JP2005036821A - 除振装置およびその調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】精密機器5と精密機器5を支持する基礎7との間に配置された一つの中間質量要素9と、精密機器5、中間質量要素9および基礎7の間に配置されたばね要素11および減衰要素13と、を備えた除振装置1において、精密機器5、中間質量要素9、ばね要素11および減衰要素13を備えた振動系の減衰定数hを、10%以上50%以下としたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子顕微鏡等の精密機器に伝達される振動を遮断・抑制する除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超微細加工に用いる製造装置や超高倍率の電子顕微鏡等の精密機器は、振動が伝達されると画像精度に悪影響を及ぼすため、振動を遮断・抑制する除振装置が使用されている。
このような除振装置として、振動を微細に制御できるとの理由で、振動をアクチュエータによってアクティブに制御するアクティブ除振装置が採用されている(例えば特許文献1及び2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−141596号公報(段落[0013]〜[0016],及び図1)
【特許文献2】
特開平11−230246号公報(段落[0013]〜[0016],及び図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来のアクティブ除振装置は、複雑な制御機構を要するので、アクティブに制御を行わないパッシブ除振装置に比べて10倍以上の価格となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、必要な振動低減性能を有するとともに、簡便な構造によって低廉な価格を実現する除振装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の除振装置およびその調整方法は以下の手段を採用する。
本発明の除振装置は、除振対象物と該除振対象物を支持する支持体との間に配置された一つの中間質量要素と、前記除振対象物、前記中間質量要素および前記支持体の間に配置されたばね要素および減衰要素と、を備えた除振装置において、前記除振対象物、前記中間質量要素、前記ばね要素および前記減衰要素を備えた振動系の減衰定数を、10%以上50%以下としたことを特徴とする。
【0007】
除振対象物と一つの中間質量要素からなる2質点系の振動モデルが形成される。この場合に、減衰定数を10%以上50%以下に選定することによって、減衰定数5%から30%の従来1質点系除振装置に比べ共振周波数での加速度応答倍率を減少させることができるとともに、高周波側の加速度応答倍率を低く抑えることができる。
減衰定数が10%未満であれば、共振周波数での加速度応答倍率が減衰定数5%の従来1質点系除振レベルと差がなくなってしまう。減衰定数が50%を超えれば、高周波領域での加速度応答倍率が減衰定数30%の従来1質点系除振レベルを超えてしまう。
【0008】
また、本発明の除振装置は、除振対象物と該除振対象物を支持する支持体との間に配置された複数の中間質量要素と、前記除振対象物、前記各中間質量要素および前記支持体の間に配置されたばね要素および減衰要素と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
除振対象物と複数の中間質量要素からなる3質点系以上の振動モデルが形成される。
中間質量要素を複数設けることにより、たとえば共振周波数の約10倍以上の高周波領域での加速度応答倍率を下げることができる。
また、中間質量要素を複数設けることにより、共振周波数を低くすることができる。
【0010】
また、目標となる目標減衰定数を設定し、該目標減衰定数となるようにばね要素のばね定数および/または減衰要素の減衰係数を調整することを特徴とする。
減衰定数を設計パラメータとすることにより、目的に適った除振装置を精度よく提供することができる。目標減衰定数は、たとえば振動解析を行うことによって得られる。
【0011】
また、本発明の除振装置は、除振対象物および中間質量要素が支持体の上方に配置されている。このような場合、支持体の上方に設けられた定盤上に載置される精密機器の除振に対して特に好適である。
【0012】
また、本発明の除振装置は、アクティブ制御を行わないパッシブ制御を原則とすることを特徴とする。
これにより、アクティブ除振装置に対してコストを大幅に下げることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1には、本実施形態に係る除振装置1が示されている。
