JP2005044526A - リチウム二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電容量が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極を加熱蒸着法により製造する方法を得る。
【解決手段】リチウムと合金化する活物質からなる活物質薄膜を、リチウムと合金化しない金属からなる集電体上に電子ビーム蒸着法等の加熱蒸着を用いて形成するリチウム二次電池用電極の製造方法において、蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度を60〜195℃の範囲内とすることを特徴としている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池用電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、研究開発の盛んに行われているリチウム二次電池は、用いられる電極により充放電電圧、充放電サイクル寿命特性、保存特性などの電池特性が大きく左右される。このことから、電極に用いる活物質を改善することにより、電池特性の向上が図られている。
【0003】
負極活物質としてリチウム金属を用いると、重量あたり及び体積あたり共に高いエネルギー密度の電池を構成することができるが、充電時にリチウムがデンドライド状に析出し、内部短絡を引き起こすという問題があった。
【0004】
これに対し、充電の際に電気化学的にリチウムと合金化するアルミニウム、シリコン、錫などを電極として用いることが考えられるが、この種の合金負極は、活物質である合金自体が充放電により微粉化し、集電特性が悪くなるため、十分なサイクル特性が得られていない。
【0005】
本出願人は、CVD法、スパッタリング法、溶射法、真空蒸着法などの薄膜形成法により、集電体上にリチウムと合金化する活物質からなる活物質薄膜を形成したリチウム二次電池用電極を提案している(特許文献1など)。また、本出願人は、気相から原料を供給して薄膜を形成する方法を用いて電極を形成する際の成膜時の温度や成膜後のアニール温度の条件について提案している(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−83594号公報
【特許文献2】
特開2001−266851号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
集電体上に形成した薄膜を活物質として用いるためには、ある程度の膜厚が必要である。スパッタリング法やCVD法などの薄膜形成方法は長時間を要するため量産性に乏しい。低コストでかつ量産性に優れた薄膜形成方法としては加熱蒸着法が知られている。しかしながら、加熱蒸着法において、特に蒸気圧の低いシリコンやゲルマニウムなどを蒸着する際には、蒸着源からの輻射熱の影響が非常に大きく、CVD法やスパッタリング法と同様に制御することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、充放電容量が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極を加熱蒸着法により製造することができる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リチウムと合金化する活物質からなる活物質薄膜を、リチウムと合金化しない金属からなる集電体上に加熱蒸着法を用いて形成するリチウム二次電池用電極の製造方法であり、蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度を60〜195℃の範囲内とすることを特徴としている。
【0010】
本発明に従い、蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度を60〜195℃、好ましくは70〜180℃の範囲内とすることにより、充放電容量が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極とすることができる。
【0011】
本発明において、活物質薄膜は、リチウムと合金化する活物質からなる。リチウムと合金化する材料としては、シリコン、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどが挙げられる。容量が大きく、また薄膜として形成しやすいという観点からは、シリコンまたはゲルマニウムを主成分とする活物質が好ましく用いられる。
【0012】
本発明において、集電体は、リチウムと合金化しない金属からなる。リチウムと合金化しない材料としては、例えば銅やニッケルが挙げられる。銅はシリコン中に拡散しやすく、安価であり、導電性も高く集電体として好ましく用いられる。特に、少なくとも表面において銅が主成分である電解箔が集電体として好ましく用いられる。
