JP2005079285A - 積層電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マザーボード等へ実装する積層電子部品の機械的接続強度を高める。
【解決手段】 本発明による積層電子部品100は、複数の主導体110と複数の絶縁層131が交互に積層された積層電子部品であり、積層面と実質的に直交する部品表面には外部電極141,142が形成されており、前記部品表面と実質的に直交する他の部品表面には外部電極141,142に対して電気的に短絡された補助導体191が形成されている。このような積層電子部品100をマザーボード等に実装すると、接続に用いる半田が補助電極191に沿って積層電子部品の部品表面を登ることから、補助電極191の多くの部分が半田によって覆われることになる。これにより、マザーボード等に対して強固に固定されることになる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明による積層電子部品100は、複数の主導体110と複数の絶縁層131が交互に積層された積層電子部品であり、積層面と実質的に直交する部品表面には外部電極141,142が形成されており、前記部品表面と実質的に直交する他の部品表面には外部電極141,142に対して電気的に短絡された補助導体191が形成されている。このような積層電子部品100をマザーボード等に実装すると、接続に用いる半田が補助電極191に沿って積層電子部品の部品表面を登ることから、補助電極191の多くの部分が半田によって覆われることになる。これにより、マザーボード等に対して強固に固定されることになる。
【選択図】 図1
Description
本発明は積層電子部品及びその製造方法に関し、特に、ヘリカル状のコイル又はコンデンサ等を含む積層電子部品の製造方法に関する。
従来、コイル部品としては、薄膜型のコイル部品や、積層型のコイル部品、さらには、巻線型のコイル部品が知られている。
薄膜型のコイル部品の例としては、例えば特許文献1に記載されているように、コア基板の表面及び裏面にフォトリソグラフィ工法を用いてスパイラル状のコイルを形成したものが知られている。また、積層型のコイル部品の例としては、例えば特許文献2に記載されているように、1/2〜3/4ターンの内部導体パターンを厚み方向に多層積層して内部にヘリカル状のコイルを形成したものが知られている。さらに、巻線型のコイル部品としては、例えば特許文献3に記載されているように、ボビンに巻線となるワイヤをヘリカル状に巻いたものが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載されているような薄膜型のコイル部品においては、導体パターンに高度な微細加工が必要とされるのみならず、高いインダクタンス値を得ることが難しいという問題がある。また、特許文献2に記載されているような積層型のコイル部品においては、内部導体が印刷法により多層積層されるため、印刷ばらつきと積層ばらつきが発生する上、素子を焼成することから、焼成時の収縮や収縮ばらつき等によりインダクタンス精度が低下し、狭公差のコイル部品を得ることが難しいという問題がある。さらに、特許文献3に記載されているような巻線型のコイル部品は、ボビン1個ずつにワイヤを巻線することから、小型化や生産性に難があり、低コストでコイル部品を得ることが難しいという問題がある。
特許2714343号公報
特開平11−103229号公報
特開平11−204352号公報
このような背景から、本発明者らは、量産が容易であり、導体パターンのずれが少なく、狭公差のインダクタンス値が得られる積層コイル部品を開発した。この積層コイル部品は、導電層と絶縁層を交互に積層した積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を作製し、この基板を加工することによって作製される。
このようにして製造される積層コイル部品は、最終的に各種モジュールの基板やマザーボード等に実装されることになるが、各種モジュールの基板やマザーボード等への機械的な接続強度が低いと接続不良が発生したり、場合によって積層コイル部品が脱落するおそれがあるため、各種モジュールの基板やマザーボード等への機械的な接続強度としてはできる限り強固であることが望ましい。この点は、積層コイル部品のみならず、コンデンサ部品等の他の積層電子部品においても同様である。
したがって、本発明は、実装時に各種モジュールの基板やマザーボード等への高い機械的接続強度を得ることが可能な積層電子部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明による積層電子部品は、複数の導電層と複数の絶縁層が交互に積層され、前記導電層によって構成される複数の主導体が内蔵された積層電子部品であって、積層面と実質的に直交する第1の部品表面に形成された第1及び第2の外部電極と、前記第1の部品表面と実質的に直交する第2の部品表面に形成され、前記第1の外部電極に対して電気的に短絡された第1の補助導体と、前記第2の部品表面と対向する第3の部品表面に形成され、前記第2の外部電極に対して電気的に短絡された第2の補助導体とを備えることを特徴とする。
本発明による積層電子部品をマザーボードや各種モジュールの基板に実装すると、接続に用いる半田が補助電極に沿って積層電子部品の第2及び第3の部品表面を登ることから、補助電極の多くの部分が半田によって覆われることになる。つまり、半田との接触面積が非常に大きくなる。これにより、本発明による積層電子部品はマザーボード等に対して強固に固定されるので、実装後において接続不良が発生したり脱落したりする可能性が非常に低くなり、その結果、積層電子部品を搭載した製品の信頼性を高めることが可能となる。
本発明において、第1の補助電極の表面は第2の部品表面と実質的に同一平面を構成し、第2の補助電極の表面は第3の部品表面と実質的に同一平面を構成していることが好ましい。これによれば、第1及び第2の補助電極を設けることによって積層電子部品のサイズが大型化することはほとんど無い。
また本発明は、少なくとも一部が第1の外部電極と第1の補助導体との間及び第2の外部電極と第2の補助導体との間に設けられた橋架導体をさらに備え、第1及び第2の外部電極が橋架導体を介して複数の主導体に接続されていることを他の特徴とする。また、第2及び第3の部品表面に対して垂直な方向から見た第1及び第2の補助導体の平面形状と、第2及び第3の部品表面に対して垂直な方向から見た複数の主導体の平面形状とが実質的に同一であることをさらに他の特徴とする。
本発明において、第2及び第3の部品表面は積層面と実質的に平行な面であっても構わないし、第2及び第3の部品表面は積層面と実質的に直交する面であっても構わない。つまり、第2及び第3の部品表面と積層面との関係は特に限定されるものではない。
