JP2005046001A - 脂質修飾酵素の製造方法およびバイオセンサ - Google Patents

脂質修飾酵素の製造方法およびバイオセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】高い保存信頼性を持ってグルコースなどの基質濃度を正確に測定できるバイオセンサを提供する。
【解決手段】バイオセンサの反応層を、電子伝達体を含む層と、無機塩の存在下で脂質を含む媒体に酵素を添加して前記脂質と酵素の複合体を生成させる工程、生成した前記複合体を析出させる工程、および前記析出物を分離して乾燥して脂質修飾酵素を得る工程により得られる脂質修飾酵素を含む層とで構成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液および尿などの生体試料、食品工業における原料および製品、ならびに果汁などの試料に含まれる基質(特定成分)を高精度で、迅速かつ容易に定量するためのバイオセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料および食品中の特定成分基質を試料液の希釈や撹拌などを行うことなく、簡易に定量しうるバイオセンサが提案されている。その一例として、特開平3−202764号公報には、絶縁性基板上にスクリーン印刷などの方法によって電極系を形成し、この電極系上に酸化還元酵素および電子伝達体(電子受容体)を含有する反応層を形成したバイオセンサが開示されている。
このバイオセンサは、以下のようにして試料中の基質濃度を定量する。
まず、試料液をバイオセンサの反応層上に滴下して、試料液に反応層を溶解させる。これにより、試料液中の基質と反応層の酸化還元酵素との間で酵素反応が進行する。この酵素反応に伴い、電子伝達体が還元される。一定時間後、センサの電極に電圧を印加して、この還元された電子伝達体を電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を定量することができる。
【0003】
また、脂質修飾酵素を用いたバイオセンサが特開平7−110313号公報に開示されている。酵素は、脂質修飾することによって、水に不溶、有機溶媒に可溶となり、水に可溶な電子伝達体とは分離した状態で反応層を形成することができる。このことにより、迅速かつ高い保存信頼性を持ったセンサを提供することができる。
脂質修飾酵素を用いない従来の構成のバイオセンサでは、酵素と電子伝達体とが同一反応層中に存在するため、試料液が供給されると速やかに反応が開始されるという利点がある。しかしながら、酵素は電子伝達体などの化合物と混在状態で長期間保存されると、その活性が低下し、センサの応答特性が劣化するという問題がある。さらに、基質を含まない試料液に対して酸化電流値(ブランク値)が得られるという問題もある。
【0004】
そこで、酵素と電子伝達体を別々の層へ分離させる構成が考えられる。しかし、酵素および電子伝達体はいずれも水溶性であるため、完全な分離状態にすることが困難である。
一方、脂質修飾酵素の製造方法としては、脂質分散液と酵素溶液を混合する方法が知られている(Thin Solid Films, 180, p65(1989))。しかし、高収率で高活性な脂質修飾酵素を得ることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来構成のバイオセンサの利点を活かしつつ、上記のような問題点を解決するもので、高活性の脂質修飾酵素を高収率で得る製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、その脂質修飾酵素を用いて、保存信頼性が高く、しかも基質濃度が0の場合の応答値(ブランク値)が低く、基質を高精度で定量することができるバイオセンサを提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の脂質修飾酵素の製造方法は、無機塩の存在下で、脂質を含む媒体に酵素を添加して前記脂質と酵素の複合体を生成させる工程、生成した前記複合体を析出させる工程、および前記析出物を分離して乾燥して脂質修飾酵素を得る工程を含む。
ここで用いる無機塩は、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、リン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、硫酸塩および硝酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
また、前記酵素は、グルコースデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼまたはコレステロールエステラーゼであるのが有効である。
前記脂質は、式(1):
【0007】
【化1】
Figure 2005046001
【0008】
(式中、mは14〜18の整数、nは14〜18の整数、XはCl、Br、I、HPO 、HSO またはNO )で表されるカチオン性脂質(ジアルキルジメチルアンモニウム塩)であるのが好ましい。ここで、式(1)における対イオンXは塩化物イオン(Cl)または臭化物イオン(Br)であるのが好ましい。
