JP2005051097A - 積層電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 量産が容易であり、導体パターンのずれが少なく、狭公差のインダクタンス値が得られる積層電子部品の歩留まりを高める。
【解決手段】 導電性シート110’と絶縁シート131’,132’を交互に積層することによって積層母材165を形成するステップと、積層母材165を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板180を形成するステップと、基板180をあて板190に貼り付けることによって固定するステップと、基板180をあて板190に貼り付けた状態で加工するステップとを備える。本発明では、基板180に対する加工をあて板190に貼り付けた状態で行っていることから、加工時に基板に熱や大きな力が加わったとしても、基板の変形が効果的に防止されるので、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
【選択図】 図12
【解決手段】 導電性シート110’と絶縁シート131’,132’を交互に積層することによって積層母材165を形成するステップと、積層母材165を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板180を形成するステップと、基板180をあて板190に貼り付けることによって固定するステップと、基板180をあて板190に貼り付けた状態で加工するステップとを備える。本発明では、基板180に対する加工をあて板190に貼り付けた状態で行っていることから、加工時に基板に熱や大きな力が加わったとしても、基板の変形が効果的に防止されるので、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
【選択図】 図12
Description
本発明は積層電子部品の製造方法に関し、特に、ヘリカル状のコイル又はコンデンサ等を含む積層電子部品の製造方法に関する。
従来、コイル部品としては、薄膜型のコイル部品や、積層型のコイル部品、さらには、巻線型のコイル部品が知られている。
薄膜型のコイル部品の例としては、例えば特許文献1に記載されているように、コア基板の表面及び裏面にフォトリソグラフィ工法を用いてスパイラル状のコイルを形成したものが知られている。また、積層型のコイル部品の例としては、例えば特許文献2に記載されているように、1/2〜3/4ターンの内部導体パターンを厚み方向に多層積層して内部にヘリカル状のコイルを形成したものが知られている。さらに、巻線型のコイル部品としては、例えば特許文献3に記載されているように、ボビンに巻線となるワイヤをヘリカル状に巻いたものが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載されているような薄膜型のコイル部品においては、導体パターンに高度な微細加工が必要とされるのみならず、高いインダクタンス値を得ることが難しいという問題がある。また、特許文献2に記載されているような積層型のコイル部品においては、内部導体が印刷法により多層積層されるため、印刷ばらつきと積層ばらつきが発生する上、素子を焼成することから、焼成時の収縮や収縮ばらつき等によりインダクタンス精度が低下し、狭公差のコイル部品を得ることが難しいという問題がある。さらに、特許文献3に記載されているような巻線型のコイル部品は、ボビン1個ずつにワイヤを巻線することから、小型化や生産性に難があり、低コストでコイル部品を得ることが難しいという問題がある。
特許2714343号公報
特開平11−103229号公報
特開平11−204352号公報
このような背景から、本発明者らは、量産が容易であり、導体パターンのずれが少なく、狭公差のインダクタンス値が得られるコイル部品を開発した。このコイル部品は、導電層と絶縁層を交互に積層した積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を作製し、この基板を加工することによって作製される。
しかしながら、このような基板は、主に加工が施される主面と積層面とが実質的に垂直であることから、加工時に伸縮が生じやすいことが明らかとなった。このような伸縮が大きいと、フォトリソグラフィ法により形成される導体パターンのずれによって接続不良やショート不良が発生し、製品の歩留まりが低下するおそれが生じる。このような問題は、コイル部品のみならず、コンデンサ部品等の他の積層電子部品においても生じる問題である。
したがって、本発明は、量産が容易であり、導体パターンのずれが少なく、狭公差のインダクタンス値が得られる積層電子部品の歩留まりを高めることを目的とする。
本発明による積層電子部品の製造方法は、少なくとも導電性シートと絶縁シートを交互に積層することによって積層母材を形成する第1のステップと、前記積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を形成する第2のステップと、前記基板をあて板に貼り付けることによって固定する第3のステップと、前記基板を前記あて板に貼り付けた状態で加工する第4のステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、導電性シートと絶縁シートの積層体からなる基板に対する加工をあて板に貼り付けた状態で行っていることから、加工時に基板に熱や大きな力が加わったとしても、基板の変形が効果的に防止されるので、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
本発明において第3のステップは、基板の切断面をあて板に貼り付けることによって基板を固定することが好ましい。これは、基板の変形が積層方向に対して最も生じやすいからである。
