JP2009138907A - 制振装置、制振方法及び制振プログラム - Google Patents

制振装置、制振方法及び制振プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じている場合にも、構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制する。
【解決手段】ホール24直下の複数の柱には、ホール24内の聴衆が集団で跳躍した等により発生するホール24を含む上部構造体全体の振動を抑制するための制振装置100が取付けられており、制御装置30は振動センサ26によって検出された振動に基づいて、制振対象物体(上部構造体)が、質量M2の仮想質量、仮想質量と制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1
(但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数、X1は制振対象物体の変位、V1は速度、X2は仮想質量の変位、V2は速度、A2は加速度)で表される挙動を示す動吸収器が仮想的に付加されたに相当する挙動を示すように制振装置100のアクチュエータを制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は制振装置、制振方法及び制振プログラムに係り、特に、基準物体との間にばね及びダンパが介在された制振対象物体の振動を抑制する制振装置、該制振装置に適用可能な制振方法、及び、コンピュータを前記制振装置として機能させるための制振プログラムに関する。
物体を振動させる外力の入力に伴う制振対象物体の振動を抑制する制振システムの構成の一例を図10に示す。この制振システムは、基準物体と制振対象物体との間に介在されたばね300、ダンパ302及び制振用アクチュエータ304と、制振対象物体に取り付けられた振動センサ306と、振動センサ306によって検出された制振対象物体の振動に基づき制振用アクチュエータ304の変位を制御する制御部308を含んで構成されている。図10に示すような構成の制振システムは、共振振動数域を中心とする比較的振動数の低い特定振動数域の振動を制振用アクチュエータ304による能動的な除振(アクティブ制御)によって抑制する一方、高周波域の振動はばね300による受動的な除振(パッシブ制御)によって抑制しており、上記の制振システムにおける運動方程式は次の(4)式で表される。
11+C1(V1−V0)+K2(X1−X0)=−Fd+Fm …(4)
但し、(4)式において、X0は基準物体の変位、V0は速度、X1は制振対象物体の変位、V1は速度、A1は加速度、M1は質量、Fmは制振対象物体に加わる外力、K1はばね300のばね定数、C1はダンパ302の減衰定数、Fdは制振用アクチュエータ304で発生させる加振力である。
しかし、上記の制振システムでは、アクティブ制御によって除振すべき振動の振動数域が比較的高い場合、制振対象物体に質量を付加する必要があり、制振対象物体の大型化を招くという欠点があり、本願発明者等は、制振対象物体の大型化を回避できる制振システムを提案している(特許文献1参照)。特許文献1に開示されている第1の制振システムは、図11に示すように、制振対象物体に仮想質量M1を付加して制振対象物体の質量を見かけ上増大させた(M1→M1+M2)ことに相当する制御を行うものである。制振対象物体に仮想質量M2を付加した場合の運動方程式は次の(5)式で表され、
(M1+M2)A1+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=−Fd+Fm …(5)
この(5)式を変形すると次の(6)式が得られる。
21+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=−{Fd+M11}+Fm …(6)
従って上記の制御は、図10の制振システムにおける加振力「−Fd」を基準として、制振用アクチュエータ304で発生させる加振力を−{Fd+M11}とすることにより実現できる。
また、特許文献1に開示されている第2の制振システムは、図12に示すように、仮想質量M2と、仮想質量M2と制振対象物体との間に設けられた仮想ばね310及び仮想ダンパ312から成る仮想の動吸収器(TMD:Tuned Mass Damper)を設けたことに相当する制御を行うものである。仮想ばね310のばね定数をK2、仮想ダンパ312の減衰定数をC2、仮想質量M2の変位をX2、速度をV2、加速度をA2とすると、仮想の動吸収器の運動方程式は次の(7)式で表され、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=0 …(7)
この(7)式より、制振対象物体の運動方程式は次の(8)式で表される。
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=−{Fd−C2(V2−V1)−K2(X2−X1)}+Fm
…(8)
従って、上記の制御は制振用アクチュエータ304で発生させる加振力を−{Fd−C2(V2−V1)−K2(X2−X1)}とすることによって実現できる。
特開平5−248489号公報
特許文献1に開示されている第2の制振システムは、例えば制振対象物体にモータ等の回転機器が取り付けられ、この回転機器が制振対象物体に加わる外力の発生源の1つになっている等の理由で、制振対象物体の振動に、一定振動数でかつ正弦波状等の波形の振動成分が比較的大きく含まれており、この一定振動数の振動成分をアクティブ制御による除振対象とする場合に、特許文献1に開示されている第1の制振システムよりも効果的に除振することが可能である。
しかしながら、制振対象物体に低振動数の地震動X0が入力されたり、対象構造物に直接作用する風等に起因する低振動数の外力Fwが入力されると、振動センサによって検出される振動(変位X2)は、アクティブ制御による除振対象の振動Ymに地震動X0や外力Fwによる低振動数の振動Ywが加わった振動となるが、この地震動X0や外力Fwが比較的大きい場合、振動センサによって検出される振動に含まれる低振動数の振動Ywの振幅が相対的に大きくなる(例として図13も参照)。そして、上記の第2の制振システムを利用して制振対象物体の振動Ymに含まれる特定振動数の振動成分をアクティブ制御によって除振する際に、上記のように振動センサによって検出される振動に含まれる低振動数の振動Ywの振幅が相対的に大きくなった場合、振動Ywの影響を受けて制振用アクチュエータに無駄な加振力を発生させてしまうので、制振用アクチュエータとして必要以上にストロークの大きなアクチュエータを用意する必要があり、制振装置の構成が複雑になる等の問題があった。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じている場合にも、構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制できる制振装置、制振方法及び制振プログラムを得ることが目的である。
特許文献1に開示されている第2の制振システム(以下、従来方式という)のように仮想の動吸収器を用いたアクティブ制御では、仮想の動吸収器の運動方程式を表す前出の (7)式における左辺第1項の"M22"により、除振対象の中心振動数よりも高い振動数領域における制御の感度(入力に対して制御出力を増幅又は減衰させる度合い)が主に規定され、(7)式における左辺第2項の"C2(V2−V1)"により、除振対象の中心振動数付近の振動数領域における制御の感度が主に規定され、(7)式における左辺第3項の"K2(X2−X1)"により、除振対象の中心振動数よりも低い振動数領域における制御の感度が主に規定される。本願発明者は、上記に基づき、仮想の動吸収器が、(7)式における左辺第3項によって主に規定される除振対象の中心振動数よりも低い振動数領域の振動に反応しない(当該振動数領域の振動を反射する)挙動を示すように(7)式の運動方程式を書き換え、書き換えた運動方程式を用いて制振用アクチュエータの制御を行うようにすれば、制振対象物体における除振対象外の低振動数域の振動の影響で無駄な加振力を発生させることを防止できることに想到し、本発明を成すに至った。
