JP2005039140A - 酸化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】低雑音で信頼性の高い酸化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】ZnO系半導体レーザ素子は、ZnO障壁層とCd0.1Zn0.9O井戸層とを含む量子井戸活性層105を備えて自励発振する。これにより、強い励起子結合エネルギーを利用して量子効率の極めて高い誘導放出光を得ることが出来、自励発振特性を有することにより、低雑音で消費電力を低く抑えることが出来る。
【選択図】図1
【解決手段】ZnO系半導体レーザ素子は、ZnO障壁層とCd0.1Zn0.9O井戸層とを含む量子井戸活性層105を備えて自励発振する。これにより、強い励起子結合エネルギーを利用して量子効率の極めて高い誘導放出光を得ることが出来、自励発振特性を有することにより、低雑音で消費電力を低く抑えることが出来る。
【選択図】図1
Description
本発明は半導体レーザ素子に関し、さらに詳しくは、低雑音で信頼性の高い酸化物半導体レーザ素子に関する。
近年、高密度な光ディスク記録システムのレーザ光源として利用すべく、3〜3.5eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体の結晶成長およびデバイス技術が急速に発展している。特に、III族窒化物半導体の技術進展は目ざましく、光学特性や信頼性は既に実用化の域に達している。一方、酸化物半導体についても現在研究が進みつつあり、特に、ZnO(酸化亜鉛)は励起子結合エネルギーが60meVと極めて高く、また、原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた半導体レーザ素子を実現出来る可能性がある。
以下、ZnOおよびこれを母体としたMgZnOあるいはCdZnOなどで表される混晶を含めてZnO系半導体と言う。
光ディスク記録システムに用いられる従来の半導体レーザ素子では、ディスク等で反射されたレーザ光が半導体レーザ素子へ再入射することによって雑音が発生する、所謂「戻り光雑音」が問題となっている。この戻り光雑音を低減するための手段として、自励発振現象を利用する方法が知られており、GaAs/AlGaAs系半導体を用いた780nm帯の自励発振型半導体レーザ素子に関する技術が特開平7−170011号公報(特許文献1)、特開平11−112087号公報(特許文献2)などに開示されている。また、上記高密度な光ディスク記録システムのレーザ光源として、紫外〜緑色の短波長帯のGaN系半導体レーザ素子が用いられている。このGaN系半導体レーザ素子を自励発振させる技術が、特開平9−191160号公報(特許文献3)、特開2002−94189号公報(特許文献4)などに開示されている。
ところで、ZnO系半導体は強いイオン性に起因する自己補償効果のために従来p型の導電型制御が困難であったが、Applied Physics Letters Vol.81 (2002) p1830などに示されているように、アクセプタ不純物として窒素(N)を用いることで再現性よくp型層が得られるようになった。
これにより、ZnO系半導体を用いて実用的な電子デバイスを作製する研究がさかんになり、特に強い結合エネルギーを有する自由励起子を利用したZnO系半導体発光素子に関して、国際公開第00/16411号パンフレット(特許文献5)、特開2001−44500号公報(特許文献6)、特開2001−287998号公報(特許文献7)、特開2002−16285号公報(特許文献8)などに多くの技術が開示されている。
しかし、ZnO系半導体を始めとする酸化物半導体を用いたレーザ素子に関しては、戻り光雑音を回避出来る好適な構造が未だ開示されていない。
特開平7−170011号公報
特開平11−112087号公報
特開平9−191160号公報
特開2002−94189号公報
国際公開第00/16411号パンフレット
特開2001−44500号公報
特開2001−287998号公報
特開2002−16285号公報
そこで、本発明の目的は、低雑音で信頼性の高い酸化物半導体レーザ素子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の酸化物半導体レーザ素子は、酸化物半導体を含む活性層を備え、自励発振することを特徴としている。
上記構成の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記活性層が酸化物半導体を含むので、強い励起子結合エネルギーを利用して量子効率の極めて高い誘導放出光を得ることが出来、また、自励発振特性を有するので、雑音および消費電力を低く抑えることが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、
基板上に、少なくとも、第1導電型クラッド層、上記活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電極が順次積層され、
上記活性層に供給する電流を狭窄する電流狭窄機構を備え、
上記第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電流狭窄機構はZnO系半導体を含み、
上記活性層は、利得領域と、この利得領域の両側に位置する可飽和吸収領域とを有する。
基板上に、少なくとも、第1導電型クラッド層、上記活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電極が順次積層され、
上記活性層に供給する電流を狭窄する電流狭窄機構を備え、
上記第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電流狭窄機構はZnO系半導体を含み、
上記活性層は、利得領域と、この利得領域の両側に位置する可飽和吸収領域とを有する。
ここで、「少なくとも」と言う文言は、活性層の両側の光ガイド層、エッチングストップ層、平坦化層およびキャップ層などを設けてもよいということを意味している。