また、第4のステップには、基板の表面を研削することにより溝を形成する第1のサブステップが少なくとも含まれていることが好ましい。溝の形成においては、基板に大きな力が加わることから変形が生じやすく、本発明の適用が効果的となるからである。また、第4のステップには、第1のサブステップを行った後、基板の表面に導体パターンを形成する第2のサブステップがさらに含まれていることが好ましい。導体パターンの形成は最も高い精度が要求される工程であることから、溝を形成した後に導体パターンを形成する場合には本発明の適用が特に効果的となるからである。さらに、第1のサブステップは、基板の表面を積層面に対して実質的に垂直な方向に研削することにより溝を形成する工程であることが好ましい。このような方向に溝を形成する場合、基板は非常に変形しやすくなるため、本発明の適用が特に効果的となるからである。
第1のサブステップにて加工された導電性シートの少なくとも一部がコイルの導体を構成すれば、最終的にコイル部品を作製することが可能となり、第1のサブステップにて加工された導電性シートの少なくとも一部がコンデンサの電極を構成すれば、最終的にコンデンサ部品を作製することが可能となる。
このように、本発明では、導電性シートと絶縁シートの積層体からなる基板に対する加工をあて板に貼り付けた状態で行っていることから、加工時に基板に熱や大きな力が加わったとしても、基板の変形が効果的に防止される。これにより、基板に導体パターンを形成する場合であっても位置ずれが生じにくく、接続不良やショート不良が発生する可能性が非常に少なくなる。これにより、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による製造方法により製造されるべき積層電子部品100の構造を示す略斜視図であり、図2は、図1に示すA方向から見た略透視平面図であり、図3は、積層電子部品100に内蔵された導電性材料のみを抜き出して示す略斜視図である。さらに、図4は図1に示すB−B線に沿って切断した場合の略断面図であり、図5は図1に示すC−C線に沿って切断した場合の略断面図であり、図6は図1に示すD−D線に沿って切断した場合の略断面図である。
本実施形態による製造方法により製造されるべき積層電子部品100は、ヘリカル状のコイルを内蔵するコイル部品である。図1に示すように、その外形は略直方体形であり、その一つの面には外部電極141及び142が設けられている。外部電極141はコイルの一端を構成し、外部電極142はコイルの他端を構成している。図2乃至図6に示すように、積層電子部品100にはコの字状の複数の主導体110と、これら主導体110同士を接続する橋架導体(導体パターン)120とが内蔵されており、これら主導体110及び橋架導体120を取り囲むように、絶縁層131〜136が設けられている。
図2及び図3に示すように、本例では、コの字状の主導体110は互いに平行に配置された6つの主導体111〜116によって構成されており、橋架導体120は7つの橋架導体121〜127によって構成されている。これら7つの橋架導体121〜127のうち、橋架導体121は主導体111の一端と外部電極141とを接続し、橋架導体122は主導体111の他端と主導体112の一端とを接続し、橋架導体123は主導体112の他端と主導体113の一端とを接続し、橋架導体124は主導体113の他端と主導体114の一端とを接続し、橋架導体125は主導体114の他端と主導体115の一端とを接続し、橋架導体126は主導体115の他端と主導体116の一端とを接続し、橋架導体127は主導体116の他端と外部電極142とを接続している。これにより、外部電極141と外部電極142とは、主導体111〜116及び橋架導体121〜127からなる一続きのコイルを介して接続されることになる。但し、図5に示すように、橋架導体121と外部電極141との接続及び橋架導体127と外部電極142との接続は、下地導体層144を介して行われる。
主導体110(111〜116)の材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)もしくはこれらの合金等を用いることが好ましく、導電性やコストを考慮すれば、銅(Cu)又はその合金を用いることが最も好ましい。主導体100(111〜116)の厚みとしては、5μm以上、75μm未満に設定することが好ましい。一方、橋架導体120(121〜127)の材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)又はその合金(銀パラジウム、銀白金等)を用いることが好ましい。
また、図4乃至図6に示すように、コの字状の主導体111〜116の間には絶縁層131が設けられ、端部に位置する主導体111及び主導体116からみて他の主導体とは反対側には絶縁層132が設けられている。さらに、コの字状の主導体111〜116の内側には絶縁層133が設けられており、コの字状の主導体111〜116の外側のうち図4における左右方向(図6における上下方向)には絶縁層134が設けられ、コの字状の主導体111〜116の外側のうち図4における上下方向には絶縁層135,136が設けられている。
絶縁層131〜133の材料としては、樹脂又は樹脂にセラミック等の機能性材料粉末(磁性体粉末又は誘電体粉末)を混合した複合材料を用いることが好ましい。樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
