JP5700150B1 - 作業車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチ制御モードを実行しても速やかに停止することができる作業車両を提供すること。【解決手段】トラクタ1はブレーキ操作位置センサ25と車速センサ211と前後進レバー操作位置センサ27とノークラ設定スイッチ28と走行系ECU3を備えている。走行系ECU3はノークラ設定スイッチ28がクラッチ制御モードを実行し前後進レバー操作位置センサ27が前進であることを検出しブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると所定時間経過するまでは所定の出力値又は修正後の出力値を出力して前後進油圧クラッチの圧力が所定値となるように制御する。走行系ECU3は所定時間経過後に後輪の回転を検出すると後輪の回転が停止するまで時間の経過とともに前後進油圧クラッチの圧力を所定値よりも減少させる。【選択図】図2

Description

本発明は、作業車両に関する。
トラクタなどの作業車両では、圃場間を移動するためなどに路上を走行する際に、クラッチペダルのペダル操作なしでブレーキペダルのペダル操作のみによりエンストすることなく機体を停止させるクラッチ制御モードを実行可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5121586号公報
しかしながら、特許文献1に示された作業車両では、クラッチ制御モードを実行する際に、ブレーキペダルをペダル操作してから車速又はエンジン回転数が一定値以下と判断された後に、クラッチの油圧を減少させるので、ブレーキペダルをペダル操作してから停止するまでの時間が長くなる傾向であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クラッチ制御モードを実行しても速やかに停止することができる作業車両を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の作業車両(1)は、機体(2)に搭載されたエンジン(7)から伝達されてくる動力によって駆動される車輪(5)をペダル操作に応じて制動するためのブレーキペダル(21)と、前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出するブレーキ操作検出手段(25)と、前記動力による前記車輪(5)の前進、後進の切り換え及び前記動力の前記車輪(5)への伝達、遮断を行うための前後進油圧クラッチ(124)と、前記車輪(5)の回転に応じた情報を検出する車速検出手段(211)と、前記機体(2)の前進、後進を切り換えるための前後進切換レバー(26)の操作位置を検出する前後進切換レバー検出手段(27)と、前記ブレーキペダル(21)を操作して前記機体(2)を停止させるクラッチ制御モードを実行、又は非実行を切り換える設定手段(28)と、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が前進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、前記機体(2)を停止するように前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を所定値(P)と略等しくなるまで減少させるための所定の出力値(A)を出力する制御手段(3)と、を備え、前記制御手段(3)は、前記所定の出力値(A)を出力した後、前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力が前記所定値(P)となるように前記所定の出力値(A)を修正し、修正後の出力値(A±B)を記憶しておき、修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が前進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記修正後の出力値(A±B)を出力して前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力が前記所定値(P)となるように制御し、前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)の回転を検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させることを特徴とする。
請求項2に記載の作業車両(1)は、上記作業車両(1)において、前記制御手段(3)は、前記修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記修正後の出力値(A±B)を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)の回転を検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させることを特徴とする。
請求項3に記載の作業車両(1)は、上記作業車両(1)において、前記制御手段(3)は、前記修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから時間(t1)になると、前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも所定減少値(ΔPP)減少させる減少出力値を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)が回転することを検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定減少値(ΔPP)よりも減少させることを特徴とする。
請求項4に記載の作業車両(1)は、上記作業車両(1)において、前記制御手段(3)は、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでに前記減少出力値を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力するのは、前記機体(2)に設けられた副変速装置(140)の減速比が大きな場合であることを特徴とする。
請求項5に記載の作業車両(1)は、上記作業車両(1)において、前記制御手段(3)は、前記修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出し、前記機体(2)に設けられた副変速装置(140)の減速比が小さな場合では、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでに前記所定の出力値(A)を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)が回転することを検出すると、前記車輪(5)が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、前進時に、プレーキペダル(21)がペダル操作されると、制御手段(3)が機体(2)を停止するように前後進油圧クラッチ(124)の圧力を所定値(P)まで減少させる所定の出力値(A)、又は、修正後の出力値(A±B)を出力して、前後進油圧クラッチ(124)の圧力を所定値(P)まで減少させる。このために、ブレーキペダル(21)をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体(2)を停止させることができる。
また、制御手段(3)が、ブレーキペダル(21)がペダル操作されて所定時間(T)経過した後に、機体(2)が移動していると、さらに、前後進油圧クラッチ(124)の油圧を所定値(P)よりも徐々に減少させる。このために、ブレーキペダル(21)がペダル操作されて所定時間(T)経過した後に、機体(2)が移動していても、速やかに、機体(2)を停止させることができる。
さらに、制御手段(3)が、機体(2)の停止中も前後進油圧クラッチ(124)の油圧を所定値(P)又は所定値(P)よりも低い値に維持するので、ブレーキペダル(21)のペダル操作をやめると、機体(2)が速やかに発進することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、後進時にプレーキペダル(21)がペダル操作されると、制御手段(3)が、機体(2)を停止するように前後進油圧クラッチ(124)の圧力を所定値(P)まで減少させるための修正後の出力値(A±B)を出力する。このために、比較的トルクの大きな後進時にも、ブレーキペダル(21)をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体(2)を停止させることができる。
また、制御手段(3)が、後進時に、前進時に記憶した修正後の出力値(A±B)を出力するので、前後進油圧クラッチ(124)の後進側のクラッチの油圧を検出するためのセンサを設ける必要がなく、廉価な構成とすることができる。
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、修正後の出力値(A±B)を記憶していない場合には、後進時にブレーキペダル(21)をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ(124)の圧力が所定値(P)よりも所定減少値(ΔPP)減少させる減少出力値を制御手段(3)が出力する。このために、比較的トルクの大きな後進時には、ブレーキペダル(21)をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ(124)の圧力を速やかに所定値(P)よりも所定減少値(ΔPP)減少させることができる。したがって、このために、修正後の出力値(A±B)を記憶していなくても、比較的トルクの大きな後進時に、ブレーキペダル(21)をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体(2)を停止させることができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、副変速装置(140)の減速比が大きな場合に、制御手段(3)が後進時にブレーキペダル(21)をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ(124)の圧力が所定値(P)よりも所定減少値(ΔPP)減少させる減少出力値を出力する。このために、特に、トルクの大きな後進時の減速比が大きな場合であっても、ブレーキペダル(21)をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体(2)を停止させることができる。
また、請求項5記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、副変速装置(140)の減速比が小さな場合に、制御手段(3)が後進時にブレーキペダル(21)をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ(124)の圧力が所定値(P)となる出力値を出力する。このために、特に、後進時であっても、ブレーキペダル(21)をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体(2)を停止させることができる。また、停止時には、前後進油圧クラッチ(124)の圧力が所定値(P)よりもはるかに減少して、低くなり過ぎることを抑制できるので、ブレーキペダル(21)のペダル操作を止めると、速やかに機体(2)を発進させることができる。
