JP2005035016A - 液体移送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電体に電圧を付与するための一方の電極の構成を簡単にし、効率よく液体に圧力を付与することができる液体移送装置を提供すること。
【解決手段】拘束板23は、圧電体22の変形を拘束すると共に、圧電体22に電圧を印加するための一方の電極としての役割を兼ねている。よって、個別電極26と拘束板23間に電圧を印加すると、圧電体22に生成した分極方向と平行な電界が発生し、圧電体22が分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって圧電体22と拘束板23とが圧力室16の容積を拡大する方向に湾曲する。電圧の印可を停止すると、圧電体22と拘束板23は復帰して圧力室16内のインクに圧力を付与しノズル54から吐出させる。
【選択図】 図4
【解決手段】拘束板23は、圧電体22の変形を拘束すると共に、圧電体22に電圧を印加するための一方の電極としての役割を兼ねている。よって、個別電極26と拘束板23間に電圧を印加すると、圧電体22に生成した分極方向と平行な電界が発生し、圧電体22が分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって圧電体22と拘束板23とが圧力室16の容積を拡大する方向に湾曲する。電圧の印可を停止すると、圧電体22と拘束板23は復帰して圧力室16内のインクに圧力を付与しノズル54から吐出させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体移送装置に関し、特に、圧電体と拘束板との積層体を、液体の容積を拡大する方向に湾曲させる液体移送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電体を変形させ、圧電体に対応して設けられた液室内の液体に圧力を付与し、液室から外部に液体を移送する液体移送装置が知られている。この液体移送装置としては、例えば、特開平11−34341号公報(特許文献1)に記載されているインクジェットヘッドがある。このインクジェットヘッドは、インク吐出口と連通しキャビティープレート上において溝状に形成されるインク室と、そのインク室を塞ぐようにキャビティープレート上に積層される圧電素子とによって構成されている。また、この圧電素子はインク室側から順にシート状の弾性体と、圧電体層とを積層して構成され、この圧電体層に電圧を印加すべく圧電体層を挟むように圧電体層の弾性体側の面には共通電極が形成され、その反対面(圧電体層の上面)に各インク室に対応する個別電極が形成されている。
【0003】
このように構成されるインクジェットヘッドによれば、駆動部から個別電極に正の電圧が、共通電極に負の電圧が印加されると、圧電体層は面方向に収縮し、弾性体がこれを拘束しようとするため、圧電体層と弾性体とがインク室内に向けて突出するように変形する。この変形によりインク室内のインクが加圧され、インク室内のインクは、所謂押し打ち方式によってインク吐出口から吐出される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−34341号公報(第35〜第38段落、図2(b)等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したインクジェットヘッドの圧電素子には、圧電体層の変形を拘束するための弾性体とは別に、圧電体層間に電圧を印加するための一方の電極としての共通電極を、弾性体と圧電体層との間に形成する必要があった。
【0006】
また、上述したようにインクを押し打ち方式で吐出させる場合には、液体に対して所定の圧力を付与するのに高い電圧を印加する必要があり、その高い電圧に適合した装置とするためにコストがアップするという問題点があった。
【0007】
本発明は、この問題を解消すべくなされたものであって、圧電体に電圧を付与するための電極の構成を簡単にすると共に、液体に効率良く圧力を付与することができる液体移送装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の液体移送装置は、複数の液室にわたって配置され、厚み方向に分極されたシート状の圧電体と、該圧電体の前記液室とは反対側の面に前記複数の液室にわたって配置され、該圧電体の一方の電極を兼ねる拘束板と、前記圧電体の前記液室側の面に、該圧電体を挟んで前記拘束板と対向して配置された電極とを備え、前記電極と拘束板間に生成した分極方向と平行な電界により、前記圧電体が前記分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって前記拘束板を前記液室の容積を拡大する方向に湾曲させる。
【0009】
この請求項1記載の液体移送装置によれば、シート状の圧電体の液室とは反対側の面に複数の液室にわたって配置される拘束板と、圧電体の液室側の面に圧電体を挟んで拘束板と対向して配置された電極との間に電圧を印加すると、予め、厚み方向に分極されている圧電体の分極方向と平行な電界が発生する。圧電体はこの電界によって分極方向と直交する方向に収縮し、拘束板はこの収縮を拘束しようとする。よって、圧電体と拘束板とは、液室とは反対側に向かって湾曲し、液室の容積が拡大し、液室内の圧力は低下する。この状態で印加した電圧を停止すると、圧電体と拘束板とが元の状態に復帰して、液室内の圧力は増加する。従って、液室内の液体は外部に移送される。このように、圧電体を変形させるためには、圧電体間に電圧を印加するための一方の電極と、圧電体の収縮を拘束する拘束板とが必要であるものの、拘束板は一方の電極としての役割をも兼ねているので、一方の電極を形成する製造工程が省略でき、装置の製造コストを削減することができる。
【0010】
請求項2に記載の液体移送装置は、請求項1に記載の液体移送装置において、前記液室は、シート状フレーム部材に穿設された開口によって形成され、前記圧電体はその開口を覆って配置されている。
【0011】