除振装置1は、基礎(支持体)7上に設けられており、精密機器(除振対象物)5を載置する支持フレーム3と、この支持フレーム3と基礎7との間に介挿された中間質量要素9とを備えている。この除振装置1には、振動を制御するためのアクチュエータを備えていない。すなわち、アクティブ制御を行わないパッシブ制御となっている。
【0014】
支持フレーム3と中間質量要素9との間には、第一ばね要素11aおよび第一減衰要素13aが配置されている。
中間質量要素9と基礎7との間には、第二ばね要素11bおよび第二減衰要素13bが配置されている。
【0015】
中間質量要素9の質量は、上方の質量すなわち精密機器5および支持フレーム3の質量の約10分の1から約20分の1とされている。
このように、本実施形態の振動系は、上方の構造物(精密機器5および支持フレーム3)の下方に中間質量要素9を加えた2質点系となっている。
【0016】
図2には、減衰要素13の断面が示されている。減衰要素13は、グリース等の高い粘性を有する高粘性流体14を収容する容器15と、この容器15内に挿入される棒状体16とを備えている。棒状体16が高粘性流体14内を移動し、粘性流体の粘性損失によってエネルギーを消費することで、振動が減衰されるようになっている。
減衰要素13の減衰係数Cは、次のように変更することができる。すなわち、高粘性流体14を粘性の異なる流体に変更する、棒状部材16と高粘性流体14との接触面積を変更する、棒状部材16と容器15側壁あるいは容器15底壁との間の距離を変更するといった方法によって減衰係数Cを変更する。
なお、上記粘性ダンパに代えて粘弾性体ダンパ、空気ダンパ、電磁ダンパ等を用いて、減衰係数Cを変更することとしても良い。
【0017】
図3には、上記除振装置1および精密機器5の力学モデルが示されている。
図において、m1は精密機器5および支持フレーム3の質量を表し、m2は中間質量要素9の質量を表す。
K1は第一ばね要素11aのばね定数、K2は第二ばね要素11bのばね定数、C1は第一減衰要素13aの減衰係数、C2は第二減衰要素13bの減衰係数である。
X1は精密機器5および支持フレーム3の変位、X2は中間質量要素9の変位を示し、それぞれ上方向を正としている。
Yは基礎7の変位を示し、上方向を正としている。ここで、文字「Y」の上部に二つ点を付した記号は、変位Yの二階微分すなわち加速度を意味する。
【0018】
以上の力学モデルの運動方程式を記述すると、下式のようになる。
【数1】
ここで、文字「X1」又は「X2」の上部に二つ点を付した記号は、変位X1又は変位X2の二階微分すなわち加速度を意味する。同様に、文字「X1」又は「X2」の上部に一つ点を付した記号は、一回微分すなわち速度を意味する。
上式を、マトリックス表示すると、下式のようになる。
【数2】
【0019】
本実施形態の力学モデルの振動解析結果を示す前に、比較対象となる振動系について説明する。
図4には、比較対象となる振動系の力学モデルが示されている。同図の力学モデルは、質量m1のみの1質点系となっている。
同図の運動方程式を記述すると、下式のようになる。
【数3】
この運動方程式を次のように解く。
以下、記述の簡略化のために、(1)式のm1をm、C1をC、K1をKとする。
そして、(1)式の両辺をmで除して、
【数4】
を得る。そして、
【数5】
とおくと、
【数6】
となる。ここで、hは減衰定数、nは非減衰固有円振動数である。
そして、
【数7】
とおいて(2)式に代入してBを求める。すると、質点変位は以下の(3)式で与えられる。ここで、ωは基礎7の加振円振動数である。
【数8】
絶対加速度は、(2)式より
【数9】
で与えられるので、(3)式を代入すると、
【数10】
となる。
【0020】
この1質点系の振動について、質量mを1.0、ばね定数Kを50とおいた場合の振動解析結果を図5に示す。
図において、横軸は周波数を対数で示したものであり、縦軸は加速度応答倍率を対数で示したものである。
【0021】
同図からわかるように、減衰定数hを大きくすると、約1.1Hzの共振周波数付近での加速度応答倍率が小さくなる。しかし、共振周波数の√2(2の平方根)倍以上の周波数領域では、減衰定数hを大きくすると周波数が高くなるにつれて応答倍率が大きくなっている。
そこで、以下に示す実施形態の振動解析結果の比較例として、先ず図5において減衰定数hが5%とされた場合を選び、これと本実施形態である2質点系の振動解析結果を比較して図6に示す。
【0022】
図6(a)は、1質点系とほぼ同じ共振周波数となるように、2質点系(本実施形態)のばね定数を調整したものである。具体的には、第一ばね要素および第二ばね要素11a,bの夫々のばね定数を1質点系の2倍にした(後に示す表1参照)。
