JP2007146898A - 除振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構成で良好な除振特性を得ることができる除振装置を提供する。
【解決手段】本発明の除振装置1は、設置用の脚部3aを有するフレーム3と、フレーム3側と振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台12と、架台12をフレーム3上に支持する架台支持機構20と、架台支持機構20に設けられ、架台12の被支持部12aとフレーム3上の支持部14dとの間に介在された粘弾性体31、32を有する粘弾性ダンパ機構5とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の除振装置1は、設置用の脚部3aを有するフレーム3と、フレーム3側と振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台12と、架台12をフレーム3上に支持する架台支持機構20と、架台支持機構20に設けられ、架台12の被支持部12aとフレーム3上の支持部14dとの間に介在された粘弾性体31、32を有する粘弾性ダンパ機構5とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、外来振動に対して、精密機器などの除振対象物を絶縁するために用いる除振装置に関する。
従来、半導体の製造・検査装置、電子顕微鏡などを始めとする精密機器は、その機能及び仕様の高機能化や超精密化が図られているため、設置基礎又は床側からの振動を機器側に対して遮断する必要がある。
したがって、このようなスペックの高い精密機器の設置に際しては、ばね定数の低い防振ゴム、コイルばね、空気ばねなどで精密機器を搭載した定盤を支持しつつ、これらを受動に制御して除振を行う例えばパッシブ(受動)型の除振装置が利用されている(例えば特許文献1参照)。
特開平5−296288号公報
しかしながら、定盤の支持機構部分に単に空気ばねなどを採用する上記したパッシブ型の除振装置では、振動の減衰性能の向上が絶えず要請されており、この減衰性能を含む除振特性全般の改善が求められている。
ここで、定盤の変位量を検出しつつアクチュエータなどを通じて定盤を能動的に制御するアクティブ型の除振装置を適用することなどが考えられるが、アクティブ型の除振装置は、高精度な駆動制御が必要になるため装置構成が複雑な構造となる。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、比較的簡単な構成で良好な除振特性を得ることができる除振装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る除振装置は、振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台と、前記架台を支持する粘弾性体の介在された架台支持機構と、を具備することを特徴とする。
この発明の除振装置によれば、除振の対象物を載せる架台が粘弾性体を介して支持されるので、外来振動に対し架台側を、粘弾性体の持つ粘性抵抗によって効果的に絶縁することができ、これにより、簡易的な構成で優れた除振特性を得ることができる。
また、本発明に係る除振装置は、設置用の脚部を有するフレームと、前記フレーム側と振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台と、前記架台を前記フレーム上に支持する架台支持機構と、前記架台支持機構に設けられ、前記架台の被支持部と前記フレーム上の支持部との間に介在された粘弾性体と、を具備することを特徴とする。
この発明の除振装置では、設置基礎又は床などに設置されるフレーム上に粘弾性体を介して架台が支持されるので、外来振動の伝わり得るフレーム側に対し、除振対象物を載せる架台側を、粘弾性体の持つ粘性抵抗によって絶縁することができる。
さらに、本発明の除振装置は、前記粘弾性体を鉛直方向から挟持する挟持部材を備えることを特徴とする。
この発明では、挟持部材に挟持されている粘弾性体全体で垂直(鉛直)方向の振動を減衰させることができる。
この発明では、挟持部材に挟持されている粘弾性体全体で垂直(鉛直)方向の振動を減衰させることができる。
また、本発明の除振装置は、前記架台支持機構が、前記挟持部材による前記粘弾性体の挟持力を調整可能な挟持力調整機構を備えることを特徴とする。
