JP2006316953A - 除振マウント - Google Patents

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Abstract

【課題】 除振マウントの除振・制振性能を維持する。
【解決手段】 コイルばね2と、制振材3との組み合せを有している。コイルばね2は、専ら除振、制振すべき構造体の荷重を支持する機能を受け持たせるものであり、制振材3は、粘弾性体であり、コイルばね2の線材表面に盛り付けてコイルばね2の全長に渡り皮膜として形成され、コイルばね2に作用する荷重に対して抵抗とならず、専ら構造体5の振動に伴ってコイルばね2の一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、テーブルに搭載された精密な機器類への外来の振動の影響を阻止する除振マウントに関する。
床を通して伝達されてくる外来の振動を精密な機器類に伝えたくない場合には、機器類の設置に除振機構(除振マウント)が用いられる。コンピュータや通信機器に用いる電子デバイスの回路パターンを形成するIC露光機や回路パターンを読み取る3次元測定器のように1μm以下の精度が問題となる機器類では自励振動や外来の振動の影響を阻止する必要性が高く、床から機器類に伝えられる振動を減衰する除振機構の性能が機械の性能を左右する重要な要素となる。
従来より、除振機構には、一般に空気ばねを組み込んだ構造のものが用いられてきた。特に、固有振動数が1〜2kHzのダイアフラム形空気ばねを用いることによって、除振機構の機能は、空気ばねと、空気ばねに支持される機器類の質量との系によって実現される。
空気ばねを用いることによる利点は、補助タンクを付設し、空気ばねと、タンクとの間にオリフィスを入れることで、空気の粘性抵抗による減衰を得ることができ、固有振動数における共振ピークを低く抑えることが可能となり、外乱による支持荷重の揺れを速やかに吸収することができる点である。
一方、高価な空気ばねを用いずに垂直方向と、水平方向との除振機能を得る除振機構として、コイルばねと、制振材との組み合わせによる装置(除振マウント)が知られている。この装置は、例えば図17に示すように、弾性体としてのコイルばね31と、制振材として円柱状の粘弾性体(エポキシ樹脂)32との組み合わせを用い、粘弾性体32をコイルばね31の空間内に配置し、粘弾性体32の両端と、コイルばね31の両端とにフランジ33を取り付け、コイルばね31と粘弾性体32との複合体に作用する荷重方向の弾性中心を粘弾性体側に包蔵させて両者を一体にネジで緊締したものである。
この装置を機械器具の除振支持に用いれば、水平方向(横方向)と垂直方向(縦方向)に加えられる外力に対して大きな制振効果を得ることができる(特許文献1)参照)。
ところで、図17に示す除振マウントの構造によるときには、除振マウントに加わる荷重はコイルばねによって支えられるが、制振材である粘弾性体32からの抵抗を無視することができない。コイルばねの撓みのストロークが大きければ大きいほど、制振材の抵抗が大きくなって、実質的に弾性体となり、その荷重は、コイルばねと粘弾性体とによって支えられる結果となり、粘弾性体に対する重力の作用が変化して制振効果が変動する。このため、特に軽荷重を支える除振マウントの場合には、荷重を分担する比率が高くなって制振性能が大きく変化するという問題が生じるのである。
このような軽荷重を支える除振マウントの除振・制振性能を維持することを目的として出願人は、先に、柔軟な粘弾性体を制振材に用い、専ら構造体の振動に伴ってコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせ、コイルばねの圧縮方向には、粘弾性体の抵抗の影響を殆ど受けないようにした除振マウントを提案した(特許文献2参照)。
特許文献2に記載された除振マウントによれば、除振マウントに作用する荷重が変化してコイルばねの撓みに大きなストローク変位が生じたとしても、除振マウントは制振材の抵抗の影響を受けずに初期の制振性能を発揮することができる。また、制振材には、帯状、らせん状、あるいは中空の蛇腹状などに加工した粘弾性体を用いることができ、除振マウントの除振・制振性能は、制振材に用いた帯状の粘弾性体の幅、厚さ、硬さを変えることにより、また、らせん状の粘弾性体を用いたときには、らせん断面の形状、断面積、らせんの長さ、粘弾性特性を変えることにより、さらには蛇腹状の中空の粘弾性体を用いたときには、蛇腹の形状、膜厚、襞の数、粘弾性特性をかえることによって容易に調整できる。
