JP2012052590A - 回転防止用2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造 - Google Patents

回転防止用2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造 Download PDF

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剛 牧田
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Abstract

【課題】オイルリングのシリンダ内壁面における余分なオイルを掻き落とす機能とシリンダ内壁面に適度な油膜を形成する機能とを十分に発揮し、当該オイルリングの薄幅化によっても製造コストを増大させず、ピストンのオイルリング溝内におけるオイルリングの周方向への回転を確実に防止可能な回転防止用2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造を提供する。
【解決手段】オイルリング本体における下側レールは、内周側の合口部を含むその近傍を切り欠いて形成した切り欠き領域を備え、当該コイルエキスパンダは、その一端側のみに曲げ加工を施して形成した係止部を備え、当該係止部の少なくとも一部分が、当該下側レールの切り欠き領域に配置され、且つ、その先端側をピストンに設けられるドレン孔又はスリット溝に挿入配置して当該オイルリング本体と当該ピストンとを係止する回転防止用2ピースオイルリングを採用する。
【選択図】図2

Description

本件発明は、内燃機関のエンジンの駆動時に、ピストンのオイルリング溝に装着したオイルリングがオイルリング溝に沿って回転することを防止するための2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造に関する。
近年の内燃機関用エンジン(ピストン型往復機関等)の性能の向上に伴い、自動車用エンジンに用いられるオイルリングにも、摩擦力の低下とエンジンオイル消費量の低減とを共に満足するものが求められている。そのため、オイルリングの形状等に種々の工夫が施されている。例えば、摩擦力を低下させるためにシリンダボア内に配置するオイルリングを低張力化し、オイル消費改善のためにオイルリングの薄幅化を図ったもの等が用いられている。また、一般的にオイルリングには、2ピース形オイルリングと3ピース形オイルリングと呼ばれる構成の異なるオイルリングが存在している。しかし、3ピース形オイルリングの構造は、2ピース形オイルリングの構造と比較して複雑であるため、シリンダ軸方向の幅を薄幅化するためのスペーサエキスパンダ等の製造が困難であり、上述の課題に対して、主に2ピース形オイルリング(以下、2ピースオイルリングと称する。)が採用されてきた。
この2ピースオイルリングにおけるオイルリング本体は、オイルリング本体の上側部分及び下側部分を構成する上側レール部及び下側レールと、これら各レールと連結するウェブとからなる。そして、当該オイルリング本体が備える上側レール及び下側レールは、ピストンが往復動作する際に、各々の外周摺動面がシリンダの内壁面に対して油膜を介した状態で摺動する。オイルリングは、シリンダ内壁面についている余分なエンジンオイルを掻き落とす機能と、シリンダ内壁面に適度な油膜を形成してピストンの焼付きを防止する機能とを有し、内燃機関用エンジン(ピストン型往復機関等)には必要不可欠なものである。
オイルリングには、用いられる内燃機関の要求特性に応じるべく様々な種類及び形態が存在し、使用環境や耐久性等を考慮した上で適当な物が選択される。オイルリングは、その形状や材質等についての選択がエンジンの燃費や寿命、また性能に影響を及ぼす重要な部品である。ここで、オイルリング本体とコイルエキスパンダとから成る2ピースオイルリングには、シリンダ内壁面への追従性とピストンへの組付性が要求されるため、構造上合口が切られている。この2ピースオイルリングの構造により、例えば、水平対向エンジン等のように、シリンダの組み付け位置が、地面に対しほぼ水平となる内燃機関に2ピースオイルリングを使用する場合や、V型構造のエンジンの片側を水平に近づけて用いる場合に、オイルリングの合口部がシリンダ内壁面の下部に位置する領域にあると、オイルが合口部を通過し燃焼室に達してエンジンの始動時に白煙を生ずる他、潤滑油消費量が増大する恐れがある。
上述の問題を回避すべく、例えば、特許文献1(実開昭57−31546号)には、水平対向型内燃機関用ピストンついて開示がされている。具体的には、特許文献1には、ピストン本体のオイルリング溝内にコイルエキスパンダ付カッターリング(所謂オイルリング)を装着するものにおいて、該カッターリングのリング本体の内側に環状に設置されるコイルエキスパンダの一端を外側に折曲げて外方突起を形成し、且つ上記外方突起を上記リング本体のオイル戻し窓に係止し、上記内方突起を上記ピストン本体側のオイル戻し孔またはスリット溝に係止して、上記カッターリングの回転を防止するように構成したことを特徴とする水平対向型内燃機関用ピストンが開示されている。
実開昭57−31546号公報
しかし、上述の特許文献1に開示のコイルエキスパンダ付カッターリングは、当該コイルエキスパンダの一端を外側に折り曲げて形成される外方突起を、当該カッターリングのリング本体のオイル戻し窓に挿入して係止する構造であるため、当該窓のリング軸方向幅をコイルエキスパンダの一端が挿入可能な幅に確保する必要がある。そのため、特許文献1に開示のカッターリングのオイルリング溝内における回転防止構造によれば、オイルリングに関し、張力低減に伴う摩擦力の低下とエンジンオイル消費量の低減とを共に図るべくリング軸方向を薄幅化することが困難となる。既に述べたように、オイルリングを薄幅化することで、シリンダ内壁への追従性の向上を図ることができ、オイルリング張力を低下させてもオイル消費を改善することができる。
