JP2018107883A - ステッピングモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ回転軸の軸線方向における振動低減を十分に高めたステッピングモータを提供する。【解決手段】回転軸を備え、磁極としてN極とS極を周方向に交互に配置したロータと、前記ロータの磁極形状に対し斜めとなる辺を備え、前記回転軸の軸線方向に設けられる歯形状を周方向に配置したステータと、前記ロータの前記軸線方向における振動を低減するための質量体と、前記軸線方向において前記回転軸または前記ロータに接続される第1の弾性部材と、前記軸線方向において前記第1の弾性部材と共に前記質量体を挟持する第2の弾性部材と、少なくとも前記第2の弾性部材を保持する第1の保持部材と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、モータ回転軸の軸線方向における振動を低減するステッピングモータに関する。
一般に、ステッピングモータは、モータ回転軸(出力軸)を有するロータと、複数の巻線を有するステータから構成されている。駆動時には、巻線に流す電流を切り替えることでステータが励磁され、ロータが順次吸着されてロータは回転運動をすることができる。
しかしながら、ステッピングモータにおいては、入力パルスに応じてロータがステータにステップ状に順次吸着されていくため、入力パルスに関連した振動が発生し、モータ回転軸の軸線方向における振動が発生する場合はそれを低減することが重要となる。
モータ回転軸の軸線方向における振動を低減するものとして、特許文献1では、モータ回転軸の軸受とロータの間にスプリング(バネ)を挟み、ロータを軸方向に付勢している。また、特許文献2では、軸受を板バネで保持し、モータ回転軸を軸方向に付勢している。
特開平6−284682号公報 特開平11−196559号公報
しかしながら、弾性体(バネ部材)のみに依存する特許文献1、2に示される構成では、モータ回転軸の軸線方向における振動低減は不十分であった。
本発明の目的は、モータ回転軸の軸線方向における振動低減を十分に高めたステッピングモータを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るステッピングモータは、回転軸を備え、磁極としてN極とS極を周方向に交互に配置したロータと、前記ロータの磁極形状に対し斜めとなる辺を備え、前記回転軸の軸線方向に設けられる歯形状を周方向に配置したステータと、前記ロータの前記軸線方向における振動を低減するための質量体と、前記軸線方向において前記回転軸または前記ロータに接続される第1の弾性部材と、前記軸線方向において前記第1の弾性部材と共に前記質量体を挟持する第2の弾性部材と、少なくとも前記第2の弾性部材を保持する第1の保持部材と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、モータ回転軸の軸線方向における振動低減を十分に高めたステッピングモータを提供することができる。
本発明の実施形態に係るステッピングモータを正面側から見た概略斜視図である。 本発明の実施形態に係るステッピングモータの内部構造(制振構造を除く)の詳細説明図である。 比較例と対比した本発明の実施形態に係るステッピングモータの駆動時の概略説明図である。 第1の実施形態に係るステッピングモータの背面側から見た概略斜視図および側方断面図である。 第1の実施形態に係るステッピングモータの効果説明図である。 第2の実施形態に係るステッピングモータの正面側から見た図および側方断面図である。 第3の実施形態に係るステッピングモータの背面側から見た概略斜視図である。 第3の実施形態に係るステッピングモータの詳細説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る制振構造を有したステッピングモータについて、図面に則して詳しく説明する。このステッピングモータは、広範な用途に用いられ、例えば画像形成装置において、排出されたシートを積載する積載トレイを上下に移動させるための駆動源として用いられる、あるいは例えばカメラにおいて、レンズ駆動の駆動源として用いられる。このような本実施形態に係る制振構造を有したステッピングモータは、画像形成装置あるいはカメラ以外の他の装置にも用いられ得る。
《第1の実施形態》
(ステッピングモータ)
図1に本発明の実施形態に係るステッピングモータ(2相PM型ステッピングモータ)20を正面側から見た概略斜視図を示し、その内部構造(後述する制振構造を除く)を図2に示す。ステッピングモータ20は、磁極としてのN極とS極が周方向に交互に形成された永久磁石を有するロータ11と、ロータ11に連結されたモータ回転軸(出力軸)である回転軸12と、回転軸12を保持する軸受13を備える。また、ロータ11の外周に配置され、複数の歯を有するステータ14と、ステータ14を磁極として磁化するためのコイル15を備える。そして、これらがケーシング16に収納(保持)されている。
駆動時には、外部からの入力パルス信号により、ステータ14がN極とS極に交互に順次励磁される。これに伴い、ロータ11の極がステータ14に吸着され、回転運動をすることができる。この際、ロータ11はステータ14の磁極が切り替わる度にステップ状に回転していく。
ここで、比較例(図3(a)のようにステータ14の歯形状がロータ11の磁極形状と平行)と、本実施形態(図3(b)のようにステータ14の歯形状がロータ11の磁極形状に対し斜めとなる辺を備えた形状(三角形状))とを比較する。
図3のようにステータ14の歯形状がロータ11の磁極形状と平行(相似)である場合、ロータ11は回転方向(周方向)にのみ力を受けることができる。これに対して、図3(b)のようにステータ14の歯形状がロータ11の磁極形状に対し斜めとなる辺を備えた形状である場合、ロータ11は回転方向だけでなく、スラスト方向(回転軸12の軸線方向)にも力を受けてしまう。このため、ステータ14の磁極が切り替わる度に、ロータ11はスラスト方向への移動を繰り返す。これが振動の原因となり、ステッピングモータ20全体の振動へと発展する。