請求項3に記載の液体移送装置は、請求項1又は2に記載の液体移送装置において、前記圧電体の前記液室側の面の電極は、前記各液室の平面視略中央部に、それぞれ配置されている。
【0012】
請求項4に記載の液体移送装置は、請求項1から3のいずれかに記載の液体移送装置において、前記圧電体は、該圧電体を構成する超微粒子材料を前記拘束板上に堆積して構成されている。
【0013】
請求項5に記載の液体移送装置は、請求項1から4のいずれかに記載の液体移送装置において、前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って保護層が形成され、電極が液体との接触により錆びる又は腐食することから保護される。
【0014】
請求項6に記載の液体移送装置は、請求項5に記載の液体移送装置において、前記保護層は、該保護層を構成する微粒子材料を前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って堆積して構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例である圧電式インクジェットヘッド6を搭載したインクジェット記録装置100を示す斜視図である。まず、このインクジェット記録装置100について略述する。圧電式インクジェットヘッド6は、ノズル54(図4参照)から用紙62に向けてインクを吐出するものであり、インクカートリッジ61を搭載するキャリッジ64の下面に配置されている。尚、圧電式インクジェットヘッド6の詳細な構成については後述する。
【0016】
圧電式インクジェットヘッド6が配設されるキャリッジ64は、エンドレスベルト75に接合されており、プーリ73がモータの駆動によって正逆回転されると、そのプーリ73の正逆回転に伴って、キャリッジ軸71およびガイド板72に沿って往復移動する。この往復移動中に圧電式インクジェットヘッド6に穿設されたノズル54から、インクが用紙62に向けて吐出される。用紙62はインクジェット記録装置100の側方に設けられた給紙カセット(図示せず)から、圧電式インクジェットヘッド6と、プラテンローラ66との間に給紙され、所定の印字がなされた後に排紙される。尚、用紙62の給紙、排紙機構については図示を省略する。
【0017】
また、プラテンローラ66の側方にはパージ装置67が設けられている。パージ装置67は、圧電式インクジェットヘッド6の内部に溜まっている不良インクを排出するための装置である。キャリッジ64がリセット位置にある場合に、圧電式インクジェットヘッド6のノズル形成面をパージキャップ81で覆い密閉空間を形成する。その密閉空間は、パージキャップ81と連通し、カム83により作動するポンプ82によって減圧される。こうして圧電式インクジェットヘッド6の内部に溜まっている不良インクが排出される。
【0018】
また、インクジェット記録装置100の内部には、インクジェット記録装置100の動作内容に関する制御プログラムに従って、インクジェット記録装置100を制御するCPU、ROM、RAM等が搭載された制御回路(図示せず)が搭載されており、インクの吐出処理やパージ装置67のパージ処理は、この制御回路によって制御されている。
【0019】
次に、図2乃至図4(a)を参照して、圧電式インクジェットヘッド6の構成について説明する。図2は、圧電式インクジェットヘッド6の分解斜視図である。図3は、キャビティユニット10の分解斜視図である。図4(a)は、図2のVI−VI断面線における圧電式インクジェットヘッド6の模式的な拡大断面図であって、圧電体22間に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0020】
圧電式インクジェットヘッド6は、上面が開放された複数個の液室16が形成されているキャビティユニット10と、そのキャビティユニット10上に各液室16の上面(開放面)を閉塞するように接着剤により固定される圧電アクチュエータ20とによって構成されている。
【0021】
最初に、キャビティユニット10について説明する。キャビティユニット10は、複数枚の板状部材を積層して構成されている。後述する圧電アクチュエータ20において複数の個別電極26が下面に露出しているので、これの短絡を避けるために、少なくともこれに対向するキャビティプレート14は、電気絶縁性を有する合成樹脂、ガラス、セラミックス等で形成されるか、他のプレート11〜13と同様にスレンレス鋼、Fe−Ni合金で形成され、電極26との間に電気絶縁材が介挿される。
【0022】
キャビティユニット10は、具体的には、図3に示すように、2枚のマニホールドプレート11、12と、スペーサプレート13と、キャビティプレート14との4枚の板状部材を積層したものに、ノズルプレート43を貼付して構成されている。本実施例では、各プレート11、12、13、14、43は、50μm〜150μm程度の厚さで構成されている。
【0023】
ノズルプレート43は、キャビティユニット10の最下層を形成する合成樹脂製の板状部材である。このノズルプレート43には、微小径のインク噴出用のノズル54が、ノズルプレート43における長辺方向(第1の方向)に沿って2列の千鳥配列状に設けられている。ノズル54は、微小ピッチPの間隔でノズルプレート43に多数個穿設されている。
【0024】
マニホールドプレート12には、インク通路としての一対のマニホールド室12a、12aが、ノズル54の列の両側に沿って延びるように穿設されている。この各マニホールド室12aは、プレートの平面視において、後述する液室16の列と重なり且つその列方向に延びている。また、マニホールドプレート12の下側のマニホールドプレート11の上面には、各マニホールド室12aとほぼ同じ位置にて、平面視形状で略同じ形状の上向き開放するようにマニホールド室11a、11aが凹設されている。2枚のマニホールドプレート11、12を接合することで、両マニホールド室11a、12aが一体となって1つのマニホールド室を形成している。
【0025】
キャビティプレート14は、スペーサプレート13を挟んで、マニホールドプレート12の上方に積層されるものであり、キャビティユニット10の最上層の板状部材である。このキャビティプレート14には、その長辺方向(第1の方向)に沿う中心線に沿って、多数個の液室16が穿設されている。このため、各プレート11,12,13,14が積層された状態で、各液室16の上面部(スペーサプレート13と反対側の面)は、開口した状態となる。
