以下、本発明の実施の形態に係る電気貯湯容器について図1〜図7を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明および図示は本発明の具体例を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本実施の形態の電気貯湯容器は家庭用の電気ポットの場合の1例であって、図1に示すように、貯湯容器1内の内容液をヒータ2で加熱して湯沸しを行い、保温をしながら使用に供する。具体的には、貯湯容器1は保温上から断熱構造を有していることが望ましく、本実施の形態ではステンレス鋼製の真空二重容器を採用している。ヒータ2は貯湯容器1の真空空間4を形成していない一重底部1cに当てがって内容液を効率よく加熱できるようにしており、図2に示すような制御回路5による通電制御のもとに湯沸しや保温を行うようにしている。内容液は貯湯容器1を傾けて注出し使用することはできる。しかし、使用の便利のために電動のポンプ6またはおよび手動のポンプ7により注出路8を通じ注出し使用できるようにしている。もっとも、内容液の加熱は貯湯容器1を電磁誘導により発熱させることで行ういわゆる電磁誘導加熱方式を採用することもできる。また、ヒータ2は加熱容量の違う湯沸し用の湯沸しヒータ2aと保温用の保温ヒータ2bを併用し、制御回路5は初期沸騰および再沸騰を加熱容量の高い湯沸しヒータ2aにより早期立ち上げを図り、保温は加熱容量の低い保温ヒータ2bを用いて、設定温度を下回ればオンし、設定温度を上回ればオフすることを繰り返す単純制御によって設定温度に保つようにしている。しかし、これに限られることはなく、デューティ比を変化させたり通電容量を変化させたり、湯沸しヒータ2aと保温ヒータ2bの同時通電をも採用するなど種々な制御を採用することができる。
さらに詳細には、貯湯容器1は外装ケース12内に収容して器体3を構成し、ヒータ2、電動のポンプ6、および注出路8を貯湯容器と外装ケース12との間に収容している。外装ケース12は合成樹脂製の底部材12aと合成樹脂製の肩部材12b間を鋼板やステンレス鋼板などよりなる金属製の胴部12cにより繋いだものとしてある。胴部12cの上端に上方から嵌め合わせた肩部材12bの底部の開口縁12b1に貯湯容器1の口部1aまわりの肩部に溶接などして接合した取付金具13を下方から当てがってねじ14により上方からねじ止めし連結している。胴部12cの下端に下方から当てがった底部材12aは貯湯容器1の底部との間を図示しない連結金具で連結して取り付けてある。肩部材12bの底部の開口縁12b1上から貯湯容器1の口部1aに亘って上方から覆う合成樹脂製のカバーリング15を設けて肩部材12bの開口縁12b1の図示しないねじで上方からねじ止めしてある。カバーリング15と肩部材12bおよび貯湯容器1の口部1aとの間にはそれぞれシールパッキン16、17を挟み込んでシールしてある。底部材12aの点検開口12a1には合成樹脂製の底蓋18が外周に設けた複数の爪18aを利用して着脱できるように嵌め付けられ、図示しない1本のねじによってねじ止めしてあり、底蓋18には回転座体19が回転できるように嵌め付けられている。器体3はこの回転座体19によって定置面に定置され、定置状態にて回転座体19上で360°にほぼ近い範囲で往復回動して向きを変えられる。
注出路8は貯湯容器1の一重底部1cにヒータ2を切り欠いた部分を通じて下方から接続した電動ポンプ6から貯湯容器1および外装ケース12との胴部間下まで側方へ延びた後、この胴部間を肩部材12bが形成している器体3の上端前部への張り出し部20の基部まで立ち上がり、張り出し部20内に位置する転倒時、前傾時などの止水部21を経て張り出し部20の先端部に至って下向きに屈曲し下方に突出した注出口8aを有している。これら止水部21、注出口8aが位置している張り出し部20は、外装ケース12の胴部12cの上端部前部に設けて張り出し部20および肩部材12bと外装ケース12の胴部12cとの間で挟持するなどしたパイプカバー22によって下方から覆い張り出し部20の下面を形成している。
注出路8の立ち上がり部は貯湯容器1内と同じ液位を保つことから、透明管で形成した液量表示部8dを設け、外装ケース12の胴部12cに設けた図示しない液量表示窓を通じ外観されることで、液量を外部に表示できるようにしている。図示しないが、外装ケース12の液量表示窓には液量表示部8dが示す液位の変化に対応した残量を示す目盛りを設ける。注出路8の液量表示部8dと止水部21との間にはスクリュー25aとスクリュー25aの回転を検出する回転センサ25bとを内蔵した流量センサ25を設け、流量センサ25によるスクリュー25aの回転の有無や回転数の検出によって、内容液の注出の有無、内容液のその時々の注出流量などを検出できるようにしている。貯湯容器1の電動のポンプ6が接続された内容液の流出口26には金属網よりなるフィルタ27が着脱できるように上方から装着され、異物が内容液と共に注出されないようにしている。
