JP2005036027A - エラストマー成型品用コート剤 - Google Patents

エラストマー成型品用コート剤 Download PDF

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acid
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Hiroshi Tachika
弘 田近
Kazuhisa Inoue
和壽 井上
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Abstract

【課題】エラストマー成型品に使用する柔軟性、耐傷付き性、耐汚染性に優れたコート剤を提供する。
【解決手段】ガラス転移点温度が−30℃以上、40℃以下で全酸成分を100モル%とした場合、芳香族ジカルボン酸が40モル%以上共重合されており、還元粘度が0.2dl/g以上であるポリエステル樹脂(A)と、これと反応し得る硬化剤(B)、無機フィラー(C)を含むエラストマー成型品用コート剤であり、好ましくはポリエステル樹脂(A)が、全グリコール成分を100モル%とした場合、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、脂環族グリコールおよび主鎖の炭素数5〜10の脂肪族グリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のグリコールを20モル%以上共重合されているエラストマー成型品用コート剤に関する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軟質なエラストマー成型品に使用する柔軟性に優れたコート剤であり、さらに詳しくは耐傷付き性、耐汚染性に優れた、最上層に好適なコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種家電のリモコンスイッチなどのスイッチ類、電話機、ゲーム機などの各種キートップなどにエラストマー成型品が使用されているが、表示の印刷インキを保護したり、耐傷付き性、耐汚染性などを付与する目的でクリアーコート剤が使用されている。エラストマー成型品は軟質でありコート剤には高度の柔軟性が要求されるため、ポリブタジエンなどのゴム系樹脂、ポリエーテルウレタン、脂肪族成分主体のポリエステルなどに硬化剤を配合したものが使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−3754号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのコート剤は柔軟性に優れているものの、耐傷付き性、耐摩耗性、耐汚染性に劣る問題がある。特に近年では携帯電話やゲーム機などで意匠性が重要視されており、従来技術の性能では要求を満たさなくなってきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、発明の目的を達成すべく鋭意検討した結果、バインダー樹脂として芳香族ジカルボン酸を共重合した低ガラス転移点温度のポリエステル系樹脂とこれと反応し得る硬化剤を用い、さらに無機フィラーを配合することにより、柔軟性が良好で、かつ耐傷付き性、耐摩耗性、耐汚染性などの特性を大幅に向上でき、さらには耐候性にも優れた塗膜が得られることを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は以下のエラストマー成型品用コート剤である。
【0007】
(1)ガラス転移点温度が−30℃以上、40℃以下で全酸成分を100モル%とした場合、芳香族ジカルボン酸が40モル%以上共重合されており、還元粘度が0.2dl/g以上であるポリエステル樹脂(A)と、これと反応し得る硬化剤(B)、無機フィラー(C)を含むエラストマー成型品用コート剤。
【0008】
(2)ポリエステル樹脂(A)が、全グリコール成分を100モル%とした場合、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、脂環族グリコールおよび主鎖の炭素数5〜10の脂肪族グリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のグリコールを20モル%以上共重合されている(1)に記載のエラストマー成型品用コート剤。
【0009】
(3)硬化剤(B)が、アミノ樹脂またはイソシアネート化合物である(1)または(2)に記載のエラストマー成型品用コート剤。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移点温度が−30℃以上、40℃以下で、全酸成分を100モル%とした場合、芳香族ジカルボン酸が40モル%以上共重合されており、還元粘度が0.2dl/g以上であることが望ましい。この条件を満たすことにより、可とう性が良好で、耐ブロッキング性、耐久性、耐摩耗性、耐汚染性などの各特性が良好となる。
【0011】
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点温度の好ましい範囲は、下限は−20℃以上が好ましく、より好ましくは−10℃以上である。上限は、30℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下である。ガラス転移点温度−30℃未満では、耐ブロッキング性、耐汚染性が不良となる恐れがある。40℃を超えると柔軟性が低下し、使用できなくなることがある。
【0012】
