JP2005051504A - 光受信回路 - Google Patents

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真杉 伊東
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【課題】 従来の光受信回路は、受光素子出力側とアンプ入力側のインピーダンス不整合により、広帯域にわたって良好な周波数特性が得られず、C/Nや歪特性が悪い。
【解決手段】 本発明の光受信回路は、光信号を電気信号へ変換する光電変換素子と、光電変換素子に生じる電流を電圧に変換するバイアス回路を備えた光受信回路において、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出した電気信号を入力するプッシュプル構成の増幅回路と、夫々の増幅回路からの出力を合成して出力する位相反転混合器を備えたものである。前記光受信回路における夫々の増幅回路の入力側手前にRFトランスを備えることもできる。位相反転混合器としてバラントランスを使用することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は入力される光信号(光情報信号)を電気信号に変換する光受信回路に関するものであり、CATVシステムでの利用に適するものである。
光受信回路は、通常は、図3に示すように、入力される光信号を受光素子(フォトダイオード:PD)にて電気信号に変換し、変換した電気信号を、アンプ(増幅回路:Amp)で増幅して出力する。このとき、受光素子の出力側インピーダンスとアンプの入力側インピーダンスとのインピーダンス特性が異なると伝送損失が大きくなる。広帯域な周波数範囲では特にインピーダンス特性が異なるため伝送損失が大きくなる。伝送損失が大きい場合、アンプへの入力レベルが低下するためC/N特性(信号対雑音特性)が劣化する。また、広帯域な周波数範囲にわたって良好な周波数特性が得られない。この損失を少なくする為に、受光素子の出力とアンプの入力との間にインピーダンスのマッチング回路を設けてインピーダンスを整合させている。
従来の光受信回路には図4〜図7に示すものがある。
図4に示す光受信回路は、受光素子PDのアノード側にバイアス抵抗Rが接続され、カソード側にコイル(インダクタ)LとバイパスコンデンサC1、C2によるローパスフィルタが接続されている。受光素子PDのカソード側には逆バイアス電源Vccが接続されて、受光素子PDに逆バイアス電圧が加わるようにしてある。受光素子PDのアノード側とバイアス抵抗Rの接続中点に結合コンデンサC3を介してアンプAが接続されている。
図4の光受信回路では、受光素子PDに光信号(光情報)が受光されると、その光信号が受光素子PDによりO/E変換されて電流が出力され、その電流がバイアス抵抗Rに流れて同抵抗Rの両端間に電圧(光信号に対応した高周波電気信号)が発生し、それが取り出されてアンプAで増幅され、出力される。図4の光受信回路がCATVシステムに用いられる場合、通常、アンプAの入力インピーダンスは50〜75Ωであるため、バイアス抵抗Rの抵抗値を数kΩ程度にしてマッチングロスを軽減し、変換される電気信号の周波数特性が広帯域で良好になるようにしている。図4のようにバイアス抵抗Rによってインピーダンスのマッチングを図る方式は、抵抗マッチング方式と呼ばれている。
図5の光受信回路は基本的には図4の光受信回路と同じであり、異なるのは電気信号を受光素子PDのカソード側から取り出すようにしたことである。この場合も図4の光受信回路と同様の動作をする。
図6の光受信回路も基本的には図4の光受信回路と同じであり、異なるのはマッチング回路にRFトランスTを使用したことである。この方式はトランスマッチング方式と呼ばれている。この方式は、一般的には、抵抗マッチング方式に較べてインピーダンス整合が得られ、マッチング損失が軽減されるため、C/N特性が良くなる。しかし、RFトランスの特性から、広帯域にわたって良好な周波数特性が得にくくなるという不都合がある。
図7の光受信回路はアンプAの歪特性を考慮したものであり、アンプ部をプッシュプル構成にしてある。これは受光素子PDのカソード側から取出した高周波電気信号を逆相分配器Dで分配してからアンプA1、A2で別々に増幅し、増幅された高周波電気信号を逆相混合器Mで混合するため、分配された両高周波電気信号の2次歪が相殺されて歪特性が改善される。光伝送特性の歪特性においては、受信回路の2次歪特性が特に悪い傾向にあるが、このプッシュプル方式では2次歪特性が改善される。
