JP2004128130A - コイル部品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波領域において使用され、搭載するプリント基板に平行な巻芯を有し、かつ両端面の少なくとも一部に端子電極を有するコイル部品において、高いQ特性が得られるコイル部品とその製造方法を提供する。
【解決手段】誘電体と導体との積層体により作製され、巻芯方向がプリント基板への取付け面に対して平行をなすヘリカルコイルを有する。コイル部品の取付け面と両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極12を設ける。コイル部品の両端部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からな磁性体層8を設ける。
【選択図】図2
【解決手段】誘電体と導体との積層体により作製され、巻芯方向がプリント基板への取付け面に対して平行をなすヘリカルコイルを有する。コイル部品の取付け面と両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極12を設ける。コイル部品の両端部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からな磁性体層8を設ける。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、積層構造のコイル部品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコイル部品として、薄膜型コイルを用いたものがある。これはコア基板の表裏面にフォトリソ工法を用いてスパイラル状のコイルを形成したものである(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
従来の別のコイル部品として、積層型のものがあり、これは1/2〜3/4ターンの内部導体パターンを厚み方向に多層積層して内部にヘリカルコイルを形成したセラミックチップインダクタである(例えば特許文献2参照。)。
【0004】
さらに従来の別のコイル部品として、例えばに記載のように巻線型のものがあり、これはボビンに巻線となるワイヤをヘリカル状に巻いたものである(例えば特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許2714343号公報(第3−4頁、図3、図5)
【特許文献2】
特開平11−103229号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献3】
特開平11−204352号公報(第3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来のコイル部品において、例えば1GHz前後あるいはそれ以上の周波数領域で使用するものの小型積層部品の場合、自己共振周波数を高くするために、誘電率の低い樹脂材料あるいはセラミック材料を誘電体層に使用した積層構造のコイル部品が使用される。
【0007】
また、上述のような従来のコイル部品において、コイル部品を搭載するプリント基板に対して、ヘリカルコイルの巻芯が平行をなすように搭載する構成のコイル部品を実現する場合、コイル部品の両端部近傍の底面のみならず、端面にも端子電極が形成されているものの方が半田付け強度が大となる上、端面部に作用する溶融半田の表面張力によって位置ずれなく安定した位置に固定されるという利点がある。
【0008】
しかしながら、端面部に端子電極を有する従来のコイル部品は、その構造上、高いQ特性を得ることが難しい。その理由は、巻芯方向に発生する磁束が端面の端子電極に作用して渦電流として消費され、損失を生じるからである。
【0009】
また、従来の前記各コイル部品は、それぞれ下記の問題点がある。まず、コア基板上の同一面にスパイラルコイルを形成するものは、その導体パターンに高度な微細加工が必要とされ、高いインダクタンス値を得ることが難しい。
【0010】
また、前記積層型のものは、内部導体が印刷法により多層積層されるため、印刷ばらつきと積層ばらつきが発生する上、素子を焼成するので、焼成時の収縮や収縮ばらつき等によりインダクタンス精度が低下し、狭公差のコイル部品を得ることが難しい。
【0011】
また、前記巻線型のものは、ボビン1個ずつワイヤを巻線するので、小型化や生産性に難があり、低コストでコイル部品を得ることが難しい。
【0012】
本発明は、高周波領域において使用され、搭載するプリント基板に平行な巻芯を有し、かつ両端面の少なくとも一部に端子電極を有するコイル部品において、高いQ特性が得られるコイル部品とその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、量産が容易で、導体パターンのずれが小さく、狭公差のインダクタンス値が得られるコイル部品とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のコイル部品は、誘電体と導体との積層体により作製され、巻芯方向が取付け面に対して平行をなすヘリカルコイルを有するコイル部品であって、
コイル部品の取付け面と両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の両端部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からなる磁性体層により構成したことを特徴とする。
【0014】
このように、コイル部品の端面部に磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を用いることにより、ヘリカルコイルに巻芯方向に生じる磁束が複合材料で迂回してヘリカルコイルの外周部を通過し、端子電極と交差する磁束が減少するため、数百MHz以上さらに1GHz以上におけるQ特性が向上する。
【0015】
(2)また、本発明のコイル部品は、誘電体と導体とが交互に積層された積層体を素材として作製され、
前記コイルの1ターン分は4辺のうちの3辺が前記積層体の導体をコ字形に切り出すことにより形成され、
前記切り出しにより形成される溝は誘電体材料により充填され、
前記コイルの1ターン分の他の1辺は、前記切り出しにより形成されたコ字形導体の隣接するものの開口端どうしを接続するように、フォトリソ工法により、前記溝に充填された誘電体材料上に形成された橋架導体からなり、
コイル部品の取付け面および両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の端面部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により構成したことを特徴とする。
【0016】
このように、コイルのコ字形導体を積層体の切削により形成すれば、コイル形状が揃い、コ字形導体間の位置のばらつきや積層ばらつきがなく、インダクタンス値が揃った狭公差のコイル部品を得ることができる。また、切削によって一度にヘリカルコイルとなる導体加工を行うため、製造が容易となり、低コストでコイル部品を製造することができる。
【0017】
(3)また、本発明のコイル部品は、前記ヘリカルコイルの周囲を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により覆ったことを特徴とする。
【0018】
このように、ヘリカルコイルの外周部も前記複合材料によって覆うことにより、発生磁束と端面部の端子電極との交差をより減少させることができ、さらにQ特性を高めることができる。
【0019】
(4)本発明のコイル部品の製造方法は、導体層と誘電体層とを交互に積層し、積層方向に複数個のコイル部品のターン数に相当する導体層数を有し、かつコイル部品の1個分に相当する厚みを有する四角形をなす板状の素材を準備し、
該素材の表面に、積層方向に、互いに平行をなすように、コイル内周部を形成するための所定幅の複数本の溝を加工し、
前記溝に誘電体材料を充填し、
前記溝に充填した誘電体材料のコ字形導体開口面を前記溝の誘電体材料充填部と共に研磨により整面し、
該整面化された面に前記誘電体材料上を跨ぐように、隣接する導体層間を接続してコイル部品となる矩形ヘリカルコイルを構成するための橋架導体および電極パッドをフォトリソ工法により形成し、
該橋架導体を施した素材の面とその反対側の面を誘電体材料により覆い、
前記溝に誘電体材料を充填した後、または前記素材の橋架導体形成面とその反対側の面を誘電体材料により覆った後、前記素材における積層方向の両端およびコイル形成領域の間の位置に、前記溝に対して直角をなす方向にスリットを設け、
前記スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
前記磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填した部分の略中央に前記スリットの長手方向に前記素材の厚さ方向の貫通溝または非貫通溝を設けて、前記貫通溝または前記非貫通溝の内面および露出させた電極パッド上に端子電極を形成し、
前記素材を縦横に切断することにより、個々のコイル部品となるチップを得ることを特徴とする。
【0020】
このようにコイル部品を製造することにより、前記Q特性の優れたコイル部品が得られる。また、端面部の複合材料が素材の切断により同時に形成できる。
【0021】
