JP2005049432A - ポリエステル重合トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーの界面重合法により製造されるポリエステル重合トナーにおいて、残存アミノ化合物が低減され、かつ/または錫化合物の含有量が低減されたトナーを提供すること。
【解決手段】少なくともウレア結合によって鎖伸長されたポリエステル構造を有する結着樹脂、着色剤および離型剤を含んでなり、アミン価が200mg・KOH/100g以下であること、かつ/または錫元素含有量がトナー全量に対して1重量%以下であることを特徴とするポリエステル重合トナー。以下のいずれかの方法を採用して製造されることを特徴とするポリエステル重合トナー;方法(1)界面重合時において有機溶媒に水溶性の極性溶媒を補助溶媒として共存させる;方法(2)油性分散液に界面重合反応の触媒として、3級アミノ化合物および/または錫化合物を存在させる;方法(3)界面重合時の系中の温度を35〜80℃とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル重合トナー、すなわち湿式重合法によって得られるポリエステル含有トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真用トナーとしては、従来のいわゆる粉砕法により得られるポリエステル系トナーと、重合過程を含む湿式法により得られる重合トナーとがよく知られている。
【0003】
粉砕法により得られるポリエステル系トナーは良好な耐熱保管性を有しているものの、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高いなど問題点があった。また特に定着においてはワックスとポリエステル系樹脂の相溶性の低さから、オイルレス定着には不向きであった。
重合トナーは一般にスチレン−アクリル系樹脂を含有し、粒度分布が、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布のトナー粒子形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易であるため転写性を高めることが出来る。更には、結着樹脂のTgや溶融粘度の自由度が大きく、オイルレス定着に有利である。しかしながら、重合トナーは低温定着を狙うには分子量低減やTgダウンが必要で、耐熱保管性が悪化してしまう。
【0004】
そこで、両者の利点を併せ持つポリエステル重合トナーが注目されている。ポリエステル重合トナーは湿式重合法によって得られるポリエステル含有トナーである。ポリエステル重合トナーは、ポリエステルの原料モノマーが水溶性を有するため、従来の重合トナーと同様の方法で得ることはできない。そのため、ポリエステル末端にジイソシアネート化合物によってイソシアネート基を導入したプレポリマーを顔料及びワックスと共に溶媒に溶解ないし分散させ、水系媒体中に乳化させて界面重合を行い、溶媒を除去することによってトナー粒子を製造する界面重合法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。界面重合時において詳しくは、イソシアネート基含有プレポリマーを含む油滴粒子と水系媒体との界面で、プレポリマーのイソシアネート基の加水分解によってアミノ基が生成し、該アミノ基と未分解のイソシアネート基とが反応してウレア結合が形成され、鎖伸長(高分子量化)が行われる。またプレポリマー溶液または水系媒体中には、一般に、多価アミン等の反応助剤が添加され、重合反応の促進が行われる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−351143号公報
【特許文献2】
特開平11−149180号公報
【特許文献3】
特開2000−292981号公報
【特許文献4】
特開2002−169336号公報
【特許文献5】
特開2002−287400号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記界面重合法は、ポリエステル含有トナーの粒子径分布の均一性や小径化には有用であるものの、界面重合反応が完全に進みにくく、イソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基の分解で生じるアミノ化合物の残存が問題となっていた。アミノ化合物がトナーに残存すると、トナーの帯電性を悪化させたり臭気源となったりする。アミノ化合物残存の問題は反応助剤として多価アミンを使用した場合に一層顕著であった。また、反応を促進するために錫化合物の添加が有効であることが知られているが、生態系への環境問題が生じた。
【0007】
特にアミノ化合物残存の問題は、従来の粉砕法によるポリエステルトナーではアミノ化合物が含まれていないか、またはその含有量が極微量であったために、明らかになっていなかったが、界面重合法によるポリエステルトナーではその反応メカニズム上、未反応アミノ化合物の残存は避けきれないため、定着時における不快臭発生原因のひとつになったと考えられる。
【0008】
本発明は、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーの界面重合法により製造されるポリエステル重合トナーにおいて、残存アミノ化合物が低減され、かつ/または錫化合物の含有量が低減されたトナーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともウレア結合によって鎖伸長されたポリエステル構造を有する結着樹脂、着色剤および離型剤を含んでなり、アミン価が200mg・KOH/100g以下であること、かつ/または錫元素含有量がトナー全量に対して1重量%以下であることを特徴とするポリエステル重合トナーに関する。
【0010】