また、本明細書において、第1導電型とは、p型またはn型を意味する。また、第2導電型とは、第1導電型がp型の場合はn型、n型の場合はp型を意味する。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記ZnO系半導体は特に強い励起子発光が得られ、青色〜紫外域に対応するバンドギャップを有する直接遷移型酸化物半導体である。また、上記ZnO系半導体はバンドギャップ制御されたヘテロ構造や量子井戸構造を作製することが出来、実用的なレベルでレーザ発振に要求される構造を作製することが可能である。すなわち、上記ZnO系半導体は低閾値電流で動作する短波長半導体レーザ素子材料として非常に適している。
また、上記活性層では電流狭窄機構で狭窄された電流路の直下のみにキャリアが高密度に注入される。そして、上記キャリアが高密度に注入された高注入領域が反転分布状態となることによって、光学利得を生じてレーザ発振が起こる。つまり、上記活性層が利得領域を有して、レーザ発振が起こる。一方、上記活性層において高注入領域のすぐ側方の領域は、電流広がりの裾部分となるので低いキャリア注入がなされ、利得を生じるには至らず可飽和吸収領域として働く。すなわち、上記活性層は、利得領域の両側に位置する可飽和吸収領域を有することになる。このことにより、可飽和吸収層を別途設けること無く自励発振特性を有する酸化物半導体レーザ素子の実現が可能となる。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記電流狭窄機構で狭窄された電流路の幅は0.5〜3.0μmの範囲内である。
ここで、電流路の幅とは、電流路において活性層に最も近い部分の幅を指す。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記電流路の幅が0.5〜3.0μmの範囲にあるので、自励発振が生じやすくなると共に、動作電圧の増大とキンク発生を抑止することが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記活性層は、井戸層と障壁層との交互積層によって構成された量子井戸構造を含む。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記量子井戸構造を活性層が含むので、光学利得を増大させて発振閾値電流を低減出来ると共に、自励発振を生じやすくすることが出来る。
ところで、上記酸化物半導体はキャリア(特に正孔)の有効質量が大きいので、高速変調に追随出来ず、実用的な光出力レベルで自励発振が弱くなり、戻り光雑音を回避出来なくなることがある。このような問題を防ぐには、注入キャリアが活性層内に均一に分布するようにし、高速変調下においても再結合を促進出来る必要がある。
そこで、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子では、上記井戸層の層厚を1〜8nmの範囲内にする。これにより、上記井戸層の利得飽和を抑止し、且つ、井戸層内にキャリアを均一に分布させることが出来る。その結果、発振閾値電流を低減して良好な自励発振特性を得ることが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記障壁層の層厚は1〜8nmの範囲内である。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記障壁層の層厚が1〜8nmの範囲内であるので、井戸層へキャリアを効率よく閉じ込めることが出来ると共に、井戸層内にキャリアを均一に分布させることが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記井戸層の数は1〜5の範囲内である。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記井戸層の数が1〜5の範囲内であるから、活性層内にキャリアを均一に分布させることが出来ると共に、発振閾値電流が最も低くなるよう素子構造を最適化することが出来る。
上記井戸層が3層以上ある場合、この3層以上の井戸層のうち層厚方向の両端に位置する井戸層は、バンドギャップの大きいクラッド層のポテンシャルを感じやすい。このため、上記両端に位置する井戸層は、層厚方向の中央付近の井戸層(両端以外に位置する井戸層)と量子準位がずれる。このような量子準位のずれは自励発振を阻害してまう。
そこで、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子では、上記井戸層の数は3以上であり、上記複数の井戸層のうち層厚方向の両端に位置する上記井戸層は、上記両端以外に位置する上記井戸層と組成比および層厚の少なくとも一方が異なるようにする。つまり、上記複数の井戸層において、層厚方向の両端に位置する井戸層と、層厚方向の両端しない他の井戸層とは、組成比および層厚の少なくとも一方が異なる。これにより、全量子井戸層の量子準位を揃えることが出来る。したがって、自励発振特性を改善出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記活性層は、上記井戸層の表面が引張応力を受けている歪量子井戸活性層である。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記井戸層の表面内に引張応力を与えることにより、価電子帯のバンド構造が変化する。その結果、キャリアの有効質量が軽減されて、移動度を増大させることが出来る。したがって、高速変調下においてもキャリアの再結合が促進され、高出力まで自励発振を維持することが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記活性層は、ZnSeO、ZnSOおよびZnTeOのうちの少なくとも1つの3元ZnO系混晶半導体を含む。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記3元ZnO系混晶半導体は、価電子帯の状態密度が小さく、ZnOやCdZnOに比べキャリアの有効質量が小さい。したがって、上記3元ZnO系混晶半導体を活性層が含むことにより、高速変調下においてもキャリアが追随しやすくなって、高出力まで自励発振を維持することが出来る。
