JP4569461B2 - トロイダル無段変速式トラクター - Google Patents
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Description
この車速制御機構は、HSTと通称される油圧モータによる無段変速機のトラニオン軸をダッシングの検出に応じて傾動制御することにより、機体の速度変動を抑えるものである。
上記制御部(C)が、対地作業機(R)を上げているときは走行負荷変動に合わせた制御をし、
さらに、対地作業機(R)を下げてブレーキオフの状態の作業中か、対地作業機(R)を下げてPTOがオンの状態の作業中に、上記対地作業機(R)を上げているときよりゲインを小さくして圃場の負荷変動に緩やかに対応する制御をするように構成したことを特徴とする。上記制御部の変速制御により、対地作業機の作業開始に関連してトラクターの車速の変速比が変更制御される。
また、対地作業機の稼動中は、ゲインを小さくして圃場の負荷変動に緩やかに対応することにより、走行のハンチングを防いで圃場の硬さ変化によるダッシングを防止するとともに作業を容易化することができる。
トラクタTは、図1に示すように、ボンネット11内部にエンジンEを備え、このエンジンEの回転動力をフロントミッションケース2aとミッドミッションケース2bとリヤミッションケース2cとからなるミッションケース2内の各種伝動装置を介して走行装置となる後輪9R、または前後輪9F,9Rへ伝達して走行する構成となっている。
またトラクタTの車体後部には、作業機昇降用油圧シリンダ14を内装するシリンダケース15を備え、同シリンダ14のピストン伸縮操作によりケース両側の作業機昇降アームとなるリフトアーム3を上下回動し、三点リンク機構16を介して対地作業機、ここではロータリ作業機Rを昇降する構成となっている。また前記リフトアーム3の基部には、作業機の高さを検出するセンサとしてリフトアーム角センサを設け、操縦席17側方の作業機昇降レバー18基部のレバー位置センサの検出角と前記リフトアーム3基部のリフトアーム角センサの検出角が一致するように、前記作業機昇降用油圧シリンダ14を駆動する構成となっている。
前記エンジンEの回転動力は、PTO系動力として、PTOクラッチ40及びPTO変速装置41を介して車体後部のPTO軸42へ伝達すると共に、走行系動力として、減速ギヤ組35を介して変速装置5(トロイダル型無段変速部5a、遊星ギヤ式差動機構部5b、高低切替クラッチ機構部5c)と後輪デフ機構36Rを介して左右後輪9R,9Rへ伝達すると共に、前記変速装置5にて出力された回転を前輪駆動軸37と前輪デフ機構36Fを介して左右前輪9Fへ伝達する構成となっている。
尚、図2中の符号38はトラクタTの旋回時に前輪を増速駆動させる所謂前輪増速装置を示し、等速クラッチ38aと増速クラッチ38bとを備える構成となっている。
前記走行系変速装置5について詳細に説明すると、前記トロイダル型無段変速部5aは、図3に示すように、走行系入力軸となるバリエータ入力軸45と、同軸45と一体回転する2つの入力側ディスク46a,46aと、伝動下手側の遊星ギヤ式差動機構部5bへ動力を伝える前記バリエータ入力軸45の外側に設けた筒状のバリエータ出力軸47と、同軸47と一体の出力側ディスク46bとを夫れ夫れ同一軸芯線上に備えると共に、前記入力側ディスク46a,46aと出力側ディスク46bとの間に、シリンダピストンの先端部に支持した回転ローラを複数挟持する構成(バリエータ機構)としている。そして、前記複数の回転ローラ及びシリンダピストン(以下、パワーローラ1,1…)を油圧操作で位置を変更することにより同ローラの傾倒角が変更され、前記入力側ディスク46a,46aから出力側ディスク46bへ伝わる動力伝達比が変更されてバリエータ出力軸47の回転を変速する構成となっている。