この発明では、粘弾性体に加わる圧縮力を変更可能にすることで、粘弾性体自体が発揮し得る振動の減衰特性に調整を加えることができる。したがって、この発明によれば、除振装置を設置する環境、つまり、除振装置の設置部分に発生し易い帯域の振動周波数などに応じて、粘弾性体に加わる圧縮力(挟持部材による挟持力)を調整することで、除振装置の設置環境にとって最適な除振性能を発揮させることができる。
この発明では、粘弾性体に加わる圧縮力を変更可能にすることで、粘弾性体自体が発揮し得る振動の減衰特性に調整を加えることができる。したがって、この発明によれば、除振装置を設置する環境、つまり、除振装置の設置部分に発生し易い帯域の振動周波数などに応じて、粘弾性体に加わる圧縮力(挟持部材による挟持力)を調整することで、除振装置の設置環境にとって最適な除振性能を発揮させることができる。
また、本発明の除振装置は、前記粘弾性体が、貫通穴を有し、さらに、前記架台支持機構が、この架台支持機構の上部に配置される前記架台側又はこの架台支持機構のさらに底部に配置される部材側に固定され、かつ前記粘弾性体の前記貫通穴に鉛直方向から挿通される挿通部材を備えることを特徴とする。
この発明では、挟持部材に挟持されている粘弾性体全体で垂直方向の振動を減衰させることができるとともに、挿通部材の外形部分に接触し得る粘弾性体の貫通穴の内壁部分で垂直方向の振動を減衰させることができ、これにより、3軸方向のいずれの方向においても良好な除振特性を得ることができる。
また、本発明の除振装置では、前記挟持部材は、前記挿通部材がそれぞれの貫通穴に挿通された一対の粘弾性体を鉛直方向から挟持し、さらに、前記架台支持機構は、この架台支持機構の上部に配置される前記架台側又はこの架台支持機構のさらに底部に配置される部材側に固定され、かつ前記挟持部材に挟持される前記架台側の粘弾性体と前記フレーム側の粘弾性体との間に介挿される介挿部を持つ介挿部材を備えることを特徴とする。
この発明では、架台支持機構のさらに底部側及び架台側に設けられた各粘弾性体によって、介挿部材の介挿部を境界として架台支持機構のさらに底部側で起こり得る振動と架台側の振動とを個別に減衰させることができるので、系全体の除振を効果的に行うことができる。
この発明では、架台支持機構のさらに底部側及び架台側に設けられた各粘弾性体によって、介挿部材の介挿部を境界として架台支持機構のさらに底部側で起こり得る振動と架台側の振動とを個別に減衰させることができるので、系全体の除振を効果的に行うことができる。
さらに、本発明の除振装置は、前記架台支持機構が、前記架台の底部の複数個所を支持する複数の空気ばねをさらに有することを特徴とする。
この発明では、架台の底部の複数個所を空気ばねと粘弾性体とを併用するかたちで支持するので、空気ばねの内部損失抵抗と粘弾性体の持つ粘性抵抗とから得られる作用により、この架台支持機構では良好な振動絶縁効果を期待できる。
この発明では、架台の底部の複数個所を空気ばねと粘弾性体とを併用するかたちで支持するので、空気ばねの内部損失抵抗と粘弾性体の持つ粘性抵抗とから得られる作用により、この架台支持機構では良好な振動絶縁効果を期待できる。
また、本発明の除振装置においては、高い除振効果を得るために前記粘弾性体の損失係数は、0.6〜2.0の範囲内にあることが望ましい。損失係数が、0.6未満では、粘弾性体の物性が一般のゴムの物性に近似することになり、良好な振動減衰特性を得ることが難しくなる。一方、損失係数が2.0を超えると、流動性が高くなりすぎて、所望の形状に成形することが困難となる。
また、本発明の除振装置は、前記架台支持機構の複数の空気ばねを通じて前記架台側の制振をパッシブ制御により行う架台制振機構をさらに備えることを特徴とする。
この発明では、粘弾性体の近傍で共に架台を支持する空気ばねを受動的に制御するので、アクティブ型の除振装置などと異なり簡易的な構造で、振動の減衰性能の高い除振装置を構成することができる。
この発明では、粘弾性体の近傍で共に架台を支持する空気ばねを受動的に制御するので、アクティブ型の除振装置などと異なり簡易的な構造で、振動の減衰性能の高い除振装置を構成することができる。
このように本発明によれば、比較的簡単な構成で良好な除振特性を得ることが可能な除振装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る除振装置を示す平面図、図2は、この除振装置の正面図、図3は、除振装置の右側面図、図4は、除振装置の架台支持機構の一部を構成する粘弾性ダンパ機構を詳細に示す図である。ここで、図1では、架台の支持構造を視覚的に把握し易くするために架台の外形を想像線(二点鎖線)で表している。