ところで、上記活性層の利得領域の側方の領域が可飽和吸収領域として働くには、その側方の領域が適度な低キャリア注入状態となることが必要である。
そこで、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記電流狭窄機構は、上記活性層の上記電極側の端を含む平面から、上記第2導電型コンタクト層の上記電極側の端を含む平面までの任意の領域、または、上記活性層の上記基板側の端を含む平面から、上記基板の上記活性層側の端を含む平面までの任意の領域に形成された電流ブロック層を含み、上記第2導電型クラッド層の上記活性層側の端と、上記電流ブロック層の上記活性層側の端との間は、層厚方向に平行な距離が10nm〜0.3μmの範囲内になるようにする。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記第2導電型クラッド層の上記活性層側の端と、上記電流ブロック層の上記活性層側の端との間において、層厚方向に平行な距離を10nm〜0.3μmの範囲内にすることにより、例えば電流狭窄路の電流が活性層に注入されるまでに適度な広がりを持つので、自励発振を生ぜしめるのに必要な可飽和吸収領域を確実に形成することが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子において、上記第2導電型クラッド層の一部には電流狭窄路となるリッジストライプが形成され、上記リッジストライプが形成されていない上記第2導電型クラッド層の他の部分の層厚は10nm〜0.3μmの範囲内である。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記リッジストライプが形成されていない第2導電型クラッド層の他の部分の層厚を10nm〜0.3μmの範囲内にすることにより、例えば電流狭窄路の電流が活性層に注入されるまでに適度な広がりを持つので、自励発振を生ぜしめるのに必要な可飽和吸収領域を確実に形成することが出来る。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記第2導電型コンタクト層または上記電極の上記活性層側の表面積は、上記活性層の上記電極側の表面積よりも小さい。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記第2導電型コンタクト層または電極の活性層側の表面積を、活性層の電極側の表面積よりも小さくすることにより、例えば電流ブロック層を形成せずとも電流狭窄を行うことが可能となり、簡便な構造で発振閾値電流の低減と自励発振を実現することが出来る。
また、上記第2導電型コンタクト層は例えばリッジストライプ形状にメサエッチングしてもよい。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記活性層からのレーザ光を出射するレーザ光出射端面の光反射率は10〜30%の範囲内である。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記活性層へ過度の戻り光が入射した場合、光吸収による急激なキャリア対の生成が生じて自励発振が停止することがあるが、レーザ光出射端面の光反射率を10〜30%の範囲内であると、高出力まで戻り光に擾乱されず、自励発振を維持することが出来る。
また、自励発振を効率良く生ぜしめるには、活性層の利得領域外の可飽和吸収領域に導波光の裾が適度に重なって光吸収を生じる必要があり、水平方向(層厚方向に垂直な方向)の等価屈折率差による光閉じ込めを制御する必要がある。
一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記第1導電型クラッド層および上記第2導電型クラッド層の少なくとも一方は屈折率の異なる2層以上の層から成り、上記活性層を中心とした層厚方向の光強度分布は非対称性を有する。
上記実施形態の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層の少なくとも一方を屈折率の異なる2層以上の層で構成することによって、層厚方向(積層方向)の光強度分布を意図的に非対称に出来る。その結果、水平方向の等価屈折率差を適度に制御することが出来て、自励発振を効率よく起こすことが出来る。
本発明の酸化物半導体レーザ素子は、酸化物半導体を含んで構成された自励発振型の酸化物半導体レーザ素子であるので、低雑音で低消費電力な半導体レーザ素子を実現出来る。
以下、本発明の酸化物半導体レーザ素子を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(実施形態1)
本実施形態1では、リッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子に本発明を適用した例について説明する。
本実施形態1では、リッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子に本発明を適用した例について説明する。
図1に、本発明の実施形態1のリッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子の模式断面図を示す。
