JPWO2019065830A1 - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

低摩擦シリンダライナに組み合わされるピストンリングにおいて、アイドリング状態のような内燃機関の回転数が1000rpm以下の低回転時においても低摩擦シリンダライナの摩擦低減効果を得ることができるピストンリングを提供する。シリンダライナの内壁面に所定の凹部が形成された低摩擦シリンダライナに組み合わされるピストンリングであって、ピストンリングの面圧は、0.8〜2.5MPaである。

Description

本発明は、内燃機関用ピストンリングに関し、特に、シリンダライナの内壁面に所定の凹部が形成された低摩擦シリンダライナに組み合わせて、内燃機関の低回転時にも低摩擦シリンダライナの低摩擦の効果を十分に発揮することができるピストンリングに関する。
従来、内燃機関のピストンに組み付けられ、如何なるシリンダライナに組み合わされても低摩擦及びオイル消費量の低減を実現することができるピストンリングが知られている。
このような低摩擦及びオイル消費量の低減を実現するピストンリングは種々の形状が知られているが、例えば、下記特許文献1に記載されているように、母材と、母材に形成された硬質な第1層と、第1層に積層された第1層に比べて軟質な第2層とを少なくとも外周摺動面に備えるピストンリングにおいて、第1層の表面粗さ(Ra)は、0.7μm以下であるという構成を有するピストンリングが知られている。
このように構成されたピストンリングは、第1層の表面粗さ(Ra)が0.7μm以下であるので、如何なるシリンダライナと組み合わせても摩擦を低減し、かつオイル消費量を抑制することができる。
特開2017−36823号公報
しかし、近年の内燃機関においては、燃費性能の向上やオイル消費量の低減を目的として、シリンダライナとピストンリングとの接触面積を低減して両者の摩擦を極小化することが行われている。
この接触面積の低減方法は種々の方法が知られているが、例えば、シリンダライナの内壁面の所定の位置に凹部を設けた低摩擦シリンダライナを用いることが知られている。低摩擦シリンダライナに上述したピストンリングを組み合わせることによって、ピストンリングの第1層の表面粗さ(Ra)による摩擦低減効果に加え、低摩擦シリンダライナによる摩擦低減効果によって一層の低摩擦化を実現することが可能となる。
しかし、本発明者らは、内燃機関を備えた自動車が通常走行する回転数においては、上述した摩擦低減効果が確認されたものの、停車中のアイドリング状態などの低回転の領域では、低摩擦シリンダライナによる摩擦力低減効果が充分に得られていないという知見を得た。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、低摩擦シリンダライナに組み合わされるピストンリングにおいて、アイドリング状態のような内燃機関の回転数が1000rpm以下の低回転時においても低摩擦シリンダライナの摩擦低減効果を得ることができるピストンリングを提供することを目的とする。
本発明に係るピストンリングは、シリンダライナの内壁面に所定の凹部が形成された低摩擦シリンダライナに組み合わされるピストンリングであって、ピストンリングの面圧は、0.8〜2.5MPaであることを特徴とする。
また、本発明に係るピストンリングにおいて、前記ピストンリングの追従性係数は、0.1以上であると好適である。
また、本発明に係るピストンリングにおいて、前記ピストンリングの外周摺動面の当り幅は、0.05〜0.40mmであると好適である。
また、本発明に係るピストンリングにおいて、前記ピストンリングは、コイルエキスパンダとオイルリング本体からなる2ピースオイルリングであると好適である。
本発明に係るピストンリングは、ピストンリングの面圧が0.8〜2.5MPaに設定されているので、面圧が最適化されて内燃機関の低回転時においても低摩擦シリンダライナによる摩擦力低減効果を発揮することが可能となる。
また、本発明に係るピストンリングは、追従性係数が0.1以上に設定されているので、摩擦力低減効果に加えて、オイル消費量の低減も図ることが可能となる。
また、本発明に係るピストンリングは、ピストンリングの外周摺動面の当り幅を0.05〜0.40mmに設定しているので、面圧をより一層最適化することが可能となる。
また、本発明に係るピストンリングは、コイルエキスパンダとオイルリング本体からなる2ピースオイルリングとして、ディーゼルエンジンに最適に用いることができる。
