JP2005036693A - 冷媒圧縮機の製造方法 - Google Patents

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敏昭 山中
Toshio Sanpei
敏夫 三瓶
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Abstract

【課題】冷媒圧縮機において、摺動部材の信頼性を確保しつつ、コスト低減及び廃棄物の低減を図ること。
【解決手段】冷媒圧縮機は、平板部7a及び平板部7aから垂直方向に突出する薄肉突出部7cからなる摺動部材7を備える圧縮機部4と、圧縮機部4を駆動する電動機部3とを備える。この冷媒圧縮機の製造方法は、鋳鉄原材料を半溶融状態スラリーとなるまで加熱しこの半溶融状態スラリーを型内で加圧後に空冷して焼準処理を施すチクソキャスト法により摺動素材を成形し、この摺動素材の摺動面相当部を超精密仕上げ加工することにより摺動部材7を成形する方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒圧縮機の製造方法に係り、特に、圧縮室を形成する旋回スクロールを有するスクロール形圧縮機や圧縮室を形成する主ベアリングを有するロータリ形圧縮機等の冷媒圧縮機の製造方法に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷媒圧縮機の製造方法としては、例えば特開平11−50802号公報(特許文献1)の従来の技術の欄に示されているように、端板上に直立した渦巻状のラップを有する一対の固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせ、旋回スクロールを旋回運動させることにより作動流体を移動させるスクロール式流体機械において、このスクロール式圧縮機の主要部材である固定及び旋回スクロールを砂型鋳造による鋳鉄で成形する方法が一般に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−50802号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の固定及び旋回スクロールを砂型鋳造による鋳鉄で成形する方法では、端板上に直立した渦巻状のラップの離型のために大きな抜き勾配部分を設ける必要があると共に、砂型鋳物における冷却速度との関係で表面にチル層が生じ易かった。このため、成形した固定及び旋回スクロール素材の勾配部分及びチル層を成形後に切削して所定の形状に械加工しなければならなかった。これによって、素材費、切削加工費及び工具消耗品代等の面でコスト高を招くと共に、研削廃材及び加工廃液等の廃棄物の増大を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、摺動部材の信頼性を確保しつつ、コスト低減及び廃棄物の低減を図ることができる冷媒圧縮機の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、平板部及び前記平板部から垂直方向に突出する薄肉突出部からなる摺動部材を備える圧縮機部と、前記圧縮機部を駆動する電動機部とを備える冷媒圧縮機の製造方法において、鋳鉄原材料を半溶融状態スラリーとなるまで加熱しこの半溶融状態スラリーを型内で加圧後に空冷して焼準処理を施すチクソキャスト法により摺動素材を成形し、前記摺動素材の摺動面相当部を超精密仕上げ加工することにより前記摺動部材を成形するようにしたことにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例について図を用いて説明する。各実施例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0008】
本発明の第1実施例の冷媒圧縮機の製造方法を図1から図9を用いて説明する。本実施例冷媒圧縮機が冷凍装置のスクロール圧縮機の例であり、HCFC系冷媒,HFC系冷媒,自然系冷媒すなわち炭化水素,CO,アンモニア等を単独、または混合して用いた冷媒を使用している。
【0009】
まず、本実施例のスクロール圧縮機の全体構成に関して図1を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例で製作されたスクロール圧縮機の縦断面図である。
【0010】
