JP2005045855A - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比べ低コストで製造することができる渦電流式減速装置を提供する。
【解決手段】回転軸に固定された制動ドラム12と、制動ドラム12の径方向の内側又は外側に位置し、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシング14と、環状ケーシング14の周方向に間隔を隔てて配置され環状ケーシング14の外周壁又は内周壁と一側壁とを形成する複数の磁性体部材17と、環状ケーシング14内に周方向に間隔を隔てて備えられ、周方向に回転可能な複数の永久磁石18とを備え、永久磁石18は回転軸の軸方向に磁極面を有しその磁極面が環状ケーシング14の一側壁に対向することを特徴とする渦電流式減速装置である。
【選択図】 図1
【解決手段】回転軸に固定された制動ドラム12と、制動ドラム12の径方向の内側又は外側に位置し、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシング14と、環状ケーシング14の周方向に間隔を隔てて配置され環状ケーシング14の外周壁又は内周壁と一側壁とを形成する複数の磁性体部材17と、環状ケーシング14内に周方向に間隔を隔てて備えられ、周方向に回転可能な複数の永久磁石18とを備え、永久磁石18は回転軸の軸方向に磁極面を有しその磁極面が環状ケーシング14の一側壁に対向することを特徴とする渦電流式減速装置である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に大型車両において補助ブレーキとして使用される渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7を用いて、従来の渦電流式減速装置の構成を説明する。
【0003】
図7に、従来の渦電流式減速装置を示す。図7(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図7(b)は、図7(a)のA−A線断面図である。
【0004】
図7(a)に示すように、渦電流式減速装置40は、回転軸45に固定された磁性体からなる制動ドラム41と、この制動ドラム41の径方向の内側に配置された環状ケーシング42とを備えている。
【0005】
環状ケーシング42の外周壁には、周方向に間隔を隔てて複数の磁性体部材43が備えられている。図7(b)に示すように、この磁性体部材43は、環状ケーシング42に鋳込まれて形成されるのが一般的である。環状ケーシング42の内部には、非磁性体からなる支持リング46が径方向に回転可能に備えられている。この支持リング46の外周面には、周方向に間隔を隔てて複数の永久磁石44が固定されている。この永久磁石44は、磁性体部材43に対向するように備えられる。永久磁石44は、支持リング46と一体的に、周方向に回転される。
【0006】
永久磁石44の径方向の両側の面は、支持リング46の径方向に湾曲(曲率半径R)して成形され、この湾曲した面に磁極面を有している。図7(b)においては、一対の永久磁石44が、一つの磁性体部材43に対向しているが、永久磁石44と磁性体部材43とが一対一で対向している構成の渦電流式減速装置40もある。
【0007】
渦電流式減速装置40の制動状態及び非制動状態の切替は、永久磁石44を環状ケーシング42の周方向に回動し、所定の位置に移動させることで行われる。このような渦電流式減速装置40は、特許文献1等にも記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特公平6−83571号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、永久磁石44を着磁する際、湾曲した面に着磁するのは、平面に着磁するのに比べ、コストと時間が掛かる。また、永久磁石44の径方向の内側の面は、支持リング46と接するため、この面の加工精度を高くする必要がある。
【0010】
また、他のコストアップの要因としては、永久磁石44の取付金具及び取付部等は、取付金具の弛みを防止するため、精密に仕上げる必要があること等が挙げられる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来に比べ低コストで製造することができる渦電流式減速装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、回転軸に固定された制動ドラムと、該制動ドラムの径方向の内側又は外側に位置し、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシングと、該環状ケーシングの周方向に間隔を隔てて配置され上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁と一側壁とを形成する複数の磁性体部材と、上記環状ケーシング内に周方向に間隔を隔てて備えられ、周方向に回転可能な複数の永久磁石とを備え、上記永久磁石は上記回転軸の軸方向に磁極面を有しその磁極面が上記環状ケーシングの一側壁に対向することを特徴とする渦電流式減速装置である。