上記ZnO系半導体レーザ素子は、亜鉛面(0001)を成長主面とするn型ZnO単結晶基板101上に、Ga(ガリウム)ドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn型ZnOバッファ層102、Gaドーピング濃度が3×1018cm-3で厚さ1.0μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103、Gaドーピング濃度が5×1017cm-3で厚さ30nmのn型ZnO光ガイド層104、ノンドープ量子井戸活性層105、N(窒素)ドーピング濃度が5×1018cm-3で厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層106、Nドーピング濃度が5×1019cm-3で厚さ1.2μmのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107、Nドーピング濃度が1×1020cm-3で厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層108がこの順で積層されている。上記p型ZnOコンタクト層108の量子井戸活性層105側の表面積は、量子井戸活性層105のp型ZnOコンタクト層108側の表面積よりも小さくなっている。
上記量子井戸活性層105は、厚さ5nmのZnO障壁層と、厚さ6nmのCd0.1Zn0.9O井戸層とが交互に積層されて成っている。つまり、上記量子井戸活性層105は量子井戸構造を有している。また、上記ZnO障壁層は2層ある一方、Cd0.1Zn0.9O井戸層は3層ある。また、上記量子井戸活性層105は、リッジストライプ112直下に位置する利得領域と、この利得領域の両側に位置する可飽和吸収領域とを有している。
上記リッジストライプ112は、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107およびp型ZnOコンタクト層108を形成するための層をリッジストライプ状にエッチング加工して形成する。これにより、上記リッジストライプ112は、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107の上部と、p型ZnOコンタクト層108とから成っている。また、上記リッジストライプ112の幅W1は2μmとしている。
上記リッジストライプ112の側面は、Gaが3×1018cm-3の濃度でドーピングされたn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109によって埋め込まれている。つまり、上記n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109は、リッジストライプ112の両側に形成されている。
また、上記p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107は上端から1.6μmの深さまでエッチング加工され、平坦部の残し厚D1は0.1μmとなっている。より詳しく説明すると、上記p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107の上部、つまりp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107においてリッジストライプ112の一部と成る部分の高さは1.1μmとなっている。そして、上記p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107においてその部分以外の部分が有する層厚(以下、「平坦部残し厚D1」と言う。)は0.1μmとなっている。
また、上記n型ZnO単結晶基板101下には、Tiから成るn型オーミック電極110を形成している一方、n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109およびp型ZnOコンタクト層108上には、Niから成るp型オーミック電極111を形成している。
本発明の酸化物半導体レーザ素子は、固体あるいは気体原料を用いたMBE(分子線エピタキシ)法、レーザMBE法、MOCVD(有機金属気相成長)法などの結晶成長手法で作製することが出来るが、本実施形態1のZnO系半導体レーザ素子はレーザMBE法によって作製した。
本実施形態1の構造を作製後、リッジストライプ112に垂直なミラー端面に保護膜を真空蒸着した後、素子を共振器長300μmに分離した。
上記保護膜は、厚さ70nmのSiO2と厚さ60nmのTiO2とを交互に積層した多層反射膜である。この多層反射膜の総厚は、レーザ光出射端面の光反射率が15%、光反射端面の光反射率が90%となるように調整した。このようなレーザ光出射端面と光反射端面とによって、量子井戸活性層105からの光が共振増幅される。
本実施形態1のZnO系半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長405nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流が35mA、光出力5mWでの動作電圧が4Vであった。
また、上記ZnO系半導体レーザ素子の出力波形を観察したところ、直流電圧を印加しているにもかかわらず図2のようなパルス状の自励発振出力が得られ、スペクトルは多モード発振であった。この多モード自励発振は、出力7mWまで安定に得られた。
次に、上記ZnO系半導体レーザ素子の雑音特性を調べるため、ZnO系半導体レーザ素子の放射光を光ディスクで反射させ、反射光をZnO系半導体レーザ素子に戻してRIN(相対雑音強度)を測定した。その結果、光出力が1〜5mW、戻り光量が0.1〜10%の範囲で、RINは−130dB/Hz以下であった。したがって、上記ZnO系半導体レーザ素子が光ディスク記録再生システム用光源として適した低雑音特性を有することがわかった。
図3に、上記リッジストライプ112の幅W1(以下、「リッジストライプ幅W1」と言う。)およびp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107の平坦部残し厚D1(図3では単に「平坦部残し厚」と記載)と、RINとの関係を示す。
光ディスク記録再生システム用光源として好適なRINは−125dB/Hz以下である。例えば、本実施形態1のp型クラッド層の平坦部残し厚D1(=0.1μm)では、リッジストライプ幅W1が0.3〜3.2μmの範囲でこれを満たしている。