また、本発明のバイオセンサは、電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、及び前記電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備し、その反応層が少なくとも、上記製造方法、すなわち無機塩の存在下で生成した酵素とカチオン性脂質を主体とする脂質修飾酵素を含む層と電子伝達体を含む層からなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の脂質修飾酵素の製造方法は、(a)無機塩の存在下で、脂質を含む媒体に酵素を添加して前記脂質と酵素の複合体を生成させる工程、(b)生成した前記複合体を析出させる工程、および(c)前記析出物を分離して乾燥して脂質修飾酵素を得る工程を有する。
まず、工程(a)において、前記式(1)で表されるカチオン性脂質(ジアルキルジメチルアンモニウム塩)を媒体に分散または溶解させ、脂質分散液または脂質溶液を調製する。このときに用いる媒体としては、例えば水、メタノール、エタノールおよびブタノールなどのアルコール、エチルエーテルなどのエーテル、アセトンなどの有機溶媒、トリス緩衝液、グッドバッファーなどの緩衝液などが挙げられる。なかでも水を用いるのが好ましいが、前記有機溶媒を用いると、生成した脂質修飾酵素が溶解しないため容易に媒体から分離することができる。
【0010】
つぎに、前記液(分散液または溶液)に酵素を添加する。このとき、固体粉末状の酵素を添加する方法、および酵素を含む液体を添加する方法のいずれを用いてもよい。ここで、脂質および酵素の混合割合としては、脂質:酵素が重量比で1:0.2〜1:5の範囲であればよい。
本発明において脂質によって修飾される酵素としては、例えばグルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールエステラーゼ、ムタロターゼ、インベルダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼおよびアルコールオキシダーゼなどが挙げられる。
【0011】
なかでも、本発明において用いる酵素は、グルコースデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼまたはコレステロールエステラーゼであるのが有効である。従来、これらを脂質で修飾する場合には収率が充分には高くなかったという問題があったところ、後述する無機塩を用いれば、比較的高い収率で脂質修飾酵素が得られる。
【0012】
そして、この酵素と脂質を含む液に無機塩を添加し、脂質のカチオン性を向上させるとともに、脂質と酵素を化学的に結合させて、前記脂質と酵素の複合体を生成させる。無機塩の添加量は、5〜500mM程度であればよく、好ましくは脂質と同量であるのがよい。
ここで、本発明の最大の特徴は、この無機塩を添加することにある。本発明者らは、理由はわからないが、前記無機塩の存在により前記脂質のカチオン性が向上して酵素との反応が進行し易くなり、酵素と脂質が結合し易くなるため、脂質修飾酵素としての沈殿が生じ易くなるという効果を有することを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0013】
このような無機塩としては、解離度が高く、対イオンが脂質と相互作用するものが好ましいという理由から、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、リン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、硫酸塩および硝酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。
具体的には、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、グルコン酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0014】
ついで、この酵素および脂質の複合体を含む液を低温に保ち、脂質と酵素の複合体を析出させる。そして、析出物を分離して水で洗浄した後、乾燥させて粉末状の脂質修飾酵素を得る。このときの乾燥は常温以下の温度雰囲気下で行い、好ましくは凍結乾燥法を用いるのが有効である。
このようにして得られる脂質で修飾された酵素は、有機溶媒に可溶で、水に不溶となる。そのため、バイオセンサに酵素の層を形成する際には、脂質修飾酵素を有機溶媒に溶解して基板の電極上またはその近傍に滴下して乾燥させる方法が簡便である。
【0015】
一方、水溶性の電子伝達体は、その水溶液を所定の場所に滴下し、乾燥して層を形成することができる。したがって、このような方法により、各層を形成すると、脂質修飾酵素を含む層および電子伝達体を含む層をいずれの順序で設けても、それぞれの層に含まれる酵素および電子伝達体が互いの影響を受けることなく、均一な層を形成することが可能である。
【0016】
本発明のバイオセンサの反応層は、前述のように電子伝達体を含む。電子伝達体としては、フェリシアン化物塩、p−ベンゾキノンおよびその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、ならびにフェロセンおよびその誘導体などが挙げられる。電子伝達体としては、これらの1種または2種以上を用いることができるが、特に、フェリシアン化物塩を用いることが好ましい。
【0017】
本発明のバイオセンサの反応層には、上記酵素や電子伝達体の他に、親水性高分子を含有させてもよい。反応層中に親水性高分子を添加することにより、基板または電極系表面からの反応層の剥離を防ぐことができる。親水性高分子の添加は、反応層表面の割れを防ぐ効果も有しているから、バイオセンサの信頼性を高めるのに効果的である。