【0013】
集電体表面の最高到達温度を、上記の温度範囲内とすることにより、集電体成分が活物質薄膜に拡散し、集電体と薄膜との密着性が良好になる。また、集電体成分はリチウムと合金化しない成分であるので、このような集電体成分が活物質薄膜内に拡散することにより、リチウム吸蔵放出の際の活物質の膨張及び収縮が相対的に小さくなる。このため、活物質薄膜の膨張・収縮に伴う応力が集電体との界面近傍で小さくなり、体積の膨張・収縮による活物質の集電体からの剥離を防止することができ、集電体と活物質薄膜との密着性をさらに良好なものにすることができる。
【0014】
一般に加熱蒸着法を用いて形成した薄膜の密着性は低いため、上述のように集電体成分を薄膜に拡散させて密着性を高めることが重要となる。集電体表面の最高到達温度が、上記の範囲より低くなると、集電体成分の薄膜への拡散が不十分となり、良好な密着性が得られない場合がある。また、集電体表面の最高到達温度が上記の範囲より高くなると、集電体成分が活物質薄膜に過剰に拡散し、活物質と集電体成分との金属間化合物が形成されやすくなる。このような金属間化合物が形成されると、化合物となった活物質原子について、活物質として作用するサイトが減少して、活物質薄膜の充放電容量が低下する。また、集電体温度が高くなると、集電体の構成金属の再結晶化に伴い、集電体が脆化する。集電体が脆化すると、活物質の膨張・収縮による応力を集電体が変形することで緩和しきれず、活物質薄膜との界面に応力がかかり、サイクル中に活物質が剥離して充放電サイクル特性が低下する。
【0015】
本発明において集電体表面の最高到達温度を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、蒸着源からの輻射熱、集電体の冷却、及び成膜時間のうちの少なくとも1つを制御する方法が挙げられる。
【0016】
一般に、蒸着速度を高めるためには、蒸着源のるつぼ内の温度を高くすることが必要となる。るつぼ内からの輻射熱は、E=ε・σT〔W/m〕となり、温度T〔K〕の4乗に比例する。ここで、εは輻射率、σはステファンボルツマン定数である。蒸着速度V(kg・m−2−1)は、V≒4.37×10−3・Ps(Ma/T)1/2で表される。この式で、Tは蒸発表面の絶対温度(K)、Psは温度Tにおける飽和蒸気圧、Maは蒸発分子の分子量(原子量)である。ここでの飽和蒸気圧は、logPs=A/T+B−ClogT+DT+2.125で表される。それぞれA、B、及びCは、元素ごとに決まった定数であり(シリコンの場合A=20900,B=10.84,C=−0.565)、Tは温度(K)である。
【0017】
るつぼ内とは、中敷としてハースライナーを使用する場合、蒸着材とハースライナーを合わせたものを意味し、使わない場合は蒸着材のみを意味する。成膜レートを支配するのは、蒸着材の温度であるが、輻射熱を支配するのは、るつぼ内の蒸着材または蒸着材とハースライナーを合わせた部分となる。
【0018】
上記の2つの式から明らかなように、蒸着速度も輻射熱も温度の関数である。るつぼ内を高温にして成膜速度を高めた場合には、輻射熱が大きくなり、集電体表面の温度が高くなる。
【0019】
蒸着源からの輻射熱を制御する方法としては、蒸着源と集電体との間にシャッターを配置し、このシャッターを用いて輻射熱を制御する方法、蒸着源において加熱される部分の大きさを変えることにより輻射熱を制御する方法、蒸着源と集電体との間の距離を変える方法などが挙げられる。
【0020】
蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度は、上述のように、蒸着源からの輻射熱、集電体の冷却、及び成膜時間などにより制御することができる。従って、成膜条件及び装置条件等により制御することができる。
【0021】
集電体表面の最高到達温度が上記範囲を下回る場合、蒸着源からの輻射熱を大きくする、集電体と蒸着源の間の距離を短くする、集電体の冷却を弱める、集電体を加熱するための基板ヒーターを使用するなどの方法により、集電体表面の温度を上げることができる。輻射熱を大きくする具体的な方法としては、輻射熱が温度の関数であること、またそこから求められる値が単位面積あたりの伝熱量で表されることから、るつぼ内の温度を高める方法とるつぼ自体の表面積を大きくする方法が考えられる。
【0022】
るつぼを高温にする方法として、電子ビーム蒸着法の場合、電子ビームの出力を強くする、電子ビームの照射面積を絞るなどの方法が挙げられる。また、るつぼの水冷を弱める、るつぼ内にハースライナーを置いて、るつぼと蒸着材間を断熱する方法が挙げられる。
【0023】
電子ビームを蒸着材の開放面の一部に絞ると、その一部が高温になり、その部分から発せられる輻射熱を大きくすることができる。また、同時にその部分からの蒸着速度が上がり、成膜速度を上げることができる。