前記エンジンEの出力回転は、エンジン出力軸12からフロントミッションケース2a前部に位置するPTO伝動ギヤ63へ伝達され、同ギヤ63と一体のPTO伝動軸64にて車体後方へ伝達される。また前記PTO伝動ギヤ63には、回転方向を一方向に規制するワンウェイクラッチ66を備える構成となっている。これにより、例えば前記エンジンE停止時のエンジン出力軸12の振戻しやPTO軸42からの付き回りにより、同ギヤ63及びこれと常時噛み合うギヤ及び同ギヤと一体の軸の逆転を防止することができ、ひいては前記入出力側ディスク46a,46b間に挟持された前記ローラを安定して保持することができる。
次に図4に基づいて走行系変速装置の油圧構成について説明する。
前記トラクタTのフロントミッションケース2aは、内部に中壁71を形成し、前方の区画に前記PTO伝動ギヤ63、ワンウェイクラッチ66とトロイダル型無段変速部5aを内装すると共に、後方の区画に前記遊星ギヤ式差動機構部5bと高低切替クラッチ機構部5cと、前記ポンプ駆動ギヤ67及びPTOクラッチ40等を内装する構成となっている。また前記前方の区画には、前記各パワーローラ1のシリンダ室へ送り込む特殊作動油を充填すると共に、後方の区画には、トラクタTの他のアクチュエータ、例えば昇降用油圧シリンダ14やローリング用油圧シリンダ19用の標準作動油を充填する構成となっている。
制御装置は、その制御構成図を図5に示すように、制御部Cの入力側に、前後進切換レバー26のレバー位置を検出するF、Rのリニヤシフトセンサ26f、26r、変速位置信号を入力する変速レバー6用センサ、走行モード切換スイッチ4、作業速度選択用の速度選択スイッチ21、左右ブレーキペダル7L,7R用センサ、エンジン回転センサ13b、バリエータ入力回転センサ46a、バリエータ出力ディスク回転センサ46b、パワーローラ駆動シリンダの圧力センサ62s、ハイ・ロークラッチの圧力センサ23s、アクセルペダル28用センサ、後輪9Rの回転を検出する車速センサ82等の信号を入力し、また、出力側に、モニタの表示装置31、パワーローラ1の傾倒角を調節する比例流量制御弁ソレノイド62、Hi−Loクラッチの制御弁ソレノイド23v等を接続して駆動制御する。、
ロータリ作業を行う場合は、ロータリが接地した瞬間のダッシング(急増速)や急減速を抑えるために、上記制御装置により、対地作業機Rの稼動のタイミングと合わせてバリエータ比を変更してトラクターの車速を制御する。
次に、PTO制御について説明する。
PTO制御については、ローレジーム、ハイレジームのクラッチセンサ23s、PTOクラッチ制御弁等を加えた制御構成に基づき、ローレジーム側またはハイレジーム側のクラッチ23L,23Hがオフの場合は、PTO独立変速モードの場合であってもPTOの作動を規制するように制御をする。
次に、前記定レシオ制御の別例について説明する。
定レシオ制御については、前後進を判定するリニヤシフト信号26f、26r等を加えた制御構成に基づき、前進側のみに定レシオ制御を限定し、後進側はアクセルペダル28による速度操作による制御に切換える。
このような制御構成は、図16の車速線図のように、前記定レシオ制御に準じて機能することにより前記同様の効果を得ることができる。
次に、PTO伝動係の構成について説明する。
PTO伝動係の構成については、一軸タイプの遊星機構5bを有し、低速高速の切換クラッチ5cを用いて減速比を変更するトロイダルトラクターにおいて、遊星キャリアからPTO動力を取出すために、図17の要部拡大軸線展開図に示すように、キャリア55とPTOギヤ40gが別素材であり、キャリアフロントにスプライン40sを構成する。この場合、PTOクラッチ40をバリエータ5aの後方でキャリア55の前方に配置する。また、バリエータ5aと遊星部5bのオイルは別々であり、PTOクラッチ40は遊星部5bのオイルを使用する。
次に、制御メモリ処理について説明する。
制御メモリ処理については、図18のフローチャートに示すように、要求ある場合において不揮発メモリに記憶してあるセンサの基準値を書き込む際(S44a)に、既にメモリに記憶してある値とこれから書き込もうとしている値を比較(S42〜S43)し、その差が大きい(例えば、A/D値50以上)時は、不揮発メモリの書き込みを行わず、「○○センサ取付け不良」の旨を液晶パネルに表示(S44b)する。
