JP2005037583A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に中間層、感光層とを有する電子写真感光体において、該中間層が下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物、Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物、Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる電子写真感光体、及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体(以下単に感光体とも云う)はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体が開発されている。
【0003】
近年では電荷発生と電荷輸送の機能を異なる材料に担当させた機能分離型の感光体が主流となっており、なかでも電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層型の有機感光体が広く用いられている。
【0004】
一方、近年の電子写真方式の画像形成方法は、パソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さから、LEDやレーザを像露光光源とするデジタル方式の画像形成方式が急激に浸透しており、デジタル方式の高画質の電子写真画像を作製する技術が開発されている。例えば、スポット面積の小さいレーザ光で像露光を行い、ドット潜像の密度を上げて、高精細の潜像を形成し、該潜像を小粒径トナーで現像し、高画質の電子写真画像を作製する技術が公開されている(特許文献1)。
【0005】
更に、最近のデジタル複写機,プリンター等の電子写真装置は小型,高速化が進み、感光体特性として高速化に対応した高感度化と、耐摩耗性向上による長寿命化の両方が要求されている。
【0006】
しかしながら、これらの高感度、高速性の電荷発生物質や電荷輸送物質を用いると帯電性や感度の安定性が劣化しやすいという問題が発生している。即ち、高温高湿環境下や低温低湿環境下で帯電電位が低下したり、残留電位が増加したりしやすいと云う問題が発生している。
【0007】
即ち、これらの帯電電位や感度の安定性の劣化は、反転現像において、感光体上の未露光部電位(VH)と露光部電位(VL)の差を小さくし、画像濃度を低下させると同時に、未露光電位(VH)と、感光体と現像スリーブ間の直流バイアス電位(VDC)の電位差も小さくなり、黒ポチ等の画像欠陥を発生させやすい。
【0008】
上記帯電電位の安定化及び黒ポチ等の画像欠陥の問題を解決するため、有機感光体に中間層を用いる技術が開発されている。例えば、導電性基体と感光層の間に中間層を設け、該中間層には酸化チタン粒子を樹脂中に分散した構成を有する有機感光体が知られている。又、表面処理を行った酸化チタンを含有させた中間層の技術も知られている。例えば、酸化鉄、酸化タングステンで表面処理された酸化チタン(特許文献2)、アミノ基含有カップリング剤で表面処理された酸化チタン(特許文献3)、有機ケイ素化合物で表面処理された酸化チタン(特許文献4)、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された酸化チタン(特許文献5)、金属酸化物、或いは有機化合物で表面処理された樹枝状酸化チタン(特許文献6)を用いた中間層を有する有機感光体が提案されている。
【0009】
しかし、これらの技術を用いても高温高湿等の厳しい環境下では、尚、黒ポチの発生防止が十分でなく、或いは、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇、露光部電位の上昇が起こり、画像濃度が十分得られないといった問題が発生している。
【0010】
更に、酸化チタンの結晶構造をより正確に制御し、前記した黒ポチの発生や繰り返し使用に伴う残留電位の上昇、露光部電位の上昇を改善しようとする提案が為されている。例えば、アナターゼ形酸化チタン顔料(以後、アナターゼ形酸化チタン、アナターゼ形酸化チタン粒子とも云う)を含有する中間層が提案されている(特許文献7)。アナターゼ形酸化チタンは、ルチル形酸化チタンに比し、体積抵抗が低く、この為中間層膜厚を厚めに構成でき、その厚みで、導電性支持体上の凹凸を隠蔽することにより、導電性支持体からの電荷注入を阻止しやすい反面、帯電電位の暗減衰を増大し、反転現像でのカブリの増加を起こしやすい傾向にあり、該特許文献にはこのような相反する課題の解決策が尚、不十分である。
【0011】
例えば、酸化チタン粒子等をポリアミド樹脂に分散させて中間層を形成する方法は、広く知られている。しかし、この場合のポリアミド樹脂として通常用いられる主に、6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂は、吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿下の帯電特性等が変化しやすく、又黒ポチも発生しやすい。
【0012】
アミド結合間の炭素鎖の多い構成単位から構成される共重合ポリアミド樹脂、例えば12−ナイロン系樹脂は、吸水率が低い為、環境依存性が低い感光体を作るのに有効な材料であると予想される。しかし、このようなポリアミドは通常の有機溶媒には不溶で、感光体の製造には適さない。又、メトキシメチル化により溶解性を向上させて用いる例(特許文献8、9)があるが、メトキシメチル化は著しく吸水率を増加させる為、黒ポチや環境メモリの発生を防止することは難しい。
【0013】
又、Si含有含有ガラス質ネットワークサブユニット、可曉性有機サブユニット、光電特性サブユニットを有する化合物(特許文献10)や有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分、酸化防止構造成分を有する樹脂層を最上層に適用した報告がなされている(特許文献11)が、前記した課題を解決する為に、これらの樹脂を中間層に適用した報告はなされていない。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−255685号公報
【0015】
【特許文献2】
特開平4−303846号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平9−96916号公報
【0017】
【特許文献4】
特開平9−258469号公報
【0018】
【特許文献5】
特開平8−328283号公報
【0019】
【特許文献6】
特開平11−344826号公報
【0020】
【特許文献7】
特開平11−327188号公報
【0021】
【特許文献8】
特開平5−72787号公報
【0022】
【特許文献9】
特開平6−186767号公報
【0023】
【特許文献10】
特開平11−316468号公報
【0024】
【特許文献11】
特開2002−236382号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温高湿環境や低温低湿環境下において、帯電電位や残留電位の変動が小さく、黒ポチやモアレ等の画像欠陥の発生を防止し、画像濃度が高く、鮮鋭性が良好な電子写真画像を作製できる電子写真感光体を提供することであり、又、高感度、高速性の電荷発生物質や電荷輸送物質を用いた場合に発生しやすい帯電電位や残留電位の変動を小さくし、黒ポチやモアレ等の画像欠陥の発生を防止し、画像濃度が高く、鮮鋭性が良好な電子写真画像を作製できる電子写真感光体を提供することであり、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記高温高湿環境や低温低湿環境下において、帯電性及び感度が安定し、帯電電位や残留電位の変動が小さく、黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止するには、導電性支持体と感光層の間に、電荷キャリアに対し整流性を有する物質を含有させ、且つ温湿度変動に対しても安定した整流特性を示し、導電性支持体からの電荷注入に対し高いブロッキング効果を発揮できる中間層を設置することが有効であることを見いだし本発明を達成した。即ち本発明の目的は下記のような構成を取ることにより達成される。
【0027】
1.導電性支持体上に中間層、感光層とを有する電子写真感光体において、該中間層が下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0028】
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
2.前記X成分が表面に反応性基を有する無機酸化物粒子であることを特徴とする前記1に記載の電子写真感光体。
【0029】
3.前記無機酸化物粒子がTiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3のいずれか1つの粒子であることを特徴とする前記2に記載の電子写真感光体。
【0030】
4.前記TiO2粒子がアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする前記3に記載の電子写真感光体。