しかし、上記平坦部残し厚D1が薄いと十分な電流広がりが得られず、また、平坦部残し厚D1が厚すぎても、量子井戸活性層105のリッジストライプ112直下以外の領域が適度な可飽和吸収体とならずに、十分な自励発振特性が得られない。また、上記リッジストライプ幅W1は狭すぎると動作電圧が増大し、広すぎるとキンクレベルが低下する。
以上のことを考慮して更に詳細な検討をした結果、良好な自励発振特性を得て戻り光雑音を回避するには、リッジストライプ幅W1を0.5〜3.0μmの範囲内で調整し、且つ、p型クラッド層の平坦部残し厚D1を10nm〜0.3μmの範囲内で調整すればよいことがわかった。
上記実施形態1では、n型ZnO単結晶基板101が基板の一例に、n型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103が第1導電型クラッド層の一例に、量子井戸活性層105が活性層の一例に、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107が第2導電型クラッド層の一例に、p型ZnOコンタクト層108が第2導電型コンタクト層の一例に、n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109が電流ブロック層の一例に、p型オーミック電極111が電極の一例にそれぞれ相当している。
また、上記n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109が電流狭窄機構の一例を形成している。そして、上記リッジストライプ112の幅W1が、電流狭窄機構で狭窄された電流路の幅の一例となっている。
上記実施形態1では、リッジストライプ幅W1は、層厚方向において一定であったが、層厚方向に異なっていてもよい。この場合、リッジストライプにおいて最も活性層に近い部分の幅を0.5〜3μmの範囲内に設定する。
上記実施形態1では、断面逆T字形状のp型クラッド層を用いていたが、断面逆T字形状以外の形状のp型クラッド層を用いてもよい。
また、上記p型コンタクト層108は、n型電流ブロック層109上面にかかるように形成してもよい。
上記実施形態1では、p型オーミック電極の活性層側の表面積は、活性層のp型オーミック電極側の表面積と同じにしていたが、活性層のp型オーミック電極側の表面積よりも小さくしてもよい。
また、井戸層の利得飽和を抑止し、且つ、井戸層内にキャリアを均一に分布させる観点上、井戸層の層厚は1〜8nmの範囲内にするのが好ましい。
また、井戸層へキャリアを効率よく閉じ込める観点上、障壁層の層厚は1〜8nmの範囲内にするの好ましい。
また、活性層内にキャリアを均一に分布させると共に、発振閾値電流の増大を防ぐ観点上、井戸層の数は1〜5の範囲内にするのが好ましい。
また、上記実施形態1では、保護膜である多層反射膜は、SiO2とTiO2とで構成したが、異なる任意の金属酸化物を交互に積層して構成してもよいし、または、異なる任意の金属窒化物を交互に積層して構成してもよい。例えば、MgO、Si3N4、Al3O3およびGa3O3などを多層反射膜の材料として用いることが出来る。
また、上記レーザ光出射端面の光反射率が高いと十分な光出力が得られず、逆に、レーザ光出射端面の光反射率が低いと、光ディスクなどで反射したレーザ光がZnO系半導体レーザ素子に大量に戻り、急激なキャリア対の生成が生じて自励発振を阻害してしまう。このため、上記レーザ光出射端面の光反射率は10〜30%の範囲内とすることが好ましい。
(実施形態2)
本実施形態2では、n型クラッド層103を2層構造とした他は、実施形態1と同様にしてZnO系半導体レーザ素子を作製した。
本実施形態2では、n型クラッド層103を2層構造とした他は、実施形態1と同様にしてZnO系半導体レーザ素子を作製した。
図4に、本実施形態2のリッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布を示す。
上記ZnO系半導体レーザ素子はn型クラッド層203を備えている。このn型クラッド層203は、厚さ1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層203aと、厚さ0.1μmのn型Mg0.12Zn0.88O第2クラッド層203bで構成している。そして、上記n型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層203aの屈折率は、n型Mg0.12Zn0.88O第2クラッド層203bの屈折率よりも大きくなっている。これにより、上記量子井戸活性層105を中心とした層厚方向の光強度分布は非対称になる。
上記ZnO系半導体レーザ素子に電流を流したところ、多モード自励発振が出力15mWまで安定に得られ、光出力が1mW〜10mW、戻り光量が0.1〜10%の範囲で、RINは−130dB/Hz以下であった。
自励発振を効率良く生ぜしめるには、活性層の利得領域外の可飽和吸収領域に導波光の裾が適度に重なって光吸収を生じる必要があり、水平方向の等価屈折率差による光閉じ込めを制御する必要がある。本実施形態2のZnO系半導体レーザ素子は、n型クラッド層を異なる屈折率の2つの層で構成することによって、層厚方向の光強度分布を意図的に非対称性にしている。これによって、水平方向等価屈折率差が自励発振を効率よく生ぜしめることが出来るように調整されたと考えられる。
上記実施形態2では、n型クラッド層を異なる屈折率の2つの層で構成していたが、n型クラッド層およびp型クラッド層の少なくとも一方を屈折率の異なる2層以上の層で構成してもよい。
(実施形態3)
本実施形態3では、SAS型ZnO系半導体レーザ素子に本発明を適用した例について説明する。
本実施形態3では、SAS型ZnO系半導体レーザ素子に本発明を適用した例について説明する。
図5に、本実施形態3のSAS型ZnO系半導体レーザ素子の構造断面図を示す。