上記に基づき請求項1記載の発明に係る制振装置は、基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出する検出手段と、前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータと、前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
(但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
−{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
で表される挙動を示すように、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御する制御手段と、を含んで構成されている。
請求項1記載の発明では、基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動が検出手段によって検出される。なお、請求項1記載の発明は、制振対象物体と基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが明示的に存在していることに限られるものではなく、制振対象物体と基準物体との間に何らかの物体(例えば構造物等)が介在しており、この物体をばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパでモデル化できる構成であってもよい。また、請求項1記載の発明では、制振対象物体の振動を抑制する加振力を制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータが設けられている。この制振用アクチュエータとしては、或る程度の質量の物体を移動させることで加振力を発生させる構成を採用することができる。
ここで、請求項1記載の発明に係る制御手段は、検出手段によって検出された制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成る動吸収器を制振対象物体に仮想的に付加しているが、当該動吸収器の挙動を表す運動方程式として前出の(1)式を適用している。この(1)式は、仮想の動吸収器が、先の(7)式における左辺第3項によって主に規定される除振対象の中心振動数よりも低い振動数領域の振動に反応しない挙動を示すように(7)式を書き換えたものである。そして請求項1記載の発明に係る制御手段は、上記挙動を示す仮想の動吸収器が制振対象物体に付加されることで、制振対象物体が前出の(2)式で表される挙動を示すように、制振用アクチュエータが制振対象物体に加える加振力を制御する。
上記制御により、制振用アクチュエータが制振対象物体に加える加振力は−{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}となる。これにより、制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じており、除振対象の振動により低振動数の振動が重畳された振動が検出手段によって検出された場合にも、制振対象物体に仮想的に付加されている動吸収器が、先の(1)式に示すように除振対象外のより低振動数の振動に反応しない挙動を示すことになる。これは、制振用アクチュエータに、除振対象の振動を除振するための加振力を発生させる一方で、除振対象外のより低振動数の振動に対応する無駄な加振力は発生させないことに相当する。従って、請求項1記載の発明によれば、除振対象外のより低振動数の振動に対応する無駄な加振力を発生させてしまうことで、制振用アクチュエータとして必要以上にストロークの大きなアクチュエータを用意する必要が無くなり、制振用アクチュエータのストロークを増大させることによる構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制することができる。
なお、請求項1記載の発明において、制御手段が、制振対象物体が前記(2)式で表される挙動を示すように制御することは、例えば請求項2に記載したように、検出手段によって検出された制振対象物体の振動に基づき、制振用アクチュエータが制振対象物体に加える加振力を、
Figure 2009138907
なる伝達関数H1(s)に従って制御することで実現できる。
上記の(3)式は、先の(1)式に基づき、仮想の動吸収器の変位X2と制振対象物体の変位X1との比(伝達関数H1(s))をラプラス変換によって求めたものである。(3)式で表される伝達関数H1(s)において、ω=10π(rad/sec)、h=0.05、Kg/K=0.9とした場合の特性を図1に示す。また先の(7)式に基づき、従来方式における伝達関数H2(s)を求めると、次の(9)式が得られる。
Figure 2009138907
また図1には、(9)式で表される伝達関数H2(s)において、ω=10π(rad/sec)、h=0.05、Kg/K=0.9とした場合の特性も併せて示す。なお、伝達関数H1(s), H2(s)は制御の感度を意味し、伝達関数H1(s), H2(s)>1.00の範囲は入力に対して制御出力を増幅させ、伝達関数H1(s), H2(s)<1.00の範囲は入力に対して制御出力を減衰させることを表している。図1に示す伝達関数H1(s)の特性を伝達関数H2(s)の特性と比較しても明らかなように、本発明によって得られる伝達関数H1(s)は、ω=10π付近の振動数領域の入力に対する感度が低下することなく、他の振動数領域の入力に対する感度は大幅に低下している特性となっており、特に9π以下の振動数領域の入力に対して制御出力を減衰させる特性となっていることで、除振対象外のより低振動数の振動に対応する無駄な加振力を発生させてしまうことを防止できることが理解できる。
具体的には、本発明方式及び従来方式において、振動センサによって図13に示す波形の振動(除振対象の振動Ymに地震動X0や外力Fwによる低振動数の振動Ywが加わった振動)が検出された場合の、仮想の動吸収器の応答(変位X2:制振用アクチュエータに入力される制御信号)の一例を図2に、アクチュエータの変位を図3に各々示す。従来方式では、図2(A)に示す仮想の動吸収器の振動に、低振動数の振動Ywに応じた成分が加わっており、この影響で図3(A)に示すアクチュエータの最大変位量(=ストローク)が大きくなっているのに対し、本発明方式では、図2(B)に示す仮想の動吸収器の振動から低振動数の振動Ywに応じた成分が除去されており、この影響で図3(B)に示すアクチュエータの変位も一定かつ小さな振幅に抑制されている。従って、本発明方式によれば、制振用アクチュエータのストロークを増大させることによる構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制できることが明らかである。
なお、請求項2記載の発明において、除振対象の振動の振動数が変化する等の場合には、例えば請求項3に記載したように、制御手段を、検出手段によって検出された制振対象物体の振動に基づき、制振対象物体の振動における除振対象の中心振動数ωを求め、求めた中心振動数ωを固有振動数ωとして設定した前記(3)式に従って、制振用アクチュエータが制振対象物体に加える加振力を制御することを周期的に繰り返すように構成することが好ましい。これにより、除振対象の振動の振動数が変化する等の場合にも、除振対象の振動の振動数の変化に追従して、制振用アクチュエータによって抑制される振動数域の中心振動数(図1において伝達関数H1(s)が極大となっている振動数)が変更されることになり、除振対象の振動の振動数の変化に拘わらず、除振対象の振動を精度良く抑制することができる。
