JP2005046428A - 省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器 - Google Patents

省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 実使用の実績データの、簡易な計時にて可能な取り扱いで、自動省エネ保温を低コストに実現しながら、停電によっても実績データの蓄積に問題がないようにする。
【解決手段】 内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するのに、蓄積した実使用の実績データから24時間単位に自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間継続したとき蓄積している実績データをリセットすることにより、上記の目的を達成する。
【選択図】 図9

Description

本発明は省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器に関するものであり、例えば家庭用の電気ポットなどに利用される。
電気ポットは家庭や職場、飲食店などで広く使用されている。家庭での依存度は特に高く、内容液の入れ替えなどを除いて電源が投入されっ放しで、使用時の再沸騰操作による途中立ち上げ時や内容液の補給による初期沸騰時を除いて保温を継続していることが多くなっている。しかし、容量の大きなものの消費電力は大型冷蔵庫に匹敵するほどのもので、省エネ上問題になっている。
そこで、就寝時やお出かけ時の不使用時間帯に対し、タイマの時間設定により通電停止を含む保温温度の低減といった節電や省エネを図ることが行えるようになっている。また、消費電力が気になるユーザは電源をまめに落したり、通常保温よりも低い温度での省エネ保温モードを設定するなどしてきめ細かく対応することも行われている。しかし、それにはユーザの頻繁な操作が必須となるので面倒である。
これを解消するのに、制御系への通電とは別の、本体側への通電時の電力情報を検出してメモリに蓄積し、蓄積した電力情報から使用実績を自動分析して、この分析の結果、通電の必要のない時間帯は通電遮断器をオフにし、それ以外はオンにする自動省エネ保温の方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のものは、省エネを図る時間帯を自動的に判断して対応するのに、本体への通電時の電力情報、つまり、単位時間当りの平均電力、タイマの設定による所定タイミングでの瞬時電力、電圧と電流の位相差、ダイナミックインピーダンスなどの情報を蓄積し、蓄積したデータから通電をしなくてもよい時間帯かどうかを判定するようにしている。
特開2001−231682号公報
しかし、特許文献1に記載のものは、自動省エネ保温を実現するための蓄積情報が多い上に、前記使用頻度の分析は、24時間周期、1週間周期、四季を通じた周期などで行われるもので、時計機能、カレンダ機能を必要としている。また、その機能を実現するには二次電池などによるバックアップが必須となる。これらのため、製品コストは勢い上昇し、低価格な中級製品以下には適用しにくい。
そこで、本発明者は、実使用の実績データと、任意時点での電源オンからスタートさせる24時間タイマ程度の簡易な計時と、の組合せで自動省エネ保温を低コストに実現することを考えるに至った。しかし、種々な実験と検討の結果、簡易な計時に基づいて実績データを取り扱うのでは、自動省エネモード時に停電があると計時も停止して、蓄積していた実績データの時間認識を誤り実際の実使用状況からずれた省エネ保温が行われてしまう問題のあることが判明した。
本発明の目的は、そのような新たな知見に基き、実使用の実績データの、簡易な計時にて可能な取り扱いで、自動省エネ保温を低コストに実現しながら、停電によっても実績データの蓄積に問題がない省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の省エネ保温方法は、電気貯湯容器を用い内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するのに、蓄積した実使用の実績データから24時間単位に自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間継続したとき蓄積している実績データをリセットすることを主たる特徴としている。
このような構成では、電気貯湯容器を用い内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供して、そのまま、あるいは少しの温度立ち上げだけで満足な温度の内容液を待ち時間なく、または少しの待ち時間にて実使用できるように使用の便宜を図る上で、蓄積した実使用の実績データから自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行うことによって、ユーザの実使用がないか、あってもイレギュラーとみなせる状況、時間帯での節電を図りながらも、万一の実使用に対しては、初期立ち上げ時と、通常保温時との間の待ち時間で温度に不満のない実使用ができるようにして、なお、使用に便宜が与えられる。
また、不使用時間帯の自動判定は1日単位で行うので、蓄積された実使用の実績データを24時間単位で繰り返す簡易な計時上で取り扱っても、電気貯湯容器の使用の開始時点の不同にかかわりなく、蓄積した実使用の実績データと1日の時間帯とを正しく対応させて前記省エネ時間帯を判定し、また、省エネ保温を実行することができる。従って、時計機能やカレンダ機能、およびそのための二次電池などによるバックアップが不要であって、低コストで実現する。
しかも、第1の所定時間停電状態が継続したときはそれまで蓄積されている実使用の実績データをリセットして使用されないようにするので、自動省エネモード時に、不用意なコンセント外れや停電、内容液の給排などのためにコンセントが外されるといった、停電状態つまり給電停止があった場合に、それ以降も経過時間が第1の所定時間を超えてまで、停電前に蓄積された実績データが利用されて、停電状態の回復によって再開される前記簡易な計時での経過時間との関係がずれることにより、ユーザの自動省エネ保温モード中であることの認識のなかで、省エネ保温の実行時間帯が実情に合わなくなるような不便が生じたり、不信を与えたりするようなことを回避することができる。
本発明の省エネ保温方法は、また、実績データをリセットしていると、実績データの蓄積は最初から行うことを他の特徴としている。
