JP2005037289A - 酸素検知機能を有する包装材料及びそれを用いた包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも酸素検知層1とその外部側に配された酸素難透過性層2を含む積層フィルムであって、上記酸素検知層が、(a)該酸素検知層を構成する樹脂が、MFR(メトロフローレート)が0.1〜50(g/10分)の範囲にある樹脂からなり、かつ、(b)該樹脂中に酸化又は還元状態で変色する色素を含むことによって酸素検知機能を有することを特徴とする包装材料が提供される。上記酸素難透過性層は、酸素難透過性の透明樹脂層、酸素難透過性の遮光性樹脂層、又は、光及び酸素難透過性の金属層からなる。好適には、最内層としてシーラント層が形成される。
【選択図】 図1
Description
また、他の方法として、前記したように、包装材の内層の一部に、酸化又は還元により変色する色素を有機溶剤に溶解してインク化し、印刷することにより酸素インジケーター層を設ける方法もあるが、インク化の際に多量の有機溶剤やバインダー材を必要とするため、溶剤などのインク臭が内容物の食品等に移行し、食味に悪影響を与えるなど種々の問題がある。
従って、本発明の目的は、積層構造の包装材料の一層を構成する樹脂内に酸化又は還元により変色する色素を封じ込むことにより、内容物に直接接触する恐れがなく、溶剤臭などの内容物に対する悪影響を及ぼすことがない酸素検知機能を有する包装材料及びそれを用いた包装体(包装容器)を提供することにある。
好適な態様においては、上記酸素難透過性層が、酸素難透過性の透明樹脂層、酸素難透過性の遮光性樹脂層、及び酸素難透過性の金属層よりなる群から選ばれた少なくとも1層からなる。さらに好適には、最内層としてシーラント層が形成される。ここで、「酸素難透過」には、酸素不透過を含む。また、「透明」には、半透明を含む。
さらに本発明によれば、このような包装材料から作製されてなる包装体(包装容器)も提供される。
前記したように、従来、包装材の内層の一部に、酸化又は還元により変色する色素をバインダー材料と共に有機溶剤に溶解させてインク化し、印刷することにより酸素インジケーター層を設ける方法が提案されているが、これは印刷後に乾燥して有機溶剤を蒸発させ、層間に上記色素が存在するようにしたものである。即ち、酸素インジケーター層の表面に上記色素が露出して存在することにより、層間を透過する酸素を検知しようとするものであり、樹脂中に色素を練り込むという発想は全く見られない。これは、樹脂中に色素を練り込んだ場合、酸素を検知できないと考えられるためと判断される。これに対して、本発明者の研究によると、MFRが0.1〜50(g/10分)の範囲にある樹脂中に、酸化又は還元状態で変色する色素を練り込んだ場合、この樹脂中を酸素が浸透・拡散するため、その存在を上記色素の変色によって検知できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
包装材料の層構成:
本発明の包装材料は、少なくとも酸素検知層と、その外部側に配された酸素難透過性層とを含む積層フィルムであるが、好ましくは最内層にシーラント層を含み、それによってヒートシールによる製袋が可能となる。また、必要に応じて、シーラント層と酸素検知層との間、あるいはさらに酸素検知層と酸素難透過性層との間に接着剤層や他の所望の機能層を介在させることも可能である。また、最外層として、他の樹脂層や印刷層を形成することも可能である。
(a)酸素検知層を構成する樹脂は、MFR(メルトフローレート)が0.1〜50(g/10分)の範囲にある樹脂からなり、
(b)該樹脂中に酸化又は還元状態で変色する色素を含む。
また、上記樹脂成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で他の合成樹脂を配合してもよい。さらに、必要に応じて各種樹脂添加剤を配合することもできる。
酸素検知層の厚さは、5〜100μm程度が好ましい。厚さが5μmよりも薄いと、強度が低下するだけではなく、色自体が薄くなってしまい、変色が分かり難くなる傾向となるため好ましくない。一方、100μmよりも厚くした場合、層内の酸素の浸透・拡散に時間を要したり、変色が包装体部位でバラツクなど変色の不均一性を生じ易くなるので好ましくない。
母材樹脂のMFRは、酸素検知層成形時のフィルムの押出し成形性や色素の分散性に悪影響を及ぼさない範囲で大きい方が好ましい。なお、本発明においては、MFRはJ1S K6760に従い、230℃、2.16kg荷重で測定した値である。
色素の配合量は、その種類及び目的とする色調により異なるが、通常、酸素検知層の樹脂成分100質量部当たり0.1〜30質量部程度が適当である。
このような弱還元剤としては、アスコルビン酸のように水酸基を有する樹脂酸や、樹脂の酸化防止剤など添加剤として使われるもので、還元能を有しているビタミン類(ビタミンCなど)や単糖類などを使用することができる。
還元剤の使用量は、前記色素1質量部に対して1〜30質量部の割合が好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤や熱安定剤など、必要に応じて一般的な加工助剤を配合することもできる。
図1は、本発明の包装材料の基本的な層構成を示し、内部側の酸素検知層1の上に外部側の酸素難透過性の透明樹脂層2が積層されたものである。
図2はその変形例を示し、内部側の酸素検知層1の上に、文字や絵、幾何学模様、ファブリック調模様等の所望のパターン状に遮光層3(遮光性の樹脂層や金属層でよく、また印刷されたものでもよい)が形成され、さらにその上に外部側の酸素難透過性の透明樹脂層2が積層されたものである。