また、請求項3記載の発明において、制振用アクチュエータとしては、制振対象物体の振動を抑制する加振力を制振対象物体に加えることが可能なものであれば任意の構成を採用可能であるが、例えば請求項4に記載したように、制振用アクチュエータを、主質量部と、主質量部に対して変位可能な補助質量部と、補助質量部を主質量部に対して変位させるアクチュエータと、主質量部と少なくとも制振対象物体との間に介在され剛性を変更可能な可変剛性ばねを含んで構成し、制御手段を、求めた中心振動数ωを固有振動数ωとして設定した (3)式に従って、アクチュエータによる補助質量部の変位を制御すると共に、求めた中心振動数ωに対する制振用アクチュエータの共振振動数の偏差が最小となるように、可変剛性ばねの剛性を変化させるように構成することが好ましい。
これにより、アクチュエータが補助質量部を変位させることで発生される加振力が、主質量部及び可変剛性ばねを含む制振用アクチュエータの共振によって増幅されるので、主質量部自体を変位させるアクチュエータを設けて主質量部を変位させる等の態様と比較して、加振力を発生させるために必要なエネルギーを節減することができる。また、除振対象の振動の振動数が変化した場合にも制振用アクチュエータの共振状態が維持されるように可変剛性ばねの剛性が変化されることで、除振対象の振動の振動数の変化に拘わらず除振対象の振動を抑制する精度を維持することができる。
また、請求項4記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、可変剛性ばねを、直列に配置された複数のばねと、複数のばねのうちの少なくとも1つのばねの変位を阻止可能な変位阻止手段を含んで構成し、制御手段を、変位阻止手段によって少なくとも1つのばねの変位を阻止させるか否かを切り替えることで、可変剛性ばねの剛性を変化させるように構成することが好ましい。また、請求項5記載の発明において、変位阻止手段は、例えば請求項6に記載したように、対応するばねの一端に取り付けられMR流体を収容する収容部とばねの他端に取り付けられMR流体に浸漬された凸部から成る伸縮部と、MR流体に作用させる磁界を発生する磁界発生手段を含んで構成することができ、この場合、制御手段は、磁界発生手段によって磁界を発生させるか否かを切り替えることで、ばねの変位を阻止させるか否かを切り替えるように構成することが好ましい。
可変剛性ばねとしては種々の構成が考えられるが、請求項5に記載したように、直列に配置された複数のばねのうちの少なくとも1つのばねの変位を阻止するか否かを切り替えることでばねの剛性を変化させる構成を採用した場合、例えば空気圧を利用する等の態様と比較して短時間でばねの剛性を変化させることができる。特に、請求項6に記載したように、MR流体を利用してばねの変位を阻止させる構成であれば、非常に短い時間でばねの変位を阻止するか否かを切り替えることができ、非常に短い時間でばねの剛性を変化させることができる。従って、除振対象の振動の振動数が変化した場合にも可変剛性ばねの剛性を短時間で追従変化させることができ、制振用アクチュエータの共振状態を精度良く維持することができる。
請求項7記載の発明に係る制振方法は、基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出し、前記検出した前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
(但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
−{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
で表される挙動を示すように、前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御するので、請求項1記載の発明と同様に、制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じている場合にも、構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制できる。
請求項8記載の発明に係る制振プログラムは、基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出する検出手段、及び、前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータと接続されたコンピュータを、前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
(但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
−{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
で表される挙動を示すように、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御する制御手段として機能させる。
請求項8記載の発明に係る制振プログラムは、上記の検出手段及び制振用アクチュエータと接続されたコンピュータを上記の制御手段として機能させるためのプログラムであるので、上記のコンピュータが請求項8記載の発明に係る制振プログラムを実行することにより、コンピュータが請求項1に記載の制振装置として機能することになり、請求項1記載の発明と同様に、制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じている場合にも、構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制できる。
以上説明したように本発明は、基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出手段によって検出し、検出した制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、仮想質量と制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
(但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が制振対象物体に仮想的に付加されることで、制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータが制振対象物体に加える基準加振力をFdとしたときに、制振対象物体が
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
−{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
で表される挙動を示すように、制振用アクチュエータが制振対象物体に加える加振力を制御するようにしたので、制振対象物体に、除振対象の振動に加えてより低振動数の振動が生じている場合にも、構成の複雑化等を招くことなく除振対象の振動を抑制できる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図4には本実施形態に係る構造物(建物)10が示されている。構造物10は、地盤22に対して鉛直方向にコンクリート等から成る杭12が形成され、杭12上にH鋼から成る複数の柱14と複数の梁16が組み上げられ固定されることで地面20上に構築されている。また構造物10には、大人数を収容可能なホール24が最上階に設けられている。ホール24には、ホール24の床部18で発生した、ホール24を含む上部構造体の振動(の振幅及び振動数)を検出する振動センサ26が設けられている。