このような構成では、実績データをリセットしていると、停電回復時の実績データの蓄積は最初から行うので、停電状態での時間経過の影響ない実使用の実績データと計時との組み合わせにより時間のずれのない省エネ保温が行われることを保証することができる。
本発明の省エネ保温方法は、また、実績データは、24時間単位で更新することを別の特徴としている。
このような構成では、実績データを、24時間単位で更新することにより、実使用の実績データの蓄積量を増やすことなく、ユーザの使用実態の変化に自動的に対応することができ、このことは、24時間単位の不使用時間帯の判定が1日分の実績データによるか、複数日分繰り返し蓄積した実績データによるか、の別なく有効である。
本発明の省エネ保温方法は、また、自動省エネモードは、ユーザの設定によって行うことを今1つの特徴としている。
自動省エネモードの実行は、ユーザが標準モードとして既に初期設定されている商品を選択、購入することで認識されるが、上記の構成では、自動省エネモードは、ユーザの設定によって行うので、自動省エネモードの実行やその途中の停電に対する自動対応が認識されやすいので、使用に戸惑いや不信を与えるようなことなく、適正使用が図れる。
また、第1の所定時間時が経過したとき、上記実績データに併せ省エネ保温の設定をリセットすることを、さらに他の特徴としている。
このような構成では、第1の所定時間時が経過したとき、上記実績データに併せ省エネ保温の設定をリセットすることにより、停電による自動対応後も、自動省エネのユーザ設定を必要として、停電後の省エネモード実行が実績データの最初からの蓄積から始まることを認識されやすくして、不使用時間帯の判定に必要なデータ蓄積を終えるまで省エネ保温が行われないことの理解を高められる。
本発明の省エネ保温方法は、また、第1の所定時間は、予め定められた時間であることを、さらなる別の特徴としている。
このような構成では、第1の所定時間が予め定められたものでタイマ機能によって簡易に対応して、想定するデータずれによる省エネ保温の混乱を確実に防止することができる。
本発明の省エネ保温方法は、また、第1の所定時間内の停電であるとき、実績データにつき経過時間分を補正することを、さらなる1つの特徴としている。
このような構成では、停電があっても第1の所定時間内なら省エネ保温を継続するが、実績データは停電時間分ずらせて用いることになるので、省エネ保温がユーザの実使用の実績からずれて行われるようなことを防止することができる。また、これにより、所定時間を長く設定して比較的長い停電時でも省エネ保温を継続して問題がなくなる。
本発明の省エネ保温方法は、また、第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用がなければ、その旨表示し、他の表示およびヒータへの通電を停止することを、さらに今1つの特徴としている。
このような構成では、第1の所定時間を超える停電に対応する上に、それよりも長い第2の所定時間の間継続して実使用がないような場合に、その旨表示してユーザがいつでも混乱なく回復措置ができるようにしながら、他の表示およびヒータへの通電を停止して実質的な使用停止状態にするので、ユーザが電源をオフするのを忘れて旅行や出張に出掛けてしまうといったときの、使用の安全と十分な省エネとが図れる。
本発明の省エネ保温方法は、また、第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用がなければ、実績データをリセットして電源をオフすることを、また別の、今1つの特徴としている。
このような構成では、第1の所定時間を越える停電に対応する上に、それよりも長い第2の所定時間の間継続して実使用がないような場合に、電源をオフすることにより、ユーザが電源をオフするのを忘れて旅行や出張に出掛けてしまうといったときの、使用の安全と十分な省エネとが図れる。しかも、実績データはリセットするので、このような長時間の停電状態によって、再使用される際の省エネ保温が時間の大きくずれた実績データのもとに行われてしまうのを防止することができる。
また、本発明の電気貯湯容器は、内容液をヒータにより加熱して通常保温や通常保温よりも低い温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するようにした電気貯湯容器において、計時手段と、この計時手段が経時している計時情報における1日単位ごとの実使用の実績データを蓄積する記憶手段と、記憶されている実績データから自動判定した不使用時間帯である間省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネ手段と、自動省エネ手段が働く自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間継続したとき記憶手段が蓄積している実績データをリセットする停電措置手段とを備えたことを主たる特徴としている。
このような構成では、内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供して、そのまま、あるいは少しの温度立ち上げだけで満足な温度の内容液を待ち時間なく、または少しの待ち時間にて実使用できるように使用の便宜を図る上で、電気貯湯容器が通電される使用状態にて行われる、計時手段により計時する計時データと、記憶手段に記憶し蓄積した実使用の実績データから、自動省エネ手段が24時間単位で自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行うので、ユーザの実使用がないか、あってもイレギュラーとみなせる状況、時間帯での節電を図りながらも、万一の実使用に対しては、初期立ち上げ時と、通常保温時との間の待ち時間で温度に不満のない実使用ができるようにして、なお、使用に便宜が与えられる。
また、不使用時間帯の自動判定は24時間単位で行うので、蓄積された実使用の実績データを24時間単位で繰り返す簡易な計時上で取り扱っても、電気貯湯容器の使用の開始時点の不同にかかわりなく、蓄積した実使用の実績データと1日の時間帯とを正しく対応させて前記省エネ時間帯を判定し、また、省エネ保温を実行することができる。従って、時計機能やカレンダ機能、およびそのための二次電池などによるバックアップが不要であって、低コストで実現する。