器体3の上端には合成樹脂製で中空の蓋体31を設けて、蓋体31の後部のヒンジピン33を肩部材12bの後部に設けた軸受部32に着脱できるように装着して、ヒンジピン33を中央付近に開閉できるように支持している。閉じ状態の蓋体31は器体3の肩部材12bが形成している給排用の開口1dに上方から嵌まり合ってその開口1dを閉じ、かつ、蓋体31の下面に設けた金属製の内蓋34が開口1dにカバーリング15を介して続く貯湯容器1の開口11dに嵌まり合い、内蓋34の外周に装着したシールパッキン35を貯湯容器1の開口11dの上縁11d1に圧接させて貯湯容器1を密閉するようにしている。軸受部32は蓋体31が貯湯容器1の開口11dおよび器体3の開口1dとの嵌まり合いが外れる半開き位置にてヒンジピン33を着脱できる前向きの開放部32aを有し、このヒンジピン33の着脱によって蓋体31を器体3に着脱できるようにしている。軸受部32の開放部32aにはばね36bの付勢による閉じ習性を有したストッパ36で常時塞がれ、ストッパ36の操作部36aによる下動操作なしには開放されずヒンジピン33、従って蓋体31の不用意な取り外しや外れ落ちを解消できる。ストッパ36はヒンジピン33の受け入れに対してはばね36bに抗した退避によって邪魔せず、ストッパ36の操作を必要とせずに蓋体31を装着することができる。貯湯容器1内の蒸気を蓋体31を通じ外部に逃がす蒸気通路37には器体3の転倒時に内容液が蒸気通路37を通じ外部に流出するのを阻止する止水弁37cと、止水弁37cによってもなお内容液が流出したような場合、それを途中で溜め、あるいは迂回させて外部への流出を遅らせるアキューム部37dを設けてある。
蓋体31には、貯湯容器1内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気通路37と、ベローズタイプの手動のポンプ7を内蔵していて、蓋体31上面に露出している押圧板41によって復元ばね42に抗し押圧操作する都度、空気を貯湯容器1内に送り込み、内容液を加圧して注出路8を通じ注出口8aへ押し出し注出できるようにしている。蒸気通路37は内蓋34の流入口37aと蓋体31の上面の排出口37bとの間で通じて、貯湯容器1内で発生する蒸気を外部に放出する。手動のポンプ7は押圧操作にばね39の付勢により連動して蒸気通路37を手動のポンプ7から貯湯容器1への給気通路に切り替え、復元によって蒸気通路37に復帰させる切り替え弁38を有している。
蓋体31の前部には蓋体31が閉じたとき器体3の開口1dに設けられた係止部411にばね412の付勢により弾性係合して蓋体31を閉じ状態にロックするロック部材43が設けられ、蓋体31の前部に軸44aにより枢支した操作レバー44の操作によってロック部材43をばね412に抗して後退させると蓋体31の閉じ状態へのロックを解除することができる。操作レバー44は例えば前端部44bを親指で押し下げると前記ロック解除を行い、そのとき起き上がる尾端部44cを人差し指などで持ち上げるとロックを解除した蓋体31の前部が持ち上がるので蓋体31を後傾して安定する最終位置まで開いていける。
張り出し部20の上面には図1に示すような樹脂シートなどよりなるシール銘板51を貼り合せた図3(a)に示すような操作パネル52が設けられている。この操作パネル52には、例えば図示するように電動のポンプ6を駆動する給湯キー53、給湯キー53の操作を不能にして給湯、つまり注出ができないようにロックし、またそれを解除する給湯ロック/解除キー54、内容液の沸騰後に保温する温度を選択するアップ設定操作キー55a、ダウン設定操作キー55bよりなる保温選択キー55、保温中に内容液を再度沸騰させ、またカルキ抜きを行う再沸騰・カルキ抜きキー56、ヒータ2をオフし続けて貯湯容器1の断熱機能を利用したいわゆる魔法瓶保温を選択し、また初期沸騰させた後保温に切り替えるべき時刻を現時点からの所要時間で予約設定するための魔法瓶保温/タイマキー57、調理用の調理タイマキー58に加え、設定保温温度や現在温度などを数字や文字で表示する液晶表示部59、内容液の注出量を用途に見合って設定する軽量カップキー60、給湯ロック/ロック解除を点灯/消灯によって表示する給湯ロックランプ54a、沸騰ランプ61、保温ランプ62、魔法瓶保温ランプ63などが設けられている。これら操作および表示のため図1に示すように、操作パネル52の内側には肩部材12bの張り出し部20の上部壁を凹陥させて一体形成して前記シール銘板51により上部開口を密封した操作ボックス163内に操作基板64を設置してある。この操作基板64には操作パネル52での操作に応動するスイッチ類や、表示を司る表示具などの電気要素を搭載してあり、器体3の底部内、つまり貯湯容器1の底部と外装ケース12の底部との間に設置しマイクロコンピュータなどの制御回路5を搭載した電源・制御基板65と協働し、電気ポットの動作を制御するようにしている。制御回路5には図2に示すように操作パネル52が双方向に接続され、流量センサ25、温度センサ101が入力部に、ヒータ2およびポンプ6のドライバ71、72が出力部にそれぞれ接続されている。
液晶表示部59は図3(a)に示すように設定中、魔法瓶保温、節電、カルキ抜き、計量給湯量、温度および残時間の兼用表示などを、各種設定操作に連動して表示するようにしている。また、保温選択キー55のアップ設定操作キー55a、ダウン設定操作キー55bは、各種タイマ設定や計量カップ設定などの数値選択をするキー操作があったときには、それらのキー操作で設定されるタイマ値や計量値をアップ操作し、またダウン操作するのにも兼用されるようにしている。
ここで、制御回路5による保温温度選択に係る制御の一例を図5に示すフローチャートに基づき説明すると、電源投入があるとステップST1において制御スタートの判定の基に、ステップST2で図4(a)に示すように沸騰ランプ61を点灯させて湯沸しを行う沸騰動作中であることを表示するのに併せ、表示部としての液晶表示部59にて、温度90の文字、数値表示と、設定の文字表示とで保温温度が90℃に初期設定されていることをユーザに表示する。ついでステップST3において保温選択の確定条件、例えば、5秒などの所定時間経過を見るためのタイマをスタートさせ、ステップST4、5にてタイマー終了までに保温選択手段としての保温選択キー55の操作がないと、ステップST6に移行して保温選択が確定したとして、図4(a)に表示している設定温度90℃を変更設定せずに図4(b)の温度25の文字、数値表示にてその時々の湯温例えば25℃などを表示する通常表示に切り替える。この状態で湯沸しや保温など設定モード、制御の進行に従った各種制御が行われ、沸騰が終了し保温制御に切換ることで、内容液は設定温度90℃での保温状態となって安定する。この時の通常表示は図3(b)に示すように温度90の文字、数値表示にて現在湯温が90℃であることを示す通常表示となっている。
