JP4716222B2 - 除振マウント - Google Patents

除振マウント Download PDF

Info

Publication number
JP4716222B2
JP4716222B2 JP2006056301A JP2006056301A JP4716222B2 JP 4716222 B2 JP4716222 B2 JP 4716222B2 JP 2006056301 A JP2006056301 A JP 2006056301A JP 2006056301 A JP2006056301 A JP 2006056301A JP 4716222 B2 JP4716222 B2 JP 4716222B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil spring
vibration
vibration isolation
stopper
isolation mount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006056301A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007232131A (ja
Inventor
佐登志 渡苅
Original Assignee
株式会社ナベヤ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社ナベヤ filed Critical 株式会社ナベヤ
Priority to JP2006056301A priority Critical patent/JP4716222B2/ja
Publication of JP2007232131A publication Critical patent/JP2007232131A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4716222B2 publication Critical patent/JP4716222B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)

Description

本発明は、テーブルに搭載された精密な機器類への外来の振動の影響を阻止する除振マウントに関する。
床を通して伝達されてくる外来の振動を精密な機器類に伝えたくない場合には、機器類の設置に除振機構(除振マウント)が用いられる。コンピュータや通信機器に用いる電子デバイスの回路パターンを形成するIC露光機や回路パターンを読み取る3次元測定器のように1μm以下の精度が問題となる機器類では自励振動や外来の振動の影響を阻止する必要性が高く、床から機器類に伝えられる振動を減衰する除振機構の性能が機械の性能を左右する重要な要素となる。
従来より、除振機構には、一般に空気ばねを組み込んだ構造のものが用いられてきた。特に、固有振動数が1〜2kHzのダイアフラム形空気ばねを用いることによって、除振機構の機能は、空気ばねと、空気ばねに支持される機器類の質量との系によって実現される。
空気ばねを用いることによる利点は、補助タンクを付設し、空気ばねと、タンクとの間にオリフィスを入れることで、空気の粘性抵抗による減衰を得ることができ、固有振動数における共振ピークを低く抑えることが可能となり、外乱による支持荷重の揺れを速やかに吸収することができる点である。
一方、高価な空気ばねを用いずに垂直方向と、水平方向との除振機能を得る除振機構として、コイルばねと、制振材との組合せによる装置(除振マウント)が知られている。この装置は、例えば図8に示すように、弾性体としてのコイルばね31と、制振材として円柱状の粘弾性体(エポキシ樹脂)32との組合せを用い、粘弾性体32をコイルばね31の空間内に配置し、粘弾性体32の両端と、コイルばね31の両端とにフランジ33を取り付け、コイルばね31と粘弾性体32との複合体に作用する荷重方向の弾性中心を粘弾性体側に包蔵させて両者を一体にネジで緊締したものである。
この装置を機械器具の除振支持に用いれば、水平方向(横方向)と垂直方向(縦方向)に加えられる外力に対して大きな制振効果を得ることができる(特許文献1参照)。
ところで、図8に示す除振マウントの構造によるときには、除振マウントに加わる荷重はコイルばねによって支えられるが、制振材である粘弾性体32からの抵抗を無視することができない。コイルばねの撓みのストロークが大きければ大きいほど、制振材の抵抗が大きくなって、実質的に弾性体となり、その荷重は、コイルばねと粘弾性体とによって支えられる結果となり、粘弾性体に対する圧縮量が変化して制振効果が変動する。このため、特に軽荷重を支える除振マウントの場合には、粘弾性体による荷重分担の比率が高くなって除振性能が大きく変化するという問題が生じるのである。