しかも、第1の所定時間停電状態が継続したとき、停電措置手段によってそれまで蓄積されている実使用の実績データをリセットして使用されないようにするので、自動省エネモード時に、不用意なコンセント外れや停電、内容液の給排などのためにコンセントが外されるといった、停電状態つまり給電停止があった場合に、それ以降も経過時間が第1の所定時間を超えてまで蓄積された実績データが利用されて、停電状態の回復によって再開される前記簡易な計時での経過時間との関係がずれることにより、ユーザの自動省エネ保温モード中であることの認識のなかで、省エネ保温の実行時間帯が実情に合わなくなるような不便が生じたり、不信を与えたりするようなことを回避することができる。
本発明の電気貯湯容器は、また、第1の所定時間は、予め設定された時間またはコンデンサの放電時間であることを他の特徴としている。
このような構成では、タイマ機能またはコンデンサの放電時間として第1の所定時間を予め定められるところに従い簡易に設定して、想定するデータずれによる省エネ保温の混乱を確実に防止することができる。
本発明の電気貯湯容器は、また、自動省エネ手段を働かせる自動省エネ設定手段を備えたことを別の特徴としている。
自動省エネ保温はユーザ設定に代えて、メーカー側、販売者側の初期設定によってユーザ側の電源投入と同時に不使用時間帯の設定からそれに従った省エネ保温を自動的に行わせることができ、このような場合でも、自動省エネ保温タイプの電気貯湯容器として提供し、そのような自動省エネ保温を行うことを電気貯湯容器入手の際、使用開始の際に、予めユーザに認識させておくことはできる。また、ユーザがわざわざ設定しなくてもよい利点はある。しかし、上記の構成では、自動省エネ設定手段をユーザが操作しないと自動省エネ手段が働かないので、電気貯湯容器を使用するのに自動省エネ保温が行われることを確実に認識させ、自動省エネ保温が行われることや、万一、自動省エネ保温が行われていない場合は停電による実績データの蓄積中であったりする状況変化にユーザが戸惑わないようにすることができる。しかも、生活状況が不特定であるような人、家族などのユーザにとって自動省エネが向かなかったり、実質的に省エネにならないような場合に、自動省エネ設定を行わないで通常保温のみ行われるようにして使用することもでき、便利である。
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明で明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して採用することができる。
本発明の省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器によれば、内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供しながら、蓄積した実使用の実績データから簡易な計時のもとに24時間単位で自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行うことによって節電を図るとともに、万一の実使用に対しては、初期立ち上げ時と、通常保温時との間の待ち時間で温度に不満のない実使用ができるよう自動対応するのに、自動省エネ中に停電ないし給電停止があると蓄積している実績データに対し、停電状態の回復によって再開される簡易な計時での時間関係がずれるが、第1の時間を超える停電時には実績データをリセットすることにより、設定に応じた自動省エネ保温モード中であることのユーザの認識のなかで、省エネ保温の実行時間帯が実情に合わなくなるような不便が生じたり、不信を与えたりするようなことを回避することができる。
なお、自動省エネモードを電源投入によって自動的に開始されるようにすると、このような場合でも、自動省エネ保温タイプの電気貯湯容器として提供し、そのような自動省エネ保温を行うことを電気貯湯容器入手の際、使用開始の際に、予めユーザに認識させておくことはできる。また、ユーザがわざわざ設定しなくてもよい利点はある。
以下、本発明の実施の形態に係る省エネ保温方法とこれを適用した電気貯湯容器について図1〜図9を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は、本発明の具体例であって、特許請求の範囲の事項を限定するものではない。
本実施例は、家庭用の電気ポットの場合の一例であり断熱容器を内容器に用いている。図1に示す例の断熱容器はステンレス鋼製の真空二重容器3を金属製の外装ケース2に内容器として収容した器体1を持っている。また、ヒータ11によって真空二重容器3内の内容液を加熱して貯湯し、貯湯内容液71を電動ポンプ26および図示する手動ベローズポンプなどの手動ポンプ10のいずれかによって、管路タイプの吐出系25を通じ外部に吐出して給湯し使用に供する。しかし、本発明はこれに限定されることはない。貯湯内容液71をヒータ11により加熱して湯沸しや通常保温、省エネ保温をしながら貯湯し、使用に供するものであれば足りる。吐出は必ずしも電動や手動のポンプによらなくても器体1を傾けて行うことも含め本発明は有効であるし、湯沸しを行わないものでも対象として有効である。もっとも、ステンレス鋼は金属の中で熱伝導性が低く、かつ曲げ剛性、強度が十分である。しかも防錆効果を持ち、Cuを含有するなどで抗菌性をも発揮させやすいので、飲食用の電気貯湯容器には好適であり、真空二重容器3を提供するのに適している。また、真空二重容器3は必ずしも外装ケース2に収容する必要はなく外装体に共用することができる。また、電源・駆動系回路基板27と操作パネル32での設定操作や初期設定にて設定された動作モードに従った動作制御を行うのにマイクロコンピュータ33aを搭載した操作・制御系基板33を用いているが、これもハード回路を含めた種々な機器を採用した制御手段とすることができる。操作パネル32は器体1上端の合成樹脂製の肩部6に形成した前方へ例えば嘴状に突出した突出部31の上面に設けてある。操作パネル32の内側に設けられる操作・制御系基板33上の各種スイッチ類48を、操作パネル32に一体形成した樹脂ばねや別体に設けられたキー部材による操作手段によって個々に押動してオン操作できるようにしているが、これも、本発明の本質的なものではなく具体的な構成は特に問うものではない。マイクロコンピュータ33aは湯沸しや通常保温、省エネ保温のために内容液の温度を検知する温度センサ29からの温度情報を用いるようにしている。温度センサ29は内容器としての真空二重容器3におけるヒータ11を当てがっている一重底部の中央に、個別に当てがってある。電源・駆動系回路基板27は器体1の合成樹脂製の底部35内に電動ポンプ26とともに配置してある。