図1は、本発明の実施形態に係る除振装置を示す平面図、図2は、この除振装置の正面図、図3は、除振装置の右側面図、図4は、除振装置の架台支持機構の一部を構成する粘弾性ダンパ機構を詳細に示す図である。ここで、図1では、架台の支持構造を視覚的に把握し易くするために架台の外形を想像線(二点鎖線)で表している。
図1〜図4に示すように、除振台などとも称する本実施形態の除振装置1は、いわゆるパッシブタイプ(受動型)の空気ばね式除振装置である。除振装置1は、設置基礎又は床上に設置される脚部3aを有するフレーム(フレームユニット)3と、フレーム3側と振動絶縁すべき除振の対象物を載せる定盤とも称する架台12と、架台12をフレーム3上に支持する架台支持機構20と、架台支持機構20に設けられ、架台12の被支持部12aとフレーム3上の支持部14dとの間に介在された一対の粘弾性体31、32を有する粘弾性ダンパ機構5とを備える。
フレーム3は、矩形状の架台12の各コーナ部近傍に対し設置基礎又は床面に対し起立した姿勢で配置される四つの垂直フレーム3bと、垂直フレーム3bの上部間及び下部間に水平に架け渡される水平フレーム14a、14bと、水平フレーム14bの中央部間に架け渡される水平フレーム14cとを備える。設置基礎又は床面に敷かれる敷板11と垂直フレーム3bの下方に位置する脚部3aとの間には、床面などに対するレベル合わせのためのレベリングボルト9が設けられている。また、垂直フレーム3bの下部間に架け渡される水平フレーム14aの底部には、除振装置1本体を移動させるためのキャスタ8が取り付けられている。
架台支持機構20は、上記した粘弾性ダンパ機構5と、空気ばね2と、防振ゴム4とから主に構成される。空気ばね2は、四つの垂直フレーム3bの上端部にそれぞれ配置されており、架台12の各コーナ部近傍を底部側から支持する。防振ゴム4は、架台12の各コーナ部に配置された空気ばね2と各垂直フレーム3bの上端部との間に四つずつ介在されている。除振装置1には、例えばコンプレッサなどの空気源に接続されたフィルタレギュレータ7と、架台12の底面における所定の三箇所に対し、高さ位置検出部を接触させた自動圧力調整器6とが設けられている。空気源からフィルタレギュレータ7を通じて供給される圧縮空気は、三箇所の自動圧力調整器6を通って空気ばね2に給気される。この自動圧力調整器6による検知結果に基づいて、架台12のレベル(高さ方向の位置及び傾き)は、空気ばね2を通じて自動的に設定される。すなわち、フィルタレギュレータ7及び自動圧力調整器6は、複数の空気ばねを通じて架台12側の制振をパッシブ制御により行う架台制振機構として機能する。
ここで、上記した粘弾性体31、32について説明する。
粘弾性体31、32は、液状の当該粘弾性体の構成材料(主剤と硬化剤を含む)を型中に入れ、所定の条件で処理を施して例えばゲル状に形成されている。粘弾性体31、32の構成材料としては、例えば、軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCS(Micro Network Controlled Structure)などが例示される。軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCSは、引張強度(Kgf/cm2)が、それぞれ5〜23、2、10〜25程度である。また、軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCSは、それぞれ(環境温度を20℃、振動数を1〜30Hzとした場合の)損失係数が、各々1.2〜1.4、1.2〜1.5、0.6〜2.0程度であり、さらに、反発弾性(%)が、それぞれ5〜22、15〜20、1〜10程度の特性を有する。