(a)は、本発明の実施形態に係るピストンリングの一例を示す断面図であり、(b)は、他の一例を示す断面図。 本発明の実施形態に係るピストンリングに組み合されるシリンダライナ内壁面の凹部の形成位置の一例を示す説明図。 行程中央部領域における、凹部の配置の一例を示す概略展開図。 本発明のシリンダに形成される凹部の寸法位置を説明する概略展開図および概略断面図である。 本実施形態に係るピストンリングの回転数に応じた摩擦力比を示す試験結果。 本実施形態に係るピストンリングの面圧に応じたFMEP比を示す試験結果。 本実施形態に係るピストンリングの面圧に応じたオイル消費量を示す試験結果。 本実施形態に係るピストンリングの面圧と追従性係数の関係を示すグラフ。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、(a)は、本発明の実施形態に係るピストンリングの一例を示す断面図であり、(b)は、他の一例を示す断面図であり、図2は、本発明の実施形態に係るピストンリングに組み合されるシリンダライナ内壁面の凹部の形成位置の一例を示す説明図であり、図3は、行程中央部領域における、凹部の配置の一例を示す概略展開図であり、図4は、本発明のシリンダに形成される凹部の寸法位置を説明する概略展開図および概略断面図であり、図5は、本実施形態に係るピストンリングの回転数に応じた摩擦力比を示す試験結果であり、図6は、本実施形態に係るピストンリングの面圧に応じたFMEP比を示す試験結果であり、図7は、本実施形態に係るピストンリングの面圧に応じたオイル消費量を示す試験結果であり、図8は、本実施形態に係るピストンリングの面圧と追従性係数の関係を示すグラフである。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るピストンリング1は、内燃機関のピストンの外周面に形成されたリング溝(図示せず)に組み付けられ、シリンダの内壁と摺接することで、シリンダの内壁に付着した余分なエンジンオイルを掻き落としてシリンダの内壁に適切な油膜を形成する部材である。
ピストンリング1は、2ピースの組合せオイルリングとして構成されており、オイルリング本体2と、コイルエキスパンダ6とから構成されている。オイルリング本体2は、先端に外周摺動部突起4,4が形成された2つのレール3,3を柱部5で連結した断面略I字状に形成されている。コイルエキスパンダ6は、オイルリング本体2の柱部5の内周面に形成された内周溝に配置されており、オイルリング本体2をその径方向外方に押圧付勢する。なお、本実施形態に係るピストンリング1の柱部5には、オイル戻し孔7が形成されている。
さらに、本実施形態に係るピストンリング1は、オイルリング本体2の二つのレール3,3に形成された外周摺動部突起4,4は、軸方向の長さ(当り幅)が、0.05〜0.40mmに形成されると好適である。
このように、当り幅を0.05〜0.40mmとすることにより、オイルリング本体2におけるシリンダ内壁面との摺動面積を小さくすることができ、これにより摩擦力の低減を図ることができると同時に、オイル消費量の低減を図ることができる。
なお、外周摺動面の形状を図1(b)に示すように、凸部8,8が形成されたステップランド形状としても構わない。
オイルリング本体2は、母材11と、母材11の該表面に形成された表面処理層10を備えていると好適である。表面処理層10は、ピストンリングに用いられる種々の表面処理を適用することができるが、例えば、硬質炭素皮膜(DLC)、物理蒸着皮膜(PVD)、窒化処理層や硬質クロムメッキ層などが好適に用いられる。母材11は、合口が形成された平板状の円環部材であると好適である。なお、母材11は、鋼材,鋳鉄材又はアルミニウム合金などから構成されており、良好な耐摩耗性を示すものであれば特に限定されない。好ましい鋼材の例として、オイルリング本体2は、13Cr鋼を用いることができる。この13Cr鋼は、炭素0.6〜0.7質量%、ケイ素0.25〜0.5質量%、マンガン0.20〜0.50質量%、クロム13.0〜14.0質量%、モリブデン0.2〜0.4質量%、リン0.03質量%以下、硫黄0.03質量%以下、残部鉄及び不可避不純物の組成のものをいう。
また、本実施形態に係るオイルリングのオイルリング本体2は、17Cr鋼を用いることができる。この17Cr鋼は、炭素0.80〜0.95質量%、ケイ素0.35〜0.5質量%、マンガン0.25〜0.40質量%、クロム17.0〜18.0質量%、モリブデン1.00〜1.25質量%、バナジウム0.08〜0.15質量%、リン0.04質量%以下、硫黄0.04質量%以下、残部鉄及び不可避不純物の組成のものをいう。他の材料として、8Cr鋼、SWRH77B相当材又は、SKD61相当材を用いることができる。