【0031】
5.前記無機酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0032】
6.前記Y成分がカップリング剤であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0033】
7.前記カップリング剤がチタンカップリング剤又はシランカップリング剤であることを特徴とする前記6に記載の電子写真感光体。
【0034】
8.前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0035】
9.前記Z成分が反応性セグメントであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0036】
10.前記反応性セグメントが低重合度のビニル系樹脂であることを特徴とする前記9に記載の電子写真感光体。
【0037】
11.前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物及び反応性セグメントの併用であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0038】
12.前記中間層の膜厚が0.2〜20μmであることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0039】
13.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に中間層、感光層とを有し、該中間層が前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する電子写真感光体と該電子写真感光体上を一様に帯電する帯電手段、該電子写真感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該電子写真感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0040】
14.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が導電性支持体上に中間層、感光層とを有し、該中間層が前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置。
【0041】
15.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、前記14の画像形成装置を用い、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0042】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に中間層、感光層とを有する電子写真感光体において、該中間層が下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする。
【0043】
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
本発明の電子写真感光体は上記構成を有することにより、感度や残留電位の環境依存性が小さく、高温高湿の環境から低温低湿の環境へ、使用条件が急に変化したとしても、安定した画像が得られ、又、反転現像でデジタル画像を形成するに際して、黒ポチやモアレ等の画像欠陥の発生が、どのような環境でも防止され、画像濃度が高く、鮮鋭性が良好な電子写真画像を形成できる。
【0044】
本発明のX成分、Y成分、Z成分に共通のネットワーク形成化合物とは、X成分、Y成分、Z成分のそれぞれの化合物が相互に化学反応をして、三次元の結合形態を有する化合物(中間層の樹脂構造)を形成できる化合物を意味する。
【0045】
本発明のX成分、即ち、無機酸化物ネットワーク形成化合物としては、表面に前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物やZ成分のバインダーネットワーク形成化合物と化学反応を可能とする水酸基やアミノ基を有する無機酸化物粒子が好ましい。このような無機酸化物としては、例えば、表面処理をしていない酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
【0046】
無機酸化物粒子は数平均一次粒子径が5〜400nmの範囲の微粒子が好ましい。特に、10nm〜200nmが好ましい。数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0047】
前記酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型及びアモルファス型等があるが、中でもアナターゼ形酸化チタン顔料が本発明の無機酸化物粒子として最も好ましい。
【0048】
本発明のY成分、即ち、金属原子含有有機ネットワーク形成化合物としては前記無機酸化物粒子の表面に存在する水酸基等の反応基又はZ成分のバインダーネットワーク形成化合物と反応するカップリング剤が好ましい。中でも、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、或いはアルミニウムカップリング剤等が好ましい。
【0049】
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアシルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が用いられる。
【0050】
アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が用いられる。
【0051】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。
【0052】
X成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物はあらかじめ上記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物で処理をし、該表面処理されたX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を用いて、後述するZ成分と反応させてもよい。この場合X成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物の表面処理は以下の様な湿式法で行うことできる。
【0053】
即ち、有機溶剤や水に対して前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を溶解または懸濁させた液にX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を添加し、この混合液を数分から1昼夜程度メディア分散し、必要により混合液に加熱処理を施して、表面をY成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物で被覆したX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物分散液を得ることもできる。なお、有機溶剤や水に対してX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を分散させた懸濁液に前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を添加しても構わない。
【0054】
尚、前記表面処理に用いられるY成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にてX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物100質量部に対し、Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは0.1〜40質量部用いることが好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内におけるX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物の整流作用や分散性等が悪くなる。また、表面処理量が上記範囲を超えてしまうと、電子写真特性を劣化させ、その結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0055】
本発明のZ成分、即ち、バインダーネットワーク形成化合物としては、X成分の無機酸化物粒子やY成分のカップリング剤と反応できる反応基を有し、且つバインダー成分として機能できる樹脂化が可能な化合物、オリゴマー、セグメント成分等が用いられる。
【0056】
本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物としてはシロキサン縮合体(シロキサン結合が複数個、三次元的に連なった構造を有する縮合体)を形成できる下記一般式(1)で示され反応性有機ケイ素化合物が好ましい。
【0057】
一般式(1) RnSi(Z)4−n