【0026】
液室16は、上記中心線を基準として左右に一列ずつ配列されている。一方の列の液室16は、他の列の液室と長手方向に交互に配置され、それぞれ中心線に対して直交する第2の方向(短辺方向)に延びる細長い形状を有している。
【0027】
各液室16の先端16aは、ノズルプレート43におけるノズル54に、スペーサプレート13及びマニホールドプレート11,12のそれぞれに穿設されている微小径の貫通孔17を介して連通している。一方、各液室16の他端16bは、スペーサプレート13における左右両側部位に穿設された貫通孔18を介して、マニホールドプレート11,12におけるマニホールド室11a,12aに連通している。なお、液室16の他端16bは、キャビティプレート14の下面側にのみ開口するように凹み形成されている。
【0028】
また、キャビティプレート14とスペーサプレート13との一端部であって両プレート13,14において積層方向に同じ位置には、マニーホールド室12a,12aに連通する供給孔19a、19bが穿設されている。また、キャビティプレート14に穿設されている供給孔19aはフィルタ29で覆われており、インクカートリッジから供給されるインクに含まれる不純物は、このフィルタ29で取り除かれる。
【0029】
上述したように構成されるキャビティユニット10によれば、インクカートリッジ61から供給されるインクは、供給孔19a、19bを介して前記左右両マニホールド室11a,11a,12a,12a内に流入し、更に、各貫通孔18を通って各液室16内に分配される。そして、各液室16内から貫通孔17を通って、各液室16に対応するノズル54から吐出される。
【0030】
次に、上述したキャビティユニット10に積層される圧電アクチュエータ20について説明する。圧電アクチュエータ20は、キャビティユニット10に設けられた液室16に対して変形し、液室16の容積を変化させるためのものである。この圧電アクチュエータ20は、キャビティユニット10側から順に、圧電体22と、拘束板23との2層構造で構成されている。圧電体22と拘束板23とは略同様な大きさで構成されており、その大きさは、キャビティユニット10を構成する各板状部材よりも広幅に構成されている。よって、図2の2点鎖線で示すように、圧電アクチュエータ20の両側縁部は、キャビティユニット10の両側縁部から飛び出した状態でキャビティユニット10に積層される。
【0031】
圧電体22は、拘束板23を変形させるための圧電素子であって、各液室16と対応する位置で、シート状に形成されている。即ち、各液室16に対応する圧電体は共通化されており、各液室16に対応するように個別に圧電体を設ける場合に比べて、圧電体の構成を簡略化することができる。
【0032】
圧電体22は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分として形成されている。圧電体22の厚みを小さくすると、駆動電圧を低くできるが、変形量も小さくなるので、それに応じて拘束板23の剛性を小さく、即ち、拘束板23を薄くする必要がある。
【0033】
一方、本実施例では、拘束板23の厚さは略30μmで構成でされ、非常に薄く、圧電体22の厚みが数μm、例えば略10μmで構成されている。数μm〜略10μm程度の圧電体22を形成する方法としては、エアロゾルデポジション法を用いて、拘束板23上に、圧電体22を構成する超微粒子材料を高速で衝突させて堆積させる。尚、数μm〜略10μm程度の圧電体22を形成する好適な方法としては、ゾルゲル法であっても良い。
【0034】
また、圧電体22の拘束板23と対峙する面とは反対の面(キャビティユニット10と対峙する面)には、キャビティユニット10に形成されている各液室16に対応するように複数の個別電極26が形成されている(図2において(a)で示す拡大図参照)。
【0035】
各個別電極26は、圧電体22の対向する2つの側縁に沿って第1の方向(長辺方向)に列状に形成され、第1の方向と直交する第2の方向に圧電体22の両側縁部までそれぞれ延出された短冊状に形成されている。この圧電体22の側縁部まで延出された各部分は、キャビティユニット10から突出し、フレキシブル配線基板24に形成された配線パターンが接続され、本体の制御回路から各個別電極26に正の電圧が印加される。
【0036】
また、各個別電極の幅寸法は対応する液室16における平面視での広幅部より少し狭く設定されている。そして、この各個別電極26は、図4に示すように各液室16の平面視略中央部に、それぞれ配置される。
【0037】
尚、強誘電体である圧電体22は、高電圧の印加により一方向に分極され、印加電圧をオフした後も、分極が残る物質である。本実施例の圧電体22は、予め、個別電極26と拘束板23との間に通常の駆動電圧よりも高い電圧を印可して個別電極から拘束板に向かう方向(図4の矢印Y参照)に分極処理が施されているものとする。
【0038】
拘束板23は、圧電体22の収縮を拘束すると共に、圧電体22間に電圧を印加するために、個別電極26に対応する他方の電極として作用するものである。拘束板23は、内部電極26が形成されてる圧電体22の面とは反対面に積層され、導電性を有するステンレスの板状部材で構成されている。また、拘束板23は、キャビティユニット10に積層した状態で、そのキャビティユニット10から飛び出した部分において上述した配線パターンと接続されており、その配線パターンを介して接地される。
【0039】
次に、図4(b)を参照して、上記のように構成された圧電式インクジェットへッド6のインク吐出動作について説明する。図4(b)は、図4(a)に対応する図であって、個別電極26に電圧が印加された状態を示す図である。
【0040】