コイルエキスパンダ6は、SWOSC−V材相当の素材を用いることができ、炭素0.50〜0.60質量%、ケイ素1.20〜1.60質量%、マンガン0.50〜0.80質量%、クロム0.50〜0.80質量%、銅0.12質量%以下、リン0.030質量%以下、硫黄0.030質量%以下、残部鉄及び不可避不純物の組成のものをいう。
次に、図2から4を参照して、本実施形態に係るピストンリングに好適に組み合わされる低摩擦シリンダライナ20について説明を行う。
図2は、シリンダ本体(図示せず)の内壁面に固着されているシリンダライナにおける、シリンダライナ内壁面の凹部の形成位置の一例を示す説明図である。
図2に例示するように本態様におけるシリンダライナ20の内壁面21には、複数個の凹部22が形成されている。この凹部22は、シリンダライナ20の内壁面21のうち、行程中央部領域23のみに形成されており、当該行程中央部領域23以外の領域には形成されていない。行程中央部領域23は、ピストンの上死点における最下位のピストンリングのリング溝の下面位置から、上記ピストンの下死点における最上位のピストンリングのリング溝の上面位置までの間の領域である。
シリンダが用いられる装置のエネルギー効率を向上させる、例えば、エンジンの燃費を向上させるためには、ピストンリングと、シリンダの内壁面(本態様においてはシリンダライナの内壁面)との摩擦損失低減が有効である。摩擦損失の低減方法は摺動条件によって異なるが、特にピストンは上死点で速度が0になる等の特徴を持つため、摺動する位置により異なる。そこで本態様のシリンダを構成するシリンダライナにおいては、その内壁面の行程中央部領域23のみに凹部を形成するとともに、シリンダ周方向の全ての断面には、前記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部が存在するように、換言すれば、各凹部をシリンダ軸方向において重なるように形成することによって、行程中央部領域23の全ての領域において摩擦力を低減することを可能としている。
すなわち、ピストンの移動速度が比較的小さい上死点付近および下死点付近では、シリンダライナの内壁面の表面粗さを小さくすることにより、往復動摩擦の低減を図ることができる。しかしながら、シリンダライナの内壁面と、ピストンリングとの摺動速度が大きい領域である行程中央部領域23では、潤滑油のせん断抵抗の影響が大きくなる。そのため本態様においては、シリンダライナの内壁面のうち、上記行程中央部領域23にのみ凹部を形成することで、ピストンリングとシリンダライナの内壁面との接触面積を小さくし、潤滑油のせん断抵抗の影響を低減することを可能としている。
またここで、行程中央部領域23に複数の凹部を無造作に形成した場合、行程中央部領域23全体では、ピストンリングとシリンダライナの内壁面との接触面積が小さくなるが、微視的には、摺動するピストンリングの幅(シリンダの軸方向の長さ)は行程中央部領域23にくらべて非常に短いため、場所によっては、凹部が形成されていない部分も存在する可能性があり、当該部分においては、ピストンリング摺動面とシリンダライナの内壁面とは100%接触をしていることとなってしまい、上記効果を十分に発揮できない可能性があるところ、本態様においては、上述の通り、シリンダ周方向の全ての断面には、前記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部が存在するように、換言すれば、各凹部をシリンダ軸方向において重なるように形成されているため、摺動するピストンリングは常に凹部と接触していることとなり、その結果、ピストンリングとシリンダライナの内壁面との接触面積が100%となることはなく、上記効果を常に発揮することができる。
なお、ピストンリングが摺動する領域全てに凹部を形成した場合、つまり行程中央部領域以外の領域にも凹部を形成した場合、上死点および下死点の近傍では上記接触面積が小さくなることにより接触面圧が増加し境界潤滑となるため、摩擦力が増加してしまう。また、このような部分に凹部があると、不要な油だまりとなってしまい、これが燃焼しオイル消費量が多くなってしまうこともある。
次に、本態様のシリンダを構成するシリンダライナの内壁面の行程中央部領域23に形成される凹部22について説明する。
本態様において、行程中央部領域23に形成される凹部22の形状は特に限定されるものではなく、当該凹部の配置等に応じて適宜調整することができる。直線および/または曲線から構成される形状の凹部を形成することができる。凹部は、横長の形状でも、縦長の形状でも、縦対横の比率がほぼ等しい形状でも構わない。