(式中、Rは式中のケイ素に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Zは水酸基又は加水分解性基を表す。nは0〜3の整数)
上記一般式(1)中のZは加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。Rに示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基等を挙げることができる。Rnのnが2又は3の時はこれら同一ケイ素原子に結合する複数の有機基は互いに同一でも良く、異なっていても良い。
【0058】
又、本発明のシロキサン縮合体成分を製造するに際し、前記一般式(1)で示される反応性有機ケイ素化合物を2種以上用いる場合はそれぞれの反応性有機ケイ素化合物のRは同一でも良く、異なっていてもよい。
【0059】
一般式(1)で示される反応性有機ケイ素化合物の具体例としては以下のような化合物が挙げられる。
【0060】
即ち、nが0の化合物例としては、テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0061】
nが1の化合物例としては、トリクロロシラン、クロロメチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、1,2−ジブロモエチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、トリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、4−クロロフェニルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、6−トリクロロシリル−2−ノルボルネン、2−トリクロロシリルノルボルネン、メチルトリアセトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−アミノエトキシ)シラン、β−フェネチルトリクロロシラン、トリアセトキシビニルシラン、2−(4−シクロヘキシルエチル)トリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、トリエトキシビニルシラン、エチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルフェニルエチルトリクロロシラン、2−フェニルプロピルトリクロロシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、デシルトリクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、ジイソプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、3−ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)−2−メトキシエトキシメチルシラン、3−(2−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリエトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、ベンジルトリエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)ブトキシメチルシラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、テトラデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドコシルトリクロロシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシルシリルプロピルアンモニウムクロライド、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン等が挙げられる。
【0062】
nが2の化合物例としては、クロロメチルメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、ブチルメチルジクロロシラン、ビス(2−クロロエトキシ)メチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルジクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、メチルペンチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、フェニルビニルジクロロシラン、6−メチルジクロロシリル−2−ノルボルネン、2−メチルジクロロシリルノルボルネン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、ジエトキシジビニルシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、アリルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、メチル−β−フェネチルジクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、2−(4−シクロヘキセニルエチル)メチルジクロロシラン、メチルオクチルジクロロシラン、ジエトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメチルシリルエチル)ジチオフォスフェート、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−(2−エトキシエチルチオプロピル)メチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエチル−2−トリメチルシリルメチルチオエチルフォスファイト、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルシランジオール、ジヘキシルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルプロポキシシラン、ジメトキシメチル−3−(4−メチルピペリジノプロピル)シラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシフェニル−2−ピペリジノエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシドデシルメチルシラン、メチルオクタデシルジクロロシラン、ジフェニルメトキシ−2−ピペリジノエトキシシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0063】
三次元構造の架橋構造を有するシロキサン縮合体成分の原料として用いられる前記反応性有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数(4−n)のnが3のとき、反応性有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制される。nが0、1又は2のときは高分子化反応が起こりやすく、特に1或いは0では高度に架橋反応を進めることが可能である。従って、これらをコントロールすることにより得られる塗布層液の保存性や塗布膜の硬度等を制御することが出来る。
【0064】
又、本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物の他の例としては、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と反応でき、且つ樹脂構造を形成できる反応性セグメントが挙げられる。ここで、セグメントとは本発明の中間層の最終的な樹脂構造を形成する為に用いられる低重合度の重合体を云う。
【0065】
該反応性セグメントとしては、例えば、連鎖重合性単量体中に該連鎖重合性単量体と重合反応を行う重合性シラン化合物を共存させ、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と反応でき、且つ樹脂構造を形成できるシリル基を有するビニル系樹脂セグメントが挙げられる。
【0066】
即ち、連鎖重合性単量体と共に、下記一般式(2)の重合性シラン化合物を共存させ重合を進行させることにより、連鎖重合成分中にシリル基を導入したシリル基含有ビニル系樹脂を形成でき、このビニル系樹脂に導入されたシリル基により、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と化学反応が可能となる。特に、該シリル基含有ビニル系樹脂を前記したシロキサン縮合体を形成できる前記一般式(1)で示され反応性有機ケイ素化合物と共に用いると、この2つのZ成分から形成されるバインダー成分はビニル樹脂の有機セグメント(連鎖構造中に炭素原子を含むセグメント)とシロキサン縮合体成分の無機セグメント(ケイ素と酸素の連鎖構造を有する)が共存する樹脂構造を形成し、基体との接着性及び前記した無機酸化物粒子の分散性に優れ、繰り返し特性及び黒ポチ防止特性に優れた中間層バインダー樹脂を形成することができる。又、この2つのZ成分から形成されるバインダー樹脂を有する中間層の感光体は中間層の膜厚を厚くしても、残留電位や帯電電位が安定しており、導電性支持体の表面粗さが数μmの範囲であったとしても、導電性支持体表面を十分に被覆でき、黒ポチ等を十分に防止できる。