図4〜図7の光受信回路は次のような課題がある。
1.受信感度を上げるためにはバイアス抵抗Rの値を大きくとる必要があるが、実際はフォトダイオードPDの電極間容量のために、バイアス抵抗Rの増加とともに出力低下、特に、高周波領域における出力低下が著しくなる。これは光信号がオーディオ信号、ビデオ信号等である場合は、音質面からも、再像面からも好ましくない。
2.光変調方式に強度変調を用いた光伝送方式では、受光素子PDへの光入力レベルが高くなると変換される電気信号レベルも高くなる。しかし、マッチング回路はマッチング損失を少なくするためにレベル調整機能を持たないものが多い。このため、光入力レベルの変動に応じてアンプAの出力レベルが変動し、アンプAの出力レベルが高くなると、アンプAの出力の歪特性が劣化する。通常は、その劣化分を考慮して影響のない範囲で光受信回路を使用することとなる。このため、光受信回路においては、インピーダンスマッチング回路における損失を軽減し、C/N特性を改善し、アンプにおける歪特性を抑制することが課題となる。
3.図6のトランスマッチング方式ではインピーダンス整合が得られ易く、マッチング損失が軽減されるため、C/N特性は向上するが、RFトランスの特性から、広帯域にわたって良好な周波数特性の電気信号を得るには限界がある。
4.図7のアンプ部をプッシュプル構成にしたものは、受光素子PDから発生する2次歪特性を解消することはできるが、アンプAの前の逆相分配器Dで分配ロスが生じ、それに伴ってC/Nが悪化し、周波数特性も悪化する。
本発明は広帯域な光受信特性を持ち、良好な信号対雑音比特性(C/N)及び歪特性持つ光受信回路に関するものである。
請求項1記載の光受信回路は、光信号を電気信号へ変換する光電変換素子と、光電変換素子に生じる電流を電圧に変換するバイアス回路を備えた光受信回路において、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出した電気信号を入力するプッシュプル構成の増幅回路と、夫々の増幅回路からの出力を合成して出力する位相反転混合器を備えたものである。
請求項2記載の光受信回路は、光信号を電気信号へ変換する光電変換素子と、光電変換素子に生じる電流を電圧に変換するバイアス回路を備えた光受信回路において、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出した電気信号を入力するプッシュプル構成の増幅回路と、夫々の増幅回路からの出力を合成して出力する位相反転混合器を備え、夫々の増幅回路の入力側手前にRFトランスを備えたものである。
本発明の光受信回路は、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出された逆位相の高周波電気信号がプッシュプル構成の増幅回路に入力され、プッシュプル増幅回路で増幅されてから逆相混合器により混合されるので、両電気信号に含まれる歪、受信回路から発生する二次歪が相殺される。このため、広帯域な光受信特性を持ち、良好な信号対雑音比特性及び歪特性が得られる。高額な受信モジュール部品を装置に実装する必要が無くなるため製品のコストダウンが図られる。分配器を使用しないため、それを使用する場合のような分配損失がなく、分配損失によるC/N特性の劣化もない。
(実施形態1)
本発明の光受信回路の一実施形態を図1を参照して説明する。図1の光受信回路はこの種の光受信回路と同様に、受光素子(光電変換素子)PDのアノード側にバイアス抵抗Rが接続され、カソード側にインダクタLとバイパスコンデンサC1からなるローパスフィルタが接続され、受光素子PDのカソード側に逆バイアス電源Vccが接続されている。
そして、図1では、受光素子PDのアノード側とバイアス抵抗Rの接続中点に結合コンデンサC3を介してアンプAが接続され、受光素子PDのカソード側に結合コンデンサC4を介してアンプAが接続され、両アンプAの出力側が混合器Mに接続されて、プッシュプルの増幅回路が構成されている。