本発明はまた、ポリエステルプレポリマーを形成する工程、ポリエステルプレポリマーの末端にイソシアネート基を導入してイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを形成する工程、イソシアネート基含有プレポリマーおよび所望のトナー成分を有機溶媒に溶解ないし分散してなる油性分散液を水系媒体中に分散(乳化)させて水中油型分散液を調製し、界面重合を行う工程、および系中から有機溶媒を除去して樹脂粒子を形成し、樹脂粒子を乾燥してトナー粒子を得る工程からなる方法によって製造されるポリエステル重合トナーであって、方法(I−1)〜(I−3)の少なくとも1つの方法を採用して製造されることを特徴とするポリエステル重合トナーに関する;
方法(I−1)界面重合時において有機溶媒に水溶性の極性溶媒を補助溶媒として共存させる;
方法(I−2)油性分散液に界面重合反応の触媒として、3級アミノ化合物および/または錫化合物を存在させる;
方法(I−3)界面重合時の系中の温度を35〜80℃とする。
【0011】
本発明者らは、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーの界面重合時における溶媒組成、温度および触媒などの反応条件を鋭意検討することで、残存アミノ化合物を低減させつつ、且つ錫化合物の含有量を低く抑えることが出来ることを見い出した。
【0012】
特に、定着時の不快臭がトナーのアミン価が200mg・KOH/100gを越えると発生すること、また、トナーのアミン価を低減させるには界面重合反応時に消費されきらないアミノ化合物の残存量を低減させることが有効であることを突き止め、本発明に至った。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル重合トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含んでなり、アミン価が200mg・KOH/100g以下、特に10〜200mg・KOH/100gであること、かつ/または錫元素含有量がトナー全量に対して1重量%以下であることを特徴とする。アミン価が多すぎると、トナーが実機内において定着時に不快臭を発したり、トナーの帯電性が悪化する。錫元素含有量が多すぎると、生態系への環境問題等が生じる。
【0014】
本明細書中においてアミン価は以下の方法によって測定された値を用いているが、以下の方法によって測定されなければならないというわけではなく、以下の方法と同様の原理・原則に従って測定可能な方法であれば、いかなる方法によって測定されてもよい。
アミン価は、トナーをTHFなどの水溶性溶媒に溶解させ、規定量の塩酸を加えてアミノ基を中和し、ついで過剰の塩酸量をKOHで滴定しアミノ基の中和で消費された塩酸を算出するといった逆滴定法により測定され、トナー固体100g当たりのKOHmg数として表される。
【0015】
錫元素含有量は金属元素を測定できる誘導結合プラズマ(ICP)発光分析(SPS 7800、セイコーインスツルメンツ社製)によって測定された値を用いているが、錫元素を定量可能な分析手段であれば、いかなる手段、例えば、蛍光X線分析やイオンクロマトグラフ法などによって測定されてもよい。
【0016】
本発明のトナーは、
(A)ポリエステルプレポリマーを形成する工程、
(B)ポリエステルプレポリマーの末端にイソシアネート基を導入してイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(以下、イソシアネート基含有プレポリマーという)を形成する工程、
(C)イソシアネート基含有プレポリマーおよび所望のトナー成分を有機溶媒に溶解ないし分散してなる油性分散液を水系媒体中に分散(乳化)させて水中油型分散液を調製し、界面重合を行う工程、
(D)系中から有機溶媒を除去して樹脂粒子を形成し、樹脂粒子を乾燥してトナー粒子を得る工程、からなる方法によって製造され得る。
【0017】
以下、本発明のトナーの製造方法における各工程について詳しく説明する。
工程(A)
まず、ポリエステルプレポリマーを形成する。ポリエステルプレポリマーはポリオール成分とポリカルボン酸成分とを重縮合させることにより得ることができる。
【0018】
ポリオール成分のうちジオール成分としては、例えば、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)イソプロピリデン、ビス(4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)イソプロピリデン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0019】
3価以上のポリオール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等や上記3価以上のヒドロキシ化合物とアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0020】
また、ポリカルボン酸成分のうちジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
【0021】
3価以上のポリカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0022】
ポリエステルプレポリマーは、常法に従い得ることが出来る。ポリエステルプレポリマーの重合度は後述の界面重合によって高分子量化可能であれば特に制限されない。
【0023】
工程(B)
次いで、得られたポリエステルプレポリマーの末端にイソシアネート基を導入してイソシアネート基含有プレポリマーを形成する。イソシアネート基の導入は常法に従うことで達成され、通常は、ポリエステルプレポリマーを有機溶媒中、多価イソシアネート類と25〜90℃で0.5〜8時間反応させればよい。
【0024】