粘弾性体31、32は、液状の当該粘弾性体の構成材料(主剤と硬化剤を含む)を型中に入れ、所定の条件で処理を施して例えばゲル状に形成されている。粘弾性体31、32の構成材料としては、例えば、軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCS(Micro Network Controlled Structure)などが例示される。軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCSは、引張強度(Kgf/cm2)が、それぞれ5〜23、2、10〜25程度である。また、軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、MNCSは、それぞれ(環境温度を20℃、振動数を1〜30Hzとした場合の)損失係数が、各々1.2〜1.4、1.2〜1.5、0.6〜2.0程度であり、さらに、反発弾性(%)が、それぞれ5〜22、15〜20、1〜10程度の特性を有する。
ここで、本発明において粘弾性体(31、32)とは、いわゆるゴム及び粘土の両方の性質を有するものである。この粘弾性体に、引張力を瞬間的に与えると、ゴムの性質により、元の形状に戻ろうとするものの、粘度の性質である粘性抵抗によりゆっくりとした復元動作となる。したがって、この粘弾性体に振動が加わった場合には、当該粘弾性体は、振動エネルギを粘性抵抗により熱エネルギに変換して振動を減衰させることができる。
上記の粘弾性体は、正弦波加振において、ばね要素とダッシュポット要素とが並列で配置されたモデルで表されることがある。この際、粘弾性体の剛性である、ばね要素のばね定数Kは、下記の式(1)に示すように、せん断弾性剛性G1と、粘弾性体の総面積Aと厚さtの関数で表すことができる。
K∝G1・A/t …式(1)
K∝G1・A/t …式(1)
上記式(1)により、粘弾性体の剛性のKは、粘弾性体の総面積Aに比例し、厚さtに反比例する性質を持っている。また、粘弾性体の減衰係数となるダッシュポット要素の減衰係数Cは、下記の式(2)に示すように、せん断ロス剛性G2と、粘弾性体の体積V、振動数fの関数で表すことができる。
C=G2・V/2・π・f …式(2)
C=G2・V/2・π・f …式(2)
上記式(2)により、粘弾性体の減衰係数Cは、粘弾性体の体積Vに比例し、振動数fに反比例する性質を持っている。また、減衰性能を表すパラメータとしては、例えば、上記した損失係数η(tanδとも称する)などが用いられる。この損失係数ηは、下記の式(3)で求めることができる。
η=G2/G1 …式(3)
すなわち、損失係数ηは、粘性項が支配的な場合には大きく弾性項が支配的な場合には小さい値となる。一般には、減衰ゴムなどは、0.4程度である。
η=G2/G1 …式(3)
すなわち、損失係数ηは、粘性項が支配的な場合には大きく弾性項が支配的な場合には小さい値となる。一般には、減衰ゴムなどは、0.4程度である。
また、粘弾性ダンパ機構5に適用される粘弾性体31、32の損失係数ηは、0.6〜2.0の範囲内にあることが望ましい。損失係数ηが、0.6未満では、粘弾性体の物性が一般のゴムの物性に近似することになり、良好な振動減衰特性を得ることが難しくなる。一方、損失係数ηが、2.0を超えると、流動性が高くなりすぎて成形が困難となる。
次に、このような粘弾性体31、32を備える粘弾性ダンパ機構5の構造について詳述する。
図1〜図3に示すように、粘弾性ダンパ機構5は、架台12の底部において、空気ばね2を架台12のコーナ部側に挟むようにして個々の空気ばね2の近傍にそれぞれ2セット若しくは1セットずつ配置(本実施形態では2セットずつ配置)されており、架台12の底部の水平フレーム14a、14b上に固定されている。このように、架台12のコーナ部近傍の底部を空気ばね2(及び防振ゴム4)と粘弾性体とを併用するかたちで支持するので、空気ばね2の内部損失抵抗(空気抵抗など)と粘弾性体の持つ粘性抵抗とから得られる作用により、この架台支持機構20では良好な振動絶縁効果を期待できる。
図1〜図3に示すように、粘弾性ダンパ機構5は、架台12の底部において、空気ばね2を架台12のコーナ部側に挟むようにして個々の空気ばね2の近傍にそれぞれ2セット若しくは1セットずつ配置(本実施形態では2セットずつ配置)されており、架台12の底部の水平フレーム14a、14b上に固定されている。このように、架台12のコーナ部近傍の底部を空気ばね2(及び防振ゴム4)と粘弾性体とを併用するかたちで支持するので、空気ばね2の内部損失抵抗(空気抵抗など)と粘弾性体の持つ粘性抵抗とから得られる作用により、この架台支持機構20では良好な振動絶縁効果を期待できる。