スクロール圧縮機は、図1に示すように、密閉容器1、クランクシャフト2、電動機部3、圧縮機部4、副軸受9を備えて構成されている。電動機部3はロータ3a及びステータ3bを備えて構成されている。圧縮機部4はフレーム5、クランク部6、旋回スクロール7、固定スクロール8を備えて構成されている。電動機部3は、圧縮機部4とクランクシャフト2を介して連結されており、圧縮機部4を駆動する。
【0011】
クランクシャフト2は、ロータ3aに固定されると共に、フレーム5、旋回スクロール7、及び副軸受9により軸受支持されている。クランクシャフト2のクランク部6は、旋回スクロール7の一側に形成されたボス部7c内に摺動可能に挿入され、旋回スクロール7に偏心回転を与える。
【0012】
旋回スクロール7は、薄肉の平板部を構成する端板部7a、この端板部7aから垂直方向に突出する薄肉の筒状部を構成するラップ部7b、端板部7aから反ラップ側に垂直方向に突出する薄肉の筒状部を構成するボス部7cを備えて構成されている。旋回スクロール7は、後述するようにチクソキャスト法により鋳鉄原材料から成形した旋回スクロール素材15(図2参照)の摺動面相当部を仕上げ加工することにより製造される。
【0013】
固定スクロール8は、端板部8a、この端板部8aから垂直方向に突出するラップ部8bを備えて構成されている。そして、旋回スクロール7と固定スクロール8とはそれぞれのラップ7b、8bが摺動可能に噛み合わされ、それらの内部に複数の圧縮室が形成される。
【0014】
次に、図2及び図3を参照しながら本実施例の旋回スクロール7の製造方法を比較例1の旋回スクロールの製造方法と比較して具体的に説明する。図2は図1の旋回スクロールに用いられる鋳鉄の旋回スクロール素材を示す図で、(a)は左側面図、(b)は中央縦断面図、(c)は右側面図である。図3は砂型鋳造による比較例1の旋回スクロール素材を示す図、(a)は左側面図、(b)は中央縦断面図、(c)は右側面図である。
【0015】
本実施例の旋回スクロール素材15は、鋳鉄材料からチクソキャスト法によって製造された超精密形状の鋳鉄素材である。この鋳鉄素材は、その化学成分が、C:2.0〜4.0%,Si:1.5〜4.0%,Mn:0.4〜1.0%を基本成分とし、さらにP:≦1.0%,S:≦0.5%,Cu:0.5〜1.0%,Cr:≦1.0%,Mo:≦0.5%,Ti:≦0.15%,Ni:≦0.5%,Sb:≦0.15%,B:≦0.15%,Sn:≦0.05%,Mg:≦0.1%を一種もしくは二種以上を添加することで特定されるものが用いられる。
【0016】
チクソキャスト法による超精密形状の旋回スクロール素材15は、素材を構成する原材料を半溶融状態となるまで加熱し、この半溶融スラリーを型内に加圧によって送り込み、その後に空冷することで焼準処理が行なわれ、成形される。なお、本実施例では1193Kで2時間加熱後に空冷することにより焼準処理を行なっている。
【0017】
旋回スクロール素材15は、端板部15a、ラップ部15b及びボス部15cを備え、端板部15aの反ラップ側に放射溝15d、バランス穴15e、オルダムリング溝15fが形成されており、全体として複雑な形状をしている。
【0018】
半溶融スラリーは流動性に富むため、チクソキャスト法による旋回スクロール素材15の製造では、ボス部15cの穴やバランス穴15e等の穴・放射溝15dやオルダムリング溝等の溝・ラップ部15aやボス部15c等の薄肉の筒状部といったような複雑形状の素材の製造が可能である。
【0019】
また、加熱は原材料が半溶融状態となる温度まででよいため、冷却時の凝固収縮が砂型鋳造の場合と比較して少なく、素材に抜き勾配をほとんど考慮する必要がない。よって、ラップ部15a及びボス部15cのような筒状部を有していても、寸法精度が高く製品の実形状に近い素材の製造が可能である。
【0020】
また、旋回スクロール素材15は、組織が高密度で微細となり高硬度(HRB100〜120)となり、素材表面には鋳物特有の鋳造欠陥や凹凸を殆どなくすことができ、粗加工することなく殆どの部分をそのまま製品としての使用が可能である。
【0021】
従って、係る旋回スクロール素材15によれば、組織が均一であるということ、穴や溝付といったように複雑形状を有する素材の製造が可能であること、及び製品形状に極めて近い形状・寸法に成形できること等の特徴がある。
【0022】