とはいえ、粘弾性体は、コイルばねとは独立した別の部品として除振マウントに組み立てられるものであるために、コイルばねの伸縮変位に追従させるには、独立した部品としてある程度の強度が必要であり、独立した部品として要求される強度が、コイルばねの伸縮変位に対する抵抗となり、コイルばねの撓み変形のストロークの大小に左右され、その結果、除振マウントの除振性能に影響を与えるという問題があった。
特開昭63−30628号公報 特願2005−21752号
解決しようとする問題点は、従来、制振材は、コイルばねとは別部品として、コイルばねに組みつけられていたため、制振材に用いる粘弾性体には自立性を有することまでは要求されないとしても、ある程度の強度が必要であり、これがコイルばねの伸縮変位に対する抵抗となり、その結果、除振マウントの除振性能に対する影響は避けられないという点である。
本発明は、コイルばねの伸縮変位に対する抵抗を殆ど生じさせることなく、制振材をコイルばねの線材に盛り付けた点を最も主要な特徴とする。
本発明の除振マウントによれば、制振材はコイルばねの線材と一体に盛り付けられるため、コイルばねの伸縮変位がそのまま制振材に伝えられて、コイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーは熱エネルギーに変換されてコイルばねの振動エネルギーを有効に減衰させることができる。
コイルばねの撓み変形のストロークの大小に左右されずに除振マウントの制振・除振性能を発揮させるという目的を、コイルばねの線材の表面に粘弾性体を盛り付けてコイルばねの全長に渡って、制振材の皮膜を形成することで実現した。
以下に本発明の実施例を図によって説明する。図1(a),(b)において、本発明による除振マウントMは、対のフランジ1a,1bと、弾性体であるコイルばね2と、制振材3とからなるものである。対のフランジ1a,1bは、コイルばね2の上下に配置されたものであり、上段のフランジ1aは構造体の支持台となり、下段のフランジ1bは、除振マウントMの床或いは卓への設置台となるものである。
コイルばね2は、除振すべき構造体の弾性支持体であり、両フランジ1a,1bの対向面間に設置される。制振材3は、コイルばね2に作用する荷重、振動に対して支持体としての抵抗にはならず、専ら構造体の振動に伴ってコイルばね2の一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して、振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせるものである。制振材3には、本発明においても、粘弾性体を用いる。
制振材3にいわゆる粘弾性体を用いるのは、粘弾性体は、応力の大きさのみならず、その増加速度も歪の増加速度に大きな影響を与える物質( 科学大辞典 P.1059 丸善株式会社発行 )としての性質を有するからである。このような性質を有する材料には、エポキシ樹脂を主成分とする制振材料(特公平7−64917号公報参照)があるが、制振材3の材料はこれに限らず、粘弾性体として用いられる材料、例えばネオプレンゴムなどを適用することができる。制振材3は、コイルばね2の表面に付され、かつその上端と下端とにつながれていることが必要である。本発明においては、コイルばね2の全長に渡り、その表面に粘弾性体を盛り付けて制振材3の皮膜を形成している。
コイルばね2の線材表面に制振材3の皮膜を形成するには、粘弾性体のペースト中にコイルばね2を浸漬して粘弾性体ペーストをコイルばね2の線材表面に付着させ、これを固化させる処理を繰り返すことによって所要厚みの皮膜に盛り付けることができるが、或いは、粘弾性体のチューブをコイルばね2に被覆しても良く、さらに粘弾性体の粉末をコイルばね2に塗布することによっても得られる。粘弾性体のチューブでコイルばね2を被覆すれば、コイルばね2の螺旋に沿ってその線材の全周に同じ厚みの制振材皮膜を盛り付けることができる。
本発明の除振マウントMは、比較的軽量の構造体の支持用を予定しているため、コイルばね2には細い線材が使用され、制振材3の皮膜はごく薄くてよいため、粘弾性体ペーストを付着させることによって制振機能を実現できるが、厚肉の皮膜は、制振材チューブの被覆によるほか、成形型を用いて線材に粘弾性体を盛り付けることができる。なお、制振材3の皮膜は、コイルばねの線材表面の全周に盛り付ける場合に限らず、コイルばねの線材の全長にわたって、その表面の少なくとも一部、例えば内面または外面の少なくとも一方に盛り付けられていればよい。
図2に、成形型を用いて厚肉の制振材3の皮膜を形成する方法の1例を示す。図2(a)において、コイルばね2の上段の線材と下段の線材とが互に接触するまでコイルばね2を押し縮めた状態で、これを成形型4のキャビティ内にセットし、成形型4のキャビティ内でコイルばね2の内周と外周との空間に粘弾性体ペースト3aを充填してこれを固化させる。