多価イソシアネート類としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど芳香族ジイソシアネート類、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3―キシリレンジイソシアネートなど芳香脂肪族ジイソシアネート類や上記ジイソシアネート類から得られるイソシアヌレート型又はウレトンジオン型のトリイソシアネート類そして前記ジイソシアネートとジオール類、ジアミン類またはアミノアルコール類とから得られる変成ジイソシアネート類などが挙げられる。また、上記多価イソシアネート類をフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたものを用いることも出来る。さらにこれらの2種以上の併用も可能である。これら、多価イソシアネート類においては、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類や芳香脂肪族ジイソシアネート類またはこれらの変成体が好ましい。特に好ましくは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4―シクロヘキサンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネートとこれらの変成体が挙げられる。
【0025】
上記多価イソシアネート類とポリエステルプレポリマーとの反応によって以下の構造を有するイソシアネート基含有プレポリマーが得られる。以下の構造の中でも、(a2)および(a3)の構造、特に(a3)の構造を有するイソシアネート基含有プレポリマーが好ましい。
(a1)ポリエステルプレポリマーが多価イソシアネート類とアミド結合を形成する場合;
ポリエステルプレポリマーがポリオール成分と該成分よりも過剰のポリカルボン酸成分から製造されて末端にカルボキシル基を有する場合に、当該カルボキシル基が多価イソシアネート類のイソシアネート基と反応し、末端がアミド結合を介してイソシアネートに変成されたプレポリマーが得られる。
【0026】
(a2)ポリエステルプレポリマーが多価イソシアネート類とウレタン結合を形成する場合;
ポリエステルプレポリマーがポリカルボン酸成分と該成分よりも過剰のポリオール成分から製造されて末端にヒドロキシ基を有する場合に、当該ヒドロキシ基が多価イソシアネート類のイソシアネート基と反応し、末端がウレタン結合を介してイソシアネートに変成されたプレポリマーが得られる。
【0027】
(a3)ポリエステルプレポリマーが多価イソシアネート類とアミド結合及びウレタン結合を形成する場合;
ポリエステルプレポリマーがポリカルボン酸成分と該成分と等量のポリオール成分から製造されて末端にカルボキシル基及びヒドロキシ基を有する場合に、カルボキシル基およびヒドロキシ基が多価イソシアネート類のイソシアネート基と反応し、末端がアミド結合及びウレタン結合を介してイソシアネートに変成されたプレポリマーが得られる。
【0028】
(a4)ポリエステルプレポリマーが多価イソシアネート類とウレア結合を形成する場合;
ポリエステルプレポリマーが基本構成であるポリオール成分とポリカルボン酸成分の他にアミノ基を有するポリオール成分またはポリカルボン酸成分から製造されて末端にアミノ基を有する場合に、当該アミノ基が多価イソシアネート類のイソシアネート基と反応し、末端がウレア結合を介してイソシアネートに変成されたプレポリマーが得られる。
【0029】
工程(C)
イソシアネート基含有プレポリマーおよび所望のトナー成分を有機溶媒に溶解ないし分散してなる油性分散液を、水系媒体中に分散(乳化)させて水中油型分散液を調製し、界面重合を行う。
【0030】
油性分散液を構成するトナー成分としては、従来から電子写真用トナーに含有されている成分、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤等が使用可能である。
【0031】
有機溶媒としては、イソシアネート基含有プレポリマーを溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、30〜150℃、好ましくは70〜120℃である。有機溶媒としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、溶解性と揮発除去性の良好な酢酸エチルが好ましい。等が挙げられる。有機溶媒は通常、イソシアネート基含有プレポリマー100重量部に対して50〜900重量部使用される。
【0032】
油性分散液にはプレポリマー化していないポリエステルを溶解させてもよい。
ポリエステルは例えば、工程(A)の説明で記載のようなポリオール成分およびポリカルボン酸成分からなるポリエステルが使用可能である。ポリエステルの重合度は特に制限されない。そのようなポリエステルの使用量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常はイソシアネート基含有プレポリマー100重量部に対して10〜60重量部が好適である。
【0033】
水系媒体は水単独からなっていてもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブなどのセルソルブ類、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級ケトン類などが挙げられる。
【0034】
水系媒体の使用量は通常、油性分散液中に含まれるプレポリマー、着色剤、離型剤等のトナー固形物100重量部に対して50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると効率的に生産できない。
【0035】
