JP2005040839A - ろう付け用フラックス、ろう付け方法およびそのろう付け方法により形成される熱交換器 - Google Patents

ろう付け用フラックス、ろう付け方法およびそのろう付け方法により形成される熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】 Mgが添加された高強度のアルミニウム系材料を用いた場合であっても、比較的安価に、かつ良好にろう付け接合することが可能なろう付け用フラックス、そのフラックスを用いたろう付け方法およびそのろう付け方法により形成される熱交換器を提供すること。
【解決手段】 熱交換器を構成する複数の被接合部材のうち、チューブはMg添加量を0.6重量%以下に抑制したAl合金材により形成され、フィン、ヘッダタンク等は純Al系材により形成されている。そして、被接合部材相互のろう付け接合時には、ろう付け箇所に図中の直線AB、AC、CD、BDで囲まれる斜線の範囲の組成のフラックスを塗布する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、アルミニウム系材料のろう付け用フラックス、そのフラックスを用いたろう付け方法およびそのろう付け方法により形成される熱交換器に関する。
従来から、例えば、車両に搭載される冷凍サイクル中の熱交換器は、一般的に純アルミニウム系材料からなるチューブやフィン等の複数の被接合部材を相互にろう付け接合して製造されている。
純アルミニウム系材のろう付け加工において、良好なろう付け性および耐食性を目的として、フルオロ亜鉛酸カリウムをベースとするフラックスを用いることが知られている。このフルオロ亜鉛酸カリウムは、ろう付け温度近傍の高温下においてZnとAlとの置換反応により亜鉛とフルオロアルミニウム酸カリウムを生成し、このフルオロアルミニウム酸カリウムがフラックスとして機能するものである(下記特許文献1参照。)。
従来、冷凍サイクル中を循環する冷媒としては、主にフッ素化合物(所謂フロン)が用いられてきたが、近年、地球温暖化等への対策冷媒として炭酸ガス(二酸化炭素)が注目されている。ところが、炭酸ガスを冷媒とする冷凍サイクルは、フロンを冷媒とする冷凍サイクルに比較して、サイクル中の冷媒圧力が高いので、熱交換器を構成する部材に高強度のアルミニウム系材料の採用が望まれる。そして、アルミニウム材料の高強度化にはMg(マグネシウム)の添加が有効であることが知られている。
特開昭61−293699号公報
しかしながら、Mgを添加して高強度化したアルミニウム材料のろう付けを、フルオロ亜鉛酸カリウムをベースとするフラックスを用いて行なっても、安定して良好にろう付けできないという不具合を発生する場合がある。これは、フルオロ亜鉛酸カリウムの置換反応により生成したフルオロアルミニウム酸カリウムがアルミニウム合金中のMgと反応して、ろう付け温度より融点が高いKMgF、KMgF、MgF等の化合物を生成するためである。
これに対し、フラックスにフルオロ亜鉛酸セシウム等を採用し、Mgとの反応により生成する化合物を低融点化する方法もあるが、セシウムはカリウムに対し比較的高価であるため、量産性を考慮すると実用的でないという問題がある。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、Mgが添加された高強度のアルミニウム系材料を用いた場合であっても、比較的安価に、かつ良好にろう付け接合することが可能なろう付け用フラックス、そのフラックスを用いたろう付け方法およびそのろう付け方法により形成される熱交換器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のろう付け用フラックスでは、
Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合するろう付け箇所に用いられるろう付け用フラックスであって、
単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないことを特徴としている。
これによると、比較的少量のセシウムを含むフルオロ亜鉛酸塩をフラックスとし、Mg含有量が0.6重量%以下に抑制された比較的高強度のアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互を、比較的安価に、かつ良好にろう付け接合することができる。
また、請求項2に記載の発明のろう付け方法では、
Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合するろう付け方法であって、
被接合部材のろう付け接合箇所に、単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないろう付け用フラックスを塗布することを特徴としている。