図1は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタを表す側面図である。 図2は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブロック図である。 図3は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの動力伝達経路を示す線図である。 図4は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの操縦席から前方をみた図である。 図5は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの前後進切換レバーの斜視図である。 図6は、図5に示された前後進切換レバーの操作範囲を示す図である。 図7は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの主変速レバーの斜視図である。 図8は、図7に示された主変速レバーの操作範囲を示す図である。 図9は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの副変速レバーの斜視図である。 図10は、図9に示された副変速レバーの操作範囲を示す図である。 図11は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブレーキペダルなどを示す図である。 図12は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブレーキペダルと前後進油圧クラッチの油圧との関係などを説明する図であり、(a)は、ブレーキペダルの操作位置などを示す図であり、(b)は、ブレーキ操作位置とブレーキ操作位置センサから出力する電圧との関係を示す図であり、(c)は、ブレーキ操作位置と前後進油圧クラッチの油圧との関係などを説明する図である。 図13は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードのフローチャートの一例である。 図14は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの前進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化を説明する図である。 図15は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の一例を説明する図である。 図16は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の他の例を説明する図である。 図17は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の別の他の例を説明する図である。
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、適宜組み合わせることができる。
[実施形態]
本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタ1を図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタを表す側面図である。図2は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブロック図である。図3は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの動力伝達経路を示す線図である。図4は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの操縦席から前方をみた図である。
実施形態に係る作業車両としてのトラクタ1は、圃場等で作業を行う作業車両であり、図1に示すように、操舵用の車輪として設けられる前輪4と、駆動用の車輪として設けられる後輪5とを有した機体2と、走行系ECU3(図2に示し、制御手段に相当)などを備えている。後輪5には、機体2前部のボンネット6内に搭載されるエンジン7で発生した動力が、主変速装置40(図3に示す)及び副変速装置140(図3に示す)で適宜減速して伝達可能になっており、後輪5は、このエンジン7から伝達されてくる動力によって駆動される。
また、トラクタ1は、エンジン7で発生しかつ主変速装置40及び副変速装置140で減速した動力を、前輪増速切換機構172(図3に示す)を介して、前輪4にも伝達可能になっている。トラクタ1は、前輪増速切換機構172が動力を伝達すると、エンジン7から伝達されてくる動力によって前輪4と後輪5との四輪が駆動され、前輪増速切換機構172が動力の伝達を遮断すると、エンジン7から伝達されてくる動力によって後輪5のみの二輪が駆動される。即ち、トラクタ1は、二輪駆動と四輪駆動との切り換えが可能になっている。また、トラクタ1の機体2後部には、ロータリ(図示省略)等の作業機を装着可能なPT0(Power Take−Off)連結装置8が配設されている。
また、トラクタ1の機体2の中央部には、図1に示すように、運転者がトラクタ1を操縦する際に座る操縦席9が設けられ、操縦席9の前方には、図1、4に示すように、前輪4の操舵に用いるステアリングハンドル10が設けられている。ステアリングハンドル10は、当該ステアリングハンドル10を回転可能に指示するハンドルポスト11の上端側に配設されている。また、ハンドルポスト11の下方側、即ち、操縦席9に運転者が座った場合における運転者の足元付近には、図4に示すように、クラッチペダル20、後輪5をペダル操作に応じて制動するためのブレーキペダル21、アクセルペダル22が設置されている。
図11は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブレーキペダルなどを示す図である。ブレーキペダル21は、図11に示すように、左側後輪5用のブレーキペダル21と右側後輪5用のブレーキペダル21との2つが設けられている。これらの2つのブレーキペダル21は、一方のブレーキペダル21に回転自在に設けられた連結ピン23が、他方のブレーキペダル21に向けて倒されて他方のブレーキペダル21に係合することで、連結させることが可能になっている。このため、2つのブレーキペダル21を独立して操作した場合には、左右の後輪5に対して独立して制動力を発生させることが可能になっており、2つのブレーキペダル21を連結した状態で操作した場合には、左右の後輪5の双方に対して制動力を発生させることが可能になっている。なお、2つのブレーキペダル21の近傍には、連結ピン23が2つのブレーキペダル21を連結したか否かを検出するブレーキ連結検出スイッチ24(図2に示す)が設けられている。ブレーキ連結検出スイッチ24は、検出結果を走行系ECU3に出力する。
また、作業者によるブレーキペダル21のペダル操作としてのブレーキペダル21の踏込量を検出するブレーキ操作位置センサ25(図2に示し、ブレーキ操作検出手段に相当)がブレーキペダル21の回転中心に設けられている。
また、ハンドルポスト11には、エンジン回転数を調節すると共に、エンジン回転数を任意の回転数で維持させることができるアクセルレバー(図示省略)と、トラクタ1の走行時における進行方向を前進と後進とで切り換える前後進切換レバー26(図5に示す)とが配設されている。即ち、前後進レバー26は、機体2の前進、後進を切り換えるためのものである。
図5は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの前後進切換レバーの斜視図である。図6は、図5に示された前後進切換レバーの操作範囲を示す図である。前後進切換レバー26は、トラクタ1を前進させる場合には前側に倒し、トラクタ1を後進させる場合は後ろ側に倒すことにより、エンジン7からの動力による機体2の前進、後進を切り換えるためのものである。また、前後進切換レバー26は、図6に示すように、当該前後進切換レバー26における前進位置と後進位置との間に中立位置を有しており、この中立位置は、トラクタ1が前方にも後方にも進まないようにすることができる位置になっている。前後進切換レバー26は、前後進レバー操作位置センサ27(図2に示し、前後進切換レバー検出手段に相当)により前後進切換レバー26の操作位置(前進、後進、中立)が検出される。即ち、前後進レバー操作位置センサ27は、前後進切換レバー26の操作位置を検出するものである。前後進レバー操作位置センサ27は、検出結果を走行系ECU3に出力する。
また、前後進切換レバー26の近傍には、ノークラ設定スイッチ28(設定手段に相当し、図2及び図5に示す)が設けられている。ノークラ設定スイッチ28は、走行系ECU3にクラッチペダル20のペダル操作なしでブレーキペダル21のペダル操作のみにより、エンストすることなく機体2を停止させるクラッチ制御モードを実行、又は非実行を切り換えるスイッチである。ノークラ設定スイッチ28は、走行系ECU3に接続しており、オンされるとクラッチ制御モードを実行させ、オフされるとクラッチ制御モードを実行させない。クラッチ制御モードは、ブレーキペダル21を操作して機体2を停止させるモードである。
また、操縦席9の右側には、トラクタ1の走行時における変速に関する操作を行う主変速レバー29(図7に示す)が配設され、操縦席9の左側には、副変速レバー34(図9に示す)が配設されている。図7は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの主変速レバーの斜視図である。図8は、図7に示された主変速レバーの操作範囲を示す図である。図9は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタの副変速レバーの斜視図である。図10は、図9に示された副変速レバーの操作範囲を示す図である。
主変速レバー29は、主変速装置40の変速である主変速の操作を行うことができ、主変速を自動的に行う自動変速と、運転者の任意で行う手動変速と、を切り換え可能になっている。主変速レバー29は、手動変速では、主変速装置40の減速比を8段のいずれかに切り換える。
詳しくは、主変速レバー29は、前後方向に移動可能に構成されており、図7及び図8に示すように、移動方向における後端側が自動変速の選択位置であり、自動変速の選択位置の前方が手動変速時に切り換える1速〜8速の選択位置となっている。また、手動変速時に切り換える選択位置と、自動変速の選択位置との間は、エンジン7で発生する動力の後輪5への伝達を遮断する位置である中立位置となっている。
副変速レバー34は、副変速装置140を操作し、図9及び図10に示すように、走行速度を、超低速、低速、中速、高速及び中立に切り換え可能である。超低速では、副変速第1シフター144を中立とし、副変速第2シフター171を前側のギヤに接続する。低速では、副変速第1シフター144を中立とし、副変速第2シフター171を後側のギヤに接続する。中速では、副変速第1シフター144を副変速第2ギヤ146に接続し、副変速第2シフター171を中立とする。高速では、副変速第1シフター144を副変速第1ギヤ145に接続し、副変速第2シフター171を中立とする。