油性分散液を水系媒体中に分散させる際の分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。水中油型分散液における油滴の粒径は得られるトナー粒子の粒径にほぼ対応するので、油滴分散粒子の粒径を所望のトナー粒径(例えば、数μm程度)にするためには高速せん断式の分散装置を使用することが好ましい。
【0036】
界面重合は、系中の温度を通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃で20〜480分間、好ましくは30〜240分間、分散・撹拌を継続することによって行えばよい。加温することで分散液の粘度を下げることが出来、均一な分散が可能となり、更にイソシアネート基含有プレポリマーの界面重合反応が促進される。
【0037】
界面重合においては、イソシアネート基含有プレポリマーを含む油滴粒子と水系媒体との界面で、プレポリマーのイソシアネート基が加水分解されてアミノ基が生成され、該アミノ基と他のイソシアネート基含有プレポリマーの未分解イソシアネート基とが反応してウレア結合が形成され、鎖伸長(高分子量化)が達成される。その結果として、本発明のトナーを構成する結着樹脂は少なくともウレア結合によって鎖伸長されたポリエステル構造を有している。
【0038】
本工程においては、次の方法のうち少なくとも1つの方法、特に少なくとも方法(I−1)、好ましくは方法(I−1)〜(I−3)の全ての方法を採用することにより、トナー中でのアミノ化合物の残存を有効に抑制することができる。
【0039】
方法(I−1);界面重合時において有機溶媒に水溶性の極性溶媒を補助溶媒として共存させる。すなわち、有機溶媒に水溶性極性溶媒を共存させておくと、界面重合によりプレポリマーが高分子量化しても、得られるポリマーが分子の広がりが大きい(回転半径が大きい)状態を保てる可塑化効果を有効に発揮できるようになる。そのため、プレポリマーのイソシアネート基が油滴粒子と水系媒体との界面に現れ易くなって界面重合に供され易くなり、油滴粒子全体にわたって重合を有効に行うことができる。またイソシアネート基の加水分解によって生成したものの重合に供されなかったアミノ化合物が水系媒体中に移行し易くなる。それらの結果、アミノ化合物の残存を抑制できるものと考えられる。
【0040】
そのような補助溶媒としての水溶性極性溶媒としては容易に除去可能なものが好ましく、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトンなどが挙げられる。水溶性極性溶媒の使用量は前記有機溶媒と当該補助溶媒との混合溶媒全量に対して5〜50重量%、特に10〜30重量%が好適である。水溶性極性溶媒は2種類以上使用してもよく、その場合にはそれらの合計使用量が上記範囲内であればよい。なお、補助溶媒は工程(B)におけるイソシアネート基導入反応を阻害するものではなく、また工程(B)によって得られるイソシアネート基含有プレポリマー溶液は本工程(C)の油性分散液の調製に通常、そのまま使用されるため、補助溶媒は、工程(B)におけるイソシアネート基導入時から系中に存在させてもよい。
【0041】
方法(I−2);油性分散液に界面重合反応の触媒として、3級アミノ化合物および/または錫化合物、特に3級アミノ化合物を存在させる。そのような触媒を使用することによって、界面重合反応を促進し、トナー中でのアミノ化合物の残存を有効に抑制することができる。
【0042】
3級アミノ化合物はアミノ基の窒素原子が活性水素を有しないものであり、低級アルキル3級アミン化合物、3級アミノ基含有多価ヒドロキシ化合物および3級アミノ基含有多価アミノ化合物が挙げられる。好ましくは、3級アミノ基含有多価ヒドロキシ化合物および3級アミノ基含有多価アミノ化合物、特に3級アミノ基含有多価ヒドロキシ化合物である。
【0043】
低級アルキル3級アミン化合物は、触媒作用を有するだけでなく、酸性条件下での水溶性が良好で後の洗浄によって除去され易いため、トナー中でのアミノ化合物の残存をより有効に抑制することができる。具体例として、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリン、トリ(メトキシエチル)アミンなどが挙げられる。
3級アミノ基含有多価ヒドロキシ化合物および3級アミノ基含有多価アミノ化合物は、触媒作用を有するだけでなく、加熱によって揮発せず、界面重合反応に取り込まれ、得られるポリマーの一部を構成し得るので、トナー中でのアミノ化合物の残存をより有効に抑制することができる。3級アミノ基含有多価ヒドロキシ化合物の具体例として、例えば、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N’−ジ(ヒドロキシエチル)ピペラジンなどが挙げられる。3級アミノ基含有多価アミノ化合物の具体例として、例えば、N−メチル−ビス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジ(アミノエチル)ピペラジンなどが挙げられる。
【0044】
錫化合物は触媒作用を有する限り特に制限されないが、環境安全性の観点から、水分によって酸化物に変化する化合物が好ましく使用される。そのような錫化合物は加水分解によって触媒作用がなくなるため、活性なまま反応系内に残りつづけないので副反応を抑制できる利点もある。錫化合物の具体例として例えば、ジブチル錫ジオクタン酸、ジオクチル錫ラウリル酸などのジアルキル錫ジカルボン酸、ジブチル錫ジ酢酸などが挙げられる。
なお、触媒としてチタン化合物を使用することもできる。
【0045】
これらの触媒は、工程(A)におけるポリエステルプレポリマー形成時の縮重合反応にも有効であり、特に3級アミノ化合物は工程(B)におけるイソシアネート基導入反応にも有効である。また縮重合反応後に得られるポリエステルプレポリマー溶液は通常、その後のイソシアネート基導入工程(B)にそのまま使用され、さらに工程(B)によって得られるイソシアネート基含有プレポリマー溶液もまた本工程(C)の油性分散液の調製にそのまま使用される。そのため、上記触媒は、工程(A)におけるポリエステルプレポリマーの形成時から系中に存在させておくことが好ましい。