【0067】
【化1】
【0068】
一般式(2)において、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、R4は重合性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。
【0069】
上記一般式(2)の重合性シラン化合物としては、シリル基、特に加水分解性を有するシリル基を有し、後述の各種連鎖重合性単量体と重合可能な化合物であれば特に制限されず、例えば、CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3、CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3、
【0070】
【化2】
【0071】
等が挙げられる。これらの重合性シラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
上記一般式(2)の重合性シラン化合物と共にビニル系樹脂セグメントを形成する連鎖重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどからなるグループから選ばれる1またはそれ以上のビニル系連鎖重合性単量体を用いることが好ましい。又、水酸基を含むビニル系連鎖重合性単量体(モノマー)、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなども用いることができる。
【0073】
又、本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物としては、前記ビニル系樹脂セグメントを構成できるビニル系連鎖重合性単量体として、酸化防止サブユニット形成化合物を用いてもよい。
【0074】
ここで、酸化防止サブユニットとはオゾン、NOx等の活性ガス、或いは紫外線等の光照射により引き起こされる酸化又は還元耐性を有する基を意味する。
【0075】
バインダー樹脂に酸化防止機能を付与するには、樹脂構造の一部に、サブユニット(部分構造)としてヒンダードアミン、或いはヒンダードフェノール等の酸化防止サブユニットを取り込むことで達成される。
【0076】
即ち、ビニル系樹脂セグメントを構成する前記一般式(2)の重合性シラン化合物、
ビニル系連鎖重合性単量体と共に、酸化防止サブユニット形成化合物を用いて重合反応を行ない、酸化防止サブユニットを有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントを形成し、その後該ビニル系樹脂セグメントのシリル基を介して、X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物、或いは前記したシロキサン縮合体と化学結合をすることが出来る。
【0077】
ここで、ヒンダードアミン基とはアミン化合物のアミノ基のN原子近傍に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。立体障害性の基としては分岐状アルキル基、炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0078】
又、ヒンダードフェノール基とはフェノールの水酸基に対しオルト位置に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。立体障害性の基としては分岐アルキル基、或いは炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0079】
ビニル系樹脂セグメントにヒンダードアミン基、或いはヒンダードフェノール基をサブユニット(部分構造)として導入するには、前記一般式(2)の重合性シラン化合物、ビニル系連鎖重合性単量体と共に、酸化防止サブユニット形成化合物として、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物(単量体)或いはヒンダードフェノール化合物(単量体)を共存させ、これらの共存組成物の重合を行うことにより、ビニル系樹脂セグメント中にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を導入することができる。
【0080】
このような重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物としては、重合性不飽和基を含有する立体障害アミン化合物が好ましく、なかでも重合性不飽和基を含有する立体障害ピペリジン化合物(以下、「ピペリジン系モノマー」ともいう。)が特に好ましい。ピペリジン系化合物の代表的なものとしては、例えば下記一般式(A)で表される化合物を挙げることができる。
【0081】
【化3】
【0082】
一般式(A)において、R5は水素原子またはシアノ基を示し、R6およびR7は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、Xは酸素原子またはイミノ基を示し、Yは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または下記一般式(B)で表される重合性不飽和基を示す。
【0083】
【化4】
【0084】
一般式(B)において、R8およびR9は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。
【0085】
一般式(A)におけるXのイミノ基中の水素原子は、置換されても置換されていなくてもよい。また、一般式(A)におけるYのうち、炭素数1〜18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。
【0086】
上記、一般式(A)のピペリジン系化合物のうち、好ましい化合物は、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等であり、なかでも4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが特に好ましい。
【0087】
又、重合性不飽和基を有するヒンダードフェノール化合物としては、重合性不飽和基を含有するヒンダードフェノール化合物が好ましく、例えば下記のような化合物を挙げることができる。即ち、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル等が挙げられる。
【0088】
又、前記ヒンダードアミン系或いはヒンダードフェノール系の酸化防止サブユニット形成化合物(重合性不飽和基を有する化合物)以外の化合物の例としては、フェニルサリチル酸(メタ)アクリレート、t−ブチルフェニルサリチル酸(メタ)アクリレート等のサリチル酸化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−t−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明において、前記酸化防止サブユニット形成化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。又、「ヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し」とはヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基の少なくとも一方を有することを意味し、両方の基を有していても良い。
【0089】
ここで、ヒンダードアミン基又はヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性された(シリル基を有する)ビニル系樹脂セグメントの合成例を記載する。
【0090】
(ビニル系樹脂セグメントA溶液の合成例:ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントA溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、4−メタクロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン1部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート29部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードアミン基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントA溶液を得た。
【0091】
(ビニル系樹脂セグメントB溶液の合成例:ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントB溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート2部、メタクリル酸メチル70部、n−ブチルアクリレート40部、アクリル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13部、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド1部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントB溶液を得た。