(5)また、本発明のコイル部品の製造方法は、前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに誘電体材料を充填し、
それぞれ充填された誘電体材料の部分をその誘電体材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とする。
【0022】
このような製造方法を採用することにより、コイル部品の側面部を覆う誘電体材料も素材の切断により同時に形成できる。
【0023】
(6)また、本発明のコイル部品の製造方法は、前記素材の橋架導体形成面およびその反対側の面を、前記誘電体材料の代わりに、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により覆い、
前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
それぞれ充填された複合材料の部分をその複合材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とする。
【0024】
このような製造方法を採用することにより、さらに高いQ特性のコイル部品を提供することができ、かつヘリカルコイルの側面部を覆う誘電体材料も素材の切断により同時に多数形成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1(A)は本発明によるコイル部品の一実施の形態を示す透視斜視図、図1(B)はそのコイルの構成を示す断面図、図1(C)はその電極構造を示す断面図、図2(A)は前記コイル部品の底面図、図2(B)はその横断面図、図2(C)はその縦断面図である。
【0026】
図1、図2において、1は矩形ヘリカル状に構成されたコイルであり、該コイル1は4辺のうちの3辺を構成する複数個のコ字形導体2と、他の1辺を構成し、かつ隣接するコ字形導体2どうしを接続して全体として矩形ヘリカルコイル1を構成する橋架導体3とからなる。前記コ字形導体導体2、2間には図2(B)に示すように誘電体層4が介在する。コ字形導体2の内周面2a、外周面2bは後述の切削によって積層方向について互いに同面に形成される。
【0027】
すなわち、図2(B)に示すように、コ字形導体2の内周面2aは後述の切削工程により溝18の側面、底面として構成されるもので、溝18内に誘電体材料5が充填される。該誘電体材料5およびコ字形導体2の開口側の面6(図1(B)参照)は研磨により整面され、前記橋架導体3および両端の電極パッド7はその整面化された面上に形成される。9、10はそれぞれコイル部品の上面、底面を覆うように設けられた誘電体層、11は両側面に設けられた誘電体層である。
【0028】
12はコイル部品の底面(取付け面)の両端近傍から端面部の略中間部にわたって設けられた端子電極であり、12aは前記電極パッド7と端子電極12との間を接続する下地層を構成する導体である。図2(A)〜(C)に示すように、このコイル部品の端面部は、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料でなる磁性体層8を有する。
【0029】
前記誘電体層4、誘電体材料5および外面を覆う誘電体層9〜11は樹脂または樹脂に比較的低誘電率の誘電体粉末を混合した複合材料が用いられる。前記コ字形導体2は金属板または金属箔からなる。前記橋架導体3はフォトリソ工法を用いてパターニングされた導体からなる。この橋架導体3の形成はメッキのみならず、蒸着、スパッタリングにより成膜してもよい。
【0030】
誘電体層4や誘電体材料5あるいは誘電体層9〜11に使用する樹脂材料として、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂等があげられる。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、ポリブタジエン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルテーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラフト樹脂等があげられる。これらの中でも、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ビニルベンジル樹脂等がベースレジンとして好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0032】
また、複合材料を構成する場合の誘電体粉末としては、以下のものがあげられる。比較的高い誘電率を得るためには、チタン−バリウム−ネオジウム系セラミックス、チタン−バリウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン酸マグネシウム系セラミックス、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックスを用いることが好ましい。
【0033】
なお、二酸化チタン系セラミックスとは、二酸化チタンのみを含有するものの外、他の少量の添加物を含有するものも含み、二酸化チタンの結晶構造が保持されているものをいう。また、他のセラミックスも同様である。特に二酸化チタン系セラミックスはルチル構造を有するものが好ましい。
【0034】
また、誘電率をあまり高くせず、高いQを持たせるためには、樹脂材料に混合する誘電体粉末としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸カルシウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラスチョップ、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等を用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0035】
また、磁性体層8を構成する磁性体粉末にフェライトを用いる場合は、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等を用いることができ、なかでもMn−Mg−Zn系、Ni−Zn系等が好ましい。また、前記磁性体粉末として強磁性金属を用いることができる。この強磁性金属としては、カーボニル鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金(商標名:センダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロイ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)等を用いることが好ましい。
【0036】
また、使用する金属箔並びに橋架導体としては、金、銀、銅、アルミニウム等導電性の良好な金属の中から好適なものを用いればよい。これらの中でも銅が好ましい。
【0037】
また、誘電体層4にセラミック板と金属板(箔)とを用いた素材や、誘電体層4となるセラミックグリーンシートに導体ペーストを塗布し、焼成したものを素材として用いることもできる。
【0038】
図3ないし図7は図1、図2に示したコイル部品の製造方法の一実施の形態を示す図である。まず、前記誘電体層4を形成するための素材を得るため、樹脂あるいは樹脂に誘電体粉末を混合したものを溶剤およびバインダに分散させてペースト状とし、図3(A)の斜視図に示すように、導体層であるコ字形導体2を得るための金属箔2A上に前記ペーストをドクターブレード法等により塗布し、乾燥して誘電体層4Aを形成する。
【0039】
この場合、金属箔2Aとしては銅箔が好適であるが、ニッケルや銀もしくはこれらの合金等を用いることができる。また、金属箔2Aの好ましい厚みは、5〜75μmであり、また誘電体層4Aの好ましい厚みは5〜100μmである。
【0040】
図3(B)の斜視図に示すように、この誘電体層4Aを形成した金属箔2Aを例えば数cm〜数十cm四方の広さに切断する。
【0041】
次に図3(C)の部分斜視図に示すように、前記のようにして作製した金属箔2Aと誘電体層4Aからなるシートを熱圧着または必要な場合には接着層を介して積層し一体化して積層母材13を得る。この実施の形態においては、コイル部品の1個分のコイルターン数となるセット14間に、誘電体層4Aの厚みより大きな厚みの誘電体層15を介在させて積層し一体化している。なお、この厚みの大きな誘電体層15の厚みは好ましくは150〜350μmとする。
【0042】
次に図3(C)に2点鎖線16で示すように、積層方向に等間隔に切断し、図3(D)の全体斜視図に示すように、厚みtが1個のコイル部品のコ字形導体2のサイズに相当する大きさ(後で研磨する場合には製品のコ字形導体2の厚みは図示のtより小さくなる)のシート状の素材17を得た。また、該素材17の積層方向を縦方向としたときの縦幅L内に複数個(所定サイズのコイル部品の例えば数十個)のコイル部品のターン数に相当する導体層数を有し、かつ横幅Wも複数個(前記サイズのコイル部品の場合例えば数十個)のコイル部品に相当するサイズとする。図3(E)は図3(D)の部分拡大斜視図である。
【0043】
次に図4(A)の全体斜視図および図4(B)の部分拡大図に示すように、前記コイル1のコ字形導体2の内周面2aとなる溝18を、積層方向に対して直角をなす方向に等間隔に研削する。