更に、特許文献1に開示のコイルエキスパンダ付カッターリングの場合、コイルエキスパンダの合口両端部を共に曲げ加工する必要があることに加え、折り曲げ角度等も考慮する必要があり、ピストンへの組付性及び製造性に難が生じてしまう。従って、特許文献1のコイルエキスパンダ付カッターリングを採用した場合には、組付作業性の低下により製造コストの増大を招く恐れがある。
以上のことから、本件発明は、オイルリングのシリンダ内壁面における余分なオイルを掻き落とす機能とシリンダ内壁面に適度な油膜を形成する機能とを十分に発揮し、当該オイルリングの薄幅化によっても製造コストを増大させず、ピストンのオイルリング溝内におけるオイルリングの周方向への回転を確実に防止する回転防止用2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造を提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、2ピースオイルリングを構成するオイルリング本体及びコイルエキスパンダに必要最小限の加工を施すことで、上述した課題を解決するに到った。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング: 本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、内燃機関用エンジンに用いられ、ピストンのオイルリング溝に装着したオイルリングがオイルリング溝に沿って回転することを防止した2ピースオイルリングであって、当該2ピースオイルリングは、オイル戻し孔を備えるウェブの一端側に上側レール、他端側に下側レールを配する断面が略H型状で、且つ、合口部を備えるオイルリング本体と、当該オイルリング本体を当該シリンダ内壁面に対して押圧付勢するようにオイルリング本体の内周側に配するコイルエキスパンダとからなり、当該オイルリング本体における下側レールは、内周側の合口部を含むその近傍を切り欠いて形成した切り欠き領域を備え、当該コイルエキスパンダは、その一端側のみに曲げ加工を施して形成した係止部を備え、当該係止部の少なくとも一部分が、当該下側レールの切り欠き領域に配置され、且つ、その先端側をピストンに設けられるドレン孔又はスリット溝に挿入配置して当該オイルリング本体と当該ピストンとを係止したことを特徴とする。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、直線形状であることが好ましい。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、円弧形状であることも好ましい。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、L字形状であることも好ましい。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、角丸のL字形状であることも好ましい。
本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造: 本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造は、上述の回転防止用2ピースオイルリングであって、構成するコイルエキスパンダの一端側のみに曲げ加工を施して形成される係止部の少なくとも一部を、オイルリング本体における下側レールに形成される切り欠き領域に配置し、且つ、その先端部分をピストンに設けられたドレン孔又はスリット溝に挿入配置することで、当該オイルリング本体と当該ピストンとを係止して、エンジンの駆動時に、ピストンのオイルリング溝に装着したオイルリングのオイルリング溝に沿った回転を防止することを特徴とする。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、構成の一つであるオイルリング本体における下側レール内周側の合口部を含むその近傍を切り欠いて形成した切り欠き領域を備え、また、コイルエキスパンダの一端側のみに曲げ加工を施して形成した係止部を備えたものである。ここで、当該係止部は、少なくともその一部が当該下側レールの切り欠き領域に配置され、また、その先端部分がピストンに設けられた孔や溝に挿入配置することで、当該オイルリング本体と当該ピストンとを確実に係止することができる。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造は、本件発明の2ピースオイルリングを用いることでオイルリングの更なる薄幅化が実現可能となり、コイルエキスパンダの断面形状が略矩形状のものや円形状で直径が大きいものにも対応することができる。