なお、ヒータ11は図4に示すように湯沸しヒータ11aと保温ヒータ11bとよりなり、湯沸しヒータ11aはリレー38によりオン、オフ制御し、保温ヒータ11bはトライアック39によってオン、オフ制御するようにしてある。しかし、これに限られない。操作パネル32は図4に模式的に示すように、設定保温温度や現在温度、現在動作モード、あるいは危険報知や必要操作の促しなどを画面表示する液晶表示部81、貯湯内容液71を吐出して給湯を行う吐出キー82、吐出キー82による吐出操作をロックまたはロック解除するロック・解除キー83、自動省エネモードを手動設定する省エネキー84、通常保温、省エネ保温中に再沸騰を行う再沸騰キー85、98度保温や90度保温の別、タイマ設定時間の別などを選択する選択キー86、および設定数値をアップダウンするアップキー88、ダウンキー89を有している。
本実施の形態では、前記吐出系25の途中に図1〜図4に示す流量センサ87を持ち、吐出の流量や吐出量、残量など吐出情報が得られるようにしている。これにより吐出操作があったときの吐出量を設定する計量カップキーを設けて、設定された吐出量だけ吐出するような制御もできる。また、図示しないが、ランプ表示としてはロック解除ランプ、給湯報知ランプ、省エネランプなどがLEDなどを利用して設けてある。
流量センサ87は吐出系25の途中に設けて液流の状態を検出するものとしてある。具体的には、吐出系25内にて吐出に伴う液流に応動して回転するセンサ羽根87aと、吐出系25の外回りに設けられて前記センサ羽根87aの回転を検出する回転センサ87bとで構成している。センサ羽根87aはスクリュウタイプであるがどのようなタイプのものでもよい。回転センサ87bは投受光器よりなるフォトカプラとしてある。センサ羽根87aがスクリュウタイプであることに対応して投受光器はセンサ羽根87aの回転軸から外れたセンサ光路にて、センサ羽根87aの回転に伴う羽根部による間欠的な横切りの有無を検出する。センサ羽根87aは吐出系25での吐出系内容液71aや貯湯内容液71の吐出に伴う流速、流量に比例した回転を受け、吐出に伴う流量に比例した速度と時間間隔で回転センサ87bのセンサ光路を横切る。これにより、制御手段としてのマイクロコンピュータ33aは回転センサ87bが検出するセンサ羽根87aの横切りの回数や時間、時間間隔から吐出時の流量や吐出された液量を判定することができる。また、流量センサ87は吐出系25にて吐出系内容液71aや貯湯内容液71の流れを検出するもので、電動ポンプ26による吐出か、手動ポンプ10による吐出かを問わず働く。また、器体1を傾けての吐出であっても働く。
なお、流量センサ87は、センサ羽根87aの一部に埋設したマグネットの動きを1つのリードセンサにて検出するようにするなど、他の検出方式のものを採用することができる。この場合は、特に、吐出系25の内部を透過するセンサ光路を持たなくてよいのでセンサ構造が簡略化する。また、別に、吐出系25内を実使用による液流によって吐出口25a側に押しやられるフロートの移動をフォトカプラやリードセンサなどにて検出し、その移動高さや移動速度の違いによって吐出情報を検出することもできる。
以上のような流量センサ87によって検出される種々な吐出情報の告知に加え、ブザー90による残量警告などが行える。しかし、万一に備えて吐出系25にて使用上給水が必要な最低水位をフォトセンサなどからなる液量センサ91を設け、LEDランプ92の点灯やブザー90の鳴動によって警告するようにしてある。なお、給電回路途中には空焚きによる異常昇温時に溶断して通電を停止させる温度ヒューズ94を設けてある。
本実施の形態における省エネ保温方法は、以上のような電気貯湯容器を用い貯湯内容液71を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するのに、蓄積した実使用の実績データから24時間単位に自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネモードを実行する。特に、このような自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間、例えば10分前後、あるいは20分程度に継続したとき蓄積している実績データをリセットするようにする。
ここで、実使用の情報は、吐出キー82の操作信号、前記流量センサ87が内容液の吐出を検出したときの信号などによって簡単に得られる。しかし、これに限られることはなく、電動ポンプ26やそのモータ26aの回転をエンコーダやフォトカプラを利用して検出し、実使用の検出信号としてもよい。また、別に手動ポンプ10の操作状態やそれによる昇圧状態などを検出して実使用の検出とすることもできる。これらの場合、電動ポンプ26やモータ26aの回転の状態が吐出系内容液71aや貯湯内容液71の吐出流量や吐出量に相関し、手動ポンプ10の操作速度、操作時間、操作ストローク、操作の繰り返し回数などが吐出流量や吐出量に相関しているのを利用して、液流に直接触れることなく液流の状態を間接的に検出することができ、流量センサ87の存在が吐出抵抗となったりするような直接検出に伴う不利益を回避することができる。手動ポンプ10に対する吐出制御は、吐出操作を電磁装置にて規制したり、吐出口や吐出系25を電磁弁で閉じるなどして行える。
また、ロック・解除キー83の操作もこれがあると次に吐出操作を行う意思表示となるので、ほぼ100%の確率で吐出操作が行われる筈であり、実使用に関係する電気信号が得られる。
さらに、電気ポットでの吐出系25内の吐出系内容液71aは通常、図1に示すように湯沸し後や保温中の貯湯内容液71と同じ液量を保っている。しかし、吐出系内容液71aはヒータ11によって加熱されないので貯湯内容液71よりも温度が低い。このため、貯湯内容液71の吐出によってそれが吐出系25に吐出されてくる都度、吐出系25およびそのまわりの温度が上昇する。図6に98度保温の場合の吐出系25各部における温度変化、図6に90度保温の場合の吐出系25各部における温度変化の実験例を示している。図5、図6のいずれもI.は操作・制御系基板33の裏面、II.は突出部31の操作・制御系基板33を収容したボックス101の内側、III.は吐出口部25cの表面、IV.は電源・駆動系制御基板27の裏面、V.は電動ポンプ26の表面である。98度保温では保温温度が高い分だけ吐出の影響が大きく、I〜Vのどの個所でも貯湯内容液71の吐出によってはっきりした1つの温度ピークが得られ、90度保温ではIV.を除いてはっきりした1つの温度ピークが得られ、IV.の場合でもその数やタイミングは不定であるが、保温時にはなかった温度ピークが得られている。