【0044】
次に図4(C)の部分拡大斜視図に示すように、前記溝18に前記誘電体材料5を充填する。この誘電体材料5には前記樹脂または樹脂に誘電体粉末を混合した複合材料を溶剤やバインダに分散させたものを用い、この誘電体材料5の充填は、溝18の形成面に印刷等により塗布し、乾燥することにより行う。そしてこのようにして溝18に誘電体材料5を充填したものの表面(製品では底面となる面側)を研磨して金属箔2Aが誘電体材料5により覆われた部分を除去すると同時に、表面を整面(平滑化)する。
【0045】
次に図5(A)の部分拡大斜視図に示すように、前記のように整面化した面上において、隣接するコ字形導体2間を接続するための橋架導体3および電極パッド7をフォトリソ工法を用いて形成する。このパターニングは、例えば図6(A)、(B)に示すように、整面化した素材17の表面全面に下地層25として銅膜を無電解メッキにより形成し、次に表面全面にレジスト26を施し、フォトリソ工法を用いて、橋架導体3となるべき部分27や電極パッド7となるべき部分29のレジストを除去し、これらのレジスト除去部分27、29の部分に電解メッキにより銅の本メッキ層を形成し、その後レジスト26とその下の下地層25を除去することにより行う。
【0046】
次に図5(B)の全体斜視図、図5(C)の部分拡大斜視図および図7(A)の断面図に示すように、誘電体材料5を充填した溝18と溝18との間の部分に、素材17の両端部を残して、ダイヤモンドソー等を用いたダイシングにより、表裏面に貫通するスリット19を設ける。次に図7(B)に示すように、該スリット19を設けた部分に前記樹脂または複合材料でなる誘電体材料20を印刷により充填する。次に図7(B)に示すように、素材15の表裏面に樹脂または前記複合材料でなる誘電体材料をコーティングして誘電体層9、10を形成する。これらの誘電体層9、10と、誘電体材料20に同一の材料が用いられる場合には、同時にこれらを施すことにより、工数が削減できる。
【0047】
次に図7(C)および図8(A)に示すように、前記素材17のコイル形成領域、すなわち前記セット14、14の間、およびセット14と素材17の端部との間に、積層方向(スリット19の長手方向)に直角をなす方向に、素材17の両端部を残してダイヤモンドソー等を用いたダイシングにより、表裏面に貫通するスリット21を設ける。次に図8(B)に示すように、前記スリット21に、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料22を充填する。
【0048】
次に電極パッド7や橋架導体3形成側の面をサンドブラスト等により粗面化した後、図8(C)に示すように、前記電極パッド7の形成部分の誘電体層10を電極パッド7の面までレーザにより剥離して穴23を設け、かつ前記スリット21に充填した複合材料22の略中央部分に長手方向に沿ってダイヤモンドソー等により溝22aを形成する。
【0049】
そして前記穴23の中および前記複合材料22の表面および溝22aに無電解メッキにより下地層12aとしての銅、あるいは下地層12aとして樹脂中に銀を混合した導電剤を印刷等により充填する。次にその上に銅を電解メッキしその上に例えばニッケル、錫をこの順にメッキする等により、半田付けのための端子電極12を形成する。
【0050】
次に図7(C)に30、31でその位置を示す縦横の切断線に沿って、ダイヤモンドソーを用いたダイシングにより切断加工する。これらの切断線30、31は、図7(B)、図8(D)にも示される。すなわちダイシングにより切断加工を行うと同時に、コイル部品の側面となる誘電体層11を形成すると共に、コイル部品の端面となる磁性体層8が形成され、個々のチップを得る。
【0051】
なお、磁性体層8の形成のためのスリット21の形成と複合材料22の充填は、溝18の加工と誘電体材料5の充填の後で個々のチップへの切断前であれば、いずれの工程で行ってもよい。また、素材17にシートを貼り付けた状態で前記スリット19、21を形成すれば、素材17の全幅についてスリット19、21を形成することができる。
【0052】
図9(A)は本発明のコイル部品の他の実施の形態であり、磁性体層8をコイル部品の両端面に設けると共に、端子電極12を底面のみならず両端面全面に設けたものである。このように、端子電極12をコイル部品の端面部全体に設ける場合には、図8(C)に示した溝22aは貫通溝とする。
【0053】
図9(B)は比較例であり、端子電極12を底面のみに設けたものである。
【0054】
図10(A)〜(C)はいずれも比較例であり、いずれも両端面部に磁性体層8を有していない。図10(A)の例は前記端子電極12を両端付近の底面と端面全面に設け、(B)は底面および底面より約半分の高さにわたって端子電極12を設け、(C)は底面のみに端子電極12を設けている。
【0055】
図11(A)、(B)は本発明の他の実施の形態であり、図11(C)はこれらのコイル部品を巻芯に対して垂直に切断した場合の断面図である。この実施の形態の場合には、端面部のみならず、ヘリカルコイルの外周部、すなわち上面、底面、側面のいずれも、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料でなる磁性体層32、33、34により覆うように形成したものである。
【0056】
図9(C)は端子電極12を端面に設けた場合(図9(A))に、プリント基板35上のパッド37にコイル部品36を半田38により固定した状態を示し、図9(D)は端子電極12を底面のみに設けたもの(図9(B))を半田38により固定した状態を示す。図9(C)に示すように、端子電極12がコイル部品36の端面全面あるいは少なくとも端面において底面より1/3以上、好ましくは1/2以上の高さに形成されていれば、半田付けの際の溶融状態の半田38の有する表面張力により、コイル部品36が所定の位置に位置決めする作用と所定の向きに設定する作用を生じるが、図9(D)に示すように、端子電極12を底面のみに有する場合には、前記位置決め力や向きの設定力が弱くなるために、コイル部品36の位置決め、向きの設定が正確に行われず、さらには半田付けされる面積が少ないため、固着強度が低下するという不具合を生じる。このため、端子電極12は端面部の少なくとも底面側の一部にも設けることが好ましい。
【0057】
しかしながら、端子電極12を端面部に設けた場合、図10(A)、(B)の構成ではコイルに生じる磁束が端面部の端子電極12と交差して渦電流として消費されやすくなり、Q値の劣化の原因となる。一方、図9(A)あるいは(B)のように、端面部に磁性体層8を設ければ、ヘリカルコイルの巻芯部、外周部を通る磁束がこれらの磁性体層8を通過して前記渦電流を減少させ、L値を向上させかつQ値を高めることができる。従って、端面部に磁性体層8を設け、かつ端面に端子電極12を設けることにより、コイル部品36のプリント基板35上での半田による固定の際の位置決め、向きの設定が正確にかつ強固に行われる上、L値、Q値の高いコイル部品を得ることができる。
【0058】
さらに、図11に示したように、ヘリカルコイル1の外周部も磁性体層32〜34で覆うことにより、さらにL値、Q値をあげることができる。
【0059】
また、図1〜図8で示した本実施の形態においては、ヘリカルコイル1のコ字形導体2を積層体の切削により形成するため、コイル形状が揃い、コ字形導体間の位置のばらつきや積層ばらつきがなく、インダクタンス値が揃った狭公差のコイル部品を得ることができる。
【0060】
また、切削によって一度にヘリカルコイル1となる導体加工を行うため、製造が容易となり、低コストで素子を製造することができる。また、本実施の形態のように、樹脂やその複合材料により磁性体層8、誘電体材料5や誘電体層9〜11あるいは磁性体層32〜34を構成すれば、加工が容易となる。
【0061】
また、導体として導電性接着剤や前述の導体ぺースト等を用いることも可能であるが、本実施の形態のように金属箔2Aを用いれば、コ字形導体の比抵抗を低く抑えることができるため、直流抵抗を低くでき、高いQ特性を得ることができる。
【0062】
また、橋架導体3を形成する面は、研磨により整面化することにより、コ字形導体2の端部とパターニングにより形成された橋架部分である導体3との接続が良好に行えると共に、コイル形状をより揃えることができる。
【0063】
本発明を実施する場合、側面の誘電体層11あるいは磁性体層は個々のチップに切断後に設けてもよいが、本実施の形態のように、列状にチップが配列される溝18間の切断領域にスリット19を設けてそのスリット19に誘電体材料20あるいは磁性体材料を充填しておき、その充填された材料の略中央部を切断手段によって切断すれば、個々のチップの両側面を誘電体材料あるいは磁性体材料で覆ったチップが切断と同時に形成され、チップ側面にこれらの材料を後付けする手間が不要となり、能率良く製造できる。
【0064】
また、素材17を得る場合、本実施の形態のように、同時に複数個のチップ厚み分の素材を得て切断することにより、積層体の形成工数が少なくなる。
【0065】
本発明において、素材17の厚みtがコイル部品1個分に相当するとは、1個を得ることができる厚みという意味であり、コ字形導体2の厚みより製品より大きく設定しておき、研磨により所望の厚みを得るようにしてもよい。
【0066】
また、本発明は、前記サイズより小さいものや大きいものにも適用でき、金属箔2Aの代わりに金属板を用いてもよい。
【0067】
【実施例】