この振動を抑制するためには、ロータ11や回転軸12をバネ付勢し、振動を抑えるのが一般的である(特許文献1、2)。しかしながら、弾性体(バネ部材)のみを用いた付勢により振動を大きく低減することは、実質的に困難である。
(質量体を用いた制振構造)
本実施形態においては、ロータ11のスラスト方向(回転軸12の軸線方向)の振動を抑制するため、動吸振器を利用した制振方式を採用する。動吸振器とは、制振対象の代わりに振動し、特定の周波数において大きな制振効果を発揮する構造であり、以下に詳細を述べる。
図4に示すように、本実施形態に係るステッピングモータ20においては、質量体21が、回転軸12の軸線方向に配置される圧縮バネA(第1の弾性部材)22および圧縮バネB(第2の弾性部材)23に挟持されており、これらが動吸振器の役割を担う。本実施形態の質量体21は真鍮で形成されているが、質量体21の材料については真鍮に限定されない。
また、圧縮バネB23は第1の保持部材としてのフレーム24に保持されており、フレーム24は第2の保持部材としてのケーシング16にセットビス等の手段で固定(連結)されている。加えて、圧縮バネA22の端部には押圧部材25が連結されており、回転軸12の端部と接触している。すなわち、押圧部材25を介するということがあっても、圧縮バネA22は軸線方向において実質的に回転軸12に接続されることとなる。
これにより、回転軸12は、圧縮バネA22および圧縮バネB23の復元力により、押圧部材25により付勢(押圧)されている。この付勢による制振効果も若干あり、好適な付勢力になるように調整される。本実施形態においては、付勢力が40N程度である。また、ロータ11の回転に伴い、押圧部材25は回転軸12の端部と摺擦するため、押圧部材25はPOM(ポリアセタール)樹脂のような摺動性の高い材料であることが望ましい。尚、本実施形態は第1の弾性部材、第2の弾性部材として圧縮バネを用いた構成としたが、引張バネや板バネ等を用いた構成としても良い。
(質量体の共振周波数)
ステッピングモータ20の駆動時には、入力パルスの周波数に応じた速度でロータ11が回転する。この際、ロータ11は、ステータ14の磁極がN極とS極と交互に順次切り替わる度に、スラスト方向(回転軸12の軸線方向)への移動を繰り返す。このため、入力パルス2回で1周期の振動が発生する。
このため、本実施形態においては、周方向にステータの磁極を切り換える入力パルスのパルス周波数に対し、質量体の共振周波数を1/2に設定している。すなわち、800ppsの速度でパルスを入力している場合、400Hzにおいてスラスト方向の振動が大きく発生するようにしている。この結果、本実施形態によれば、動吸振効果によりロータ11の代わりに質量体21が振動することとなる。これにより、ロータ11の振動を大きく低減することができる。
ここで、質量体21の質量をm、圧縮バネA22の弾性定数であるバネ定数をk、圧縮バネB23の弾性定数であるバネ定数をkとするとき、質量体21の共振周波数fは以下の条件式を満足する。
本実施形態では、質量体21の共振周波数fを400Hzとするように、m=6.0g、k=19.6N/mm、k=19.6N/mmという値を用いている。
ここで、ケーシング16の振動を、従来構成(質量体を用いず弾性体(バネ部材)のみ使用)と比較した結果を図5に示す。ケーシング16は400Hzの振動のピークを有しているが、従来構成では2.02m/sであったものが、質量体を用いた本実施形態では0.07m/sとなっている。すなわち、動吸振器を利用した本実施形態の構成により、回転軸12の軸線方向におけるロータ11の振動を大幅に低減することが可能である。
《第2の実施形態》
第1の実施形態ではケーシング16の外側に動吸振器を構成したが、ケーシング16の内側(内部空間)に動吸振器を構成し、ロータ11を直接制振する構造であっても構わない。この場合の断面図を、図6に示す。本実施形態においては、圧縮バネA22がロータ11を直接付勢している。また、質量体21’はリング形状をしており、ロータ11や回転軸12、および軸受13とは非接触状態で保持されている。これにより、ロータ11の代わりに質量体21’が振動し、回転軸12の軸線方向におけるロータ11の振動を大幅に低減することができる。
《第3の実施形態》
本実施形態は、第1の実施形態と同様の動吸振器を利用して、ステッピングモータのモータ回転軸の軸線方向における振動低減を図るもので、共振周波数fの調整を簡便に行うことができるようにしたものである。第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。
動吸振器を利用した制振方式を用いる場合、共振周波数fの設定が重要である。なぜなら、動吸振器の共振周波数fが設計値と異なる場合、制振効果が著しく低下するためである。しかしながら、質量やバネ定数の公差内のバラツキや、経時変化によって、動吸振器の共振周波数fが変化してしまう可能性がある。このため、共振周波数fを調整できる機能を有していることが望ましい。本実施形態においては、圧縮バネA22のバネ定数および、質量体21の質量を変化させる(可変とする)ことにより、動吸振器の共振周波数fの調整を簡便に行うことができる。
先ず、圧縮バネB23のバネ定数の調整について述べる。圧縮バネB23のバネ定数kは、材料の横弾性係数をG、線径をd、有効巻き数をN、平均コイル径をDとした場合、以下の式で表すことができる。
本実施形態においては、有効巻き数Nを変化させることにより、バネ定数kの調整を行う。本実施形態の概略説明図を図7に、詳細説明図を図8に示す。図7に示すように、圧縮バネB23の巻線の間には、ストッパ(ストッパ部材)26が挟まれている。ストッパ26にはネジが切ってあり、フレーム24に配置されたビス27により保持されている。ストッパ26が図8(a)の位置にある場合は、第1の実施形態と同様のバネ定数である。