具体的には、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ホリフェニレレンエテール(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂等を用いることができる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリブタジエン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレレンエテール(オキサイド)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルテーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテルテーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂グラフト樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ビニルベンジル樹脂等を用いることができ、この中でも、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ビニルベンジル樹脂等をベースレジンとして用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
また、複合材料を構成する場合の無機材料としては、比較的高い誘電率を得るためには、チタン−バリウム−ネオジム系セラミックス、チタン−バリウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックスを用いることが好ましい。
なお、二酸化チタン系セラミックスとは、二酸化チタンのみを含有するものの他、他の少量の添加物を含有するものも含み、二酸化チタンの結晶構造が保持されているものをいう。また、他のセラミックスも同様である。特に二酸化チタン系セラミックスはルチル構造を有するものが好ましい。
また、誘電率をあまり高くせず、高いQを持たせるためには、樹脂材料に混合する誘電体粉末としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸カルシウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラスチョップ、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等を用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
また、樹脂材料に混合する無機材料に磁性体を用いる場合は、フェライトとしてはMn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等が好ましい。また、磁性体としては強磁性金属を用いることができる。この場合、カーボニル鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金(商標名:センダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロイ)。アモルファス系(鉄系、コバルト系)等を用いることが好ましい。
次に、積層電子部品100の製造方法について、図7乃至図21を用いて説明する。
まず、樹脂又は樹脂に機能性材料粉末を混合した材料を溶剤及びバインダに分散させてペースト状とし、これを図7に示すようにドクターブレード法等により主導体110(111〜116)の母材である導電性シート110’上に塗布して薄膜絶縁シート131’を形成する。形成された薄膜絶縁シート131’は、最終的に絶縁層131となる。これにより、導電性シート110’と薄膜絶縁シート131’からなる積層シート150が形成される。
次に、積層シート150を所定の大きさに切断し、これを図8に示すように複数枚(本例では6枚)重ね合わせて、熱圧着または必要な場合には接着層を介して一体化し、積層体160を作製する。
次に、図9に示すように、積層体160と厚膜絶縁シート132’を熱圧着または必要な場合には接着層を介して交互に重ね合わせ、積層母材165を作製する。
次に、図10に示すように、積層母材165を積層面に対して実質的に垂直な方向に切断(スライス)し、基板180を作製する。切断面の一方は主に加工が施される主面181となり、切断面の他方は裏面182となる。
次に、図11に示すように、この基板180の裏面182をあて板190の主面191に貼り付け、これによって基板180をあて板190に固定する。あて板190の主面191は、図11に示すように基板180の主面181及び裏面182よりも大面積である必要があり、その材料としては、十分な機械的強度を持ち、熱による伸縮が少なく、且つ、耐熱性及び耐溶剤性の高い材料を用いることが好ましい。耐熱性としては300℃以上有していることが好ましく、耐溶剤性としては、トルエンやアルコール、ブチルカルビトール等の有機溶剤に溶解しないことが好ましく、耐酸性、耐アルカリ性が高いことが特に好ましい。このような材料としては、セラミックやガラス、金属、フェライト等を挙げることができる。また、基板180とあて板190との接着には、接着剤や熱可塑性接着樹脂シートなどの接着シート等を用いることができるが、これについても、熱による伸縮が少なく、且つ、耐熱性及び耐溶剤性の高い材料を用いることが好ましい。また、その後の工程において基板180とあて板190を剥がす必要があることから、この点を考慮すれば、基板180とあて板190とを接着する接着剤や接着シート等としては、接着性が強すぎないものを用いることが好ましい。
また、あて板190の材料として、多孔質材料や表面が粗面化された材料を用いれば、基板180とあて板190を簡単に剥がすことが可能となる。多孔質材料としては、多孔質セラミックや多孔質フェライト等を挙げることができ、特に、多孔質セラミックに樹脂を含浸させた材料を用いることが最も好ましい。多孔質セラミックに樹脂を含浸させた材料は、十分な機械的強度を持つとともに、熱による伸縮が少なく、且つ、耐熱性及び耐溶剤性が高いのみならず、含浸させる樹脂の選択によって、基板180との密着性、剥離性、剛性、たわみ強度等を調節することが可能であるからである。
