JP2005036752A - ピストンリングおよびピストン装置 - Google Patents

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友昭 阿部
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Abstract

【課題】 内燃機関のピストンの唯一のリング溝に装着して、ガスシール性能およびオイルコントロール性能を両立できるピストンリングおよびピストン装置を提供する。
【解決手段】 リング溝に装着した状態で、シリンダ壁面と対向する外周面がテーパフェース形状に形成された外リングと、該外リングの上面および背面に密着している内リングと、該内リングの背面側に形成された斜面に接触するように設置されたエキスパンダを備えたピストンリングおよびそれを唯一のリング溝に装着したピストン装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関のピストンの唯一のリング溝に装着して用いるピストンリングおよびピストン装置に関する。
従来の4サイクルエンジンのピストンには、図5および図6の要部縦断面図に例示するようなピストン100 、200 が通常使用されている。
ピストン100 は、図5に示すように3箇所にリング溝101を有し、上から順に図示しない第1圧力リング、第2圧力リング、およびオイルリングが装着され、シリンダに組み込んで3本リング構成のピストン装置を構成する。一方、ピストン200 は、図6に示すように2箇所にリング溝201を有し、上から順に図示しない圧力リング、およびオイルリングが装着され、シリンダに組み込んで2本リング構成のピストン装置を構成する。
ピストン装置のピストンリングには、(i)燃焼ガスの漏れを防止するガスシール性能、(ii)ピストンからシリンダへの熱伝達性能、(iii)ピストンとシリンダ壁面間の潤滑油量をコントロールするオイルコントロール性能等が高いことが要求され、上記2本または3本リング構成ピストン装置においては、上記第1圧力リング及びオイルリングにより(i)と(iii)の役割をそれぞれ分担している。なお、第2圧延リングは、(i)と(iii)の補助的役割をしている。
なお、図5、6で符号102および202はランドであり、107 、207 は、ピストン外周部からピストン内部に貫通するオイル逃し孔である。
ここで、2本リング構成ピストン装置は、3本リング構成ピストン装置に比較して、ピストンリングが1本少ないために、ピストンリングの摺動抵抗による摩擦損失を減少できる可能性があり、しかも3本リング構成ピストン装置に比べて、リング溝を1つとリング溝間のランドを一つ少なくすることができる結果として、ピストン頂面とスカート部8との間隔を短縮でき、ピストン頭部質量を軽くできる。
このため、内燃機関のピストン装置においては、1本リング構成ピストン装置が指向されている。
たとえば、1本リング構成ピストン装置が特開平6-147005号公報に開示されている(特許文献1)。
特開平6-147005号公報に記載の1本リング構成ピストン装置は、図7に示すように、ピストン300の頭部に唯一のリング溝301を形成し、リング溝301にサイドレール302、303を有するピストンリングを装着してシリンダ内に組み込んだものである。図7中、符号304、305は、それぞれトップランド、セカンドランドであり、符号306はオイル溜まり溝、符号307は、オイル逃し孔である。
特開平6-147005号公報
しかしながら、特開平6-147005号公報に記載のピストン装置に装着されている3ピースのピストンリングは、合口からのガス漏れが多いうえに、ピストン上下方向の2ヶ所でシリンダ壁面320と接触する構成であり、リング張力を3本リング構成ピストン装置でのオイルリング張力と同程度にすると、3本リング構成ピストン装置より潤滑油の消費量が増大してしまい、ガスシール性能およびオイルコントロール性能を両立できないという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、従来技術の上記問題点を解消することにあり、内燃機関のピストンの唯一のリング溝に装着して、ガスシール性能およびオイルコントロール性能を両立できるピストンリングおよびピストン装置を提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