一方、ホール24直下の複数の柱14Aの中央部14Bには、ホール24の床部18で発生した上部構造体の振動(図4の矢印A参照)を打ち消す振動(図4の矢印B参照)を発生可能な制振装置100が取付けられている。ホール24の下の階には、振動センサ26によって検出された振動の振幅及び振動数に基づいて、制振装置100で発生させる振動を制御する制御装置30が設置されている。制御装置30と振動センサ26はケーブル28で接続されており、より詳しくは、図7に示すように、制御装置30の増幅器84及びA/D変換器86を介してコンピュータ88に接続されている。従って、振動センサ26から出力された振動検出信号は、増幅器84で増幅され、A/D変換器86でデジタルの振動検出データへ変換された後にコンピュータ88へ入力される。また制御装置30と制振装置100はケーブル32で接続されている。制御装置30は図示しない電源を内蔵しており、制振装置100を作動させるための電力は制御装置30からケーブル32を介して制振装置100へ供給される。
なお、本実施形態に係る構造物10のうち、制振装置100が取付けられている部分よりも下方の部分(下部構造体)と、制振装置100が取付けられている部分よりも上方の部分(ホール24を含む上部構造体)との間には、制振装置100以外にも柱や梁等の支持部材が設けられているが、これらの支持部材を下部構造体と上部構造体との間の振動の伝達に関してモデル化したとすると、上記の支持部材は図a,図b等に示すようなばねとダンパで表すことができる。従って、本実施形態に係る構造物10のうち、下部構造体は本発明に係る基準物体に、上部構造体は本発明に係る制振対象物体に、上記の支持部材は本発明に係る「基準物体と制振対象物体の間に介在されたばね及びダンパ」に各々対応している。また、制振装置100は本発明に係る制振用アクチュエータに、振動センサ26は本発明に係る検出手段に各々対応している。
図5(A)に示すように、制振装置100は、鋼板から成り柱14Aの中央部14Bのフランジの間に水平に配置され、中央部14Bのフランジに溶接された天井壁104及び底壁106を備え、中央部14Bのウェブの両側には、天井壁104と底壁106で囲まれた収納部107A,107Bが各々形成されており、収納部107A,107Bには各々制振装置100が収容されている。なお、収納部107A,107Bに収容されている制振装置100は同一構成のため、以下では収納部107Aに収容されている制振装置100について説明する。
図5(A),(B)に示すように、制振装置100は、振動を発生させる加振部108と、加振部108で発生された振動数を増幅して天井壁104及び底壁106へ伝達する振動増幅部110に大別される。
加振部108は、コ字状の断面の各々の開口部が隙間部121を形成しつつ対向するように一対のチャンネル型鋼140が底板118上に立設されて成る支柱120と、支柱120の両側に立設された2本の補助支柱126と、中空筒状で支柱120を取り囲むように設けられた可動部122と、支柱120及び補助支柱126で支持される天板116とを備えている。可動部122の外面には、鋼板から成るウェイト124が図示しないボルト及びナット等の固定手段で交換可能に固定されている。可動部122全体の重量は、可動部122の外面に固定するウェイト124の重量を変えることで変更可能されている。
支柱120を構成するチャンネル型鋼140の内側(ウェブ)には、複数の永久磁石142が鉛直方向に沿って配列されている。また支柱120内(一対のチャンネル型鋼140の開口部によって形成される中空部内)には、図示しない芯金に巻き掛けられた電磁コイル130が配置されており、この電磁コイル130は、隙間部121を通って延びる支持部材128を介して可動部122と連結されている。従って、電磁コイル130、可動部122及びウェイト124は、一体となって支柱120に沿って鉛直方向に移動可能とされている。また電磁コイル130は、鉛直方向の位置に拘わらず永久磁石142との間隔がおよそ一定に維持される。なお、電磁コイル130、可動部122及びウェイト124は請求項4に記載の補助質量部に対応しており、これらを必要に応じて「補助質量部」と称する。
電磁コイル130はケーブル132を介して制御装置30に各々接続されており、詳しくは図7に示すように、制御装置30の電磁コイル駆動回路90を介してコンピュータ88に接続されている。電磁コイル駆動回路90は電磁コイル130に駆動電流を供給し、コンピュータ88は、電磁コイル130及び複数の永久磁石142が電磁アクチュエータとして機能し、電磁コイル130、可動部122及びウェイト124から成る補助質量部が、振動センサ26によって検出された振動のうち除振対象の振動数域の振動成分に応じた周期・振幅で上下方向(図5(B)の矢印Fの方向)に移動するように、電磁コイル駆動回路90によって電磁コイル130に供給される駆動電流の向き及び大きさを制御する。この電磁コイル130、可動部122及びウェイト124から成る補助質量部の上下方向の移動(変位)により、加振部108で加振力(除振対象の振動成分を打ち消すための振動を発生させる加振力)が発生する。
一方、振動増幅部110は、所定のばね定数(固有の剛性)のコイルばね112と、外部からばね定数(剛性)を変更可能な可変剛性ばね40を備えている。コイルばね112及び可変剛性ばね40は、天井壁104と天板116の間及び底壁106と底板118の間に各々設けられており、個々のコイルばね112及び可変剛性ばね40は、一端が天井壁104又は底壁106に固定され、他端が天板116又は底板118に固定されている。以下では、天井壁104と天板116の間に設けられた可変剛性ばね40を例にその構成を説明するが、底壁106と底板118の間に設けられた可変剛性ばね40も同一の構成である。
図6(A)に示すように、可変剛性ばね40は、変位ロック機能を備えた3個の可変ばねユニット42、44、46が、鉛直方向に沿って直列に連結されて構成されている。可変ばねユニット42は、略平板状の下取付部材54と、下取付部材54の上方に間隔を空けて配置された略平板状の上取付部材52を備えている。下取付部材54と上取付部材52の間には金属製のコイルばね50が配置されており、コイルばね50は上端が上取付部材52に、下端が下取付部材54に、接着等によって各々固定されている。従って、可変ばねユニット42は、コイルばね50によって上取付部材52と下取付部材54との間隔が空いている状態が維持されると共に、可変ばねユニット42を上下方向に変位させる(上取付部材と下取付部材との間隔を変化させる)外力が加わると、コイルばね50が伸縮することでコイルばね50のばね定数に反比例する変位(前記間隔が変化する変位)が生ずる。
また同様に、可変ばねユニット44は下取付部材66、上取付部材64及び金属製のコイルばね62を備え、可変ばねユニット44を上下方向に変位させる外力が加わると、コイルばね62が伸縮することでコイルばね62のばね定数に反比例する変位(上取付部材と下取付部材との間隔が変化する変位)が生じるように構成されており、可変ばねユニット46は下取付部材76、上取付部材74及び金属製のコイルばね72を備え、可変ばねユニット46を上下方向に変位させる外力が加わると、コイルばね72が伸縮することでコイルばね72のばね定数に反比例する変位(上取付部材と下取付部材との間隔が変化する変位)が生じるように構成されている。なお、可変ばねユニット42、44、46のコイルばね50、62、72はばね定数が互いに同一であってもよいが、ばね定数が互いに相違していることが望ましい。
また、可変ばねユニット42の下取付部材54には、下面略中央から下方へ突出する突出部54Aが形成されており、可変ばねユニット44の上取付部材64には、上面略中央に突出部54Aの外径と略等しい内径を有する孔64Aが形成されている。突出部54Aは孔64Aに嵌合しており、これにより可変ばねユニット42、44の左右方向への相対移動が阻止される。同様に、可変ばねユニット44の下取付部材66には、下面略中央から下方へ突出する突出部66Aが形成されており、可変ばねユニット46の上取付部材74には、上面略中央に突出部66Aの外径と略等しい内径を有する孔74Aが形成されている。突出部66Aは孔74Aに嵌合しており、これにより可変ばねユニット44、46の左右方向への相対移動が阻止される。また、可変ばねユニット42の上取付部材52は、接着又はボルト、ナット等の締結による固定手段によって天井壁104に取付けられており、可変ばねユニット42の下取付部材54と可変ばねユニット44の上取付部材64、可変ばねユニット44の下取付部材66と可変ばねユニット46の上取付部材74、及び、可変ばねユニット44の下取付部材76と天板116、についても、同様の固定手段によって固定されている。
