以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1から図9は、発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一または類似の符号を付した部分は同一物または相当物を表わし、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる遊技機としてのパチンコ遊技機1の分解斜視図である。パチンコ遊技機1は、略直方体で1の面に開口が形成されている本体枠70と、本体枠70に組み込まれる遊技盤2とを備えている。さらにパチンコ遊技機1は、本体枠70に不図示のヒンジ等により開閉自在に取り付けられることで、本体枠70に形成された開口を開放または閉鎖することが可能な扉71と、扉71を閉鎖した状態で、扉71の下側で本体枠70の前面に設けられた遊技球を貯留するための上皿72及び下皿73とを備えている。下皿73の右側には、打球発射装置42が配設されている。なお、本図は扉71を開放し、遊技盤2を取り外した状態を示す斜視図となっている。
打球発射装置42は本体枠70に対して回動自在に設けられており、遊技者は打球発射装置42を操作することによりパチンコ遊技を進めることができるように構成されている。具体的には、打球発射装置42の裏側には、不図示の発射モータが設けられており、打球発射装置42が遊技者によって時計回り方向へ回動操作されたときには、発射モータに電力が供給され、上皿72に貯留される遊技球が遊技盤2における遊技領域3に順次発射される。
遊技盤2は、打球発射装置42によって発射された遊技球が転動可能な遊技領域3を有している。さらに遊技盤2の全部、すなわち遊技盤2の全体が透明な平板状の部材、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂などの透明樹脂、ここではポリカーボネート樹脂によって形成されている。遊技盤2の裏面側には後述する表示装置としての液晶表示装置4が配設されており、液晶表示装置4が、遊技盤2の裏面側から遊技盤2の遊技領域3の一部を覆うように構成されている。さらに、遊技盤2は、扉71を閉鎖した状態で、遊技盤2の前面側を扉71が覆うように配設されている。また、扉71には、扉71を閉鎖した状態で遊技領域3に略対応する位置に開口が設けられており、該開口に保護ガラス71aがはめ込まれている。すなわち、遊技領域3の前面側には保護ガラス71aが、遊技領域3の裏面側には液晶表示装置4が配設されることとなり、液晶表示装置4に表示される表示態様は、遊技者は保護ガラス71a、遊技領域3を透過して遊技者に視認されることとなる。このように構成することで、遊技者に対して迫力のある演出を行うことができる。
さらに、遊技盤2の前面側には複数の障害釘74が打ちこまれている。打球発射装置42によって発射された遊技球は、遊技領域3の上部に移動し、その後、複数の障害釘74との衝突によりその進行方向を変えながら遊技領域3の下方に向かって落下するように構成されている。詳しくは図3で説明する。
また、以上の説明では、液晶表示装置4は、遊技領域3の一部を覆うように構成しているものとしたが、遊技領域3の全部を覆うように構成することもできる。この場合、遊技者に対してさらに迫力のある演出を行うことができる。
さらに、図2の遊技盤2を説明するための簡略化した概略斜視図に示すように、遊技盤2は、遊技盤2を構成する平板状の部材の一部を透明な部材によって形成することもできる。すなわち、例えば、図2(A)に示すように、鉛直方向に立てた平板状の部材の下方の領域、例えば、4分の1から3分の1程度を、光を透過しない部材、ここでは平板状の木材で形成し、残りの上方の領域に透明な部材、ここでは上述したポリカーボネート樹脂を用いて遊技盤2を形成することができる。なお、逆に木材で形成した領域を上方に配置してもよいし、ポリカーボネート樹脂の図中右又は左側の領域に配置してもよい。