1. 内燃機関のピストンの唯一のリング溝に装着して用いるピストンリングであって、リング溝に装着した状態で、シリンダ壁面と対向する外周面がテーパフェース形状に形成された外リングと、該外リングの上面および背面に密着している内リングと、該内リングの背面側に形成された斜面に接触するように設置されたエキスパンダを備え、前記外リングの合口構造が、一方の合口端部に形成された凹部に、他方の合口端部に形成された前記凹部に収容できる凸部が挿入され、合口端部同士が上下に位置する構造とされ、前記外リングと前記内リングとが、互いに合口の部位が異なるように配置されて回り止めされていることを特徴とするピストンリング。
2. 前記外リングの断面形状を略正方形とし、前記外リングのテーパフェース面のテーパ角度を50分〜1度50分とし、かつ前記外リングの当たり幅を初期において0.2mm以下としてなることを特徴とする上記1.に記載のピストンリング。
3. 内燃機関のピストンの唯一のリング溝が矩形とされ、上記1.または2記載のピストンリングを前記リング溝に装着し、シリンダに組み込んだことを特徴とするピストン装置。
本発明によれば、ガスシール性能およびオイルコントロール性能の両方を満足させることができ、燃費を低減できる。
本発明に係るピストンリングを内燃機関のピストン装置に適用した場合について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
図1、2は、第1実施の形態に係るピストンリングを用いた1本リング構成ピストン装置の要部断面図であり、図3は、唯一のリング溝1に装着した第1実施の形態に係るピストンリングの外リング2および内リング3の合口形状と合口の部位を示す斜視図である。されている。
本発明に係るピストンリングは、図1および図2に示すように、シリンダ壁面20と外周面が接触するように配置された外リング2と、該外リング2の上面および背面に密着している内リング3と、内リング3の背面側に形成された斜面に接触するように設置されたエキスパンダ4を備えている。エキスパンダ4としては、図示したようなコイルエキスパンダを用いてもよいし、あるいはプレートエキスパンダを用いることもできる。
図2で、a1 は、外リング2のリング厚み(a1 寸法ともいう)を示し、h1 は、外リング2のリング幅を示す。またh2 は、外リング2に形成した当たり幅を示す。
また、本発明に係るピストンリングは、外リング2の外周面が断面で見てテーパフェース形とされ、ピストン10に形成した唯一のリング溝1に装着された状態で、図3に示すように外リング2と内リング3とが、互いに合口の部位が異なるように配置されて、図示しない適宜な回り止め手段により回り止めされている。回り止め手段としては、係止ピンを用いるのが好適である。
図1、2において、符号5、8はランドであり、8はトップランド、5はセカンドランドである。オイル溜め溝6は、セカンドランド5とスカート部9と間に形成されている。オイル逃し孔7は、ピストン外周部からピストン内部に貫通する貫通孔であり、φはオイル逃し孔の直径である。
なお、第1実施の形態に係るピストンリングに用いた外リング2の合口は、図3に示すようにステップ形状とされている。
ステップ形状の合口構造は、一方の合口端部に形成された凹部に、他方の合口端部に形成された凸部が挿入され、合口端部同志が上下に位置する構造とされ、合口隙間が上下方向にストレートではないので、シリンダ壁面におけるオイル掻き残しおよび、高ブースト時のオイル吸い上げが発生し難い。
外リング2および内リング3の合口形状は、リング溝1に内、外リング3、2を装着した状態で、合口が重ならないように設計する。即ち、外リング2には、合口隙間S1 、S2 が存在し、内リンク3には、合口隙間S3 が存在する。なお、外リング2には、外リング2の上下の合口に繋がるステップ長さLの平行部隙間がある。
第1実施の形態に係るピストンリングは、上述した構成とされ、ピストン10の唯一のリング溝1に装着され、下記性能を有する。
(i)燃焼ガスの漏れを防止するガスシール性能
ガスシール性能は、基本的に、「ピストンリングに形成されている合口隙間×ピストンとシリンダ壁面の隙間=ガス漏れ通路」であり、この式の意味するところは、第1圧力リングのガス漏れ通路によって、ほぼブローバイ量は決定されることであるが、第1実施の形態に係るピストンリングは、この通路を遮断する構造であるため、3本リング構成ピストン装置の第1圧力リングより格段にガスシール性能が向上する。
なお、ピストン装置の運転中に生じる可能性のあるガス漏れ通路としては、ピストンリングの下面とリング溝1の壁面との間、シリンダ壁面20とピストンリングの当たり面との間、およびピストンリングの合口隙間があるところ、第1実施の形態に係るピストンリングは、いずれのガス漏れ通路も効果的に遮蔽できる。
