピッチング回動指令が出され、ピッチングシリンダ駆動手段87が作動してピッチングシリンダ68が短縮し、苗植付部4が上方にピッチング回動し、苗載せ台44が操縦席21に接近する。従って、予備苗載せ台88から苗載せ台44への苗補給を楽にすることができる。
次に、図13〜図15に基づき苗植付部4の昇降制御装置の他の実施例について説明する。
制御部69の入力側には、入力インターフェイスを介して、植付昇降レバー72の操作位置を検出する植付昇降レバーセンサ73、昇降シリンダ39による上昇高さを設定するリフト高さ設定ダイヤル89、主変速レバー90の操作位置を検出できる主変速レバーセンサ84、リンク装置3の昇降状態を検出する昇降リンクセンサ91が接続されており、制御部69の出力側には昇降シリンダ39の昇降制御弁作動用モータ77が接続されてい
る。
リフト高さ設定ダイヤル89を調節設定することにより、昇降シリンダ39による苗植付部4の最上昇高さを調節設定することができる。通常はリフト高さ設定ダイヤル89を最上げ位置にセットし、植付作業時には作業者の好みに合わせて上昇高さを調節設定する。
しかして、植付昇降レバー72を上昇位置に操作すると、前記リフト高さ設定ダイヤル89の調節設定に基づき昇降シリンダ39が作動し苗植付部4を上昇させることができる。また、植付昇降レバー72を植付位置に操作すると、最上昇設定位置にある苗植付部4は昇降シリンダ39の短縮作動により植付位置まで下降させることができる。従って、植付昇降レバー72の1回の操作により、好みの高さに苗植付部4を昇降して能率的に植付作業をすることができる。
次に、図16に基づき苗植付部4の昇降速度調節装置について説明する。
操作パネル92には苗植付部4の昇降調整ダイヤル93を設けている。この昇降調整ダイヤル93は、リンク装置3により苗植付部4を上昇する際の上死点近傍の移動速度を調整する上調整ダイヤル93a、中途部の下降速度を調整する中調整ダイヤル93b、下降下部の下降速度を調整する下調整ダイヤル93cにより構成されていて、制御部69に夫れ夫れ接続されている。
そして、これらの上・中・下調整ダイヤル93a,93b,93cは回動操作により例えば5段階に速度調整ができる構成である。そして、操作パネル92の上・中・下調整ダイヤル93a,93b,93cの側方には、調整状態を表示す上・中・下モニタランプ94a,94b,94cが設けられている。
しかして、上・中・下調整ダイヤル93a,93b,93cの調整具合により制御部69からの指令により油圧回路に設けられている絞りバルブ95が調整され、苗植付部4の上死点付近の上昇速度、中途部での下降速度、及び、地面に接地する前の下降速度を好みに合わせて細かく調整することができ、表土の硬軟に合わせて苗植付部4の昇降調整をすることができる。
次に、図17に基づき苗植付部4の昇降制御の他の実施例について説明する。
走行車体2のフレーム96の軸支部96aには、調節アーム97の下筒部97aを嵌合して軸支し、植付昇降レバー72の下端部をピン98によりフレーム96に軸支し、調節アーム97の中途部に設けた調節孔97c,…に植付昇降レバー72の中途部を取り付けている。また、調節アーム97の上部作動部97cを昇降制御弁64のスプール部64aに当接連係し、スプール部64aにはバネ(図示省略)を介装してスプール部64aを調節アーム97に当接するように付勢している。フレーム96の支柱96bには作動用モータ77を取り付け、作動用モータ77により伸縮する伸縮ロッド77aを調節アーム97の上端部に連係している。フレーム96には植付昇降レバーセンサ73を軸支し、植付昇降レバーセンサ73の検出アーム部73aを調節アーム97の上部に設けた連係ピン97bに連係している。
また、フロート支持アーム54,…の後端部には、左右方向の枢支軸58,…を介してセンターフロート52の後部上面の取付脚59,…が回動自在に連結されていて、センターフロート52の前取付脚52aには検出アーム99の下端部をピンにより連結し、検出アーム99の上部の長孔部99aが苗植付部のフレーム100にピンにより連係されている。苗植付部4のフレーム100にはセンターフロート向い角センサ63を取り付け、センサの検出作動部63aをピンにより検出アーム99の上端部に連結している。
しかして、センターフロート向い角センサ63の検出情報が制御部69に入力されると、制御部69から昇降指令が出されて作動用モータ77の伸縮ロッド77aが伸縮し、調節アーム97を介して昇降制御弁64が作動され、昇降シリンダ39が伸縮し苗植付部4の昇降制御がなされる。
特開平10−181554号公報のように、センターフロート向い角センサ63の検出内容をワイヤケーブルを経由して昇降制御弁64に連係するものにあっては、経年変化によりワイヤケーブルの摺動抵抗の増加等により作動不良となり調整が必要となる。しかし、前記のように構成するとこのような不具合もなく、苗植付部4の昇降制御を長期にわたり適正に維持することができる。
乗用田植機の全体側面図 乗用田植機の全体平面図 要部の平面図 要部の平面図 要部の平面図 要部の側面図 制御ブロック図 要部の側面図 要部の平面図 フローチャート フローチャート 要部の側面図 乗用田植機の側面図 乗用田植機の平面図 制御ブロック図 要部の正面図 要部の分解した斜視図、側面図
符号の説明
1 田植機
2 走行車体
3 リンク装置
4 苗植付部(対地作業手段)
39 昇降シリンダ
52 センターフロート(センサフロート)
53 左・右サイドフロート(前後傾斜検出フロート)
56 (左右方向の軸)
63 センターフロート向い角センサ
70 左サイドフロート向い角センサ
71 右サイドフロート向い角センサ
77 昇降制御弁作動用モータ

Claims (1)

  1. 走行車体には対地作業手段を昇降自在に設け、前記対地作業手段には左右方向の軸回りに揺動する複数のフロートを左右に並列して設け、前記複数のフロートのうちの一部を該フロートの揺動により対地高さを検出するセンサフロートとして、センサフロートの検出値に基づいて前記対地作業手段が地表面から設定高さに維持されるように昇降制御をし、複数のフロートのうち前記センサフロート以外のフロートを前後傾斜検出フロートとして、前後傾斜検出フロートの揺動に基づき該フロートが所定値以上前下がりあるいは前上りのときには、対地作業手段の上昇側制御感度を敏感側あるいは鈍感側に補正する制御補正手段を設けたことを特徴とする水田作業機の昇降制御装置。
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