可変ばねユニット42の下取付部材54の上面には、上部に開口部が形成された略円筒状の収容ケース58が取付けられており、収容ケース58内には、粒状磁性体Gが分散混入されたシリコンオイルから成るMR(Magneto-Rheological)流体56が収容されている。また、可変ばねユニット42の上取付部材52の下面側でコイルばね50の内側には、収容ケース58の開口部に挿入され、MR流体56へ浸漬される凸部60が設けられている。同様に、可変ばねユニット44の下取付部材66の上面にはMR流体56を収容する収容ケース68が取付けられており、可変ばねユニット44の上取付部材64の下面側でコイルばね62の内側には、収容ケース68の開口部に挿入されMR流体56へ浸漬される凸部70が設けられている。更に、可変ばねユニット46の下取付部材76の上面にはMR流体56を収容する収容ケース78が取付けられており、可変ばねユニット46の上取付部材74の下面側でコイルばね72の内側には、収容ケース78の開口部に挿入されMR流体56へ浸漬される凸部80が設けられている。
個々の可変ばねユニット42、44、46の収容ケース58、68、78に各々収容されているMR流体56は、磁界(磁場)が作用していないときには粒状磁性体Gが流体中に分散している(図6(A)に示す状態)ことで、流動性を有する液体状となっているが、図6(B)に示すように磁界Mが作用すると、粒状磁性体Gが流体中で集合し磁力線に沿って並ぶことでクラスタを形成し、降伏応力をもつ固体状になる。なお、図6(B)では、可変ばねユニット46のMR流体56に磁界Mが作用した状態を示しているが、他の可変ばねユニット42、44についても同様である。そして、個々のバネユニットは、MR流体56に磁界Mが作用し、MR流体56中の粒状磁性体Gがクラスタを形成すると、当該可変ばねユニットを上下方向に変位させる(上取付部材と下取付部材との間隔を変化させる)外力が加わってもこの外力に抗して上記の変位が阻止(ロック)された状態となる。
なお、コイルばね50のばね定数をK1、コイルばね62のばね定数をK2、コイルばね72のばね定数をK3、可変剛性ばね40のばね定数をKとした場合、ばね定数Kは、変位がロックされている可変ばねユニットの数が0個であれば、
K=1/(1/K1+1/K2+1/K3)
となり、コイルばね50を備えた可変ばねユニット42の変位がロックされた場合は、
K=1/(1/K2+1/K3)
となり、コイルばね62を備えた可変ばねユニット44の変位がロックされた場合は、
K=1/(1/K1+1/K3)
となり、コイルばね72を備えた可変ばねユニット46の変位がロックされた場合は、
K=1/(1/K1+1/K2)
となり、可変ばねユニット42、44の変位がロックされた場合はK=K3、可変ばねユニット42、46の変位がロックされた場合はK=K2、可変ばねユニット44、46の変位がロックされた場合はK=K1、全ての可変ばねユニットの変位がロックされた場合はK=∞となる。そして、制振装置100全体の共振振動数ωMは可変剛性ばね40のばね定数Kに応じて変化する。
図6(A)に示すように、個々の可変ばねユニット42、44、46のコイルばね50、62、72は、ケーブル82を介し、上側端部及び下側端部が、制御装置30の一部を構成する選択駆動回路92に各々接続されており、図7に示すように、選択駆動回路92はコンピュータ88に接続されている。選択駆動回路92は、コイルばね50、62、72に対して各々独立に駆動電流を供給可能とされており、コンピュータ88によって電流供給対象のコイルばねが指示されると、指示されたコイルばねに駆動電流を供給する。コイルばねに駆動電流が供給された可変ばねユニットでは、コイルばねに駆動電流が流れることで磁界Mが発生し、MR流体56中の粒状磁性体Gがクラスタを形成することで、上記のように変位がロックされた状態となる。詳細は後述するが、コンピュータ88は、振動センサ26によって検出された振動に基づき、制振装置100全体の共振振動数ωMが、検出された振動のうち除振対象の振動成分の中心振動数(すなわち加振部108で発生される加振力の振動数)になるべく近くなるように、コイルばねに駆動電流を供給させて変位をロックさせる可変ばねユニットを0〜3個選択する。これにより、制振装置100全体の共振振動数ωMが加振部108で発生される加振力の振動数に同調するように制御され、加振部108で発生された加振力が振動増幅部110を含む制振装置100全体によって増幅される。
また図7に示すように、制御装置30のコンピュータ88はCPU88A、RAM等から成るメモリ88B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部88Cを備えており、記憶部88Cには、CPU88Aによって後述する制振制御処理を行うための制振制御プログラムがインストールされている。この制振制御プログラムは本発明に係る制振プログラムに対応しており、CPU88Aが制振制御プログラムを実行することで、コンピュータ88が本発明に係る制御手段として機能し、制御装置30及び制振装置100が本発明に係る制振装置として機能することになる。また記憶部88Cには、電磁コイル130を含む電磁アクチュエータ(この電磁アクチュエータは請求項4に記載のアクチュエータに対応している)によって加振部108で発生させるべき加振力を振動検出データから演算するためのアクチュエータ制御演算式が記憶されている。本実施形態ではアクチュエータ制御演算式として先の(3)式(伝達関数H1(s)の演算式)を用いている。
また本実施形態のように、可変剛性ばね40が3個の可変ばねユニット42、44、46が直列に連結された構成であり、個々の可変ばねユニット42、44、46のコイルばね50、62、72のばね定数が互いに相違している場合、個々の可変ばねユニット42、44、46を単位として変位のロックの有無を切り替えることで、先にも説明したように、可変剛性ばね40のばね定数Kは23=8通りに変化し、これに伴い制振装置100全体の共振振動数ωMも8通りに変化する。本実施形態では、個々の可変ばねユニット42、44、46の変位のロックの有無を切り替えて可変剛性ばね40のばね定数Kを8通りに変化させたときの制振装置100全体の共振振動数ωMが、演算又は測定によって予め求められており、この8通りの共振振動数ωMと、共振振動数ωMが各値になるときの個々の可変ばねユニット42、44、46の変位のロックの有無を表す情報を対応付けたロックユニット−共振周波数テーブルも記憶部88Cに記憶されている。
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係る構造物10のホール24でコンサート等が行われ、演奏されている曲のリズムに合わせて聴衆が集団で跳躍した場合、ホール24の床部18が上下方向に振動し、これに伴ってホール24を含む上部構造体全体が上下方向に振動する。この上部構造体の振動は、通常の構造物であれば、柱等を経由して構造物の下部へ一旦伝播した後に、基礎や地盤を経由して周辺の建物に伝播し、周辺の建物において、不快と感じられる可能性の高い上下の振動が誘発されることになる。本実施形態に係る制振装置100は、上記のように聴衆が集団で跳躍した等の事象を原因としてホール24の床部18で発生する上部構造体の振動を抑制し、構造物10のうちの下部構造体や周辺の建物に伝播する振動を抑制する目的で設けられており、本実施形態に係る制御装置30のコンピュータ88は、制御装置30の電源が投入されると、CPU88Aが記憶部88Cから制振制御プログラムを読み出して実行することで、制御装置30が稼働している間、制振制御処理を常時実行している。以下、図8を参照して制振制御処理について説明する。