ペースト3aの固化後、コイルばね2を脱型し、図2(b)に示すようにコイルばねの線材の内外周に盛り付けられた粘弾性体の固化膜をコイルばね2の線材に沿って切断する。これによって図2(c)に示すようにコイルばね2の線材の内外周に一定の厚みで線材と一体に成形加工された制振材3の皮膜が盛り付けられて制振性能が付与されたコイルばね2が得られる。この例ではコイルばね2の線材の内外周面に制振材3を均等な厚みで盛り付けた例を示しているが、同様に成形型を用いてコイルばね2の線材の外周にのみ、あるいは内周にのみ制振材3を一定厚みで盛り付けることができ、制振材3を盛り付けられたコイルばね2の上下端に対のフランジ1a、1bを組合わせて本発明の除振マウントMを完成する。
図3(a)、(b)は、構造体5の四隅を本発明の除振マウントMによって支えて構造体5を除振支持した状態を示す図である。一方のフランジ1aを設置台として床(又は卓)上に置き、他方のフランジ1bを支持台としてその上に構造体5を支える。図3の例は、底面が長方形の構造体5への設置例である。
また、除振マウントMを構造体5の対角線上の位置に配置することで、水平方向の除振特性のバランスが確保される。構造体5の重量は除振マウントMに加わり、コイルばね2は、重量の支持体として受けた重量の大きさに応じて撓み、その高さを減じるが、除振材3は、コイルばね2の伸縮変位に追従し、コイルばね2に作用する荷重、振動に対して抵抗とならず、専ら構造体5の振動に伴って生じるコイルばね2の振動エネルギーを構造体5の振動に伴ってコイルばね2の一端から他端に伝播する振動エネルギーを、熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる。
(実験例)
(実験の意味)
図4に除振マウントの除振メカニズムを示す。図4において、除振マウントにコイルばねのみを用いたときに、その鉛直方向の共振周波数f0は、近似的に式(1)であらわされる。
f0=5/√たわみ量(cm)・・・・(1)
また、コイルばねと、制振材との組み合わせにおける除振マウントの性能を表す振動伝達率(単位dB)は、除振マウントの上端をU、下端をDとすると、式(2)のとおりである。
dB=20logUの振動/Dの振動・・・(2)
曲線Xは、コイルばね2の共振周波数がf0のときのコイルばね2の振動伝達特性を示している。コイルばねの減衰特性は、共振周波数f0で鋭く立ち上がり、以後、振動周波数Hzが増大するにしたがってサージングの波形を伴いながら増幅領域AZから減衰領域DZに変化していく。曲線Xに示すようにコイルばねだけを用いた除振マウントでは、減衰領域の周波数特性にサージング波形が現れるだけでなく、共振倍率が高いという致命的な欠陥がある。
曲線Yは、コイルばねに制振材を組み合せて望ましい除振性能に調整した除振マウントの特性を示している。図に示すようにコイルばねに制振材を組み合わせたときにその除振マウントの減衰曲線Yは、コイルばねだけの除振マウントの特性曲線Xに比べると共振周波数f0′が増大しても、サージング波形がなくなり、共振倍率が低下した特性曲線を描けば、除振性能の振動伝達特性は優れていると評価できる。
共振倍率に関しては、制振材の制振性を高めることで共振倍率をさらに低下させることは可能であるが、共振倍率が低すぎると、Δf=f0′−f0が増大する結果、振動周波数の減衰領域が浅くなり(減衰の絶対値が小さくなり)、制振性能が低下するという問題を生じる。
以下に本発明の実験例を示す。
(実験例1)
実験は表1に示すコイルばねを粘弾性体のペーストに浸漬し、これを固化させてコイルばねの全長に渡り、線材の表面に制振材3の皮膜を形成した除振マウントMで図5に示すように除振台6の四隅4箇所を支え(4マウント)、その上に重錘を兼ねた試料7を置き、除振マウントMに掛かる荷重を調整し、振動センサー8を用いて水平方向及び鉛直方向の振動特性を測定した。実験に際して制振材の皮膜の厚みを種々変化させた場合について行ったが、皮膜の膜厚の調整は、コイルばねを粘弾性体のペースト中に浸漬し、ペーストから取り出した後、固化する処理を繰り返すことによって行った。すなわち、ペーストへの浸漬回数が多いほど膜厚が厚い粘弾性膜が形成される。粘弾性体ペーストには、以下の組成物を使用した。
粘弾性体ペーストの組成物
粘弾性体ペーストには、以下の(a)〜(c)を含む組成物のペーストを使用した(特公平7−64917号公報参照)。
(a)エポキシ樹脂100重量部
(b)エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量に対して、エポキシ基と反応する官能基を0.5当量を含む硬化剤、