(ii)ピストンからシリンダへの熱伝達性能
本発明では、ピストンリングの下面とリング溝1の壁面とが常時接触した状態とし、ピストンの熱をリング溝1の壁面からピストンリングの下面へ伝達して、ピストンからシリンダへの熱伝達性能を確保した。
(iii)ピストンとシリンダ壁面間の潤滑油量をコントロールするオイルコントロール性能
(a)シリンダ壁面でのオイル掻き;
第1実施の形態に係るピストンリングは、後述するうように、3本リング構成ピストン装置におけるオイルリングと同等の面圧にすることができ、シリンダ壁面に対する追従性も3本リング構成ピストン装置におけるオイルリングと同等とすることができる。
(b)上下面のオイルシール;
唯一のリング溝1より上方へ移動したオイルは、二度とリング溝1より下方側に戻れないので、第1実施の形態に係るピストンリングでは、ピストン装置の運転中、常時、ピストンリングの下面とリング溝1の壁面とが接触した状態とし、イルがリング溝1の底部空間内に移動するのを防止できる。
(c)リング合口部のオイルシール;
第1実施の形態に係るピストンリングでは、外リング2の合口構造をステップ形状としたことにより、その合口をストレート形状とした場合に生じる、掻き残しオイル及び高ブースト時の負圧によるオイル吸い上げを防止できる。
但し、上述した第1実施の形態に係るピストンリングにおいては、ピストンリングのボア径等により、外リング2と内リング3の寸法および材質を適切とし、適切な張力を持つエキスパンダ4を選定することによって、内リング3を介して、外リング2の外周面とシリンダ壁面20との当たり面に適切な荷重を付与すると共に外リング2の下面とリング溝の壁面との接触面、および内リング3の下面とリング溝の壁面との接触面に適切な荷重を付与する。
ここで、ピストン10のボア径を86mmとした場合の第1実施の形態に係るピストンリングの作用について具体的に説明する。
その際に、外リング2の断面形状は、略正方形とし、外リング2のリング厚みa1 を1.5mm、外リング2のリング幅h1 を1.5mmとした。また、外リング2の合口のステップ長さLは、リング溝1にピストンリングを装着した状態で2.5〜4.0mm、平行部隙間は0.02mm程度とした。平行部隙間は、合口隙間S1 、S2 寸法よりはるかに小さく、リング溝1にピストンリングを装着した状態で合口隙間S1 、S2 =0.15〜0.20mmに対して約1/10である。平行部隙間は、外リング2のリング幅h1 方向の隙間で定義される。
また、外リング2に内リング3を装着したピストンリングのリング厚みを3.7mm、ピストンリングのリング幅を2.3mmとした。内リング3の背面側には、斜面に接触させて外径が1.5mmのコイルエキスパンダを設置し、ピストンリングの張力を3本リング構成ピストン装置におけるオイルリングと同等にし。組合わせ後のピストンリングの断面は、略台形状である。
なお、外リング2の断面形状を略正方形とすると、リング溝1の形状を適正な矩形状にでき、また、エキスパンダの張力を効果的に配分できるので好ましい。また、内リング3の背面側に形成する斜面と、内リング3の下面とのなす傾斜角度は、30〜45°とするのが、内リング3を介して外リング2にエキスパンダの張力を効果的に配分でき、また、リング溝1の形状を適正にできるので好ましい。
一方、ピストン10には、オイル逃し孔7として、直径が2mmの貫通孔を周方向に12個設けた。その際にオイル逃し孔7の一端側の開口部がセカンドランド5とオイル溜め溝6に跨るように穿孔した。オイル溜め溝6の体積は、500mm3 とした。
内リンク3の合口隙間S3 は、適宜な値、例えば、0.4〜0.6mmに設定される。
(i)ガスシール性能について
第1実施の形態に係るピストンリングでは、図3に示すように外リング2の合口がステップ形状とされ、リング溝1に装着した状態で外リング2と内リング3とが互いに合口の部位が異なる周方向位置となるようにして配置されて回り止めされ、内リング3は、外リング2の上面および背面に密着している。
従って、外リング2の上面および背面に密着している内リング3により、外リング2の上の合口隙間S2 を上面側および背面側から塞ぐと共に、外リング2の下の合口隙間S1 と、上下の合口に繋がるステップ長さがLの平行部隙間とを背面側から塞いで、外リング3の合口隙間のガス漏れ通路を遮蔽している。
この結果、ピストン装置の運転時に、外リング2の合口隙間を通って、セカンドランド5とシリンダ壁面20の間に洩れるブローバイガス量を大幅(約1/3〜1/4)に低減できる。