また、ステアリングハンドル10の先方に位置するダッシュボード30には、図4に示すように、メータパネル31が配設されている。メータパネル31は、ダッシュボード30の車幅方向の中央に設けられ、トラクタ1の運転時に必要な各種情報を表示可能になっており、例えば、エンジン回転数を表示するエンジン回転計、車速や現在のギヤポジション、燃料の残量等を表示するデータ表示部が配置されている。このデータ表示部は、液晶パネルを用いた表示部になっており、電子制御によって任意の情報を表示可能になっている。また、メータパネル31の側方には、ハザードランプの点灯などを操作するための操作パネル32(図2に示す)が設けられている。
また、トラクタ1のエンジン7の動力は、図3に示すように、主変速装置40、前後進油圧クラッチ124及び副変速装置140を介して後輪5に伝達される。また、トラクタ1のエンジン7の動力は、主変速装置40、前後進油圧クラッチ124、副変速装置140及び前輪増速切換機構172を介して前輪4にも伝達される。
主変速装置40は、図3に示すように、Hi−Lo変速機構60と主変速機構90とにより構成されており、Hi−Lo変速機構60は、さらに第1Hi−Lo変速機構61と第2Hi−Lo変速機構71とを有しており、主変速機構90は、第1主変速機構91と第2主変速機構101とを有している。
このうち、第1Hi−Lo変速機構61は、歯数が異なる第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63と第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64とを有している。これらのギヤ63,64は、エンジン7から出力された動力が主変速装置40に入力される際における入力軸である変速装置入力軸42に固着される主変速装置入力軸第1ギヤ43と主変速装置入力軸第2ギヤ44とに噛み合っている。即ち、第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63は主変速装置入力軸第1ギヤ43に噛み合っており、第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64は主変速装置入力軸第2ギヤ44に噛み合っている。
また、第1Hi−Lo変速機構61は、第1Hi−Lo変速クラッチ62と第1Hi−Lo変速出力ギヤ65とを有しており、さらに、第1Hi−Lo変速クラッチ62は、第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63と第1Hi−Lo変速出力ギヤ65との断続を切り換えるクラッチと、第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64と第1Hi−Lo変速出力ギヤ65との断続を切り換えるクラッチとを有している。このため、第1Hi−Lo変速クラッチ62は、第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63と第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64とのうち、いずれか一方と第1Hi−Lo変速出力ギヤ65との間で、動力の伝達を可能にすることができる。さらに、第1Hi−Lo変速出力ギヤ65は、第1Hi−Lo変速機構61と第1主変速機構91との間で動力の伝達が可能な主変速機構第1中間軸81に固着される第1中間軸ギヤ82に噛み合っている。
同様に、第2Hi−Lo変速機構71は、歯数が異なる第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73と第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74とを有しており、第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73は主変速装置入力軸第1ギヤ43に噛み合っており、第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74は主変速装置入力軸第2ギヤ44に噛み合っている。
また、第2Hi−Lo変速機構71は、第2Hi−Lo変速クラッチ72と第2Hi−Lo変速出力ギヤ75とを有しており、さらに、第2Hi−Lo変速クラッチ72は、第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73と第2Hi−Lo変速出力ギヤ75との断続を切り換えるクラッチと、第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74と第2Hi−Lo変速出力ギヤ75との断続を切り換えるクラッチとを有している。このため、第2Hi−Lo変速クラッチ72は、第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73と第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74とのうち、いずれか一方と第2Hi−Lo変速出力ギヤ75との間で、動力の伝達を可能にすることができる。さらに、第2Hi−Lo変速出力ギヤ75は、第2Hi−Lo変速機構71と第2主変速機構101との間で動力の伝達が可能な主変速機構第2中間軸85に固着される第2中間軸ギヤ86に噛み合っている。
ここで、第2Hi−Lo変速出力ギヤ75は、第1Hi−Lo変速出力ギヤ65とは歯数が異なっており、第2中間軸ギヤ86も、第1中間軸ギヤ82とは歯数が異なっている。このため、第2Hi−Lo変速出力ギヤ75と第2中間軸ギヤ86との間の変速比は、第1Hi−Lo変速出力ギヤ65と第1中間軸ギヤ82との間の変速比とは異なっている。
主変速機構90は、当該主変速機構90の出力軸である主変速機構出力軸110に主変速機構出力軸第1ギヤ111と主変速機構出力軸第2ギヤ112とが固着しており、第1主変速機構91は、このうちの主変速機構出力軸第1ギヤ111と噛み合う第1主変速第1ギヤ93と、主変速機構出力軸第2ギヤ112と噛み合う第1主変速第2ギヤ94とを有している。
さらに、第1主変速機構91は、主変速機構第1中間軸81から伝達された動力を、第1主変速第1ギヤ93と第1主変速第2ギヤ94とのうち、いずれか一方に伝達可能な第1主変速シフター92を有している。このため、主変速機構第1中間軸81から第1主変速機構91に伝達された動力は、第1主変速第1ギヤ93と主変速機構出力軸第1ギヤ111とを介する伝達経路、または、第1主変速第2ギヤ94と主変速機構出力軸第2ギヤ112とを介する伝達経路のいずれか一方から、主変速機構出力軸110に対して伝達することが可能になっている。
同様に、第2主変速機構101は、主変速機構出力軸第1ギヤ111と噛み合う第2主変速第1ギヤ103と、主変速機構出力軸第2ギヤ112と噛み合う第2主変速第2ギヤ104と、第2主変速シフター102を有している。このため、主変速機構第2中間軸85から第2主変速機構101に伝達された動力は、第2主変速第1ギヤ103と主変速機構出力軸第1ギヤ111とを介する伝達経路、または、第2主変速第2ギヤ104と主変速機構出力軸第2ギヤ112とを介する伝達経路のいずれか一方から、主変速機構出力軸110に対して伝達することが可能になっている。
なお、主変速機構90が有する各ギヤのうち、第1主変速第1ギヤ93と第1主変速第2ギヤ94、第2主変速第1ギヤ103と第2主変速第2ギヤ104、主変速機構出力軸第1ギヤ111と主変速機構出力軸第2ギヤ112は、それぞれ歯数が異なっている。このため、第1主変速第1ギヤ93と主変速機構出力軸第1ギヤ111との間の変速比と、第1主変速第2ギヤ94と主変速機構出力軸第2ギヤ112との間の変速比とは、異なっている。
これらのように、エンジン7側から入力された動力を、第1Hi−Lo変速クラッチ62や第1主変速シフター92によって変速比を異ならせて出力側に伝達可能な主変速装置40は、動力の伝達経路を切り換えて変速比を切り換えることにより、8速の変速段を有している。つまり、主変速装置40は、主変速装置入力軸第1ギヤ43、または主変速装置入力軸第2ギヤ44からの入力の切り換え(2速)、第1中間軸ギヤ82、または第2中間軸ギヤ86からの出力の切り換え(2速)、主変速機構出力軸第1ギヤ111、または主変速機構出力軸第2ギヤ112からの出力を切り換える(2速)ことができる。このため、主変速装置40は、2速×2速×2速=8速の変速段を有していることになる。この8速の変速段は、主変速装置入力軸42から主変速機構出力軸110までの減速比が大きい変速段から減速比が小さい変速段に向かって、1速〜8速が割り振られている。
主変速装置40の出力軸である主変速機構出力軸110は、前後進油圧クラッチ124を含んだ前後進切換機構120の入力軸である前後進入力軸121に連結している。また、前後進入力軸121には、前後進入力第1ギヤ122と前後進入力第2ギヤ123とが固着しており、このうち、前後進入力第2ギヤ123は、前後進切換機構120が有するカウンタシャフト133に固着しているカウンタギヤ134と噛み合っている。
また、前後進切換機構120は、前後進入力第1ギヤ122と噛み合う前後進出力第1ギヤ131と、カウンタギヤ134と噛み合う前後進出力第2ギヤ132とを有している。さらに、前後進切換機構120は、前後進出力第1ギヤ131や前後進出力第2ギヤ132に伝達された動力を、前後進出力第1ギヤ131、または前後進出力第2ギヤ132のいずれか一方から、前後進切換機構120の出力軸である前後進出力軸130に伝達可能な前後進油圧クラッチ124を有している。
前後進油圧クラッチ124は、エンジン7から伝達されてくる動力による後輪5の前進、後進の切り換え、エンジン7から伝達されてくる動力の後輪5への伝達、遮断を行うためのものである。前後進油圧クラッチ124は、前後進出力第1ギヤ131と前後進出力軸130との断続を切り換えるクラッチと、前後進出力第2ギヤ132と前後進出力軸130との断続を切り換えるクラッチとを有しており、これにより、前後進出力軸130に接続するギヤを切り換えることが可能になっている。前後進油圧クラッチ124の前後進出力第1ギヤ131側のクラッチと、前後進出力第2ギヤ132側のクラッチは、作動油が供給されて動作する。
ここで、前後進入力軸121から前後進出力軸130への動力の伝達経路では、前後進出力第1ギヤ131は、前後進入力第1ギヤ122と直接噛み合っているのに対し、前後進出力第2ギヤ132は、カウンタギヤ134を介して前後進入力第2ギヤ123と噛み合っている。このため、前後進出力第1ギヤ131と前後進出力第2ギヤ132では、回転方向が反対方向になる。これにより、前後進出力軸130への動力の伝達経路を、前後進油圧クラッチ124で切り換える際には、前後進出力第1ギヤ131側に切り換えた場合と、前後進出力第2ギヤ132側に切り換えた場合とで、前後進出力軸130に伝達される動力の回転方向は、互いに反対方向になる。
前後進油圧クラッチ124は、前後進切換レバー26が前進位置に操作されると前後進出力軸130への動力の伝達経路を前後進出力第1ギヤ131側即ち前側に切り換えて、後輪5を前進方向に回転させる。前後進油圧クラッチ124は、前後進切換レバー26が後進位置に操作されると前後進出力第2ギヤ132側即ち後側に切り換えて、後輪5を後進方向に回転させる。また、前後進油圧クラッチ124は、クラッチペダル20のペダル操作などに基いて、双方のクラッチが動力の伝達を遮断すると、エンジン7から伝達されてくる動力の後輪5への伝達の遮断を行い、エンジン7からの動力により後輪5が回転することを規制する。