また、本実施形態の粘弾性ダンパ機構5は、中央部分にそれぞれ貫通穴31a、32aを有する例えばリング状の粘弾性体31、32と、粘弾性体31、32の貫通穴31a、32aに鉛直方向から挿通される挿通部材として機能するボルト17と、介挿部材としての断面L字状の介挿プレート16と、プレート状に形成された一対の挟持部材である挟持プレート19a、19bとで主に構成される。
ボルト17は、その基端部が取付プレート23及びナット21、22を介して架台12側に固定されている。挟持プレート19a、19bは、ボルト17の雄ねじ部分がそれぞれの貫通穴31a、31bに挿通された一対の粘弾性体31、32を鉛直方向から挟持する。粘弾性体31、32を挟持する挟持力は、挟持プレート19a、19bの各々の外側面と接触する位置でボルト17の雄ねじ部分と螺合するナット18a、18bによって得られる。なお、ナット18bのさらに外側(水平フレーム14a側)には、ナット18bが取り付けられている。
介挿プレート16は、架台12側又はフレーム3側のいずれか一方に基端部が固定(本実施形態では、フレーム3側に固定)されており、折曲された先端部分には、挟持プレート19a、19bに挟持される架台12側の粘弾性体31とフレーム3側の粘弾性体32との間に介挿される介挿部16aが設けられている。介挿プレート16の先端側の介挿部16aには、ボルト17の雄ねじ部分が挿通される挿通穴16bが穿孔されている。したがって、粘弾性ダンパ機構5では、ボルト17の雄ねじ部分が貫通穴31a、挿通穴16b、貫通穴31bに挿通されたかたちで、且つ架台12側から順に、粘弾性体31、介挿プレート16の介挿部16a、粘弾性体32が重ねられた状態のものが挟持プレート19a、19b間に挟持されている。
ここで、ボルト17とこのボルト17に螺合するナット18a、18bは、挟持プレート19a、19bによる粘弾性体31、32の挟持力を調整可能な挟持力調整機構として機能する。この構成によって、粘弾性体31、32に加わる圧縮力を変更することが可能なので、粘弾性体自体が発揮し得る振動の減衰特性に調整を加えることができる。したがって、除振装置1を設置する環境、つまり例えば、除振装置1の設置部分に発生し易い帯域の振動周波数などに応じて、粘弾性体31、32に加わる圧縮力(挟持プレート19a、19bによる挟持力)を調整することで、除振装置1の設置環境にとって最適な除振性能を発揮させることが可能となる。
また、粘弾性体31、32の貫通穴31a、貫通穴31bの穴径よりも、介挿プレート16の介挿部16aに穿孔された挿通穴16bの穴径は、大きい穴径で形成されている。このように構成される粘弾性ダンパ機構5では、挟持プレート19a、19bにより介挿部16aを介して挟持されている粘弾性体31、32全体で垂直(鉛直)方向の振動を減衰させることができるとともに、ボルト17の雄ねじ部分に接触し得る粘弾性体31、32の貫通穴31a、貫通穴31bの内壁部分で垂直方向の振動を減衰させることができ、これにより、3軸方向のいずれの方向においても良好な除振特性を得ることができる。また、このような構造の粘弾性ダンパ機構5では、粘弾性体31、32の変形量(たわみ)が小さく抑えられ、これにより、振動が短時間で減衰される。さらに、粘弾性ダンパ機構5では、架台12側及びフレーム3側に設けられた各粘弾性体31、32によって、介挿プレート16の介挿部16aを境界としてフレーム3側で起こり得る振動と架台12側の振動とを個別に減衰させることができるので、系全体の除振を効果的に行うことができる。
次に、このような粘弾性ダンパ機構5を備えた架台支持機構20によって得られる除振効果について、実際の測定データを参照しつつその説明を行う。ここで、図5は、空気ばね2、防振ゴム4及び粘弾性ダンパ機構5を備えた架台支持機構20を有する本実施形態の除振装置1において、この架台支持機構20を介して支持された架台12の振動減衰特性を示す図、図6は、粘弾性ダンパ機構5を取り外した架台支持機構で支持された架台12の振動減衰特性を示す図である。
詳述すると、図5、図6では、除振装置のフレーム側に同一量の振動を与えた場合において、時間の経過に伴う架台12の変位量が示されている。これらの図から明らかなように、粘弾性ダンパ機構5を有する架台支持機構20を適用した除振装置1では、架台12の初期変位量を小さく抑えることができ、また、振動の減衰も短時間で行われる。これにより、架台12上に搭載される測定機器などに振動により移動荷重が生じた場合でも、これを迅速に低減でき、測定機器による測定を好適に行うことができる。