【0018】
このような親水性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリリジンなどのポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、アクリル酸またはその誘導体、無水マレイン酸およびその塩および重合体、ならびにスターチおよびその誘導体などが挙げられる。特に、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
酸化電流の測定方法としては、測定極と対極のみの二電極方式と、参照電極を加えた三電極方式があり、三電極方式の方が、より正確な測定が可能である。
【0019】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
まず、図1は、本発明によるバイオセンサの反応層を取り除いた分解斜視図である。ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板1の上に、スクリーン印刷によって銀ペーストを印刷してリード2および3を形成する。さらに基板1上には、同様の印刷法により、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストからなる作用極4および対極5を含む電極系、ならびに電気絶縁性ペーストからなる電気絶縁層6を形成する。
【0020】
電気絶縁層6は作用極4および対極5の露出部分の面積を一定とし、かつリードを部分的に覆っている。
上記リードおよび電極の材料としては、銀およびカーボン以外にも、白金、金およびパラジウムなどを用いることができるが、使い捨てタイプのバイオセンサでは、銀ペーストでリードを構成し、カーボンペーストで電極を構成するのが適当である。
【0021】
図2は、反応層を具備する図1に示す本発明のバイオセンサの縦断面略図である。図1のようにして電極系を形成した電気絶縁性の基板1上に、電子伝達体を含む第一の層7aを形成し、その上に酵素類を含む第2の層7bを形成することにより反応層7を形成する。
このバイオセンサは、ポリエチレンカーボネートからなる絶縁性基板1、カバー9、ならびに基板1およびカバー9の間に挟まれるスペーサー8を組み合わせることによって組み立てる。これらを、図1中の破線で示すような位置関係で接着し、本発明のバイオセンサを構成する。
【0022】
スペーサー8には、試料液供給路を形成するスリット10が形成され、カバー9には空気孔11が形成されている。基板1、カバー9およびスペーサー8を図1に示したように接着すると、基板1とカバー9との間に試料液供給路となる空間部が形成される。この空間部は、スリット10の解放端部が試料液供給口となり、終端部は空気孔11につながる。
ここで、まずカバー9とスペーサー8を組み合わせることによってカバー部材を構成することもできるが、単一の部材にスリット10に相当する溝を設けて、単一の部材で前記カバー部材とすることもできる。
また、反応層は必ずしも電極系上に形成する必要はなく、試料液供給路内に露出する部分に形成すればよく、試料液は反応層を溶解して電極系上に達する構成であればよい。
【0023】
≪実施例1≫
図1の基板1の電極系上に、フェリシアン化カリウムの水溶液を滴下し、乾燥させて第1の層7aを形成した。この第1の層7a内に含まれるフェリシアン化カリウムの量は1平方センチメートルあたり1mgであった。
つぎに、第1の層7aの上に、以下のようにして、脂質で修飾した酵素の層を形成した。まず、脂質修飾酵素を以下の方法で作製した。式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10mlを混合し、超音波洗浄機を用いて脂質を脱イオン水に分散させた。
【0024】
この分散液に、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液を50mMになるように添加したのち、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)10mgを溶解させた。この溶解液を、氷浴中で2時間冷却した後、24時間冷蔵庫にて冷却し、脂質と酵素の複合体を析出、沈殿させた。この沈殿物を分取し、脱イオン水で洗浄した後に、凍結乾燥機を用いて乾燥させ、粉末状の脂質修飾酵素を得た。この際の脂質修飾酵素の収率は80%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は重量比で40%であった。
【0025】
つぎに、脂質修飾酵素の粉末をトルエンに溶解し、その溶液を前記第1の層7a上に滴下し乾燥させ、第2の層7bを形成した。このとき、先に形成したフェリシアン化カリウムの層と脂質修飾酵素の層は完全に分離した状態で形成される。この第2の層7bに含まれる脂質修飾酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたり0.2mgであった。
グルコースを含む試料液が反応層7に供給されると、試料液内のグルコースは、GDHによって酸化される。そして、これと同時に反応層中の電子伝達体が還元される。続いて、試料液を供給して1分後に対極5に対して作用極4に+0.5Vの電圧を印加して電子伝達体の還元体を酸化した。
【0026】
そして、5秒後の電流値を測定した。この電流値は、生成した電子伝達体の濃度、すなわち試料液中の基質濃度に比例するので、この電流値を測定することにより、試料液のグルコース濃度を求めることができた。