【0024】
ハースライナー内については、2枚以上置いた場合、ハースライナー同士の熱抵抗が存在するため、水冷の効果が下がり、るつぼ内を高温にすることができる。
【0025】
るつぼ自体の表面積を大きくする方法としては、容量の大きなるつぼを使用することが挙げられる。
また、成膜時間を長くすることにより、集電体表面の温度を上げることができる。
【0026】
集電体表面の温度が上記範囲を上回る場合、蒸着源からの輻射熱を小さくする、集電体の冷却を強くする、成膜時間を短くするなどの方法により、集電体表面の最高到達温度を上記範囲内に制御することが考えられる。蒸着源からの輻射熱を小さくする方法としては、具体的には、集電体と蒸着源の間の距離を長くする、シャッターで輻射熱を遮断しながら間欠的に成膜するなどの方法が挙げられる。シャッターを用いて輻射熱を遮断する場合、遮断している間に集電体が冷却されることにより集電体の温度を下げることができる。
【0027】
また、輻射熱を小さくする方法としては、るつぼ内を低温にする方法とるつぼの表面積を小さくする方法も挙げられる。るつぼ内の温度を低くすると、成膜レートが小さくなり、量産性が悪くなるのであまり好ましくない。量産性が確保されるのであれば、電子ビームの出力を弱くする、るつぼの水冷を強める、ハースライナーの断熱効果を小さくする、あるいはハースライナーを使用しないなどの方法が考えられる。
【0028】
るつぼ自体の表面積を小さくする方法としては、容量の小さなるつぼを使用することが挙げられる。また、るつぼが大きい場合でも、容量の小さいハースライナーをるつぼ内において、その中に蒸着材を入れて成膜を行えば、輻射熱を抑えることが可能になる。
【0029】
集電体の冷却を強くする方法としては、一般的に用いられている循環水を用いた水冷に代えて、不凍液とチラーを用いて集電体を冷却する方法が挙げられる。
また、冷却を効率よく行うため、集電体と集電体ホルダーの間に熱伝導剤を挿入することが効果的である。このような熱伝導剤としては、集電体と集電体ホルダーとを密着させるものが挙げられ、例えばグリース等が挙げられる。
【0030】
また、特許文献2に開示されているように、回転ドラムの周面に集電体を取り付けて保持し、回転ドラムを回転させて間欠的に集電体上に成膜する方法も、成膜中の集電体の温度上昇を抑制するのに有効である。
【0031】
また、成膜中にチャンバー内にガスを少量導入して、集電体を冷却してもよい。使用するガスとしては、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnなどの希ガスが好ましい。また、さらに少量であればH、Nなどを用いてもよい。
【0032】
また、本発明においては、OまたはNガスなどを成膜の際に導入し、酸化物または窒化物の薄膜を堆積させてもよい。また、合金を構成する複数の金属の蒸着源を用いることにより、合金薄膜を堆積させてもよい。
【0033】
本発明において、蒸着源に用いる蒸着材の純度は99%以上であることが好ましい。これは、形成する活物質薄膜への不純物の混入を少なくすることができるからである。
【0034】
また、成膜開始前のチャンバー内の圧力としては、10−3Pa以下であることが好ましい。これも、活物質薄膜への不純物の混入を少なくすることができるからである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0036】
<実施例1〜3及び比較例1〜4>
〔負極の作製〕
図2に示す蒸着装置を用いて、厚み20μmの電解銅箔の上に真空電子ビーム蒸着法によりシリコン薄膜を形成した。
【0037】
図2は、蒸着装置を示す概略構成図である。チャンバー6内には、水冷式回転ドラム7が設けられており、この回転ドラム7の周面上に、集電体を取り付けて保持する。チャンバー6の下方には、水冷機構を有した銅製のるつぼ9が配置されており、るつぼ9内には、耐熱性カーボンからなるハースライナーが取り付けられている。また、るつぼ9の近傍には、電子銃11が設けられており、電子銃11からの電子ビームがるつぼ9内の蒸着材に照射される。るつぼ9の上方には、シャッター8が設けられており、シャッター8を閉じることにより、回転ドラム7上に設けられた集電体上での成膜を中断することができる。
【0038】
蒸着材としては、99.999%のシリコンを用いた。また、回転ドラム7としては、直径約20cmの円筒形状の回転ドラムを用いた。電子ビーム照射開始前の雰囲気は10−3Pa以下とした。また、集電体である基板は加熱せず、以下に説明する方法で冷却した。回転ドラム7の回転数は約10rpmとした。
【0039】
実施例1〜3及び比較例1〜4におけるその他の成膜条件を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2005044526
【0041】