スタート時のステップST3にて、あるいは各種制御を繰り返しながらのステップST8にて、図3(b)などの沸騰中、保温中を含む通常表示中図3(c)に示すように保温選択キー55の操作があると、ステップST9に移行して液晶表示部59での通常表示を図3(d)に示すような保温温度の設定確認表示に切り替える。この表示では設定の文字表示と、温度90の文字、数値表示とによって、保温の設定温度が90℃であることをユーザに告知し確認されるようにしている。ついで、ステップST10にて保温選択の確定条件を見るためのタイマをスタートさせ、ステップST11〜13にてタイマが終了するまでに保温選択キー55の操作がある都度、タイマを再スタートさせながら温度90の文字、数値表示の内の数値表示を所定の方向に連続または段階的に95などとして変更していくのに併せ、設定の文字表示を点滅させることで、保温温度が選択中であることをユーザに告知して保温温度選択の操作を促すことを繰り返し、保温選択キー55の操作がなくタイマが終了すると、ステップST14にて最終に選択し表示した保温温度を確定として選択保温温度として設定し、図3(h)に示すように液晶表示部59を通常表示に切り替える、つまり図3(b)の湯温表示状態に戻す。
もっとも、保温温度選択の確定条件とは選択操作時直ぐの時点と所定時間経過時点とを含み、直ぐの時点では選択される都度その保温温度を設定保温温度として保温制御をしながら設定保温温度を更新できるようにする場合をも含んでいる。また、選択した保温温度は既述した給湯ロック/解除キー54の操作によって確定させ、保温制御に反映する設定保温温度とするようにしてもよい。
なお、保温選択キー55により選択できる保温温度は、再沸騰して使用し、あるいはそのままでも熱湯煎茶前などの注出に使用できる沸騰させない程度の降温保温温度95℃〜98℃程度を上限温度とし、赤ちゃんのミルク溶きや玉露の抽出などに適し、雑菌の繁殖も抑えられる60℃程度を下限保温温度として、その間で連続または段階的に変化する各種保温温度を順次に設定できるようにするのが望ましく、1℃ずつ連続に変化するような温度設定では徒に設定温度数が増加して実質的に変化させる実効が乏しいという観点からは5℃程度ずつ段階的に変化させるのが実用的であり、好適といえる。
また、前記のような下限保温温度と上限保温温度までの連続または段階的な変化を伴ない保温温度を選択していき最終選択状態に設定するには、増減一方向の変化順序にて行わせることにより選択、設定が混乱なくスムーズに達成されるようにできる。また、現設定温度に対し選択したい選択保温温度がアップ側かダウン側かによってどちらかの変化手順を選択できれば便利である。そこで、本実施の形態では、図3に示すように保温選択キー55をアップ設定操作キー55a、ダウン設定操作キー55bの組み合わせとしてあり、選択する保温温度の変化方向をアップ方向かダウン方向かを選択できるようにして、選択された方向にて選択する保温温度を変化させるようにする。もっとも、選択した変化方向の温度限界に達した時点でなお選択が終了しない場合があるので、温度変化のローテーションは設定が終了するまで繰り返せるようにするのが好適であり、その繰り返しは選択された変化方向を保って行うのが混乱を避ける上で好適であるが、これに限られることはない。
さらに、選択できる保温温度には、下限保温温度未満域への降温を図る前記魔法瓶保温状態を含んでよいし、魔法瓶保温に代えて、あるいはそれと共にヒータ2、特に保温ヒータ2bによる加熱を行いながらも下限保温温度未満域へ降温する省エネモードを含んでもよい。これらの場合選択を保温温度で示せないが、図3(f)に示すように文字表示で行えばよいし、前記ローテーション順位としては、前記選択保温温度の下限温度60℃をも下回る保温となるので、この下限温度よりも下位の順列とすれば保温の選択順序として好適となるし、魔法瓶保温は準魔法瓶保温よりも下位とすればよい。
以上のように、保温選択キー55の操作があると、制御回路5が液晶表示部59の極く一部となる一箇所の通常表示を、保温温度選択に関連する特定の保温温度として、保温温度選択の基準となる現在設定されている保温温度の表示に切換えて、現在設定されている保温温度からの選択の開始状況をユーザに示し、液晶表示部59における1箇所での数値表示や文字表示などの連続または段階的な変化を伴い、表示スペースによる制限なしに多くの保温温度を順次に選択させられ、先の選択の操作から確定条件が満足するまで選択操作がないことにより、最終に選択された保温温度に設定した保温制御が行われる。なお、保温選択キー55の操作による通常表示からの切換えは、現在設定されている保温温度から1つの選択操作分変化した保温温度とし、1つの選択操作分変化した初期選択からの選択続行状況をユーザに告知しながら以降の保温温度選択ないしは設定が行われるようにすることもできる。この結果、保温選択キー55の操作に基づき、液晶表示部59の限られた一部での通常表示を、順次選択できる、保温状態を含む保温温度の、連続または段階的な変化の表示に切り替え、種々な保温温度、保温状態を選択できるようにするので、狭い表示スペースにてユーザの多様なニーズに十分応えられる上、選択できる保温温度、保温状態が同時表示されないので、他の表示や操作も含め表示が見難くなったり選択や各種操作に混乱が生じたりしない。