このような軽荷重を支える除振マウントの除振・除振性能を維持することを目的として発明者は、先に、柔軟な粘弾性体を制振材に用い、専らテーブルもしくは床の振動に伴ってコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせ、コイルばねの圧縮方向には、粘弾性体の抵抗の影響を殆ど受けないようにした除振マウントを提案した(特許文献2参照)。
特許文献2に記載された除振マウントによれば、除振マウントに作用する荷重が変化してコイルばねの撓みに大きなストローク変位が生じたとしても、除振マウントは制振材の抵抗の影響を受けずに安定した除振性能を発揮することができる。また、制振材には、帯状,らせん状,あるいは中空の蛇腹状などに加工した粘弾性体を用いることができ、除振マウントの除振・除振性能は、制振材に用いた帯状の粘弾性体の幅,厚さ,硬さを変えることにより、また、らせん状の粘弾性体を用いたときには、らせん断面の形状、断面積、らせんの長さ、粘弾性特性を変えることにより、さらには蛇腹状の中空の粘弾性体を用いたときには、蛇腹の形状,膜厚,襞の数,粘弾性特性を変えることによって容易に調整できる。
とはいえ、粘弾性体は、コイルばねとは独立した別の部品として除振マウントに組み込まれるものであるために、コイルばねの伸縮変位に追従させるには、独立した部品としてある程度の強度が必要であり、独立した部品として要求される強度が、コイルばねの伸縮変位に対する抵抗となり、コイルばねの撓み変形のストロークの大小を左右し、その結果、除振マウントの除振性能に影響を与えるという問題がある。
このような問題点を解決するため、発明者はさらに、コイルばねの伸縮変位に対する抵抗を殆ど生じさせることなく、コイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換してコイルばねの振動エネルギーを有効に減衰させる除振マウントを開発した(特許文献3参照)。この除振マウントは、要するに、コイルばねの撓み変形のストロークの大小に左右されずに除振マウントの除振性能を発揮させるという目的を、図9に示すように、上下のフランジ43,43間に設置したコイルばね41の線材の表面に粘弾性体を盛り付けてコイルばね41の全長に渡って制振材42を形成することで実現しようというものであった。
特許文献3に記載の除振マウントによれば、制振材42はコイルばね41の線材と一体に盛り付けられるため、コイルばね41の伸縮変位がそのまま制振材42に伝えられ、コイルばね41の一端から他端に伝播する振動エネルギーは熱エネルギーに変換されてコイルばねの振動エネルギーを有効に減衰させることができる。しかしながら、コイルばねが柔らかいため、水平方向にわずかに力が加えられただけでも大きく振れが生じるため、このような除振マウントに支えられたテーブル上に、機器をセットする作業が厄介となり、また、機器の使用中においても、人間の手が触れるなどわずかな衝撃でテーブルが大きく触れるのは、作業能率の上からもきわめて不都合である。
特開昭63−30628号公報 特願2005−21752号 特願2005−142282号
解決しようとする問題点は、テーブルを支える除振マウントに、柔らかいばねが用いられたときには、テーブルに衝撃が加えられると、ばねが大きく横揺れしてテーブル上に機器類を据え付ける作業が厄介となり、また、機器類の使用中に大きな横揺れが生じると、測定や観察などの作業が妨げられるという点である。
本発明は、コイルばねの鉛直方向の変位に対する摩擦抵抗が小さいストッパをもって、鉛直・水平方向の減衰性能を維持しつつ、コイルばねの水平方向の変位を防止することを最も主要な特徴とする。
本発明の除振マウントによれば、表面に制振処理が施されたコイルばねの内径に制振材で支持されたリング状のストッパを軽く接触させるため、コイルばねの水平面上の全方向の変位(横揺れ)を阻止でき、また、コイルばねの鉛直方向の変位(縦揺れ)に対しては、コイルばねとストッパ間の滑りと、ストッパを支える制振材の振動減衰効果によって、鉛直方向の除振/防振性能の劣化を小さくできる。
コイルばねの水平方向の変位を阻止し、鉛直方向に対しての除振/防振性能を低下させないという目的を、制振材料からなる脚台に支持された摩擦抵抗が小さいストッパを用いることによって実現した。実施例の説明に先立ち、除振マウントの除振メカニズムを以下に示す。図1に除振マウントの除振メカニズムを示す。図1において、除振マウントにコイルばねのみを用いたときに、その鉛直方向の共振周波数f0は、近似的に式(1)であらわされる。
f0=5/√たわみ量(cm)・・・・(1)
また、コイルばねと、制振材との組み合わせにおける除振マウントの性能を表す振動伝達率(単位dB)は、除振マウントの上端をU、下端をDとすると、式(2)のとおりである。
dB=20logUの振動/Dの振動・・・(2)