その際、外リング2と内リング3とが回り止め手段により回り止めされているので、ピストン装置の運転中に、外リング2の合口の周方向位置と内リング3の合口の周方向位置とが一致してしまうことがなく、安定してガスシール性能を発揮できる。
また、本発明の第1実施の形態に係るピストンリングでは、外リング2と内リング3の寸法および材質を適切とし、適切な張力を持つエキスパンダ4とすることによって、ピストンリング下面とリング溝壁面との間の接触面圧を適切としているために、ピストン装置の運転中、ピストンリング下面とリング溝壁面とが常時、密着して、ピストンリング下面に生じる可能性のあるガス漏れ通路を効果的に遮蔽している。
故に、第1実施の形態に係るピストンリングを用いたピストン装置では、第1圧力リングの合口をストレート形状とした3本リング構成ピストン装置に比べて、ブローバイガス量を1/3〜1/4と大幅に低減することができる。
なお、シリンダ壁面20に対するピストンリングの追従性能は、外リング2と内リング3の寸法および材質を適切とし、適切な張力を持つエキスパンダ4を選定することによって、3本リング構成ピストン装置の第1圧力リングと同等にすることができる。
ここで、3本リング構成ピストン装置100では、図8に示す矢印ようにしてガスが第1圧力リング110の合口隙間を通過して漏れる。符号120はシリンダ壁面を示す。
(ii)ピストンからシリンダへの熱伝達性能
外リング2と内リング3の寸法および材質を適切とし、適切な張力を持つエキスパンダ4を選定することによって、十分な熱伝達性能を維持できるところ、第1実施の形態に係るピストンリングを装着したピストン装置は、3本リング構成ピストン装置に比べると、ピストンリングが唯一であるから、ピストン装置の運転条件によっては若干低い場合がある。このような場合には、ピストン裏面に対してオイルをオイルジェットとして与える等のピストン冷却を十分に行えば問題が生じない。
(iii)ピストンとシリンダ壁面間の潤滑油量をコントロールするオイルコントロール性能
(a)シリンダ壁面のオイル掻き;
第1実施の形態に係るピストンリングにおいては、外リング2の外周面が断面で見てテーパフェース形とされ、テーパフェース面のテーパ角度を50分〜1度50分とし、かつシリンダ壁面20に対する外リング2の当たり幅を初期において0.2mm以下するのが好ましい。
この理由は、テーパフェース面のテーパ角度を50分未満とした場合、1)ピストンの熱変形によるリング溝傾き2)ピストンスラップ3)リングの軸方向挙動の際のわずかなねじれ等によって、テーパーフェース面全面がシリンダ壁面20に当たる。その為、上側エッジ部で潤滑油を掻き上げ、潤滑油消費量を増大させる。一方、テーパー角度が1度50分超えとした場合は、シリンダ壁面20とテーパーフェイス面との隙間が大きくなり、ステップ合口部におけるシリンダ壁面でのオイル掻き残しが生じてしまう。
よって、外リング2のテーパフェース面のテーパ角度を50分〜1度50分とすることにより、ピストン下降行程でシリンダ壁面20上のオイルを外リング2のテーパフェース面の先端部分で掻き落とすことにより、シリンダ壁面20に残す油膜を十分薄くすることができ、一方、ピストン上降行程では、テーパフェイス面により油膜を薄く且つ掻き上げも少なくすることができる。
ここで、第1実施の形態に係るピストンリングにおいては、テーパフェース面の下方に形成する、外リング2の当たり幅を初期において0.2mm以下するのが好ましい。この理由は、リング全体の張力、すなわち、組合せ後のピストンリングの張力Ft=19.6Nとした場合に、ボア径を86mmとしたシリンダ壁面20と、外リング2の当たり幅との間の接触面圧Pを2MPa以上とすることができるからである。この外リング2の当たり幅における接触面圧Pを2MPa以上とすることによって、基本的なシリンダ壁面のオイル掻き能力を3本リング構成ピストン装置におけるテーパフェース形状のオイルリングと同等とすることができる。また、第1実施の形態に係るピストンリングにおいては、外リング2の当たり幅との間の接触面圧Pを2MPa以上とすることができるから、上下にサイドレールを有する3ピースオイルリングの場合より、シリンダ壁面のオイル掻き能力が高い。
ところで、シリンダ壁面に対するピストンリングの追従性能は、3・Ft・(D−a1 2 /(E・h1 ・a1 3)、但しFt=張力(N)、E=ヤング率(N/mm2 )、D=ボア径(mm)で定義される係数Pkが高いほど優れる。