これに対して、ストッパ26を回転させ、図8(b)の位置にすると、巻線の一部が接触し、圧縮バネB23の有効巻き数Nが減少する。すなわち、バネ定数kが変化する。これにより、動吸振器の共振周波数fの調整が可能である。尚、バネ定数を変化させる手段については限定せず、他の手法を用いても良い。また、圧縮バネB23ではなく、圧縮バネA22のバネ定数を調整しても良い。
次に、質量体21の質量調整について述べる。図7に示すように、質量体21は外周部に複数の穴部(ビス穴)を有しており、1つ以上のビス穴に調整質量28を取り付けることができる。これにより、動吸振器の共振周波数fの調整が可能である。尚、質量体21の質量を変化させる方法については、上述したものに特に限定しない。
本実施形態においては、バネ定数および質量を変化させることができるものであったが、バネ定数および質量のいずれか一方を変化させるものであっても良い。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では弾性体としてバネ部材を示したが、本発明はこれに限定されず、ゴム部材などであっても良い。
(変形例2)
また、上述した実施形態では、ロータの磁極形状に対し斜めとなる辺を備え、回転軸の軸線方向に設けられる歯形状として基部に対し先が細い三角形状を示したが、三角形としては例えば二等辺三角形や直角三角形で構成できる。また、三角形状に限らず、台形形状、平行四辺形形状などであっても良い。そして、形状を構成する各辺の線は全て直線である場合に限らず、少なくとも一部が曲線であっても良い。
11・・ロータ、12・・回転軸、14・・ステータ、21・・質量体、22・・圧縮バネA(第1の弾性部材)、23・・圧縮バネB(第2の弾性部材)、24・・フレーム(第1の保持部材)

Claims (14)

  1. 回転軸を備え、磁極としてN極とS極を周方向に交互に配置したロータと、
    前記ロータの磁極形状に対し斜めとなる辺を備え、前記回転軸の軸線方向に設けられる歯形状を周方向に配置したステータと、
    前記ロータの前記軸線方向における振動を低減するための質量体と、
    前記軸線方向において前記回転軸または前記ロータに接続される第1の弾性部材と、
    前記軸線方向において前記第1の弾性部材と共に前記質量体を挟持する第2の弾性部材と、
    少なくとも前記第2の弾性部材を保持する第1の保持部材と、
    を有することを特徴とするステッピングモータ。
  2. 前記ステータの歯形状が、基部に対し先が細い三角形状であることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
  3. 前記ステータを磁極として磁化するためのコイルを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のステッピングモータ。
  4. 周方向に前記ステータの磁極を切り換える入力パルスのパルス周波数に対し、前記質量体の共振周波数を1/2に設定したことを特徴とする請求項3に記載のステッピングモータ。
  5. 前記質量体の共振周波数をfとするとき、
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータ。
    但し、mは前記質量体の質量、kは前記第1の弾性部材の弾性定数、kは前記第2の弾性部材の弾性定数である。
  6. 前記ステータおよび前記ロータを保持する第2の保持部材を有し、
    前記第2の保持部材と前記第1の保持部材を連結したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  7. 第1の保持部材は前記ステータおよび前記ロータを保持することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  8. 前記回転軸の軸受と、前記軸線方向で前記軸受と前記第1の弾性部材の間に設けられ、前記軸受を押圧する押圧部材と、を有し、
    前記第1の弾性部材は、前記押圧部材および前記軸受を介して前記回転軸に接続されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  9. 前記回転軸の軸受を前記第2の弾性部材の内部空間に設け、
    前記軸線方向において前記第1の弾性部材を前記ロータに接続したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  10. 前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材の少なくとも一方は、弾性定数が可変であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  11. 前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材の少なくとも一方において、接触するストッパ部材を有することを特徴とする請求項10に記載のステッピングモータ。
  12. 前記質量体は、質量が可変であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
  13. 前記質量体は、調整質量を取り付けるための穴部を備えることを特徴とする請求項12に記載のステッピングモータ。
  14. 前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材は、それぞれバネ部材であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のステッピングモータ。
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