曲線Xは、コイルばね2の共振周波数がf0のときのコイルばね2の振動伝達特性を示している。コイルばねの減衰特性は、共振周波数f0で鋭く立ち上がり、以後、振動周波数Hzが増大するにしたがってサージングの波形を伴いながら増幅領域AZから減衰領域DZに変化していく。曲線Xに示すようにコイルばねだけを用いた除振マウントでは、減衰領域の周波数特性にサージング波形が現れるだけでなく、共振倍率が高いという致命的な欠陥がある。
曲線Yは、コイルばねに制振材を組み合せて望ましい除振性能に調整した除振マウントの特性を示している。図1に示すようにコイルばねに制振材を組み合わせたときにその除振マウントの減衰曲線Yは、コイルばねだけの除振マウントの特性曲線Xに比べると共振周波数f0′が増大しても、サージング波形がなくなり、共振倍率が低下した特性曲線を描けば、除振性能の振動伝達特性は優れていると評価できる。
共振倍率に関しては、制振材の制振性を高めることで共振倍率をさらに低下させることは可能であるが、共振倍率が低すぎると、△f=f0′−f0が増大する結果、振動周波数の減衰領域が浅くなり(減衰の絶対値が小さくなり)、制振性能が低下するという問題を生じる。
また、前記(1)式により、曲線Yにおける共振周波数を下げるには、コイルばねの鉛直方向のたわみ量を大きくすることである。しかし、たわみ量を大きくして共振周波数を下げると、共振倍率が上昇し、コイルばねが水平方向に対しても柔らかい特性を持つ(水平方向の復元力が弱まる)ようになり、わずかな振動に対しても大きく揺れることになる。もっとも、上昇したコイルばねの共振倍率は、前述のようにそのコイルばねに制振材を組合せることによって下げることができるが、制振材の組合わせることによって、コイルばねが制振材の重力方向の抵抗による影響を受けることとなって、たわみが少なくなり鉛直方向の減衰特性が低下する。
このような問題は、特に軽量の構造体を床振動から守る役目をもった除振マウントには、影響が大きい、たわみ量を大きくして共振周波数を下げるためには柔らかいコイルばねを使用しなければならないし、鉛直方向の減衰特性を低下させないためには制振材の重力方向の抵抗による影響をできる限り阻止しなければならないからである。
本発明においては、コイルばねに、たわみの大きい、柔らかいばねを用い、その水平・鉛直方向の高い減衰特性を維持してなお、水平方向の大きな揺れ,振れを回避できることが特徴となっている。
以下に本発明の実施例を図によって説明する。図2(a),(b)において、本発明による除振マウントMは、対のフランジ1a,1bと、弾性体であるコイルばね2と、制振コート3と、ストッパ5との組み合せからなるものである。対のフランジ1a,1bは、コイルばね2の上下に配置されたものであり、上段のフランジ1aはテーブルなどの構造体の支持台となり、下段のフランジ1bは、除振マウントMの床あるいは卓などへの設置台となるものである。上下のフランジ1a,1bの中央には、構造体,床或いは卓にボルト締めするためにねじ穴1cがそれぞれ開口されている。
コイルばね2は、除振あるいは防振すべきテーブルTの弾性支持体であり、両フランジ1a,1bの対向面間に設置される。制振コート3は、コイルばね2に作用する荷重,振動に対して支持体としての重力方向の抵抗にはならず、専らテーブルTもしくは床の振動に伴ってコイルばね2の一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して、振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせるものである。制振コート3には、本発明においても粘弾性体を用いている。
制振コート3にいわゆる粘弾性体を用いるのは、粘弾性体は、応力の大きさのみならず、その増加速度も歪の増加速度に大きな影響を与える物質(科学大辞典 P.1059 丸善株式会社発行)としての性質を有するからである。このような性質を有する材料には、エポキシ樹脂を主成分とする制振材料(特公平7−64917号公報参照)があるが、制振コート3の材料はこれに限らず、粘弾性体として用いられる材料、例えばネオプレンゴムなどを適用することができる。制振コート3は、コイルばね2の表面に付され、かつその上端と下端とにつながれていることが必要である。
本発明の除振マウントMは、比較的軽量の構造物の除振あるいは防振を予定しているため、コイルばね2には細い線材が使用され、制振コート3の皮膜はごく薄くてよい。コイルばね2の線材表面に制振コート3を形成するには、粘弾性体のペースト中にコイルばね2を浸漬して粘弾性体ペーストをコイルばね2の線材表面に付着させ、これを固化させる処理を繰り返すことによって所要厚みの皮膜に盛り付けることができるが、或いは、粘弾性体のチューブをコイルばね2に被覆しても良く、さらに粘弾性体の粉末をコイルばね2に塗布することによっても得られる。