また、前後進油圧クラッチ124は、クラッチ制御モードでは、クラッチペダル20がペダル操作されることなく、ブレーキペダル21のペダル操作と連動して双方のクラッチ内の油圧を減少させる。図12は、実施形態に係る作業車両としてのトラクタのブレーキペダルと前後進油圧クラッチの油圧との関係などを説明する図であり、図12(a)は、ブレーキペダルの操作位置などを示す図であり、図12(b)は、ブレーキ操作位置とブレーキ操作位置センサから出力する電圧との関係を示す図であり、図12(c)は、ブレーキ操作位置と前後進油圧クラッチの油圧との関係などを説明する図である。
なお、図12(b)及び図12(c)の横軸は、ブレーキ操作位置と操作方向を示し、右側が開放側であり、左側が踏み込み側である。図12(b)の縦軸は、ブレーキ操作位置センサ25から出力する電圧を示し、図12(c)の縦軸は、前後進油圧クラッチ124の前後進出力第1ギヤ131側即ち前進側及び前後進出力第2ギヤ131側即ち後進側のクラッチ油圧を示している。
ブレーキペダル21は、図12(a)〜図12(c)に示す操作位置Aから操作位置Bまでの間、ペダル操作される。この操作位置Aと操作位置Bとの間をブレーキペダル操作範囲という。ブレーキ操作位置センサ25は、図12(b)に示すように、ブレーキペダル操作範囲では、その出力する電圧が踏み込み側に向かうにしたがって徐々に減少する。そして、ブレーキ操作位置センサ25は、図12(b)に示すように、ブレーキペダル操作範囲において、開放側から踏み込み側に向かって踏み込まれると、操作位置Cにおいて、ブレーキスイッチをオンするための電圧(信号)を出力する。ブレーキ操作位置センサ25は、図12(b)に示すように、ブレーキペダル操作範囲において、踏み込み側から開放側に向かって開放されると、操作位置Dにおいて、ブレーキスイッチをオフするための電圧(信号)を出力する。また、ブレーキペダル操作範囲において、操作位置Aと操作位置Dとの間は、ブレーキペダル21の所謂遊びとなっている。
前後進油圧クラッチ124は、クラッチ制御モードでは、前後進切換レバー26が前進位置に操作されると前側のクラッチの油圧が、図12(c)に示すように変化し、前後進切換レバー26が後進位置に操作されると後側のクラッチの油圧が、図12(c)に示すように変化する。前後進油圧クラッチ124は、クラッチ制御モードでは、ブレーキペダル21がペダル操作されていないと、クラッチ内の油圧が前後進出力第1ギヤ131又は前後進出力第2ギヤ132に動力を極力損失なく伝達する圧力P1に保たれている。そして、前後進油圧クラッチ124は、ブレーキペダル21がペダル操作されていない状態から踏み込まれると、クラッチ内の油圧が10度程度傾いた坂道上で機体2が停止できる程度の予め定められた圧力P(所定値に相当する)に減少される。前後進油圧クラッチ124は、ブレーキペダル21がペダル操作されている間では、クラッチ内の油圧が圧力Pに保たれる。なお、この停止時のクラッチ内の圧力は、走行系ECU3からの制御によって増減される。
前後進油圧クラッチ124は、ブレーキペダル操作範囲のブレーキペダル21が最も踏み込まれた状態からブレーキペダルが開放されるのにしたがってクラッチ内の油圧を圧力Pから除々に増加させ、ブレーキペダル21が操作位置Dに位置すると、圧力Pよりも若干高い圧力P3とする。そして、前後進油圧クラッチ124は、ブレーキペダル21が操作位置Dよりも開放されると、クラッチ内の油圧の圧力が圧力P1に向かって徐々に増大される。このように、前後進油圧クラッチ124は、図12(c)に示すように、ブレーキペダル21がペダル操作されていない状態からペダル操作されて最も踏み込まれ、その後、開放されると、クラッチ内の油圧の圧力と操作位置との関係が、α、β、γ、δ、ε、αの順に変化する。特に、εからαに向かってクラッチ内の油圧を圧力P3から圧力P1に増加させるパターンは、予め定められており、特許請求の範囲に記載された標準パターンに相当する。なお、標準パターンとは、10度程度傾いた坂道上から再発進する際に意図しない方向に走行することなくスムーズに再発進することができるパターンである。なお、クラッチ内の圧力Pを圧力P3、圧力P1へと増加させる標準パターンは、走行系ECU3からの制御によって適宜変更される。
前後進切換機構120が有する前後進出力軸130は、副変速装置140の入力軸である副変速入力軸141に連結されており、副変速入力軸141には、互いに歯数が異なる副変速入力第1ギヤ142と副変速入力第2ギヤ143とが固着されている。
副変速装置140は、副変速入力第1ギヤ142と噛み合う副変速第1ギヤ145と、副変速入力第2ギヤ143と噛み合う副変速第2ギヤ146とを有している。さらに、副変速機構140は、副変速第1ギヤ145や副変速第2ギヤ146に伝達された動力を、副変速第1ギヤ145、または副変速第2ギヤ146のいずれか一方から、副変速装置140の出力軸である副変速出力軸150に伝達可能な副変速第1シフター144を有している。また、副変速機構140は、前側のギヤと後側のギヤとで異なる歯数であるギヤに伝達された動力を、前側のギヤと後側のギヤとで異なる歯数であるギヤのいずれか一方から、副変速装置140の出力軸である副変速出力軸150に伝達可能な副変速第2シフター171を有している。
ここで、副変速入力第1ギヤ142と副変速第1ギヤ145との間の変速比と、副変速入力第2ギヤ143と副変速第2ギヤ146との間の変速比は、互いに異なっている。このため、副変速出力軸150への動力の伝達経路を、副変速第1シフター144によって副変速第1ギヤ145側と副変速第2ギヤ146側とに切り換えた場合には、副変速入力軸141と副変速出力軸150との間の変速比が変化する。また、副変速第2シフター171によって前側のギヤと後側のギヤとに切り換えた場合には副変速入力軸141と副変速出力軸150との間の変速比が変化する。このように、副変速装置140は、変速比が異なる4速の変速段を有しており、切り換え可能になっている。
副変速出力軸150には、副変速出力ギヤ151が固着しており、副変速出力ギヤ151は、後輪5用のデファレンシャルギヤである後輪デフ155と噛み合っている。この後輪デフ155は、後輪5に連結される後輪ドライブシャフト156に対して動力を伝達可能に構成されており、これにより、後輪5には、副変速装置140から出力された動力を伝達可能になっている。
また、トラクタ1は、図3に示すように、エンジン7で発生した動力をPT0連結装置8のPT0軸8aに伝達するPT0出力機構160を備えている。このPT0出力機構160は、主変速装置入力軸42の主変速装置入力軸第2ギヤ44から動力を受けることが可能になっており、PT0軸8a側への動力の伝達と遮断とを切り換えるPT0クラッチ161と、PT0軸8aに動力を伝達する際に変速を行うPT0変速装置162と、を有している。
さらに、トラクタ1は、図3に示すように、エンジン7で発生した動力を前輪4側に伝達する前輪増速切換機構172を含んだ前輪側動力伝達機構170を備えている。この前輪側動力伝達機構170は、副変速装置140から動力を受けることが可能になっており、副変速装置140から受けた動力を前輪4側に伝達する際における回転速度の切り換えを行うとともに、前輪4側への動力の伝達と遮断とを切り換える前輪増速切換機構172を備えている。
前輪増速切換機構172は、二輪駆動時即ち前輪4側への動力を遮断する際には、中立である。前輪増速切換機構172は、四輪駆動時即ち前輪4側への動力を伝達する際には、後側のクラッチを接続し、前輪増速時には前側のクラッチを接続する。
また、前輪側動力伝達機構170には、前輪増速切換機構172の後側の出力側に配設される後輪側動力伝達ギヤ173の回転数及び回転方向(後輪5の回転に応じた情報)を検出する車速センサ211(車速検出手段に相当)が設けられている。車速センサ211は、前輪側動力伝達機構170の前輪増速切換機構172から出力される出力軸部としての後輪側動力伝達ギヤ173の回転数及び回転方向を検出することで、後輪5の回転に応じた情報を検出する。本発明では、車速センサ211は、後輪5の回転に応じた情報を検出可能であれば、どこに配置されてもどの部材の回転数及び回転方向を検出してもよい。
また、前輪側動力伝達機構170の出力側に配設される前輪側動力伝達ギヤ180は、前輪4用のデファレンシャルギヤである前輪デフ181と噛み合っており、前輪デフ181は、前輪4に連結される前輪ドライブシャフト183に対して、垂直軸182等を介して動力を伝達可能に構成されている。これにより、前輪4には、前輪側動力伝達機構170から出力された動力の伝達が可能になっている。
走行系ECU3は、図2に示すように、エンジン7などを制御するエンジンECU3aと、PT0連結装置8に装着される作業機を昇降する作業機昇降系ECU3bと、メータパネル31及び操作パネル32等とCAN通信ライン1,2(図2中にCAN1、CAN2と記す)を介して交互に交信可能に接続されている。
エンジンECU3aには、エンジン排気温度センサ301から排気の温度が入力し、エンジン回転センサ302からエンジン回転数が入力し、エンジンオイル圧力センサ303からエンジン潤滑オイルの圧力が入力し、エンジン水温センサ304から冷却水の温度が入力し、レール圧センサ305からエンジン7のコモンレール(図示せず)の圧力が入力し、アクセルペダル22のペダル操作位置を検出するアクセル操作位置検出センサ306からのアクセルペダル22のペダル操作位置が入力する。また、エンジンECU3aは、燃料タンク(図示せず)から汲み上げた燃料を加圧してコモンレールに圧送する燃料高圧ポンプ307と、コモンレールに蓄圧された高圧燃料をエンジン7のシリンダ内に噴射する高圧インジェクタ308を動作するための制御信号を出力する。
作業機昇降系ECU3bには、作業機昇降レバーに設けるポジションコントロールセンサ310の操作信号と、リフトアームセンサ311の昇降信号と、上げ位置規制ダイアル312の上げ位置規制信号と、下げ速度調整ダイアル313の降下速度設定信号がそれぞれ入力する。作業機昇降系ECU3bは、メイン上昇ソレノイド314とメイン下降ソレノイド315に作業機昇降信号を出力し作業機昇降シリンダ(図示せず)を作動する。
走行系ECU3は、主変速装置40、副変速装置140、前後進切換機構120、PT0出力機構160、前輪側動力伝達機構170を制御して、トラクタ1の走行を制御するものである。走行系ECU3は、クラッチ制御モードでは、ブレーキ操作位置センサ25が作業者によるブレーキペダル21のペダル操作を検出し、車速センサ211が副変速入力第1ギヤ142の回転を検出すると、機体2を停止又は略停止するように前後進油圧クラッチ124の前側又は後側のクラッチへの油圧を制御するものである。
走行系ECU3には、ブレーキ連結検出スイッチ24から検出結果、エンジン回転センサ302からエンジン回転数、車速センサ211から機体2の走行速度、車速センサ211の検出結果、油温センサ320からミッションオイルの温度、ブレーキ操作位置センサ25の検出結果が入力する。また、走行系ECU3には、現在の第1主変速機構91の切り換え状態、即ち、第1主変速シフター92の状態を検出する第1主変速機構位置センサ215の検出結果と、同様に現在の第2主変速機構101の切り換え状態を検出する第2主変速機構位置センサ216の検出結果とが入力する。
走行系ECU3には、前後進油圧クラッチ124における前後進出力第1ギヤ131側のクラッチの油圧を検出する前進クラッチ圧力センサ230aの検出結果が入力し、前後進油圧クラッチ124における前後進出力第2ギヤ132側のクラッチの油圧を制御するための後進クラッチ圧力センサ230bが接続されて、この制御信号を出力する。