図示しない駆動回路から任意の個別電極26に正の電圧が印加され、拘束板23が接地されると、その個別電極26と拘束板23とに挟まれた圧電体22の部分において、分極方向Pと平行な方向(キャビティユニット10から圧電アクチュエータ20に向かう方向)に電界が生ずる。すると、その部分が分極方向Pと直角方向(矢印X1,X2参照)に収縮する。このとき、拘束板23はこの圧電体22の収縮を拘束しようとするため、圧電体22と拘束板23とは液室16とは反対側に突出するように湾曲することになる。
【0041】
こうして、正の電圧が印加された個別電極26に対応する液室16の容積が拡大すると、液室16内の圧力は低下する。そして、好ましくは、上記容積の拡大によって生じた圧力波が液室16の長手方向に片道伝播する時刻後、即ち液室16内の圧力が正に転じたタイミングで圧電アクチュエータ20は、図4(a)に示す状態に復帰し、液室16内のインクに圧力が付与される。即ち、液室16内のインクは、所謂引打ち方式によってノズル54から吐出される。
【0042】
このように、インクを引打ち方式によって吐出させるものでは、液室内の圧力変動を利用して効率良く吐出することができるので、押し打ち方式による場合に比べ、低電圧で圧電体22を駆動させることができる。
【0043】
図5は、本発明の他の実施例を示すもので、圧電体22の液室16側の面に、個別電極26を覆って保護層27が形成されている。保護層27は、酸化ケイ素やアルミナ等の微粒子材料を、エアロデポジション法により圧電体の前記液室側の面全体にわたって高速で衝突させ堆積させて形成され、個別電極26を覆っている。これにより、個別電極26が液室16内のインクの接触から隔離され、錆び又は腐食から保護される。図5において、前記実施例と同一分については同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
なお、上記各実施例はインクジェットヘッドに適用した例を用いて説明したが、本発明は、圧電体の変形により液体に圧力を付与して移送するものならば、各種の装置に適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の液体移送装置によれば、拘束板は、圧電体の変形を拘束すると共に、圧電体に電圧を印加するための一方の電極としの役割を兼ねているので、従来のように、拘束板とは別に一方の電極を形成する必要はない。よって、一方の電極を形成するための工程を省略でき、製造コストを低減することができるという効果がある。
【0046】
また、圧電体間に電圧を印加すると、圧電体に生成した分極方向と平行な電界により、圧電体が分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって圧電体と拘束板とが液室の容積を拡大する方向に湾曲する。即ち、液室内の液体は所謂引き打ち方式によって外部に移送されるので、押し打ち方式に比べて、圧電体を低電圧で駆動させることができ、電圧に対する装置のコストを低減することができるという効果がある。
【0047】
請求項2に記載の液体移送装置によれば、請求項1記載の液体移送装置の奏する効果に加え、液室は、シート状フレーム部材に穿設された開口によって形成され、圧電体はその開口を覆って配置されているので、圧電体を変形させることで液室内の圧力を変動させ液体を移送することができると共に、装置を薄型にすることができるという効果がある。
【0048】
請求項3に記載の液体移送装置によれば、請求項1又は2に記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体の前記液室側の面の電極は、各液室の平面視略中央部に、それぞれ配置されているので、液室に対応する圧電体全体を効率よく変形させることができ、安定して液体を移送することができるという効果がある。
【0049】
請求項4に記載の液体移送装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体は、その圧電体を構成する超微粒子材料を拘束板上に堆積して構成されているので、薄いシート体状である拘束板上であっても、適正な厚みの圧電体を形成することができる。よって、圧電体を低い電圧で駆動させても大きな変形量を得ることができる。従って、一層、装置のランニングコストを低減することができるという効果がある。
【0050】
請求項5に記載の液体移送装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体の液室側の面に、電極を覆って保護層が形成され、電極が液体との接触により錆びる又は腐食することから保護される。
【0051】
請求項6に記載の液体移送装置によれば、請求項5に記載の液体移送装置の奏する効果に加え、保護層は、該保護層を構成する微粒子材料を圧電体の液室側の面に、電極を覆って堆積して構成されているので、薄い保護層を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である圧電式インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】圧電式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】キャビティユニットの分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV断面線における圧電式インクジェットヘッドの模式的な拡大断面図であって、(a)は圧電体間に電圧が印加されていない状態を示し、(b)は圧電体間に電圧が印加された状態を示している。
【図5】本発明の第2実施例である圧電式インクジェットヘッドを模式的に示した拡大断面図である。
【符号の説明】
6 圧電式インクジェットヘッド(液体移送装置)
10 キャビティユニット
14 キャビティプレート(シート状フレーム部材)
16 液室
20 積層型圧電体
22 圧電体
23 拘束板
26 内部電極(電極)