また本発明は、複数の主導体が第1の部品表面側に位置する第1及び第2の端部を有しており、橋架導体が所定の主導体の第1の端部と所定の主導体とは異なる層に位置する主導体の第2の端部とを接続する部分を有していることをさらに他の特徴とする。また、複数の主導体が第1の部品表面と対向する第4の部品表面側に位置する第3及び第4の端部を有しており、橋架導体が所定の主導体の第3の端部と所定の主導体と同じ層に位置する主導体の第4の端部とを接続する部分をさらに有していることをさらに他の特徴とする。
本発明において、複数の主導体及び橋架導体の少なくとも一部がコイルの導体を構成すれば、積層コイル部品を提供することが可能となる。
本発明による積層電子部品の製造方法は、主導体及び補助導体を含む複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された基板を形成する第1のステップと、前記基板の積層面に対して実質的に垂直な主面に、所定の主導体の端部とこれに対応する別の主導体の端部とを接続する複数の橋架導体を形成する第2のステップと、前記橋架導体に接続された外部電極を形成する第3のステップと、少なくとも前記補助導体の形成部分に沿って前記基板をダイシングにより分割する第4のステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、補助導体の形成部分に沿って基板をダイシングにより分割していることから、ダイシング後において補助導体を容易に露出させることが可能となる。これにより、実装後において接続不良が発生したり脱落したりする可能性が非常に少ない積層電子部品を簡単に製造することが可能となる。
また、ダイシングの方向と実質的に直交する方向における補助導体の幅が、ダイシングにより削除される幅よりも広く設定されていることが好ましい。これによれば、ダイシングにより分割された複数の積層電子部品のそれぞれについて、補助導体を容易に露出させることが可能となる。
また、第3のステップは、橋架導体の一部分が露出するよう基板の主面に絶縁層を形成する第1のサブステップと、電気メッキによって橋架導体の露出部分に外部電極をメッキ成長させる第2のサブステップとを含んでいることが好ましく、この場合、第1のサブステップをスクリーン印刷法により行うことが好ましい。これによれば、製造工程を簡素化することができる。
このように、本発明によれば、実装時に各種モジュールの基板やマザーボード等への高い機械的接続強度を得ることが可能となる。
また、本発明による積層電子部品は、アンテナ、アンテナスイッチモジュール、フロントエンドモジュール、パワーアンプモジュール、VCO、PLLモジュール、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、トラップ、バルントランス、カプラ(方向性結合器)、TCXOモジュール、IFモジュール、RFモジュール、パワーアンプアイソレータモジュール、アンテナフロントエンドモジュール、光ピックアップ用重畳モジュール、EMCフィルタ、コモンモードフィルタ、DC−DCコンバータ、ディレイライン、ダイプレクサ、デュプレクサ、チューナーユニット、ダブルバランスドミキサー、電力合成器、電力分配器等に使用することが可能である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による積層電子部品100の構造を示す略斜視図であり、図2は、図1に示すA方向から見た略透視平面図であり、図3は、積層電子部品100に内蔵された導電性材料のみを抜き出して示す略斜視図である。さらに、図4は図1に示すB−B線に沿って切断した場合の略断面図であり、図5は図1に示すC−C線に沿って切断した場合の略断面図である。
本実施形態による積層電子部品100は、ヘリカル状のコイルを内蔵するコイル部品である。図1に示すように、その外形は略直方体形であり、その一つの面の両端には外部電極141及び142が設けられている。外部電極141はコイルの一端を構成し、外部電極142はコイルの他端を構成している。また、外部電極141、142が設けられている面と直交する側面であって外部電極141、142が設けられている両端側に位置する2つの側面100aには、いずれも補助導体191の表面191aが露出しており、補助電極191の表面191aとこれに対応する側面100aとは実質的に同一平面を構成している。
尚、本明細書及び特許請求範囲においては、外部電極141、142が設けられている面を「第1の部品表面」と呼び、補助導体191の表面191aが露出している2つの側面100aをそれぞれ「第2の部品表面」及び「第3の部品表面」と呼ぶことがある。また、外部電極141、142が設けられている第1の部品表面と対向する面を「第4の部品表面」と呼ぶことがある。本実施形態では、第2及び第3の部品表面は積層面と実質的に平行な面である。
さらに、図2乃至図5に示すように、積層電子部品100にはコの字状の複数の主導体110と、これら主導体110同士を接続する橋架導体(導体パターン)120とが内蔵されており、これら主導体110及び橋架導体120を取り囲むように、絶縁層131,133〜136及び192が設けられている。
図2及び図3に示すように、本例では、コの字状の主導体110は互いに平行に配置された6つの主導体111〜116によって構成されており、これら6つの主導体111〜116の配列方向における両端部には、同じくコの字状である補助導体191がそれぞれ配置されている。また、橋架導体120は7つの橋架導体121〜127によって構成されており、これら7つの橋架導体121〜127のうち、橋架導体121は主導体111の一端と外部電極141及び一方の補助電極191とを接続し、橋架導体122は主導体111の他端と主導体112の一端とを接続し、橋架導体123は主導体112の他端と主導体113の一端とを接続し、橋架導体124は主導体113の他端と主導体114の一端とを接続し、橋架導体125は主導体114の他端と主導体115の一端とを接続し、橋架導体126は主導体115の他端と主導体116の一端とを接続し、橋架導体127は主導体116の他端と外部電極142及他方の補助電極191とを接続している。これにより、外部電極141及び一方の補助電極191と外部電極142及び他方の補助電極191とは、主導体111〜116及び橋架導体121〜127からなる一続きのコイルを介して接続されることになる。
主導体110(111〜116)及び補助導体191の材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)もしくはこれらの合金等を用いることが好ましく、導電性やコストを考慮すれば、銅(Cu)又はその合金を用いることが最も好ましい。主導体100(111〜116)の厚みとしては、特に限定されないが、5μm以上、75μm未満に設定することが好ましい。補助導体191の厚みについても特に限定されず、その表面191aが積層電子部品100の側面100aにおいて露出していれば足りる。一方、橋架導体120(121〜127)の材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)又はその合金(銀パラジウム、銀白金等)を用いることが好ましい。