制振制御処理では、まずステップ200でフラグFLGに1を設定する。このフラグFLGは、除振対象の振動成分の中心振動数ω0の検出が開始される迄の間、1が設定される。またステップ202では中心振動数ω0として予め定められた所定値を設定する。次のステップ204では、振動センサ26によって上部構造体の振動が検出された結果を取り込むタイミング(サンプリング周期T0)が到来したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ204を繰り返す。ステップ204の判定が肯定されるとステップ206へ移行し、振動センサ26から増幅器84、A/D変換器86を経由して入力される振動検出データを取得し、取得した振動検出データをメモリ88Bに記憶させる。
次のステップ208〜ステップ218では除振対象の振動の中心振動数ω0を検出するための処理を行う。すなわち、ステップ208では取得した振動検出データから除振対象の振動数域の振動成分をバンドパスフィルタを用いて抽出する。先にも説明したように、本実施形態では聴衆が集団で跳躍した等の事象を原因として発生するホール24を含む上部構造体の振動を除振対象としているので、除振対象の振動は一定の振動数域内に収まっている。一方、ホール24を含む上部構造体に低振動数の地震動X0が入力されたり、前記上部構造体に直接作用する風等に起因する低振動数の外力Fwが前記上部構造体に入力された場合、振動センサ26によって検出される上部構造体の振動は、除振対象の振動(成分)に地震動X0や外力Fwによる低振動数の振動成分が重畳された振動となる。上記のように、ステップ208ではバンドパスフィルタを用いることで、振動検出データが表す上部構造体の振動に除振対象の振動成分以外の低周波の振動成分も含まれていたとしても、この低周波の振動成分をおおよそ除去することができる。
ステップ210では、振動検出データからバンドパスフィルタによって抽出した除振対象の振動数域の振動成分の振幅値Xiを検知し、検知した振幅値Xiをメモリ88Bに記憶させると共に、前回のサンプリング周期で検知して記憶した振幅値Xi-1をメモリ88Bから読み出し、振幅値Xiの振幅値Xi-1の積が0以下か否か等に基づいて、今回のサンプリング周期での除振対象の振動数域の振動成分の振幅値Xiの符号が、前回のサンプリング周期での除振対象の振動数域の振動成分の振幅値Xi-1の符号と相違しているか否か判定する。
この判定が否定された場合はステップ216へ移行し、カウント値iを1だけインクリメントしてステップ220へ移行する。また、ステップ210の判定が肯定された場合はステップ212へ移行し、フラグFLGが0か否か判定する。この判定が否定された場合はステップ218へ移行し、フラグFLGに0を設定すると共にカウント値iを0にリセットしてステップ220へ移行する。 また、ステップ210、ステップ212の判定が各々肯定された場合はステップ214へ移行し、現在のカウント値iを読み出し、次の(10)式に従って除振対象の振動の中心振動数ω0を演算し、算出された中心振動数ω0を除振対象の振動成分の中心振動数ω0として設定する。
ω0=1/(2(i+1)T0) …(10)
そして、次のステップ215でカウント値iを0にリセットした後にステップ220へ移行する。
除振対象の振動成分の波形の一例を図9に示す。上述したステップ208〜ステップ218は、サンプリング周期T0が到来してステップ204が判定される毎に繰り返し実行されるので、このうちのステップ210により、除振対象の振動成分の振幅値の符号が変化したか否か、すなわち除振対象の振動成分の波形が時間軸と交差したか否か(図9では時間軸との交差位置を「符号が変化」と表記して示す)が、サンプリング周期T0毎に判定される。またカウント値iは、ステップ210の判定が否定されている間はサンプリング周期T0が到来する毎にステップ216で1ずつインクリメントされ、ステップ210の判定が肯定されるとステップ218又はステップ215で0にリセットされるので、0にリセットされる時点での値が除振対象の振動成分の中心振動数ω0の半周期の長さ(図9に示すTも参照)を表している。
そして、ステップ210の判定が最初に肯定されたときに、ステップ212の判定が否定されてフラグFLGに0を設定されることで中心振動数ω0の検出が開始され、以降にステップ210の判定が再度肯定される毎に、ステップ214で(10)式の演算を行うことで中心振動数ω0が検出されることになる。従って、例えばホール24で演奏されている曲のリズムが変わった等の理由で除振対象の振動成分の中心振動数ω0が変化した場合にも、変化した後の中心振動数ω0が直ちに検出されることになる。
次のステップ220〜ステップ228では、振動センサ26によって検出されたホール24を含む上部構造体の振動のうち、除振対象の振動成分を打ち消すための振動(加振力)が加振部108で発生するように制御する処理を行う。すなわち、まずステップ220では、予め記憶部88Cに記憶されているアクチュエータ制御演算式((3)式の伝達関数H1(s)の演算式)を読み出す。次のステップ222では、ステップ220で読み出したアクチュエータ制御演算式のうちの固有振動数ω0として、先のステップ214で演算・設定した除振対象の振動成分の中心振動数ω0を設定する。なお、アクチュエータ制御演算式((3)式)のうちの他の定数(減衰定数hやKg/K2)については、演算式に予め設定された状態で記憶部88Cに記憶されているので設定する必要はない。また、減衰定数hとしては例えばh=0.05程度の値が用いられ、Kg/K2=としては0<Kg/K2<1.0、例えばKg/K2=0.9程度の値が用いられる。
ステップ224では、先のステップ206でメモリ88Bに記憶された振動検出データを読み出す。次のステップ226では、ステップ224で読み出した振動検出データに基づいて、まずホール24を含む上部構造体の変位を演算し、次に演算した変位からホール24を含む上部構造体の速度及び加速度を演算し、演算した上部構造体の速度を制振対象物体の速度V1、上部構造体の加速度を制振対象物体の加速度A1として用いると共に、先のステップ220で読み出して先のステップ222で除振対象の振動成分の中心振動数ω0を設定したアクチュエータ制御演算式を用いることで、電磁コイル130を含む電磁アクチュエータに対する制御量を演算する。
具体的には、前出の(2)式の右辺のうちの「−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)+KgX1」は、仮想質量の質量M2と加速度をA2、の積「M22」に相当し、また(3)式で規定される伝達関数H1(s)には、次の(11)式に示すように、
1(s)=X2/X1=V2/V1 =A2/A1 …(11)
なる関係があるので、次の(12)式のように、
22=M21(s)A1 …(12)
なる関係が成り立つ。このため、前出の(2)式は次の(13)式のように書き換えることができる。
11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)
=−{Fd−M21(s)A1}+Fm
=−{CdV1+KdX1−M21(s)A1}+Fm …(13)
この(13)式の右辺のうちの「CdV1+KdX1−M21(s)A1」が電磁アクチュエータに対する制御量に相当し、結局は制振対象物体の速度V1及び加速度A1を用いると共に、アクチュエータ制御演算式((3)式の伝達関数H1(s)の演算式)を用いることで上記の制御量を算出することができる。
そしてステップ228では、電磁コイル130、可動部122及びウェイト124から成る補助質量部が、ステップ226で算出されたアクチュエータ制御量(仮想質量の変位X2)に応じて、上部構造体の変位と逆位相に変位するように、電磁コイル駆動回路90によって電磁コイル130へ供給される駆動電流の向き及び大きさを制御する。