【0046】
3級アミノ化合物の使用量は、トナー中のアミノ化合物の残存を抑制できる限り特に制限されず、例えば、トナー粒子重量あたりに換算して0.2〜5重量%、特に0.5〜2重量%の割合にすることが好適である。
錫化合物の使用量は、トナー中の錫元素含有量を低減する観点からは、少ないほど好ましい。トナー中のアミノ化合物の残存を抑制し、かつ錫元素含有量を低減する観点からは、トナー粒子重量あたりに換算して0.01〜5重量%、特に0.5〜3重量%の割合で使用することが好適である。すなわち錫化合物はこのような少量で使用されても、界面重合反応を促進し、トナー中のアミノ化合物の残存を有効に抑制できる。なお前記錫元素含有量を達成するためには、錫化合物の使用量をトナー粒子重量あたりに換算して2重量%以下、特に1.5重量%以下とすればよい。
【0047】
方法(I−3);界面重合時の系中の温度を35〜80℃、特に40〜80℃とする。好ましくは当該温度範囲内で段階的に温度が上がっていく少なくとも2段階の重合、例えば、比較的低温(特に35℃以上50℃未満)での重合と比較的高温(特に50℃以上65℃以下)での重合とを行う。温度が高すぎると、プレポリマーのイソシアネート基の加水分解反応が促進され過ぎて、アミノ化合物の残存量が多くなる傾向がある。しかし、温度を上記範囲内とすること、好ましくは上記多段階重合を行うことによって、イソシアネート基を適度に加水分解させ、生成したアミノ基を効率よく界面重合に供することができ、結果としてアミノ化合物の残存を有効に抑制できる。
【0048】
以上のような工程(C)において使用される油性分散液または/および水系媒体には通常、反応助剤が含有される。反応助剤は自己を介してイソシアネート基含有プレポリマーを鎖伸長可能な化合物である。そのような反応助剤を使用することにより、イソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基が加水分解することにより生成するアミノ基と他のイソシアネート基含有プレポリマーの未分解イソシアネート基との反応による直接的な鎖伸長だけでなく、反応助剤を介する間接的な鎖伸長が達成される。そのため、鎖伸長を効率よく行うことができる。
【0049】
そのような反応助剤として、例えば、多価アミン類、多価カルボン酸類、多価アルコール類、ヒドロキシ基(メルカプト基)−アミノ基含有化合物等が挙げられる。好ましくは多価アミン類を使用する。多価アミン類を使用すると、トナー中に残存するアミノ化合物量は一般に増大するが、本発明においては多価アミン類を使用した場合でもアミノ化合物の残存を有効に抑制できるためである。
【0050】
多価アミン類としては、ジアミン類、3価以上のポリアミン類が挙げられる。ジアミン類としてはフェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ジアミン類、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど脂環式ジアミン類およびエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。3価以上のポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびアリルアミンなどの単独重合体、ならびにアリルアミンとスチレンなどの他のラジカル重合性モノマーとの共重合体などが挙げられる。このうち、脂肪族または脂環式ジアミン類が好ましい。さらにこれらの2種以上の併用も可能である。
【0051】
多価カルボン酸類としては、ジカルボン酸および3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸単独又は少量のトリカルボン酸との混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などのアルキレンジカルボン酸、マレイン酸、フマール酸などのアルケニレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸としては、メタクリル酸、アクリル酸やマレイン酸がスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの他のラジカル重合性モノマーと共重合したものや、トリメリット酸、ピロメリット酸など炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオールと反応させてもよい。さらにこれらの2種以上の併用も可能である。
【0052】
多価アルコール類としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのアルキレンエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、そしてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどと上記脂環式ジオールまたは上記ビスフェノール類との付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましくはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、および該付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。また、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの3価以上のポリオール類やポリフェノール類やそのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。さらには、4−ヒドロキシスチレンや2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシ基含有ラジカル重合性モノマーの単独重合体、および上記ヒドロキシ基含有ラジカル重合性モノマーとスチレン、メチルメタクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ブチルなどの他のラジカル重合性モノマーとの共重合体を用いることも出来る。さらにこれらの2種以上の併用も可能である。