また、通常表示が上記のようにその時々の湯温表示の表示スペースを、保温温度の選択、設定時に切換え利用することができ、湯温、保温温度選択、設定のための表示部が1箇所でよくなり、特に、数値表示であることにより単純な7セグメント表示を共用して実現する。
このように、湯沸し後の保温を設定され、選択される保温温度にて実行するのに、本実施の形態では、既述した従来からの制御の通り、図8に示す95℃保温が設定または選択された場合を例に、加熱を停止して目標の保温温度95℃に向けた降温を図る降温に続き、保温ヒータ2bのオン、オフの繰り返しによって実湯温の降温をやや緩めながら、温度センサ101がヒータ2に近いことにより検出湯温に保温ヒータ2bのオン、オフの影響を受けた高低変化をもたらしながら、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い目標の保温温度95℃に近づくにつれて安定させていき、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い目標の保温温度95℃にほぼなる時点まで待って、その保温温度の温度表示をすることによって、表示湯温がそれに対応する95となる時点とをほぼ一致させられるようにする表示待ちモードを行う。
しかし、加熱しない自然降温における図9に示すような検出湯温Tsと実湯温Trとの温度差の変化、例えば、検出湯温Tsが100℃から65℃程度まで降下する間前記温度差は徐々に大きくなり、それ以降は室温に近づくにつれて検出湯温Tsの温度低下は実湯温Trの温度低下速度よりも鈍くなって相互の温度差は徐々に小さく、また降温速度が目立って遅くなっていく関係から、保温温度Toが98℃から60℃と大きな範囲で5℃単位などで細かく設定され、あるいは選択される環境では、特に、1通りの表示待ちモードの実行によっても、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い目標の保温温度Toに安定化する時点と表示湯温が保温温度Toになる時点とを一致させられないことが生じるし、既述したようにある保温状態から降温側、つまり低温側へ保温温度Toが切換った場合にも、切換る前の保温温度Toと切換った保温温度Toとの温度差Δの違いによっても一致しないことが生じる。これは、保温温度Toが切換ったときの検出湯温Tsと切換った後の保温温度Toとの温度差Δとの関係とも類似する。
そこで、本実施の形態では、図6に模式的に示すように検出される湯温Tsを基に、設定され、選択される、例えば図6(a)(b)(c)に代表して示す保温温度To(To=T1(95℃)、T2(90℃)、T3(80℃)・・)、または、これに対応する所定温度へ向け降温させ、その後所定の時間α(α=α1、α2、α3、・・)、または所定の回数Nだけ保温ヒータ2bによる加熱、加熱停止を繰り返しながら実湯温Trを前記保温温度Toに向け安定化させていき、安定する所定時点まで待ってその保温温度Toに対応する湯温Tを表示する表示待ちモードを実行するのに、所定の時間αまたは回数Nを保温温度Toによって変えるようにする。このような降温制御モードと表示待ちモードとにより、湯沸し後の保温温度Toへの降温を経て検出湯温Tsが実湯温Trを伴い保温温度Toに安定する安定化が図れる。そして、この安定化の時点P1、P2、P3、・・、つまり時点P1は湯沸し後の降温開始から時間t1が経過して検出湯温Tsが保温温度Toに到達した後、表示待ちモードが開始して時間α1経過しt1+α1となった時点であり、時点P2は湯沸し後の降温開始から時間t2経過して検出湯温Tsが保温温度Toに到達した後、表示待ちモードが開始して時間α2経過しt2+α2となった時点であり、P3は湯沸し後の降温開始から時間t3が経過して検出湯温Tsが保温温度Toに到達した後、表示待ちモードが開始して時間α3が経過しt3+α3となった時点であって、それぞれ、降温時の検出湯温Tsと実湯温Trとの温度差Δ(Δ1、Δ2、Δ3、・・)が異なる保温温度To(To=T1(95℃)、T2(90℃)、T3(80℃)、・・)に対応した所定の時間α(α1、α2、α3、・・)または所定の加熱、加熱停止回数N分行う表示待ちモードの終了時点として特定することが分かる。これによって、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い保温温度Toに安定化するのと同時にその保温温度To(To=T1(95℃)、T2(90℃)、T3(80℃)、・・)に対応する表示湯温95、90、80、・・とすることができる。つまり、保温温度T1=95℃、T2=90℃、T3=80℃の各例において、降温制御モード開始から表示待ちモードを終了するまでの時間t1+α1、t2+α2、t3+α3、・・として一致し、時間ずれなく検出湯温Ts、実湯温Tr、表示湯温それぞれをほぼ一致させられる。
この結果、湯沸し後または保温温度Toの切換り後、検出湯温Tsを基にした降温制御モードと表示待ちモードとで、実湯温Trの保温温度Toへの降温と安定化を図り、安定化終了時点で検出湯温Tsが実湯温Trおよび表示湯温と共に保温温度Toにほぼ一致し、以降の保温状態で実湯温Trが表示湯温と体感される程度に差ができ、使用に不便を与えたり、信頼性が低下したりするのを防止することができ、検出湯温Tsと実湯温Trとの関係が大きな範囲で細かく選択される保温温度Toごとに異なるような場合に特に有好である。
ここに、図6(a)〜(c)の関係は、また、保温温度Toに到達したときの検出湯温Tsと実湯温Trとの温度差Δによって表示待ちモードに必要な時間αに差のあることを示しており、所定の時間αまたは回数Nは前記温度差Δ(Δ1、Δ2、Δ3、・・)によって変えてもよいことを意味している。