次のステップ230、232では、制振装置100全体の共振振動数ωMが除振対象の振動成分の中心周波数ω0に近づくように制御する処理を行う。すなわち、ステップ230では記憶部88Cに記憶されているロックユニット−共振振動数テーブルを参照し、当該テーブルに記憶されている制振装置100全体の共振振動数ωの複数の値のうち、先のステップ214で演算・設定した除振対象の振動成分の中心振動数ω0に最も近い値を認識し、認識した共振振動数ωの値と対応付けて記憶されている可変ばねユニットのロックの組み合わせを読み出すことで、制振装置100全体の共振振動数ωが、除振対象の振動成分の中心振動数ω0に最も近い値となる可変ばねユニットのロックの組み合わせを認識する。
そしてステップ232では、可変剛性ばね40のうち、認識したロックの組み合わせに対応する個々の可変ばねユニットのコイルばねへ各々駆動電流が供給されるように選択駆動回路92を制御する。これにより、認識したロックの組み合わせに対応する個々の可変ばねユニットにおいて、コイルばねを流れる駆動電流によって磁界が発生し、発生した磁界が作用したMR流体56中の粒状磁性体Gがクラスタを形成することで、変位がロックされた状態となる。これにより、制振装置100全体の共振振動数ωが、除振対象の振動成分の中心振動数ω0に最も近い値となる。ステップ232の処理を完了するとステップ204に戻り、ステップ204の判定が肯定される毎(サンプリング周期T0が到来する毎)にステップ206〜ステップ232が繰り返される。
制御装置30が稼働している間、コンピュータ88によって上述した制振制御処理が常時実行されることで、電磁コイル130、可動部122及びウェイト124から成る補助質量部は、ホール24を含む上部構造体の振動のうち除振対象の振動成分を打ち消すための振動(加振力)が発生するように上下方向に振動される。ここで、本実施形態では、振動センサ26によって検出されたホール24を含む上部構造体の振動に基づき、アクチュエータ制御演算式(伝達関数H1(s)の演算式:(3)式)に従って電磁コイル130を含む電磁アクチュエータの駆動を制御することで、制振装置100がホール24を含む上部構造体に加える加振力を制御しているので、ホール24を含む上部構造体は、(2)式で表される挙動、すなわち(1)式で表される挙動を示す仮想の動吸収器が付加されたことに相当する挙動を示すことになる。
本発明に係る(1)式は、仮想の動吸収器が、除振対象の振動成分の中心振動数ωよりも低い振動数領域の振動に反応しない挙動を示すように定めたものであり、また図1に示す伝達関数H1(s)を従来方式における伝達関数H2(s)と比較しても明らかなように、(3)式に従って電磁アクチュエータの駆動を制御した場合、その制御特性は、除振対象の振動成分の中心振動数ω付近の振動数領域の入力に対する感度が低下することなく、他の振動数領域の入力に対する感度が大幅に低下する特性となる(なお、振動センサ26によって検出された振動に対しバンドパスフィルタを用いて所望の振動数領域を抽出して電磁アクチュエータの駆動を制御した場合は、先の伝達関数H2(s)として示すような望ましくない制御特性となる)。従って、振動センサ26によって検出された上部構造体の振動に、地震動X0や外力Fwによる低振動数の振動成分が重畳されている場合にも、この低周波の振動成分に応答してアクチュエータを駆動させることで、無駄な加振力を発生させてしまうことはなく、除振対象の振動成分のみに応答してアクチュエータが駆動されることで、除振対象の振動成分のみを精度良く抑制することができる。これにより、図3(B)を図3(A)と比較しても明らかなように、アクチュエータの最大変位量(=ストローク)を抑制することができ、除振対象の振動成分を除振する性能の向上と、制振装置100の小型化及び構成の簡略化を両立することができる。
また、本実施形態に係る制振制御処理では、除振対象の振動成分の中心振動数ω0を常時検出し、検出した中心振動数ω0を代入したアクチュエータ制御演算式を用いて電磁アクチュエータの駆動を制御しているので、例えばホール24で演奏されている曲のリズムが変わった等の理由で除振対象の振動成分の中心振動数ω0が変化した場合にも、中心振動数ω0の変化に追従し、図1に示す制御感度のピーク位置が変化後の中心振動数ω0に一致するようにアクチュエータ制御量が演算されることになり、除振対象の振動成分の中心振動数ω0の変化に拘わらず除振対象の振動成分を精度良く除振(制振)することができる。
また本実施形態では、電磁アクチュエータを駆動して補助質量部を振動させると同時に、除振対象の振動成分の中心振動数ω0に対する制振装置100全体の共振振動数ωMの偏差が最小となるように、可変剛性ばね40の0個〜3個の可変ばねユニットの変位をロックしているので、制振装置100全体が補助質量部の変位に共振して変位することで、補助質量部の変位によって加振部108で発生した加振力が、制振装置100全体によって高倍率(例えば10〜20倍)で増幅された後にホール24を含む上部構造体に加えられることになる。これにより、上部構造体の振動に含まれる除振対象の振動成分の大きさに比して、アクチュエータが変位させる物体(補助質量部)の質量を小さくすることができ、制振装置100の一層の小型化、構成の簡略化、アクチュエータの消費電力の節減を実現することができる。また、制振装置100全体の共振振動数ωMについても除振対象の振動成分の中心振動数ω0の変化に追従させて変化させるので、除振対象の振動成分の中心振動数ω0の変化に拘わらず、加振部108で発生した加振力を高倍率で増幅した後にホール24を含む上部構造体に加える状態を維持することができる。
なお、上記では伝達関数H1(s)を規定する(3)式を用いてアクチュエータ制御量を演算する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、請求項1に記載した(1),(2)式を用いてアクチュエータ制御量を演算することも可能である。
また、上記では可変ばねユニットのコイルばねに駆動電流を流すことで、MR流体56に作用させる磁界を発生させる構成を説明したが、これに限定されるものではなく、コイルばねと別に設けた電磁コイル等によって磁界を発生させるようにしてもよい。また、可変剛性ばねについても、MR流体を利用して剛性(ばね定数)を変化させる構成に限られるものではなく、例えば空気圧を利用して剛性(ばね定数)を変化させる構成等、公知の他の構成の可変剛性ばねを用いてもよい。
また、上記では本発明に係る制振装置100を構造物の柱の途中に設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、制振対象物体が構造物のうちの下層側に存在している等の場合には、本発明に係る制振装置を構造物の杭等に設けてもよい。
更に、上記では除振対象の振動の中心振動数ω0を常時検出し、アクチュエータの制御や制振装置全体の共振周波数を中心振動数ω0の変化に追従させる態様を説明したが、これに限定されるものではなく、除振対象の振動の中心振動数ω0が一定、或いは変化量が微小である等の場合には、中心振動数ω0の検出を省略し、中心振動数ω0が一定であることを前提としてアクチュエータの制御や制振装置全体の共振周波数の制御を行うようにしてもよい。
また、上記では制振対象物体における除振対象の振動が上下方向(鉛直方向)の振動である場合を説明したが、これに限定されるものではなく、除振対象の振動は左右方向(水平方向)の振動であってもよいし、振動の方向が不定であってもよい。振動の方向が不定である場合にも、上下方向の振動を抑制する制振装置と左右方向の振動を抑制する制振装置を各々設け、除振対象の振動を上下方向と左右方向に分解して検出し、検出した各方向の振動に基づいて抑制する振動の方向が異なる制振装置の作動を各々制御するようにすればよい。
また、上記では制振対象物体が構造物(建物)の一部分である場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えばモータを備えた電気・電子機器において、モータで発生される振動が周囲へ伝播することを抑制したい等の場合に本発明を適用することも可能である。