具体例について述べると、平面の縦横幅が1mm×0.5mm、厚みが0.3mmのものをビニルベンジル樹脂にシリカ粉末を混合した複合材料(ε=2.9)を用いて誘電体層4、5、9〜11に用い、コ字形導体2に35μm厚の銅箔を用い、溝18の幅を360μm、溝18の深さを330μmとし、橋架導体3に幅35μm、厚み25μmの銅を用い、コ字形導体2、2間の誘電体層4の厚みを25μm、ターン数を12回とし、磁性体層8にNi−Zn系フェライトでなる磁性粉末をその含有率が50体積%となるように低誘電エポキシでなる樹脂中に混合した透磁率2.1のものを用い、磁性体層8の厚みを50μmとし、端子電極12を底面のみならず、端面全面に形成して得たコイル部品では、インダクタンス値が15.4nH、Q値が約40(1GHz)であった。
【0068】
一方、同じサイズで従来の薄膜によるスパイラル構造のコイルを形成したものは、Q値が約20であり、セラミック積層体による場合にはQ値が約30であるから、本発明によりQ値の大幅な向上が達成できることが確認できた。
【0069】
また、表1は、図2(C)、図9(A)、(B)、図10(A)〜(C)、図11(B)の構造を採用した場合、磁性体層8の幅を50μm、100μm、150μmと変化させた場合のL値とQ値とを示す。なお、表1において、図10(A)*は、図10(A)の構造において、コイル部品の取付け面の反対側の面にも底面と同様の幅の端子部12cを形成した構造である。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から分かるように、図10(A)、(B)、(C)の構造(いずれも磁性体層8が無く、端子電極12がそれぞれ端面全面覆い(A)、半分覆い(B)、無し(C))について比較すると、端子電極12が覆う端面の面積が少ない方が、L値、Q値が高いことが分かる。
【0072】
図9(A)の構造(端子電極12が端面全体を覆い、磁性体層8が50μm〜150μm)と図10(A)の構造(端子電極12が端面全面を覆い、磁性体層8なし)とを比較した場合、磁性体8を設けることによりL値、Q値が共に向上し、その値の向上は、磁性体層8の厚みが増す程顕著であることが分かる。
【0073】
また、図2(C)の構造(端子電極12が端面の約半分を覆い、磁性体層8が50μm〜150μm)と図10(B)の構造(端子電極12が端面の約全面を覆い、磁性体層8無し)とを比較した場合、磁性体8を設けることによりL値、Q値が共に向上し、その値の向上は、磁性体層8の厚みが増す程顕著であることが分かる。
【0074】
また、図11(B)に示すように、磁性体層8のみならず、外周の磁性体層32〜34を設けることにより、端面電極12で端面の約半分を覆うにもかかわらず、端面に端子電極12の無い場合と同様のQ値が得られる上、端面に端子電極12が無い場合よりはるかに高いL値が得られることが分かる。
【0075】
図12(A)は本発明のコイル部品の他の実施の形態であり、コモンモードチョークやトランスとして構成されたコイル部品について示す。本実施の形態においては、コ字形導体2に対してそれぞれ1つ跳びに橋架導体3a、3bにより交互に接続してそれぞれ一連のコイルを形成することにより、2組の矩形ヘリカルコイルを形成したものである。7a、7bは2つのヘリカルコイルのうちの1つの両端に接続される電極パッド、7c、7dは他の2つのヘリカルコイルの両端に接続される電極パッド、41〜44はそれぞれこれらの電極パッド7a〜7d上に形成される端子電極である。
【0076】
このように、コ字形導体2、2間の橋架導体による接続構造を変えることにより、2つのヘリカルコイルを形成することが可能である。
【0077】
また、図12(B)に示すように、1つのチップに複数のヘリカルコイル1が内蔵して並設されたコイル部品アレイとして構成することも可能である。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、高周波領域において使用され、搭載するプリント基板に平行な巻芯を有するコイル部品において、両端面の少なくとも一部に端子電極を有するので、プリント基板へのコイル部品の固定が位置、向き共に正確に行われ、かつ高い強度で固定される上、高いQ特性のコイル部品を得ることができる。
【0079】
また、本発明において、ヘリカルコイルを、導体と誘電体との積層体からの切り出しにより得る場合には、量産が容易で、導体パターンのずれが小さく、狭公差のインダクタンス値が得られるコイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明によるコイル部品の一実施の形態を示す透視斜視図、(B)はそのコイルの構成を示す断面図、(C)はその電極構造を示す断面図である。
【図2】(A)は本実施の形態のコイル部品の底面図、(B)はその横断面図、(C)はその縦断面図である。
【図3】(A)は本実施の形態の原材料となるシートを示す斜視図、(B)はそのシートを所定の長さごとに切断したものを示す斜視図、(C)は(B)のシートを積層し一体化した積層母材を示す部分斜視図、(D)は(C)の積層母材を切断加工した後の素材を示す全体斜視図、(E)は(D)の部分拡大斜視図である。
【図4】(A)は本実施の形態の素材に溝を形成した状態を示す全体斜視図、(B)はその部分拡大図、(C)は前記溝の部分に誘電体材料を充填した状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】(A)は本実施の形態において隣接するコ字形導体間をパターニングされた導体により接続した状態を示す部分拡大斜視図、(B)はその溝間の部分にスリットを形成した状態を示す全体斜視図、(C)は(B)の部分拡大斜視図である。
【図6】(A)は本実施の形態において、素材上に橋架導体形成のための下地膜およびレジストパターンを形成した状態を示す断面図、(B)はその平面図、(C)はメッキおよびレジスト等の除去により形成された橋架導体および電極パッドのパターンを示す平面図である。
【図7】(A)は図5(C)の素材の断面図、(B)はその素材のスリットおよび表裏面に誘電体材料を施した状態を示す断面図、(C)は素材を横断する方向にスリットを形成した状態を示す斜視図である。
【図8】(A)は図7(C)の拡大断面図、(B)は(A)のスリットに複合材料を充填した状態を示す断面図、(C)は(B)の表面に溝および穴を加工した状態を示す断面図、(D)はその穴および溝に端子電極を形成した状態を示す断面図である。
【図9】(A)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す縦断面図、(B)は本発明の比較例を示す縦断面図、(C)、(D)はそれぞれコイル部品の端面に端子電極を形成したものと端面に端子電極を有しない端子電極ものとの半田付けにおける作用を説明する側面図である。
【図10】(A)〜(C)は比較例のコイル部品を示す縦断面図である。
【図11】(A)、(B)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す縦断面図、(C)はこれらのコイル部品の巻心に垂直な断面を示す断面図である。
【図12】(A)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す透視斜視図、(B)は本発明のコイル部品の他の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:スパイラルコイル、2:コ字形導体、2A:金属箔、3、3a、3b:橋架導体、4、4A:誘電体層、5:誘電体材料、6:整面化面、7、7a〜7d:電極パッド、9〜11:誘電体層、12:端子電極、13:積層母材、14:セット、15:接着層、16:切断線、17:素材、18:溝、19:スリット、20:誘電体材料、21:スリット、22:複合材料、22a:溝、23:穴、25:下地層、26:レジスト、27、29:レジスト除去部分、30、31:切断線、32〜34:磁性体層、35:プリント基板、36:コイル部品、37:パッド、38:半田、41〜44:端子電極
【発明が属する技術分野】
本発明は、積層構造のコイル部品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコイル部品として、薄膜型コイルを用いたものがある。これはコア基板の表裏面にフォトリソ工法を用いてスパイラル状のコイルを形成したものである(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
従来の別のコイル部品として、積層型のものがあり、これは1/2〜3/4ターンの内部導体パターンを厚み方向に多層積層して内部にヘリカルコイルを形成したセラミックチップインダクタである(例えば特許文献2参照。)。
【0004】
さらに従来の別のコイル部品として、例えばに記載のように巻線型のものがあり、これはボビンに巻線となるワイヤをヘリカル状に巻いたものである(例えば特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許2714343号公報(第3−4頁、図3、図5)
【特許文献2】
特開平11−103229号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献3】