既述したように、本実施形態の除振装置1では、設置基礎又は床などに設置されるフレーム3上に粘弾性体31、32を介して架台12が支持されるので、外来振動の伝わるフレーム3側に対し、除振対象物を載せる架台12側を、粘弾性体の持つ粘性抵抗によって効果的に絶縁することができ、これにより、比較的簡単な構成で優れた除振特性を得ることができる。
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は前記実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施形態の除振装置1では、設置基礎又は床上に設置される脚部3aを有するフレーム3を介して架台支持機構20が架台12を支持するものであったが、これに代えて、図7に示すように、上記のフレームを削除した構成の除振装置51によっても本発明を実現することができる。この除振装置51では、床などに設置されるプレート状の基台52上に架台支持機構20が配置される構成となる。また、本発明においては、架台支持機構20が、除振特性に優れる粘弾性ダンパ機構5を備えているので、例えばコストの削減などを考慮して、防振ゴム4を上記の除振装置1、51から削除することも可能である。
さらに、図4に示した粘弾性ダンパ機構5に代えて、図8に示す粘弾性ダンパ機構25を適用してもよい。この粘弾性ダンパ機構25は、フレーム3側(水平フレーム14a側)に基端部が固定された断面L字状の保持プレート26と、架台12側に基端部が固定された上記ボルト17と、上記の挟持プレート19aと同一の構造を有する挟持プレート27と、上記した粘弾性体31、32と同一材料を適用した、貫通穴33aを有するリング状の単一の粘弾性体33とで主に構成される。すなわち、挿通穴27aを有する挟持プレート27と、保持プレート26の折曲された挿通穴26aを有する先端部分は、粘弾性体33を鉛直方向から挟持する挟持部材として機能する。したがって、このような構造の粘弾性ダンパ機構25によっても良好な除振性能を得ることができる。
また、上記図4及び図8に示した粘弾性ダンパ機構5に代えて、図9(a)、図9(b)に示す粘弾性ダンパ機構35を本発明として適用することが可能である。ここで、図9(a)は、この粘弾性ダンパ機構35の構造を示す断面図、図9(b)は、この粘弾性ダンパ機構35における図9(a)に対する側面図である。これらの図に示すように、この粘弾性ダンパ機構35は、架台12側に基端部が固定された断面L字状の介挿プレート38と、水平フレーム14a側(又は基台52側)に基端部が固定された平板状の保持プレート43と、ボルト41及びナット42を介して保持プレート43上に一端部が固定された断面L字状の挟持プレート39、40と、上記の粘弾性体31、32、33と同一材料を適用した、貫通穴の形成されていない一対の粘弾性体36、37とで主に構成される。
介挿プレート38の折曲された先端部分には、挟持プレート39、40の各他端部に挟持される架台12側の粘弾性体36と水平フレーム14a側(又は基台52側に)の粘弾性体37との間に介挿される介挿部38aが設けられている。また、この介挿部38aを挟んで粘弾性体36、37を挟持する挟持プレート39、40は、各々に一組ずつ設けられた孔部39a、40a及び保持プレート43上の四つの長孔43a内に、ボルト41の雄ねじ部分41aを挿通させるようにして、保持プレート43上にナット42を介して締結されている。
ここで、ボルト41及びナット42を介しての長孔43aの長手方向における挟持プレート39、40の固定位置を適宜選択することで、挟持プレート39、40による粘弾性体36、37の挟持力を調整することが可能となる。すなわち、粘弾性体36、37に加わる圧縮力を変更することが可能なので、粘弾性体自体が発揮し得る振動の減衰特性に調整を加えることができる。したがって、このような構造の粘弾性ダンパ機構35においても、除振装置1、51の設置環境にとって最適な除振性能を発揮させることが可能となる。また、粘弾性ダンパ機構35によれば、架台12側及び水平フレーム14a側(又は基台52側)に設けられた各粘弾性体36、37によって、介挿プレート38の介挿部38aを境界としてフレーム側などで起こり得る振動と架台12側の振動とを個別に減衰させることができるので、系全体の除振を効果的に行うことができる。