請求項2に記載の発明のろう付け方法は、請求項1に記載の発明のろう付け用フラックスを用いてろう付けを行なうことができる。したがって、Mg含有量が0.6重量%以下に抑制された比較的高強度のアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互を、比較的安価に、かつ良好にろう付け接合することができる。
また、請求項3に記載の発明のろう付け方法では、ろう付け接合時にろう付け接合箇所を加熱するときには、550℃以上では平均昇温速度が0.2℃/s以上となるように加熱することを特徴としている。
これによると、550℃からろう付け温度に到達するまでの時間を短縮し、フルオロ亜鉛酸塩がAl合金と置換反応して生成したフルオロアルミニウム酸塩とAl合金中のMgとの反応量を低減することができる。
また、請求項4に記載の発明の熱交換器では、
Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合してなる熱交換器であって、
複数の被接合部材相互は、ろう付け箇所に、単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないろう付け用フラックスを用いて、ろう付け接合されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明の熱交換器は、請求項2に記載の発明のろう付け方法により形成することができる。
また、請求項5に記載の発明の熱交換器では、複数の被接合部材相互がろう付け接合されるときに、ろう付け箇所は、550℃以上では平均昇温速度が0.2℃/s以上となるように加熱されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明の熱交換器は、請求項3に記載の発明のろう付け方法により形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態における二酸化炭素(CO)を冷媒とする超臨界冷凍サイクルに用いられる熱交換器である放熱器(ガスクーラ)の概略構成図である。
図1に示すように、放熱器200は、コア部210、左ヘッダタンク220、右ヘッダタンク230等から構成され、後で詳述するが、各部材はアルミニウムあるいはアルミニウム合金(Al合金)から成り、嵌合、かしめ、治具固定等により組付けられ、予め各部材表面に設けられたろう材により一体でろう付けされている。
コア部210は、内部を冷媒が流通する複数のチューブ211および複数のフィン部材であるフィン212(一部のみ図示)が交互に積層され、最外方のフィン212の更に外方に強度部材としてのサイドプレート213が配設されたものであり、各部材は一体でろう付けされている。
図2に断面構造を示すように、チューブ211は、長手方向に延びる複数の穴を有する多穴チューブ部材であり、本実施形態では幅が約16mm、厚さが約1mmの偏平チューブを採用している。ちなみに、チューブ211の外周壁部211aおよび複数の穴間の隔壁部211bの厚さは、重量、体格、他の熱交換器用途との構造共通化等を考慮して、約0.2mmとしている。
コア部210の図1中の左右部、即ち、複数のチューブ211の長手方向両端部において、チューブ211の積層方向に延びる一対のタンク部材であるヘッダタンク(左ヘッダタンク220と右ヘッダタンク230)が設けられている。この両ヘッダタンク220、230には図示しないチューブ孔が複数穿設されており、各チューブ211の端部がこのチューブ孔に嵌合され、チューブ211と両ヘッダタンク220、230が互いに連通するようにろう付けされている。
また、各ヘッダタンク220、230には、内部の空間を仕切る図示しないセパレータがろう付けされている。そして、左ヘッダタンク220のセパレータよりも下側には冷媒の導入口となるジョイント221が、また右ヘッダタンク230のセパレータの上側には冷媒の導出口となるジョイント231がそれぞれろう付けされている。
そして、ジョイント221から流入した冷媒は、両ヘッダタンク220、230およびチューブ211により構成される冷媒流路を逆S字状に流れた後、ジョイント231から流出するようになっている。
次に、放熱器200を構成する各部材の材質および放熱器の製造方法について説明する。
本実施形態のフィン212および両ヘッダタンク220、230は、表面にろう材としての合金番号A4045材をクラッドした合金番号A3003材により形成されている。これに対し、チューブ211は、Mgが0.6重量%以下、Siが0.5重量%以下添加されたAl合金材を押し出し成形して形成している。
そして、これらのチューブ211、フィン212および両ヘッダタンク220、230を前述のように組み合わせて仮固定した後、この組合体を加熱してフィン212および両ヘッダタンク220、230の表面にクラッドされたA4045材を溶融して、各部材間相互をろう付け接合し、放熱器200を形成する。チューブ211、フィン212および両ヘッダタンク220、230は、本実施形態における被接合部材である。