さらには、成形型を用い、コイルばねを圧縮した状態で型内にセットし、成形型のキャビティ内に粘弾性体ペーストを流し込んでコイルばねの外周のみに粘弾性体を一定厚みで盛り付けることができる。本発明においては、ストッパと、コイルばねとの接触面間が滑りやすくするために、相互の摩擦抵抗を小さく抑えることが必要である。
通常の場合、粘弾性体の表面摩擦抵抗は大きいため、コイルばね2の表面が粘弾性体で覆われていると、ストッパ5に対するすべりが悪くなって、初期の目的を達成できない場合がある。もっとも、このような問題は、前記制振コート3を、コイルばね2の外周側にのみ盛り付け、コイルばね2の内周面側の線材表面を外部に露出させておくことによって解消できる。すなわち、表面に露出させた線材をコイルばね2内の空間に設置されたストッパ5に接触させて鉛直方向のすべりを確保するのである。
図3に、成形型を用いてコイルばねの外周側にのみ制振コート3の皮膜を形成する方法の1例を示す。図3(a)において、コイルばね2の上段の線材と下段の線材とが互に接触するまでコイルばね2を押し縮めた状態で、これを、コイルばねの内径を象った成形型4のキャビティ内にセットし、成形型4のキャビティ内でコイルばね2の内周と外周との空間に粘弾性体ペースト3aを充填してこれを固化させる。
ペースト3aの固化後、コイルばね2を脱型し、図3(b)に示すようにコイルばね2の線材の内外周に盛り付けられた粘弾性体の固化膜をコイルばね2の線材に沿って切断する。これによって図3(c)に示すようにコイルばね2の線材の外周に一定の厚みの制振コート3の皮膜が盛り付けられて制振性能が付与されたコイルばね2が得られる。
本発明において、ストッパ5は、コイルばねと同心上で、両フランジ1a、1b間の定位置でコイルばねの内径にわずかに接触を許すような位置で、コイルばね2と向き合わせに組み込まれているものである。この実施例において、ストッパ5は、ポリアセタール樹脂のような表面の摩擦抵抗が小さいリングであり、下段フランジ1aに固定された円筒状の脚台5a上に支えられている。
脚台5aは、粘弾性体などの制振材料によって一体成形され、フランジ1aのボルト穴1cの周囲に固定されている。本発明において、ストッパは、必ずしも完全な円環状のリングに限らないが、コイルばねが水平面で任意の方向に変位(横揺れ)したときにその変位を阻止するには、途切れない完全なリングであることが望ましいのは云うまでもない。
図4(a),(b)は、テーブルTの四隅を本発明の除振マウントMによって支えてテーブルT上に搭載する機器類Lを除振支持した状態を示す図である。一方のフランジ1aを設置台として床(又は卓)上に置き、他方のフランジ1bを支持台としてその上にテーブルTを支える。図4の例は、底面が長方形のテーブルTへの設置例である。
また、除振マウントMをテーブルTの対角線上の位置に配置することで、水平方向の除振特性のバランスが確保される。テーブルTの重量は除振マウントMに加わり、コイルばね2は、重量の支持体として受けた重量の大きさに応じて撓み、その高さを減じるが、制振コート3は、コイルばね2の伸縮変位に追従し、コイルばね2に作用する荷重、即ち、たわみに対して抵抗とならず、専らテーブルTもしくは床の振動に伴って生じるコイルばね2の一端から他端に伝播する振動エネルギーを、熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる。
テーブルT上に機器類Lをセットする場合、あるいはテーブルT上の機器類Lを扱って測定、観察などの作業を行う場合にテーブルTに手が触れたり、器具類が接触したりしてテーブルTに衝撃が加えられると、振れ,揺れが生じようとする。しかし、水平方向の振れ,揺れによる変位は、その内径内のストッパ5に阻止されて停止する。
ストッパ5はコイルばね2に、軽く接触するだけの為にコイルばね2の水平方向の共振倍率が低下してわずかに共振周波数は上昇するが、水平方向の除振・防振性能は大きく阻害されず、テーブルや搭載機器に手が振れたり機器類が接触して生じる揺れ,振れに対しては、ストッパ5が大きな抵抗となってくれる。一方、コイルばね2の鉛直方向の振動に対しては、コイルばね2は、ストッパ5に軽く接触しているためにストッパ5にコイルばね2の振動が伝えられるが、その振動は、ストッパ5を支える脚台5aの粘弾性体に減衰され、鉛直方向の振動に対する除振/防振性能の劣化は少ない。
すなわち、除振/防振の対象となる微振動に対しては、コイルばね2と制振コート3との組合せ効果による高い制振性能を発揮し、水平方向の大きな揺れ,振れに対しては、ストッパ5により、その変位が阻止される元になる。
なお、以上の実施例において、上下の区別は専ら説明の都合上の区別であり、フランジ1a、1bのいずれの側を床、或いは卓上側に用いて据え付けてもよい。したがって、図示の例とは逆に、ストッパ5の脚台4aが取付けられているフランジ1bをテーブルの取付面として上段側に用いたときには、ストッパ5は、上方から吊り下げられた形となる。