ポリエスエル樹脂(A)の全酸成分中の芳香族ジカルボン酸の含有量は40モル%以上共重合されていることが望ましく、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上である。上限は特に定めるものではないが、芳香族ジカルボン酸の含有量が大きいほど、耐汚染性、耐摩耗性、耐候性などの特性が良好であり、100モル%が最も好ましい。芳香族ジカルボン酸が40モル%未満では、耐汚染性、耐久性が悪化する場合がある。なお、ポリエステル樹脂の組成と組成比は重クロロホルム溶媒中でH−NMR分析を行なってその積分比より決定することが出来る。
【0013】
ポリエステル樹脂(A)の還元粘度は、耐ブロッキング性、可とう性の面より好ましくは0.3dl/g以上である。上限は特に定めるものでは塗装作業性や塗装時の固形分濃度の面より、1.0dl/g以下が好ましく、より好ましくは0.8dl/g以下である。
【0014】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、公知の方法により常圧または減圧下で重縮合して得られたものを使用できる。該ポリエステル樹脂は、耐汚染性、耐候性などの面より、飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0015】
該ポリエステル樹脂に共重合する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。この内、塗膜物性と溶剤への溶解性より、テレフタル酸とイソフタル酸を併用することが最も好ましい。
【0016】
その他のジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、炭素数12〜28の2塩基酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールA、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールS、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸、水素添加ナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0017】
この内、柔軟性の面より、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸を50モル%以下で使用することが好ましい。さらに、耐薬品性、耐候性の面より、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの主鎖の炭素数9以上の脂肪族ジカルボン酸を用いることがより好ましい。
【0018】
また、耐汚染性、硬化性を向上する目的で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価のカルボン酸を共重合して分岐することが好ましい。発明の内容を損なわない範囲で、フマール酸などの不飽和ジカルボン酸、さらに、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩などのスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸を併用してもよい。
【0019】
さらに、アミノ樹脂で硬化する場合は、硬化を促進する目的で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコール、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などの酸無水物を重合後に常圧下で後付加して分子鎖にカルボキシル基(酸価)を付与することが好ましい。
【0020】
ポリエステル樹脂(A)に用いられるアルキレングリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオールなどが挙げられる。
【0021】
このうち、耐汚染性、耐久性、耐候性の面より、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、炭素数5〜10の長鎖脂肪族ジオール、脂環族グリコールおよび主鎖の炭素数5〜10の脂肪族グリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のグリコールが好ましく、全グリコール成分中20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上である。上限は特に定めるものではなく100モル%でも良い。特にネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび炭素数5〜10の長鎖脂肪族ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のグリコールを用いることが好ましい。
【0022】
また、耐汚染性、硬化性の面より、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリンなどの多価ポリオールを併用して、分岐構造にすることが好ましい。
【0023】
また、ポリエステル樹脂を重合後、180〜230℃でε−カプロラクトンなどの環状エステルを後付加(開環付加)してブロック化したりしてもよい。
【0024】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は種々の変性をしてもよい。変性ポリエステル樹脂としては、エポキシ変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0025】