また、走行系ECU3には、第1Hi−Lo変速クラッチ62における第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63側のクラッチの状態を検出する第1クラッチLo側圧力スイッチ222の検出結果と、第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64側のクラッチの状態を検出する第1クラッチHi側圧力スイッチ221の検出結果とが入力する。走行系ECU3には、第2Hi−Lo変速クラッチ72における第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73側のクラッチの状態を検出する第2クラッチLo側圧力スイッチ226の検出結果と、第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74側のクラッチの状態を検出する第2クラッチHi側圧力スイッチ225の検出結果とが入力する。
走行系ECU3には、ノークラ設定スイッチ28からのオン、オフを示す情報と、主変速レバー29の操作位置を検出する主変速レバー位置センサ210からの検出結果と、副変速レバー34の操作位置を検出する副変速位置センサ231からの検出結果と、前後進切換レバー26の操作位置を検出する前後進レバー操作位置センサ27からの検出結果と、PT0軸8aの回転数を検出するPT0回転センサ321からの検出結果とが入力する。さらに、走行系ECU3には、操作パネル32などに設けられた走行―作業切換スイッチ322、PT0自動―手動切換スイッチ323、PT0入り切りスイッチ324の状態を示す情報が入力する。
走行系ECU3は、前後進油圧クラッチ124における前後進出力第1ギヤ131側のクラッチを作動させる前進切換ソレノイド261と、前後進出力第2ギヤ132側のクラッチを作動させる後進切換ソレノイド262と、前進と後進との切り換え時のショックを軽減するために前後進油圧クラッチ124の作動時における油圧を制御する前後進昇圧ソレノイド265と、が接続されて、これらの制御信号を出力する。
また、走行系ECU3は、第1主変速シフター92を、主変速機構第1中間軸81と第1主変速第1ギヤ93とが連結する側に作動させる第1主変速第1ソレノイド251と、主変速機構第1中間軸81と第1主変速第2ギヤ94とが連結する側に作動させる第1主変速第2ソレノイド252と、が接続されて、これらの制御信号を出力する。走行系ECU3は、第2主変速シフター102を、主変速機構第2中間軸85と第2主変速第1ギヤ103とが連結する側に作動させる第2主変速第1ソレノイド255と、主変速機構第2中間軸85と第2主変速第2ギヤ104とが連結する側に作動させる第2主変速第2ソレノイド256と、が接続されて、これらの制御信号を出力する。
また、走行系ECU3は、第1Hi−Lo変速Lo側ギヤ63側のクラッチを作動させる第1Lo側ソレノイド242と、第1Hi−Lo変速クラッチ62における第1Hi−Lo変速Hi側ギヤ64側のクラッチを作動させる第1Hi側ソレノイド241と、が接続されて、これらの制御信号を出力する。走行系ECU3は、第2Hi−Lo変速Lo側ギヤ73側のクラッチを作動させる第2Lo側ソレノイド246と、第2Hi−Lo変速クラッチ72における第2Hi−Lo変速Hi側ギヤ74側のクラッチを作動させる第2Hi側ソレノイド245と、が接続されて、これらの制御信号を出力する。
また、走行系ECU3は、前輪増速切換機構172を作動させる4WDソレノイド325及び前輪増速ソレノイド326と、PT0クラッチ161を作動させるPT0クラッチソレノイド327と、作業者に警報などを与えるブザー328とが接続されて、これらの制御信号を出力する。
走行系ECU3は、トラクタ1の制御を行う場合には、例えば、主変速レバー位置センサ210等の検出結果に基づいて、処理部が上記コンピュータプログラムを当該処理部に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて第1Hi側ソレノイド241等のアクチュエータ類を制御することにより、トラクタ1の走行制御を行う。その際に処理部は、適宜記憶部へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。
本実施形態に係るトラクタ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。トラクタ1の走行時には、主変速レバー29と副変速レバー34とによって主変速装置40と副変速装置140との変速指示を行い、アクセルペダル22やアクセルレバーでエンジン7の回転数を調節する。また、進行方向を切り換える場合には、前後進切換レバー26を操作することにより、前進と後進とを切り換える。これらの操作は、センサ類で検出して走行系ECU3などに入力され、入力された情報に基づいて走行系ECU3がソレノイド等を作動させることにより、エンジン7の運転制御や主変速装置40、副変速装置140の変速制御を行い、任意の走行状態で走行する。
また、進路の調節はステアリングハンドル10を操作することにより行い、減速はブレーキペダル21を操作することにより行うが、ブレーキペダル21は減速時のみでなく、急旋回時にも使用する。即ち、急旋回する際には、旋回方向における内側の後輪5に対応するブレーキペダル21を操作して、この後輪5にのみ制動力を発生させることにより、前輪4を操舵することのみの旋回時よりも、小回りすることができる。
また、トラクタ1は、圃場で作業を行ったり、路上を走行したりすることが可能になっているが、圃場と路上とでは、走行時における適切な速度領域が異なっている。このため、トラクタ1の走行時には、走行する場所等の走行状態に応じて主変速レバー29や副変速レバー34を操作することにより、速度領域を切り換える。即ち、主変速レバー29や副変速レバー34を操作することによって、走行時における速度領域を切り換える。
例えば、圃場で作業を行う場合には、トラクタ1は、作業時の速度に応じて、作業者が主変速レバー29を手動変速の1速〜8速のうちいずれかに切り換えるとともに副変速レバー34を超低速、低速、中速、高速のうちいずれかに切り換える。
主変速レバー29の位置は、主変速レバー位置センサ210により検出され、副変速レバー34の位置は、副変速位置センサ231により検出される。走行系ECU3は、主変速レバー位置センサ210からの検出結果に応じて、第1Hi側ソレノイド241、第1Lo側ソレノイド242、第2Hi側ソレノイド245、第2Lo側ソレノイド246、第1主変速第1ソレノイド251、第1主変速第2ソレノイド252、第2主変速第1ソレノイド255、第2主変速第2ソレノイド256を制御することにより、主変速装置40の変速段を主変速レバー29で選択されている変速段に切り換える。また、走行系ECU3は、副変速位置センサ231からの検出結果に応じて、副変速第1シフター144及び副変速第2シフター171を作動させ、副変速装置140を、超低速、低速、中速、高速のうちいずれかに切り換える。
また、路上を走行する場合には、トラクタ1は、作業者が連結ピン23により2つのブレーキペダル21を連結し、主変速レバー29を自動変速に切り換えることが望ましい。主変速レバー29を自動変速に切り換えると、トラクタ1は、アクセルペダル22のペダル操作に基づく主変速装置40の変速制御であるアクセル変速を行う。このアクセル変速は、アクセル操作位置検出センサ306で検出するアクセルペダル22の踏込量と、車速センサ211で検出する車速と、エンジン回転センサ302で検出するエンジン回転数とに応じて、主変速装置40の変速段を切り換える。つまり、アクセルペダル22の踏込量と車速とエンジン回転数とに対応する主変速装置40の変速段が予め設定されて、走行系ECU3の記憶部に記憶されており、走行系ECU3は、これらの検出結果に応じた変速段を導出し、主変速装置40の変速段を導出した変速段に切り換える。
また、路上を走行する場合には、トラクタ1は、作業者が連結ピン23により2つのブレーキペダル21を連結し、主変速レバー29を自動変速に切り換えることに加え、ノークラ設定スイッチ28をオンして、クラッチ制御モードを実行するのが望ましい。トラクタ1は、クラッチ制御モードを実行することにより、クラッチペダル20をペダル操作することなく、ブレーキペダル21のペダル操作のみによりエンジン7を停止させることなく、停止することができる。図13は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードのフローチャートの一例である。図14は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの前進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化を説明する図である。図15は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の一例を説明する図である。図16は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の他の例を説明する図である。図17は、本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタのクラッチ制御モードの後進からの停止時の前後進油圧クラッチの油圧の変化の別の他の例を説明する図である。
クラッチ制御モードでは、走行系ECU3は、ノークラ設定スイッチ28が前記クラッチ制御モードを実行し即ちオンで、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が前進であることを検出し、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、機体2を停止するように前後進油圧クラッチ124の前側のクラッチの圧力を所定値である圧力Pまで減少させるための所定の出力値A(電流値)を、最初にクラッチ制御モードを実行する際に前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力するものである。
なお、トラクタ1製造時に、走行系ECU3から比例弁に出力される出力値D(電流値)に、出力値D(電流値)での前側のクラッチ内の圧力と所定値である圧力Pとの差を調整(除去)するための補正値X(電流値)を算出する。そして、所定の出力値Aは、予めプログラムで設定されている制御出力値(C)に補正値Xを加えた値であり、以下の式1で示される。即ち、走行系ECU3が前後進油圧クラッチ124の比例弁に所定の出力値A(電流値)を出力すると、前後進油圧クラッチ124の前側のクラッチの圧力が圧力Pと略等しくなる。
A=C±X・・・・・・式1
また、走行系ECU3は、クラッチ制御モードにおいて、前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力値A(電流値)を出力した後、前側クラッチ圧力センサ230aの検出結果に基づいて、前側のクラッチ内の圧力が圧力Pとなるように、出力値Aを修正し、修正後の出力値(A±B)を前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力する。さらに、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を更新して、最新の修正後の出力値(A±B)を記憶する。さらに、走行系ECU3は、最新の修正後の出力値(A±B)を記憶した状態では、クラッチ制御モードにおいて、前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力値Aを出力することなく、最新の修正後の出力値(A±B)を出力し、前側クラッチ圧力センサ230aの検出結果に基づいて、前側のクラッチ内の圧力が圧力Pとなるように前後進油圧クラッチ124を制御する。このように、走行系ECU3は、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が前進であることを検出した状態では、製造後に、出力値Aを一度のみ出力し、修正後の出力値(A±B)を記憶すると、最新の修正後の出力値(A±B)を出力する。