本実施形態の半導体レーザ素子は、亜鉛面を主面としたn型ZnO単結晶基板301上に、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ0.1μmのZnOバッファ層302、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ1.0μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層303、Gaドーピング濃度が5×1017cm-3で厚さ30nmのn型ZnO光ガイド層304、ノンドープ量子井戸活性層305、Nドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層306、Nドーピング濃度が5×1018cm-3で厚さ0.1μmのp型Mg0.1Zn0.9O第1クラッド層307、Mgドーピング濃度が1×1019cm-3で厚さ10nmのGaNエッチングストップ層308、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ1.0μmのn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層309が積層されている。
上記n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層309には、エッチングによってストライプ形状の溝314が形成されている。この溝314は、GaNエッチングストップ層308の表面まで達している。つまり、上記溝314の底面は、GaNエッチングストップ層308の表面の一部となっている。また、上記溝314において基板表面に平行な方向(図5の左右方向)の幅は、量子井戸活性層305に向って徐々に狭くなり、量子井戸活性層305に最も近い部分で1.8μmとなっている。
また、上記GaNエッチングストップ層308の表面の一部上、および、n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層309上には、Nドーピング濃度が5×1019cm-3で厚さ1.1μmのp型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層310を積層している。これにより、上記p型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層310の一部が溝314を埋めて、溝314内にチャネルストライプが形成される。
また、上記p型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層310上には、Nドーピング濃度が1×1020cm-3で厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層311が形成されている。
また、上記n型ZnO基板301の下には、Alから成るn型オーミック電極312が形成され、p型ZnOコンタクト層311上にはPdから成るp型オーミック電極313が形成されている。
図6に、上記量子井戸活性層305の伝導帯バンドダイヤグラムを示す。
上記量子井戸活性層305は、厚さ5nmのZnO障壁層305a,305b,305c,305dと、厚さ6nmのCdZnO井戸層305e,305f,…,305iとが交互に積層されて成っている。上記ZnO障壁層305a,305b,305c,305dは4層ある一方、CdZnO井戸層305e,305f,…,305iは5層ある。上記CdZnO井戸層305e,305f,…,305iのうち、層厚方向の両端に位置するCdZnO井戸層305e,305iは、CdZnO井戸層305f,305g,305hに比べて組成が異なっている。これにより、上記CdZnO井戸層305e,305iのバンドギャップエネルギは、CdZnO井戸層305f,305g,305hのバンドギャップエネルギよりも小さくなっている。
本実施形態3の構造を作製後、チャネルストライプに垂直なミラー端面に保護膜を真空蒸着した後、素子を共振器長300μmに分離した。
本実施形態3のZnO系半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長405nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流が35mA、光出力5mWでの動作電圧が4Vであった。
また、上記ZnO系半導体レーザ素子の多モード自励発振は、出力10mWまで安定に得られた。
上記ZnO系半導体レーザ素子のRINを上記実施形態1と同様に測定したところ、光出力が1mW〜7mW、戻り光量が0.1〜10%の範囲内で、RINは−130dB/Hz以下であった。したがって、上記ZnO系半導体レーザ素子は、良好な低雑音特性を有することがわかった。
本実施形態3のZnO系半導体レーザ素子は、両端の井戸層の組成が他の井戸層と異なり、他の井戸層と量子準位が揃いやすい構造になっている。このため、上記実施形態1に比べて自励発振特性が向上したものと考えられる。
上記実施形態3では、n型ZnO単結晶基板301が基板の一例に、n型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層303が第1導電型クラッド層の一例に、量子井戸活性層305が活性層の一例に、n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層309が電流ブロック層の一例に、p型ZnOコンタクト層311が第2導電型コンタクト層の一例にそれぞれ相当している。そして、上記p型Mg0.1Zn0.9O第1クラッド層307とp型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層310とが、第2導電型クラッド層の一例を構成している。
また、上記n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層309が電流狭窄機構の一例を形成している。そして、上記溝314の量子井戸活性層305に最も近い部分の幅が、電流狭窄機構で狭窄された電流路の幅の一例となっている。
結婚 上記実施形態3では、CdZnO井戸層305e,305iは、他のCdZnO井戸層305f,305g,305hに比べて組成が異なるようにしていたが、他のCdZnO井戸層305f,305g,305hに比べて層厚が異なるようにしてもよい。