特開平11−204352号公報(第3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来のコイル部品において、例えば1GHz前後あるいはそれ以上の周波数領域で使用するものの小型積層部品の場合、自己共振周波数を高くするために、誘電率の低い樹脂材料あるいはセラミック材料を誘電体層に使用した積層構造のコイル部品が使用される。
【0007】
また、上述のような従来のコイル部品において、コイル部品を搭載するプリント基板に対して、ヘリカルコイルの巻芯が平行をなすように搭載する構成のコイル部品を実現する場合、コイル部品の両端部近傍の底面のみならず、端面にも端子電極が形成されているものの方が半田付け強度が大となる上、端面部に作用する溶融半田の表面張力によって位置ずれなく安定した位置に固定されるという利点がある。
【0008】
しかしながら、端面部に端子電極を有する従来のコイル部品は、その構造上、高いQ特性を得ることが難しい。その理由は、巻芯方向に発生する磁束が端面の端子電極に作用して渦電流として消費され、損失を生じるからである。
【0009】
また、従来の前記各コイル部品は、それぞれ下記の問題点がある。まず、コア基板上の同一面にスパイラルコイルを形成するものは、その導体パターンに高度な微細加工が必要とされ、高いインダクタンス値を得ることが難しい。
【0010】
また、前記積層型のものは、内部導体が印刷法により多層積層されるため、印刷ばらつきと積層ばらつきが発生する上、素子を焼成するので、焼成時の収縮や収縮ばらつき等によりインダクタンス精度が低下し、狭公差のコイル部品を得ることが難しい。
【0011】
また、前記巻線型のものは、ボビン1個ずつワイヤを巻線するので、小型化や生産性に難があり、低コストでコイル部品を得ることが難しい。
【0012】
本発明は、高周波領域において使用され、搭載するプリント基板に平行な巻芯を有し、かつ両端面の少なくとも一部に端子電極を有するコイル部品において、高いQ特性が得られるコイル部品とその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、量産が容易で、導体パターンのずれが小さく、狭公差のインダクタンス値が得られるコイル部品とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のコイル部品は、誘電体と導体との積層体により作製され、巻芯方向が取付け面に対して平行をなすヘリカルコイルを有するコイル部品であって、
コイル部品の取付け面と両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の両端部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からなる磁性体層により構成したことを特徴とする。
【0014】
このように、コイル部品の端面部に磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を用いることにより、ヘリカルコイルに巻芯方向に生じる磁束が複合材料で迂回してヘリカルコイルの外周部を通過し、端子電極と交差する磁束が減少するため、数百MHz以上さらに1GHz以上におけるQ特性が向上する。
【0015】
(2)また、本発明のコイル部品は、誘電体と導体とが交互に積層された積層体を素材として作製され、
前記コイルの1ターン分は4辺のうちの3辺が前記積層体の導体をコ字形に切り出すことにより形成され、
前記切り出しにより形成される溝は誘電体材料により充填され、
前記コイルの1ターン分の他の1辺は、前記切り出しにより形成されたコ字形導体の隣接するものの開口端どうしを接続するように、フォトリソ工法により、前記溝に充填された誘電体材料上に形成された橋架導体からなり、
コイル部品の取付け面および両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の端面部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により構成したことを特徴とする。
【0016】
このように、コイルのコ字形導体を積層体の切削により形成すれば、コイル形状が揃い、コ字形導体間の位置のばらつきや積層ばらつきがなく、インダクタンス値が揃った狭公差のコイル部品を得ることができる。また、切削によって一度にヘリカルコイルとなる導体加工を行うため、製造が容易となり、低コストでコイル部品を製造することができる。
【0017】
(3)また、本発明のコイル部品は、前記ヘリカルコイルの周囲を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により覆ったことを特徴とする。
【0018】
このように、ヘリカルコイルの外周部も前記複合材料によって覆うことにより、発生磁束と端面部の端子電極との交差をより減少させることができ、さらにQ特性を高めることができる。
【0019】
(4)本発明のコイル部品の製造方法は、導体層と誘電体層とを交互に積層し、積層方向に複数個のコイル部品のターン数に相当する導体層数を有し、かつコイル部品の1個分に相当する厚みを有する四角形をなす板状の素材を準備し、
該素材の表面に、積層方向に、互いに平行をなすように、コイル内周部を形成するための所定幅の複数本の溝を加工し、
前記溝に誘電体材料を充填し、
前記溝に充填した誘電体材料のコ字形導体開口面を前記溝の誘電体材料充填部と共に研磨により整面し、
該整面化された面に前記誘電体材料上を跨ぐように、隣接する導体層間を接続してコイル部品となる矩形ヘリカルコイルを構成するための橋架導体および電極パッドをフォトリソ工法により形成し、
該橋架導体を施した素材の面とその反対側の面を誘電体材料により覆い、
前記溝に誘電体材料を充填した後、または前記素材の橋架導体形成面とその反対側の面を誘電体材料により覆った後、前記素材における積層方向の両端およびコイル形成領域の間の位置に、前記溝に対して直角をなす方向にスリットを設け、
前記スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
前記磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填した部分の略中央に前記スリットの長手方向に前記素材の厚さ方向の貫通溝または非貫通溝を設けて、前記貫通溝または前記非貫通溝の内面および露出させた電極パッド上に端子電極を形成し、
前記素材を縦横に切断することにより、個々のコイル部品となるチップを得ることを特徴とする。
【0020】
このようにコイル部品を製造することにより、前記Q特性の優れたコイル部品が得られる。また、端面部の複合材料が素材の切断により同時に形成できる。
【0021】
(5)また、本発明のコイル部品の製造方法は、前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに誘電体材料を充填し、
それぞれ充填された誘電体材料の部分をその誘電体材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とする。
【0022】
このような製造方法を採用することにより、コイル部品の側面部を覆う誘電体材料も素材の切断により同時に形成できる。
【0023】
(6)また、本発明のコイル部品の製造方法は、前記素材の橋架導体形成面およびその反対側の面を、前記誘電体材料の代わりに、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により覆い、
前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
それぞれ充填された複合材料の部分をその複合材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とする。
【0024】
このような製造方法を採用することにより、さらに高いQ特性のコイル部品を提供することができ、かつヘリカルコイルの側面部を覆う誘電体材料も素材の切断により同時に多数形成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1(A)は本発明によるコイル部品の一実施の形態を示す透視斜視図、図1(B)はそのコイルの構成を示す断面図、図1(C)はその電極構造を示す断面図、図2(A)は前記コイル部品の底面図、図2(B)はその横断面図、図2(C)はその縦断面図である。
【0026】
図1、図2において、1は矩形ヘリカル状に構成されたコイルであり、該コイル1は4辺のうちの3辺を構成する複数個のコ字形導体2と、他の1辺を構成し、かつ隣接するコ字形導体2どうしを接続して全体として矩形ヘリカルコイル1を構成する橋架導体3とからなる。前記コ字形導体導体2、2間には図2(B)に示すように誘電体層4が介在する。コ字形導体2の内周面2a、外周面2bは後述の切削によって積層方向について互いに同面に形成される。
【0027】
すなわち、図2(B)に示すように、コ字形導体2の内周面2aは後述の切削工程により溝18の側面、底面として構成されるもので、溝18内に誘電体材料5が充填される。該誘電体材料5およびコ字形導体2の開口側の面6(図1(B)参照)は研磨により整面され、前記橋架導体3および両端の電極パッド7はその整面化された面上に形成される。9、10はそれぞれコイル部品の上面、底面を覆うように設けられた誘電体層、11は両側面に設けられた誘電体層である。
【0028】