【0013】
また、上記環状ケーシングの一側壁を覆うように取り付けられた非磁性体からなるリング状の支持部材を更に備え、上記磁性体部材は、上記支持部材に夫々固定されるとよい。
【0014】
ここで、上記磁性体部材は、上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁を形成する周壁磁性体部材と、上記環状ケーシングの一側壁を形成する側壁磁性体部材とに分割されて形成されてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜3に、本実施の形態の渦電流式減速装置を示す。図1は、本実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図2(a)は、図1の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。図2(b)は、図1の渦電流式減速装置の非制動状態を示す展開平面断面図である。図3は、図1のIII−III線断面図である。
【0017】
図1に示すように、渦電流式減速装置10は、図示しない回転軸に固定された制動ロータ11を備えている。この制動ロータ11は、回転軸の径方向に延びる非磁性体からなるアーム13と、磁性体且つ導体からなる制動ドラム12とを備えている。この制動ドラム12の径方向の内側には、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシング14が備えられている。
【0018】
環状ケーシング14は、アルミ等の非磁性体からなる環状ケーシング本体15と、環状ケーシング14の外周壁及び一側壁(図中の右側)を形成する環状ケーシング蓋16とを備えている。図2(a)に示すように、この環状ケーシング蓋16は、環状ケーシング14の周方向に間隔を隔てて配置された、強磁性体又は軟磁性体からなる複数の磁性体部材17と、複数の非磁性体部材22とを備えている。この磁性体部材17は、非磁性体部材22を鋳造するときに、一体的に鋳込まれ、環状ケーシング14の外周壁及び一側壁の一部を形成する。なお、環状ケーシング蓋16は、外周壁側と側壁側とに分割して成形され、それらを接合しても良い。
【0019】
図1に示すように、環状ケーシング14の内部には、支持リング20が周方向に回転可能に備えられている。この支持リング20の一側(図中の右側)には、複数の永久磁石18が、周方向に間隔を隔てて取り付けられている。この永久磁石18は、環状ケーシング14の軸方向の両側面(図中の左右方向)に磁極面が形成されている。この永久磁石18の磁極面は、環状ケーシング14の一側壁(図中の右側)に対向するように備えられる。永久磁石18は、その磁極面が一つ置きに同極となるように配置される(図2参照)。
【0020】
永久磁石18の環状ケーシング14の径方向の内側及び外側(図中の上下方向)の面には、アルミ等からなる非磁性体リング19がそれぞれ接触して備えられている。支持リング20の径方向の内側、一側(図中の左側)、及び非磁性体リング19の一側(図中の右側)には、ブッシュ21がそれぞれ備えられている。
【0021】
環状ケーシング14の一側(図中の左側)には、駆動手段(アクチュエータ)23が備えられている。このアクチュエータ23は、シリンダ24とピストン25とロッド26とを備えている。このロッド26は、環状ケーシング14の内方へと延びて、支持リング20に接続されている。支持リング20は、アクチュエータ23により、永久磁石18と一体的に、周方向に回転される。
【0022】
次に、渦電流式減速装置10の動作について説明する。
【0023】
渦電流式減速装置10の制動状態および非制動状態の切替は、永久磁石18を、アクチュエータ23により環状ケーシング14の周方向に回転させて、所定の位置に移動させることにより行われる。
【0024】
図2(a)に示すように、制動状態においては、永久磁石18を、磁性体部材17に対向する位置に移動させる。このとき、永久磁石18の磁束は、磁性体部材17へと流れる。ここで、図1に示すように、磁性体部材17へと流れた磁束は、側壁側の磁性体部材17を径方向の外方側へと流れ、外周壁側の磁性体部材17を介して、制動ドラム12へと流れる(図3参照)。制動ドラム12へと流れた磁束は、磁性体部材17から、永久磁石18、支持リング20へと流れ、磁束回路W1が形成される。この結果、回転する制動ドラム12に渦電流が発生し、制動ロータ11に制動力が作用する。
【0025】
図2(b)に示すように、非制動状態においては、永久磁石18を、磁性体部材17に対向する位置(制動状態における位置)から永久磁石18のピッチpの半分だけ移動させる。即ち、永久磁石18は、非磁性体部材22に略対向する。このとき、永久磁石18から、磁性体部材17、永久磁石18、支持リング20へと磁束が流れ、短絡な磁束回路W2が形成される。この非制動状態において、永久磁石18からの磁束が、非磁性体部材22を貫通して漏れたとしても、この磁束漏れは、アーム13(図1参照)へと及ぶため、制動ドラム12に磁束は作用せず、引きずりトルクは発生しない。