次に、フットアクセルについて説明する。
フットアクセルは、ロッドの取付けプレート上にケーブルホルダも構成することにより、ある程度のペダル踏み込みによりエンジン回転数を上昇することができる。
トロイダルトラクターTのフットアクセル28は、図19の要部斜視図、図20の平面図(a)および側面図(b)に示すように、その回動支点上にポテンショセンサ28pを取付けてアクセル開度の信号をコントローラCに入力するように構成し、そのフットペダル28とセンサ回動支点をつなぐロッド28rの取付けプレート28t上に現行のケーブル方式のスプリング28sを取付けて共用使用する。また、スプリング28sの引っ掛けプレートにケーブルホルダも構成する。スプリング28sは、ロッド28rの邪魔にならないように、連動動作する取付け支点に配置する。
次に、定速モードの制御について説明する。
定速モードにおけるローラシリンダに印加する背圧は、ペダル踏込みにより変速操作するトルク制御モードより高く設定する。例えば、図21(a)のスイッチパネルの操作によって「定速」モードにすると、図21(b)の圧力線図に示すように、背圧を所定値増加して印加するように構成する。これにより、ロータリ、プラウ等の定速作業時は背圧を高くし、負荷に対する応答性を向上させて作業性能を優先し、一方、路上走行時等はローラシリンダの背圧を低くし、燃費を優先する最適な性能を得ることができる。
次に、ロータリ作業における走行制御について説明する。
ロータリ作業については、図25(a)のスイッチパネルの操作による「ロータリ作業」モード時おいて、同図(b)の圧力線図に示すように、リフトアーム3の上昇時は定車速制御に、また、リフトアーム3の下降時は定バリエータ比制御に切換える制御処理を制御部に構成する。車速設定はスイッチパネルの車速設定VRで行う。定レシオ制御時の車速は定格エンジン回転数における車速を設定することにより目標バリエータ比を計算する。定車速はボリウムで設定した値となる。
上記構成により、ロータリ作業において、耕耘時は耕耘ピッチを等しく保つ定レシオ制御、旋回時はエンジン回転に関係なく一定速でくるっと回れる定車速制御とすることで、作業性、作業フィーリングを向上することができる。
3 リフトアーム
3s リフトアーム角センサ
4 走行モード切換スイッチ
5 走行系変速装置
5a トロイダル型バリエータ(無段変速部)
14 作業機昇降用油圧シリンダ
18s レバー位置センサ
18 作業機昇降レバー
62 比例流量制御弁
C 制御部
E エンジン
R ロータリ作業機(対地作業機)
T トラクタ
Claims (2)
- トラクターに連結されて該トラクターの走行方向において推進力又は抵抗力を生じる対地作業機(R)を備え、車速調節用トロイダル機構(5a)のバリエータ比を制御して作業走行を行うための制御部(C)を有するトロイダル無段変速式トラクターにおいて、
上記制御部(C)が、対地作業機(R)を上げているときは走行負荷変動に合わせた制御をし、
さらに、対地作業機(R)を下げてブレーキオフの状態の作業中か、対地作業機(R)を下げてPTOがオンの状態の作業中に、上記対地作業機(R)を上げているときよりゲインを小さくして圃場の負荷変動に緩やかに対応する制御をするように構成したことを特徴とするトロイダル無段変速式トラクター。 - 前記制御部(C)が、ローレジーム側またはハイレジーム側のクラッチ(23L,23H)がオフの場合は、PTO独立変速モードの場合であってもPTOの作動を規制するように制御すると共に、走行系に異常が発生して走行系油圧制御を停止した場合にPTO独立変速をオフするように制御することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル無段変速式トラクター。
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