図6(a)からわかるように、2質点系の減衰定数hを大きくすることにより共振周波数での加速度応答倍率を小さくできる。しかも、共振周波数よりも高い周波数領域においても、1質点系よりも加速度応答倍率の増加を低く抑えることができる。つまり、約50Hz辺りの高周波では、減衰定数hを20%以下に選定すれば、1質点系(減衰定数h:5%)とほぼ同等に高周波数領域での応答を抑えることができる。特に、減衰定数hを10%とした2質点系では、共振周波数の10倍以上の周波数領域において、1質点系(減衰定数h:5%)よりも加速度応答倍率を低減することができる。
次に図5において減衰定数hが30%とされた場合を選び、本実施形態である2質点系の振動解析結果と比較して図6(b)に示す。
この図も図6(a)と同じように1質点系とほぼ同じ共振周波数となるように、2質点系のばね定数を調整したものである。
図6(b)からわかるように、2質点系の減衰定数hを50%以下に選定すれば、共振周波数での加速度応答倍率を1質点系(減衰定数h:30%)より低く抑えることができ、さらに約50Hz辺りの高周波数領域では、1質点系(減衰定数h:30%)とほぼ同等の応答倍率に抑えることができる。
したがって、本実施形態のように2質点系として、減衰定数hを適切に選定することにより、共振周波数における加速度応答倍率を低減しつつ、高周波での応答の増加を可及的に抑えることができる。
【0023】
図7には、図5において減衰定数hが5%とされた場合を選び、本実施形態に係る2質点系の別の振動解析結果と比較して示されている。この図は、第一ばね要素および第二ばね要素11a,bの夫々のばね定数を1質点系の2倍にした図6と異なり、第一ばね要素および第二ばね要素11a,bの夫々のばね定数Kを1質点系と同じにしたものである(後に示す表1参照)。
図7からわかるように、ばね定数Kを変えずに2質点系に変えただけで、共振周波数を低くできることが示されている。したがって、2質点系にすることにより、除振効果を大きくすることができる。
しかも、1質点系よりも大きなばね定数を有するばね要素11を用いた図6に比べて、高周波での加速度応答倍率をさらに低減することができる。これは、減衰定数hを20%とした二点鎖線について図6及び図7を見比べれば明らかである。
【0024】
[第二実施形態]
図8には、第二実施形態にかかる除振装置の力学モデルが示されている。この除振装置は第一実施形態と同様にパッシブ制御となっている。
図において、m1は精密機器5および支持フレーム3の質量、m2は第一中間質量要素9aの質量、m3は第一中間質量要素9aの下方に配置された第二中間質量要素9bの質量を表す。このように、本実施形態は3質点の振動系となっている。
K1は第一ばね要素11aのばね定数、K2は第二ばね要素11bのばね定数、K3は第三ばね要素11cのばね定数、C1は第一減衰要素13aの減衰係数、C2は第二減衰要素13bの減衰係数、C3は第三減衰要素13cの減衰係数である。
X1は精密機器5および支持フレーム3の変位、X2は中間質量要素9の変位、X3は中間質量要素9の変位を示し、それぞれ上方向を正としている。
Yは基礎7の変位を示し、上方向を正としている。第一実施形態と同様に、文字「Y」の上部に二つ点を付した記号は、変位Yの二階微分すなわち加速度を意味する。
【0025】
以上の力学モデルの運動方程式を記述すると、下式のようになる。
【数11】
これを、マトリックス表示すると、下式のようになる。
【数12】
【0026】
本実施形態の振動解析結果を図9に示す。
図9(a)は、図5において減衰定数hが5%とされた場合を選び、これと本実施形態である3質点系の振動解析結果と比較したものである。また1質点系とほぼ同じ共振周波数となるように、3質点系(本実施形態)のばね定数Kを調整したものである。具体的には、第一乃至第三ばね要素11a,b,cの夫々のばね定数を1質点系の3倍にした(後に示す表1参照)。
この図からわかるように、3質点系の減衰定数hを大きくすることにより共振周波数での加速度応答倍率を小さくできる。しかも、共振周波数よりも高い周波数領域においては、1質点系よりも加速度応答倍率の増加を低く抑えることができる。つまり、約50Hz辺りの高周波では、減衰定数hを20%以下に選定すれば、減衰定数hが5%の1質点系よりも高周波数領域での応答を抑えることができる。
次に図5において減衰定数hが30%とされた場合を選び、本実施形態である3質点系の振動解析結果と比較して図9(b)に示す。この図も図9と同じように1質点系とほぼ同じ共振周波数となるように、3質点系のばね定数を調整したものである。
図9(b)からわかるように、3質点系の減衰定数hを50%以下に選定すれば、共振周波数での加速度応答倍率を1質点系(減衰定数h:30%)より低く抑えることができ、さらに約50Hz辺りの高周波数領域でも低く抑えることができる。