また、クラッチ制御モードでは、走行系ECU3は、ノークラ設定スイッチ28が前記クラッチ制御モードを実行し即ちオンで、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が後進であることを検出し、修正後の出力値(A±B)を記憶していると、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、修正後の出力値(A±B)を前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力するものである。さらに、クラッチ制御モードでは、走行系ECU3は、ノークラ設定スイッチ28が前記クラッチ制御モードを実行し即ちオンで、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が後進であることを検出し、修正後の出力値(A±B)を記憶していないと、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、出力値Aを前後進油圧クラッチ124の比例弁に出力するものである。
クラッチ制御モードでは、走行系ECU3は、ブレーキ連結検出スイッチ24がオンであるか否かを判定し、オンではないと判定する(ステップST1:No)と、ステップST1を繰り返す。即ち、走行系ECU3は、ブレーキ連結検出スイッチ24がオンになるまで、即ち、2つのブレーキペダル21が連結されるまでは、クラッチ制御モードを実行することを規制する。このことは、2つのブレーキペダル21を連結しない状態での路上走行を規制するためである。
また、走行系ECU3は、ブレーキ連結検出スイッチ24がオンであると判定する(ステップST1:Yes)と、ノークラ設定スイッチ28がオンされたか否かを判定する(ステップST2)。走行系ECU3は、ノークラ設定スイッチ28がオンされていないと判定する(ステップST2:No)と、主変速レバー29の操作位置が自動変速であるか否かを判定する(ステップST3)。走行系ECU3は、主変速レバー29の操作位置が自動変速でないと判定する(ステップST3:No)と、ステップST1に戻る。即ち、走行系ECU3は、ノークラ設定スイッチ28がオンされていないと、主変速レバー29の操作位置が自動変速とならない限りは、クラッチ制御モードを実行することを規制する。
走行系ECU3は、主変速レバー29の操作位置が自動変速であると判定する(ステップST3:Yes)と、ノークラ設定スイッチ28がオンされていなくても、クラッチ制御モードをオンとする(ステップST4)。そして、走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出したか否かを判定する(ステップST5)。走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出していないと判定する(ステップST5:No)と、ステップST1に戻る。走行系ECU3は、ブレーキペダル21がペダル操作されていない場合、即ち、機体2が停止しようとしていない場合には、ステップST1に戻り、ステップST1からステップST5を繰り返す。
走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出したと判定する(ステップST5:Yes)と、前後進レバー操作位置センサ27の検出結果に基づいて、前後進切換レバー26の操作位置が前進であるか否かを判定する(ステップST6)。走行系ECU3は、前後進切換レバー26の操作位置が前進であると判定する(ステップST6:Yes)と、修正後の出力値(A±B)を記憶している場合には、最新の修正後の出力値(A±B)を前後進油圧クラッチ124に出力し、修正後の出力値(A±B)を記憶していない場合には、出力値Aを前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるように制御する(ステップST7)。
すると、走行系ECU3は、図14に示すように、時間t0でブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、時間t0から時間t1までの間、前後進油圧クラッチ124の圧力を急激に減少させた後、時間t1から最新の修正後の出力値(A±B)又は出力値Aを出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるようにフィードバック制御する。なお、図14に実線で示すパターンは、時間t1から出力値Aを出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるようにフィードバック制御するパターンであり、図14に一点鎖線で示すパターンは、時間t1から最新の修正後の出力値(A±B)を出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるようにフィードバック制御するパターンである。また、時間t0から時間t1までの時間は、例えば、0.2秒程度などの前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させることができる時間であるのが望ましい。また、出力値Aを出力した際の前後進油圧クラッチ124内の圧力と、修正後の出力値(A±B)を出力した際の前後進油圧クラッチ124内の圧力とは、ともに略圧力Pとなるが、図14〜図17では、本発明では、出力値Aを出力した際の前後進油圧クラッチ124内の圧力を、修正後の出力値(A±B)を出力した際の前後進油圧クラッチ124内の圧力よりも高い圧力と記している。
走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)又は出力値Aを前後進油圧クラッチ124に出力して、所定時間T(図14に示す)経過した後、車速センサ211の検出結果に基づいて機体2が停止しているか否かを判定する(ステップST8)。走行系ECU3は、機体2が停止していないと判定する(ステップST8:No)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力が時間ΔT毎に圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させる(ステップST9)。即ち、走行系ECU3は、所定時間T経過した時間t2に、機体2が停止してない場合には、圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する。そして、走行系ECU3は、時間ΔT経過した時間t2aに、機体2が停止してない場合には、圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力し、更に、時間ΔT経過した時間t2bに、機体2が停止してない場合には、圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させる。そして、所定時間Tは例えば1秒などの前後進油圧クラッチ124の圧力が収束する時間であるのが望ましく、時間ΔTは、例えば0.15秒であるのが望ましく、圧力ΔPは、10kPaであるのが望ましく、圧力ΔP減少させる出力値を出力するのは最大で3回であるのが望ましく、圧力Pから最大で30kPa減少させるのが望ましい。なお、図14で実線は、走行系ECU3は、所定時間T経過した後、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力した例を示している。
このように、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、ノークラ設定スイッチ28がクラッチ制御モードを実行し、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が前進であることを検出し、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出してから所定時間T経過するまでは、修正後の出力値(A±B)を出力して前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるように制御する。走行系ECU3は、所定時間T経過した後に、車速センサ211が後輪5の回転を検出すると、後輪5が停止するまで時間の経過とともに前後進油圧クラッチ124の圧力を所定値Pよりも減少させる。
走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから検出しなくなったか否かを判定する(ステップST10)。走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから継続して検出していると判定する(ステップST10:No)と、即ち、一旦停止した後に再発進する場合でないと、ステップST1に戻る。
走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから検出しなくなったと判定する(ステップST10:Yes)と、即ち、機体2が再発進する場合であると、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたか否か、即ち、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力したか否かを判定する(ステップST11)。走行系ECU3は、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させていないと判定する(ステップST11:No)と、図14に実線で示すように標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する(ステップST12)。
走行系ECU3は、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたと判定する(ステップST11:Yes)と、図14に二点鎖線で示すように、圧力ΔP減少させた分の総和の圧力を増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力した後、標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する(ステップST12)。
また、走行系ECU3は、前後進切換レバー26の操作位置が前進でないと判定する(ステップST6:No)と、前後進レバー操作位置センサ27の検出結果に基づいて、前後進切換レバー26の操作位置が後進であるか否かを判定する(ステップST20)。走行系ECU3は、前後進切換レバー26の操作位置が後進でないと判定する(ステップST20:No)と、ステップST1に戻る。
走行系ECU3は、前後進切換レバー26の操作位置が後進であると判定する(ステップST20:Yes)と、修正後の出力値(A±B)を記憶しているか否かを判定する(ステップST21)。走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶していると判定する(ステップST21:Yes)と、最新の修正後の出力値(A±B)を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるように制御する(ステップST22)。