これに対し、比較例1の旋回スクロール素材151は、鋳鉄材料から砂型鋳造法により製造したものであり、複雑形状を有する部品の製造は不可能で、図3に示すように、端板部151a及びボス部151cには溝や穴の部分を有しない形状とならざるを得なかった。また、旋回スクロール素材151を製造する際の溶鉄温度は、本実施例の旋回スクロール素材15に比較して格段に高温であり、凝固時の収縮が大きいため、離型の際の抜き勾配を素材のラップ部151bに大きく設ける必要がある。よって、旋回スクロールとして用いるためには、溝や穴の部分や抜き勾配部分を機械加工する必要があり、大幅な材料ロスとなっている。
【0023】
本実施例の旋回スクロール素材15は、上述したように表面には鋳造欠陥や凹凸がないため、粗加工は必要なく、端板部15a及びラップ部15bの固定スクロール8との摺動相当部といった超高精度が要求される部分の仕上げ加工のみが行なわれる。このようにして、旋回スクロール7が製造される。この旋回スクロール7は、切削重量/素材重量を10%以下とすることが可能であり、比較例1の旋回スクロールの切削重量/素材重量が50%を越えるものに対して大幅な材料歩留まり向上となる。
【0024】
旋回スクロール7は、焼準処理された旋回スクロール素材15の摺動面相当部を超精密仕上げ加工することにより成形される。
【0025】
次に、図4から図9を参照しながら本実施例の旋回スクロール素材15の特徴を比較例1〜4と対比して説明する。
【0026】
図4は図2の本実施例の旋回スクロール素材15の組織を示す図である。図4において、旋回スクロール素材15の組織は、黒色部分の黒鉛23と、灰色部分のパーライト24(基地組織)とからなっている。ここで、黒鉛形状は塊状黒鉛(ASTMでBタイプ)が集まって球状を示しており、黒鉛サイズがASTMで6以下である。
【0027】
図5は砂型鋳造による鋳鉄で成形した比較例1の旋回スクロール素材151の組織を示す図である。図5において、旋回スクロール素材151の組織は、黒色部分の黒鉛231と、灰色部分のパーライト241とからなっている。ここで、黒鉛形状は片状黒鉛(Aタイプ)である。
【0028】
図4と図5とを比較して明らかなように、本実施例の旋回スクロール素材15の組織は比較例1の旋回スクロール素材151の組織より微細であり、その硬度はHRB103であり、比較例1の旋回スクロール素材151のHRB95と比較して高硬度である。これによって、本実施例によれば耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0029】
本実施例の旋回スクロール素材15及び比較例1の旋回スクロール素材151について、高圧雰囲気で摩擦摩耗試験を行った結果を図6に示す。図6から明らかなように、本実施例の旋回スクロール素材15(図6のA)は、比較例1の旋回スクロール素材151(図6のB)と比較して耐摩擦摩耗性に優れている。従って、本実施例の旋回スクロール素材15は、摺動材料として、比較例1の旋回スクロール素材151より優れている。
【0030】
図7は焼準処理を行なわないチクソキャスト法で成形した比較例2の旋回スクロール素材152の組織を示す図である。比較例2の旋回スクロール素材15の組織は、黒色部分の黒鉛23と、灰色部分のパーライト24と、白色部分のセメンタイト(チル)25とからなっている。比較例2の旋回スクロール素材152は、図7から明らかなように白色部分のセメンタイト(チル)25が存在するので、加工性が悪くなるのに加え、素材の割れが入り易く非常に脆くなり、摺動材として不適当である。これに対し、本実施例の旋回スクロール素材15は、焼準処理を行なっているので、図4から明らかなようにセメンタイト(チル)が殆ど消失されている。これによって、本実施例の旋回スクロール素材15は、加工性が良好で、素材の割れが入り難く、摺動材として適切なものとなっている。
【0031】
図8は焼結材で成形した比較例3の旋回スクロール素材153の組織を示す図である。比較例3の旋回スクロール素材153では、組織が微細であるという特徴を有しているが、黒鉛233やパーライト243といった組織の他に空孔273を生じる。組織中に空孔27が存在すると、圧縮機運転中に外部からの異物が空孔273に入り込み、素材の性能に大きな影響を及ぼす。これに対し、本実施例の旋回スクロール素材15は、図4から明らかなように組織内に空孔27が殆ど無いため素材性能が安定している。
【0032】
図9は鍛造材で成形した比較例4の旋回スクロール素材154の組織を示す図である。比較例4の旋回スクロール素材153では、組織が鍛造方向に引き延ばされた形状を有している。一般に鍛造材の場合、鍛造方向の力には強いが垂直方向には弱いという特徴がある。圧縮機用摺動材として用いる場合、力は摺動材に対してあらゆる方向から加わるため、信頼性の点で課題を生ずる。これに対し、本実施例の旋回スクロール素材15は、図4から明らかなように組織が均一形状であるため、鍛造材と比較して信頼性に優れた摺動材である。