【0053】
ヒドロキシ基(メルカプト基)−アミノ基含有化合物としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、4−ヒドロキシエチルアニリンやアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンが挙げられる。
【0054】
反応助剤として、更には、上記多価アミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)とから得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などを用いてもよい。
【0055】
反応助剤の含有量は特に制限されないが、油性分散液に含有される場合で油性分散液全量に対して0.1〜20重量%、水系媒体に含有される場合で水系媒体全量に対して0.1〜10重量%が好適である。
【0056】
また水系媒体には、分散剤としての界面活性剤や分散安定剤としての保護コロイド、無機微粒子及び/又はポリマー微粒子が添加されていることが好ましい。
分散剤を用いると、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0057】
分散剤としては、一般によく知られている各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0058】
また、本発明では、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
これらの商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0059】
また陽イオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0060】
分散安定剤としては、水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることが出来、このような高分子物質を構成するモノマー成分は、以下のものが挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、フタル化ゼラチンなどのゼラチン類などが使用できる。
【0061】
本発明において好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、フタル化ゼラチンなどのゼラチン類が挙げられる。
【0062】
水系媒体中に存在させ得る無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
【0063】
水系媒体中に存在させ得るポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
【0064】
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さく、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。この粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表面に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
微粒子の重量平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、重量平均粒子径5μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5μm、特に好ましくは0.005〜1.0μmの範囲、10μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。
【0065】
本工程において油性分散液中に含有され得る着色剤としては、別途溶媒分散されたマスターバッチ着色剤粒子を用いてもよい。
【0066】
本発明で使用される着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤は通常、トナー中の含有量がトナー全体に対して1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%となるように使用される。
【0067】
本発明で使用される離型剤としては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワッックス、パラフィンワッックス、サゾールワックスなど長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすく低温定着性に適さない。トナー中のワックスの含有量は5〜30重量%が好ましい。
【0068】
本発明で使用され得る帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。帯電制御剤の使用量は、トナー中の結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはトナー中において含有量が結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部となるような量である。
【0069】
工程(D)