(実験例)
以下に本発明の実験例を示す。
(実験例1)
実験は、表1に示すコイルばねの外周面側に盛り付けた粘弾性体のペーストを固化させてコイルばねの全長に渡り、制振ペースト3の皮膜を形成した除振マウントMで図5に示すように除振台6の四隅4箇所を支え(4マウント)、その上に重錘を兼ねた試料7を置き、除振マウントMに掛かる荷重を調整し、振動センサー8を用いて水平方向及び鉛直方向の振動特性を測定した。実験に際して制振コートは、成形型を用いてコイルばねの外周側にのみ約0.8mmの厚さに粘弾性体ペーストの固形物を盛りつけた。粘弾性体ペーストには、以下の組成物を使用した。
粘弾性体ペーストの組成物
粘弾性体ペーストには、以下の(a)〜(c)を含む組成物のペーストを使用した(特公平7−64917号公報参照)。
(a)エポキシ樹脂100重量部
(b)エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1等量に対して、エポキシ基と反応する官能基を0.5等量を含む硬化剤、
(c)数平均分子量が200〜1090の液状ポリサルファイド系オリゴマー40〜500重量部、
ストッパには、外径11.8mm、内径7mmのポリアセタール樹脂製リングを用い、該リングを、前記粘弾性体ペーストを固化した円筒状の脚台でフランジ上に支えてコイルばねの空間内に設置した。
比較例1として、実験例と同じ構造で、ストッパがない除振マウントを用いて同じ測定を行った。
Figure 0004716222
(実験結果)
コイルばねの内径を支えるストッパを用いない比較例1の除振マウント(除振マウントのたわみ7mm、荷重10.6kg/4マウント)についての振動特性を図6に示す。図6(a)は、水平方向の振動特性、(b)は鉛直方向の振動特性である。図6に明らかなように8Hz付近、鉛直方向では6.1Hz付近で鋭い共振点でのピーク値を示した。
コイルばねの内径をストッパで支えた実験例1の除振マウント(除振マウントのたわみ7mm、荷重10.3kg/4マウント)についての振動特性を図7に示す。図7(a)は、水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性である。図7に示すように水平方向では、比較例1と比べるとわずかに高い5.0Hz付近、垂直方向では7Hz付近で共振点の鋭いピークが形成されたが、図6と比較して明らかなようにその水平方向のピーク値すなわち共振倍率は、比較例1に比べて実用範囲の程度に低下する事実が認められた。水平方向及び鉛直方向の共振周波数f0及び減衰dBの値を表2に示す。
Figure 0004716222
したがって、本発明は、柔らかいコイルばねを用いることによって生じるコイルばね2に、専ら除振,防振すべきテーブルを含めた構造物の重量を支持する機能を受け持たせ、コイルばね2の螺旋に沿って線材に盛り付けた制振コート3の皮膜には、専らコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせ、縦方向の振動に対しては、ストッパの表面をコイルばねが滑らかに滑って上下に変位するのみで鉛直方向の除振/防振特性は損なわれることがなく、水平方向については外来の微小振動に対して高い減衰特性が得られるが、大きな揺れ,振れに対してはストッパが抵抗となり、振幅の振れの大きさを抑制できる。
本発明は、特に比較的軽量の構造体、例えば重量の小さい精密機器類の除振,防振に際し、柔らかいばねを用いたことによって生ずる問題点、特に水平方向に加えられる衝撃、振動による振れ、揺れの影響を阻止するため、小型計測器,小型顕微鏡,その他超精密機器類の除振装置として広く活用できる。
除振マウントの振動特性を示す図である。 (a)は本発明による除振マウントの一部断面側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は成形型を用いてコイルばねに粘弾性体を盛り付ける例を示すもので、(a)は成形型の断面図、(b)は、粘弾性体ペーストの固化物を一体形成したコイルばねの断面図、(c)は、コイルばねの線材にそって粘弾性体ペーストの固化物を切断した状態を示す図である。 (a)は本発明による除振マウントにてテーブルを支持した例を示す側面図、(b)はテーブルを支持する様子をテーブルの底面側から見た図である。 実験の要領を示す図である。 (a)は、比較例1の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例1の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 特許文献1に記載された除振マウントの構造を示す図である。 特許文献3に記載された除振マウントの構造を示す図である。
符号の説明