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体移送装置に関し、特に、圧電体と拘束板との積層体を、液体の容積を拡大する方向に湾曲させる液体移送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電体を変形させ、圧電体に対応して設けられた液室内の液体に圧力を付与し、液室から外部に液体を移送する液体移送装置が知られている。この液体移送装置としては、例えば、特開平11−34341号公報(特許文献1)に記載されているインクジェットヘッドがある。このインクジェットヘッドは、インク吐出口と連通しキャビティープレート上において溝状に形成されるインク室と、そのインク室を塞ぐようにキャビティープレート上に積層される圧電素子とによって構成されている。また、この圧電素子はインク室側から順にシート状の弾性体と、圧電体層とを積層して構成され、この圧電体層に電圧を印加すべく圧電体層を挟むように圧電体層の弾性体側の面には共通電極が形成され、その反対面(圧電体層の上面)に各インク室に対応する個別電極が形成されている。
【0003】
このように構成されるインクジェットヘッドによれば、駆動部から個別電極に正の電圧が、共通電極に負の電圧が印加されると、圧電体層は面方向に収縮し、弾性体がこれを拘束しようとするため、圧電体層と弾性体とがインク室内に向けて突出するように変形する。この変形によりインク室内のインクが加圧され、インク室内のインクは、所謂押し打ち方式によってインク吐出口から吐出される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−34341号公報(第35〜第38段落、図2(b)等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したインクジェットヘッドの圧電素子には、圧電体層の変形を拘束するための弾性体とは別に、圧電体層間に電圧を印加するための一方の電極としての共通電極を、弾性体と圧電体層との間に形成する必要があった。
【0006】
また、上述したようにインクを押し打ち方式で吐出させる場合には、液体に対して所定の圧力を付与するのに高い電圧を印加する必要があり、その高い電圧に適合した装置とするためにコストがアップするという問題点があった。
【0007】
本発明は、この問題を解消すべくなされたものであって、圧電体に電圧を付与するための電極の構成を簡単にすると共に、液体に効率良く圧力を付与することができる液体移送装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の液体移送装置は、複数の液室にわたって配置され、厚み方向に分極されたシート状の圧電体と、該圧電体の前記液室とは反対側の面に前記複数の液室にわたって配置され、該圧電体の一方の電極を兼ねる拘束板と、前記圧電体の前記液室側の面に、該圧電体を挟んで前記拘束板と対向して配置された電極とを備え、前記電極と拘束板間に生成した分極方向と平行な電界により、前記圧電体が前記分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって前記拘束板を前記液室の容積を拡大する方向に湾曲させる。
【0009】
この請求項1記載の液体移送装置によれば、シート状の圧電体の液室とは反対側の面に複数の液室にわたって配置される拘束板と、圧電体の液室側の面に圧電体を挟んで拘束板と対向して配置された電極との間に電圧を印加すると、予め、厚み方向に分極されている圧電体の分極方向と平行な電界が発生する。圧電体はこの電界によって分極方向と直交する方向に収縮し、拘束板はこの収縮を拘束しようとする。よって、圧電体と拘束板とは、液室とは反対側に向かって湾曲し、液室の容積が拡大し、液室内の圧力は低下する。この状態で印加した電圧を停止すると、圧電体と拘束板とが元の状態に復帰して、液室内の圧力は増加する。従って、液室内の液体は外部に移送される。このように、圧電体を変形させるためには、圧電体間に電圧を印加するための一方の電極と、圧電体の収縮を拘束する拘束板とが必要であるものの、拘束板は一方の電極としての役割をも兼ねているので、一方の電極を形成する製造工程が省略でき、装置の製造コストを削減することができる。
【0010】
請求項2に記載の液体移送装置は、請求項1に記載の液体移送装置において、前記液室は、シート状フレーム部材に穿設された開口によって形成され、前記圧電体はその開口を覆って配置されている。
【0011】
請求項3に記載の液体移送装置は、請求項1又は2に記載の液体移送装置において、前記圧電体の前記液室側の面の電極は、前記各液室の平面視略中央部に、それぞれ配置されている。
【0012】
請求項4に記載の液体移送装置は、請求項1から3のいずれかに記載の液体移送装置において、前記圧電体は、該圧電体を構成する超微粒子材料を前記拘束板上に堆積して構成されている。
【0013】
請求項5に記載の液体移送装置は、請求項1から4のいずれかに記載の液体移送装置において、前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って保護層が形成され、電極が液体との接触により錆びる又は腐食することから保護される。
【0014】
請求項6に記載の液体移送装置は、請求項5に記載の液体移送装置において、前記保護層は、該保護層を構成する微粒子材料を前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って堆積して構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例である圧電式インクジェットヘッド6を搭載したインクジェット記録装置100を示す斜視図である。まず、このインクジェット記録装置100について略述する。圧電式インクジェットヘッド6は、ノズル54(図4参照)から用紙62に向けてインクを吐出するものであり、インクカートリッジ61を搭載するキャリッジ64の下面に配置されている。尚、圧電式インクジェットヘッド6の詳細な構成については後述する。
【0016】
圧電式インクジェットヘッド6が配設されるキャリッジ64は、エンドレスベルト75に接合されており、プーリ73がモータの駆動によって正逆回転されると、そのプーリ73の正逆回転に伴って、キャリッジ軸71およびガイド板72に沿って往復移動する。この往復移動中に圧電式インクジェットヘッド6に穿設されたノズル54から、インクが用紙62に向けて吐出される。用紙62はインクジェット記録装置100の側方に設けられた給紙カセット(図示せず)から、圧電式インクジェットヘッド6と、プラテンローラ66との間に給紙され、所定の印字がなされた後に排紙される。尚、用紙62の給紙、排紙機構については図示を省略する。