【0026】
この実施の形態によれば、渦電流式減速装置10は、環状ケーシング14の軸方向に永久磁石18の磁極面を形成する構造とした。このような構造としたので、平面に磁極面を有する永久磁石18を使用することができる。そのため、湾曲した面に着磁する必要はなく、コストを低減することができる。
【0027】
次に、図4〜6を用いて、他の実施の形態を説明する。
【0028】
図4は、他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図5は、図4の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。図6は、更に他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図1と同一部材には、同一符号を付す。
【0029】
これらの実施の形態は、磁性体部材17の取付方法を改良したものである。
【0030】
図4に示すように、環状ケーシング14の一側(図中の右側)を覆うようにアルミ等の非磁性体からなるリング状の支持部材27が備えられている。この実施の形態において、磁性体部材17は、環状ケーシング14の外周壁を形成する周壁磁性体部材17aと、環状ケーシング14の一側壁を形成する側壁磁性体部材17bとに分割されて形成されている。周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17bは、支持部材27の側面にボルトで固定されている。
【0031】
ここで、図5に示すように、側壁磁性体部材17bの支持部材27の周方向の間には、非磁性体部材22が配置されていない(隙間が形成されている)。同様に、図示はしないが、周壁磁性体部材17aの支持部材27の周方向の間にも、非磁性体部材22は配置されない(隙間が形成されている)。即ち、渦電流式減速装置20は、周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17bを固定するための支持部材27を備えることで、磁性体部材17(周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17b)を環状ケーシング14に鋳込む必要がない。従って、製造コストを低減することができる。
【0032】
図4に示すように、周壁磁性体部材17aの環状ケーシング14の径方向の外方には、環状ケーシング14の全周を覆うように非磁性体又は軟磁性体からなる薄板28aが備えられている。この薄板28aは、周壁磁性体部材17aの支持部材27の周方向の間に形成されている隙間を塞いで、環状ケーシング14を密閉する。環状ケーシング14を密閉することで、永久磁石18が保護される。薄板28aは、比較的薄い板厚のもので良い。また、図6に示すように、薄板28a(28b)は、周壁磁性体部材17aの環状ケーシング14の径方向の内方に備えられても良い。
【0033】
なお、環状ケーシング14は、制動ドラム12の外方に配置しても良い。その場合、磁性体部材17(周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17b)を、環状ケーシング14の内周壁と一側壁とを形成するように構成すれば良い。
【0034】
また、駆動手段23は、永久磁石18を回動できればよく、上述の実施の形態には制限されない。
【0035】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、従来に比べ低コストで製造することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図2】(a)は、図1の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。
(b)は、図1の渦電流式減速装置の非制動状態を示す展開平面断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図5】図4の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。
【図6】更に他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図7】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
(b)は、A−A線断面図である。
【符号の説明】
12 制動ドラム
14 環状ケーシング
17 磁性体部材
18 永久磁石
W1、W2 磁束回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に大型車両において補助ブレーキとして使用される渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7を用いて、従来の渦電流式減速装置の構成を説明する。