このろう付け接合を行なうときに、各ろう付け箇所には、フラックスを、スプレー法あるいは刷毛塗り法等により10〜30g/m塗布している。
また、ろう付け接合を行なうときに、上記組付体の加熱は、550℃からろう付け温度である約600℃まで平均昇温速度が0.2℃/s以上となるように行なっている。
本実施形態で塗布する本発明のフラックスは、単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%,フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し,カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないことを特徴とするアルミニウム系材料のろう付け用フラックスである。
上記各単体化合物のモル%をギブスの三角座標により示すと図3のようになる。すなわち、図3(b)中の直線AB、AC、CD、BDで囲まれる斜線を付した範囲である。なお、図3(b)は、図3(a)に示した三角座標の一点鎖線だ囲んだ領域を拡大表示した図である。
本発明にかかるろう付け用フラックスにおいて、セシウムおよびカリウムは、例えば、Cs2X2−2XZnF、Cs1−XZnF、Cs1−XZn(0≦x≦1)等で表わされるフルオロ亜鉛酸塩として存在し、フルオロ亜鉛酸セシウムカリウム又はフルオロ亜鉛酸セシウム、フルオロ亜鉛酸カリウムと総称される。
これらの化合物は、多くの種類の錯化合物として存在し、同一組成であっても温度により変態し、多種類の構造を取りうる。
本発明にかかるフラックスのフラックス作用と、亜鉛拡散層の形成作用は、ZnF、CsFおよびKFとしての単体表示を行なつたときの組成割合によって変化する。図3(b)の拡大図の斜線を施した範囲内の組成を有するものは、Al系材料、特にMgを含有するAl系材料に対して、優れたフラックス作用と、亜鉛拡散層の形成作用を発揮する。
ZnFの割合が45モル%未満あるいは65モル%を越えると(図3(b)中直線ACの左方側領域および直線BDの右方側領域では)、Alとの置換反応後の組成物の溶融温度が600℃以上となってフラックス作用が低下する。
またCsFの割合が0.35モル%未満の場合は(図3(b)中直線CDの下方側領域の場合は)、Mgとの反応生成物の低融点化に必要なCsが不足し、Mgを含有するAl系材料に対してフラックスの効果が極めて低くなり、Mg含有Al系材料のろう付けに適用することが困難となる。
一方、CsFの割合が2.75モル%を越える場合は(図3(b)中直線ABの上方側領域の場合は)、Mgを含有するAl系材料に対してフラックス作用および亜鉛拡散層の形成作用が低下することはないが、頭打ちの状態となり、それを越えてCsFの割合を高めることは、フラックスが高価なものとなり不経済である。
また、本発明のフラックスには、遊離のCsFまたはKFを含んでいない。遊離のCsFまたはKFは吸湿性を有し、被接合部材を腐食させる恐れがあり好ましくない。
本発明のろう付け用フラックスは種々の方法で製造することができる。
第1の方法として、ZnF、CsFおよびKFの粉末を本発明の含有割合で混合し、加熱溶融後冷却して固化物とし、これを粉砕して作る方法がある。
第2の方法としては、フルオロ亜鉛酸カリウム、フルオロ亜鉛酸セシウム、フルオロ亜鉛酸セシウムカリウム、フッ化亜鉛を一旦別々に製造したのち、これらを適宜選択して前記組成割合となるように配合、混合する方法がある。この方法は、ろう付け作業場において目的とするフラックス組成を自由に選択できる利点がある。
第3の方法として、CsFとKFおよびZnF、あるいはZnFの水和物の粉末を所定成分割合で混合したものに、水を加えてペースト状もしくはスラリー状とする。その後、これを常温で長時間放置するか、あるいは100℃以下の温度で約1時間放置する等して熟成する。この方法では水に難溶であるZnFあるいはZnFの水和物と可溶のCsFとKFが徐々に反応してフルオロ亜鉛酸塩を生成する。
なお、フルオロ亜鉛酸塩の形成、すなわち遊離のCsFおよびKFの消失は、生成物が潮解性を全く示さなくなることから確認できる。
この方法ではZnF2、CsF、KFの混合物がいずれの成分も不足することなく、所望の組成のフルオロ亜鉛酸塩あるいはフルオロ亜鉛酸塩とZnFの混合組成物となる。
第4の方法として、金属亜鉛(Zn)あるいは酸化亜鉛(ZnO)、塩基性炭酸亜鉛(ZnCO・Zn(OH))等の亜鉛化合物を、フッ化水素水溶液あるいは水酸化セシウム(CsOH)と水酸化カリウム(KOH)の混合水溶液のいずれか一方の水溶液に溶解する。その後、他方の水溶液によってもう一方の水溶液を中和すると混合水溶液中にフルオロ亜鉛酸塩が沈殿する。
第5の方法として、ZnOおよびCsOHとKOHをフッ化水素水溶液中で混合、撹拌しながら亜鉛、セシウム、カリウム、フッ素を反応させて、フルオロ亜鉛酸塩を生成させる方法がある。