結婚 上記実施形態3では、CdZnO井戸層305e,305iは、他のCdZnO井戸層305f,305g,305hに比べて組成が異なるようにしていたが、他のCdZnO井戸層305f,305g,305hに比べて層厚が異なるようにしてもよい。
すなわち、井戸層の数を3以上にして、複数の井戸層のうち層厚方向の両端に位置する井戸層と、その両端以外に位置する井戸層とは、組成比および層厚の少なくとも一方が異なるようにして、複数の井戸層の量子準位をほぼ同じにしてもよい。
上記実施形態1〜3の構成を適宜組み合せて、ZnO系半導体レーザ素子を作製してもよい。
上記実施形態1〜3において、電流ブロック層は、活性層のp型オーミック電極側の端を含む平面から、p型コンタクト層のp型オーミック電極側の端を含む平面までの任意の領域、または、活性層の基板側の端を含む平面から、基板の活性層側の端を含む平面までの任意の領域に形成してもよい。
(実施形態4)
図7に、本発明の実施形態4のリッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子の模式断面図を示す。
図7に、本発明の実施形態4のリッジストライプ型ZnO系半導体レーザ素子の模式断面図を示す。
上記ZnO系半導体レーザ素子は、n型ZnO単結晶基板101、n型ZnOバッファ層102およびn型オーミック電極の代わりに、サファイア基板401、n型ZnOバッファ層402およびn型オーミック電極410を用いた他は、上記実施形態1と同様に作製した。
上記サファイ基板401は、サファイア(0001)面を主面としている。また、上記サファイア基板401は絶縁体であるため、サファイア基板401にオーミック電極を直接形成することが出来ない。したがって、成長層の一部をエッチングしてn型ZnOバッファ層402の一部を露出させ、その一部上にn型オーミック電極410を形成している。
本実施形態4のZnO系半導体レーザ素子においても、上記実施形態1と同様にパルス状の自励発振出力が得られ、自励発振最大出力は10mWまで向上できた。
本実施形態4で用いたサファイア基板401はZnOに対して面内格子定数が18%大きいので、サファイア基板401上に成長したZnO系半導体層は面内で引張応力を受ける。このため、量子井戸活性層105は歪みを内在し、バンド構造が変化して正孔の有効質量が軽減する。このことにより、自励発振周波数の増大する高出力においてもキャリアが追随し、自励発振を維持することが出来たものと考えられる。
活性層表面に引張応力を与えるには、ZnO系半導体をエピタキシャル成長出来、かつ、面内格子定数がZnO系半導体より大きな基板を用いればよい。このような基板には、サファイア(0001)面を主面とする基板の他に、NaAlO2またはNaGaO2から成る基板や、Si(111)面を主面とする基板を用いることが出来る。また、上記実施形態1と同様にZnO単結晶基板を用い、ZnO系半導体と同じ結晶構造でかつ面内格子定数が大きいInGaNでバッファ層を形成し、このバッファ層上にZnO系半導体をエピタキシャル成長してもよい。また、上記量子井戸活性層105を構成する障壁層にZnO系半導体と同じ結晶構造でかつ面内格子定数が大きい材料を用いても、井戸層に引張応力を与えることが出来る。
(実施形態5)
本実施形態5では、量子井戸活性層105を、厚さ5nmのZnO障壁層と、厚さ6nmのZn0.9Se0.1O井戸層とを交互に積層させて構成した他は、上記実施形態1と同様にしてZnO系半導体レーザ素子を作製した。なお、上記ZnO障壁層は2層ある一方、Zn0.9Se0.1O井戸層は3層ある。
本実施形態5では、量子井戸活性層105を、厚さ5nmのZnO障壁層と、厚さ6nmのZn0.9Se0.1O井戸層とを交互に積層させて構成した他は、上記実施形態1と同様にしてZnO系半導体レーザ素子を作製した。なお、上記ZnO障壁層は2層ある一方、Zn0.9Se0.1O井戸層は3層ある。
本実施形態5のZnO系半導体レーザ素子においても、上記実施形態1と同様にパルス状の自励発振出力が得られ、自励発振最大出力は10mWまで向上できた。
本実施形態5において用いたZnSeO井戸層は、価電子帯の状態密度が小さく、ZnOやCdZnOに比べキャリアの有効質量が小さい。したがって、高速変調下においてもキャリアが追随しやすくなって、高出力まで自励発振を維持出来たものと考えられる。
高出力まで自励発振を維持出来きる活性層の材料には、ZnSeOの他、ZnSOおよびZnTeOの3元II−VI族混晶半導体を用いることが出来る。但し、これら3元II−VI族混晶半導体は、Se、SおよびTeの組成比が大きくなると、長波長化と結晶性劣化が顕著となるため、ZnSeOにおいてはSe組成比は13%以下、ZnSOにおいてはS組成比が13%以下、ZnTeOにおいてはTe組成比が3%以下であることが好ましい。
上記実施形態1〜5において、ZnSeO、ZnSOおよびZnTeOのうちの少なくとも1つの3元ZnO系混晶半導体を含む活性層を用いてもよい。
また、上記実施形態1〜5において、p型コンタクト層またはp型電極の活性層側の表面積を、活性層のp型電極側の表面積よりも小さくしてもよい。
例えば、上記実施形態1において、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107,p型ZnOコンタクト層108の代わりに、図8に示すように、リッジストライプ形状を有さない平板形状のp型MgZnOクラッド層507,p型ZnOコンタクト層508を用いていもよい。この場合、上記p型ZnOコンタクト層508上に、ストライプ形状の溝を有するSiO2絶縁体膜512を形成した後、その溝を埋めるようにストライプ形状のp型オーミック電極511を形成する。