例えば、図7に示したような構成の上下にサイドレール302、303を有する3ピースオイルリングの場合には、Ft=19.6N、リング幅h1 =0.4 mm、リング厚みa1 =2.0mmで、サイドレールの追従性係数Pk=0.315となる。
これに対して、第1実施の形態に係るピストンリングの場合には、外リング2のリング幅h1 =1.5mm、リング厚みa1 =1.5mmで、外リング2の追従性係数Pk=0.279となる。この組のピストンリングのリング幅は2.3mm、リング厚みは3.7mmである。また、外リング2のリング幅h1 =1.2mm、リング厚みa1 =1.2mmで、外リング2の追従性係数Pk=0.523となる。この組のピストンリングのリング幅は1.8mm、リング厚みは3 .2mmである。
このことから、外リング2の寸法;h1 およびa1 を適切とすることによって、第1実施の形態に係るピストンリングに用いる外リング2の追従性係数Pkを上下にサイドレールを有する3ピースオイルリングと同等に設定できることがわかる。
(b)上下面のオイルシール;
第1実施の形態に係るピストンリングを装着したピストン装置では、外リング2の合口がステップ形状とされ、内リング3が外リング2の上面および背面に密着しており、そのうえ、内リング3の背面側に形成された斜面に接触するように設置されたエキスパンダ4を備えているので、ピストン装置の運転中、ピストンリングの下面とリング溝1の壁面とが常時接触した状態とすることができ、この結果、オイルがリング溝1の底部空間内に移動するのを防止することができる。
よって、ピストン装置の運転中、外リング2の合口部分からのオイル上がりを除いて、ピストンリングの下面より上側にオイルが移動することを防止できる。
(c)リング合口部のオイルシール;
第1実施の形態に係るピストンリングでは、外リング2の合口をステップ形状としたことにより、ピストン装置の運転中に、オイルの掻き残しが生じることなく、また、高ブースト時の負圧によるオイル吸い上げも防止できる。この結果、第1実施の形態に係るピストンリングを装着したピストン装置では、唯一のピストンリングによりオイルを適正にコントロールすることができ、図7に示した従来の上下にサイドレールを有するピストンリングを装着したピストン装置に比べてオイルの消費量を低減できる。
次いで、第2実施の形態に係るピストンリングについて図4を用いて説明する。
図4には、それぞれ第2、第3実施の形態に係るピストンリングに用いた外リング21の要部を示した。
正組のWrap−joint形状合口を持つ外リング21は、図4(a)、(および下面21B側に寄った下方隅部に形成された凹部21Dに他方の合口端部から突出する凸部21Eが挿入されて着座してなるダブルアングル構造をなしている。但し、図4(a)は、リング溝に装着する前の状態を示し、図4(b)はリング溝に装着した状態を示す。
第2実施の形態に係るピストンリングは、外リング21に合口が正組Wrap−joint形状としたリングを用いた以外は、第1実施の形態に係るピストンリングと構造が同じで、作用も同じである。従って、オイルコントロール性能、ピストンからシリンダへの熱伝導性能、ガスシール性能が第1実施の形態に係るピストンリングと同等となる。
なお、本発明に用いる外リングとしては、その材質を鋼または鋳鉄とすることが望ましく、また外リングのテーパフェース面および当たり面には、適宜、Crめっき処理、ガス窒化処理、PVD、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)などにより、耐摩耗性に優れた表面処理を施すのが望ましい。また、本発明に用いる内リングとしては、その材質をMg合金あるいはAl合金等の非鉄系の軽金属とするのが望ましく、内リングの下面には、例えば、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)などによりリング溝との凝着を防止できる凝着防止表面処理を施すのが望ましい。
本発明に用いるコイルエキスパンダとしては、材料を硬鋼線材、ピアノ線材、バネ用線材等を用いることができ、プレートエキスパンダの材料としては、ばね用鋼材を用いることができる。
本発明に用いるピストンには、オイル溜め溝6がセカンドランド5とスカート部9と間に形成され、オイル逃し孔7の一端側の開口部がオイル溜め溝6およびセカンドランド5に跨って形成されているので、ピストン下降行程でピストンリング直下のオイル溜まり量を極力するなくすることができ、LOCと称される、潤滑油消費量の悪化を抑制できるので好ましい。
但し、オイル逃し孔7は、セカンドランド5に対して垂直孔で内側に抜ける場合には、垂直孔とすることができる。