【0003】
図7に、従来の渦電流式減速装置を示す。図7(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図7(b)は、図7(a)のA−A線断面図である。
【0004】
図7(a)に示すように、渦電流式減速装置40は、回転軸45に固定された磁性体からなる制動ドラム41と、この制動ドラム41の径方向の内側に配置された環状ケーシング42とを備えている。
【0005】
環状ケーシング42の外周壁には、周方向に間隔を隔てて複数の磁性体部材43が備えられている。図7(b)に示すように、この磁性体部材43は、環状ケーシング42に鋳込まれて形成されるのが一般的である。環状ケーシング42の内部には、非磁性体からなる支持リング46が径方向に回転可能に備えられている。この支持リング46の外周面には、周方向に間隔を隔てて複数の永久磁石44が固定されている。この永久磁石44は、磁性体部材43に対向するように備えられる。永久磁石44は、支持リング46と一体的に、周方向に回転される。
【0006】
永久磁石44の径方向の両側の面は、支持リング46の径方向に湾曲(曲率半径R)して成形され、この湾曲した面に磁極面を有している。図7(b)においては、一対の永久磁石44が、一つの磁性体部材43に対向しているが、永久磁石44と磁性体部材43とが一対一で対向している構成の渦電流式減速装置40もある。
【0007】
渦電流式減速装置40の制動状態及び非制動状態の切替は、永久磁石44を環状ケーシング42の周方向に回動し、所定の位置に移動させることで行われる。このような渦電流式減速装置40は、特許文献1等にも記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特公平6−83571号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、永久磁石44を着磁する際、湾曲した面に着磁するのは、平面に着磁するのに比べ、コストと時間が掛かる。また、永久磁石44の径方向の内側の面は、支持リング46と接するため、この面の加工精度を高くする必要がある。
【0010】
また、他のコストアップの要因としては、永久磁石44の取付金具及び取付部等は、取付金具の弛みを防止するため、精密に仕上げる必要があること等が挙げられる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来に比べ低コストで製造することができる渦電流式減速装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、回転軸に固定された制動ドラムと、該制動ドラムの径方向の内側又は外側に位置し、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシングと、該環状ケーシングの周方向に間隔を隔てて配置され上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁と一側壁とを形成する複数の磁性体部材と、上記環状ケーシング内に周方向に間隔を隔てて備えられ、周方向に回転可能な複数の永久磁石とを備え、上記永久磁石は上記回転軸の軸方向に磁極面を有しその磁極面が上記環状ケーシングの一側壁に対向することを特徴とする渦電流式減速装置である。
【0013】
また、上記環状ケーシングの一側壁を覆うように取り付けられた非磁性体からなるリング状の支持部材を更に備え、上記磁性体部材は、上記支持部材に夫々固定されるとよい。
【0014】
ここで、上記磁性体部材は、上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁を形成する周壁磁性体部材と、上記環状ケーシングの一側壁を形成する側壁磁性体部材とに分割されて形成されてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜3に、本実施の形態の渦電流式減速装置を示す。図1は、本実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図2(a)は、図1の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。図2(b)は、図1の渦電流式減速装置の非制動状態を示す展開平面断面図である。図3は、図1のIII−III線断面図である。
【0017】
図1に示すように、渦電流式減速装置10は、図示しない回転軸に固定された制動ロータ11を備えている。この制動ロータ11は、回転軸の径方向に延びる非磁性体からなるアーム13と、磁性体且つ導体からなる制動ドラム12とを備えている。この制動ドラム12の径方向の内側には、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシング14が備えられている。
【0018】