【0033】
次に、本発明の第2実施例について図10から図12を用いて説明する。この第2実施例は冷媒圧縮機が冷凍装置のロータリ圧縮機の例である。
【0034】
図10を用いてロータリ圧縮機の全体構成について説明する。ロータリ圧縮機は、密閉容器1、クランクシャフト2、電動機部3、圧縮機部4を備えて構成されている。圧縮機部4はシリンダ10、主ベアリングを構成する上ベアリング11、副ベアリングを構成する下ベアリング12、ローラ13、ベーン14を備えて構成されている。クランクシャフト2は、上ベアリング11と下ベアリング12により軸受支持されている。クランク部6は摺動してローラ13に偏心回転を与える。ローラ13の外周面とに摺接されたベーン14が摺動自在に設けられている。
【0035】
上ベアリング11は、薄肉の平板部を構成する端板部11a、この端板部11aから垂直方向に突出する薄肉の筒状部を構成する軸受筒部11bを備えて構成されている。上ベアリング11は、第1実施例の旋回スクロール素材15と同様に、チクソキャスト法により鋳鉄原材料から成形した上ベアリング11(図11参照)の摺動面相当部を仕上げ加工することにより製造される。
【0036】
次に、図11及び図12を参照しながら第2実施例の上ベアリング11の製造方法を比較例5の上ベアリングの製造方法と比較して具体的に説明する。図11は図10の上ベアリングに用いられる鋳鉄の上ベアリング素材を示す図で、(a)は左側面図、(b)は中央縦断面図である。図12は砂型鋳造による比較例5の上ベアリング素材を示す図、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【0037】
本実施例によれば、摺動部材の信頼性を確保しつつ、コスト低減及び廃棄物の低減を図ることができるスクロール圧縮機の製造方法を提供することができる。
【0038】
第2実施例の上ベアリング素材20は、鋳鉄材料からチクソキャスト法によって製造された超精密形状の鋳鉄素材である。この鋳鉄素材は、第1実施例と同様に、その化学成分が、C:2.0〜4.0%,Si:1.5〜4.0%,Mn:0.4〜1.0%を基本成分とし、さらにP:≦1.0%,S:≦0.5%,Cu:0.5〜1.0%,Cr:≦1.0%,Mo:≦0.5%,Ti:≦0.15%,Ni:≦0.5%,Sb:≦0.15%,B:≦0.15%,Sn:≦0.05%,Mg:≦0.1%を一種もしくは二種以上を添加することで特定されるものが用いられる。
【0039】
チクソキャスト法による超精密形状の上ベアリング素材20は、第1実施例と同様に、素材を構成する原材料を半溶融状態となるまで加熱し、この半溶融スラリーを型内に加圧によって送り込み、その後に空冷することで焼準処理が行なわれ、成形される。
【0040】
上ベアリング素材20は、薄肉の平板部を構成する端板部20a、この端板部20aから垂直方向に突出する薄肉の筒状部を構成する軸受筒部20bを備え、端板部15aの反圧縮室側にネジ穴21やバルブシート22が形成されており、全体として複雑な形状をしている。
【0041】
半溶融スラリーは流動性に富むため、チクソキャスト法による上ベアリング素材20の製造では、上述した複雑形状の素材の製造が可能である。
【0042】
また、加熱は原材料が半溶融状態となる温度まででよいため、冷却時の凝固収縮が砂型鋳造の場合と比較して少なく、素材に抜き勾配をほとんど考慮する必要がない。よって、軸受筒部20bのような筒状部を有していても、寸法精度が高く製品の実形状に近い素材の製造が可能である。
【0043】
また、上ベアリング素材20は、組織が高密度で微細となり高硬度(HRB100〜120)となり、素材表面には鋳物特有の鋳造欠陥や凹凸を殆どなくすことができ、粗加工することなく殆どの部分をそのまま製品としての使用が可能である。
【0044】
従って、係る上ベアリング素材20によれば、組織が均一であるということ、穴や溝付といったように複雑形状を有する素材の製造が可能であること、及び製品形状に極めて近い形状・寸法に成形できること等の特徴がある。
【0045】