また、図4及び図5に示すように、コの字状の主導体111〜116の間には絶縁層131が設けられ、端部に位置する主導体116と補助導体191との間には絶縁層192が設けられている。さらに、コの字状の主導体111〜116及び補助導体191の内側には絶縁層133が設けられており、コの字状の主導体111〜116及び補助導体191の外側のうち図4における左右方向(図5における上下方向)には絶縁層134が設けられ、コの字状の主導体111〜116及び補助導体191の外側のうち図4における上下方向には絶縁層135,136が設けられている。
絶縁層131,133〜136及び192の材料としては、樹脂又は樹脂にセラミック等の無機材料からなる機能性材料粉末(磁性体粉末又は誘電体粉末)を混合した複合材料を用いることが好ましい。樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
具体的には、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ホリフェニレンエテール(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂等を用いることができる。
また、熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラフト樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂等を用いることができる。
これらの中でも、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ビニルベンジル樹脂等をベースレジンとして用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
また、複合材料を構成する場合の無機材料としては、比較的高い誘電率を得るためには、チタン−バリウム−ネオジム系セラミックス、チタン−バリウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックスを用いることが好ましい。
なお、二酸化チタン系セラミックスとは、二酸化チタンのみを含有するものの他、他の少量の添加物を含有するものも含み、二酸化チタンの結晶構造が保持されているものをいう。また、他のセラミックスも同様である。特に二酸化チタン系セラミックスはルチル構造を有するものが好ましい。
また、誘電率をあまり高くせず、高いQを持たせるためには、樹脂材料に混合する誘電体粉末としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸カルシウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラスチョップ、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等を用いることが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし2種類以上混合して使用してもよい。2種類以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
また、樹脂材料に混合する無機材料に磁性体を用いる場合は、フェライトとしてはMn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等が好ましい。また、磁性体としては強磁性金属を用いることができる。この場合、カーボニル鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金(商標名:センダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロイ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)等を用いることが好ましい。
図6は、本実施形態による積層電子部品100をマザーボードに実装した状態を示す略側面図である。
本実施形態による積層電子部品100をマザーボード193に実装する場合、マザーボード193に設けられた電極パターン194上に半田195を供給した後、半田195と外部電極141,142が接するよう積層電子部品100を載置し、リフローを行う。このとき、本実施形態による積層電子部品100においては、側面100aに外部電極141,142と接する補助電極191の表面191aが露出していることから、リフロー時に溶融した半田195が補助電極191の表面191aに沿ってを登り、その多くの部分が半田195によって覆われることになる。つまり、半田195との接触面積が通常の積層電子部品に比べて非常に大きくなる。これにより、本実施形態による積層電子部品100はマザーボード193に対して強固に固定されるので、実装後において接続不良が発生したり、積層電子部品100が脱落したりする可能性が非常に低くなり、その結果、積層電子部品100を搭載した製品の信頼性を高めることが可能となる。尚、積層電子部品100の実装対象としてはマザーボードに限らず、各種モジュールの基板等にこれを実装することも可能である。
次に、積層電子部品100の製造方法について、図7乃至図22を用いて説明する。
まず、樹脂又は樹脂に機能性材料粉末を混合した材料を溶剤及びバインダに分散させてペースト状とし、これを図7に示すようにドクターブレード法等により主導体110(111〜116)の母材である銅箔等からなる導電性シート110’上に塗布して薄膜絶縁シート131’を形成する。形成された薄膜絶縁シート131’は、最終的に絶縁層131となる。これにより、導電性シート110’と薄膜絶縁シート131’からなる積層シート150が形成される。
次に、積層シート150を所定の大きさに切断し、これを図8に示すように複数枚(本例では6枚)重ね合わせて、熱圧着または必要な場合には接着層を介して一体化し、積層体160を作製する。
次に、導電性シート191’と薄膜絶縁シート192’からなる積層シート190を複数用意し、図9に示すように、積層体160と積層シート190を熱圧着または必要な場合には接着層を介して交互に重ね合わせ、積層母材165を作製する。積層シート190は積層シート150と同様の方法及び材料により作製すればよい。本実施形態では、導電性シート191’の厚みが後述するダイシング工程(図21・図22)において削除される幅、つまり「切りしろ」よりも十分に厚く設定される。