同様に、図4に示す包装材料も、図2に示す層構成の酸素検知層1の内部側にシーラント層4が形成されている。
前記した図1〜4に示す層構成の場合、酸素検知層1の上に外部側の酸素難透過性の透明樹脂層2が配されているため、これらの包装材料を用いて作製された包装体(包装袋)は、酸素の存在によって生じる酸素検知層1の変色状況を、透明樹脂層2を介して視認可能である。
図6はその変形例を示し、上記図5に示す層構成の金属層5(又は遮光性樹脂層)の上に、さらに最外層としての保護層6(樹脂層又は印刷層)が積層されたものである。
同様に、図8に示す包装材料も、図6に示す層構成の酸素検知層1の内部側にシーラント層4が形成されている。
前記図3、図4、図7及び図8に示すように、最内層としてシーラント層4が形成されている場合には、ヒートシールにより製袋できるので包装体の製造が容易である。
実施例1
変色剤として色素を使用したマスターバッチ(事前の高濃度材料)を以下のようにして作製した。即ち、ポリプロピレンブロック共重合体(商品名:BC−1Q、三菱化学社製)50質量部、直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:UJ−790G、三菱化学社製)50質量部、顔料(ミケスレン ブリリアントピンクR、三井東圧社製)10質量部、炭酸カルシウム2質量部、アスコルビン酸0.5質量部、EPR(エチレン・プロピレン共重合ゴム)5質量部、その他添加剤(帯電防止剤、熱安定剤)10質量部を、高速混合機(ヘンシェルミキサー)で均一に混合し、次いで押出成形機により180℃で押出し、ペレット状の酸素検知層用マスターバッチを得た。
続いて、上記のマスターバッチ30質量部とエチレン・プロピレン−ブロック共重合体100質量部をタンブラーで混合し、Tダイ式成型機により厚さ25μmの酸素検知層テストフィルムを作製した。(尚、2段に分けて混合したのは、色素や添加剤の分散をより均一化する方法が一般的に判りやすいためで、必ずしも2段にする必要はない。)
変色剤として金属粉を使用したマスターバッチを以下のように作製した。即ち、ポリプロピレンブロック共重合体(商品名:BC−1Q、三菱化学社製)50質量部、直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:UJ−790G、三菱化学社製)50質量部、アルミ微粉末10質量部、炭酸カルシウム2質量部、アスコルビン酸0.5質量部、EPR(エチレン・プロピレン共重合ゴム)5質量部、その他添加剤(帯電防止剤、熱安定剤)10質量部を高速混合機(ヘンシェルミキサー)で均一に混合し、次いで押出成形機により180℃で押出し、ペレット状の酸素検知層用マスターバッチを得た。
続いて、上記のマスターバッチ30質量部とエチレン・プロピレン−ブロック共重合体100質量部をタンブラーで混合し、Tダイ式成型機により厚さ25μmの酸素検知層テストフィルムを作製した。
ドライラミネート機にて、酸素難透過性の透明樹脂層/透明樹脂層/酸素検知層/シーラント層の順に各層間に接着剤を用いて積層化し、熱溶着密封可能な複合積層フィルムを実施例1(色素型)、実施例2(金属粉型)の2種類作製した。
なお、酸素難透過性の透明樹脂層、透明樹脂層、酸素検知層、シーラント層及び接着剤として用いた材料は下記のとおりである。
(1)酸素難透過性の透明樹脂層:
アルミナ蒸着ポリエステルフィルム(商品名:GL、凸版印刷社製)12μm (2)透明樹脂層:
延伸ナイロンフィルム(商品名:エンブレム、ユニチカ社製)15μm
(3)酸素検知層:
前記各実施例で作製したテストフィルム(OPPフィルム)25μm
(4)シーラント層:
直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(商品名:TUX−TWC、東セロ社製、乳白)40μm
(5)接着剤:各層間共通(商品名:LX747、大日本インキ社製)
実施例1、2の各袋状テスト容器内に、脱酸素剤(商品名:RP−100、パウダーテック社製)を入れた後、バターピーナッツをそれぞれ入れ、バキュームシールし、検体を作製した。検体1は実施例1の色素型フィルムを用いたもの、検体2は実施例2の金属粉型フィルムを用いたものである。
両検体を4週間常温で保管し、袋状テスト容器内の酸素が完全になくなるのを確認後、検体に針で穴を開け、4週間保管観察した。
検体1においては、観察後1週間で、針穴を中心に周辺の酸素検知層が変色(淡く)し始めた。4週間後には袋全体が変色した。
検体2においては、4週間後ぐらいから、針穴を中心に周辺の酸素検知層が変色(暗色化)し始めた。また、検体1に比べ変色は遅いが、ピンホール部の変色が強く、ピンホールの部位特定などには効果が期待できる結果が得られた。
また、臭気についても調査したところ、インク方式などと比べ、両検体とも全く感じられず、バターピーナッツ風味の低下はなかった。
2 酸素難透過性の透明樹脂層
3 遮光層
4 シーラント層
5 金属層
6 保護層
Claims (3)
- 少なくとも酸素検知層と酸素難透過性層とを含む積層フィルムであって、上記酸素検知層が、(a)該酸素検知層を構成する樹脂が、MFR(メトロフローレート)が0.1〜50(g/10分)の範囲にある樹脂からなり、かつ、(b)該酸素検知層の樹脂中に酸化又は還元状態で変色する色素を含むことによって酸素検知機能を有することを特徴とする包装材料。
- 前記酸素難透過性層が、酸素難透過性の透明樹脂層、酸素難透過性の遮光性樹脂層、及び酸素難透過性の金属層よりなる群から選ばれた少なくとも1層からなることを特徴とする請求項1に記載の包装材料。
- 前記請求項1又は2に記載の包装材料から作製されてなる包装体。
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