集電体表面の最高到達温度は、不可逆性のサーモシートを集電体表面に貼り、成膜後にサーモシートの変色を確認することにより測定した。また、電子ビーム照射割合は、蒸着材の表面全体に対する電子ビームを照射する面積の割合を示している。電子ビーム照射割合が1/4の場合、円形の蒸着材の開放面全体に対して、電子ビームを照射する面積の割合が1/4になるように、電子ビームをスキャニングして照射した。
【0042】
実施例1においては、表1に示すように、小さなハースライナーを使用することにより、電子ビームの出力が小さくても成膜が可能になり、輻射熱を抑えて低温で成膜することができている。集電体表面の最高到達温度は80℃であった。ハースライナー内の全量を成膜したところで、膜厚が1.2μmとなった。
【0043】
実施例2及び3並びに比較例1〜4においては、同一サイズのハースライナーを使用している。フィラメント電流を600mAにして成膜を行った場合、蒸着材の表面全体に電子ビームを照射すると(電子ビーム照射割合:1)、るつぼの水冷の効果が強すぎるため、蒸着材の温度が上がりにくく、比較例2のように成膜速度は遅くなり、集電体表面の最高到達温度が50℃となった。比較例4のように、フィラメント電流を1000mAまで上げると、成膜速度は上がるが、同時にるつぼ内からの輻射熱が大きくなり、集電体表面の最高到達温度は210℃となった。
【0044】
これに対して、電子ビームを蒸着材表面の中央の1/4の面積に絞って照射した場合、蒸着材の中央部が特に高温になるため、そこからのSiの蒸発速度が速くなり、同じ電流値で成膜した比較例2よりも成膜速度が大きくなった。この場合でも、中央部が高温になるため、そこからの輻射熱が大きくなり、通常の循環水による水冷を行った比較例3では集電体表面の最高到達温度が200℃となった。
【0045】
比較例1においては、集電体と回転ドラムとの間に熱伝導剤としてのグリースを挿入し、集電体から回転ドラムへの熱伝導が起こりやすくしている。このため、集電体裏面から回転ドラムを通して熱が流出しやすくなり、集電体表面の最高到達温度は50℃となった。
【0046】
実施例2及び3においては、るつぼと回転ドラムの間に設置したシャッターを用いて、成膜途中に輻射熱を遮断しながら成膜を行った。実施例2では成膜を開始して3.3分後にシャッターを1分間閉めて、るつぼと回転ドラムの間を遮断した。その後シャッターを開き、成膜を3.3分間行い、以降同様の要領で1分間のシャッターによる遮断と、3.3分間の成膜を行い、合計約10分間の成膜を行った。実施例3においては、さらに1分間シャッターを閉じた後、3.3分間成膜を行い、合計約13.3分間の成膜を行った。
【0047】
実施例2においては、合計の成膜時間が同じ10分間である比較例3の集電体表面の最高到達温度200℃に対して、集電体表面の最高到達温度が125℃まで低下していることがわかる。また、実施例3では、集電体表面の最高到達温度は170℃になった。従って、実施例2及び3においては、シャッターにより輻射熱を遮断している間に集電体が冷却され、集電体の温度上昇が抑えられたため、集電体表面の最高到達温度が低くなったものと考えられる。
【0048】
以上のようにして作製した電極を20mm角に切り出して、それぞれ電極a1〜a3(実施例1〜3)並びにb1、b3及びb4(比較例1、3及び4)とした。なお、比較例2については、成膜速度が遅いため量産に適さないこと、また他のサンプルに比べ膜厚が極端薄いことを考慮し、以下の評価試験を行わなかった。
【0049】
〔電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積比1:1の割合で混合させた混合溶媒に、LiPFを1.0モル/リットルの割合で溶解し電解液を調製した。
【0050】
〔ビーカーセルの作製〕
上記20mm角に切り出した電極a1〜a3並びにb1、b3及びb4を、作用極として用い、対極及び参照極にリチウム金属を成形したものを用い、電解液として上記電解液を用いて、図1に示す三極式ビーカーセルを作製した。図1に示すビーカーセルにおいて、容器1内には電解液2が入れられており、電解液2に、対極3、作用極4及び参照極5が浸漬されている。
【0051】
〔充放電サイクル試験〕
上記各ビーカーセルについて、以下の条件で充放電試験を行った。充電及び放電を行い、これを1サイクルとした。
【0052】
充電条件:4mA 0Vカット
放電条件:4mA 2.0Vカット
表2に、1サイクル目の放電容量、10サイクル目の放電容量、10サイクル目の充放電効率、及び10サイクル目の容量維持率を示す。10サイクル目の充放電効率及び10サイクル目の容量維持率は、以下の式で求められる値である。
【0053】
10サイクル目の充放電効率(%)=(10サイクル目の放電容量(mAh/g))/(10サイクル目の充電容量(mAh/g))×100