【0017】
また、プラテンローラ66の側方にはパージ装置67が設けられている。パージ装置67は、圧電式インクジェットヘッド6の内部に溜まっている不良インクを排出するための装置である。キャリッジ64がリセット位置にある場合に、圧電式インクジェットヘッド6のノズル形成面をパージキャップ81で覆い密閉空間を形成する。その密閉空間は、パージキャップ81と連通し、カム83により作動するポンプ82によって減圧される。こうして圧電式インクジェットヘッド6の内部に溜まっている不良インクが排出される。
【0018】
また、インクジェット記録装置100の内部には、インクジェット記録装置100の動作内容に関する制御プログラムに従って、インクジェット記録装置100を制御するCPU、ROM、RAM等が搭載された制御回路(図示せず)が搭載されており、インクの吐出処理やパージ装置67のパージ処理は、この制御回路によって制御されている。
【0019】
次に、図2乃至図4(a)を参照して、圧電式インクジェットヘッド6の構成について説明する。図2は、圧電式インクジェットヘッド6の分解斜視図である。図3は、キャビティユニット10の分解斜視図である。図4(a)は、図2のVI−VI断面線における圧電式インクジェットヘッド6の模式的な拡大断面図であって、圧電体22間に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0020】
圧電式インクジェットヘッド6は、上面が開放された複数個の液室16が形成されているキャビティユニット10と、そのキャビティユニット10上に各液室16の上面(開放面)を閉塞するように接着剤により固定される圧電アクチュエータ20とによって構成されている。
【0021】
最初に、キャビティユニット10について説明する。キャビティユニット10は、複数枚の板状部材を積層して構成されている。後述する圧電アクチュエータ20において複数の個別電極26が下面に露出しているので、これの短絡を避けるために、少なくともこれに対向するキャビティプレート14は、電気絶縁性を有する合成樹脂、ガラス、セラミックス等で形成されるか、他のプレート11〜13と同様にスレンレス鋼、Fe−Ni合金で形成され、電極26との間に電気絶縁材が介挿される。
【0022】
キャビティユニット10は、具体的には、図3に示すように、2枚のマニホールドプレート11、12と、スペーサプレート13と、キャビティプレート14との4枚の板状部材を積層したものに、ノズルプレート43を貼付して構成されている。本実施例では、各プレート11、12、13、14、43は、50μm〜150μm程度の厚さで構成されている。
【0023】
ノズルプレート43は、キャビティユニット10の最下層を形成する合成樹脂製の板状部材である。このノズルプレート43には、微小径のインク噴出用のノズル54が、ノズルプレート43における長辺方向(第1の方向)に沿って2列の千鳥配列状に設けられている。ノズル54は、微小ピッチPの間隔でノズルプレート43に多数個穿設されている。
【0024】
マニホールドプレート12には、インク通路としての一対のマニホールド室12a、12aが、ノズル54の列の両側に沿って延びるように穿設されている。この各マニホールド室12aは、プレートの平面視において、後述する液室16の列と重なり且つその列方向に延びている。また、マニホールドプレート12の下側のマニホールドプレート11の上面には、各マニホールド室12aとほぼ同じ位置にて、平面視形状で略同じ形状の上向き開放するようにマニホールド室11a、11aが凹設されている。2枚のマニホールドプレート11、12を接合することで、両マニホールド室11a、12aが一体となって1つのマニホールド室を形成している。
【0025】
キャビティプレート14は、スペーサプレート13を挟んで、マニホールドプレート12の上方に積層されるものであり、キャビティユニット10の最上層の板状部材である。このキャビティプレート14には、その長辺方向(第1の方向)に沿う中心線に沿って、多数個の液室16が穿設されている。このため、各プレート11,12,13,14が積層された状態で、各液室16の上面部(スペーサプレート13と反対側の面)は、開口した状態となる。
【0026】
液室16は、上記中心線を基準として左右に一列ずつ配列されている。一方の列の液室16は、他の列の液室と長手方向に交互に配置され、それぞれ中心線に対して直交する第2の方向(短辺方向)に延びる細長い形状を有している。
【0027】
各液室16の先端16aは、ノズルプレート43におけるノズル54に、スペーサプレート13及びマニホールドプレート11,12のそれぞれに穿設されている微小径の貫通孔17を介して連通している。一方、各液室16の他端16bは、スペーサプレート13における左右両側部位に穿設された貫通孔18を介して、マニホールドプレート11,12におけるマニホールド室11a,12aに連通している。なお、液室16の他端16bは、キャビティプレート14の下面側にのみ開口するように凹み形成されている。
【0028】
また、キャビティプレート14とスペーサプレート13との一端部であって両プレート13,14において積層方向に同じ位置には、マニーホールド室12a,12aに連通する供給孔19a、19bが穿設されている。また、キャビティプレート14に穿設されている供給孔19aはフィルタ29で覆われており、インクカートリッジから供給されるインクに含まれる不純物は、このフィルタ29で取り除かれる。
【0029】
上述したように構成されるキャビティユニット10によれば、インクカートリッジ61から供給されるインクは、供給孔19a、19bを介して前記左右両マニホールド室11a,11a,12a,12a内に流入し、更に、各貫通孔18を通って各液室16内に分配される。そして、各液室16内から貫通孔17を通って、各液室16に対応するノズル54から吐出される。
【0030】