オイルリング本体と、当該オイルリング本体の内周に配置されるコイルエキスパンダとから構成される2ピースオイルリングの斜視図である。 本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの実施形態を例示した斜視図である。 図2に示した回転防止用2ピースオイルリングのピストンへ取り付けた状態を説明するためにシリンダ軸方向で切断した要部断面図である。 図3に示した回転防止用2ピースオイルリングにおいて異なる形態のオイルリング本体を用いた場合を示した図である。 本件発明の実施形態に係る2ピースオイルリングを、ドレン孔を備えたピストンに装着した状態をシリンダ径方向外方からみた要部正面図である。 本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの別の実施形態を例示した、当該オイルリングをピストンへ取り付けた状態をシリンダ軸方向で切断した要部断面図である。 図6に示したピストンに設けられるスリット溝において異なる形態を例示した図である。 本件発明の別の実施形態に係る2ピースオイルリングを、スリット溝を備えたピストンに装着した状態をシリンダ径方向外方からみた要部正面図である。 本件発明のオイルリング本体に備わる切り欠き領域の形状のバリエーションについて例示した図である。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング及びそれを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造のそれぞれの好ましい実施の形態について、以下に図を用いて示しながら本件発明を説明する。
図1は、本件発明のオイルリング本体と、当該オイルリング本体の内周に配置されるコイルエキスパンダとから構成される2ピースオイルリングの斜視図である。図1に示すような構造の2ピースオイルリングは、軽量でオイルコントロール作用が良好である特徴を備えるがゆえに、高回転、高出力、省燃費が要求されるピストンエンジンに好適に用いられるものである。
図1に示すように、2ピースオイルリング1は、オイルリング本体2と、コイルエキスパンダ3とから構成されている。また、当該オイルリング本体2は、その断面が略H型状のリングであり、合口部2aを備えている。そして、このオイルリング本体2は、上側レール5と、下側レール6と、これらレールを連結してオイルリング本体2の中間部分に位置するウェブ4とが一体化して構成されている。また、当該上側レール5及び下側レール6は、円周方向に略円形に形成されている。この上側レール5及び下側レール6の各々の外周摺動面は、シリンダの内周壁と油膜を介して接触し、ピストン軸方向に摺動する。また、ウェブ4は、図1に示すように略円形(円周方向に沿った形状)であって、半径方向に貫通形成されたオイル戻し孔7を備え、且つ、そのオイル戻し孔7が周方向に複数配置されている。そして、図1に示すコイルエキスパンダ3は、スプリングのように螺旋状の形態のコイルを用いて、これを円弧状としたものである。
本件発明の実施の形態は、シリンダの組み付け位置が、運転中地面に対してほぼ水平となる横置き型、例えば水平対向エンジンに2ピースオイルリングを用いた場合を想定したものである。一般的に、オイルリングは、その外周摺動面をシリンダ内壁面に押圧付勢させる力を利用して燃焼室内の機密性と、オイル掻き性能とを向上させる働きをする。しかし、水平対向エンジンのように、シリンダの組み付け位置が運転中ほぼ水平となる内燃機関においては、シリンダ内のオイルが下方領域となる内壁面に溜まりやすい。このとき、仮に2ピースオイルリングの合口部がオイルの溜まった下方領域に位置すると、当該合口部からオイルが漏れ、オイル掻き機能等を十分に発揮することができない。そのため、水平対向エンジンのようにシリンダの組み付け位置が運転中ほぼ水平となる内燃機関の構造においては、オイルリングの合口部が下方とならない位置に予め位置調整を行うと共に、オイルリングの回転を防止するための手段が施される。
以上に述べた、例えば水平対向エンジンのような、シリンダの組み付け位置が運転中ほぼ水平となる横置き型の内燃機関に適用できるよう、ピストンのオイルリング溝内における周方向への回転を防止する構造を備えた、本件発明の2ピースオイルリングについて以下に詳細に説明していく。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング: 本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、構成品の一つであるコイルエキスパンダ3をピストンに対する係止手段として用いるものである。具体的には、当該2ピースオイルリングを構成する、オイルリング本体における下側レール6は、その内周側の合口部2aを含むその近傍を切り欠いて形成した切り欠き領域を備え、また、当該コイルエキスパンダ3は、その一端側のみに曲げ加工を施して形成した係止部を備えたものである。そして、当該係止部は、少なくとも一部分が当該下側レールの切り欠き領域に配置され、且つ、その先端側をピストンに設けられるドレン孔又はスリット溝に挿入配置して、当該オイルリング本体2と当該ピストンとを係止したものである。このように、2ピースオイルリング1を構成するコイルエキスパンダ3に係止手段を設け、オイルリング溝内に配置した2ピースオイルリングの周方向への回転を確実に防止することが、本件発明の基本的技術思想である。本件発明の2ピースオイルリングは、ピストンに設ける既存の孔や溝を利用してオイルリング本体2をピストンに対して係止するものであるため、製造コストの増大を抑制することができる。
なお、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、コイルエキスパンダの一端側のみに曲げ加工を施すものであるが、通常コイルエキスパンダに適用される材質(例えば、ばね鋼)を用いる限り、ばね弾性特性に大きな変化が生じることがなく、オイル消費量等に影響を及ぼすこともない。ちなみに、ここで言うばね鋼とは、炭素系、シリコン−マンガン系、マンガン−クロム系、クロム−バナジウム系等の鋼であって、例えば熱間でコイルばねに成形し、熱処理を行うことでばね性が付与された鋼をいう。