ここで、本態様のシリンダにおいては、行程中央部領域におけるシリンダ周方向の全ての断面に前記凹部が少なくとも一つは形成されていることを特徴としている。これにより、接触面積を効率的、かつ平均的に低減することができる。
前述したように、周方向の断面を考えた場合、ある断面に凹部が一つも形成されていないと、当該断面をピストンリングが通過する際は、凹部が複数個形成されている断面を通過する際と比べ、ピストンリングとシリンダライナの内壁面との接触面積が大きくなる。そのため、潤滑油のせん断抵抗の影響が大きくなり、結果として往復動摩擦も大きくなる。
これに対し、行程中央部領域におけるシリンダ周方向の全ての断面に凹部を少なくとも一つ形成することにより、行程中央部領域のどの周方向断面をピストンリングが通過する場合であっても、接触面積を確実かつ平均的に低減することができるため、往復動摩擦も確実に低減することができる。
本態様の特徴である「シリンダ周方向の全ての断面において、複数個の凹部のうちの少なくとも一つの凹部が形成されている」状態の例としては、図3(a)や(b)の場合を挙げることができる。
図3(a)は、上述した図2の行程中央部領域23における、凹部22の配置の一例を示す概略展開図である。図3(a)においては、図面の上下方向がシリンダの軸方向であり、図面の左右方向がシリンダの周方向である。図3(a)に例示するように、シリンダ周方向に引いた線Xは、凹部22aの最下点5aが、その下方に最も近接する凹部22bの最上点6bよりも下側に位置する。また、シリンダ周方向に引いた線Yは、凹部22bの最下点5bが、その下方に最も近接する凹部22cの最上点6cよりも下方に位置する。このように、上下に近接する凹部同士を、シリンダ軸方向に重なるように配置することにより、シリンダ周方向の全ての断面において複数個の凹部のうちの少なくとも一つの凹部を形成することができる。以上より、ピストンが往復した際に、行程中央部領域において、摺動するピストンリングが、シリンダ軸方向のどの位置においてもシリンダ内壁面との接触面積を小さくすることができ、往復動摩擦の低減に効果を奏する。
ここで、図3(b)も図3(a)と同様、上述した図2の行程中央部領域23における、凹部22の配置の一例を示す概略展開図である。図3(b)においても図面の上下方向がシリンダの軸方向であり、図面の左右方向がシリンダの周方向である。図3(a)にあっては、凹部22がシリンダ軸方向にわたって均一の面積で形成されているが、この態様に限定されることはなく、図3(b)に示すように、シリンダ軸方向の行程中央部領域23の端部近傍においては凹部22の面積を小さくし、行程中央部領域23の中央部近傍においては凹部の面積を大きくしてもよく、適宜調整すれば良い。
本態様において上記凹部の寸法は特に限定されるものではなく、シリンダや共に用いられるピストンリングの寸法等に応じて適宜調整することができる。凹部は、行程中央部領域をシリンダ軸方向に貫くように形成されていてもよいが、シリンダの気密性保持の観点から、上記凹部のシリンダ軸方向の平均長さが、用いられるピストンリングのうちの、最上位のピストンリングのシリンダ軸方向の長さ以下であることが好ましい。より具体的には、用いられるピストンリングのうちの、最上位のピストンリングのシリンダ軸方向の長さの5〜100%程度とすることが好ましい。
本態様において上述した凹部の各平均長さは、図4に例示する各箇所の平均長さを意味するものとする。図4(a)は、シリンダライナの内壁面の、シリンダ軸方向を図面の上下方向に示した概略展開図である。また、図4(b)は、シリンダライナの、周方向における概略断面図である。前記凹部の軸方向平均長さとは、図4(a)に例示するように、シリンダ軸方向における、凹部22の長さの平均である。
また、上記凹部22の周方向平均長さとは、図4(a)に例示するように、シリンダ周方向における、凹部22の長さの平均である。図4(b)に例示するように、前記凹部22の周方向平均長さとは、内壁面21を含む面における長さの平均を意味するものとし、前記凹部の面積についても同様とする。
また、上記凹部22の径方向長さとは、図4(b)に例示するように、凹部22の底面からシリンダライナ20の内壁面21までの長さの平均である。また、上記凹部間のシリンダ周方向平均長さ(間隔)とは、図4(a)および(b)に例示するように、隣り合う凹部22の間隔の平均である。