12はコイル部品の底面(取付け面)の両端近傍から端面部の略中間部にわたって設けられた端子電極であり、12aは前記電極パッド7と端子電極12との間を接続する下地層を構成する導体である。図2(A)〜(C)に示すように、このコイル部品の端面部は、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料でなる磁性体層8を有する。
【0029】
前記誘電体層4、誘電体材料5および外面を覆う誘電体層9〜11は樹脂または樹脂に比較的低誘電率の誘電体粉末を混合した複合材料が用いられる。前記コ字形導体2は金属板または金属箔からなる。前記橋架導体3はフォトリソ工法を用いてパターニングされた導体からなる。この橋架導体3の形成はメッキのみならず、蒸着、スパッタリングにより成膜してもよい。
【0030】
誘電体層4や誘電体材料5あるいは誘電体層9〜11に使用する樹脂材料として、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂等があげられる。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、ポリブタジエン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルテーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラフト樹脂等があげられる。これらの中でも、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ビニルベンジル樹脂等がベースレジンとして好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0032】
また、複合材料を構成する場合の誘電体粉末としては、以下のものがあげられる。比較的高い誘電率を得るためには、チタン−バリウム−ネオジウム系セラミックス、チタン−バリウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン酸マグネシウム系セラミックス、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックスを用いることが好ましい。
【0033】
なお、二酸化チタン系セラミックスとは、二酸化チタンのみを含有するものの外、他の少量の添加物を含有するものも含み、二酸化チタンの結晶構造が保持されているものをいう。また、他のセラミックスも同様である。特に二酸化チタン系セラミックスはルチル構造を有するものが好ましい。
【0034】
また、誘電率をあまり高くせず、高いQを持たせるためには、樹脂材料に混合する誘電体粉末としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸カルシウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラスチョップ、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等を用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0035】
また、磁性体層8を構成する磁性体粉末にフェライトを用いる場合は、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等を用いることができ、なかでもMn−Mg−Zn系、Ni−Zn系等が好ましい。また、前記磁性体粉末として強磁性金属を用いることができる。この強磁性金属としては、カーボニル鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金(商標名:センダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロイ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)等を用いることが好ましい。
【0036】
また、使用する金属箔並びに橋架導体としては、金、銀、銅、アルミニウム等導電性の良好な金属の中から好適なものを用いればよい。これらの中でも銅が好ましい。
【0037】
また、誘電体層4にセラミック板と金属板(箔)とを用いた素材や、誘電体層4となるセラミックグリーンシートに導体ペーストを塗布し、焼成したものを素材として用いることもできる。
【0038】
図3ないし図7は図1、図2に示したコイル部品の製造方法の一実施の形態を示す図である。まず、前記誘電体層4を形成するための素材を得るため、樹脂あるいは樹脂に誘電体粉末を混合したものを溶剤およびバインダに分散させてペースト状とし、図3(A)の斜視図に示すように、導体層であるコ字形導体2を得るための金属箔2A上に前記ペーストをドクターブレード法等により塗布し、乾燥して誘電体層4Aを形成する。
【0039】
この場合、金属箔2Aとしては銅箔が好適であるが、ニッケルや銀もしくはこれらの合金等を用いることができる。また、金属箔2Aの好ましい厚みは、5〜75μmであり、また誘電体層4Aの好ましい厚みは5〜100μmである。
【0040】
図3(B)の斜視図に示すように、この誘電体層4Aを形成した金属箔2Aを例えば数cm〜数十cm四方の広さに切断する。
【0041】
次に図3(C)の部分斜視図に示すように、前記のようにして作製した金属箔2Aと誘電体層4Aからなるシートを熱圧着または必要な場合には接着層を介して積層し一体化して積層母材13を得る。この実施の形態においては、コイル部品の1個分のコイルターン数となるセット14間に、誘電体層4Aの厚みより大きな厚みの誘電体層15を介在させて積層し一体化している。なお、この厚みの大きな誘電体層15の厚みは好ましくは150〜350μmとする。
【0042】
次に図3(C)に2点鎖線16で示すように、積層方向に等間隔に切断し、図3(D)の全体斜視図に示すように、厚みtが1個のコイル部品のコ字形導体2のサイズに相当する大きさ(後で研磨する場合には製品のコ字形導体2の厚みは図示のtより小さくなる)のシート状の素材17を得た。また、該素材17の積層方向を縦方向としたときの縦幅L内に複数個(所定サイズのコイル部品の例えば数十個)のコイル部品のターン数に相当する導体層数を有し、かつ横幅Wも複数個(前記サイズのコイル部品の場合例えば数十個)のコイル部品に相当するサイズとする。図3(E)は図3(D)の部分拡大斜視図である。
【0043】
次に図4(A)の全体斜視図および図4(B)の部分拡大図に示すように、前記コイル1のコ字形導体2の内周面2aとなる溝18を、積層方向に対して直角をなす方向に等間隔に研削する。
【0044】
次に図4(C)の部分拡大斜視図に示すように、前記溝18に前記誘電体材料5を充填する。この誘電体材料5には前記樹脂または樹脂に誘電体粉末を混合した複合材料を溶剤やバインダに分散させたものを用い、この誘電体材料5の充填は、溝18の形成面に印刷等により塗布し、乾燥することにより行う。そしてこのようにして溝18に誘電体材料5を充填したものの表面(製品では底面となる面側)を研磨して金属箔2Aが誘電体材料5により覆われた部分を除去すると同時に、表面を整面(平滑化)する。
【0045】
次に図5(A)の部分拡大斜視図に示すように、前記のように整面化した面上において、隣接するコ字形導体2間を接続するための橋架導体3および電極パッド7をフォトリソ工法を用いて形成する。このパターニングは、例えば図6(A)、(B)に示すように、整面化した素材17の表面全面に下地層25として銅膜を無電解メッキにより形成し、次に表面全面にレジスト26を施し、フォトリソ工法を用いて、橋架導体3となるべき部分27や電極パッド7となるべき部分29のレジストを除去し、これらのレジスト除去部分27、29の部分に電解メッキにより銅の本メッキ層を形成し、その後レジスト26とその下の下地層25を除去することにより行う。
【0046】
次に図5(B)の全体斜視図、図5(C)の部分拡大斜視図および図7(A)の断面図に示すように、誘電体材料5を充填した溝18と溝18との間の部分に、素材17の両端部を残して、ダイヤモンドソー等を用いたダイシングにより、表裏面に貫通するスリット19を設ける。次に図7(B)に示すように、該スリット19を設けた部分に前記樹脂または複合材料でなる誘電体材料20を印刷により充填する。次に図7(B)に示すように、素材15の表裏面に樹脂または前記複合材料でなる誘電体材料をコーティングして誘電体層9、10を形成する。これらの誘電体層9、10と、誘電体材料20に同一の材料が用いられる場合には、同時にこれらを施すことにより、工数が削減できる。
【0047】
次に図7(C)および図8(A)に示すように、前記素材17のコイル形成領域、すなわち前記セット14、14の間、およびセット14と素材17の端部との間に、積層方向(スリット19の長手方向)に直角をなす方向に、素材17の両端部を残してダイヤモンドソー等を用いたダイシングにより、表裏面に貫通するスリット21を設ける。次に図8(B)に示すように、前記スリット21に、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料22を充填する。
【0048】
次に電極パッド7や橋架導体3形成側の面をサンドブラスト等により粗面化した後、図8(C)に示すように、前記電極パッド7の形成部分の誘電体層10を電極パッド7の面までレーザにより剥離して穴23を設け、かつ前記スリット21に充填した複合材料22の略中央部分に長手方向に沿ってダイヤモンドソー等により溝22aを形成する。