次に、図10に示すように、積層母材165を積層面に対して実質的に垂直な方向に切断(スライス)し、基板180を作製する。切断面の一方は主に加工が施される主面181となり、切断面の他方は裏面182となる。
次に、図11に示すように、基板180の主面181を積層面に対して実質的に垂直な方向にダイシングにより研削し、複数の溝183を形成する。
次に、図12に示すように、溝183が形成された基板180の主面181の全面に絶縁層133’を形成し、絶縁層133’によって溝183を完全に埋める。絶縁層133’を形成する方法としては、真空印刷、真空プレス、真空ラミネート等の方法を用いることができる。そして、図13に示すように、基板180の主面181が露出するまで絶縁層133’の表面を研磨する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、溝183には絶縁層133が埋め込まれた状態となる。
次に、図14に示すように、基板180の主面181を溝183に対して平行にダイシングにより研削し、複数の溝184を形成する。以上により、積層体160及び積層シート190は裏面182の近傍を除いて略コの字状となり、積層体160を構成する導電性シート110’及び薄膜絶縁シート131’はそれぞれ主導体110及び絶縁層131となり、積層シート190を構成する導電性シート191’及び薄膜絶縁シート192’はそれぞれ補助導体191及び絶縁層192となる。これにより、積層面に対して垂直な方向から見た主導体110の平面形状と、積層面に対して垂直な方向から見た補助導体191の平面形状とは実質的に同一となる。
次に、図15に示すように、溝184が形成された基板180の主面181の全面に絶縁層134’を形成し、絶縁層134’によって溝184を完全に埋める。絶縁層134’の形成についても、真空印刷、真空プレス、真空ラミネート等の方法を用いることができる。そして、図16に示すように、基板180の主面181が露出するまで絶縁層134’の表面を研磨し、整面(平滑化)する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、溝184には絶縁層134が埋め込まれた状態となる。
次に、整面された基板180の主面181に橋架導体120を形成する。橋架導体120の形成は、整面された基板180の主面181の全面にメッキ法等により下地導体(図示せず)を形成し、さらに、下地導体の全面にフォトレジストを形成した後、橋架導体120を形成すべき領域の下地層を露光により露出させ、露出した下地層の表面にメッキ法により橋架導体120を形成すればよい。その後、フォトレジストを剥離し、酸などを用いて不要な下地導体を除去すれば、所望のパターンの橋架導体120を形成することができる。但し、橋架導体120の形成方法としてはこれに限定されず、他の方法を用いても構わない。例えば、整面された基板180の主面181の全面にフォトレジストを形成し、橋架導体120を形成すべき領域の主面181を露光により露出させた後、主面181の全面にメッキ法、蒸着法、スパッタリング法等により金属層を形成し、フォトレジストとその上に形成された金属層を剥離することにより橋架導体120を形成しても構わない。さらに、整面された基板180の主面181の全面にメッキ法、蒸着法、スパッタリング法等により金属層を形成した後、これをパターニングすることにより橋架導体120を形成しても構わない。
図17は橋架導体120の形状を示す略平面図であり、図16に示す領域185内における形状を示している。図17に示すように、橋架導体120は7つの橋架導体121〜127を一組とする複数組(領域185内では2組)の導体によって構成される。既に説明したとおり、橋架導体122〜126は、対応する2つの主導体の端部同士を接続する導体であり、橋架導体121及び127は、対応する主導体の一端と外部電極141及び外部電極142とをそれぞれ接続する導体である。
橋架導体120の形成が完了すると、図18に示すように、最終的に外部電極141,142となる領域143’を除く主面181の全面に絶縁層135を形成する。最終的に外部電極141,142となる領域143’内には、橋架導体121及び127が形成されている領域の少なくとも一部が含まれており、これにより橋架導体121及び127の少なくとも一部が露出した状態となる。一方、橋架導体122〜126については絶縁層135によって完全に覆われ、これらが露出することはない。絶縁層135の形成方法としては、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。スクリーン印刷法を用いれば、1工程で図18に示す形状を有する絶縁層135を形成することが可能となるからである。但し、絶縁層135の形成方法がこれに限定されるものではなく、他の方法、例えば、基板180の主面181の全面に絶縁層135を形成した後、領域143’に形成された絶縁層135を除去することによって形成しても構わない。
このようにして絶縁層135を形成した後、電気メッキを行うことによって、図19に示すように外部電極143を形成する。上述の通り、絶縁層135は橋架導体121及び127の少なくとも一部を露出させる一方で、橋架導体122〜126を完全に覆っていることから、絶縁層135をマスクとして電気メッキを行うことにより、橋架導体121及び127の露出部分にメッキ層からなる外部電極143を形成することができる。外部電極143の厚さは、絶縁層135の厚さよりも厚く設定される。
次に、基板180の裏面182を研磨することにより溝184の底部を除去し、図20に示すように基板180の裏面182の全面に絶縁層136を形成した後、図21に示すD−D線に沿って基板180をダイシングにより分割し、複数個(本例では9個)の積層電子部品100を取り出す。このダイシングによって外部電極143は2つに分割され、それぞれ外部電極141,142となる。
図22は、ダイシング位置をより詳細に説明するための略透視平面図であり、図21に示す領域186におけるダイシング位置を示している。尚、図面の見やすさを考慮して、外部電極143や橋架導体121〜127については示されてない。
図22においては、ダイシングする線D−Dが平行な2本の線D1−D1及びD2−D2によって表されており、この2本の線に挟まれた領域187がダイシングにより削除される領域、つまり「切りしろ」である。本実施形態においては、D1−D1線及びD2−D2線がいずれも補助導体191を通過するようにダイシングされる。つまり、切りしろである領域187が補助導体191内に割り当てられる。これにより、ダイシング後においては補助導体191の表面191aが必ず露出することになる(図1参照)。補助導体191の元となる導電性シート191’の厚みを切りしろである領域187の幅d1よりも十分に厚く設定しているのは、このようにダイシング後において補助導体191の表面191aを確実に露出させるために他ならない。