【0092】
(ビニル系樹脂セグメントC溶液の合成例:シリル変性されたビニル系樹脂セグメントC溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート30部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%のシリル基を有するビニル系樹脂セグメントC溶液を得た。
【0093】
上記合成例A、Bに示したように重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、重合性シラン化合物及びビニル系連鎖重合性単量体を共存させ重合することにより、側鎖にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントを合成する事が出来る。
【0094】
上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントの重合度は特に制限されないが、10〜500であることが望ましい。
【0095】
次に、上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントA、B、Cにシロキサン縮合体成分を形成することにより、本発明の樹脂構造を有する中間層を形成できる。即ち、上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントと前記したような反応性有機ケイ素化合物を用いて、シリル基を有するビニル系樹脂セグメントのシリル基にシロキサン縮合体成分を形成する。このシロキサン縮合体成分の形成は中間層形成と同時に行ってもよいが、予め中間層溶液でシリル基末端にシロキサン縮合体成分を形成して、中間層形成を行ってもよい。
【0096】
本発明の中間層はX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有するが、該化合物は中間層中で、各X成分、Y成分、及びZ成分が相互に化学結合により結合して形成されている。
【0097】
前記化合物を構成するX成分、Y成分、及びZ成分の質量比はX成分1に対し、Y成分0.001〜0.5、Z成分0.25〜4の質量比で構成されていることが好ましい。X成分の質量比が少ないと、繰り返しの画像形成で、残留電位が増大しやすく、反転現像で画像濃度が低下しやすい。X成分が多すぎると、中間層の上に設置される電荷発生層の塗布性が劣化し、均一な膜形成ができない。又、Z成分の質量比が多くても、少なくても繰り返し使用時の電子写真特性(帯電、感度、残留電位特性等)が劣化しやすい。
【0098】
次に、本発明の中間層の製造方法について記載する。
本発明において中間層は上記のような中間層が形成されればいかなる方法によって形成されてよい。以下に、代表的な本発明の中間層の製造方法について記載する。
【0099】
本発明の中間層はX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物を塗布液とし、該塗布液を導電性支持体上に塗布した後、硬化することにより形成することができる。
【0100】
当該硬化によって、X成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物は各X成分、Y成分、及びZ成分のそれぞれの反応性基を介して、化学的に結合し、これによって導電性支持体からの電荷注入を良好に防止する整流性が良好な中間層を形成することができる。
【0101】
上記塗布液中、或いは塗布液生成過程で金属キレート化合物を添加することが好ましい。ここで金属キレート化合物は、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムの群から選ばれる金属のキレート化合物である(以下、金属キレート化合物(III)という)。金属キレート化合物(III)は、前記の反応性有機ケイ素化合物とシリル基を有するビニル系樹脂セグメントとの加水分解および/または部分縮合反応を促進し、3成分の共縮合物の形成を促進する作用をなすものと考えられる。
【0102】
このような金属キレート化合物(III)の例としては、一般式(3)、(4)、(5)で表される化合物、あるいはこれらの化合物の部分加水分解物が挙げられる。
【0103】
一般式(3) Zr(OR5)p(R6COCHCOR7)4−p
一般式(4) Ti(OR5)q(R6COCHCOR7)4−q
一般式(5) Al(OR5)r(R6COCHCOR7)3−r
一般式(3)、(4)、(5)におけるR5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基、具体的には、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等を示し、R7は、R5およびR6と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基等を示す。また、pおよびqは0〜3の整数、rは0〜2の整数である。
【0104】
このような金属キレート化合物(III)の具体例としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタンキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらの化合物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。これらの金属キレート化合物(III)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0105】
金属キレート化合物(III)の添加量は、X成分、Y成分、及びZ成分を含有する塗布液固形分(塗布液固形分とは塗布液を乾燥した後、残留する成分)の全質量に対する配合量が0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%となるような量である。金属キレート化合物(III)の量が少なすぎると樹脂の3次元化が達成されないおそれがあり、一方、多すぎると塗液のポットライフが悪化する。
【0106】
中間層の塗布液を塗布した後の硬化条件は、使用されるX成分、Y成分、及びZ成分の反応性に依存するが、60〜150℃にて30分〜6時間の乾燥を行わせるのが好ましい。
【0107】
これらの硬化反応を促進するためには有機溶媒が存在することが好ましい。ここで使用可能な有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。有機溶媒の使用量は反応性有機ケイ素化合物に対して限定されるものではなく、使用目的に応じて調製される。
【0108】
硬化反応促進させる溶媒としては反応性有機ケイ素化合物、シリル基を有するビニル系樹脂セグメントを均一に溶解させる溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒としてはアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが用いられるが、特に下記に例示ような溶媒が好ましい。
【0109】
アルコール系溶媒としては炭素数1〜4のアルコール、即ちメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールが好ましく用いられる。
【0110】
非アルコール系溶媒としてはエチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶媒が好ましく用いられる。
【0111】
上記中間層塗布液中には、更に、硬化促進剤必要により添加することができる。
【0112】
硬化促進剤としては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17)2、Sn(OCOCC8H17)2、などのカルボン酸型有機スズ化合物;(C4H9)2Sn(SCH2COO)2、(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COO)2、(C8H17)2Sn(SCH2CH2COO)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2CH2CH2OCOCH2S)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOC12H25)2、(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnO、(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、エチルシリケート40、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。
【0113】