界面重合を行った後は、系中から有機溶媒を除去して樹脂粒子を形成し、樹脂粒子を乾燥してトナー粒子を得る。
【0070】
系中から有機溶媒を除去する方法としては特に制限されるものではなく、例えば、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する方法を採用することができる。このとき昇温時の攪拌の強さと時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球になり、平均円形度で表わすと0.980以上になる。攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、形状は凹凸状や不定形になり、平均円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させ、さらに反応させた後の系(乳化液)を脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50℃かつ強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起こるものと考えられる。
【0071】
平均円形度は下記式で表される円形度の平均値である。
【数1】
Figure 2005049432
本明細書中、平均円形度はFIPA−2000(Sysmex社製)によって測定された値を用いている。しかし、上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、上記式に基づく円形度を測定可能な装置であればいかなる装置によって測定されてもよい。
【0072】
有機溶媒の除去は、系としての乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去するとともに、乾燥を行って、トナー粒子を形成する方法を採用することも可能である。しかし、工程(C)で補助溶媒、特に沸点が比較的高いDMSO、DMF、DMAcを使用した場合には、これらの除去は困難なため、系全体を徐々に昇温して沸点が比較的低い有機溶媒を蒸発除去した後で、得られた樹脂粒子をろ過し、純水中へ再分散させるリスラリー洗浄を繰り返すことが好ましい。リスラリー洗浄を繰り返して行うことによって、沸点が比較的高い補助溶媒を有効に除去できる。
【0073】
またリスラリー洗浄によって、トナー粒子表面に付着している分散剤や分散安定剤、ならびに触媒としての錫化合物または/および3級アミノ化合物を除去することもできる。特に分散安定剤としての無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸またはアルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、リスラリー洗浄を行えばよい。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
【0074】
また有機溶媒の除去直後またはリスラリー洗浄直後の分散液を分級操作に供して、得られるトナー粒子の粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。分級操作によってもトナー粒子表面の分散剤および分散安定剤を除去できる。
【0075】
乾燥後においてトナー粒子には、通常、流動性や現像性、帯電性を補助するために、外添剤として無機微粒子が外添されることが好ましい。無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。無機微粒子の使用割合は、トナー粒子に対して0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0076】
外添剤として高分子系微粒子を用いることもできる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0077】
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
【0078】
さらにトナー粒子には、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤を外添してもよい。クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0079】
トナー粒子に対しては、前記した離型剤および帯電制御剤等の微粒子を外添してもよい。
【0080】
乾燥後のトナー粒子を、上記のように外添剤などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0081】
本発明のトナーは、着色剤、離型剤や帯電制御剤等のトナー成分を使用しないこと以外、上記トナーの製造方法と同様の方法で得られた樹脂粒子を結着樹脂として用いて、いわゆる粉砕法によって得ることもできる。
【0082】
上記した方法で製造され得る本発明のトナーはアミン価が低く、加熱によって不快臭を発生しない。また同時に、生態系に影響を及ぼすと言われている錫化合物の含有量を低減させることが出来る。
【0083】
本発明のトナーは二成分系現像剤あるいはキャリアを使用しない一成分系現像剤として使用可能である。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0084】
また、本発明のトナーを一成分系現像剤に用いる場合には、磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
実施例1
(ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン509部、テレフタル酸166部を常圧下、200℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応し、変性されていないポリエステル(a)を得た。