以上により、積層電子部品100が完成する。
このように、本実施形態による積層電子部品100は、外部電極141,142に隣接する側面100aに補助電極191の表面191aが露出していることから、これをマザーボードや各種モジュールの基板に実装すると、リフロー時に溶融した半田が補助電極191の表面191aに沿って積層電子部品100の側面100aを登ることになる(図6参照)。これにより、積層電子部品100はマザーボード等に対して強固に固定されるので、実装後において接続不良が発生したり、積層電子部品100が脱落したりする可能性が非常に低くなる。
また、補助電極191の表面191aとこれに対応する側面100aとが実質的に同一平面を構成していることから、補助電極191を設けることによって積層電子部品100のサイズが大型化することはほとんど無い。つまり、L字型に折り曲げられた外部電極を備える一般的な電子部品のように、外部電極の折り曲げ部分によって全体のサイズが大型化することがない。
しかも、本実施形態においては、基板180に溝183を形成することによりコの字状の主導体110を形成していることから、量産が容易であり、主導体のずれが少なく、狭公差のインダクタンス値を得ることが可能である。
次に、本発明の好ましい他の実施形態による積層電子部品について説明する。
図23は、本発明の好ましい他の実施形態による積層電子部品200の構造を示す略斜視図であり、図24は、積層電子部品200に内蔵された導電性材料のみを抜き出して示す略斜視図である。
本実施形態による積層電子部品200もヘリカル状のコイルを内蔵するコイル部品であり、多くの点で上述した積層電子部品100と類似している。図23に示すように、積層電子部品200の外形は略直方体形であり、その一つの面の両端には外部電極241及び242が設けられている。外部電極241はコイルの一端を構成し、外部電極242はコイルの他端を構成している。また、外部電極241、242が設けられている面と直交する側面であって外部電極241、242が設けられている両端側に位置する2つの側面200aには、いずれも補助導体291の表面291aが露出している。さらに、図24に示すように、積層電子部品200には主導体210と、これら主導体210同士を接続する橋架導体220及び270とが内蔵されており、これら主導体210、橋架導体220及び270を取り囲むように、絶縁層233〜236が設けられている。絶縁層233〜236は、それぞれ積層電子部品100における絶縁層133〜136に対応する要素である。積層電子部品200には、積層電子部品100における絶縁層131及び192に対応する絶縁層も含まれているが、図23及び図24には示されていない。
図24に示すように、本例では、橋架導体120に対応する橋架導体220が備えられている他、コの字状の主導体110の代わりに、棒状の主導体210−1及び210−2からなる複数対の主導体210と、橋架導体270が備えられている。また、コの字状である補助導体191の代わりに、棒状の補助導体291が備えられている。棒状の主導体210−1は、平行に配置された6つの主導体211−1〜216−1によって構成され、棒状の主導体210−2は、平行に配置された6つの主導体211−2〜216−2によって構成されている。補助導体291は、これら平行に配置された6つの主導体211−1〜216−1の配列方向における両端部、並びに、これら平行に配置された6つの主導体211−2〜216−2の配列方向における両端部に配置されている。
また、橋架導体270は6つの橋架導体271〜276によって構成されている。これら6つの橋架導体271〜276のうち、橋架導体271は主導体211−1の一端と主導体211−2の一端とを接続し、橋架導体272は主導体212−1の一端と主導体212−2の一端とを接続し、橋架導体273は主導体213−1の一端と主導体213−2の一端とを接続し、橋架導体274は主導体214−1の一端と主導体214−2の一端とを接続し、橋架導体275は主導体215−1の一端と主導体215−2の一端とを接続し、橋架導体276は主導体216−1の一端と主導体216−2の一端とを接続している。これにより、一対の主導体とこれに対応する橋架導体は、上述したコの字状の主導体と同じ役割を果たすことになる。
次に、積層電子部品200の製造方法について、図25乃至図28を用いて説明する。
まず、上述した図7から図16までの工程と同じ工程を実行した後、図25に示すように、絶縁層233が露出するまで基板280の裏面282を研磨して整面(平滑化)する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。これにより、コの字状であった主導体210は、主導体210−1と210−2に分離されることになり、コの字状であった各補助導体291も2つに分離されることになる。
次に、基板280の表面281に橋架導体220を形成するとともに、基板280の裏面282に橋架導体270を形成する。橋架導体220、270の形成は、上述した橋架導体120の形成と同様の方法を用いることができる。ここで、橋架導体220の平面的なパターン形状は図17に示した橋架導体120のパターン形状と同様であり、橋架導体270の平面的なパターン形状は図26に示すとおりである。
橋架導体220、270の形成が完了すると、図27に示すように、最終的に外部電極241,242となる領域243’を除く主面281の全面に絶縁層235を形成するとともに、基板280の裏面282の全面を覆う絶縁層236を形成する。最終的に外部電極241,242となる領域243’内には、橋架導体221及び227が形成されている領域の少なくとも一部が含まれており、これにより橋架導体221及び227の少なくとも一部が露出した状態となる。一方、橋架導体222〜226については絶縁層235によって完全に覆われ、これらが露出することはない。もちろん、橋架導体271〜276については絶縁層236によって完全に覆われる。絶縁層235の形成方法としては、上述の通りスクリーン印刷法を用いることが好ましい。
このようにして絶縁層235、236を形成した後、電気メッキを行うことによって、図28に示すように外部電極243を形成する。上述の通り、絶縁層235は橋架導体221及び227の少なくとも一部を露出させる一方で、橋架導体222〜226を完全に覆っていることから、絶縁層235をマスクとして電気メッキを行うことにより、橋架導体221及び227の露出部分にメッキ層からなる外部電極243を形成することができる。外部電極243の厚さは、絶縁層235の厚さよりも厚く設定される。