上記塗布液中の硬化促進剤の添加量は、塗布液固形分(固形分とは塗布液成分中の乾燥後に残留する成分を意味する)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜100質量部である。これらの量が少なすぎると膜の強度が低下するおそれがあり、一方、多すぎると塗液のポットライフが悪化する。
【0114】
本発明においては、中間層塗布液の全固形分濃度を調整し、併せて粘度も調整するために、有機溶媒を使用することができる。このような有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類等の有機溶剤を使用することが好ましい。前記アルコール類としては、例えば1価または2価のアルコールを挙げることができ、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。これらのうち、炭素数1〜8の1価の飽和脂肪族アルコールが好ましい。また、前記芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、前記エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができ、前記エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、炭酸プロピレン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上を混合して使用することができる。有機溶媒の添加方法は特に限定されるものではなく、本発明の表面保護液を調製する際および/または調製後の適宜の段階で添加することができる。
【0115】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層であることが好ましい。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108以上である。本発明の中間層の体積抵抗は1×108〜1015Ω・cmが好ましく、1×109〜1014Ω・cmがより好ましく、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmである。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0116】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得らにくい。
【0117】
尚、本発明のX成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物がX成分、Y成分、Z成分のそれぞれの化合物が相互に化学反応をして、三次元の結合形態を有する化合物(中間層の樹脂構造)を形成できていることの検証は、X成分、Y成分、Z成分を有する組成物の中間層或いは保護層の塗布液溶媒への溶媒溶解性や熱力学的検証、例えばガラス転移点(Tg)の消滅等で行なうことができる。
【0118】
本発明の中間層の膜厚は、0.2〜20μmが好ましい。更に1〜18μmの膜厚がより好ましい。このような膜厚を持つことにより、黒ポチを防止でき且つ繰り返し使用時の良好な電子写真特性(帯電、感度、残留電位特性等)を得ることができる。
【0119】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0120】
本発明の感光体としては本発明の目的からは有機電子写真感光体(有機感光体とも云う)に本発明の中間層を適用することが好ましい。
【0121】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0122】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0123】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0124】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0125】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0126】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0127】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。
【0128】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0129】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0130】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−KαX線に対するX線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン(オキシチタニルフタロシアニン)、同2θ±0.2において、7.5°、28.5°に顕著なピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θ±0.2において、12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0131】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0132】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0133】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0134】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0135】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0136】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0137】
表面層
感光体の表面層(保護層)として、シロキサンポリカーボネートや架橋タイプのシロキサン系樹脂をバインダーとした層を設けてもよい。
【0138】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0139】
感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0140】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0141】
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図1は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【0142】
図1に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、本発明の中間層を有する有機感光層をドラム上に塗布した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0143】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0144】
ここで本発明の反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0145】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0146】
現像剤は、例えばフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、スチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図1のように現像位置上部に設けて行う。
【0147】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0148】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0149】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図1では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0150】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0151】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0152】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0153】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0154】
感光体1の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、中間層を形成した。
【0155】