次に、図12に示すように、あて板190に貼り付けられた基板180の主面181を積層面に対して実質的に垂直な方向にダイシングにより研削し、複数の溝183を形成する。このとき、基板180には積層面に対して実質的に垂直な方向に比較的大きな力が加わるが、基板180があて板190に貼り付けられていることから、これが変形することはほとんど無い。
次に、図13に示すように、溝183が形成された基板180の主面181の全面に絶縁層133’を形成し、絶縁層133’によって溝183を完全に埋める。絶縁層133’を形成する方法としては、真空印刷、真空プレス、真空ラミネート等の方法を用いることができる。そして、図14に示すように、基板180の主面181が露出するまで絶縁層133’の表面を研磨する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、溝183には絶縁層133が埋め込まれた状態となる。
次に、図15に示すように、基板180の主面181を溝183に対して平行にダイシングにより研削し、複数の溝184を形成する。このときも、基板180には積層面に対して実質的に垂直な方向に比較的大きな力が加わるが、基板180があて板190に貼り付けられていることから、これが変形することはほとんど無い。これにより、積層体160及び厚膜絶縁シート132’は端部を除いてコの字状となり、積層体160を構成する導電性シート110’及び薄膜絶縁シート131’はそれぞれ主導体110及び絶縁層131となる。また、厚膜絶縁シート132’は絶縁層132となる。溝183の深さとしては、図15に示すように、溝183によって基板180が完全に分離しないよう、基板180の厚みよりもやや浅く設定することが好ましい。このようにして、溝183の底部において基板180が残るようにすれば、基板180をあて板190に安定的に保持することが可能となる。但し、基板180を安定的に保持可能である限りにおいて、溝183によって基板180を完全に分離しても構わない。この場合、その後溝183の底部を除去する工程が不要となることから、工程数を減らすことが可能となる。
次に、図16に示すように、溝184が形成された基板180の主面181の全面に絶縁層134’を形成し、絶縁層134’によって溝184を完全に埋める。絶縁層134’の形成についても、真空印刷、真空プレス、真空ラミネート等の方法を用いることができる。そして、図17に示すように、基板180の主面181が露出するまで絶縁層134’の表面を研磨し、整面(平滑化)する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、溝184には絶縁層134が埋め込まれた状態となる。
次に、コの字状となっている主導体110及び絶縁層131の表面に、橋架導体120を形成する。橋架導体120の形成は、整面された基板180の主面181の全面にメッキ法等により下地導体(図示せず)を形成し、さらに、下地導体の全面にフォトレジストを形成した後、橋架導体120を形成すべき領域の下地層を露光により露出させ、露出した下地層の表面にメッキ法により橋架導体120を形成すればよい。その後、フォトレジストを剥離し、酸などを用いて不要な下地導体を除去すれば、所望のパターンの橋架導体120を形成することができる。但し、橋架導体120の形成方法としてはこれに限定されず、他の方法を用いても構わない。例えば、整面された基板180の主面181の全面にフォトレジストを形成し、橋架導体120を形成すべき領域の主面181を露光により露出させ、露出した主面181にメッキ法により橋架導体120を形成した後、フォトレジストを剥離することにより形成しても構わない。さらに、整面された基板180の主面181の全面に橋架導体120の材料となる金属をメッキ法、蒸着法、スパッタリング法等により形成した後、これをパターニングすることにより形成しても構わない。
図18は橋架導体120の形状を示す略平面図であり、図17に示す領域185内における形状を示している。図18に示すように、橋架導体120は7つの橋架導体121〜127を一組とする複数組(領域185内では2組)の導体によって構成される。既に説明したとおり、橋架導体122〜126は、対応する2つの主導体の端部同士を接続する導体であり、橋架導体121及び127は、対応する主導体の一端と外部電極141及び外部電極142とをそれぞれ接続する導体である。
橋架導体120の形成が完了すると、図19に示すように、基板180の主面181の全面を覆う絶縁層135を形成し、橋架導体121及び127が形成されている領域の絶縁層135を削除してこれらを露出させた後、露出した橋架導体121及び127の表面に下地導体層144を形成し、メッキ法により外部電極143を形成する。外部電極143の形成方法としては、他の方法を用いても構わない。
次に、図20に示すように、基板180をあて板190から剥離した後、基板180の裏面182を研磨することにより、溝183の底部を除去する。そして、基板180の裏面182の全面に絶縁層136を形成した後、図21に示すE−E線に沿って基板180をダイシングにより分割し、複数個(本例では9個)の積層電子部品100を取り出す。このダイシングによって外部電極143は2つに分割され、それぞれ外部電極141,142となる。以上により、積層電子部品100が完成する。
以上説明した製造方法においては、積層母材165を切断(スライス)して基板180を作製してから(図10)、基板180の裏面182の加工を行うまで(図20)の工程中、基板180をあて板190に貼り付けて固定し、この状態で各工程を流している点が特に重要である。これにより、図12に示す溝183を形成する工程や図15に示す溝184を形成する工程において基板180に熱や大きな力が加わったとしても、基板180の変形が効果的に防止されることから、図18に示す橋架導体120の形成工程において橋架導体120と主導体110との相対的な位置関係にずれが生じにくくなる。このため、接続不良やショート不良が発生する可能性は非常に少なく、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