そして、図21を用いて説明したように基板280をダイシングにより分割し、複数個の積層電子部品200を取り出す。この場合も、図22を用いて説明したようにダイシングにおいて削除される領域、つまり「切りしろ」は補助導体291内に割り当てられ、これにより、ダイシング後においては、補助導体291の表面291aが必ず露出することになる(図23参照)。
以上により、積層電子部品200が完成する。
このように、本実施形態による積層電子部品200においても、外部電極241,242に隣接する側面200aに補助電極291の表面291aが露出していることから、これをマザーボードや各種モジュールの基板に実装すると、リフロー時に溶融した半田が補助電極291の表面291aに沿って積層電子部品200の側面200aを登るので、実装後において接続不良が発生したり、積層電子部品200が脱落したりする可能性が非常に低くなる。
さらに、本実施形態による積層電子部品200は、上述した積層電子部品100の効果に加え、コの字状の主導体110の代わりに棒状の主導体210−1及び210−2からなる複数対の主導体210を用いていることから、仮に、基板280に多少の反りが生じていたとしても、基板280の裏面282を研磨する際に、反りに起因する主面281の不均一な研磨状態を相殺することができる。これにより、特性のばらつきをよりいっそう抑制することが可能となる。
次に、本発明の好ましいさらに他の実施形態による積層電子部品について説明する。
図29は、本発明の好ましいさらに他の実施形態による積層電子部品300の構造を示す略斜視図である。
本実施形態による積層電子部品300もヘリカル状のコイルを内蔵するコイル部品であり、図29に示すように、その構成は上述した積層電子部品200の構成とほぼ同様である。つまり、積層電子部品300の外形は略直方体形であり、その一つの面の両端には外部電極341及び342が設けられている。外部電極341はコイルの一端を構成し、外部電極342はコイルの他端を構成している。また、外部電極341、342が設けられている面と直交する側面であって外部電極341、342が設けられている両端側に位置する2つの側面300aには、いずれも補助導体391の表面391aが露出している。また、積層電子部品300には、積層電子部品200に内蔵されている主導体及び橋架導体とほぼ同様の構成を持った主導体及び橋架導体が内蔵されており、これら主導体及び橋架導体を取り囲むように、絶縁基板333及び絶縁層334〜336が設けられている。絶縁基板333及び絶縁層334〜336は、それぞれ積層電子部品200における絶縁層233〜236に対応する要素である。本明細書及び特許請求の範囲においては、絶縁基板333についても「絶縁層」と呼ぶことがある。
このように、本実施形態による積層電子部品300の構成は上述した積層電子部品200の構成とほぼ同様であるが、本実施形態による積層電子部品300では、対向する2つの側面300a(第2及び第3の部品表面)が積層面と実質的に直交する面である点で積層電子部品200と異なり、また、その製造方法が積層電子部品200と大きく異なっている。以下、積層電子部品300の製造方法について、図30乃至図41を用いて説明する。
まず、図30に示すように板状の絶縁基板333を用意し、その両面に下地導体層350及びフォトレジスト層351をこの順に形成する。下地導体層350の材料としては、特に限定されないが銅(Cu)を選択することが好ましく、無電解メッキを用いて形成することができる。また、絶縁基板333としては、ガラスクロス、ケブラー等の樹脂クロス、フッ素樹脂の多孔質シート等の芯材に、絶縁層131,133〜136及び192の好ましい材料として挙げた樹脂又は樹脂にセラミック等の無機材料からなる機能性材料粉末(磁性体粉末又は誘電体粉末)を混合した複合材料を含浸させたものを用いることが好ましい。
次に、フォトレジスト層351に対して露光を行うことにより、図31に示すように領域310a及び領域390aのフォトレジスト層351を除去し、これら領域310a、390aの下地導体層350を露出させる。本例では、領域390a間に6つの領域310aを形成しており、領域390aの幅は各領域310aの幅よりも広く設定されている。また、領域390aの幅は、後述するダイシング工程(図40・図41)において削除される幅、つまり「切りしろ」よりも十分に広く設定されている。
図32は、領域310a、390aの下地導体層350を除去した状態における絶縁基板333の平面図であり、図32に示すE−E線は、図31に示された断面部分に相当する線である。図32に示すように、領域310a、390aは絶縁基板333の一方向に延在して平行に設けられている。本例では、6つの領域310aからなる組が3組形成され、これら各組の両側に領域390aが配置されている。
このようにして領域310a、390aの下地導体層350を露出させた後、電解メッキを行う。これにより、図33に示すように、領域310aには主導体310−1(311−1〜316−1)及び主導体310−2(311−2〜316−2)が形成され、領域390aには補助導体391が形成される。メッキ液の種類については、主導体310−1,310−2及び補助導体391を構成すべき材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、これらの材料を銅(Cu)とする場合には、メッキ液として硫酸銅を用いることができる。そして、フォトレジスト層351を削除するとともに、酸などのエッチング液を用いて主導体310−1,310−2及び補助導体391が形成されていない部分の不要な下地導体層350を除去(ソフトエッチング)すれば、図34に示すパターンが形成されることになる。つまり、絶縁性基板(絶縁層)333の両面に主導体310−1,310−2及び補助導体391からなる導電層が形成されることになる。主導体310−1,310−2及び補助導体391と絶縁基板333との間には下地導体層350が介在することになるが、以下の説明においては、便宜上、下地導体層350の存在を省略して説明を進める。尚、主導体310−1,310−2及び補助導体391の形成方法としては上記の方法(セミアディティブ法)に限定されず、サブトラクティブ法やフルアディティブ法等、他の方法を用いても構わない。
このような加工を施した絶縁基板333を複数枚用意し、図35に示すように、絶縁基板333と絶縁層334を熱圧着または必要な場合には他の絶縁層や接着層を介して交互に重ね合わせ、積層母材365を作製する。
次に、図36に示すように、積層母材365を積層面に対して実質的に垂直な方向に切断(スライス)し、基板380を作製する。そして、基板380の主面381及び裏面382を研磨し、整面(平滑化)する。研磨は、スライサーやグラインダーを用いることができる。
次に、整面された基板380の主面381及び裏面382に、橋架導体320及び370をそれぞれ形成する。橋架導体320、370の形成は、既に説明した橋架導体120等と同様の方法を用いて形成すればよい。