したがって、吐出系25またはその近傍の温度を図7に示す吐出系センサ72などによって貯湯内容液71が吐出された実使用の有無を、吐出が電動ポンプ26によって行なわれるか、手動ポンプ10によって行われるか、あるいは器体1を傾けて行われるかといった別なく、実使用の電気信号が得られる。特に、図7に示す例では、操作・制御系基板33を収容している操作部ボックス101と吐出口部25cとの間に熱伝導部材102を挟みこんである。これによって、吐出系25の吐出口部25cの貯湯内容液71の吐出による温度上昇に対する吐出系センサ72の応答性能を高めることができる。熱伝導部材102は例えば熱伝導用のシリコンシートを利用するのが好適で、少し厚めのものを弾性を利用して挟み込むと特別な成形を必要とすることなく操作部ボックス101と吐出口部25cとの双方に密着させられる。
なお、吐出系温度検知手段としての吐出系センサ72は、図7に示すように吐出系25の近傍にある既設の回路基板としての操作・制御系基板33に搭載してある。このように、吐出系センサ72を用いるのに、既設の操作・制御系基板33に搭載することによって、特別な取付け部材や配線部材なしに設けられるので、特にコスト上昇の原因にはならない。
さらに、操作・制御系基板33は、前記器体1の肩部6前部へ突出し吐出系25の吐出口部25cを内蔵した突出部31の上面の内側に位置している。これにより操作・制御系基板33は、前記器体1の突出部31に内蔵した吐出系25の吐出口部25cの直ぐ上にあって、それに搭載している吐出系センサ72を前記吐出口部25cの近傍に位置させられるので、吐出系25の近傍の温度を検出しやすい。
しかも、吐出系センサ72は、図7に示すように操作・制御系基板33の裏面に設けられるなどして、吐出系25の上方、より具体的には吐出口部25cの上方に位置しているので、吐出系25からの熱を受けやすく、吐出系25の温度をより検出しやすい。
ここで、操作・制御系基板33の上に向いた表面は前記スイッチ類48や図示しない表示ランプなどのハード部品を搭載しているのに対し、操作・制御系基板33の裏面はチップ型のマイクロコンピュータ33aなどのチップ部品を面実装してあり、吐出系センサ72をチップ型のサーミスタなどによるものとすることで、部品コストおよび搭載コスト共に低減することができる。
このようにして得られる実使用Pに関するデータによって、実使用がないか、あってもイレギュラーと判断できて省エネ保温に適すると見られる不使用時間帯を自動判定することができる。この判定を24時間単位で行うと、時計機能、カレンダ機能のない時間経過だけを見る24時間単位の簡易な計時によって、電気貯湯容器が1日の内のどの時刻から使用を開始されても、それ以降に実使用Pがあった各時点で計時されている経過時間と、その各時点での時刻との関係は不変となる。このような関係は、24時間単位の判定を1日分データの蓄積に限らず、数日分につき行うようにしても変わらず、判定対象日数が増大するほど実使用の実績データの平均回数が増大して、イレギュラーな使用実績を排除しやすくその分だけユーザの使用実績に対しより沿ったものとすることができる。
ここで、24時間単位で判定する不使用時間帯は、例えば、実使用が所定時間の間、1つの具体例としては3時間の間継続して実使用Pがないか、あってもイレギュラーな実使用であると思われる時間帯として簡易に判定することができ、それ以外を実使用Pのある使用時間帯として取り扱えばよい。
また、図8に示すように24時間を複数の時間ブロック、1つの具体例としてはB1〜B6に分割し、各時間ブロックB1〜B6のうち、実使用Pがないか、あってもイレギュラーな実使用と思えるブロックBmを不使用時間帯Zとして判定し、それ以外の時間ブロックBnを使用時間帯Rとするようにしてもよい。図8に示す例では、3日分の蓄積データから実使用Pのない時間ブロックB2、B4につき不使用時間帯Z1、Z2と判定し、それ以外の時間ブロックB1、B3、B5、B6を使用時間帯Rと判定している。
ここで、時間ブロックBが長いと判定結果が全体に及ぶので実態からずれやすく、時間ブロックBが短いと実態からずれにくいが判定回数が多くなるので、使用実績に応じて補正していくのが好適である。
以上のように、貯湯内容液71を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供して、そのまま、あるいは少しの温度立ち上げだけで満足な温度の内容液を待ち時間なく、または少しの待ち時間にて実使用できるように使用の便宜を図る上で、蓄積した実使用Pの実績データから自動判定した不使用時間帯Zである間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行うことによって、ユーザの実使用がないか、あってもイレギュラーとみなせる状況、時間帯での節電を図りながらも、万一の実使用Pに対しては、初期立ち上げ時と、通常保温時との間の待ち時間で温度に不満のない実使用ができるようにして、なお、使用に便宜が与えられる。
また、不使用時間帯Zの自動判定は1日単位で行うので、蓄積された実使用Pの実績データを24時間単位で繰り返す簡易な計時上で取り扱っても、電気貯湯容器の使用の開始時点の不同にかかわりなく、蓄積した実使用の実績データと1日の時間帯とを正しく対応させて前記省エネ時間帯を判定し、また、省エネ保温を実行することができる。従って、時計機能やカレンダ機能、およびそのための二次電池などによるバックアップが不要であって、低コストで実現する。
特に、第1の所定時間停電状態が継続したときはそれまで蓄積されている実使用Pの実績データをリセットして使用されないようにするので、自動省エネモード時に、不用意なコンセント外れや停電、貯湯内容液71の給排などのためにコンセントが外されるといった、停電状態つまり一次電源の完全なオフがあった場合に、それ以降も経過時間が第1の所定時間を超えてまで蓄積された実績データが利用されて、停電状態の回復によって再開される前記簡易な計時での経過時間との関係がずれることにより、ユーザの自動省エネ保温モード中であることの認識のなかで、省エネ保温の実行時間帯が実情に合わなくなるような不便が生じたり、不信を与えたりするようなことを回避することができる。
また、上記に加え、実績データをリセットしていると、実績データの蓄積は最初から行う。これにより停電状態での時間経過の影響ない実使用Pの実績データと計時との組み合わせにより時間のずれのない省エネ保温が行われることを保証することができる。