エポキシ変性する場合は、樹脂との反応性を向上する目的で、ベースとなるポリエステル樹脂に無水トリメリット酸、無水フタル酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物を後付加して酸価を付与する。この内、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)が特に好ましい。酸価を付与したポリエステル樹脂を溶液中でトリフェニルホスフィンなどの触媒の存在下でエポキシと反応させる等の方法で変性できる。
【0026】
ポリエステル樹脂をウレタン変性する場合は、ポリエステルポリオールと必要に応じて鎖延長剤をイソシアネート化合物と反応させて合成したものを使用できる。鎖延長剤としては例えば分子量500未満のポリオールを用いることが出来、その例としてはネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、HPN(ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル)、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの公知のポリオールが挙げられる。さらにジメチロールプロピオン酸のようなカルボキシル基含有ポリオールなども鎖延長剤として使用できる。
【0027】
ウレタン変性に使用するジイソシアネート化合物は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
ウレタン変性ポリエステル樹脂のウレタン基濃度は密着性、耐屈曲性の面から500〜4000当量/10gが好ましい。還元粘度は耐屈曲性およびペースト粘性から0.2〜0.8dl/gが好ましい。
【0029】
本発明のエラストマー成形品用コート剤は、ポリエステル樹脂(A)と反応し得る硬化剤(B)を配合する必要がある。硬化剤なしでは、耐ブロッキング性、耐汚染性などの基本物性が得られない可能性がある。硬化剤としては、フェノールレゾール系樹脂、アルキルエーテル化アミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、酸無水物などが挙げられる。この内、硬化性、塗膜外観(着色)の面より、アルキルエーテル化アミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物が好ましく、耐汚染性の面からメトキシメチロールメラミンとブトキシメチロールメラミンを混合して使用することが特に好ましい。
【0030】
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の触媒あるいは促進剤を併用することもできる。
【0031】
硬化剤(B)の好ましい配合量は、重量比で硬化剤(B)/全バインダー樹脂(硬化剤を含む)比が0.05以上が好ましく、より好ましくは0.1以上である。上限は、0.4以下が好ましく、より好ましくは0.35以下である。0.05未満では硬化性が不足し、耐ブロッキング性や耐汚染性が低下する傾向にある。0.4を超えると可とう性が低下する傾向にある。
【0032】
本発明のエラストマー成型品用コート剤には、その他の樹脂を併用してもよい。その他の樹脂としては、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエンなどのゴム系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂などが挙げられる。
【0033】
本発明のエラストマー成型品用コート剤には、無機フィラー(C)を配合することが必要である。無機フィラーを適切に配合することにより、柔軟性を損なうことなく耐ブロッキング性、塗膜表面のすべり性を付与できる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、炭酸バリウムなどが挙げられる。この内、透明性、耐ブロッキング性の面よりシリカ微粉末、タルクが特に好ましい。また、着色や意匠性付与を目的として、酸化チタン、カーボンブラック、アルミフレーク、マイカ、各種着色顔料、有機樹脂ビーズなどを配合しても良い。
【0034】
無機フィラー(C)の好ましい配合比は、無機フィラー(C)/全固形成分 比が重量比で0.05以上が好ましく、上限は0.2以下が好ましい。0.05未満では耐ブロッキング性やすべり性が低下する傾向にあり、0.2を超えると粘度が上昇したり、可とう性、耐汚染性が低下する可能性がある。
【0035】
本発明のエラストマー成型品用コート剤に使用される溶剤はその種類に制限はなく、芳香族炭化水素系、エステル系、ケトン系、エーテルエステル系、塩素系、アルコール系、エーテル系、炭化水素系などが挙げられる。このうち、溶解性の面よりキシレンなどの芳香族炭化水素とエステル系、ケトン系溶剤の組み合わせが好ましい。
【0036】
本発明のエラストマー成型品用コート剤をスクリーン印刷をする場合は、作業性の面より沸点140℃以上の高沸点溶剤が好ましい。高沸点溶剤としては、エチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0037】
本発明のコート剤が好適なエラストマー成型品としては、その材質や形状には限定はなく、ゴム弾性のある成型品、シート、フィルムなどに適用できる。例えば、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、SBRゴム、天然ゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。これらの基材にはコート剤の密着性を改善するためのプライマーやアンカー剤を塗布しても良い。