凹部のシリンダ周方向平均長さは、0.1mm〜15mmの範囲内が好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内が特に好ましい。シリンダ周方向平均長さがこの範囲に満たない場合は、凹部を形成した効果が十分に得られない場合がある。一方で、周方向平均長さがこの範囲を超える場合は、ピストンリングの一部が凹部内へ入り込み、ピストンリングが変形する等の不具合が発生する場合がある。
凹部のシリンダ径方向平均長さは、0.1μm〜1000μmの範囲内が好ましく、0.1μm〜500μmの範囲内がさらに好ましく、0.1μm〜50μmの範囲内が特に好ましい。凹部のシリンダ径方向平均長さがこの範囲に満たない場合は、凹部を形成した効果が十分に得られない場合がある。一方で、径方向平均長さがこの範囲を超える場合は、加工が困難であり、また、シリンダライナの径方向長さを長くする(肉厚を厚くする)必要がある等の不具合が生じる場合がある。
本態様においては、隣り合う凹部間のシリンダ周方向平均長さ(間隔)は、0.1〜15mmの範囲内が好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内が特に好ましい。隣り合う凹部間のシリンダ周方向平均長さ(間隔)がこの範囲に満たない場合には、ピストンリングが摺動するシリンダライナの内壁面の幅が小さすぎて、ピストンリングとシリンダライナの内壁面とが安定して摺動できない可能性がある。一方で、この範囲を超える場合には、凹部を形成した効果が十分に得られない可能性がある。
本実施形態に係るピストンリング1は、上述した低摩擦シリンダライナに組み合わされる。このとき、ピストンリング1の面圧Wは、0.8〜2.5MPaに設定されると好適である。このように面圧Wを設定すると、低摩擦シリンダライナによるフリクションの低減効果を低回転時にも十分に得ることが可能となる。なお、面圧とは、(2×ピストンリング張力)/(ボア径×当り幅)から求めることができ、本実施形態に係るピストンリング1は、従来の面圧よりも低い面圧となるようにピストンリング張力Ft及び当り幅h1を設定している。
また、本実施形態に係るピストンリング1は、ピストンリングの追従性係数Kpが0.1以上となるように設定されている。追従性係数Kpとは、内燃機関の熱膨張等によるボア変形への追従性を表す係数であり、次式で表される。
Figure 2019065830
このように、ピストンリングの追従性係数を設定することで、追従性係数が低下することによるオイル消費量の増加を抑え、低摩擦シリンダライナを用いた低摩擦化とオイル消費量の抑制の両立を図ることが可能となる。
次に、実施例と比較例を参照して、本発明についてさらに詳しく説明を行う。
実施例と比較例は以下の構成を有するピストンリング及び低摩擦シリンダライナ並びに通常のシリンダライナを用いて摩擦係数の測定を行った。
実施例,比較例1及び比較例2は、2ピースオイルリングを用い、オイルリング本体を構成する13Cr鋼として、炭素0.65質量%、ケイ素0.38質量%、マンガン0.35質量%、クロム13.50質量%、モリブデン0.3質量%、リン0.01質量%、硫黄0.01質量%、残部鉄及び不可避不純物の組成を備えるJIS規格のSUS410材に相当するものを用い、オイルリング本体の全周にわたり窒化層を設け、外周摺動面の当たり幅は0.2mmとした。
また、実施例は、面圧を1.2MPa(実施例1)1.8MPa(実施例2)、2.5MPa(実施例3)に設定し、組み合わされるシリンダライナは、低摩擦シリンダライナを用いた。比較例1は、面圧を従来相当の2.8MPaに設定し、組み合わされるシリンダは、低摩擦シリンダライナを用いた。また、低摩擦シリンダライナは、行程中央部領域を100としたときの凹部面積率が50%、凹部のシリンダ軸方向長さが0.5mm、周方向長さが0.5mm、シリンダ径方向長さが2μmのものを用いた。さらに、比較例2は、面圧を1.8MPa、比較例3は2.5MPaにそれぞれ設定し、組み合わされるシリンダライナは、通常のシリンダライナを用いた。なお、低摩擦シリンダライナと通常のシリンダライナの内壁面の粗さは同一とした。
オイルリング、シリンダ間の摩擦係数の測定には、周知の単体評価装置を用いた。本単体評価装置はクランク機構によって上下運動するピストン頂面にロッドを介して更にオイルリングが取り付けられており、このロッドは上側でも支持されているので、側力の影響無くオイルリングの摩擦係数を測定することができる。シリンダライナは単体評価装置のストロークに合わせる必要があるが、オイルリングは実機エンジンのものをそのまま使用することができる。温度、摺動速度の調整でストライベック指数を合わせることでエンジンの摺動環境を模擬した。