以上に述べたように、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、オイルリング本体がオイルリング溝内において周方向へ回転するのを確実に防止すべく、下側レール6を必要最小限切り欠いて形成した切り欠き領域6aを備えるものである。この切り欠き領域6aの存在により、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、コイルエキスパンダの一端側のみに必要最小限の曲げ加工を施して形成される係止部が、オイルリング本体と係止した状態において、オイルリングのピストンの往復動作に追従した動きを阻害することがない。以下に、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの実施形態について図を用いて説明していく。
図2は、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの実施形態を例示した斜視図である。図2において、(A)はオイルリング本体にコイルエキスパンダを装着する前の状態を示しており、(B)はオイルリング本体にコイルエキスパンダを装着した後の状態を示している。
図2の(A)に示すように、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1は、オイルリング本体2における下側レール6の内周側の合口部2aを含めたその近傍を一部分切り欠いて形成される切り欠き領域6a(図中点線で示す領域)を備え、また、コイルエキスパンダ3の一端側のみに曲げ加工を施して形成される係止部3aを備えるものである。また、図2の(B)に示すように、コイルエキスパンダ3の当該係止部3aは、当該切り欠き領域6aの存在により、当該コイルエキスパンダ3に施す曲げ加工を必要最小限に留めることができ、当該切り欠き領域6aの形成により形成される切り欠き面6bがストッパーとなることで、オイルリング本体2のオイルリング溝内における周方向へ回転するのを確実に防止することができる。
なお、当該切り欠き領域6aをオイルリング本体2における下側レール6の合口部2aを含めその近傍に形成することとしたのは、通常行われる合口端部のバリ除去工程において同時に形成可能であり、別途新たに加工工程を追加する必要が生じないからである。ここで、当該係止部3aの先端部分は、図示していないが、ピストンに設けられたドレン孔又はスリット溝に挿入配置されることでコイルエキスパンダ3がピストンと係止される。また、当該切り欠き領域6aが形成されることで、例えオイルリング本体2が周方向に回転しようとしても、当該係止部3aの少なくとも一部分が当該切り欠き領域6aに位置することで切り欠き面6bに接触し、当該コイルエキスパンダ3のそれ以上の回転が防止される。以上のことから、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1によれば、当該オイルリング本体2と当該ピストンとを確実に係止することができるようになる。
ちなみに、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1のオイルリング本体2における下側レール6に切り欠き領域6aを形成しないとすれば、当該コイルエキスパンダ3に施す曲げ加工が複雑化して製造コストの増大を招く他、オイルリング本体2のオイルリング溝内における周方向への回転を防止することに関して確実性を得ることができない。
図3は、図2に示した回転防止用2ピースオイルリングのピストンへ取り付けた状態を説明するためにシリンダ軸方向で切断した要部断面図である。図3に示すように、コイルエキスパンダ3は、オイルリング本体2の内周側に安定して配置されている。この状態で、オイルリング本体2は、ピストン20の往復動作(図中における矢印方向)に追従して摺動する。このとき、コイルエキスパンダ3がオイルリング本体2をシリンダの内周壁11に押し付けることで上側及び下側レール5,6の外周摺動面8,9は、シリンダの内周壁の余分なオイルを掻き落とすことが可能となる。また、2ピースオイルリング1の掻き落としたオイルは、オイル戻し孔7からオイルリングの背面側に設けられたドレン孔22に逃がれることで、オイル消費量の低減化を図ることができる。
図3には、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1のオイルリング本体2の形態として、下側レール6の内周側に切り欠き領域6aを形成し、コイルエキスパンダ3の係止部3aの先端をドレン孔22内に配置可能に曲げ加工が施されているのが示されている。このように、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1は、下側レール6の内周側に切り欠き領域6aを形成することで、図3に示すように、コイルエキスパンダ3の先端側に施す曲げ加工を必要最小限にすることができると共に、当該切り欠き領域6aの形成により形成される切り欠き面がストッパーとなり、当該コイルエキスパンダ3とオイルリング本体2とを、例えピストンへの負荷が増大した過酷な使用条件下においても確実に係止できるようになる。以上、図3に示した本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1の実施形態は、ピストン20のオイルリング溝21の底面に形成されているオイル逃がし用として存在するドレン孔22を、コイルエキスパンダ3とピストン20とを係止する手段として使用したものである。