(c)数平均分子量が200〜1090の液状ポリサルファイド系オリゴマー40〜500重量部
比較例1として、制振材を盛り付けないコイルばねのみの除振マウントを用いて同じ測定を行った。
Figure 2006316953
比較例1(除振マウントのたわみ11mm、荷重1.3kg/4マウント)には、表1に示す制振材の皮膜のないコイルばねURを用いた。その振動特性を図6に示す。(a)は、水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性である。図6に明らかなように水平方向ではほぼ2.2Hz付近、垂直方向では4.7Hz付近で鋭い共振点のピーク値を示した。
図7は、実験例1(除振マウントのたわみ11mm、荷重1.3kg/4マウント)の振動特性を示すグラフである。実験例1はコイルばねを粘弾性体ペースト中に3回浸漬して乾燥させることによって、コイルばねに制振材の皮膜を形成した例である。図7に示すように水平方向では、比較例1と比べるとわずかに高い2.5Hz付近、垂直方向では5.1Hz付近で共振点の鋭いピークが形成されたが、図6と比較して明らかなようにそのピーク値は比較例1に比べてやや低下する傾向が見られた。
(実験例2,3)
実験例2としてコイルばねを前記粘弾性体のペースト中に4回の浸漬とペーストの固化の処理を繰り返すことによって制振材の皮膜を形成した除振マウントの振動特性を図8に示し、実験例5として5回の浸漬とペーストの固化の処理を繰り返すことによって制振材の皮膜を形成した除振マウントの振動特性を図9に示す。両図を比較して明らかなように、ペースト中に浸漬した回数が多いほど、すなわち、皮膜の膜厚が厚いほど水平方向、垂直方向ともに、共振点のピーク値が低くなり、しかもそのピーク値がやや高周波領域に移行する傾向が見られた。5回の浸漬処理によって厚肉の粘弾性体膜を形成した実験例3の除振マウントと比較例1のマウントの振動特性を比較すると、水平方向では、共振倍率は35dBから22dBに、垂直方向では37dBが21dBと大幅に低下した。
以上、図6〜図9を見て分かるように、制振材の皮膜の膜厚を厚くするにしたがって、図4の曲線Yの振動特性に近づいてくることがわかる。本発明において、上フランジに加えられる荷重の殆どはコイルばねによって支えられ、制振材3は、構造体の荷重変化に影響されることが極めて少ないので、実験例も意図したとおりの除振性能を発揮できることを示している。
(実験例4)
実験例1と同じ材質の線材を用いた線径1.9mm(バネ定数1.0kgf/mm)で制振材皮膜のないもの(比較例2、図10参照)と粘弾性体ペースト中に5回浸漬するごとに乾燥処理して比較的厚膜の制振材皮膜を形成したもの(実験例4、図11参照)とを比較したところ、比較例2に比べて実験例4では、水平方向の減衰性能に関してはかなりの改善が見られたが、垂直方向に関しては、共振周波数のピーク値がわずかに高周波域に移行した以外に減衰性能はさほどの改善が見られなかった。この事実から、線径1.9mmのコイルばね2については、実験例4で形成された制振剤の皮膜よりも、もう少し厚膜の制振材皮膜を線材に盛り付ける必要があるものと考えられる。
(実験例5)
実験例5として、実験例1と同じ材質の線材を用いた線径1.6mm(バネ定数0.3kgf/mm)、たわみ量11.5mm、自然長35mm、のコイルばねを用いた除振マウントについて荷重10.4kg/3マウントの条件の下で同様の実験を行った。制振材3は、成形型を用いて図12に示すようにコイルばねの線材の外周の半周にわたり、0.5mmの厚みに盛り付けた。図13は、制振材を盛り付けないコイルばねのみの除振マウントで、荷重10.4kg/3マウントで実測した比較例3の振動特性を示す図、図14は、実験例5の振動特性を示す図である。図13、14を比較して分かるように水平方向、垂直方向のいずれにおいても明らかな改善が認められた。
(実験例6)
実験例6として、成形型を用いて、図15に示すように実験例5と同じ線径、撓み量、自然長のコイルばね2の線材の外周の半周に渡り厚さ0.5mmの厚さに盛り付け、さらに線材の上下面にそれぞれ0.2mmの厚さに制振材3を盛り付けて荷重10.4kg/3マウントで実測した実験例6の振動特性を図16に示す。図13と、図16とを比較して明らかなとおり、振動特性は、水平方向、垂直方向ともに大幅に改善されていることが分かる。
以上のように本発明は、コイルばね2に、専ら除振、制振すべき構造体の重量を支持する機能を受け持たせ、コイルばね2の螺旋に沿って線材に盛り付けた制振材3の皮膜は、単にコイルばね2の撓みに追従して屈伸するのみで、専らコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせるものである。