M 除振マウント
1a,1b フランジ
1c ねじ穴
2 コイルばね
3 制振コート
3a ペースト
4 成形型
5 ストッパ
5a 脚台
6 除振台
7 試料
8 振動センサー
L 機器類
T テーブル

Claims (4)

  1. コイルばねと、制振コートと、ストッパと脚台との組合せを有する除振マウントであって、
    コイルばねは、専ら除振、防振すべきテーブルの荷重を支持する機能を受け持たせるものであり、
    制振コートは、粘弾性体の皮膜であり、コイルばねの全長に渡りコイルばねの外周側の線材表面に盛り付けられ、コイルばねの内周面側に露出させた線材をストッパに接触させてコイルばねの鉛直方向のすべりを確保させ、テーブルもしくは床の振動に伴ってコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせるものであり、
    ストッパは、脚台に支えてコイルばねの内径内に設置され、コイルばねの水平面上の任意の方向に生じる変位を阻止してコイルばねの水平方向の揺れを抑制するものであり、
    脚台は、粘弾性体によって形成され、コイルばねとストッパとが接触した状態においてもコイルばねから受ける振動を減衰するものであることを特徴とする除振マウント。
  2. 前記コイルばねは、上下段のフランジの対向面間に設置され、
    上段フランジは構造体の支持台となり、下段フランジは除振マウントの床或いは卓への載置台となるものであり、
    前記ストッパは、下段フランジ又は上段フランジに設置された脚台に取付けられたものであることを特徴とする請求項に記載の除振マウント。
  3. ストッパはコイルばねと同心上で、コイルばねの内径に僅かに接触を許すような位置でコイルばねと同心上にその内径内にコイルばねと向き合わせに組み込まれた途切れの無い完全なリングであり、前記脚台に支えられているものであることを特徴とする請求項に記載の除振マウント。
  4. 前記上下段のフランジは、中央に取付けボルトをねじ込むネジ穴が開口され、
    前記脚台は、円筒状であり、ネジ穴の周囲のフランジ面に取付けられているものであることを特徴とする請求項に記載の除振マウント。
JP2006056301A 2006-03-02 2006-03-02 除振マウント Active JP4716222B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006056301A JP4716222B2 (ja) 2006-03-02 2006-03-02 除振マウント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006056301A JP4716222B2 (ja) 2006-03-02 2006-03-02 除振マウント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007232131A JP2007232131A (ja) 2007-09-13
JP4716222B2 true JP4716222B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=38552922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006056301A Active JP4716222B2 (ja) 2006-03-02 2006-03-02 除振マウント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4716222B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101984056B1 (ko) * 2018-10-29 2019-05-30 이경재 브레이크 패드 스프링 및 그 제조방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5288246B2 (ja) * 2008-05-26 2013-09-11 株式会社ダイフク 荷保管用ラックの荷支持装置
JP2015105704A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 特許機器株式会社 吸振体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52140406U (ja) * 1976-04-21 1977-10-25
JPS5476486U (ja) * 1977-11-10 1979-05-31
JPS59172846U (ja) * 1983-05-06 1984-11-19 東海ゴム工業株式会社 コイルばねの支持構造