すると、走行系ECU3は、図15に示すように、時間t0でブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、時間t0から時間t1までの間、前後進油圧クラッチ124の圧力を急激に減少させた後、時間t1から最新の修正後の出力値(A±B)を出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力を制御する。そして、走行系ECU3は、所定時間T(図15に示す)経過した後、車速センサ211の検出結果に基づいて機体2が停止しているか否かを判定する(ステップST8)。走行系ECU3は、機体2が停止していないと判定する(ステップST8:No)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力が時間ΔT毎に圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させる(ステップST9)。
このように、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、ノークラ設定スイッチ28がクラッチ制御モードを実行し、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が後進であることを検出し、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出してから所定時間T経過するまでは、修正後の出力値(A±B)を出力して前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるように制御する。走行系ECU3は、所定時間T経過した後に、車速センサ211が後輪5の回転を検出すると、後輪5が停止するまで時間の経過とともに前後進油圧クラッチ124の圧力を所定値Pよりも減少させる。
そして、走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから検出しなくなったと判定する(ステップST10:Yes)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたか否か、即ち、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力したか否かを判定し(ステップST11)、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させていないと判定する(ステップST11:No)と、図15に実線で示すように標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力し(ステップST12)、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたと判定する(ステップST11:Yes)と、図15に二点鎖線で示すように、圧力ΔP減少させた分の総和の圧力を増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力した後、標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する(ステップST12)。
また、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶していないと判定する(ステップST21:No)と、副変速位置センサ231からの検出結果に基づいて副変速レバー34の操作位置が超低速又は低速であるか否かを判定する(ステップST30)。走行系ECU3は、副変速レバー34の操作位置が超低速又は低速でない、即ち中速又は高速であると判定する(ステップST30:No)と、出力値Aを前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなるように制御する(ステップST31)。
すると、走行系ECU3は、図16に示すように、時間t0でブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、時間t0から時間t1までの間、前後進油圧クラッチ124の圧力を急激に減少させた後、時間t1から出力値Aを出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力を制御する。そして、走行系ECU3は、所定時間T(図16に示す)経過した後、車速センサの検出結果に基づいて機体2が停止しているか否かを判定する(ステップST8)。走行系ECU3は、機体2が停止していないと判定する(ステップST8:No)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力が時間ΔT毎に圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124内の圧力を減少させる(ステップST9)。
このように、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、ノークラ設定スイッチ28がクラッチ制御モードを実行し、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が後進であることを検出し、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出し、機体2に設けられた副変速装置140の減速比の小さな場合である中速又は高速であると、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出してから所定時間T経過するまでは、出力値Aを出力して前後進油圧クラッチ124の圧力を制御する。走行系ECU3は、所定時間T経過した後に、車速センサ211が後輪5の回転を検出すると、後輪5が停止するまで時間の経過とともに前後進油圧クラッチ124の圧力を所定値Pよりも減少させる。
そして、走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから検出しなくなったと判定する(ステップST10:Yes)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたか否か、即ち、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力したか否かを判定し(ステップST11)、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させていないと判定する(ステップST11:No)と、図16に実線で示すように標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力し(ステップST13)、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたと判定する(ステップST11:Yes)と、図16に二点鎖線で示すように、圧力ΔP減少させた分の総和の圧力を増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力した後、標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する(ステップST12)。
また、走行系ECU3は、副変速レバー34の操作位置が超低速又は低速であると判定する(ステップST30:Yes)と、ペダル操作を検出した時間t0から時間t1になると、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも所定減少値ΔPP(図17に示す)減少させる減少出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pよりも所定減少値ΔPP減少するように制御する(ステップST32)。
すると、走行系ECU3は、図17に示すように、時間t0でブレーキペダル21のペダル操作を検出すると、時間t0から時間t1までの間、前後進油圧クラッチ124の圧力を急激に減少させた後、時間t1から減少出力値を出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力を制御する。そして、走行系ECU3は、所定時間T(図17に示す)経過した後、車速センサ211の検出結果に基づいて機体2が停止しているか否かを判定する(ステップST8)。走行系ECU3は、機体2が停止していないと判定する(ステップST8:No)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力が時間ΔT毎に圧力ΔP減少する出力値を前後進油圧クラッチ124に出力して、前後進油圧クラッチ124内の圧力を減少させる(ステップST9)。なお、所定減少値ΔPPは、例えば、30kPaであるのが望ましく、圧力Pから最大で60kPa減少させるのが望ましい。
このように、走行系ECU3は、修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、ノークラ設定スイッチ28がクラッチ制御モードを実行し、前後進レバー操作位置センサ27が前後進切換レバー26の操作位置が後進であることを検出し、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出し、機体2に設けられた副変速装置140の減速比の大きな場合である超低速又は低速であると、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を検出してから所定時間T経過するまでは、所定減少値ΔPPを出力して前後進油圧クラッチ124の圧力を制御する。走行系ECU3は、所定時間T経過した後に、車速センサ211が後輪5の回転を検出すると、後輪5が停止するまで時間の経過とともに前後進油圧クラッチ124の圧力を所定減少値ΔPPよりも減少させる。
そして、走行系ECU3は、ブレーキ操作位置センサ25がブレーキペダル21のペダル操作を一旦検出してから検出しなくなったと判定する(ステップST10:Yes)と、前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力Pよりも減少させたか否か、即ち、所定減少値ΔPP減少させる減少出力値又は時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力したか否かを判定し(ステップST11)、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力していないと判定する(ステップST11:No)と、図17に実線で示すように所定減少値ΔPP増加させる出力値を出力した後に、標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力し(ステップST13)、時間ΔT毎に圧力ΔP減少させる出力値を出力したと判定する(ステップST11:Yes)と、図16に二点鎖線で示すように、所定減少値ΔPPと圧力ΔP減少させた分の総和の圧力を増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力した後、標準パターン通りに前後進油圧クラッチ124内の圧力を圧力P1まで増加させる出力値を前後進油圧クラッチ124に出力する(ステップST12)。