【0086】
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)イソプロピリデン340部、N−メチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン24部、イソフタル酸100部、テレフタル酸66部、およびジブチル錫ジオクタン酸20部を入れ、常圧で200℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、80℃まで冷却した。次いで、モレキュラーシーブスで脱水処理された酢酸エチル500部と補助溶媒ジメチルアセトアミド(DMAc)50部の混合溶媒中にてキシリレンジイソシアネート188部と4時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー溶液(1)を得た。
【0087】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー溶液(1)200部、ポリエステル(a)40部と離型剤であるWEP−5(日本油脂)80部、酢酸エチル100部を入れ、攪拌し溶解した。次いで別途、銅フタロシアニンブルー顔料5部、酢酸エチルを100部ビーズミルに入れ30分分散しておいた顔料分散液と混合し40℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで7分攪拌し、これをトナー材料油性分散液(1)とした。
【0088】
2Lマヨネーズ瓶にイオン交換水400部、リン酸三カルシウム10%懸濁液200部、SDS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.2部を入れ、クレアミックス−1.5S(エム・テクニック(株)製)で10000rpmに攪拌しながら、この水分散液に上記トナー材料油性分散液(1)及び1,6−ヘキサメチレンジアミン10部を溶解したイオン交換水40部を加え、40℃で60分攪拌を続けながら界面重合反応を進行させた。次いで50℃に昇温しそのまま30分攪拌を継続させた。
【0089】
反応後の分散液を減圧下50℃で1.0時間有機溶剤を除去した後、濾別し、1Lのイオン交換水でリスラリー洗浄・濾別を4回繰り返した後、40℃のオーブン内で送風乾燥し、球形状トナー粒子を得た。このトナー粒子のアミン価は90mgKOH/100gであった。またICP分析の結果、錫元素の含有率は0.4重量%であった。
【0090】
次に、このトナー粒子に対して、外添剤として疎水性シリカ(ヘキストジャパン社製:H2000)を0.4重量%、疎水性チタニア(チタン工業社製:STT30A)を0.6重量%の割合で加え、これらをヘンシェルミキサーにより混合して添加処理を行い、トナーを得た。
【0091】
上記で得られたトナー1gを50mlスクリュービンに入れ、150℃のホットプレートで10分加熱後、室温まで放置冷却したもののトナー臭気を官能評価したところアミン化合物のような臭いは感じられなかった。
【0092】
実施例2〜10および比較例1〜3
プレポリマー製造時の溶媒組成、ジイソシアネートおよびその添加量ならびに触媒およびその添加量、界面重合時の温度および時間、ならびに顔料を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。また得られたトナーを実施例1と同様の方法で評価した。
【0093】
【表1】
Figure 2005049432
【0094】
【表2】
Figure 2005049432
【0095】
実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4で得られたシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックトナーをカラーレーザープリンタmagicolor 2300 DL(ミノルタ製)に搭載し、電子写真学会チャート1995 No5−1を出力したところ、カブリ、低温オフセット、高温オフセット等に関して全く問題の無い画質であった。上記プリンタはオイルレス定着方式を採用している。
【0096】
【発明の効果】
本発明によると、加熱時の臭気発生原因となるアミノ化合物の残存量を抑制でき、かつ錫化合物の含有量を低く抑えたトナーを提供できる。

Claims (2)

  1. 少なくともウレア結合によって鎖伸長されたポリエステル構造を有する結着樹脂、着色剤および離型剤を含んでなり、アミン価が200mg・KOH/100g以下であること、かつ/または錫元素含有量がトナー全量に対して1重量%以下であることを特徴とするポリエステル重合トナー。
  2. ポリエステルプレポリマーを形成する工程、ポリエステルプレポリマーの末端にイソシアネート基を導入してイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを形成する工程、イソシアネート基含有プレポリマーおよび所望のトナー成分を有機溶媒に溶解ないし分散してなる油性分散液を水系媒体中に分散(乳化)させて水中油型分散液を調製し、界面重合を行う工程、および系中から有機溶媒を除去して樹脂粒子を形成し、樹脂粒子を乾燥してトナー粒子を得る工程からなる方法によって製造されるポリエステル重合トナーであって、方法(I−1)〜(I−3)の少なくとも1つの方法を採用して製造されることを特徴とするポリエステル重合トナー;
    方法(I−1)界面重合時において有機溶媒に水溶性の極性溶媒を補助溶媒として共存させる;
    方法(I−2)油性分散液に界面重合反応の触媒として、3級アミノ化合物および/または錫化合物を存在させる;
    方法(I−3)界面重合時の系中の温度を35〜80℃とする。
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