ここで、所定の時間αまたは回数Nは、単純に、前記温度差Δが小さいほど低減するような制御をしてもよく、図9に示すように湯沸し後の100℃程度から65℃温度までの温度範囲に対応し、保温温度Toが低くなるにつれ温度差Δが順次大きくなる傾向に対して、所定の時間αまたは回数Nを増大させればよく、逆に保温温度Toが高温側に変化するにつれ温度差Δが小さくなる傾向に対して、所定の時間αまたは回数Nを低減すればよいことになる。なお、図9では65℃を下回ると温度差Δはそれより高い保温温度Toに対する場合よりも温度差Δは小さくなるが、室温の関係で温度低下速度が鈍っていくことにより、表示待ちモードのための時間αが増大していくので、このような温度帯でも降温制御に続く表示待ちモードを行うには、保温温度Toが低下するのに従い温度差Δは小さくなるが、表示待ちモードを実行する所定の時間αや回数Nは増大させていくことになる。
これらを総合すると、所定の時間αまたは加熱、加熱停止の回数Nは、保温温度Toが低くなるほど低減し、または増大するように設定することで対応でき、図6に示すように降温制御モード時の検出湯温Tsと実湯温Trとの温度差Δが、図9に示す100℃から95℃程度までの保温温度Toの変化に対応して順次増大し、併せ安定化に必要な時間が増大したり、図9に示す65℃程度以下への保温温度Toの変化に対応しては低減するが安定化に必要な時間が増大したりするが、そのような温度差Δの変化に対応して増減した時間αまたは加熱、加熱停止回数N分の表示待ちモードの実行によって、どの保温温度Toへも検出湯温Tsの実湯温Trを伴い安定化させられる。
しかし、表示待ちモードを実行する時間αや加熱、加熱停止回数Nは内容液の上下湯温の差が大きくなる度合を基準として増大しており、保温温度Toが98℃など沸騰に近い高温状態が検出されているときなど検出湯温Tsと実湯温Trとの差が余りなく問題とならないような範囲、または温度分布状態では、表示待ちモードは省略することができる。また、表示待ちモードは内容液の湯温が降温していく段階で行うもので、昇温時は内容液の対流が得られるので特に必要でない。また、魔法瓶保温モードでは内容液は降温し続けるが、保温ヒータなどによる加熱を一切行わないことを意図していることから、表示待ちモードは通常実行しない。また、現保温温度から高温側に保温温度が選択されるような場合は、内容液を加熱して保温温度に向け昇温させその保温温度に保つ制御となって、内容液に対流が生じ上部と下部との温度差が解消される傾向にあるので、表示待ちモードは行わない。湯沸し時のように保温に関係しない非保温モード時にも当然表示待ちモードは行わない。
本実施の形態は、さらに、保温温度Toが切換った後の降温制御モードに続く表示待ちモード、例えば図6(a)に例示するように保温温度To=95℃での保温状態で、その保温温度95℃が降温側となる、従って低温側の90℃や80℃に切換った後の保温温度90℃または80℃への降温制御モードに続く、90℃または80℃への表示待ちモード、を実行する所定の時間αまたは加熱、加熱停止回数Nを、切換る前の保温温度To=95℃などと切換った後の保温温度To=90℃や80℃との温度差Δ(Δ4またはΔ5)によって変える。これにより、湯沸し後の保温温度To例えば95℃への降温を経て検出湯温Tsが実湯温Trを伴い保温温度Toに安定する安定化を図り、その保温温度Toに対応する表示湯温とした保温状態において、保温温度Toが95℃から降温側、低温側の例えば90℃や80℃に切換ったときの降温制御モードに続く表示待ちモードを、切換る前の保温温度95℃などと切換った後の降温側つまり低温側の保温温度90℃や80℃などとの温度差例えばΔ4やΔ5などに対応した所定の時間例えばα4やα5、あるいは所定の加熱、加熱停止回数N分行うことで、降温を伴なう、どの低温側の保温温度Toへも検出湯温Tsの実湯温Trを伴い安定化させ、時間のずれなく表示湯温を例えば90や80とほぼ一致させられる。
なお、所定の回数Nは保温ヒータ2bなどによる加熱、加熱停止を保温温度Toでの温度帯付近にて繰り返すことを意味し、その回数Nは所定の時間αにほぼ比例し、時間αの方が湯量の違いの影響を若干受けやすい傾向を示すが、前記の流量センサ25などによる注出量の計測によって残量を判定し、あるいは湯沸し過程での昇温特性、湯沸し後または保温状態から保温温度Toへの降温過程での降温特性などによってその時々の湯量を判定して補正するようにもできる。また、表示待ちモードで保温ヒータ2bをオンする安定化下限温度は保温温度Toよりも低く、保温ヒータ2bをオフする安定化上限温度は保温温度Toよりも高くすることを基本とし、図8に示す例では上下限幅を通常保温時よりも十分に大きくして表示待ちモードを開始し、それ以降漸減させていき安定化を図るようにしている。しかし、これに限られることはない。
以上のような制御のために、制御回路5は設定され、あるいは選択される保温温度Toの情報、検出湯温の情報、図6、図9に示すようなテーブル情報を読み込んで、設定され、あるいは選択される保温温度Toの違い、降温過程での検出湯温Tsが保温温度Toに到達したときの実湯温Trとの温度差の違い、あるいは切換え前後の保温温度Toどうしの温度差の違い、切換え時の検出湯温Tsと切換え後の保温温度Toとの温度差などに対応して、所定の時間αや回数Nを設定し、保温温度Toへの降温制御モードとそれに続く表示待ちモードとを実行し、表示待ちモードの終了と同時に保温温度Toでの湯温表示と、保温温度Toでの保温を継続する制御を行う。