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を前記円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚2μmの本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層宇塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0156】
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0157】
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0158】
感光体2の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液の酸化チタンの粒径を35nmから15nmのアナターゼ形酸化チタン顔料に代えた他は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体2を作製した。
【0159】
感光体3の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液の酸化チタンの粒径を35nmから180nmのアナターゼ形酸化チタン顔料に代えた他は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体3を作製した。
【0160】
感光体4の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のビニル系樹脂セグメントA溶液をビニル系樹脂セグメントB溶液(ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントB溶液)に代えた以外は感光体1と同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を含有する感光体4を作製した。
【0161】
感光体5の作製
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代えた以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体5を作製した。
【0162】
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に塗布し、中間層を形成した。
【0163】
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部を添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚10μmの本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0164】
感光体6の作製
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代えた以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体6を作製した。
【0165】
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に塗布し、中間層を形成した。
【0166】
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部を添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚18μmのX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0167】
感光体7の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分の酸化チタンをアナターゼ形酸化チタンからルチル形酸化チタン(数平均一次粒子径:35nm)に代え、Z成分のビニル系樹脂セグメントA溶液をビニル系樹脂セグメントC溶液(シリル変性されたビニル系樹脂セグメントC溶液)に代えた以外は感光体1と同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体7を作製した。
【0168】
感光体8
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化亜鉛(数平均一次粒子径:100nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体8を作製した。
【0169】
感光体9
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化ジルコニウム(数平均一次粒子径:350nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体9を作製した。
【0170】
感光体10
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化アルミニウムAl2O3(数平均一次粒子径:35nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有し乾燥膜厚が18μmの中間層を有する感光体9を作製した。
【0171】
感光体11
感光体1の作製において、中間層塗布液のZ成分−1を除去し、Z成分−2を70部から140部に、Z成分−3を30部から60部にに変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有し乾燥膜厚が1μmの中間層を有する感光体9を作製した。
【0172】
感光体12(比較用感光体)
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代えた以外は同様にして、比較用の感光体12を作製した。
【0173】
ポリアミドをイソプロピルアルコールで加温溶解後、酸化チタンを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層塗布液を作製した。該中間層塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、乾燥膜厚2.0μmの中間層を形成した。
【0174】
感光体13(比較用感光体)
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分:酸化チタンを除き、乾燥膜厚を2.0μmに代えた以外は感光体1と同様にして、比較用の感光体13を作製した。
【0175】
尚、前記感光体1〜13の作製と同時に、各感光体の中間層塗布液を用いて、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレート支持体上に各中間層塗布液を塗布し、前記感光体の乾燥条件と同じ条件で乾燥膜厚10μmの中間層を形成して体積抵抗測定用試料を作製し、各中間層の体積抵抗を測定した。その結果、感光体1〜13の中間層の体積抵抗は全て1×108以上であった。又、同時に各中間層の塗布液溶媒への溶媒溶解性を検証したが、感光体12の中間層を除く全ての中間層が塗布液溶媒へ溶解せず、これらの中間層が三次元構造の架橋構造を有していることが示された。一方、感光体12の中間層は、塗布液溶媒への溶解性を示し、中間層形態が徐々に溶解していった。
【0176】
表1に各感光体中間層のX成分、Y成分、Z成分及び膜厚をまとめて表示する。
【0177】
【表1】
【0178】
評価
得られたサンプルをコニカ(株)製の反転現像方式デジタル複写機「Konica7085」改造機(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器(波長680nm)、反転現像手段を有するA4紙85枚/分機)に搭載し、帯電器のグリッド電圧を−750Vに調整し、電位評価、画像濃度、カブリ、黒ポチ、モアレ、鮮鋭性の評価は下記のようにして行った。
低温低湿(LL:10℃20%RH)、常温常湿(NN:20℃60%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)にて、各環境毎に、A4紙、各1万枚の連続コピー画像を作製し、画像評価を行った。又、高温高湿(30℃80%RH)の未露光部電位VHH、露光部電位VHLおよび低温低湿(10℃20%RH)の未露光部電位VLH、露光部電位VLLを測定し、|ΔVH|(VHH−VHLの絶対値)及び|ΔVL|(VLH−VLLの絶対値)を算出した。尚、上記電位評価は各環境条件での1万枚の連続コピー終了後、直ちに電位計で測定した。又、画像濃度、カブリ、黒ポチ、モアレ、鮮鋭性の評価は下記のようにして行った。
【0179】
「Konica7085」改造機の作動条件
感光体のラインスピード;420mm/秒
像露光工程から現像工程までの移動時間;0.108秒
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器(負帯電)
帯電電位の目標;−750V
露光条件
べた黒画像電位の目標;−50V
露光ビーム;レーザは680nmの半導体レーザを使用
現像条件
現像剤は、Konica7085用現像剤を使用した。
【0180】
転写条件
転写極;コロナ帯電方式(正帯電)
分離条件