また、複数日の実使用Pの実績を判断対象とした判定を24時間単位、あるいはそれに整数倍の単位にて繰り返し更新するような場合など、先にしている不使用時間帯Zの判定時間帯において、実使用Pがあってもそれが判定周期中で1回などと稀であれば、イレギュラーと判断して不使用時間帯Zの設定を変更せず、イレギュラーと考えられない実使用Pがあればその時間帯については不使用時間帯Zの設定から使用時間帯Rに更新するように処理すると、ユーザの生活習慣の変更などによる実使用Pの実績パターンの変化に対応することができる。
しかし、電気貯湯容器の電源投入による使用開始が、一定のルールのもとに行われると、具体的には正午など特定の時刻に使用が開始されると、時計機能、カレンダ機能のない簡易な計時によっても、実使用Pのあった時点の計時情報を時刻情報に置き換えることができる。この場合、食事時、おやつ時など実使用Pの頻度の高い時間帯や、就寝時、外出時など実使用Pがほとんどない時間帯などが、予め想定し、あるいはユーザの実使用Pの実績から自動判定できる。これにより、時間帯によって不使用時間帯の判定を、使用頻度の大小に応じ変更すればユーザの実使用Pの実績パターンにより適合した判定ができる。
また、実使用Pの実績データを、24時間単位で更新すると、不使用時間帯Zの判定を数日分にて行う場合に、ユーザの1日分の実使用Pの新たな実績を無条件に取り入れていきながら、実使用Pの実績データの蓄積量を増やすことなく、ユーザの使用実態の変化に自動的に対応することができる。このことは、24時間単位の不使用時間帯Zの判定が1日分の実績データによるか、複数日分繰り返し蓄積した実績データによるか、の別なく有効である。
自動省エネ保温は、ユーザ設定に代えて、メーカー側、販売者側の初期設定によってユーザ側の初回から電源投入と同時に不使用時間帯の設定からそれに従った省エネ保温を自動的に行わせることができ、このような場合でも、ユーザが標準モードとして既に初期設定されている商品を選択、購入することでそのような機能につき認識され得るので、上記のような停電措置を採ってもユーザが混乱するようなことはない。
しかし、本実施の形態では、自動省エネモードは、前記省エネキー84を操作してのユーザの設定によって行う。これにより、ユーザが標準モードとして既に初期設定されている商品を選択、購入する場合に対し、自動省エネモードの実行がユーザの設定によるものとなり、自動省エネモードの実行やその途中の停電に対する自動対応が、特に認識されやすい。この結果、使用に戸惑いや不信を与えるようなことなく、適正使用が図れる。
また、別の制御例として、第1の所定時間時が経過したとき、上記実績データに併せ省エネ保温の設定をリセットする。これにより、停電による自動対応後も、自動省エネのユーザ設定を必要として、停電後の省エネモード実行が実使用Pの実績データの最初からの蓄積から始まることを認識されやすくして、不使用時間帯Zの判定に必要なデータ蓄積を終えるまで省エネ保温が行われないことの理解を高められる。
また、別に、第1の所定時間は、予め定められた時間であると、計時ないしはそれに類するものによるタイマ機能によって簡易に対応して、想定するデータずれによる省エネ保温の混乱を確実に防止することができる。
また、別に、第1の所定時間内の停電であるとき、実績データにつき経過時間分を補正すると、停電があっても第1の所定時間内なら省エネ保温を継続するが、実使用Pの実績データは停電時間分ずらせて用いることになるので、省エネ保温がユーザの実使用の実績からずれて行われるようなことを防止することができる。また、これにより、所定時間を長く設定して比較的長い停電時でも省エネ保温を継続して問題がなくなる。
また、別に、第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用Pがなければ、その旨表示し、他の表示およびヒータ11への通電を停止すると、第1の所定時間を超える停電に対応する上に、それよりも長い第2の所定時間の間継続して実使用がないような場合に、その旨表示してユーザがいつでも混乱なく回復措置ができるようにしながら、他の表示およびヒータ11への通電を停止して実質的な使用停止状態にする。この結果、ユーザが電源をオフするのを忘れて旅行や出張に出掛けてしまうといったときの、使用の安全と十分な省エネとが図れる。
また、別に、第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用Pがなければ、実使用Pの実績データをリセットして電源をオフすると、第1の所定時間を越える停電に対応する上に、それよりも長い第2の所定時間の間継続して実使用がないような場合に、電源をオフすることにより、ユーザが電源をオフするのを忘れて旅行や出張に出掛けてしまうといったときの、使用の安全と十分な省エネとが図れる。しかも、実使用Pの実績データはリセットするので、このような長時間の停電状態によって、再使用される際の省エネ保温が時間の大きくずれた実績データのもとに行われてしまうのを防止することができる。
また、停電復帰後前後の温度差が所定温度以内であれば、自動省エネ制御を継続して行うようにすると、貯湯内容液71の入れ替えや補給による停電状態での再使用かどうかの違いに対応して、自動省エネ制御を継続したり継続を阻止したりすることができる。この場合にも、予め決められた温度差と経過時間との関係を求めた補正値によりデータの補正を行うことができる。
また、停電復帰後に残水量の判定を行い、残水量が所定値、例えば給水必要値以下であれば、あるいは所定値以下である時間経過すると、自動省エネ保温制御自体をリセットする。これらによって、自動省エネモードにおいて不使用時間帯Zにおける省エネ保温の終了に次いで、通常保温に移行するのに湯沸しモードによって早期立ち上がりが図られるような場合に、現残量によっては空焚きに至ってしまうような不都合を回避することができる。この場合、その後に給水を検知すると自動省エネ保温を自動的に再開すると人手による回復操作を省略することができる。
以上のような方法を達成するのに図1〜図4に示す電気貯湯容器は、貯湯内容液71をヒータ11により加熱して通常保温や通常保温よりも低い温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供する上で、図4に示すように、計時手段111と、実使用Pの実績データを蓄積する記憶手段112と、記憶されている実績データから計時手段111による計時のもとに24時間単位で自動判定した不使用時間帯Zである間省エネ保温を行い、それ以外は使用時間帯Rとして通常保温を行う自動省エネ手段113と、自動省エネ手段113が働く自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間継続したとき記憶手段112が蓄積している実績データをリセットする停電措置手段114とを備えている。