10サイクル目の容量維持率(%)=(10サイクル目の放電容量(mAh/g))/(1サイクル目の放電容量(mAh/g))×100
また、図3に、成膜時の集電体表面の最高到達温度と10サイクル目の放電容量との関係を示す。
【0054】
【表2】
Figure 2005044526
【0055】
表2から明らかなように、集電体表面の最高到達温度を本発明の範囲内である60〜195℃とした電極a1〜a3は、放電容量が大きく、10サイクル目の容量維持率がほぼ100%であり、優れたサイクル特性を示すことがわかる。これに対し、集電体表面の最高到達温度が本発明の範囲外である電極b1、b3及びb4においては、1サイクル目の放電容量が電極a1〜a3に比べて小さく、さらに充放電サイクルが進行するに従い容量が低下し、10サイクル目の容量維持率は20〜50%程度となっている。電極b1においては、集電体表面の温度が低すぎたために、集電体成分の拡散が十分に起こらず、集電体と薄膜との密着性が低かったために、サイクル試験中に薄膜の剥離が生じ、容量維持率が低くなったと考えられる。また、電極b3及びb4では、集電体表面の温度が高くなりすぎたために、集電体成分の拡散が過剰に進行し、リチウムと反応可能なシリコンのサイトが減少し、容量が低下したと考えられる。さらに、輻射熱により集電体である銅箔が脆化したため、充放電に伴うシリコンの膨張収縮の応力を緩和できなくなり、薄膜と集電体の界面でシリコンが剥離したため、容量維持率が低くなったと考えられる。
【0056】
図3から明らかなように、集電体表面の最高到達温度を60〜195℃の範囲内とすることにより、10サイクル目の放電容量を1500mAh/g以上にできることがわかる。さらに、集電体表面の最高到達温度を70〜180℃の範囲内とすることにより、10サイクル目の放電容量を2000mAh/g以上にできることがわかる。従って、蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度は60〜195℃の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは70〜180℃の範囲内である。
【0057】
上記実施例では、ハースライナーを2種類しか用いていないが、ハースライナーの容積を適度な大きさにすることにより、シャッターを用いて輻射熱を遮断したり、集電体と回転ドラムの間に熱伝導剤を挿入したりするなどの操作を特に施さなくても、上記温度範囲内に集電体の最高到達温度を制御することが可能である。
【0058】
上記実施例では、加熱蒸着法として電子ビーム蒸着法を用いているが、本発明は電子ビーム蒸着法に限定されるものではなく、抵抗加熱法などの他の蒸着法を用いて蒸着させてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、充放電容量が高く、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極を加熱蒸着法により製造することができるので、低コストで多量に安定して電極を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において作製したビーカーセルを示す模式的断面図。
【図2】本発明の実施例において使用した蒸着装置を示す概略構成図。
【図3】成膜時の集電体表面の最高到達温度と10サイクル目の放電容量との関係を示す図。
【符号の説明】
1…容器
2…電解液
3…対極
4…作用極
5…参照極
6…チャンバー
7…水冷式回転ドラム
8…シャッター
9…るつぼ
10…ハースライナー
11…電子銃

Claims (5)

  1. リチウムと合金化する活物質からなる活物質薄膜を、リチウムと合金化しない金属からなる集電体上に加熱蒸着法を用いて形成するリチウム二次電池用電極の製造方法において、
    蒸着による成膜の際の集電体表面の最高到達温度を60〜195℃の範囲内とすることを特徴とするリチウム二次電池用電極の製造方法。
  2. 蒸着源からの輻射熱、集電体の冷却、及び成膜時間のうちの少なくとも1つを制御することにより、前記集電体表面の最高到達温度を前記範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記加熱蒸着法が電子ビーム蒸着法であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記薄膜の主成分がSiまたはGeであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  5. 少なくとも表面において銅が主成分である電解箔を前記集電体として用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
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