また、前述した実施形態では、圧力P、P1、P3、ΔP、ΔPPは、副変速装置140の変速段毎に定められるのが望ましく、出力値A、(A±B)も副変速装置140の変速段毎に定められるのが望ましい。
以上のように、本実施形態のトラクタ1の構成によれば、前進時に、ブレーキペダル21がペダル操作されると、走行系ECU3が機体2を停止するように前後進油圧クラッチ124の圧力を圧力Pまで減少させる所定の出力値A、又は、修正後の出力値(A±B)を出力して、前後進油圧クラッチ124の圧力を圧力Pまで減少させる。このために、ブレーキペダル21をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体2を停止させることができる。
また、走行系ECU3が、ブレーキペダル21がペダル操作されて所定時間T経過した後に、機体2が移動していると、さらに、前後進油圧クラッチ124の油圧を圧力Pよりも徐々に時間ΔT毎に圧力ΔPずつ減少させる。このために、ブレーキペダル21がペダル操作されて所定時間T経過した後に、機体2が移動していても、速やかに、機体2を停止させることができる。
さらに、走行系ECU3が、機体2の停止中も前後進油圧クラッチ124の油圧を圧力P又は圧力Pよりも低い値に維持するので、ブレーキペダル21のペダル操作をやめると、機体2が速やかに発進することができる。
また、トラクタ1は、後進時にブレーキペダル21がペダル操作されると、走行系ECU3が、機体2を停止するように前後進油圧クラッチ124の圧力を圧力Pまで減少させるための修正後の出力値(A±B)を出力する。このために、比較的トルクの大きな後進時にも、ブレーキペダル21をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体2を停止させることができる。
また、走行系ECU3が、後進時に、前進時に記憶した修正後の出力値(A±B)を出力するので、前後進油圧クラッチ124の後進側のクラッチの油圧を検出するためのセンサを設ける必要がなく、前後進油圧クラッチ124の後進側のクラッチの油圧を制御することができ、廉価な構成とすることができる。
また、トラクタ1によれば、修正後の出力値(A±B)を記憶していない場合には、後進時にブレーキペダル21をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pよりも所定減少値ΔPP減少させる減少出力値を走行系ECU3が出力する。このために、比較的トルクの大きな後進時には、ブレーキペダル21をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ124の圧力を速やかに圧力Pよりも所定減少値ΔPP減少させることができる。したがって、このために、修正後の出力値(A±B)を記憶していなくても、比較的トルクの大きな後進時に、ブレーキペダル21をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体2を停止させることができる。
また、副変速装置140の減速比が大きな超低速又は低速の場合に、走行系ECU3が後進時にブレーキペダル21をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pよりも所定減少値ΔPP減少させる減少出力値を出力する。このために、特に、トルクの大きな後進時の減速比が大きな場合であっても、ブレーキペダル21をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体2を停止させることができる。
また、トラクタ1によれば、副変速装置140の減速比が小さな場合に、走行系ECU3が後進時にブレーキペダル21をペダル操作すると、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pとなる出力値Aを出力する。このために、特に、後進時であっても、ブレーキペダル21をペダル操作するとエンストすることなく速やかに機体2を停止させることができる。また、停止時には、前後進油圧クラッチ124の圧力が圧力Pよりもはるかに減少して、低くなり過ぎることを抑制できるので、ブレーキペダル21のペダル操作を止めると、速やかに機体2を発進させることができる。
なお、実施形態では、前後進油圧クラッチ124の後側のクラッチ内の圧力を制御する後進クラッチ圧力スイッチ230bを設けているが、本発明では、前後進油圧クラッチ124の後側のクラッチ内の圧力を検出する圧力センサを設けて、前後進油圧クラッチ124の後側のクラッチ内の圧力を制御する際も、前述した実施形態の前側のクラッチ内の圧力と同様に制御してもよい。
1 トラクタ(作業車両)
2 機体
3 走行系ECU(制御手段)
5 後輪(車輪)
7 エンジン
21 ブレーキペダル
25 ブレーキ操作位置センサ(ブレーキ操作検出手段)
26 前後進切換レバー
27 前後進レバー操作位置センサ(前後進切換レバー検出手段)
28 ノークラ設定スイッチ(設定手段)
124 前後進油圧クラッチ
140 副変速装置
211 車速センサ(車速検出手段)
P 所定値
ΔPP 所定減少値
A 所定の出力値
A±B 修正後の出力値
T 所定時間

Claims (5)

  1. 機体(2)に搭載されたエンジン(7)から伝達されてくる動力によって駆動される車輪(5)をペダル操作に応じて制動するためのブレーキペダル(21)と、
    前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出するブレーキ操作検出手段(25)と、
    前記動力による前記車輪(5)の前進、後進の切り換え及び前記動力の前記車輪(5)への伝達、遮断を行うための前後進油圧クラッチ(124)と、
    前記車輪(5)の回転に応じた情報を検出する車速検出手段(211)と、
    前記機体(2)の前進、後進を切り換えるための前後進切換レバー(26)の操作位置を検出する前後進切換レバー検出手段(27)と、
    前記ブレーキペダル(21)を操作して前記機体(2)を停止させるクラッチ制御モードを実行、又は非実行を切り換える設定手段(28)と、
    前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が前進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、前記機体(2)を停止するように前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を所定値(P)と略等しくなるまで減少させるための所定の出力値(A)を出力する制御手段(3)と、を備え、
    前記制御手段(3)は、
    前記所定の出力値(A)を出力した後、前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力が前記所定値(P)となるように前記所定の出力値(A)を修正し、修正後の出力値(A±B)を記憶しておき、
    修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が前進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、
    前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記修正後の出力値(A±B)を出力して前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力が前記所定値(P)となるように制御し、
    前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)の回転を検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させる
    ことを特徴とする作業車両(1)。
  2. 前記制御手段(3)は、
    前記修正後の出力値(A±B)を記憶した状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、
    前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記修正後の出力値(A±B)を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、
    前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)の回転を検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1)。
  3. 前記制御手段(3)は、
    前記修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出すると、
    前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから時間(t1)になると、前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでは、前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも所定減少値(ΔPP)減少させる減少出力値を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、
    前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)が回転することを検出すると、車輪(5)の回転が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定減少値(ΔPP)よりも減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1)。
  4. 前記制御手段(3)は、
    前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでに前記減少出力値を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力するのは、前記機体(2)に設けられた副変速装置(140)の減速比が大きな場合である
    ことを特徴とする請求項3に記載の作業車両(1)。
  5. 前記制御手段(3)は、
    前記修正後の出力値(A±B)を記憶していない状態で、前記設定手段(28)が前記クラッチ制御モードを実行し、前記前後進切換レバー検出手段(27)が前後進切換レバー(26)の操作位置が後進であることを検出し、前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出し、前記機体(2)に設けられた副変速装置(140)の減速比が小さな場合では、
    前記ブレーキ操作検出手段(25)が前記ブレーキペダル(21)のペダル操作を検出してから所定時間(T)経過するまでに前記所定の出力値(A)を前記前後進油圧クラッチ(124)に出力し、
    前記所定時間(T)経過した後に、前記車速検出手段(211)が前記車輪(5)が回転することを検出すると、前記車輪(5)が停止するまで時間の経過とともに前記前後進油圧クラッチ(124)の圧力を前記所定値(P)よりも減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両(1)。
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