本発明に用いるピストン10におけるトップランド8の上下方向幅は、クレビスボリューム低減のため低くするのがよく、シリンダ容量によって異なるが、4サイクルガソリンエンジンでは2.5 〜5.0mm とすることができる。本発明に用いるピストン10におけるトップランドの形状は、特に限定されない。
上述した1本リング構成ピストン装置を、各種条件で運転し、燃費、潤滑油の消費量およびブローバイガス量を調査した。
なお、ピストン10のボア径を86mm、ピストン10の頂面からスカート部9上端までの高さを13mmとし、ピストンリングとしては、外リング2のリング厚みa1 を1.5mm、外リング2のリング幅h1 を1.5とし、外リング2に内リング3を組み合わせた組合わせ後リング厚みを3.7mm、同組合わせ後リング幅を2.3mmとした。エキスパンダ4としては、外径が1.5mmのコイルエキスパンダを用い、ピストンリングの張力を3本リング構成ピストン装置におけるオイルリングと同じとした。
内リング3の背面側の斜面、内リング3の下面とのなす傾斜角度は40°とした。
オイル逃し孔7は、直径が2mmの貫通孔とし、周方向に12個設けた。その際にオイル逃し孔7の一端側の開口部がセカンドランド5とオイル溜め溝6に跨るように穿孔した。オイル溜め溝6の体積は、500mm3 とした。また、セカンドランド5の外周面とシリンダ壁面21との間隔は、0.1〜0.2mmである。
従来例としては、ボア径が86mm、ピストン頂面からスカート部上端までの高さが17mmの3本リング構成ピストン装置を用い各リング溝に対応ピストンリングを所定の張力で装着し、その他の条件は発明例と同様とし、燃費、潤滑油の消費量およびブローバイガス量を調査した。
この結果、発明例ではガスシール性能は向上し、3本リング構成ピストン装置に比して、1/3〜1/4にブローバイ量を低減でき、潤滑油消費量は3本リング構成ピストン装置と同等の性能を得ることができた。
また、発明例ではピストン頭部の質量を減少できたので、3本リング構成ピストン装置に比し燃費を2〜3%低減できた。
第1実施の形態に係るピストンリングを用いた1本リング構成ピストン装置の要部断面図である。 図1のピストン装置に装着したピストンリングの要部縦断面図である。 図1のピストン装置に装着したピストンリングの合口の位置を示す斜視図である。 第2実施の形態に係るピストンリングに用いた外リングの、正組Wrap−joint形状合口を示す斜視図である。 従来のピストンの要部縦断面図である。 従来の他のピストンの要部縦断面図である。 従来のその他のピストンの要部縦断面図である。 従来の圧力リンクの問題点を説明する要部縦断面図である。
符号の説明
1 リング溝
2、21 外リング
3 内リング
4 エキスパンダ(コイルエキスパンダ)
5、8 ランド
6 オイル溜め溝
7 オイル逃し孔
9 スカート部
10、100、200、300 ピストン
20 シリンダ壁面
1 外リング2のリング厚み(a1 寸法)
1 外リング2のリング幅
2 当たり幅
L 外リング2のステップ長さ
1 外リング2の下部の合口隙間
2 外リング2の上部の合口隙間
3 内リンク3の合口隙間
φ オイル逃し孔の直径

Claims (3)

  1. 内燃機関のピストンの唯一のリング溝に装着して用いるピストンリングであって、リング溝に装着した状態で、
    シリンダ壁面と対向する外周面がテーパフェース形状に形成された外リングと、該外リングの上面および背面に密着している内リングと、該内リングの背面側に形成された斜面に接触するように設置されたエキスパンダを備え、
    前記外リングの合口構造が、一方の合口端部に形成された凹部に、他方の合口端部に形成された前記凹部に収容できる凸部が挿入され、合口端部同士が上下に位置する構造とされ、
    前記外リングと前記内リングとが、互いに合口の部位が異なるように配置されて回り止め手段で回り止めされていることを特徴とするピストンリング。
  2. 前記外リングの断面形状を略正方形とし、前記外リングのテーパフェース面のテーパ角度を50分〜1度50分とし、かつ前記外リングの当たり幅を初期において0.2mm以下としてなることを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
  3. 内燃機関のピストンの唯一のリング溝が矩形とされ、請求項1または2に記載のピストンリングを前記リング溝に装着し、シリンダに組み込んだことを特徴とするピストン装置。
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