また、図2(B)に示すように、平板状の木材の所定の部分、例えば、本図には不図示の液晶表示装置4に表示される演出を効果的に表示することができる部分をくり抜き、該くり抜いた部分にポリカーボネート樹脂を嵌め込むようにして、遊技盤2を形成することもできる。さらに、図2(C)に示すように、遊技盤2を形成するポリカーボネート樹脂の裏面側、すなわち、液晶表示装置4が配置されている側の演出を効果的に表示することができる部分以外の部分を塗装することで光を透過しないように形成することもできる。この場合は、遊技盤2をより単純な構成とすることができる。また、塗装するかわりに、ブラスト加工やサンドペーパによる微細粗面を形成する光散乱加工を施し、この光散乱加工面で可視光線が散乱してあたかも発光するかのように形成することもできる。なお、本図は、遊技盤2の一部が透明な部材であることの概念を分かり易く説明するために、障害釘74等を省略し、簡略化した図としている。
このように、遊技盤2の所定の一部を透明な部材によって形成すると、液晶表示装置4に表示される演出に対応して、より効率的に遊技盤2を形成することができる。
図3は、本発明の実施の形態による遊技機の正面図である。本図では、障害釘は図示を省略してある。遊技盤2では、遊技盤2の裏面側に、特別図柄その他の図柄を表示する上述のような液晶表示装置4が配置されている。この液晶表示装置4の表示画面上の所定表示領域に予め定められた表示態様が表示されると、遊技者に所定の有価価値が付与される特別遊技状態に移行する。
例えば、液晶表示装置4の表示画面上に、「一」から「九」の数字と「武士」「老人」「太鼓」の文字で表される図柄(これを「特別図柄」と称する)が表示される。この特別図柄を3つ揃えた表示態様、例えば、「七−七−七」のような表示態様が、「大当り停止態様」である。このような表示態様となれば、特別遊技状態に移行する。この特別遊技状態となれば、遊技盤2の下部に設けた開放板が手前側に開放され大入賞口8が開口状態に遷移し、多くの賞球が獲得できる。すなわちこれが遊技者にとって有利な遊技状態である。
また、液晶表示装置4では、様々な演出表示が行われる。演出表示は、種々の画像によるアニメーションで表現され、上述した特別遊技状態に移行する可能性がどの位あるかという情報である「大当り信頼度」や、リーチ状態となる可能性がどの位あるかという情報である「リーチ発展率」等が示される。
さらに、本実施形態では、図柄表示手段として液晶表示装置4を用いて説明をするが、本発明は液晶表示装置4を用いる構成に限定するものでなく、例えば、CRT、プラズマディスプレイ、7セグメント、ドットマトリクス表示体、ランプ、LED、蛍光灯、EL、電子ペーパ、フレキシブルLED、フレキシブル液晶等の表示手段を用いることもできる。
上記液晶表示装置4の下方には、液晶表示装置4での表示を開始するための条件となる始動入賞口(いわゆるスタート孔)6を構成する電動チューリップ5が設けられている。電動チューリップ5は、開閉自在な左右一対の開閉爪を備え、始動入賞口6へ遊技球(パチンコ玉)が入賞しやすいように、左右一対の爪で構成されたその始動入賞口6の入口が拡大する「第1状態」と、始動入賞口6へ遊技球が入賞しにくいように左右一対の爪で構成されたその入賞口6の入口が縮小する「第2状態」とに変換可能である。なお、第2状態であっても、遊技球が1個程度入賞可能である。遊技球が始動入賞口6へ入賞すると、5個の賞球が払い出されると共に、液晶表示装置4での表示が開始される。
上記電動チューリップ5の下方には、遊技者にとって有利な「開状態」と遊技者にとって不利な「閉状態」とに変換可能な開閉自在の扉を備えた大入賞口(いわゆるアタッカ)8が設けられている。この大入賞口8は、液晶表示装置4で「大当り停止態様」が表示された場合に、「開状態」に変換される。この大入賞口8に遊技球が入ると、所定個数(例えば15個)の賞球が払い出される。