図4は、図3に示した回転防止用2ピースオイルリングにおいて異なる形態のオイルリング本体を用いた場合を示した図である。図4に示すように、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、オイルリング本体2の下側レール6のみならず上側レール5に対しても切り欠き領域5aを形成することができる。当該切り欠き領域5aをオイルリング本体2における下側レール6の合口部2aを含めその近傍に形成することは、通常行われる合口端部のバリ除去工程において同時に形成可能であり、加工工程数の増加を招くものではない。また、本件発明のオイルリング本体2は、上側レール及び下側レール5,6にそれぞれ切り欠き領域5a,6aを形成することで、切り欠き領域6aのみ形成するよりも加工作業が容易になるため好ましい。なお、切り欠き領域が、オイルリングの上側レール5及び下側レール6に形成されたとしても、オイルリングの強度等に影響が及ぶことがなく、むしろコイルエキスパンダ3をオイルリング本体2へセットする際に上下判別を行う必要がなくなり作業効率が向上するメリットの方が大きい。以上のことから、図4に示した形態のオイルリング本体2を用いることで、図3に示すオイルリング本体2を用いた場合に比して、更に製造コストの増大を抑制することができる。
図5は、本件発明の実施形態に係る2ピースオイルリングを、ドレン孔を備えたピストンに装着した状態をシリンダ径方向外方からみた要部正面図である。図5には、ピストン20に形成されるドレン孔22内にコイルエキスパンダ3の一端側先端部分が挿入配置された状態が示されている。ここで、当該コイルエキスパンダ3は、その一端側に曲げ加工が施され、図2〜図4に示した形状の係止部3aの先端側がドレン孔に沿って(ピストン中心軸方向に向かって)延出して形成されることで、コイルエキスパンダ3をピストン20に対して係止させることができるようになる。また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、図5より、コイルエキスパンダ3の一端がオイルリング本体2の合口部2aを含むその近傍に形成された切り欠き領域6aを通ってドレン孔22に挿入配置されている。
本件発明に係る2ピースオイルリングは、オイルリング本体2の合口部2aを含むその近傍に切り欠き領域6aを形成することで、当該合口部2aのバリ除去作業において、同時に切り欠き領域6aの形成が可能となることは既に述べた通りである。参考までに、オイルリング本体2のバリ除去作業は、各コーナー毎のR指定が微少であるため、例えばバレル研磨等を用いることができず、一般的にヤスリや砥石等が用いられている。仮に、オイルリング本体2の合口部等にバリが残っていると、オイルリングをピストンに組み付ける際にピストンを傷つける恐れがある。また、オイルリング本体2の合口部2a等にバリが残っていると、ピストンのオイルリング溝とオイルリング本体2が面での接触が出来ず、機密性が低下してオイルコントロール性の低下を招くこととなる。以上のことから、通常は、オイルリング本体2の合口隙間の調整作業において同時に、当該合口部2aを含むその近傍のバリ除去作業が行われることが多い。
ちなみに、コイルエキスパンダ3をオイルリング本体2の合口部2aを通してドレン孔22に挿入配置させようとすると、通常はコイルエキスパンダ3の直径(コイルエキスパンダの断面が矩形状の場合は最大幅)よりも合口部2aの隙間が狭いため、オイルリング本体2が拡径する他、接触干渉する双方部材の摩耗損傷が顕著になる。この場合、シリンダ内壁面についている余分なエンジンオイルを掻き落とす機能と、シリンダ内壁面に適度な油膜を形成してピストンの焼付きを防止する機能との双方の機能が共に損なわれてしまう。なお、コイルエキスパンダ3の直径(又は最大幅)を小さくすると、オイルリング本体2のシリンダ内壁面に対する押圧力が十分でなくなり、シリンダ内壁面についている余分なエンジンオイルを十分に掻き落とすことができなくなる。また、オイルリング本体2の合口部2aの隙間を大きくすると、オイル上がりやブローバイの量が増加してしまう。
図6は、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの別の実施形態を例示した、当該オイルリングをピストンへ取り付けた状態をシリンダ軸方向で切断した要部断面図である。図2〜図4に示すオイルリング1がコイルエキスパンダ3の一端側をピストン20に既存のドレン孔22に挿入配置可能な形態であるのに対し、図6に示すオイルリング1は、コイルエキスパンダ3の一端側をピストン20に設けられるスリット溝23に挿入配置する形態を示したものである。すなわち、図6に示した本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリング1の別の実施形態は、ピストン20のオイルリング溝21の下面に存在するスリット溝23を、コイルエキスパンダ3とピストン20とを係止する手段として使用したものである。