【0049】
そして前記穴23の中および前記複合材料22の表面および溝22aに無電解メッキにより下地層12aとしての銅、あるいは下地層12aとして樹脂中に銀を混合した導電剤を印刷等により充填する。次にその上に銅を電解メッキしその上に例えばニッケル、錫をこの順にメッキする等により、半田付けのための端子電極12を形成する。
【0050】
次に図7(C)に30、31でその位置を示す縦横の切断線に沿って、ダイヤモンドソーを用いたダイシングにより切断加工する。これらの切断線30、31は、図7(B)、図8(D)にも示される。すなわちダイシングにより切断加工を行うと同時に、コイル部品の側面となる誘電体層11を形成すると共に、コイル部品の端面となる磁性体層8が形成され、個々のチップを得る。
【0051】
なお、磁性体層8の形成のためのスリット21の形成と複合材料22の充填は、溝18の加工と誘電体材料5の充填の後で個々のチップへの切断前であれば、いずれの工程で行ってもよい。また、素材17にシートを貼り付けた状態で前記スリット19、21を形成すれば、素材17の全幅についてスリット19、21を形成することができる。
【0052】
図9(A)は本発明のコイル部品の他の実施の形態であり、磁性体層8をコイル部品の両端面に設けると共に、端子電極12を底面のみならず両端面全面に設けたものである。このように、端子電極12をコイル部品の端面部全体に設ける場合には、図8(C)に示した溝22aは貫通溝とする。
【0053】
図9(B)は比較例であり、端子電極12を底面のみに設けたものである。
【0054】
図10(A)〜(C)はいずれも比較例であり、いずれも両端面部に磁性体層8を有していない。図10(A)の例は前記端子電極12を両端付近の底面と端面全面に設け、(B)は底面および底面より約半分の高さにわたって端子電極12を設け、(C)は底面のみに端子電極12を設けている。
【0055】
図11(A)、(B)は本発明の他の実施の形態であり、図11(C)はこれらのコイル部品を巻芯に対して垂直に切断した場合の断面図である。この実施の形態の場合には、端面部のみならず、ヘリカルコイルの外周部、すなわち上面、底面、側面のいずれも、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料でなる磁性体層32、33、34により覆うように形成したものである。
【0056】
図9(C)は端子電極12を端面に設けた場合(図9(A))に、プリント基板35上のパッド37にコイル部品36を半田38により固定した状態を示し、図9(D)は端子電極12を底面のみに設けたもの(図9(B))を半田38により固定した状態を示す。図9(C)に示すように、端子電極12がコイル部品36の端面全面あるいは少なくとも端面において底面より1/3以上、好ましくは1/2以上の高さに形成されていれば、半田付けの際の溶融状態の半田38の有する表面張力により、コイル部品36が所定の位置に位置決めする作用と所定の向きに設定する作用を生じるが、図9(D)に示すように、端子電極12を底面のみに有する場合には、前記位置決め力や向きの設定力が弱くなるために、コイル部品36の位置決め、向きの設定が正確に行われず、さらには半田付けされる面積が少ないため、固着強度が低下するという不具合を生じる。このため、端子電極12は端面部の少なくとも底面側の一部にも設けることが好ましい。
【0057】
しかしながら、端子電極12を端面部に設けた場合、図10(A)、(B)の構成ではコイルに生じる磁束が端面部の端子電極12と交差して渦電流として消費されやすくなり、Q値の劣化の原因となる。一方、図9(A)あるいは(B)のように、端面部に磁性体層8を設ければ、ヘリカルコイルの巻芯部、外周部を通る磁束がこれらの磁性体層8を通過して前記渦電流を減少させ、L値を向上させかつQ値を高めることができる。従って、端面部に磁性体層8を設け、かつ端面に端子電極12を設けることにより、コイル部品36のプリント基板35上での半田による固定の際の位置決め、向きの設定が正確にかつ強固に行われる上、L値、Q値の高いコイル部品を得ることができる。
【0058】
さらに、図11に示したように、ヘリカルコイル1の外周部も磁性体層32〜34で覆うことにより、さらにL値、Q値をあげることができる。
【0059】
また、図1〜図8で示した本実施の形態においては、ヘリカルコイル1のコ字形導体2を積層体の切削により形成するため、コイル形状が揃い、コ字形導体間の位置のばらつきや積層ばらつきがなく、インダクタンス値が揃った狭公差のコイル部品を得ることができる。
【0060】
また、切削によって一度にヘリカルコイル1となる導体加工を行うため、製造が容易となり、低コストで素子を製造することができる。また、本実施の形態のように、樹脂やその複合材料により磁性体層8、誘電体材料5や誘電体層9〜11あるいは磁性体層32〜34を構成すれば、加工が容易となる。
【0061】
また、導体として導電性接着剤や前述の導体ぺースト等を用いることも可能であるが、本実施の形態のように金属箔2Aを用いれば、コ字形導体の比抵抗を低く抑えることができるため、直流抵抗を低くでき、高いQ特性を得ることができる。
【0062】
また、橋架導体3を形成する面は、研磨により整面化することにより、コ字形導体2の端部とパターニングにより形成された橋架部分である導体3との接続が良好に行えると共に、コイル形状をより揃えることができる。
【0063】
本発明を実施する場合、側面の誘電体層11あるいは磁性体層は個々のチップに切断後に設けてもよいが、本実施の形態のように、列状にチップが配列される溝18間の切断領域にスリット19を設けてそのスリット19に誘電体材料20あるいは磁性体材料を充填しておき、その充填された材料の略中央部を切断手段によって切断すれば、個々のチップの両側面を誘電体材料あるいは磁性体材料で覆ったチップが切断と同時に形成され、チップ側面にこれらの材料を後付けする手間が不要となり、能率良く製造できる。
【0064】
また、素材17を得る場合、本実施の形態のように、同時に複数個のチップ厚み分の素材を得て切断することにより、積層体の形成工数が少なくなる。
【0065】
本発明において、素材17の厚みtがコイル部品1個分に相当するとは、1個を得ることができる厚みという意味であり、コ字形導体2の厚みより製品より大きく設定しておき、研磨により所望の厚みを得るようにしてもよい。
【0066】
また、本発明は、前記サイズより小さいものや大きいものにも適用でき、金属箔2Aの代わりに金属板を用いてもよい。
【0067】
【実施例】
具体例について述べると、平面の縦横幅が1mm×0.5mm、厚みが0.3mmのものをビニルベンジル樹脂にシリカ粉末を混合した複合材料(ε=2.9)を用いて誘電体層4、5、9〜11に用い、コ字形導体2に35μm厚の銅箔を用い、溝18の幅を360μm、溝18の深さを330μmとし、橋架導体3に幅35μm、厚み25μmの銅を用い、コ字形導体2、2間の誘電体層4の厚みを25μm、ターン数を12回とし、磁性体層8にNi−Zn系フェライトでなる磁性粉末をその含有率が50体積%となるように低誘電エポキシでなる樹脂中に混合した透磁率2.1のものを用い、磁性体層8の厚みを50μmとし、端子電極12を底面のみならず、端面全面に形成して得たコイル部品では、インダクタンス値が15.4nH、Q値が約40(1GHz)であった。
【0068】
一方、同じサイズで従来の薄膜によるスパイラル構造のコイルを形成したものは、Q値が約20であり、セラミック積層体による場合にはQ値が約30であるから、本発明によりQ値の大幅な向上が達成できることが確認できた。
【0069】
また、表1は、図2(C)、図9(A)、(B)、図10(A)〜(C)、図11(B)の構造を採用した場合、磁性体層8の幅を50μm、100μm、150μmと変化させた場合のL値とQ値とを示す。なお、表1において、図10(A)*は、図10(A)の構造において、コイル部品の取付け面の反対側の面にも底面と同様の幅の端子部12cを形成した構造である。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から分かるように、図10(A)、(B)、(C)の構造(いずれも磁性体層8が無く、端子電極12がそれぞれ端面全面覆い(A)、半分覆い(B)、無し(C))について比較すると、端子電極12が覆う端面の面積が少ない方が、L値、Q値が高いことが分かる。
【0072】
図9(A)の構造(端子電極12が端面全体を覆い、磁性体層8が50μm〜150μm)と図10(A)の構造(端子電極12が端面全面を覆い、磁性体層8なし)とを比較した場合、磁性体8を設けることによりL値、Q値が共に向上し、その値の向上は、磁性体層8の厚みが増す程顕著であることが分かる。
【0073】
また、図2(C)の構造(端子電極12が端面の約半分を覆い、磁性体層8が50μm〜150μm)と図10(B)の構造(端子電極12が端面の約全面を覆い、磁性体層8無し)とを比較した場合、磁性体8を設けることによりL値、Q値が共に向上し、その値の向上は、磁性体層8の厚みが増す程顕著であることが分かる。
【0074】
また、図11(B)に示すように、磁性体層8のみならず、外周の磁性体層32〜34を設けることにより、端面電極12で端面の約半分を覆うにもかかわらず、端面に端子電極12の無い場合と同様のQ値が得られる上、端面に端子電極12が無い場合よりはるかに高いL値が得られることが分かる。