図1の光受信回路では、受光素子PDが光信号を受けるとO/E変換されて電流が出力され、その電流がバイアス抵抗Rに流れて同抵抗Rの両端間に高周波電気信号が発生し、それが受光素子PDのアノード側とカソード側から取り出される。取り出される高周波電気信号は位相特性がほぼ反転している。両高周波電気信号はプッシュプル構成のアンプAで増幅され、逆相の混合器Mで混合されて出力される。この混合により、受信回路から発生する2次歪が相殺され、良好な状態で出力される。通常、CATVにおいて、アンプAの入力インピーダンスは50〜75Ωのため、マッチングロスを軽減し、電気信号に変換される周波数特性を広帯域で特性を得る為,図1の光受信回路のバイアス抵抗値は〜数kΩ程度とするのがよい。
(実施形態2)
本発明の光受信回路の他の例を図2を参照して説明する。図2の光受信回路も図1の光受信回路と同様に、受光素子PDのアノード側にバイアス抵抗Rが接続され、カソード側にインダクタLとバイパスコンデンサC1からなるローパスフィルタが接続され、受光素子PDのカソード側に逆バイアス電源Vccが接続されている。
そして、図2では、受光素子PDとアンプAのインピーダンスマッチングにRFトランスTを使用し、更に、マッチングを向上させる為にコイルL1、L2やコンデンサC5、C6を入れてある。具体的には、受光素子PDのアノード側とバイアス抵抗Rの接続中点に結合コンデンサC3、コイルL1、RFトランスT1を入れてアンプA1を接続してプッシュプルの増幅回路を構成し、受光素子PDのカソード側に結合コンデンサC4、コイルL2、RFトランスT2を入れてアンプA2を接続してある。前記コイルL1、L2を入れることにより、光電変換素子を含む光受信回路に含まれるC成分がキャンセルされ、前記コンデンサC5、C6を入れることにより、光電変換素子を含む光受信回路に含まれるL成分がキャンセルされて周波数特性が補正されるようにしてある。バラントランスBTは両アンプA1、A2から出力される高周波電気信号の位相を反転して混合するものであり、本発明の位相反転混合器、即ち、夫々のアンプA1,A2からの出力を合成して出力する位相反転混合器に含まれる。
図2の光受信回路では、受光素子PDが光信号を受けるとO/E変換されて電流が出力され、その電流がバイアス抵抗Rに流れて同抵抗Rの両端間に高周波電気信号が発生し、それが受光素子PDのアノード側とカソード側から取り出される。取り出される高周波電気信号は位相特性がほぼ反転している。両高周波電気信号はプッシュプル構成のアンプAで増幅され、逆相のバラントランスBTで混合されて出力される。この混合により、受光素子PDから発生する2次歪が相殺され、良好な状態で出力される。通常、CATVにおいて、アンプAの入力インピーダンスは50〜75Ωのため、マッチングロスを軽減し、電気信号に変換される周波数特性を広帯域で特性を得る為,図2の光受信回路のバイアス抵抗値も〜数kΩ程度とするのがよい。
本発明の光受信回路の一例を示す説明図。 本発明の光受信回路の一例を示す説明図。 光受信回路の基本説明図。 従来の抵抗マッチング方式の光受信回路の一例を示す説明図。 従来の抵抗マッチング方式の光受信回路の他例を示す説明図。 従来のトランスマッチング方式の光受信回路の説明図。 従来のプッシュプル増幅回路方式の光受信回路の説明図。
符号の説明
A アンプ
A1 アンプ
A2 アンプ
BT バラントランス
C1 バイパスコンデンサ
C2 バイパスコンデンサ
C3 結合コンデンサ
C4 結合コンデンサ
C5 コンデンサ
C6 コンデンサ
D 逆相分配器
L インダクタ
L1 コイル
L2 コイル
M 逆相混合器
PD 受光素子
R 逆バイアス抵抗
T1 RFトランス
T2 RFトランス
Vcc 逆バイアス電源

Claims (2)

  1. 光信号を電気信号へ変換する光電変換素子と、光電変換素子に生じる電流を電圧に変換するバイアス回路を備えた光受信回路において、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出した電気信号を入力するプッシュプル構成の増幅回路と、夫々の増幅回路からの出力を合成して出力する位相反転混合器を備えたことを特徴とする光受信回路。
  2. 光信号を電気信号へ変換する光電変換素子と、光電変換素子に生じる電流を電圧に変換するバイアス回路を備えた光受信回路において、光電変換素子のカソード側とアノード側から取り出した電気信号を入力するプッシュプル構成の増幅回路と、夫々の増幅回路からの出力を合成して出力する位相反転混合器を備え、夫々の増幅回路の入力側手前にRFトランスを備えることを特徴とする光受信回路。

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