または、上記実施形態1において、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層107,p型ZnOコンタクト層108の代わりに、図9に示すようなリッジストライプ形状を有するp型MgZnOクラッド層607,p型ZnOコンタクト層608を用いていもよい。この場合、上記実施形態1で用いたn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層109は形成しないで、Si2絶縁膜612を形成する。このSi2絶縁膜612は、p型MgZnOクラッド層607の上面と、p型MgZnOクラッド層607およびp型ZnOコンタクト層608の側面とを覆っている。また、上記p型ZnOコンタクト層608上には、ストライプ形状のp型オーミック電極611を形成する。
なお、本発明の酸化物半導体レーザ素子が備える層の材料が、上記実施形態1〜5に限定されないのは言うまでもない。
また、本発明の酸化物半導体レーザ素子は低雑音であるから、例えば高密度光記録に好適に用いることができる。
105,305 量子井戸活性層
Claims (14)
- 酸化物半導体を含む活性層を備え、自励発振することを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
- 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
基板上に、少なくとも、第1導電型クラッド層、上記活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電極が順次積層され、
上記活性層に供給する電流を狭窄する電流狭窄機構を備え、
上記第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層および電流狭窄機構はZnO系半導体を含み、
上記活性層は、利得領域と、この利得領域の両側に位置する可飽和吸収領域とを有することを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項2に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記電流狭窄機構で狭窄された電流路の幅は0.5〜3.0μmの範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記活性層は、井戸層と障壁層との交互積層によって構成された量子井戸構造を含むことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項4に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記井戸層の層厚は1〜8nmの範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項4に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記障壁層の層厚は1〜8nmの範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項4に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記井戸層の数は1〜5の範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項7に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記井戸層の数は3以上であり、
上記複数の井戸層のうち層厚方向の両端に位置する上記井戸層は、上記両端以外に位置する上記井戸層と組成比および層厚の少なくとも一方が異なることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項4に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記活性層は、上記井戸層の表面が引張応力を受けている歪量子井戸活性層であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項2に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記活性層は、ZnSeO、ZnSOおよびZnTeOのうちの少なくとも1つの3元ZnO系混晶半導体を含むことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項2に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記電流狭窄機構は、上記活性層の上記電極側の端を含む平面から、上記第2導電型コンタクト層の上記電極側の端を含む平面までの任意の領域、または、上記活性層の上記基板側の端を含む平面から、上記基板の上記活性層側の端を含む平面までの任意の領域に形成された電流ブロック層を含み、
上記第2導電型クラッド層の上記活性層側の端と、上記電流ブロック層の上記活性層側の端との間は、層厚方向に平行な距離が10nm〜0.3μmの範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項2に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記第2導電型コンタクト層または上記電極の上記活性層側の表面積は、上記活性層の上記電極側の表面積よりも小さいことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記活性層からのレーザ光を出射するレーザ光出射端面の光反射率は10〜30%の範囲内であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。 - 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
上記第1導電型クラッド層および上記第2導電型クラッド層の少なくとも一方は屈折率の異なる2層以上の層から成り、
上記活性層を中心とした層厚方向の光強度分布は非対称性を有することを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
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