ここで、スリット溝とは、オイル消費の低減化を図るべく設けられるものであり、オイルリング溝とピストンにおけるヘッド下のサイドウォール側領域とを連通したものである。また、スリット溝は、一般的に鋳抜きによりピストンの形成と同時に形成されるものであるため、機械加工によって形成する場合に比して加工工数を大幅に削減することが可能となり大きなコストメリットがある。なお、スリット溝は、用いられるピストンによってその配設数や配設箇所が異なるが、シリンダ内壁面の上部領域に位置するスリット溝を選択して用いることで、オイルリングの合口部が当該シリンダ内壁面の下部領域に位置することを防ぐことができる。ちなみに、スリット溝は、オイルリング溝の下面において、ピストン軸を中心としてピストンピン軸に対する角度が約30°〜60°の位置で、且つ当該ピストンピン軸を挟んで線対称の位置に少なくとも一対(2箇所)設けられていることが、オイル消費の低減化を図る上で好ましい。より好ましくは、当該一対(2箇所)のスリット溝に対し、ピストン軸に対し点対称の位置に更に一対(2箇所)のスリット溝が設けられていることが好ましい。
図7は、図6に示したピストンに設けられるスリット溝において異なる形態を例示した図である。図6においては、スリット溝23がオイルリング溝21の底面よりもピストン20の内周側に至る深さまで形成されているのが示されている。これに対し、図7においては、スリット溝23がオイルリング溝21の底面よりもピストン20の外周側までの深さ(オイルリング溝21よりも浅い深さ)で形成されているのが示されている。図6及び図7に例示したように、スリット溝23は、用いられるピストンによってその形状に関しても異なるものである。しかし、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングによれば、コイルエキスパンダ3に対しスリット溝23の形状に合わせた曲げ加工を施すことで様々な形状のスリット溝に適用可能である。
なお、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングの別の実施形態においても、コイルエキスパンダ3の一端側に施す曲げ加工を必要最小限にすることができると共に、オイルリング本体2において切り欠き領域6aの形成により形成される切り欠き面がストッパーとなり、例えピストンへの負荷が増大した過酷な使用条件下においても、当該コイルエキスパンダ3とオイルリング本体2とを確実に係止できるようになる。
図8は、本件発明の別の実施形態に係る2ピースオイルリングを、スリット溝を備えたピストンに装着した状態をシリンダ径方向外方からみた要部正面図である。図8には、ピストン20に設けられたスリット溝23内にコイルエキスパンダ3の一端側先端部分が挿入配置された状態が示されている。図8に示すように、当該コイルエキスパンダ3は、その一端側に曲げ加工が施され、図6及び図7に示した係止部3aの先端側がピストン軸方向に向かって延出して形成されることで、コイルエキスパンダ3をピストン20に対して係止させることができるようになる。また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、図8より、コイルエキスパンダ3の一端がオイルリング本体2の合口部2aを含むその近傍に形成された切り欠き領域6aを通ってスリット溝23内に挿入配置されているのが見て取れる。
本件発明に係る2ピースオイルリングは、別の実施形態においても、先に説明した実施形態と同様に、オイルリング本体2の合口部2aを含めたその近傍に切り欠き領域6aを形成するものである。そのため、本件発明に係る2ピースオイルリングの別の実施形態においても、オイルリング本体2の切り欠き領域6aは、通常行われるオイルリング本体2の合口端部のバリ除去を主な目的とした面取り工程において同時に形成することができるため、別途新たに加工工程を追加する必要が生じない。従って、本件発明の2ピースオイルリングは、その製造に際し特別な機械の導入が不要で、また製造工程数を増加させることもないため、製造コストの増大を抑制可能である。
なお、当該係止部3aは、ドレン孔22又はスリット溝23に挿入配置させることが可能であって、オイルリング1がピストン20の往復運動(図3、図4、図6、図7の矢印方向)に対する追従性を損なわない形状であれば良く、これら図に示す形状に限定されるものではない。また、図2〜図8に示す、コイルエキスパンダの係止部3aは、その形成に際して、例えばペンチ等の汎用工具を用いることで簡単に形成することができる。なお、コイルエキスパンダ3の合口端部は、一端側のみに曲げ加工を施す必要最小限の加工であるため、隣合う素線間を極力閉じた状態にすることができる。
図9は、本件発明のオイルリング本体に備わる切り欠き領域の形状のバリエーションについて例示した図である。図9において、(A)は、本件発明のオイルリング本体の軸方向断面を示している。そして、図9において、(B)〜(E)は、(A)に示すA−A’線で切断した図であり、下側レール6に形成した切り欠き領域の形状のバリエーションを示している。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、オイルリング本体に備わる切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅のウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、直線形状であることが好ましい。
図9の(B)には、オイルリング本体に形成される切り欠き領域が、オイルリング径方向断面で見て、ウェブの内周壁よりオイルリング内周側に向けてテーパ状に開口した略三角形状の領域であるのが示されている。ここで、当該切り欠き領域は、オイルリング本体を回転する砥石で研削加工する研削盤等を用いることができる。例えば、円盤状砥石を高速回転させながら当該切り欠き領域形成位置に押し当てることで形成することができ、予め砥石面の断面形状を略三角形状にすることで簡単に形成することができる。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、オイルリング本体に備わる切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅のウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、円弧形状であることも好ましい。