【0038】
本発明のエラストマー成型品用コート剤は、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー塗装、刷毛塗り、ロールコート、コンマコート、グラビアコートなど公知の方法で塗布できる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるものは重量部を示す。また、各測定項目は以下の方法に従った。
【0040】
1.還元粘度
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶液25ccに溶かし、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。
【0041】
2.分子量
GPCによりポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
【0042】
3.ガラス転移点温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。サンプルは試料5mgをアルミニウム押え蓋型容器に入れ、クリンプした。ガラス転移温度は、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
【0043】
4.酸価
試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレイン溶液を用いた。単位は、当量/tで表した(t=1000kg)。
【0044】
5.テストピースの作成
厚み1mmのプライマー処理を施したシリコーンゴムシートに、コート剤をバーコーターで乾燥膜厚が30±5μmになるように塗布し、150℃で30分硬化したものをテストピースとした。シリコーンゴムはショアーA硬度が50度のものを使用した。
【0045】
6.密着性
5.で作成したテストピースをJIS K−5400に記載の方法で碁盤目テープ剥離により評価した。100/100が良好である。
【0046】
7.柔軟性
5.で作成したテストピースを塗装面を外側にしてR=0で強く折り曲げ、これを5回繰り返した後の塗膜の割れ具合で判定した。判定基準を以下に示す。
○:割れなし △:少し割れ発生 ×:著しく割れ発生
【0047】
8.耐マジック汚染性
5.で作成したテストピースにマジックインキの赤、青、黒の各色を塗布し、25℃で24時間放置後、エタノールで拭き取って、着色の程度で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:着色なし ○:わずかに着色あり △:着色あり ×:ひどく着色あり
【0048】
9.耐食品汚染性
5.で作成したテストピースにマスタード(洋がらし)とケチャップを混合したペーストを塗布し、40℃で24時間放置後、水洗し、着色の程度で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:着色なし ○:わずかに着色あり △:着色あり ×:ひどく着色あり
【0049】
10.耐候性
5.で作成したテストピースを、耐候性促進試験QUVを用いて240時間照射後の光沢の保持率で評価した。QUV照射条件UV60℃×4時間、結露50℃×4時間の8時間を1サイクルとし、30サイクル実施した。光沢は60度反射率を測定した。
【0050】
11.耐傷付き性
5.で作成したテストピースを、ラビングテスターに1000番の耐水ペーパーをとりつけ、加重500gで50往復こすった後の塗膜厚の減少量(μm)で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:5μm以下 ○:10μm以下 △:20μm以下 ×素地まではくり
【0051】
12.耐ブロッキング性
5.で作成したテストピースを、塗布面同士を重ね、50g/cmの荷重をかけて、40℃、相対湿度95%で24時間放置後に剥離して、そのはがれ具合で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:抵抗なく剥離し良好 ○:かすかに抵抗があるが容易に剥離でき良好
△:剥離に抵抗があり、剥離後に跡が残る ×:著しくブロッキングする
【0052】
合成例1(ポリエステル樹脂a)
グビリュー精留塔を具備した四口フラスコにテレフタル酸ジメチル58部、イソフタル酸ジメチル58部、エチレングリコール93部、ネオペンチルグリコール73部、テトラブチルチタネート0.068部を仕込み、180℃、3時間エスエル交換を行なった。ついで、アジピン酸58部を仕込み、エステル化反応を行った。次に、1mmHg以下まで徐々に減圧し、240℃、約2時間重合した。得られた共重合ポリエステルaの組成は、テレフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=30/30/40//55/45(モル比)で、数平均分子量15,000、還元粘度0.42dl/g、酸価35当量/t、Tg=6℃であった。結果を表1に示す。
【0053】
合成例2(ポリエステル樹脂b)
グビリュー精留塔を具備した四口フラスコにテレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル37部、無水トリメリット酸1.9部、エチレングリコール93部、ネオペンチルグリコール73部、テトラブチルチタネート0.068部を仕込み、180℃、3時間エスエル交換を行なった。ついで、セバシン酸61部を仕込み、エステル化反応を行った。次に、1mmHg以下まで徐々に減圧し、240℃、約2時間重合した。ついで、常圧、窒素中で200℃まで冷却し、無水トリメリット酸を1.9部仕込み、30分反応し後付加してカルボキシル基(酸価)を付与した。得られた共重合ポリエステルbの組成は、テレフタル酸/イソフタル酸/セバシン酸/トリメリット酸/トリメリット酸(後付加)//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/19/30/1/1(後付加)//55/45(モル比)で、数平均分子量8,000、還元粘度0.32dl/g、酸価90等量/t、Tg=5℃であった。結果を表1に示す。