しかも、本実施形態においては、基板180に溝183を形成することによりコの字状の主導体110を形成していることから、量産が容易であり、主導体のずれが少なく、狭公差のインダクタンス値を得ることが可能である。
尚、上記実施形態においては、あて板190を剥離してから基板180の裏面182に絶縁層136を形成しているが、基板180をあて板190に貼り付ける(図11)前に絶縁層136を形成しておいても構わない。
以上、本発明による製造方法について積層電子部品100を製造する場合を例に説明したが、本発明による製造方法の適用がこれに限定されるものではなく、他の積層電子部品を製造する場合にも本発明を適用することが可能である。
図22は、本発明の好ましい他の実施形態による製造方法により製造されるべき積層電子部品200の構造を示す略斜視図であり、図23は、積層電子部品200に内蔵された導電性材料のみを抜き出して示す略斜視図である。
本実施形態による製造方法により製造されるべき積層電子部品200も、ヘリカル状のコイルを内蔵するコイル部品であり、多くの点で上述した積層電子部品100と類似している。図22に示すように、積層電子部品200の外形は略直方体形であり、その一つの面には外部電極241及び242が設けられている。外部電極241はコイルの一端を構成し、外部電極242はコイルの他端を構成している。図22に示すように、積層電子部品200には主導体210と、これら主導体210同士を接続する橋架導体220及び270とが内蔵されており、これら主導体210、橋架導体220及び270を取り囲むように、絶縁層231〜236が設けられている。絶縁層231〜236は、それぞれ積層電子部品100における絶縁層131〜136に対応する要素である。
図23に示すように、本例では、橋架導体120に対応する橋架導体220が備えられている他、コの字状の主導体110の代わりに、棒状の主導体210−1及び210−2からなる複数対の主導体210と、橋架導体270が備えられている。棒状の主導体210−1は、平行に配置された6つの主導体211−1〜216−1によって構成され、棒状の主導体210−2は、平行に配置された6つの主導体211−2〜216−2によって構成されている。また、橋架導体270は6つの橋架導体271〜276によって構成されている。これら6つの橋架導体271〜276のうち、橋架導体271は主導体211−1の一端と主導体211−2の一端とを接続し、橋架導体272は主導体212−1の一端と主導体212−2の一端とを接続し、橋架導体273は主導体213−1の一端と主導体213−2の一端とを接続し、橋架導体274は主導体214−1の一端と主導体214−2の一端とを接続し、橋架導体275は主導体215−1の一端と主導体215−2の一端とを接続し、橋架導体276は主導体216−1の一端と主導体216−2の一端とを接続している。これにより、一対の主導体とこれに対応する橋架導体は、上述したコの字状の主導体と同じ役割を果たすことになる。
次に、積層電子部品200の製造方法について、図24乃至図26を用いて説明する。
まず、上述した図7から図17までの工程と同じ工程を実行した後、図24に示すように、あて板(190)を剥離し、絶縁層233が露出するまで基板280の裏面282を研磨して整面(平滑化)する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、コの字状であった主導体210は、主導体210−1と210−2に分離されることになる。
次に、基板280の表面281に橋架導体220を形成するとともに、基板280の裏面282に橋架導体270を形成する。橋架導体220、270の形成は、上述した橋架導体120の形成と同様の方法を用いることができる。ここで、橋架導体220の平面的なパターン形状は図18に示した橋架導体120のパターン形状と同様であり、橋架導体270の平面的なパターン形状は図25に示すとおりである。
橋架導体220、270の形成が完了すると、図26に示すように、基板280の主面281の全面を覆う絶縁層235を形成するとともに、基板280の裏面282の全面を覆う絶縁層235を形成し、図20を用いて説明したように、橋架導体221及び227が形成されている領域の絶縁層235を削除してこれらを露出させた後、露出した橋架導体221及び227の表面に下地導体層を形成し、メッキ法により外部電極を形成する。
そして、図21を用いて説明したように基板280をダイシングにより分割し、複数個の積層電子部品200を取り出す。以上により、積層電子部品200が完成する。
このように、本実施形態においても多くの工程、特に、基板280に溝を形成する工程においてあて板(190)を用いていることから、橋架導体220と主導体210との相対的な位置関係及び橋架導体270と主導体210との相対的な位置関係にずれが生じにくくなる。このため、接続不良やショート不良が発生する可能性は非常に少なく、製品の歩留まりを大幅に高めることが可能となる。
さらに、本実施形態により作製される積層電子部品200は、上述した積層電子部品100の効果に加え、コの字状の主導体110の代わりに棒状の主導体210−1及び210−2からなる複数対の主導体210を用いていることから、仮に、基板280に多少の反りが生じていたとしても、あて板190を剥離した後、基板280の裏面282を研磨する際に、反りに起因する表面281の不均一な研磨状態を相殺することができる。これにより、特性のばらつきをよりいっそう抑制することが可能となる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