図9の(C)には、オイルリング本体に形成される切り欠き領域が、オイルリング径方向断面で見て、ウェブの内周壁よりオイルリング内周側に向けて次第に拡径して開口した略半円形状の領域であるのが示されている。ここで、当該切り欠き領域も、例えば円盤状砥石を高速回転させながら押し当てることで形成することができ、予め砥石面の断面形状を略半円形状にすることで簡単に形成することができる。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、オイルリング本体に備わる切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅のウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、L字形状であることも好ましい。
図9の(D)には、オイルリング本体に形成される切り欠き領域が、オイルリング径方向断面で見て、略矩形状の領域であるのが示されている。ここで、当該切り欠き領域も、例えば円盤状砥石を高速回転させながら押し当てることで形成することができ、予め砥石面の断面形状を略矩形状にすることで簡単に形成することができる。
また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングにおいて、オイルリング本体に備わる切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅のウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、角丸のL字形状であることも好ましい。
図9の(E)には、オイルリング本体に形成される切り欠き領域が、オイルリング径方向断面で見て、略半長円形状の領域であるのが示されている。ここで、当該切り欠き領域は、例えば円盤状砥石を高速回転させながら押し当てることで形成することができ、予め砥石面の断面形状を略半長円形状にすることで簡単に形成することができる。
以上より、当該切り欠き領域は、砥石を高速回転させながら押し当てることで形成することができ、予め砥石面の断面形状を当該切り欠き領域のリング径方向断面と同じ形状にすることで簡単に形成することができる。なお、本件発明のオイルリング本体に形成する切り欠き領域の形状は、図9の(B)〜(E)で示した形状に限定されるものでなく、コイルエキスパンダとオイルリング本体とに摩耗損傷が起こらず、ばね弾性特性に影響が及ばない形状であれば良い。また、図9の(B)〜(E)には、オイルリング本体の合口部2aを挟んで略線対称となる切り欠き領域6aのリング径方向断面形状が示されている。しかし、本件発明のオイルリング本体に形成される切り欠き領域6aは、そのリング径方向断面形状が当該合口部2aを挟んで必ずしも略線対称に形成されていなくても良い。
本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造: 本件発明に係る2ピースオイルリング1の回転防止構造は、回転防止用2ピースオイルリング1を構成するコイルエキスパンダ3の一端側のみに曲げ加工を施して形成される係止部3aの少なくとも一部分を、オイルリング本体2における下側レール6に形成される切り欠き領域6aに配置し、且つ、その先端部分をピストンに設けられたドレン孔又はスリット溝に挿入配置することで、当該オイルリング本体2と当該ピストン20とを係止して、エンジンの駆動時に、ピストン20のオイルリング溝21に装着したオイルリング1のオイルリング溝21に沿った回転を防止することを特徴とする。
本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造は、以上に説明してきた回転防止用2ピースオイルリング1がオイルリング本体2を構成する、少なくとも下側レール6に切り欠き領域6aを形成し、コイルエキスパンダの一端に曲げ加工を施したものである。そして、係止部3aの少なくとも一部分を、オイルリング本体2における下側レール6に形成される切り欠き領域6aに配置し、且つ、その先端部分をピストン20に設けたドレン孔22内に挿入配置することで、オイルリング1とピストン20とを係止して、エンジン駆動時に、ピストンのオイルリング溝21に装着したオイルリング1がオイルリング溝21に沿って回転することを長期間安定して防止する構造である。よって、本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造によれば、ピストン20に既存の孔や溝をそのまま利用することができる。
なお、本件発明に係る2ピースオイルリングの回転防止構造において、オイルリング1とピストン20とを長期間安定して係止するにあたり、オイルリング本体2とピストン20との硬度差が極力小さくなるように材質を選定して組み合わせることが好ましい。また、オイルリング1の外周摺動面の耐摩耗性を向上させるべく、例えばオイルリング本体2の外表面に硬質層として窒化処理(イオン窒化処理、又はガス窒化処理)層や、CrNやCrNや、Cr、CrN、CrN等の混合物からなるPVD(Physical Vapor Deposition)処理層を備えることも好ましい。