【0054】
合成例3〜5
合成例1、2と同様にポリエステル樹脂c〜eを合成した。結果を表1に示す。
【0055】
比較合成例1〜4
合成例1と同様に比較ポリエステル樹脂f〜iを合成した。結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2005036027
【0057】
【表2】
Figure 2005036027
【0058】
実施例1
ポリエステル樹脂aをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解し、レーザー光散乱法による平均粒子径が3.9μm、比表面積が300m/g、吸油量が310ml/100g、沈降容積が90ml/5gのシリカ微粉末を固形分濃度が40%、固形分中のシリカ配合量が20%になるように配合し、プレミックスした後、3本ロールで2パス分散して、シリカのマスターバッチを作成した。
このマスターバッチ46.9部に、別途作成したポリエステル樹脂aのメチルエチルケトン/キシレン=40/60(重量比)の固形分25%溶液25部と希釈溶剤としてメチルエチルケトン/キシレン比が40/60(重量比)の混合溶剤が28部、硬化触媒としてのp−トルエンスルホン酸0.08部、レベリング剤としてのポリフロー(共栄社化学(株)製)0.5部を配合し、充分撹拌してコート剤(主剤)を得た。得られたコート剤の粘度はフォードカップNo.4、25℃で測定したところ20秒であった。このコート剤(固形分濃度25%)100部にメトキシメチロールメラミンを7.1固形部配合し、評価したところ、密着性、柔軟性は良好で、耐汚染性、耐ブロッキング性も従来技術のコート剤より優れたものであった。結果を表3に示す。
【0059】
実施例2〜5
実施例1と同様に実施例2〜5を評価した。実施例2では分岐および酸価を付与したポリエステルbを使用したが、非常に優れた耐汚染性が得られている。実施例3では硬化剤としてメトキシメチロールメラミンとブトキシメチロールメラミンを併用した例であるが、柔軟性を損なうことなく、さらに優れた耐汚染性が得られている。実施例4、5では、脂肪族ジカルボン酸のないポリエステル樹脂d、eを用いた例であるが、柔軟性、耐汚染性に加え、優れた耐候性が得られている。結果を表3に示す。
【0060】
比較例1〜5
実施例と同様にして、比較例1〜5を評価した。比較例1は脂肪族ジカルボン酸が65モル%の例であるが、耐汚染性が不良であるとともに耐ブロッキング性が不良である。比較例2はガラス転移点温度が52℃と高い例であるが、柔軟性が不良でありエラストマー成型品用には使用できない。比較例3は還元粘度が0.2dl/g未満の例であるが、塗膜の強靱性が不足しており、耐汚染性、耐ブロッキング性、柔軟性ともの不良である。比較例4はガラス転移点温度が−30℃未満の例であるが、比較例1と同様、耐汚染性が不良であるとともに耐ブロッキング性が不良である。比較例5は無機フィラーのない例であるが、耐ブロッキング性著しく不良で、すべり性も悪い。
【0061】
【表3】
Figure 2005036027
【0062】
【表4】
Figure 2005036027
【0063】
【発明の効果】
本発明のエラストマー成型品用コート剤は、バインダー樹脂としてガラス転移点温度が−30℃以上、30℃以下で全酸成分を100モル%とした場合、芳香族ジカルボン酸が40モル%以上、還元粘度が0.2dl/g以上であるポリエステル樹脂(A)とこれと反応し得る硬化剤(B)、無機フィラー(C)を含むことを特徴とし、良好な柔軟性と各種耐汚染性、耐摩耗性、耐候性などに優れた塗膜が得られる。本発明のコート剤は、スイッチ、キートップなどのエラストマー成型品に好適である。

Claims (3)

  1. ガラス転移点温度が−30℃以上、40℃以下で全酸成分を100モル%とした場合、芳香族ジカルボン酸が40モル%以上共重合されており、還元粘度が0.2dl/g以上であるポリエステル樹脂(A)と、これと反応し得る硬化剤(B)、無機フィラー(C)を含むエラストマー成型品用コート剤。
  2. ポリエステル樹脂(A)が、全グリコール成分を100モル%とした場合、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、脂環族グリコールおよび主鎖の炭素数5〜10の脂肪族グリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のグリコールを20モル%以上共重合されている請求項1に記載のエラストマー成型品用コート剤。
  3. 硬化剤(B)が、アミノ樹脂またはイソシアネート化合物である請求項1または2に記載のエラストマー成型品用コート剤。
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JP4927831B2 (ja) * 2005-06-02 2012-05-09 クロペイ プラスチック プロダクツ カンパニー、インコーポレイテッド ロールブロッキング防止のための塗装層を有する表面処理エラストマーフィルムの形成方法

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