図37は、基板380の主面381に形成される橋架導体320の形状を示す略平面図であり、図36に示す領域385内における形状を示している。図37に示すように、橋架導体320は7つの橋架導体321〜327によって構成されており、橋架導体321は補助導体391と主導体311−1とを接続し、橋架導体322は主導体312−1と主導体311−2とを接続し、橋架導体323は主導体313−1と主導体312−2とを接続し、橋架導体324は主導体314−1と主導体313−2とを接続し、橋架導体325は主導体315−1と主導体314−2とを接続し、橋架導体326は主導体316−1と主導体315−2とを接続し、橋架導体327は補助導体391と主導体316−2とを接続する。橋架導体321及び327は、それぞれ外部電極341及び342の下地となる導体である。
図38は、基板380の裏面382に形成される橋架導体370の形状を示す略平面図であり、図36に示す領域385に対応する領域内における形状を示している。図38に示すように、橋架導体370は6つの橋架導体371〜376によって構成されており、橋架導体371は主導体311−1と主導体311−2とを接続し、橋架導体372は主導体312−1と主導体312−2とを接続し、橋架導体373は主導体313−1と主導体313−2とを接続し、橋架導体374は主導体314−1と主導体314−2とを接続し、橋架導体375は主導体315−1と主導体315−2とを接続し、橋架導体376は主導体316−1と主導体316−2とを接続する。
これにより、外部電極341の下地となる橋架導体321と外部電極342の下地となる橋架導体327とは、主導体310−1(311−1〜316−1)、主導体310−2(311−2〜316−2)、橋架導体322〜326及び橋架導体370(371〜376)からなる一続きのコイルを介して接続されることになる。
このような橋架導体320、370の形成が完了すると、図39に示すように、最終的に外部電極341,342となる領域343’を除く主面381の全面に絶縁層335を形成するとともに、基板380の裏面382の全面を覆う絶縁層336を形成する。最終的に外部電極341,342となる領域343’内には、橋架導体321及び327が形成されている領域の少なくとも一部が含まれており、これにより橋架導体321及び327の少なくとも一部が露出した状態となる。一方、橋架導体322〜326については絶縁層335によって完全に覆われ、これらが露出することはない。もちろん、橋架導体371〜376については絶縁層336によって完全に覆われる。絶縁層335の形成方法としては、上述の通りスクリーン印刷法を用いることが好ましい。
このようにして絶縁層335、336を形成した後、電気メッキを行うことによって、図40に示すように外部電極343を形成する。上述の通り、絶縁層335は橋架導体321及び327の少なくとも一部を露出させていることから、絶縁層335をマスクとして電気メッキを行うことにより、橋架導体321及び327の露出部分にメッキ層からなる外部電極343を形成することができる。外部電極343の厚さは、絶縁層335の厚さよりも厚く設定される。
そして、図40に示すF−F線に沿って基板380をダイシングにより分割し、複数個の積層電子部品300を取り出す。
図41は、ダイシング位置をより詳細に説明するための略透視平面図であり、図40に示す領域386におけるダイシング位置を示している。尚、図面の見やすさを考慮して、外部電極343や橋架導体320,370については示されてない。
図41においては、ダイシングする線F−Fが平行な2本の線F1−F1及びF2−F2によって表されており、この2本の線に挟まれた領域387がダイシングにより削除される領域、つまり「切りしろ」である。本実施形態においては、F1−F1線及びF2−F2線はいずれも補助導体391を通過するようにダイシングされる。つまり、切りしろである領域387が補助導体391内に割り当てられる。これにより、ダイシング後においては、補助導体391の表面391aが必ず露出することになる(図29参照)。補助導体391が形成される領域390aの幅を切りしろである領域387の幅d2よりも十分に厚く設定しているのは、このようにダイシング後において補助導体391の表面391aを確実に露出させるために他ならない。
以上により、積層電子部品300が完成する。
このように、本実施形態による積層電子部品300においても、外部電極341,342に隣接する側面300aに補助電極391の表面391aが露出していることから、これをマザーボードや各種モジュールの基板に実装すると、リフロー時に溶融した半田が補助電極391の表面391aに沿って積層電子部品300の側面300aを登るので、実装後において接続不良が発生したり、積層電子部品300が脱落したりする可能性が非常に低くなる。
さらに、本実施形態による積層電子部品300は、積層母材365を切断(スライス)して基板380を作製した後は溝等を形成する必要がないことから、積層母材365を形成した後の工程が簡素化されるばかりでなく、基板380に反りや変形が生じにくくなるので、特性のばらつきをよりいっそう抑制することが可能となる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
つまり、本発明は、導電層と絶縁層を交互に積層した積層母材を積層面とは実質的に垂直な方向に切断することによって基板を作製し、この基板を加工することによって作製されるべき積層電子部品であればどのようなタイプの積層電子部品に対しても適用が可能である。例えば、橋架導体によってある主導体の一端と、この主導体から見て2つ離れた主導体の一端とを接続することにより同軸に巻回された2つのコイルを形成し、これによってコモンモードチョークを構成することも可能であるし、コイルとともにコンデンサを内蔵することによって、LCフィルタを構成することも可能である。この場合、主導体の少なくとも一部がコンデンサの電極を構成することになる。また、コイルを内蔵することなくコンデンサを内蔵することによって、チップコンデンサを構成することも可能である。
さらに、上記各実施形態においては、ダイシング前における補助導体191,291の厚さや補助導体391の幅を、ダイシングにより削除される幅(切りしろ)よりも大きく設定することによって補助導体の表面を確実に露出させているが、補助導体の厚さや幅が切りしろよりも小さい場合であっても、ダイシング位置を正確に調整すればその表面を露出させることが可能である。但し、この方法には非常に高いダイシング精度が要求されることから、上記各実施形態のように補助導体の厚さや幅を切りしろよりも大きく設定する方が好ましい。
100,200,300 積層電子部品