これにより、貯湯内容液71を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供して、そのまま、あるいは少しの温度立ち上げだけで満足な温度の貯湯内容液71を待ち時間なく、または少しの待ち時間にて実使用できるように使用の便宜を図る上で、電気貯湯容器が家庭用商用電源115に接続され通電される使用状態になると、計時手段111により計時が継続して行われ、記憶手段112は実使用Pの実績データをその時点の経過時間と対応して順次記憶する。一方、自動省エネ手段113は省エネキー84の操作による自動省エネモードの設定に従って働き、計時手段111による計時のもとに記憶手段112に記憶された実使用Pの実績データから24時間単位で自動判定した不使用時間帯Zである間、通常保温よりも低い温度での省エネ保温を自動的に行う。この結果、ユーザの実使用がないか、あってもイレギュラーとみなせる状況、時間帯での節電を図りながらも、万一の実使用Pに対しては、初期立ち上げ時と、通常保温時との間の待ち時間で温度に不満のない実使用ができるようにして、なお、使用に便宜が与えられる。
しかも、第1の所定時間停電状態が継続したとき、停電措置手段114によってそれまで蓄積されている実使用の実績データを自動的にリセットして使用されないようにするので、自動省エネモード時に、不用意なコンセント外れや停電、貯湯内容液71の給排などのためにコンセントが外されるといった、停電状態つまり給電停止があった場合に、それ以降も経過時間が第1の所定時間を超えてまで、停電前に蓄積された実績データが利用されて、停電状態の回復によって再開される前記簡易な計時での経過時間との関係がずれることにより、ユーザの自動省エネ保温モード中であることの認識のなかで、省エネ保温の実行時間帯が実情に合わなくなるような不便が生じたり、不信を与えたりするようなことを回避することができる。
ここで、第1の所定時間は、予め設定された時間とするのに、計時手段111によるタイマ機能を用いるなどすることができる。しかし、本実施の形態では図4に例示するようなコンデンサ116の放電時間としてある。具体的には、通常使用中に充電しておき、停電状態にてコンデンサ116が放電するのを利用して記憶手段112をバックアップし、記憶手段112に記憶しているデータを保持することで行う。この場合、コンデンサ116の放電時間は種々な原因でばらつくので、標準放電時間の内の安定した第1の所定時間、例えば10分程度に設定し、このような第1の所定時間が経過すると自動的にバックアップを解除する。これによって、停電時の実績データのバックアップ時間がバラツクのを防止することができる。
このように、タイマ機能またはコンデンサの放電時間として第1の所定時間を予め定められるところに従い簡易に設定して、想定するデータずれによる省エネ保温の混乱を確実に防止することができる。なお、本例でのコンデンサ116はバックアップ専用としてあるが、他の用途のものと共用または兼用するものとすることができる。
図1〜図4に示す電気貯湯容器につき、さらに詳述すると、図1に示すように電動ポンプ26は吐出系25の途中に設けられた遠心ポンプであって、真空二重容器3の底部下に位置し、吐出系25内に流入している吐出系内容液71aを送り出して貯湯内容液71の吐出系25への流入を図り、それを連続して送り出して吐出させる。手動ポンプ10は既述したようにベローズポンプよりなり、器体1の上端を真空二重容器3の口部とともに開閉する蓋13に内蔵されて、蓋13上面の押圧板14により復元ばね15に抗して押圧操作される都度、加圧空気を真空二重容器3内に送り込み、貯湯内容液71を加圧し吐出系25へ押し出し吐出させる。
蓋13は真空二重容器3からの蒸気を外部に逃がす蒸気通路17が形成され、蓋13の真空二重容器3内に面する位置の内側開口17aと、外部に露出する外面に形成された外側開口17bとの間で通じている。蒸気通路17の途中には、器体1が横転して貯湯内容液71が進入してきた場合にそれを一時溜め込み、あるいは迂回させて、外側開口17bに至るのを遅らせる安全経路17cを設けてある。これにより、器体1が横転して内容液が蒸気通路17を通じて外部に流出するまでに器体1を起こすなどの処置ができるようになる。また、蒸気通路17には器体1の横転時に、蒸気通路17に進入しようとし、あるいは進入した内容液が先に進むのを阻止するように自重などで働く転倒時止水弁18が適所に設けられている。図示する実施例では内側開口17aの直ぐ内側の一か所に設けてある。
蓋13の前部には閉じ位置で肩部6側の係止部19に係合して蓋13を閉じ位置にロックするロック部材21が設けられ、蓋13が閉じられたときに係止部19に自動的に係合するようにばね22の付勢によってロック位置に常時突出するようにしている。これに対応して蓋13にはロック部材21を後退操作して前記ロックを解除するロック解除部材23が設けられている。ロック解除部材23は図1に示すように軸24によって蓋13に枢支されたレバータイプのものとされ、前端23aを親指などで押し下げて反時計回りに回動させることでロック部材21をばね22に抗して後退させてロックを解除し、続いてロック解除操作で起き上がった後端23bを他の指で引き上げることによりロックを解除された蓋13を持ち上げこれを開くことができる。
吐出系25の上部は器体1の突出部31と外装ケース2側のパイプカバー部2dとの間に入った部分で逆U字状のユニットである吐出口部25cを構成し、この吐出口部25cに転倒時・前傾時止水弁34と吐出口25aを設けている。吐出口25aはパイプカバー部2dを通じて下向きに外部に開口している。
底部35にある開口には下方から蓋板36を当てがってねじ止めや部分的な係合により取付け、蓋板36の外周部には回転座環37が回転できるように支持して設けられ、器体1がテーブル面などに定置されたときに回転座環37の上で軽く回転して向きを変えられるようにしてある。
また、操作・制御系基板33に設けた吐出系センサ72は、吐出温度を検出していない間の検出温度を室温としてモニタし、貯湯内容液の湯沸し制御や保温制御、液量判定など各種の制御に用いることができる。