環状ケーシング14は、アルミ等の非磁性体からなる環状ケーシング本体15と、環状ケーシング14の外周壁及び一側壁(図中の右側)を形成する環状ケーシング蓋16とを備えている。図2(a)に示すように、この環状ケーシング蓋16は、環状ケーシング14の周方向に間隔を隔てて配置された、強磁性体又は軟磁性体からなる複数の磁性体部材17と、複数の非磁性体部材22とを備えている。この磁性体部材17は、非磁性体部材22を鋳造するときに、一体的に鋳込まれ、環状ケーシング14の外周壁及び一側壁の一部を形成する。なお、環状ケーシング蓋16は、外周壁側と側壁側とに分割して成形され、それらを接合しても良い。
【0019】
図1に示すように、環状ケーシング14の内部には、支持リング20が周方向に回転可能に備えられている。この支持リング20の一側(図中の右側)には、複数の永久磁石18が、周方向に間隔を隔てて取り付けられている。この永久磁石18は、環状ケーシング14の軸方向の両側面(図中の左右方向)に磁極面が形成されている。この永久磁石18の磁極面は、環状ケーシング14の一側壁(図中の右側)に対向するように備えられる。永久磁石18は、その磁極面が一つ置きに同極となるように配置される(図2参照)。
【0020】
永久磁石18の環状ケーシング14の径方向の内側及び外側(図中の上下方向)の面には、アルミ等からなる非磁性体リング19がそれぞれ接触して備えられている。支持リング20の径方向の内側、一側(図中の左側)、及び非磁性体リング19の一側(図中の右側)には、ブッシュ21がそれぞれ備えられている。
【0021】
環状ケーシング14の一側(図中の左側)には、駆動手段(アクチュエータ)23が備えられている。このアクチュエータ23は、シリンダ24とピストン25とロッド26とを備えている。このロッド26は、環状ケーシング14の内方へと延びて、支持リング20に接続されている。支持リング20は、アクチュエータ23により、永久磁石18と一体的に、周方向に回転される。
【0022】
次に、渦電流式減速装置10の動作について説明する。
【0023】
渦電流式減速装置10の制動状態および非制動状態の切替は、永久磁石18を、アクチュエータ23により環状ケーシング14の周方向に回転させて、所定の位置に移動させることにより行われる。
【0024】
図2(a)に示すように、制動状態においては、永久磁石18を、磁性体部材17に対向する位置に移動させる。このとき、永久磁石18の磁束は、磁性体部材17へと流れる。ここで、図1に示すように、磁性体部材17へと流れた磁束は、側壁側の磁性体部材17を径方向の外方側へと流れ、外周壁側の磁性体部材17を介して、制動ドラム12へと流れる(図3参照)。制動ドラム12へと流れた磁束は、磁性体部材17から、永久磁石18、支持リング20へと流れ、磁束回路W1が形成される。この結果、回転する制動ドラム12に渦電流が発生し、制動ロータ11に制動力が作用する。
【0025】
図2(b)に示すように、非制動状態においては、永久磁石18を、磁性体部材17に対向する位置(制動状態における位置)から永久磁石18のピッチpの半分だけ移動させる。即ち、永久磁石18は、非磁性体部材22に略対向する。このとき、永久磁石18から、磁性体部材17、永久磁石18、支持リング20へと磁束が流れ、短絡な磁束回路W2が形成される。この非制動状態において、永久磁石18からの磁束が、非磁性体部材22を貫通して漏れたとしても、この磁束漏れは、アーム13(図1参照)へと及ぶため、制動ドラム12に磁束は作用せず、引きずりトルクは発生しない。
【0026】
この実施の形態によれば、渦電流式減速装置10は、環状ケーシング14の軸方向に永久磁石18の磁極面を形成する構造とした。このような構造としたので、平面に磁極面を有する永久磁石18を使用することができる。そのため、湾曲した面に着磁する必要はなく、コストを低減することができる。
【0027】
次に、図4〜6を用いて、他の実施の形態を説明する。
【0028】
図4は、他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図5は、図4の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。図6は、更に他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。図1と同一部材には、同一符号を付す。
【0029】
これらの実施の形態は、磁性体部材17の取付方法を改良したものである。
【0030】
図4に示すように、環状ケーシング14の一側(図中の右側)を覆うようにアルミ等の非磁性体からなるリング状の支持部材27が備えられている。この実施の形態において、磁性体部材17は、環状ケーシング14の外周壁を形成する周壁磁性体部材17aと、環状ケーシング14の一側壁を形成する側壁磁性体部材17bとに分割されて形成されている。周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17bは、支持部材27の側面にボルトで固定されている。
【0031】