ところで、近時の保温選択の自由度向上の要求は、既述したように、沸騰やその擬似継続などによる殺菌やカルキ除去といったことを必須としながらも60℃といった低温保温、魔法瓶保温なども設定されるなどし、選択した保温温度が低いほど沸騰時点からの降温の待ち時間が長くなることがユーザの不満となって、蓋を開いて掻き混ぜるなど急な降温が図られることが予測される。また、逆に、沸騰後の水を飲料とすることから湯冷ましや湯冷ましで作った氷などを補給することで急な降温を図られることも考えられる。さらに、ヒータ2に代る加熱源としてペルチェ素子などを利用して給電方向の切換えによって通常は加熱源として用いながら、これをユーザが冷熱源に切換えて用いるか、あるいはファンなどの冷却手段を働かせるかして、急冷が図れるようにする積極的対応をした製品を提供する必要も考えられる。
このような急冷が行われる場合に、上記のような表示待ちモードを実行して加熱、加熱停止を繰り返して長い時間を費やし検出湯温と実湯温との微小な温度差に対応するのは、かえって時間的な無駄となって待ち時間を長引かせて不合理であるし、掻き混ぜによる急な降温は内容液の上下の温度差を解消しながら行われるのを、安定化のための加熱、加熱停止の繰り返しが実湯温を過剰昇温させてしまう原因になりかねない不都合がある。また、上記のように現保温温度が低温側の保温温度に自由に、繰り返し選択変更されるような場合も、現保温温度と選択保温温度との差が、沸騰から設定されまたは選択された保温温度まで降温させる初期降温時の温度差に比し低減ないし半減などしていることが多く、表示待ちモードの実行は時間的な無駄や過剰な加熱になる確率が高い。
具体的には、保温モード上の実湯温Trおよび検出湯温Tsの降温は図6(c)で示す加熱を停止しての自然降温状態で、何らかの加熱を伴なって降温させる場合に比し最も急な降温になっているのに対し、前記した場合の掻き混ぜなどによる急な降温は説明の簡単のために検出湯温Ts、実湯温Trを含め図6(c)に一点鎖線Tkで示すように保温モード時のそれよりも格段に急な降温になっていて、沸騰からある保温温度T3に到達するまでの時間t4も検出湯温Tsが沸騰から保温温度T3に到達するまでの時間t3よりも格段に短い。これを例えば選択した保温温度T3として、急な降温によって検出湯温Tsが保温温度T3に到達するかその前後で時間α分の表示待ちモードを通常通りに実行するのでは、保温温度T3に短時間で到達しているのに、さらに長い時間α経過するまで保温温度T3が表示されず長い時間使用待ちとなるのでは不合理である。また、急な降温が掻き混ぜによるものである場合は、特に、内容液の上部と下部との温度差が解消されあるいは低減されて、検出湯温Tsと実湯温Trとの温度差がないか小さくなっているのに、長い時間αを掛けて表示待ちモードを行うことは時間の無駄になる。また、保温温度T3にほぼ達している内容液に対して表示待ちモードにて加熱、加熱停止を繰り返すのは過剰加熱となって保温温度T3への降温に逆行する不都合な制御となりかねない。
これに対応するのに本実施の形態では、特に、検出される湯温Tsを基に保温温度T1、T2、T3などへ向け降温させてからその保温温度に保つ保温モードでの降温時に検出される湯温Tsが保温温度T1、T2、T3などに到達した時点またはその前後で実湯温Trを保温温度T1、T2、T3などに近づけるように加熱制御し、実湯温Trが保温温度T1、T2、T3などに近づきまたはほぼ達するのを待ってその保温温度T1、T2、T3などに対応する湯温を表示する表示待ちモードを実行するが、保温モード時に検出される湯温の変化に前記保温温度T1、T2、T3などへの降温変化を上回る急な降温変化があるとき、表示待ちモードを行わないか表示待ちモードを短縮して実行する表示待ちモード規制を行う。これにより、保温モードでの降温時に検出湯温Tsが保温温度T1、T2、T3などへ近づき、またその前後となった時点から、検出湯温Tsを、実湯温Trを伴い保温温度T1、T2、T3などに向け安定させていく加熱制御を行いながら、所定の安定度ないしは近づき度となる所定の加熱制御時点を待ってその保温温度T1、T2、T3などに対応する表示湯温として、実湯温Trと表示湯温との差を無くすか軽減できるようにしながら、保温モード時に、検出湯温Tsに保温温度T1、T2、T3などへの降温変化を上回る急な降温変化があるときは、前記表示待ちモードを実行しないか短縮して行う表示待ちモード規制をすることにより、表示待ちモードが時間的な無駄を生じて実行されたり、表示待ちモードの実行によって実湯温Trの過剰昇温となるような不都合を回避することができる。なお、表示待ちモードの短縮した実行は、表示待ちモードでの加熱制御の短縮を意味し、具体的には前記した加熱、加熱停止を繰り返す回数、あるいはこの繰り返しを含む各種加熱制御の制御時間などである。
本実施の形態では、また、保温モード時に現保温温度T1やT2などからそれらよりも低温側の保温温度T2やT3が選択されたときも、表示待ちモードを実行しないか表示待ちモードを短縮して実行する表示待ちモード規制を行う。これにより、保温モードでの降温時に、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い保温温度T1、T2、T3などに向け安定させていきながら、所定の安定ないしは一致時点を待ってその保温温度T1、T2、T3などに対応する表示湯温として、実湯温Trと表示湯温との差を無くすか軽減しながら、保温モード時に、現保温温度T1やT2などからそれらよりも低温側への保温温度T2やT3などが選択されたとき、前記表示待ちモードを実行しないか短縮して行う表示待ちモード規制をすることにより、現保温温度T1やT2からそれより低温側に選択された余り差がなくかつ降温にも時間が掛からない保温温度T2やT3などへの降温条件にて、表示待ちモードが時間的な無駄を生じて実行されたり、表示待ちモードの実行によって実湯温Trの過剰昇温となるような不都合を回避することができる。