したがって、本実施形態のように3質点系として、減衰定数hを適切に選定することにより、共振周波数における応答倍率を低減しつつ、高周波での応答の増加を可及的に抑えることができる。
【0027】
図10には、図5において減衰定数hが5%とされた場合を選び、本実施形態に係る3質点系の別の振動解析結果と比較して示されている。この図は、第一乃至第三ばね要素11a,b,cの夫々のばね定数を1質点系の3倍にした図9と異なり、第一乃至第三ばね要素11a,b,cの夫々のばね定数Kを1質点系と同じにしたものである(後に示す表1参照)。
図10からわかるように、ばね定数Kを変えずに3質点系に変えただけで、共振周波数を低くできることが示されている。したがって、3質点系にすることにより、除振効果を大きくすることができる。
また、図9と異なり、ばね定数Kを1質点系と同じにした場合では、減衰定数hを30%に上げても、1質点系(減衰定数h:5%)の高周波における加速度応答倍率よりも低減させることができる。
【0028】
以下に、比較対象である1質点系と、第一実施形態に示した2質点系と、第二実施形態に示した3質点系とを比較する。
下表には、1質点系、2質点系(第一実施形態)および3質点系(第二実施形態)のそれぞれの質量m、ばね定数K、減衰係数Cをまとめたものが示されている。
【表1】
【0029】
図11には、共振周波数および減衰定数hを同一にした場合の1質点系から3質点系までの振動解析結果が示されている。ここで、減衰定数hは15%である。
この図からわかるように、共振周波数の約10倍以下の周波数領域では、中間質量要素9を一つ加えた2質点系、あるいは中間質量要素9a,bを二つ加えた3質点系としても、加速度応答倍率は1質点系とほとんど変わらない。しかし、共振周波数の約10倍以上の高周波領域では、質点数が多いほど(中間質量要素の数が多いほど)、加速度応答倍率が低下していることがわかる。
【0030】
図12には、各ばね定数Kおよび減衰定数hを同一にした場合の振動解析結果が示されている。ここで、減衰定数hは15%である。
この図から、質点数が多いほど(中間質量要素の数が多いほど)、共振周波数が低くなることがわかる。したがって、中間質量要素を増やせば、約2Hz付近の低周波において、より大きな除振効果が得られる。
【0031】
以上説明した第一実施形態(2質点系)および第二実施形態(3質点系)から、以下のような作用効果が得られる。
精密機器5と一つの中間質量要素9からなる2質点系とした場合、減衰定数hを10%以上50%以下に選定することによって、パッシブ制御としても、減衰定数hを5%から30%とした1質点系に比べて共振周波数での加速度応答倍率を減少させることができるとともに、共振周波数の約10倍以上の高周波での加速度応答倍率を1質点系とほぼ同等あるいはそれ以下に抑えることができる(図6参照)。
このように、一つの中間質点を設けて、適宜に減衰定数hを選定することによって、パッシブ制御であっても除振装置としての性能を実現できる。したがって、廉価な除振装置を提供することができる。
【0032】
1質点系に対して同一のばね定数を有するばね要素11を適用して2質点系を構成した場合、1質点系での共振周波数を下げることができる(図7及び図12参照)。
しかも、1質点系よりも大きなばね定数を有するばね要素11を用いた場合(図6)に比べて、高周波での加速度応答倍率をさらに低減することができる。
【0033】
中間質量要素9を二つ設けて3質点系とすることにより、共振周波数の約10倍以上の高周波領域での加速度応答倍率を下げることができる(図9参照)。
このように、中間質量要素9を二以上設けることによって、1質点系や2質点系に比べて、さらに高周波領域での加速度応答倍率を下げることができる(図11参照)。
【0034】
1質点系に対して同一のばね定数を有するばね要素11を適用して3質点系を構成した場合、1質点系での共振周波数を下げることができる(図10参照)。
しかも、1質点系よりも大きなばね定数を有するばね要素11を用いた場合(図9)に比べて、高周波での加速度応答倍率をさらに低減することができる。
また、中間質量要素9を二以上設けることによって、1質点系や2質点系に比べて、共振周波数をさらに低減することができる(図12参照)。
【0035】
以上のように、ばね要素11のばね定数Kや減衰要素13の減衰係数Cを適宜選定することによって、目標となる減衰定数hを決定することができ、これにより所望の除振効果を奏する除振装置を提供することができる。
【0036】