第3、4および5の方法では生成物を含む水溶液をそのまま乾燥するか、もしくは沈殿生成物であるフルオロ亜鉛酸塩をろ過し、ろ過物が溶けない温度で加熱乾燥してもよい。以上のようにして、本発明のろう付け用フラックスとしてのフルオロ亜鉛酸塩を得ることができる。
なお、上記フラックスの製造に用いる原料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属が数%程度含まれていてもろう付け性に悪影響を与えることはない。また、フラックス中にZnO、ZnCO・Zn(OH)等の亜鉛の酸化物、炭酸塩あるいはフッ素および水酸基を含む亜鉛の化合物が数モル%程度含まれていてもろう付け性を悪化させることはない。
上述したように、本発明によれば、フルオロ亜鉛酸カリウムとCsFの最適混合値を見出すことで少ないCsFの使用量とし、安価にMg含有Al合金用のフラックスを提供することができる。
したがって、上述の構成およびろう付け方法によれば、チューブ211をMgを含有した高強度のAl合金材により形成するとともに、フィン212や両ヘッダタンク220、230と、比較的安価に、かつ亜鉛拡散層形成に伴なう耐食性を有しつつ良好にろう付け接合することができる。
本発明者らは、下記表1に示すフラックスを調製し、これらを用いた場合のろう付け性の評価を行った。
Figure 2005040839
表1の実施番号1〜3に示した混合割合のCsF、KFおよびZnF・4HOの混合物を100gずつ用意し、それぞれに200mlの脱イオン水を加えてよく混練した。その後100℃で2時間乾燥し、得られた固化物を粉砕して本発明のフラックスとした。次に、上記のろう付け用フラックスの効果を調べるために,下記の隙間充填試験を実施した。
また,比較例として、CsF/KF/ZnFのモル比が本発明の範囲をはずれたフラックスを前記と同様の方法で調製した(表1の実施番号C−1〜C−3)。
ろう付け性の評価法は図6に示す隙間充填性試験である。図6(a)に示すように、Mgを0〜0.6重量%、Siを0.4重量%含有するAl合金材を水平材101とし、A3003材を芯材としてその両側面(紙面表裏側の面)にA4045材をクラッドしたブレージングシート材料を垂直材102として評価を実施した。水平材101と垂直材102との間にスペーサ103を配置して隙間部104を形成し、図6(b)に示すろう付け加熱後の隙間部104へのろう材105の充填状態を評価した。隙間部104にはろう付け前に刷毛塗りによりフラックスを塗布している。
図4および図5に示す隙間充填率は、図6(b)に示すろう材105の隙間充填長さLを隙間長さL0で除した値L/L0としている。図4は、表1の実施番号1〜3およびC−1〜C−3を用い、フラックス塗布量10g/m、平均昇温速度0.40℃/sとした場合のろう材105の隙間充填率である。また、図5は、フラックス塗布量10g/m、平均昇温速度0.20℃/sの場合の隙間充填率である。なお、表1に記載した隙間充填率は、水平材101を形成するAl合金材のMg添加量0.6重量%、フラックス塗布量10g/m、平均昇温速度0.40℃/sのときの結果である。
ここで、平均昇温速度とは、ろう付け加熱時の550℃から600℃に達するまでの平均昇温速度である。
本発明の比較例であるCsF含量が0および0.25モル%の場合に対して、実施例である0.5、1および 2.5モル%の場合は充填率は増加傾向を示し、ろう付け性は向上する。そして、本発明の実施例では水平材101のAl合金材のMg添加量が0.6重量%であっても隙間充填率が0.5以上となる良好なろう付けを行なうことができる。
また、比較例であるCsF含量5モル%の場合は、CsF含量2.5モル%の場合に対し隙間充填率はほぼ同等であるが、CsF含量が多いため高価なフラックスとなり経済的に好ましくない。
図6に示す隙間充填性試験では、隙間部104の図中右方側の隙間最大高さを1.6mmとしている。本実施形態の放熱器200では、ろう付け接合部の隙間の許容最大値を0.8mmとしているので、隙間充填率が0.5以上であれば、確実にろう付け接合することが可能である。
平均昇温速度の影響は速度が早くなるとろう付け性が向上する。これは、水平材101に含有されるMgが温度上昇と共に雰囲気中に蒸発し、温度が高いほど、または加熱時間が長いほどこの蒸発は促進され、フラックス中のカリウム、フッ素と結合し高融点化されると考えられ、平均速度が速いほどこの蒸発を抑制できるからである。
したがって、本発明のフラックス(例えば、実施番号1〜3のフラックス)を採用し、被接合部材を形成するAl合金材のMg添加量を0.6重量%以下として、ろう付け時の550℃以上の加熱温度領域では平均昇温速度を0.2℃/s以上とすることで、安価かつ良好なろう付け接合が得られることが確認されている。
(他の実施形態)