ここで、図5に示すように、側壁磁性体部材17bの支持部材27の周方向の間には、非磁性体部材22が配置されていない(隙間が形成されている)。同様に、図示はしないが、周壁磁性体部材17aの支持部材27の周方向の間にも、非磁性体部材22は配置されない(隙間が形成されている)。即ち、渦電流式減速装置20は、周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17bを固定するための支持部材27を備えることで、磁性体部材17(周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17b)を環状ケーシング14に鋳込む必要がない。従って、製造コストを低減することができる。
【0032】
図4に示すように、周壁磁性体部材17aの環状ケーシング14の径方向の外方には、環状ケーシング14の全周を覆うように非磁性体又は軟磁性体からなる薄板28aが備えられている。この薄板28aは、周壁磁性体部材17aの支持部材27の周方向の間に形成されている隙間を塞いで、環状ケーシング14を密閉する。環状ケーシング14を密閉することで、永久磁石18が保護される。薄板28aは、比較的薄い板厚のもので良い。また、図6に示すように、薄板28a(28b)は、周壁磁性体部材17aの環状ケーシング14の径方向の内方に備えられても良い。
【0033】
なお、環状ケーシング14は、制動ドラム12の外方に配置しても良い。その場合、磁性体部材17(周壁磁性体部材17a、及び側壁磁性体部材17b)を、環状ケーシング14の内周壁と一側壁とを形成するように構成すれば良い。
【0034】
また、駆動手段23は、永久磁石18を回動できればよく、上述の実施の形態には制限されない。
【0035】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、従来に比べ低コストで製造することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図2】(a)は、図1の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。
(b)は、図1の渦電流式減速装置の非制動状態を示す展開平面断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図5】図4の渦電流式減速装置の制動状態を示す展開平面断面図である。
【図6】更に他の実施の形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図7】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
(b)は、A−A線断面図である。
【符号の説明】
12 制動ドラム
14 環状ケーシング
17 磁性体部材
18 永久磁石
W1、W2 磁束回路
Claims (3)
- 回転軸に固定された制動ドラムと、該制動ドラムの径方向の内側又は外側に位置し、断面略長方形状の内空部を有する環状ケーシングと、該環状ケーシングの周方向に間隔を隔てて配置され上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁と一側壁とを形成する複数の磁性体部材と、上記環状ケーシング内に周方向に間隔を隔てて備えられ、周方向に回転可能な複数の永久磁石とを備え、上記永久磁石は上記回転軸の軸方向に磁極面を有しその磁極面が上記環状ケーシングの一側壁に対向することを特徴とする渦電流式減速装置。
- 上記環状ケーシングの一側壁を覆うように取り付けられた非磁性体からなるリング状の支持部材を更に備え、上記磁性体部材は、上記支持部材に夫々固定される請求項1記載の渦電流式減速装置。
- 上記磁性体部材は、上記環状ケーシングの外周壁又は内周壁を形成する周壁磁性体部材と、上記環状ケーシングの一側壁を形成する側壁磁性体部材とに分割されて形成される請求項1又は2記載の渦電流式減速装置。
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JP2003199763A JP2005045855A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | 渦電流式減速装置 |
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ID=34260422
Family Applications (1)
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JP2003199763A Pending JP2005045855A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | 渦電流式減速装置 |
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-
2003
- 2003-07-22 JP JP2003199763A patent/JP2005045855A/ja active Pending
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