なお、上記各実施形態において、基礎7上に中間質量要素9及び精密機器5が配置される構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、中間質量要素9及び精密機器5が水平に配置される構成(すなわち重力に支配されない構成)であっても、除振効果は同様に得ることができる。
また、上記各実施形態においては、パッシブ制御の除振装置について説明したが、さらにアクティブ制御と組み合わせてより詳細に除振を行うようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
除振対象物と一つの中間質量要素からなる2質点系とした場合に、減衰定数を10%以上50%以下に選定することによって、減衰定数5%から30%の従来1質点系除振装置に比べ共振周波数での加速度応答倍率を減少させることができるとともに、高周波側の加速度応答倍率を低く抑えることができる。
【0038】
中間質量要素を複数設けることにより、共振周波数を低くすることができるとともに、高周波領域での加速度応答倍率を下げることができる。
【0039】
一つの中間質量要素を設けるとともに減衰定数を適切に設定することにより、あるいは、中間質量要素を複数設けることにより、アクティブ制御を用いなくても必要な除振効果が得られる除振装置を提供することができる。これにより、廉価な除振装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態にかかる除振装置を示した図である。
【図2】図1の減衰要素を示した断面図である。
【図3】図1の力学モデルを示した図である。
【図4】比較対象となる1質点系の力学モデルを示した図である。
【図5】1質点系の振動解析結果を示した図である。
【図6】共振周波数を1質点系と同一にした場合における、第一実施形態にかかる除振装置の振動解析結果を示し、(a)は減衰定数hが5%とされた1質点系との比較を示した図、(b)は減衰定数hが30%とされた1質点系との比較を示した図である。
【図7】ばね定数を1質点系と同一にした場合における、第一実施形態にかかる除振装置の振動解析結果を示した図である。
【図8】第二実施形態にかかる除振装置の力学モデルを示した図である。
【図9】共振周波数を1質点系と同一にした場合における、第二実施形態にかかる除振装置の振動解析結果を示し、(a)は減衰定数hが5%とされた1質点系との比較を示した図、(b)は減衰定数hが30%とされた1質点系との比較を示した図である。
【図10】ばね定数を1質点系と同一にした場合における、第二実施形態にかかる除振装置の振動解析結果を示した図である。
【図11】共振周波数を同一にした場合における、1質点系、2質点系(第一実施形態)および3質点系(第二実施形態)を比較した振動解析結果を示した図である。
【図12】ばね定数を同一にした場合における、1質点系、2質点系(第一実施形態)および3質点系(第二実施形態)を比較した振動解析結果を示した図である。
【符号の説明】
1 除振装置
5 精密機器(除振対象物)
7 基礎(支持体)
9 中間質量要素
11 ばね要素
13 減衰要素
Claims (6)
- 除振対象物と該除振対象物を支持する支持体との間に配置された一つの中間質量要素と、前記除振対象物、前記中間質量要素および前記支持体の間に配置されたばね要素および減衰要素と、を備えた除振装置において、
前記除振対象物、前記中間質量要素、前記ばね要素および前記減衰要素を備えた振動系の減衰定数を、10%以上50%以下としたことを特徴とする除振装置。 - 除振対象物と該除振対象物を支持する支持体との間に配置された複数の中間質量要素と、
前記除振対象物、前記各中間質量要素および前記支持体の間に配置されたばね要素および減衰要素と、を備えたことを特徴とする除振装置。 - 目標となる目標減衰定数を設定し、該目標減衰定数となるようにばね要素のばね定数および/または減衰要素の減衰係数が調整されていることを特徴とする請求項1または2に記載の除振装置。
- 前記除振対象物および前記中間質量要素は、前記支持体の上方に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の除振装置。
- パッシブ制御とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の除振装置。
- 除振対象物と該除振対象物を支持する支持体との間に配置された一又は複数の中間質量要素と、前記除振対象物、前記中間質量要素および前記支持体の間に配置されたばね要素および減衰要素と、を備えた除振装置の調整方法において、
目標となる目標減衰定数を設定し、該目標減衰定数となるようにばね要素のばね定数および/または減衰要素の減衰係数を調整することを特徴とする除振装置の調整方法。
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