分離爪ユニットの分離手段を用いた。
【0181】
クリーニング条件
クリーニングブレードをカウンター方向に当接したクリーニング手段を用いた。
【0182】
評価項目及び評価基準
残留電位の評価(べた黒画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の複写を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた黒画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し残留電位の上昇が小さい。
【0183】
◎;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V以上、150V以下(実用上問題なし)
×;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
帯電電位の評価(べた白画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の複写を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた白画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し帯電電位の変化が小さい。
【0184】
◎;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V以上、150V以下(実用上問題なし)
×;べた白画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
画像濃度;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
【0185】
◎:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.2より高い(良好)
○:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.0以上、1.2以下(実用上問題なし)
×:低温低湿、高温高湿の何れかで黒ベタ画像が1.0未満(実用上問題あり)
カブリ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
カブリ濃度はべた白画像をマクベス社製RD−918を使用し反射濃度で測定した。該反射濃度は相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.000とする)で評価した。
【0186】
◎;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010未満(良好)
○;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010以上、0.020以下(実用上問題ないレベル)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで濃度が0.020より高い(実用上問題となるレベル)
黒ポチ(低温低湿又は高温高湿の黒ポチが多い方で判定した)
黒ポチについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0187】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
モアレの評価(常温常湿のハーフトーン画像や白地画像で評価した。)
◎:ハーフトーン画像や白地画像共、モアレ発生なし(良好)
○:ハーフトーン画像で軽微なモアレ発生(実用性に問題なし)
×:ハーフトーン画像又は白地画像で顕著なモアレ発生(実用性に問題有り)
鮮鋭性
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0188】
◎;低温低湿、高温高湿とも3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能(良好)
○;低温低湿、高温高湿の何れかで3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能(実用性に問題なし)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能(実用性に問題有り)
評価結果を表2に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
表2より、本発明のX成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体1〜11は高温高湿、低温低湿での残留電位、帯電電位の安定性に優れており、このことから画像濃度が十分で且つカブリ濃度が小さい。しかも黒ポチ等の改良効果が顕著であり、その結果鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ている。特に、X成分にアナターゼ形酸化チタンを用い、Z成分にビニル系樹脂セグメント(Z成分−1)と反応性有機ケイ素化合物(Z成分−2、Z成分−3)を用いた感光体1〜6は各評価項目の改良効果が他の感光体7〜11に比し顕著である。一方、中間層のバインダー樹脂にポリアミド樹脂を用いZ成分を用いていない本発明外の感光体12は残留電位上昇が大きく、画像濃度が低下起し、その結果鮮鋭性も低下している。又、中間層にX成分を用いていない本発明外の感光体13は残留電位上昇、帯電電位の変動が大きく、画像濃度の低下し、カブリの発生を起し、黒ポチ、モアレも発生し、その結果鮮鋭性も低下している。
【0191】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有する電子写真感光体を用いることにより、環境変化に対する電位変動が小さく、且つ黒ポチやモアレ等も発生しない良好な電子写真感光体を得ることができる。又該電子写真感光体を用いた良好な電子写真画像を達成できるプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543、544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
Claims (15)
- 導電性支持体上に中間層、感光層とを有する電子写真感光体において、該中間層が下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物 - 前記X成分が表面に反応性基を有する無機酸化物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記無機酸化物粒子がTiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3のいずれか1つの粒子であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記TiO2粒子がアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記無機酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記Y成分がカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記カップリング剤がチタンカップリング剤又はシランカップリング剤であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記Z成分が反応性セグメントであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記反応性セグメントが低重合度のビニル系樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。
- 前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物及び反応性セグメントの併用であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の膜厚が0.2〜20μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に中間層、感光層とを有し、該中間層が前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する電子写真感光体と該電子写真感光体上を一様に帯電する帯電手段、該電子写真感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該電子写真感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が導電性支持体上に中間層、感光層とを有し、該中間層が前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、請求項14の画像形成装置を用い、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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