図5にこの単体評価装置によって得られた代表的な摩擦波形を示す。当該試験は、試験機回転数を変化させながら得た摩擦波形から、ピストン最速点での摩擦係数とその点でのストライベック指数とを算出し、ストライベック線図としてまとめ、解析に利用した。
図5に示すように、面圧を低く設定し、低摩擦シリンダライナと組み合わせた実施例1の場合、同じ低摩擦シリンダライナと組み合わせて面圧を高く設定した比較例1と比較すると、低回転域領域から高回転領域にわたって摩擦係数が低下していることが確認できた。また、面圧を低く設定し、通常のシリンダライナに組み合わせた比較例2及び比較例3と実施例2及び実施例3とをそれぞれ比較すると、通常のシリンダライナに組み合わせても摩擦低減効果が充分に発揮できないことが確認できた。
また、図6に示すように回転数が1000rpmといった低回転時の面圧とFMEP(機械的損失)比を確認すると、通常のシリンダライナを組み合わせたピストンリングの場合は、面圧を変化させても摩擦係数に大きな変化は表れないが、低摩擦シリンダライナを組み合わせたピストンリングの場合、面圧が2.5MPaを超えると、通常のシリンダライナよりも摩擦係数が大きくなり、摩擦低減効果が有効に発揮できないことが確認できた。また、低摩擦シリンダライナと組み合わせた場合には、面圧を0.8〜2.5MPaに設定することで、摩擦低減効果を有効に発揮させることが可能となることが確認できた。
なお、図6において面圧の下限を0.8MPaとしたのは、図7に示すように、通常の運転状況でオイル消費量を確認した結果、面圧が0.8MPaを下回ると急激にオイル消費量が悪化することが確認されたことから、面圧を0.8MPaと設定した。
また、図8に示すように、ピストンリングの外周摺動面の当り幅が0.08〜0.40mmの場合の面圧は、0.5〜2.5MPaであれば追従性係数0.10以上を確保することができ、当り幅が0.05mmの場合の面圧は、0.8〜2.5MPaであれば追従性係数0.10以上を確保することができることがわかる。また、当り幅0.02mm未満では、面圧が0.5〜2.5MPaとする必要があるが、上述した面圧の下限を下回るために設計ができなくなることに加え、当り幅が0.02〜0.04mmの場合も設計範囲が狭くなるため、当り幅の下限値を0.05mm、上限値を0.40mmと設定した。なお、図8における凡例における「当り幅:0.02mm×2」という記載は、オイルリングは図1(a)や(b)に示すように、上部レールと下部レールにそれぞれ当り幅を有しており、オイルリング全体の当り幅の設定では、当り幅は2倍となることから、「当り幅×2」とした。
なお、上述した本実施形態に係るピストンリングは、2ピースオイルリングに適用した場合について説明を行ったが、3ピースオイルリングやトップリングやセカンドリングに適用しても構わない。また、上述した本実施形態に係るピストンリングは、オイルリング本体に一層の表面処理層を形成した場合について説明を行ったが、表面処理層を設けなくても構わないし、表面処理層を複数層積層して形成しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 ピストンリング
2 オイルリング本体
3 レール
4 摺動部突起
5 柱部
6 コイルエキスパンダ
7 オイル戻し孔
8 凸部
10 表面処理層
11 母材
20 低摩擦シリンダライナ
21 内壁面
22 凹部
23 行程中央部領域

Claims (4)

  1. シリンダライナの内壁面に所定の凹部が形成された低摩擦シリンダライナに組み合わされるピストンリングであって、
    ピストンリングの面圧は、0.8〜2.5MPaであることを特徴とするピストンリング。
  2. 請求項1に記載のピストンリングにおいて、
    前記ピストンリングの追従性係数は、0.1以上であることを特徴とするピストンリング。
  3. 請求項1又は2に記載のピストンリングにおいて、
    前記ピストンリングの外周摺動面の当り幅は、0.05〜0.40mmであることを特徴とするピストンリング。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のピストンリングにおいて、
    前記ピストンリングは、コイルエキスパンダとオイルリング本体からなる2ピースオイルリングであることを特徴とするピストンリング。
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