上記一実施形態では、放熱器200の構成部材のうち、チューブ211にMgを含有するAl合金材を採用し、フィン212やヘッダタンク220、230には所謂純アルミニウム系材を採用していた。そして、ろう付け時には、Al−Mg系合金材と純アルミニウム系材とのろう付け箇所、および純アルミニウム系相互のろう付け箇所のいずれにも、本発明のフラックスを塗布していた。
これに対し、Al−Mg系合金材と純アルミニウム系材とのろう付け箇所に本発明のフラックスを用い、純アルミニウム系相互のろう付け箇所には従来のフラックスを用いるものであってもよい。ただし、本発明のフラックスは、Csを多量に含んでおらず比較的安価であるので、本発明のフラックスを全てのろう付け箇所に共通使用する方が、複数のフラックスを用いる場合より、製造工程において有利である。
また、上記一実施形態では、チューブ211は断面矩形状の穴を複数有する多孔偏平チューブであったが、チューブはこれに限定されるものではない。例えば、穴は丸穴であってもよい。チューブが押出し加工により薄肉に構成され、他の被接合部材とろう付け接合されて熱交換器を形成し、耐圧性を要求されるものであれば、本発明を適用して非常に有効である。
また、上記一実施形態では、放熱器200は、内部の冷媒流路が逆S字状に形成されるものであったが、チューブ内を冷媒が流通するものであれば、これに限定されるものではない。
また、本発明は、放熱器以外の熱交換器に適用することも可能である。例えば、熱交換器は蒸発器であってもよいし、フロン等の冷媒を凝縮する凝縮器であってもかまわない。また、本発明のフラックスやろう付け方法を、熱交換器以外に適用することができることは言うまでもない。
本発明の一実施形態における放熱器200の概略構成を示す正面図である。 チューブ211の断面図である。 フラックスの成分をギブスの三角座標に示した図であり、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。 Al合金材のMg添加量とフラックスのCsF組成比を変化したときのろう付け性の指標である隙間充填率を示すグラフである。 Al合金材のMg添加量とフラックスのCsF組成比を変化したときのろう付け性の指標である隙間充填率を示すグラフである。 ろう付け性の評価方法を説明するための図であり、(a)は加熱前、(b)は加熱後の状態を示す。
符号の説明
200 放熱器(熱交換器)
211 チューブ(多穴チューブ部材、被接合部材)
212 フィン(フィン部材、被接合部材)
220 左ヘッダタンク(タンク部材、被接合部材)
230 右ヘッダタンク(タンク部材、被接合部材)

Claims (5)

  1. Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合するろう付け箇所に用いられるろう付け用フラックスであって、
    単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないことを特徴とするろう付け用フラックス。
  2. Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合するろう付け方法であって、
    前記被接合部材の前記ろう付け接合箇所に、単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないろう付け用フラックスを塗布することを特徴とするろう付け方法。
  3. 前記ろう付け接合時に前記ろう付け接合箇所を加熱するときには、550℃以上では平均昇温速度が0.2℃/s以上となるように加熱することを特徴とする請求項2に記載のろう付け方法。
  4. Mg含有量が0.6重量%以下に抑制されたアルミニウム系材料からなる複数の被接合部材相互をろう付け接合してなる熱交換器であって、
    前記複数の被接合部材相互は、ろう付け箇所に、単体化合物のモル%表示にて、フッ化カリウムが33.25〜54.45モル%、フッ化セシウムが0.35〜2.75モル%、フッ化亜鉛が45〜65モル%の組成を有し、カリウムおよびセシウムがフルオロ亜鉛酸塩として存在し、遊離のフッ化カリウムおよびフッ化セシウムを含まないろう付け用フラックスを用いて、前記ろう付け接合されていることを特徴とする熱交換器。
  5. 前記複数の被接合部材相互がろう付け接合されるときに、ろう付け箇所は、550℃以上では平均昇温速度が0.2℃/s以上となるように加熱されていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
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WO2013008731A1 (ja) * 2011-07-11 2013-01-17 第一稀元素化学工業株式会社 アルミニウム系材料のろう付用フラックス

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