また、上述した図9(a)などに示した粘弾性ダンパ機構35に代えて、この粘弾性ダンパ機構35を90°傾けたかたちで設置される図10に示す粘弾性ダンパ機構45を適用してもよい。この粘弾性ダンパ機構45は、粘弾性ダンパ機構35の断面L字状の介挿プレート38及び平板状の保持プレート43に代えて、平板状の介挿プレート47及び断面L字状の保持プレート46を備えて構成されている。すなわち、粘弾性ダンパ機構45は、粘弾性体36、37が水平方向から挟持される構成となるので、横方向(水平方向)の振動に対して優れた制振性能を発揮することができる。なお、図4や図8に例示した粘弾性ダンパ機構5、25を90°傾けて設置し、粘弾性体31、32、33を水平方向から挟持する構成としてもよい。また、このような粘弾性体を水平方向から挟持する構成の粘弾性ダンパ機構と、粘弾性体を垂直方向から挟持する構成の粘弾性ダンパ機構との両方を上記した除振装置1、51に搭載させることで、縦横(垂直及び水平方向)のいずれの方向の外来振動に対しても優れた制振性能を発揮する除振装置を得ることができる。
1,51…除振装置、2…空気ばね、3…フレーム(フレームユニット)、3a…脚部、3b…垂直フレーム、4…防振ゴム、5,25,35,45…粘弾性ダンパ機構、6…自動圧力調整器、7…フィルタレギュレータ、12…架台(定盤)、12a…被支持部、14a,14b,14c…水平フレーム、14d…支持部、16,38…介挿プレート、16a,38a…介挿部、16b…挿通穴、19a,19b,39,40,47…挟持プレート、20…架台支持機構、31,32,33,36,37…粘弾性体、31a,32a,33a…貫通穴。
Claims (9)
- 振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台と、
前記架台を支持する粘弾性体の介在された架台支持機構と、
を具備することを特徴とする除振装置。 - 設置用の脚部を有するフレームと、
前記フレーム側と振動絶縁すべき除振の対象物を載せる架台と、
前記架台を前記フレーム上に支持する架台支持機構と、
前記架台支持機構に設けられ、前記架台の被支持部と前記フレーム上の支持部との間に介在された粘弾性体と、
を具備することを特徴とする除振装置。 - 前記粘弾性体を鉛直方向から挟持する挟持部材を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の除振装置。
- 前記架台支持機構は、前記挟持部材による前記粘弾性体の挟持力を調整可能な挟持力調整機構を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の除振装置。
- 前記粘弾性体は、貫通穴を有し、
さらに、前記架台支持機構は、この架台支持機構の上部に配置される前記架台側又はこの架台支持機構のさらに底部に配置される部材側に固定され、かつ前記粘弾性体の前記貫通穴に鉛直方向から挿通される挿通部材を備えることを特徴とする請求項3又は4記載の除振装置。 - 前記挟持部材は、前記挿通部材がそれぞれの貫通穴に挿通された一対の粘弾性体を鉛直方向から挟持し、
さらに、前記架台支持機構は、この架台支持機構の上部に配置される前記架台側又はこの架台支持機構のさらに底部に配置される部材側に固定され、かつ前記挟持部材に挟持される前記架台側の粘弾性体と前記フレーム側の粘弾性体との間に介挿される介挿部を持つ介挿部材を備えることを特徴とする請求項5記載の除振装置。 - 前記架台支持機構は、前記架台の底部の複数個所を支持する複数の空気ばねをさらに有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の除振装置。
- 前記粘弾性体の損失係数は、0.6〜2.0の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の除振装置。
- 前記架台支持機構の複数の空気ばねを通じて前記架台側の制振をパッシブ制御により行う架台制振機構をさらに備えることを特徴とする請求項7又は8記載の除振装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2018017249A (ja) * | 2016-07-25 | 2018-02-01 | 学校法人東京理科大学 | 振動制御装置 |
-
2005
- 2005-11-24 JP JP2005338908A patent/JP2007146898A/ja active Pending
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