次に、上述したキャビティユニット10に積層される圧電アクチュエータ20について説明する。圧電アクチュエータ20は、キャビティユニット10に設けられた液室16に対して変形し、液室16の容積を変化させるためのものである。この圧電アクチュエータ20は、キャビティユニット10側から順に、圧電体22と、拘束板23との2層構造で構成されている。圧電体22と拘束板23とは略同様な大きさで構成されており、その大きさは、キャビティユニット10を構成する各板状部材よりも広幅に構成されている。よって、図2の2点鎖線で示すように、圧電アクチュエータ20の両側縁部は、キャビティユニット10の両側縁部から飛び出した状態でキャビティユニット10に積層される。
【0031】
圧電体22は、拘束板23を変形させるための圧電素子であって、各液室16と対応する位置で、シート状に形成されている。即ち、各液室16に対応する圧電体は共通化されており、各液室16に対応するように個別に圧電体を設ける場合に比べて、圧電体の構成を簡略化することができる。
【0032】
圧電体22は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分として形成されている。圧電体22の厚みを小さくすると、駆動電圧を低くできるが、変形量も小さくなるので、それに応じて拘束板23の剛性を小さく、即ち、拘束板23を薄くする必要がある。
【0033】
一方、本実施例では、拘束板23の厚さは略30μmで構成でされ、非常に薄く、圧電体22の厚みが数μm、例えば略10μmで構成されている。数μm〜略10μm程度の圧電体22を形成する方法としては、エアロゾルデポジション法を用いて、拘束板23上に、圧電体22を構成する超微粒子材料を高速で衝突させて堆積させる。尚、数μm〜略10μm程度の圧電体22を形成する好適な方法としては、ゾルゲル法であっても良い。
【0034】
また、圧電体22の拘束板23と対峙する面とは反対の面(キャビティユニット10と対峙する面)には、キャビティユニット10に形成されている各液室16に対応するように複数の個別電極26が形成されている(図2において(a)で示す拡大図参照)。
【0035】
各個別電極26は、圧電体22の対向する2つの側縁に沿って第1の方向(長辺方向)に列状に形成され、第1の方向と直交する第2の方向に圧電体22の両側縁部までそれぞれ延出された短冊状に形成されている。この圧電体22の側縁部まで延出された各部分は、キャビティユニット10から突出し、フレキシブル配線基板24に形成された配線パターンが接続され、本体の制御回路から各個別電極26に正の電圧が印加される。
【0036】
また、各個別電極の幅寸法は対応する液室16における平面視での広幅部より少し狭く設定されている。そして、この各個別電極26は、図4に示すように各液室16の平面視略中央部に、それぞれ配置される。
【0037】
尚、強誘電体である圧電体22は、高電圧の印加により一方向に分極され、印加電圧をオフした後も、分極が残る物質である。本実施例の圧電体22は、予め、個別電極26と拘束板23との間に通常の駆動電圧よりも高い電圧を印可して個別電極から拘束板に向かう方向(図4の矢印Y参照)に分極処理が施されているものとする。
【0038】
拘束板23は、圧電体22の収縮を拘束すると共に、圧電体22間に電圧を印加するために、個別電極26に対応する他方の電極として作用するものである。拘束板23は、内部電極26が形成されてる圧電体22の面とは反対面に積層され、導電性を有するステンレスの板状部材で構成されている。また、拘束板23は、キャビティユニット10に積層した状態で、そのキャビティユニット10から飛び出した部分において上述した配線パターンと接続されており、その配線パターンを介して接地される。
【0039】
次に、図4(b)を参照して、上記のように構成された圧電式インクジェットへッド6のインク吐出動作について説明する。図4(b)は、図4(a)に対応する図であって、個別電極26に電圧が印加された状態を示す図である。
【0040】
図示しない駆動回路から任意の個別電極26に正の電圧が印加され、拘束板23が接地されると、その個別電極26と拘束板23とに挟まれた圧電体22の部分において、分極方向Pと平行な方向(キャビティユニット10から圧電アクチュエータ20に向かう方向)に電界が生ずる。すると、その部分が分極方向Pと直角方向(矢印X1,X2参照)に収縮する。このとき、拘束板23はこの圧電体22の収縮を拘束しようとするため、圧電体22と拘束板23とは液室16とは反対側に突出するように湾曲することになる。
【0041】
こうして、正の電圧が印加された個別電極26に対応する液室16の容積が拡大すると、液室16内の圧力は低下する。そして、好ましくは、上記容積の拡大によって生じた圧力波が液室16の長手方向に片道伝播する時刻後、即ち液室16内の圧力が正に転じたタイミングで圧電アクチュエータ20は、図4(a)に示す状態に復帰し、液室16内のインクに圧力が付与される。即ち、液室16内のインクは、所謂引打ち方式によってノズル54から吐出される。
【0042】
このように、インクを引打ち方式によって吐出させるものでは、液室内の圧力変動を利用して効率良く吐出することができるので、押し打ち方式による場合に比べ、低電圧で圧電体22を駆動させることができる。
【0043】
図5は、本発明の他の実施例を示すもので、圧電体22の液室16側の面に、個別電極26を覆って保護層27が形成されている。保護層27は、酸化ケイ素やアルミナ等の微粒子材料を、エアロデポジション法により圧電体の前記液室側の面全体にわたって高速で衝突させ堆積させて形成され、個別電極26を覆っている。これにより、個別電極26が液室16内のインクの接触から隔離され、錆び又は腐食から保護される。図5において、前記実施例と同一分については同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