本実施の形態では、さらに、上記のように沸騰後、設定され、あるいは選択された初期の保温温度T1、T2、T3などへ向け降温させ、また、それ以降現保温温度T1、T2などからそれらよりも低温側の保温温度T2、T3などが選択される都度、それぞれの複数段階の保温温度T1、T2、T3などへ向け降温させて、各段階の保温温度T1、T2、T3などに保つ保温モードにおいて、この保温モードでの各段階の保温温度T1、T2、T3などへの降温時に検出される湯温が保温温度T1、T2、T3などに到達した時点またはその前後で実湯温Trを保温温度T1、T2、T3などに近づけるように加熱制御し、実湯温Trが保温温度に近づきまたはほぼ達するのを待ってその保温温度T1、T2、T3などに対応する湯温を表示する表示待ちモードを実行するのに、保温モード時に検出される湯温Tsの変化に前記保温温度T1、T2、T3などへの降温変化を上回る急な降温変化があるとき、例えば最先の段階での降温時の1回のみ表示待ちモードを実行しないか表示待ちモードを短縮して実行する表示待ちモード規制を行い、これ以降の降温時に急な降温があっても表示待ちモードを行うようにしている。これにより、保温モードでは沸騰時点から設定されあるいは選択されている初期保温温度T1、T2、T3などへの降温によるその保温温度T1、T2、T3などでの保温に際しては勿論、それ以降1回以上行われることのある現保温温度T1、T2などからそれらより低温側に新たな保温温度T2、T3などが選択される都度、その新たな保温温度T2、T3などへの降温によるその新たな保温温度T2、T3などでの保温に際しても、検出湯温Tsが各段階の保温温度T1、T2、T3などへ近づき、またその前後となった時点から、検出湯温Tsを、実湯温Trを伴い保温温度T1、T2、T3などに向け安定させていく加熱制御を行いながら、所定の安定度ないしは一致度となる加熱制御時点を待ってその保温温度T1、T2、T3などに対応する表示湯温として、実湯温Trと表示湯温との差を無くすか軽減することができるようにしながら、保温モードでの各段階の保温温度T1、T2、T3などへの降温時に急な降温がある場合、最先に検出される急な降温時にのみ前記表示待ちモードを実行しないか短縮して行う表示待ちモード規制をすることにより、急な降温が、例えば沸騰温度から保温温度T1よりは保温温度T2、保温温度T2よりは保温温度T3というように、保温温度T1、T2、T3などへの降温幅が大きな保温温度の場合に行われる確率が高いことに対応して、表示待ちモードが時間的な無駄を生じて実行されたり、表示待ちモードの実行によって実湯温Trの過剰昇温となるような不都合を回避することができ、これ以外の段階の降温時では表示待ちモード規制を行わないことにより、表示待ちモード規制が繰り返されることによりかえって実湯温Trと表示湯温とに差が生じるようなことを回避することができる。ここに、表示待ちモード規制の実行は保温温度への降温幅が大きな場合に特定して有効である。
いずれにしても、本実施の形態では、保温モードにて検出湯温Tsを基に保温温度に向け降温させていきながら、その時々の湯温を温度表示するのに、表示待ちの加熱制御にて検出湯温Tsが実湯温Trを伴い保温温度T1、T2、T3などに近づく所定の加熱制御時点でその保温温度T1、T2、T3などを表示して実湯温Trと表示湯温との差を無くすか軽減し、ユーザに対する信頼性を高めながら、ユーザの使用状況によって、保温モード上の保温温度T1、T2、T3などへの降温変化を上回る急な降温変化があったり、現保温温度T1、T2などからそれらより低温側の保温温度T2、T3などの選択があったりするなどして、表示待ちモードが徒な時間延長や時間的な無駄を生じて実行されたり、表示待ちモードの実行によって実湯温Trの過剰昇温となるような不都合を回避することができる。
以上のような表示待ちモードおよび表示待ちモード規制を含む制御の一例を、図7に示すフローチャートを参照しながら、設定され、選択された保温温度T1、T2・・などへ向け降温させてその保温温度T1、T2・・などに保温することが複数段階で行われるのに、各段階で急な降温があるときの特定の段階、ここでは最先の段階の降温時のみ表示待ちモード規制を行い、他の段階での急な降温変化があっても表示待ちモード規制は行わない場合につき説明する。この表示待ちモード規制を行うかどうかを制御上判定するのに、例えば、規制フラグが立っているかどうかで判定できるようにしている。具体的には、ステップST21にて保温モードが確認されなければ、そのままステップST40へ移行してリターンし他の現行制御が行われるようにする。ステップST21にて保温モードであればステップST21aで初期保温であるかを、つまり沸騰温度から設定され、あるいは選択された保温温度T1、T2、T3などへの初期降温時であるかを判定し、初期保温であるときはステップST21bにて表示待ち規制フラグをて立ててそれを1とした後、そうでなければそのままステップST22にて表示、検出湯温が設定され、あるいは選択されている保温温度Toであるかどうか判定する。保温温度Toであると内容液を保温温度Toに保ついわゆる通常保温状態であるとみなすことができ、ステップST33以下の制御に移行し、ステップST37にて保温温度Toの変更がない間はステップST40を経てそのままの通常保温を継続する。
ステップST22で通常保温でなければステップST23に移行し、表示待ちモードを実行する所定の時間αまたは加熱、加熱停止回数Nのうちの、回数Nの設定があるかどうか判別し、設定があるとそのまま、設定がなければステップST24にて、設定され、あるいは選択されている保温温度Toに基づく所定の回数Nを、例えば、To=95℃であるとN=12、To=90℃であるとN=6などと設定してからステップST25に移行し、保温ヒータをオフに保って保温温度Toへの降温を図る。この降温過程においてステップST25aで表示待ち規制フラグが1かどうか判定し、表示待ち規制フラグが1であり、ステップST25bで急な降温が検出されると、ステップST26〜ステップST32の表示待ちモードを実行せず、ステップST25cで表示待ち規制フラグをリセットとして0とした後、ステップST33以降の保温加減温度までの降温を図って以降、保温温度に保つ通常保温制御に移行する。