したがって、本発明によれば、構造体5の重量の殆どをコイルばね2に受け持たせ、制振材3には構造体5の荷重に対する抵抗にはならないように盛り付けることが必要である。もっとも、コイルばねに盛り付ける制振材の皮膜の肉厚には自ずから限界があるが、コイルばねの線材の太さが一定の範囲までは、膜厚が厚いほど減衰特性が改善される結果となった。さらに厚い膜厚が必要のときには、チューブによる被覆や型成形加工によって必要な膜厚に制振材を盛り付けることができる。
本発明によれば、コイルばねだけの除振マウントに比べて共振周波数が小さく、振動特性の減衰領域の範囲、大きさを殆ど低下させず、したがって制振性能を低下させずに除振、防振効果が得られ、特に比較的軽量の構造体、例えば重量の小さい精密機器類の除振、防振に用いて優れた効果が得られる。
(a)は本発明による除振マウントの一部断面側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は成形型を用いてコイルばねに粘弾性体を盛り付ける例を示すもので、(a)は成形型の断面図、(b)は、粘弾性体ペーストの固化物を一体形成したコイルばねの断面図、(c)は、コイルばねの線材にそって粘弾性体ペーストの固化物を切断した状態を示す図である。 (a)は本発明による除振マウントにて構造体を支持した例を示す側面図、(b)は構造体を支持する様子を構造体の底面側から見た図である。 除振マウントの振動特性を示す図である。 実験の要領を示す図である。 (a)は、比較例1の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例1の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例2の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例3の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、比較例2の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例4の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 実験例5に用いた除振マウントにおける制振材の盛り付け形状を示す図である。 (a)は、比較例3の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 (a)は、実験例5の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 実験例6に用いた除振マウントにおける制振材の盛り付け形状を示す図である。 (a)は、実験例6の水平方向の振動特性、(b)は垂直方向の振動特性のグラフである。 特許文献1に記載された除振マウントの構造を示す図である。
符号の説明
M 除振マウント
1a,1b フランジ
2 コイルばね
3 制振材
3a ペースト
4 成形型
5 構造体
6 除振台
7 試料
8 振動センサー

Claims (5)

  1. コイルばねと、制振材との組み合せを有する除振マウントであって、
    コイルばねは、専ら除振、制振すべき構造体の荷重を支持する機能を受け持たせるものであり、
    制振材は、粘弾性体であり、コイルばねの線材表面に盛り付けてコイルばねの螺旋に沿い、その全長に渡り皮膜として形成され、コイルばねに作用する荷重に対して抵抗とならず、専ら構造体の振動に伴ってコイルばねの一端から他端に伝播する振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動エネルギーを減衰させる機能を受け持たせるものであることを特徴とする除振マウント。
  2. 制振材は、コイルばねの線材表面を被覆するものであることを特徴とする請求項1に記載の除振マウント。
  3. 制振材は、コイルばねの線材表面に塗布されているものであることを特徴とする請求項1に記載の除振マウント。
  4. 制振材は、チューブとしてコイルばねの全長に渡って線材にかぶせられているものであることを特徴とする請求項1に記載の除振マウント。
  5. 制振材は、圧縮されたコイルばねの内外面の少なくとも一方に一定の厚みで線材と一体に成形加工されたものであることを特徴とする請求項1に記載の除振マウント。
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