なお、上記各実施例はインクジェットヘッドに適用した例を用いて説明したが、本発明は、圧電体の変形により液体に圧力を付与して移送するものならば、各種の装置に適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の液体移送装置によれば、拘束板は、圧電体の変形を拘束すると共に、圧電体に電圧を印加するための一方の電極としの役割を兼ねているので、従来のように、拘束板とは別に一方の電極を形成する必要はない。よって、一方の電極を形成するための工程を省略でき、製造コストを低減することができるという効果がある。
【0046】
また、圧電体間に電圧を印加すると、圧電体に生成した分極方向と平行な電界により、圧電体が分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって圧電体と拘束板とが液室の容積を拡大する方向に湾曲する。即ち、液室内の液体は所謂引き打ち方式によって外部に移送されるので、押し打ち方式に比べて、圧電体を低電圧で駆動させることができ、電圧に対する装置のコストを低減することができるという効果がある。
【0047】
請求項2に記載の液体移送装置によれば、請求項1記載の液体移送装置の奏する効果に加え、液室は、シート状フレーム部材に穿設された開口によって形成され、圧電体はその開口を覆って配置されているので、圧電体を変形させることで液室内の圧力を変動させ液体を移送することができると共に、装置を薄型にすることができるという効果がある。
【0048】
請求項3に記載の液体移送装置によれば、請求項1又は2に記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体の前記液室側の面の電極は、各液室の平面視略中央部に、それぞれ配置されているので、液室に対応する圧電体全体を効率よく変形させることができ、安定して液体を移送することができるという効果がある。
【0049】
請求項4に記載の液体移送装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体は、その圧電体を構成する超微粒子材料を拘束板上に堆積して構成されているので、薄いシート体状である拘束板上であっても、適正な厚みの圧電体を形成することができる。よって、圧電体を低い電圧で駆動させても大きな変形量を得ることができる。従って、一層、装置のランニングコストを低減することができるという効果がある。
【0050】
請求項5に記載の液体移送装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の液体移送装置の奏する効果に加え、圧電体の液室側の面に、電極を覆って保護層が形成され、電極が液体との接触により錆びる又は腐食することから保護される。
【0051】
請求項6に記載の液体移送装置によれば、請求項5に記載の液体移送装置の奏する効果に加え、保護層は、該保護層を構成する微粒子材料を圧電体の液室側の面に、電極を覆って堆積して構成されているので、薄い保護層を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である圧電式インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】圧電式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】キャビティユニットの分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV断面線における圧電式インクジェットヘッドの模式的な拡大断面図であって、(a)は圧電体間に電圧が印加されていない状態を示し、(b)は圧電体間に電圧が印加された状態を示している。
【図5】本発明の第2実施例である圧電式インクジェットヘッドを模式的に示した拡大断面図である。
【符号の説明】
6 圧電式インクジェットヘッド(液体移送装置)
10 キャビティユニット
14 キャビティプレート(シート状フレーム部材)
16 液室
20 積層型圧電体
22 圧電体
23 拘束板
26 内部電極(電極)
Claims (6)
- 複数の液室にわたって配置され、厚み方向に分極されたシート状の圧電体と、
該圧電体の前記液室とは反対側の面に前記複数の液室にわたって配置され、該圧電体の一方の電極を兼ねる拘束板と、
前記圧電体の前記液室側の面に、該圧電体を挟んで前記拘束板と対向して配置された電極とを備え、
前記電極と拘束板間に生成した分極方向と平行な電界により、前記圧電体が前記分極方向と直交する方向に収縮するのにともなって前記拘束板を前記液室の容積を拡大する方向に湾曲させることを特徴とする液体移送装置。 - 前記液室は、シート状フレーム部材に穿設された開口によって形成され、前記圧電体はその開口を覆って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
- 前記圧電体の前記液室側の面の電極は、前記各液室の平面視略中央部に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体移送装置。
- 前記圧電体は、該圧電体を構成する超微粒子材料を前記拘束板上に堆積して構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体移送装置。
- 前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って保護層が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体移送装置。
- 前記保護層は、該保護層を構成する微粒子材料を前記圧電体の前記液室側の面に、前記電極を覆って堆積して構成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体移送装置。
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JP2008044294A (ja) * | 2006-08-21 | 2008-02-28 | Fuji Xerox Co Ltd | 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び液滴吐出ヘッドの製造方法 |
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