0mg/dl、180mg/dl、360mg/dlおよび540mg/dlのグルコース濃度の試料を用意し、それぞれに対するセンサの応答電流値を測定した結果、応答電流値とグルコース濃度との間には表1に示したような一定の相関性があり、良好な直線性を示した。また、ブランク値は0μAであった。
【0027】
≪実施例2≫
実施例1と同様に、フェリシアン化カリウムを含む第1の層7aを形成した。つぎに、実施例1と同様の方法で脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、GDH10mgを用いた。存在させる無機塩としてはグルコン酸ナトリウムを用いた。このとき、脂質修飾酵素の収率は75%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は45%であった。
【0028】
このようにして得られた脂質修飾酵素を含む第2の層7bを形成した。この第2の層7bに含まれる脂質修飾酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたり0.3mgであった。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、応答電流値はグルコース濃度に対し良好な直線性を示した。また、ブランク値は0μAであった。
【0029】
≪比較例1≫
実施例1と同様の方法で脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、GDH10mgを用いた。このとき、脂質修飾酵素の収率は5%であった。
また、実施例1と同様の方法でグルコースセンサを作製し、グルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、応答電流値はグルコース濃度に対して良好な直線性を示さなかった。また、ブランク値は0.1μAであった。
【0030】
【表1】
Figure 2005046001
【0031】
≪実施例3および4≫
実施例1と同様に、フェリシアン化カリウムを含む第1の層7aを形成した。
つぎに、実施例1と同様の方法で脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールオキシダーゼ(ChOx)10mgを用いた。存在させる無機塩として、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液を50mMになるように添加した。このとき、脂質修飾酵素の収率は82%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は50%であった(実施例3)。
【0032】
一方、同様の方法でコレステロールエステラーゼ(CE)を脂質で修飾して脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールエステラーゼ(CE)10mgを用いた。存在させる無機塩として、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液を50mMになるように添加した。このとき、脂質修飾酵素の収率は90%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は48%であった(実施例4)。
【0033】
このようにして得た2種類の脂質修飾酵素の粉末をトルエンに溶解し、得られた溶液を前記第1の層7a上に滴下して乾燥させ、第2の層7bを形成した。この第2の層7bに含まれる脂質修飾酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたりコレステロールオキシダーゼ0.5mg、コレステロールエステラーゼ0.2mgであった。
また、コレステロールセンサを作製し、コレステロールを含む試料液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、応答電流値はコレステロール濃度に対して良好な直線性を示した。また、ブランク値は0μAであった。
【0034】
≪実施例5および6≫
実施例3と同様に、フェリシアン化カリウムを含む第1の層7aを形成した。
つぎに、実施例1と同様の方法で脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールオキシダーゼ(ChOx)10mgを用いた。存在させる無機塩として、50mM塩化ナトリウムを用いた。このとき、脂質修飾酵素の収率は78%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は40%であった(実施例5)。
【0035】
一方、同様の方法でコレステロールエステラーゼ(CE)を脂質で修飾して脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールエステラーゼ(CE)10mgを用いた。存在させる無機塩として、50mM塩化ナトリウムを用いた。このとき、脂質修飾酵素の収率は75%であり、脂質修飾酵素中の酵素蛋白質の割合は40%であった(実施例6)。
【0036】
このようにして得た2種類の脂質修飾酵素を含む第2の層7bを形成した。この第2の層7bに含まれる脂質修飾酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたりコレステロールオキシダーゼ0.3mg、コレステロールエステラーゼ0.1mgであった。