JPS60245843A (ja) * 1984-05-21 1985-12-05 Nhk Spring Co Ltd 被覆コイルばね
JP2004116626A (ja) * 2002-09-25 2004-04-15 Manabu Kobayashi コイルばね
JP2006527340A (ja) * 2003-06-11 2006-11-30 尹学▲軍▼ 複合バネ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5836641B2 (ja) * 1976-05-19 1983-08-10 セイコーエプソン株式会社 粉末焼結体物品の製造方法
JPS5476486A (en) * 1977-11-28 1979-06-19 Inst Fuoo Atomenerugii Continuous crystallization method
JPS59172846A (ja) * 1983-03-19 1984-09-29 Rohm Co Ltd ステレオ復調回路

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52140406U (ja) * 1976-04-21 1977-10-25
JPS5476486U (ja) * 1977-11-10 1979-05-31
JPS59172846U (ja) * 1983-05-06 1984-11-19 東海ゴム工業株式会社 コイルばねの支持構造
JPS60245843A (ja) * 1984-05-21 1985-12-05 Nhk Spring Co Ltd 被覆コイルばね
JP2004116626A (ja) * 2002-09-25 2004-04-15 Manabu Kobayashi コイルばね
JP2006527340A (ja) * 2003-06-11 2006-11-30 尹学▲軍▼ 複合バネ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101984056B1 (ko) * 2018-10-29 2019-05-30 이경재 브레이크 패드 스프링 및 그 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007232131A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8705185B2 (en) Optical element
CN106402233A (zh) 一种六自由度主被动复合定位与隔振平台
JP5437888B2 (ja) 除振マウント
JP2006207723A (ja) 除振マウント
JP4716222B2 (ja) 除振マウント
Hermsdorf et al. High performance passive vibration isolation system for optical tables using six-degree-of-freedom viscous damping combined with steel springs
JP2010031953A (ja) 圧縮コイルばねによる制振・防振装置
CN112984044B (zh) 精密设备搭载用除振装置
US10830302B2 (en) Continuous framework for shock, vibration and thermal isolation and motion accommodation
JP7427157B2 (ja) 振子型防振装置
JP2003130132A (ja) 除振機構
JP6872429B2 (ja) 荷電粒子線装置
US20200408274A1 (en) Orthogonally-optimized vibration isolation
JP2002147528A (ja) 除振マウント
JP2006316953A (ja) 除振マウント
JP2007078122A (ja) 除振装置
JP5139960B2 (ja) アクティブ防振装置及びこれに用いるアクチュエータ
JP2012037039A (ja) 制振合金を用いた除振装置
JP2006002559A (ja) 免震構造
KR20070028233A (ko) 방진 장치
JP4881905B2 (ja) フォーク用制振装置
JP2021131157A (ja) 精密機器用防振装置
JP2005330799A (ja) 免震構造
JP2004068914A (ja) 除振機構
JP2012202107A (ja) 建物床用の防振装置及び建物の床構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4716222

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250