また、上記では本発明に係る制振プログラムに対応する制振制御プログラムがコンピュータ88の記憶部88Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る制振プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本発明方式及び従来方式における伝達関数を各々示す線図である。 本発明方式及び従来方式における仮想の動吸収器の応答を各々示す線図である。 本発明方式及び従来方式における制振用アクチュエータの変位を各々示す線図である。 本実施形態に係る制振装置が取付けられた構造物の全体図である。 (A)は制振装置の斜視図、(B)は(A)のD−D'断面に沿った制振装置の断面図である。 (A)は可変剛性ばねの概略構成図、(B)は変位ロック機能を備えた可変ばねユニットにおける磁界発生状態を示す説明図である。 制御装置の概略構成を示すブロック図である。 制御装置のコンピュータで行われる制振制御処理の内容を示すフローチャートである。 除振対象の振動の中心振動数ω0の検出を説明するための線図である。 従来の制振システムを示す概略図である。 従来の制振システムを示す概略図である。 従来の制振システムを示す概略図である。 従来の制振システムにおける問題を説明するための線図である。
符号の説明
10 構造物
24 ホール
26 振動センサ
30 制御装置
56 MR流体
88 コンピュータ
90 電磁コイル駆動回路
92 選択駆動回路
100 制振装置
108 加振部
110 振動増幅部
122 可動部
124 ウェイト
128 支持部材
130 電磁コイル
142 永久磁石

Claims (8)

  1. 基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出する検出手段と、
    前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータと、
    前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
    22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
    (但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
    11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
    −{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
    で表される挙動を示すように、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御する制御手段と、
    を含む制振装置。
  2. 前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づき、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を、
    Figure 2009138907
    なる伝達関数H1(s)に従って制御することで、前記制振対象物体が前記(2)式で表される挙動を示すように制御することを特徴とする請求項1記載の制振装置。
  3. 前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づき、前記制振対象物体の振動における除振対象の中心振動数ωを求め、求めた中心振動数ωを固有振動数ωとして設定した前記(3)式に従って、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御することを周期的に繰り返すことを特徴とする請求項2記載の制振装置。
  4. 前記制振用アクチュエータは、主質量部と、該主質量部に対して変位可能な補助質量部と、該補助質量部を前記主質量部に対して変位させるアクチュエータと、前記主質量部と少なくとも前記制振対象物体との間に介在され剛性を変更可能な可変剛性ばねを含んで構成されており、
    前記制御手段は、前記求めた中心振動数ωを固有振動数ωとして設定した前記(3)式に従って、前記アクチュエータによる前記補助質量部の変位を制御すると共に、前記求めた中心振動数ωに対する前記制振用アクチュエータの共振振動数の偏差が最小となるように、前記可変剛性ばねの剛性を変化させることを特徴とする請求項3記載の制振装置。
  5. 前記可変剛性ばねは、直列に配置された複数のばねと、前記複数のばねのうちの少なくとも1つのばねの変位を阻止可能な変位阻止手段を含んで構成されており、
    前記制御手段は、前記変位阻止手段によって少なくとも1つのばねの変位を阻止させるか否かを切り替えることで、前記可変剛性ばねの剛性を変化させることを特徴とする請求項4記載の制振装置。
  6. 前記変位阻止手段は、
    対応するばねの一端に取り付けられMR流体を収容する収容部と前記ばねの他端に取り付けられ前記MR流体に浸漬された凸部から成る伸縮部と、
    前記MR流体に作用させる磁界を発生する磁界発生手段を含んで構成されており、
    前記制御手段は、前記磁界発生手段によって前記磁界を発生させるか否かを切り替えることで、ばねの変位を阻止させるか否かを切り替えることを特徴とする請求項5記載の制振装置。
  7. 基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出し、
    前記検出した前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
    22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
    (但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
    11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
    −{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
    で表される挙動を示すように、前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御する制振方法。
  8. 基準物体との間にばね定数K1のばね及び減衰定数C1のダンパが介在された質量M1の制振対象物体の振動を検出する検出手段、及び、前記制振対象物体の振動を抑制する加振力を前記制振対象物体に加えることが可能な制振用アクチュエータと接続されたコンピュータを、
    前記検出手段によって検出された前記制振対象物体の振動に基づいて、質量M2の仮想質量と、当該仮想質量と前記制振対象物体との間に介在されたばね定数K2の仮想ばね及び減衰定数C2の仮想ダンパから成り、前記制振対象物体の変位をX1、速度をV1、前記仮想質量の変位をX2、速度をV2、加速度をA2としたときに、
    22+C2(V2−V1)+K2(X2−X1)=−KgX1 …(1)
    (但しKgは0<Kg/K2<1.0となる定数)で表される挙動を示す動吸収器が前記制振対象物体に仮想的に付加されることで、前記制振対象物体の加速度をA1、基準物体の変位をX0、速度をV0、前記制振対象物体に制振対象の振動を発生させる外力をFm、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える基準加振力をFd(但しFd=CdV1+KdX1であり、Cd, Kdはフィードバック係数)としたときに、前記制振対象物体が
    11+C1(V1−V0)+K1(X1−X0)=
    −{KgX1+Fd−C2(V2−V1)+K2(X2−X1)}+Fm …(2)
    で表される挙動を示すように、前記制振用アクチュエータが前記制振対象物体に加える加振力を制御する制御手段として機能させるための制振プログラム。
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