また、実施例3と同様にしてコレステロールセンサを作製し、コレステロールを含む試料液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、応答電流値はコレステロール濃度に対して良好な直線性を示した。また、ブランク値は0μAであった。
【0037】
≪比較例3および4≫
無機塩の非存在下で脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)5mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールオキシダーゼ(ChOx)10mgを用いた。このとき、脂質修飾酵素は生成しなかった(比較例3)。
一方、同様の方法でコレステロールエステラーゼ(CE)の脂質修飾酵素を作製した。この場合、式(1)においてm=18、n=18で表される脂質(ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド)10mgと脱イオン水10ml、そして、コレステロールエステラーゼ10mgを用いた。このとき、脂質修飾酵素の収率は5%であった(比較例4)。
【0038】
【表2】
Figure 2005046001
【0039】
≪比較例5≫
実施例3および4に示した脂質修飾酵素の脂質修飾の効果を確認するために、脂質修飾をしていない酵素を用いたセンサの応答性とブランク値を評価した。図1の基板1の電極系上に、フェリシアン化カリウムとコレステロールオキシダーゼ(ChOx)とコレステロールエステラーゼ(CE)の混合水溶液を滴下し乾燥させて反応層7を形成した。この層7に含まれるフェリシアン化カリウムの量は反応層1平方センチメートルあたり1mgであり、ChOx量は0.1mg、CE量は0.5mgであった。第1の層にフェリシアン化カリウムとChOxの混合層を形成したため、第2の層は形成しなかった。
【0040】
つぎに、実施例3および4と同様の方法でセンサの応答電流値を測定した。その結果、応答電流値とコレステロール濃度との間には一定の相関性があり、良好な直線性を示した。この応答直線性は実施例3および4で示したものとほぼ同じであった。しかし、ブランク値は1.1μAであった。脂質修飾酵素を用いたセンサでは、ブランク値が0μAであった。脂質修飾酵素を用いたセンサと未修飾酵素を用いたセンサの応答特性を表3に示した。
【0041】
【表3】
Figure 2005046001
【0042】
なお、本発明の一例としてグルコースデヒドロゲナーゼを酵素として用いたグルコースセンサと、コレステロールオキシダーゼおよびコレステロールエステラーゼを用いたコレステロールセンサとについて説明したが、その他の酵素を用いたグルコースセンサ、乳酸センサ、コレステロールセンサ、果糖センサ、しょ糖センサ、アルコールセンサおよびアスコルビン酸センサなどのセンサ、ならびにそれぞれに用いられる酵素についても同様の結果が得られる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、血液、尿などの生体試料、食品工業における原料野生品などの試料中に含まれる基質(特定成分)を高精度で、迅速かつ容易に定量し得るバイオセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるバイオセンサの反応層を除いた分解斜視図である。
【図2】同バイオセンサの概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、3 リード
4 作用極
5 対極
6 絶縁層
7 反応層
7a 第1の層
7b 第2の層
8 スペーサー
9 カバー
10 スリット
11 空気孔

Claims (5)

  1. 無機塩の存在下で、脂質を含む媒体に酵素を添加して前記脂質と酵素の複合体を生成させる工程、生成した前記複合体を析出させる工程、および前記析出物を分離して乾燥して脂質修飾酵素を得る工程を有することを特徴とする脂質修飾酵素の製造方法。
  2. 前記無機塩が、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、リン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、硫酸塩および硝酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の脂質修飾酵素の製造方法。
  3. 前記酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼまたはコレステロールエステラーゼであることを特徴とする請求項1または2記載の脂質修飾酵素の製造方法。
  4. 前記脂質がカチオン性脂質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂質修飾酵素の製造方法。
  5. 電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極および対極を有する電極系、ならびに前記電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備し、前記反応層が、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる脂質修飾酵素を含む層と電子伝達体を含む層とからなることを特徴とするバイオセンサ。
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