以下、図9に示すフローチャートに従って、操作・制御系基板33におけるマイクロコンピュータ33aによる自動省エネモードの1つの制御例について説明する。電源投入によって計時の開始とともに、計時情報を伴った実使用Pの実績が記憶される。計時はクロック信号などを利用して別途行われるものを利用してもよい。このような操作は省エネ保温であるときだけ行ってもよいが、常から行っておけば自動省エネ保温が設定される前からデータ採りをしておけるので、自動省エネ保温が設定されてからの自動省エネを開始するまでの待ち時間を少なくし、また、待ち時間を無くすことができる。次いで、保温中でなければそのままリターンする。保温中であれば以下保温制御に入るが、停電があるとデータのコンデンサなどによる保持に入り、設定時間が経過すると保持を解いてデータを消去し制御を終了する。これにより、停電回復後に設定時間を超える停電があった前の実績データが省エネ保温に用いられるのを防止する。
停電でなく、かつ省エネ保温でなければ通常保温を行ってリターンする。停電でなく、かつ省エネ保温であると、3日分の実使用Pに関する実績データが蓄積されているかを判定する。蓄積されていれば不使用時間を判定し、実使用Pなしに3時間以上経過していない間は使用時間帯Rと判定して通常保温を行い、3時間以上で、かつ27時間以上経過していなければ、不使用時間帯Zと判定して省エネ保温を行う。また、27時間以上経過していると省エネLEDを点滅して、長期不使用による強制省エネである旨表示し、他の表示およびヒータ11への通電を断ってオフさせる。
本発明は、広く普及し、日常多用される電気ポットに適用できるもので、産業上の利用性を満足するのは勿論、保温によって使用の便宜を図りながら、省エネが達成されるので、個人および社会への貢献度が高い。
本発明の電気貯湯容器の実施例に係る電気ポットの1つの例を示す断面図である。 図1の電気ポットの正面図である。 図1の電気ポットの平面図である。 図1の電気ポットの制御回路図である。 図1の電気ポットの98度保温時の、貯湯内容液の吐出による吐出系各部の温度変化を示すグラフである。 図1の電気ポットの90度保温時の、貯湯内容液の吐出による吐出系各部の温度変化を示すグラフである。 吐出系内容液の温度を検出して吐出を検出するための吐出系センサを設けた場合の例を示す電気ポットの一部の断面図である。 24時間単位での、ある分割時間ブロックごとの実使用に関する3日分の実績経過から省エネ時間帯を設定する操作の手順を示す説明図である。 図4の制御回路による自動省エネ保温モードでの主な制御例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 器体
10 手動ポンプ
11 ヒータ
25 吐出系
26 電動ポンプ
32 操作パネル
33 操作・制御系基板
33a マイクロコンピュータ
71 貯湯内容液
72 吐出系センサ
82 吐出キー
111 計時手段
112 記憶手段
113 自動省エネ手段
114 停電措置手段
115 電源
116 コンデンサ

Claims (13)

  1. 電気貯湯容器を用い内容液を通常保温しながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するのに、
    蓄積した実使用の実績データから24時間単位に自動判定した不使用時間帯である間は通常保温よりも低い温度での省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネモード時において、
    停電状態が第1の所定時間継続したとき蓄積している実績データをリセットすることを特徴とする省エネ保温方法。
  2. 実績データをリセットしていると、実績データの蓄積は最初から行う請求項1に記載の省エネ保温方法。
  3. 実績データは、24時間単位で更新する請求項1、2のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  4. 自動省エネモードは、ユーザの設定によって行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  5. 第1の所定時間が経過したとき省エネ保温の設定をリセットする請求項1〜4のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  6. 第1の所定時間は、予め定められた時間である請求項1〜5のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  7. 第1の所定時間内の停電であるとき、実績データにつき経過時間分を補正する請求項1〜6のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  8. 第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用がなければ、その旨表示し、他の表示およびヒータへの通電を停止する請求項1〜7のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  9. 第1の所定時間より長い第2の所定時間の間継続して実使用がなければ、実績データをリセットして電源をオフする請求項1〜7のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。
  10. 内容液をヒータにより加熱して通常保温や通常保温よりも低い温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出を伴う実使用に供するようにした電気貯湯容器において、
    計時手段と、この時計手段が計時している計時情報における1日単位ごとの実使用の実績データを蓄積する記憶手段と、記憶されている実績データから自動判定した不使用時間帯である間省エネ保温を行い、それ以外は通常保温を行う自動省エネ手段と、自動省エネ手段が働く自動省エネモード時において、停電状態が第1の所定時間継続したとき記憶手段が蓄積している実績データをリセットする停電措置手段とを備えたことを特徴とする電気貯湯容器。
  11. 第1の所定時間は、予め設定された時間またはコンデンサの放電時間である請求項10に記載の電気貯湯容器。
  12. 自動省エネ手段を働かせる自動省エネ設定手段を備えた請求項10、11のいずれか1項に記載の電気貯湯容器。
  13. 自動省エネモードは、電源投入によって自動的に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の省エネ保温方法。


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