つまり、本発明は、導電層と絶縁層を交互に積層した積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を作製し、この基板を加工することによって作製されるべき積層電子部品であればどのようなタイプの積層電子部品に対しても適用が可能である。例えば、橋架導体によってある主導体の一端と、この主導体から見て2つ離れた主導体の一端とを接続することにより同軸に巻回された2つのコイルを形成し、これによってコモンモードチョークを構成することも可能であるし、コイルとともにコンデンサを内蔵することによって、LCフィルタを構成することも可能である。この場合、主導体の少なくとも一部がコンデンサの電極を構成することになる。また、コイルを内蔵することなくコンデンサを内蔵することによって、チップコンデンサを構成することも可能である。
100,200 積層電子部品
110(111〜116),210(211−1〜216−1,211−2〜216−2) 主導体
110’ 導電性シート
120(121〜127),220(221〜227),270(271〜276) 橋架導体
131〜136,231〜236 絶縁層
131’ 薄膜絶縁シート
132’ 厚膜絶縁シート
141〜143,241,242 外部電極
144 下地導体層
150 積層シート
160 積層体
165 積層母材
180,280 基板
181,281 基板の主面
182,282 基板の裏面
183,184 溝
185 領域
190 あて板
191 あて板の主面
110(111〜116),210(211−1〜216−1,211−2〜216−2) 主導体
110’ 導電性シート
120(121〜127),220(221〜227),270(271〜276) 橋架導体
131〜136,231〜236 絶縁層
131’ 薄膜絶縁シート
132’ 厚膜絶縁シート
141〜143,241,242 外部電極
144 下地導体層
150 積層シート
160 積層体
165 積層母材
180,280 基板
181,281 基板の主面
182,282 基板の裏面
183,184 溝
185 領域
190 あて板
191 あて板の主面
Claims (7)
- 少なくとも導電性シートと絶縁シートを交互に積層することによって積層母材を形成する第1のステップと、前記積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を形成する第2のステップと、前記基板をあて板に貼り付けることによって固定する第3のステップと、前記基板を前記あて板に貼り付けた状態で加工する第4のステップとを備えることを特徴とする積層電子部品の製造方法。
- 前記第3のステップは、前記基板の切断面を前記あて板に貼り付けることによって前記基板を固定するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第4のステップには、前記基板の表面を研削することにより溝を形成する第1のサブステップが少なくとも含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第4のステップには、前記第1のサブステップを行った後、前記基板の表面に導体パターンを形成する第2のサブステップがさらに含まれていることを特徴とする請求項3に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第1のサブステップは、前記基板の表面を前記積層面に対して実質的に垂直な方向に研削することにより溝を形成する工程であることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第1のサブステップにて加工された前記導電性シートの少なくとも一部が、コイルの導体を構成していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第1のサブステップにて加工された前記導電性シートの少なくとも一部が、コンデンサの電極を構成していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の積層電子部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003282478A JP2005051097A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 積層電子部品の製造方法 |
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JP2005051097A true JP2005051097A (ja) | 2005-02-24 |
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ID=34267679
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005051097A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7785697B2 (en) | 2006-06-30 | 2010-08-31 | Tdk Corporation | Thin film device |
-
2003
- 2003-07-30 JP JP2003282478A patent/JP2005051097A/ja active Pending
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US7785697B2 (en) | 2006-06-30 | 2010-08-31 | Tdk Corporation | Thin film device |
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