100a,200a,300a 積層電子部品の側面
110(111〜116),210(211−1〜216−1,211−2〜216−2),310(311−1〜316−1,311−2〜316−2) 主導体
110’,191’ 導電性シート
120(121〜127),220(221〜227),270(271〜276),320(321〜327),370(371〜376) 橋架導体
131,133〜136,192,233〜236,334〜336 絶縁層
131’,192’ 薄膜絶縁シート
141〜143,241〜243,341〜343 外部電極
143’,243’343’ 外部電極となる領域
150,190 積層シート
160 積層体
165,365 積層母材
180,280,380 基板
181,281,381 基板の主面
182,282,382 基板の裏面
183,184 溝
185,186,385,386 領域
187,387 切りしろ
191,291,391 補助導体
191a,291a,391a 補助導体の表面
193 マザーボード
194 電極パターン
195 半田
310a,390a フォトレジスト層が除去された領域
333 絶縁基板
350 下地導体層
351 フォトレジスト層
100a,200a,300a 積層電子部品の側面
110(111〜116),210(211−1〜216−1,211−2〜216−2),310(311−1〜316−1,311−2〜316−2) 主導体
110’,191’ 導電性シート
120(121〜127),220(221〜227),270(271〜276),320(321〜327),370(371〜376) 橋架導体
131,133〜136,192,233〜236,334〜336 絶縁層
131’,192’ 薄膜絶縁シート
141〜143,241〜243,341〜343 外部電極
143’,243’343’ 外部電極となる領域
150,190 積層シート
160 積層体
165,365 積層母材
180,280,380 基板
181,281,381 基板の主面
182,282,382 基板の裏面
183,184 溝
185,186,385,386 領域
187,387 切りしろ
191,291,391 補助導体
191a,291a,391a 補助導体の表面
193 マザーボード
194 電極パターン
195 半田
310a,390a フォトレジスト層が除去された領域
333 絶縁基板
350 下地導体層
351 フォトレジスト層
Claims (13)
- 複数の導電層と複数の絶縁層が交互に積層され、前記導電層によって構成される複数の主導体が内蔵された積層電子部品であって、積層面と実質的に直交する第1の部品表面に形成された第1及び第2の外部電極と、前記第1の部品表面と実質的に直交する第2の部品表面に形成され、前記第1の外部電極に対して電気的に短絡された第1の補助導体と、前記第2の部品表面と対向する第3の部品表面に形成され、前記第2の外部電極に対して電気的に短絡された第2の補助導体とを備えることを特徴とする積層電子部品。
- 前記第1の補助電極の表面は前記第2の部品表面と実質的に同一平面を構成しており、且つ、前記第2の補助電極の表面は前記第3の部品表面と実質的に同一平面を構成していることを特徴とする請求項1に記載の積層電子部品。
- 少なくとも一部が前記第1の外部電極と前記第1の補助導体との間及び前記第2の外部電極と前記第2の補助導体との間に設けられた橋架導体をさらに備え、前記第1及び第2の外部電極は、前記橋架導体を介して前記複数の主導体に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層電子部品。
- 前記第2及び第3の部品表面に対して垂直な方向から見た前記第1及び第2の補助導体の平面形状と、前記第2及び第3の部品表面に対して垂直な方向から見た前記複数の主導体の平面形状とが実質的に同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層電子部品。
- 前記第2及び第3の部品表面は、積層面と実質的に平行な面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層電子部品。
- 前記第2及び第3の部品表面は、積層面と実質的に直交する面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層電子部品。
- 前記複数の主導体は、前記第1の部品表面側に位置する第1及び第2の端部を有しており、前記橋架導体は、所定の主導体の第1の端部と前記所定の主導体とは異なる層に位置する主導体の第2の端部とを接続する部分を有していることを特徴とする請求項5に記載の積層電子部品。
- 前記複数の主導体は、前記第1の部品表面と対向する第4の部品表面側に位置する第3及び第4の端部を有しており、前記橋架導体は、所定の主導体の第3の端部と前記所定の主導体と同じ層に位置する主導体の第4の端部とを接続する部分をさらに有していることを特徴とする請求項7に記載の積層電子部品。
- 前記複数の主導体及び橋架導体の少なくとも一部が、コイルの導体を構成していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の積層電子部品。
- 主導体及び補助導体を含む複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された基板を形成する第1のステップと、前記基板の積層面に対して実質的に垂直な主面に、所定の主導体の端部とこれに対応する別の主導体の端部とを接続する複数の橋架導体を形成する第2のステップと、前記橋架導体に接続された外部電極を形成する第3のステップと、少なくとも前記補助導体の形成部分に沿って前記基板をダイシングにより分割する第4のステップとを備えることを特徴とする積層電子部品の製造方法。
- 前記ダイシングの方向と実質的に直交する方向における前記補助導体の幅が、前記ダイシングにより削除される幅よりも広く設定されていることを特徴とする請求項10に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第3のステップは、前記橋架導体の一部分が露出するよう前記基板の前記主面に絶縁層を形成する第1のサブステップと、電気メッキによって前記橋架導体の露出部分に前記外部電極をメッキ成長させる第2のサブステップとを含んでいることを特徴とする請求項10又は11に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第1のサブステップをスクリーン印刷法により行うことを特徴とする請求項12に記載の積層電子部品の製造方法。
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