これに対し、比較例5の上ベアリング素材201は、鋳鉄材料から砂型鋳造法により製造したものであり、図12に示すように、複雑形状を有する部品の製造は不可能で、端板部201aにはバルブシートや穴の部分を有しない形状とならざるを得なかった。また、上ベアリング素材201を製造する際の溶鉄温度は、第2実施例の上ベアリング素材20に比較して格段に高温であり、凝固時の収縮が大きいため、離型の際の抜き勾配を素材の軸受筒部201bに大きく設ける必要がある。よって、主ベアリング11として用いるためには、バルブシートや穴の部分や抜き勾配部分を機械加工する必要があり、大幅な材料ロスとなっている。
【0046】
第2実施例によれば、摺動部材の信頼性を確保しつつ、コスト低減及び廃棄物の低減を図ることができるロータリ圧縮機の製造方法を提供することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上の各実施例の説明から明らかなように、本発明によれば、摺動部材の信頼性を確保しつつ、コスト低減及び廃棄物の低減を図ることができる冷媒圧縮機の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で製作されたスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図2】図1の旋回スクロールに用いられる鋳鉄の旋回スクロール素材を示す図である。
【図3】砂型鋳造による比較例1の旋回スクロール素材を示す図である。
【図4】図2の旋回スクロール素材の組織を示す図である。
【図5】図3の旋回スクロール素材の組織を示す図である。
【図6】図2及び図3の旋回スクロール素材の摩耗量の比較図である。
【図7】焼準処理を行なわないチクソキャスト法で成形した比較例2の旋回スクロール素材の組織を示す図である。
【図8】焼結材で成形した比較例3の旋回スクロール素材の組織を示す図である。
【図9】鍛造材で成形した比較例4の旋回スクロール素材154の組織を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例で製作されたロータリ圧縮機の縦断面図である。
【図11】図10の上ベアリングに用いられる鋳鉄の上ベアリング素材を示す図である。
【図12】砂型鋳造による比較例5の上ベアリング素材を示す図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、2…クランクシャフト、3…電動機部、4…圧縮機部、5…フレーム、6…クランク部、7…旋回スクロール、8…固定スクロール、9…副軸受、10…シリンダ、11…上ベアリング、12…下ベアリング、13…ローラ、14…ベーン、15…旋回スクロール素材、16…放射溝、17…バランス穴、18…オルダムリング溝、19…ラップ、20…上ベアリング素材、21…ネジ穴、22…バルブシート取付穴、23…黒鉛、24…パーライト、25…セメンタイト、26…焼結材、27…空孔、28…鍛造材。

Claims (5)

  1. 平板部及び前記平板部から垂直方向に突出する薄肉突出部からなる摺動部材を備える圧縮機部と、前記圧縮機部を駆動する電動機部とを備える冷媒圧縮機の製造方法において、
    鋳鉄原材料を半溶融状態スラリーとなるまで加熱しこの半溶融状態スラリーを型内で加圧後に空冷して焼準処理を施すチクソキャスト法により摺動素材を成形し、前記摺動素材の摺動面相当部を超精密仕上げ加工することにより前記摺動部材を成形する
    ことを特徴とする冷媒圧縮機の製造方法。
  2. 前記摺動素材は、その化学成分が、C:2.0〜4.0%,Si:1.5〜4.0%,Mn:0.4〜1.0%を基本成分とし、さらにP:≦1.0%,S:≦0.5%,Cu:0.5〜1.0%,Cr:≦1.0%,Mo:≦0.5%,Ti:≦0.15%,Ni:≦0.5%,Sb:≦0.15%,B:≦0.15%,Sn:≦0.05%,Mg:≦0.1%を一種もしくは二種以上を添加したものであることを特徴とする請求項1に記載の冷媒圧縮機の製造方法。
  3. 前記摺動素材はその硬度がHRB100〜120であることを特徴とする請求項2に記載の冷媒圧縮機の製造方法。
  4. 前記摺動部材は、スクロール圧縮機における旋回スクロールやロータリ圧縮機における上ベアリング等の圧縮室を構成する部材であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の冷媒圧縮機の製造方法。
  5. 前記摺動部材は前記摺動素材から切削重量/素材重量が10%以下の切削比率で加工されることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の冷媒圧縮機の製造方法。
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