以上より、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、ピストンのオイルリング溝内におけるオイルリングの回転を確実に防止すると共に、オイル掻き機能及び油膜形成機能を十分に発揮することができる。また、オイルリング本体に切り欠き領域を設けて、当該切り欠き領域にコイルエキスパンダの一端側の少なくとも一部分を配置してピストンに対して係止させることで、オイルリングの薄幅化にも対応可能であると共に、上述の効果及び機能を長期間安定して得ることができる。また、本件発明に係る2ピースオイルリングを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造は、その構造を形成するにあたって特別な設備が不要で組付作業性にも優れるため製造コストの増大を抑制することができる。
本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、オイルリングの合口部がシリンダ内壁面の下部のオイルの溜まりやすい領域に位置することを長期間確実に防ぐことが可能であるため、例えば、水平対向エンジン等のように、シリンダの組み付け位置が運転中ほぼ水平となる内燃機関の中でも、特に高回転、高出力エンジンに好適に使用することができる。また、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングは、ピストンへの組付性や製造性に優れる簡単な構成でありながら、オイルリングの軸方向幅の薄幅化にも対応可能で、オイル消費量の増大を抑制する効果も実現させることができる。この結果、本件発明に係る回転防止用2ピースオイルリングを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造を用いることで、高品質で低価格の内燃機関を市場に提供することができることとなる。
1 2ピースオイルリング
2 オイルリング本体
2a 合口部
3 コイルエキスパンダ
3a 係止部
4 ウェブ
5 上側レール
6 下側レール
6a 切り欠き領域(下側レール側)
6b 切り欠き面
7 オイル戻し孔

Claims (6)

  1. 内燃機関用エンジンに用いられ、ピストンのオイルリング溝に装着したオイルリングがオイルリング溝に沿って回転することを防止した2ピースオイルリングであって、
    当該2ピースオイルリングは、オイル戻し孔を備えるウェブの一端側に上側レール、他端側に下側レールを配する断面が略H型状で、且つ、合口部を備えるオイルリング本体と、当該オイルリング本体を当該シリンダ内壁面に対して押圧付勢するようにオイルリング本体の内周側に配するコイルエキスパンダとからなり、
    当該オイルリング本体における下側レールは、内周側の合口部を含むその近傍を切り欠いて形成した切り欠き領域を備え、
    当該コイルエキスパンダは、その一端側のみに曲げ加工を施して形成した係止部を備え、
    当該係止部の少なくとも一部分が、当該下側レールの切り欠き領域に配置され、且つ、その先端側をピストンに設けられるドレン孔又はスリット溝に挿入配置して当該オイルリング本体と当該ピストンとを係止したことを特徴とする回転防止用2ピースオイルリング。
  2. 前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、直線形状である請求項1に記載の回転防止用2ピースオイルリング。
  3. 前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を当該オイルリング内周側に向けて次第に拡径するように切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、円弧形状である請求項1に記載の回転防止用2ピースオイルリング。
  4. 前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、L字形状である請求項1に記載の回転防止用2ピースオイルリング。
  5. 前記切り欠き領域は、オイルリングの合口部隅の前記ウェブの内周壁よりオイルリング内周側を段差状に切り欠いて得られる領域であり、当該切り欠いた面がオイルリング下方から見て、角丸のL字形状である請求項1に記載の回転防止用2ピースオイルリング。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の回転防止用2ピースオイルリングを構成するコイルエキスパンダの一端側のみに曲げ加工を施して形成される係止部の少なくとも一部を、オイルリング本体における下側レールに形成される切り欠き領域に配置し、且つ、その先端部分をピストンに設けられたドレン孔又はスリット溝に挿入配置することで、当該オイルリング本体と当該ピストンとを係止して、エンジンの駆動時に、ピストンのオイルリング溝に装着したオイルリングのオイルリング溝に沿った回転を防止することを特徴とする回転防止用2ピースオイルリングを用いた2ピースオイルリングの回転防止構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103397950A (zh) * 2013-08-12 2013-11-20 重庆江润活塞环有限责任公司 安装间隙配对节能环保活塞环的活塞
WO2019065830A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング

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