【0075】
図12(A)は本発明のコイル部品の他の実施の形態であり、コモンモードチョークやトランスとして構成されたコイル部品について示す。本実施の形態においては、コ字形導体2に対してそれぞれ1つ跳びに橋架導体3a、3bにより交互に接続してそれぞれ一連のコイルを形成することにより、2組の矩形ヘリカルコイルを形成したものである。7a、7bは2つのヘリカルコイルのうちの1つの両端に接続される電極パッド、7c、7dは他の2つのヘリカルコイルの両端に接続される電極パッド、41〜44はそれぞれこれらの電極パッド7a〜7d上に形成される端子電極である。
【0076】
このように、コ字形導体2、2間の橋架導体による接続構造を変えることにより、2つのヘリカルコイルを形成することが可能である。
【0077】
また、図12(B)に示すように、1つのチップに複数のヘリカルコイル1が内蔵して並設されたコイル部品アレイとして構成することも可能である。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、高周波領域において使用され、搭載するプリント基板に平行な巻芯を有するコイル部品において、両端面の少なくとも一部に端子電極を有するので、プリント基板へのコイル部品の固定が位置、向き共に正確に行われ、かつ高い強度で固定される上、高いQ特性のコイル部品を得ることができる。
【0079】
また、本発明において、ヘリカルコイルを、導体と誘電体との積層体からの切り出しにより得る場合には、量産が容易で、導体パターンのずれが小さく、狭公差のインダクタンス値が得られるコイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明によるコイル部品の一実施の形態を示す透視斜視図、(B)はそのコイルの構成を示す断面図、(C)はその電極構造を示す断面図である。
【図2】(A)は本実施の形態のコイル部品の底面図、(B)はその横断面図、(C)はその縦断面図である。
【図3】(A)は本実施の形態の原材料となるシートを示す斜視図、(B)はそのシートを所定の長さごとに切断したものを示す斜視図、(C)は(B)のシートを積層し一体化した積層母材を示す部分斜視図、(D)は(C)の積層母材を切断加工した後の素材を示す全体斜視図、(E)は(D)の部分拡大斜視図である。
【図4】(A)は本実施の形態の素材に溝を形成した状態を示す全体斜視図、(B)はその部分拡大図、(C)は前記溝の部分に誘電体材料を充填した状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】(A)は本実施の形態において隣接するコ字形導体間をパターニングされた導体により接続した状態を示す部分拡大斜視図、(B)はその溝間の部分にスリットを形成した状態を示す全体斜視図、(C)は(B)の部分拡大斜視図である。
【図6】(A)は本実施の形態において、素材上に橋架導体形成のための下地膜およびレジストパターンを形成した状態を示す断面図、(B)はその平面図、(C)はメッキおよびレジスト等の除去により形成された橋架導体および電極パッドのパターンを示す平面図である。
【図7】(A)は図5(C)の素材の断面図、(B)はその素材のスリットおよび表裏面に誘電体材料を施した状態を示す断面図、(C)は素材を横断する方向にスリットを形成した状態を示す斜視図である。
【図8】(A)は図7(C)の拡大断面図、(B)は(A)のスリットに複合材料を充填した状態を示す断面図、(C)は(B)の表面に溝および穴を加工した状態を示す断面図、(D)はその穴および溝に端子電極を形成した状態を示す断面図である。
【図9】(A)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す縦断面図、(B)は本発明の比較例を示す縦断面図、(C)、(D)はそれぞれコイル部品の端面に端子電極を形成したものと端面に端子電極を有しない端子電極ものとの半田付けにおける作用を説明する側面図である。
【図10】(A)〜(C)は比較例のコイル部品を示す縦断面図である。
【図11】(A)、(B)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す縦断面図、(C)はこれらのコイル部品の巻心に垂直な断面を示す断面図である。
【図12】(A)は本発明によるコイル部品の他の実施の形態を示す透視斜視図、(B)は本発明のコイル部品の他の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:スパイラルコイル、2:コ字形導体、2A:金属箔、3、3a、3b:橋架導体、4、4A:誘電体層、5:誘電体材料、6:整面化面、7、7a〜7d:電極パッド、9〜11:誘電体層、12:端子電極、13:積層母材、14:セット、15:接着層、16:切断線、17:素材、18:溝、19:スリット、20:誘電体材料、21:スリット、22:複合材料、22a:溝、23:穴、25:下地層、26:レジスト、27、29:レジスト除去部分、30、31:切断線、32〜34:磁性体層、35:プリント基板、36:コイル部品、37:パッド、38:半田、41〜44:端子電極
Claims (6)
- 誘電体と導体との積層体により作製され、巻芯方向が取付け面に対して平行をなすヘリカルコイルを有するコイル部品であって、
コイル部品の取付け面と両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の両端部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からなる磁性体層により構成したことを特徴とするコイル部品。 - 誘電体と導体とが交互に積層された積層体を素材として作製され、
前記コイルの1ターン分は4辺のうちの3辺が前記積層体の導体をコ字形に切り出すことにより形成され、
前記切り出しにより形成される溝は誘電体材料により充填され、
前記コイルの1ターン分の他の1辺は、前記切り出しにより形成されたコ字形導体の隣接するものの開口端どうしを接続するように、フォトリソ工法により、前記溝に充填された誘電体材料上に形成された橋架導体からなり、
コイル部品の取付け面および両端面における少なくとも取付け面側領域に端子電極を設け、
コイル部品の端面部を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からなる磁性体層により構成したことを特徴とするコイル部品。 - 請求項1または2に記載のコイル部品において、
前記ヘリカルコイルの周囲を、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料からなる磁性体層により覆ったことを特徴とするコイル部品。 - 導体層と誘電体層とを交互に積層し、積層方向に複数個のコイル部品のターン数に相当する導体層数を有し、かつコイル部品の1個分に相当する厚みを有する四角形をなす板状の素材を準備し、
該素材の表面に、積層方向に、互いに平行をなすように、コイル内周部を形成するための所定幅の複数本の溝を加工し、
前記溝に誘電体材料を充填し、
前記溝に充填した誘電体材料のコ字形導体開口面を前記溝の誘電体材料充填部と共に研磨により整面し、
該整面化された面に前記誘電体材料上を跨ぐように、隣接する導体層間を接続してコイル部品となる矩形ヘリカルコイルを構成するための橋架導体および電極パッドをフォトリソ工法により形成し、
該橋架導体を施した素材の面とその反対側の面を誘電体材料により覆い、
前記溝に誘電体材料を充填した後、または前記素材の橋架導体形成面とその反対側の面を誘電体材料により覆った後、前記素材における積層方向の両端およびコイル形成領域の間の位置に、前記溝に対して直角をなす方向にスリットを設け、
前記スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
前記磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填した部分の略中央に長手方向に前記素材の厚さ方向の貫通溝または非貫通溝を設けて、前記貫通溝または前記非貫通溝の内面および露出させた電極パッド上に端子電極を形成し、
前記素材を縦横に切断することにより、個々のコイル部品となるチップを得ることを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 請求項4に記載のコイル部品の製造方法において、
前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに誘電体材料を充填し、
それぞれ充填された誘電体材料の部分をその誘電体材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 請求項4に記載のコイル部品の製造方法において、
前記素材の橋架導体形成面およびその反対側の面を、前記誘電体材料の代わりに、磁性粉末を樹脂に混合した複合材料により覆い、
前記切断加工を行う前に、前記誘電体材料が充填された溝と溝との間にスリットを設けて各スリットに磁性粉末を樹脂に混合した複合材料を充填し、
それぞれ充填された複合材料の部分をその複合材料の幅より狭い切断手段により切断することを特徴とするコイル部品の製造方法。
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