ステップST25aで表示待ちフラグが1でなければ、表示待ち規制モードは実行せず、表示待ちモードを実行するためにステップST26に移行し、検出湯温Tsが保温温度Toへの安定化下限温度、例えば、保温温度Toよりも若干未満の温度かどうかを判定し、この安定化下限温度に到達しているとステップST27以下の表示待ちモードに移り、ステップST27では安定化下限温度になる都度保温ヒータをオンしてステップST28で安定化の回数Nカウンタを+1する。その後、ステップST29にて検出湯温Tsが安定化上限温度、例えば、保温温度Toより少し上の温度かどうかを判定し、この安定化上限温度に達した都度ステップST30にて保温ヒータをオフした後、ステップST31でカウンタがNに達したかどうか判定し、カウンタがNとなってカウントアップするまでの間、ステップST26〜ST31の表示待ちモードを繰り返す。ステップST31でカウンタがNとなってカウントアップすると表示待ちモードを終了し、検出湯温Tsが実湯温Trを伴い現保温温度Toに安定する。この安定を待ってステップST32にてこれに対応する湯温表示を行うと共にカウンタをリセットし、ステップST33〜ST36の通常保温に移行し、ステップST37で保温温度Toの変更があるまでそのまま通常保温を継続する。
ステップST37で保温温度Toの変更が確認されると、ステップST38にて変更後の保温温度Toが変更前の保温温度Toよりも高いかどうか判定する。変更後の保温温度Toが変更前の保温温度Toよりも高いと高温側、つまり昇温側への変更になり、保温ヒータをオンして変更後の保温温度Toへの昇温を図って後、保温すればよく、内容液の対流が得られて検出湯温Tsと実湯温Trとの差を考えなくてよいので、そのままステップST33以下の通常保温に移行する。変更後の保温温度Toが変更前の保温温度Toよりも低い時は低温側、つまり降温側への変更であり、降温制御となるので、ステップST39にて変更後の保温温度Toと変更前の保温温度Toとの温度差に対応する回数Nを、例えば、−6℃未満でN=3、−11℃未満でN=6、−12℃以上でN=12などと設定し、ステップST25以下の降温制御および表示待ちモードを行うようにする。
ここで、保温温度Toの切換えが必ずしも表示待ちモード後の保温状態、つまり保温温度Toに安定した状態で行われないことを考えれば、保温温度Toが切換ったときの検出湯温Tsと切換った後の保温温度Toとの温度差に基づいた所定の時間αまたは加熱、加熱停止回数N分だけ表示待ちモードするようにするのが実際的であり、保温温度Toが切換ったときの実際の検出湯温Tsの違いに細かく対応できる。
さらに、前記フラグは表示待ち規制モードを実行するときに立て、表示待ちモードを実行するときにリセットするようにしたが、表示待ちモードを実行するときに立て、表示待ち規制モードを実行するときにリセットするようにもできる。また、前記制御では表示待ち規制モードでは表示待ちモードを実行しないようにしたが、これに代えてそれを短時間で行って表示待ちモード規制を行うにはN値ないしはそれに対応する時間を低減ないしは半減させて対応することもできる。また、表示待ちモード規制を初期保温の段階の降温時に限って行っているが、保温温度への降温幅の大きさが所定以上の時を条件として1回のみ行う制御に代えることもできる。
なお、湯沸し中など非保温モード時には、現保温温度T1、T2などからそれらより低温側の保温温度T2、T3などが選択されても、表示待ち規制モードは実行しないようにすることで、非保温モード時に、現保温温度T1、T2などから低温側の保温温度T2、T3などが選択されても、それ以降に実行される保温モードにおける初期の保温温度としてはたらくものであることに対応して、保温温度T1、T2などが低温側に変更操作されたことによって湯沸し中など現在行っている非保温モードを保温モードに変更してしまう不都合を回避することができる。また、現保温温度T2、T3などからそれらより高温側の保温温度T1、T2などが選択されたときも、表示待ち規制モードを実行しないことにより、保温温度T2、T3などの高温側への変更時は、内容液を加熱して変更した保温温度T2、T3などに向け昇温させてからその保温温度T2、T3などに保つ制御となって、内容液に対流が生じて上部と底部との温度差が低減され、あるいは解消される制御環境であるのに、表示待ちモードが無駄に行われ、また過剰加熱となるようなことを回避することができる。
前記のような制御での降温を上回る急な降温は、単位時間内の内容液の温度降下割合、つまり降温特性により、内容液量や環境温度の影響なども含め簡単かつ精度よく検出することができる。
高温域での保温温度の変更、例えば98℃から90℃への変更であるようなときは、内容液の上部と下部との温度差があまり生じていないことに対応して、表示待ちモードを省略するのが無駄や過剰加熱などを防止する上で適当であるし、保温温度への降温幅が所定以下(例えば80℃から78℃などへの降温など)の場合も同様である。さらに、急な降温が過冷却を検知した場合には、結露防止や保温目的達成などの適正化のために保温ヒータの出力による低い出力程度で所定の温度、好適には保温温度まで回復させるのが好適である。既述した場合を含め保温モードとは制御上、沸騰後の工程をいうものである。また、本実施の形態において保温温度の選択の変更は、その時々の手動による場合、タイマーなどを用いた所定タイミングでの自動による場合、のいずれも有効である。