上述した所定の有価価値とは、この大入賞口8の「開状態」が所定条件成立(例えば、この開状態中の大入賞口8へ遊技球が所定数(例えば10個)入賞したこと、或いは「開状態」に変換されてから所定時間(例えば30秒)経過したこと)まで継続する遊技を、所定回数(例えば16回(ラウンド))行える「大当り状態」となることである。ただし、所定のラウンドの遊技が終了した後、次のラウンドを行うためには、一般的に、大当り状態中に特定条件であるV継続条件を成立(以下、「V入賞」という)させる必要がある。
ここで、本実施の形態のパチンコ遊技機1では、大入賞口8の内部に設けられた特定領域(例えば、ゲート)に遊技球を通過させることでV入賞が成立するように設定されている。特定期間中に上記特定領域に遊技球を通過させた場合のみV入賞としてもよく、V入賞を成立可能な特定期間(以下、「V入賞成立可能期間」という)は、大入賞口8が「開状態」となった時点からの5秒間と、大入賞口8が「開状態」となった時点から15秒経過後20秒経過するまでの5秒間である。以下、「V入賞成立可能期間」中の上記特定領域を「Vゾーン」と称する。ただし、上記特定期間を設けない場合は、大入賞口が開放してから特定領域を遊技球が通過するまで、又は大入賞口8が閉鎖してから所定の時間経過(ここでは0秒も含む)するまで上記特定領域は「V入賞成立可能期間」中になる。
また、遊技球が始動入賞口6に入賞すると、液晶表示装置4が作動し図柄の変動が開始される。この液晶表示装置4の作動保留球の記憶数は所定の最大個数(例えば最大4個)に設定され、大当り状態中は特別図柄表示装置は動作しないように制御されている。
液晶表示装置4の図柄が変動を開始してから所定の変動時間(例えば、約10秒間)が経過すると、図柄の変動が停止し、表示結果として図柄を停止表示する。但し、特別図柄短縮機能未作動時の作動保留球の数の違いによる変動時間の短縮時又は変動時間短縮機能作動時においては、上記所定の変動時間よりも短い所定の時間(例えば、約5.5秒)が経過すると図柄の変動が停止し、表示結果として図柄を停止表示するように制御されている。
例えば、液晶表示装置4に「一」、「一」、「一」の図柄組合せが表示結果として停止表示されると大当り状態になる。また、他に大当り状態にする組合せを例示すると、同様に、「二」、「二」、「二」の図柄組合せ、「三」、「三」、「三」の図柄組合せ、「四」、「四」、「四」の図柄組合せ、「五」、「五」、「五」の図柄組合せ、「六」、「六」、「六」の図柄組合せ、「七」、「七」、「七」の図柄組合せ、「八」、「八」、「八」の図柄組合せ、「九」、「九」、「九」の図柄組合せ、「武士」、「武士」、「武士」の図柄組合せ、「老人」、「老人」、「老人」の図柄組合せ、「太鼓」、「太鼓」、「太鼓」の図柄組合せである。これを予め設定し、合計12通りの図柄組合せが表示結果として停止表示された場合に大入賞口8の開放又は拡大動作を開始させる。
上記大入賞口8が所定時間(例えば、約28秒間)に亘り開放又は拡大するか、又は遊技球が10個入賞すると大入賞口8が開放又は拡大状態を終了する。大入賞口8が開放又は拡大状態になる図柄の組合せが液晶表示装置4に表示されると、大入賞口8が開放又は拡大状態となり、大入賞口8が開放又は拡大中に入賞した遊技球が、特定領域19a又は19bを通過すると大当り状態を継続する条件を充足したことになる。
また、大当り状態を継続する上記条件を充足すると、1サイクルの開放又は拡大状態が終了(大入賞口8の閉鎖又は縮小状態が発生)した後に2サイクル目の大入賞口8が開放又は拡大状態となる。さらに、遊技球が大入賞口8の開放又は拡大中に特定領域19a又は19bを通過すると、2サイクル目の開放又は拡大状態が終了した後に3サイクル目の大入賞口8の開放又は拡大状態となるように制御されている。但し、大当り状態中に、大入賞口8が連続して開放又は拡大する回数は15回までに制限するように制御する。
次に、確率変動制御を遂行する。遊技中のパチンコ遊技機が低確率中に大当り状態となる上述した12通りの図柄組合せのうち、特定図柄で大当り状態となった場合、確率変動機能が作動を開始し、大当り状態となる図柄の組合せが表示される確率が高確率に移行するように制御される。
ここで、特定図柄としては例えば、「三」、「三」、「三」の図柄組合せ、「五」、「五」、「五」の図柄組合せ、「七」、「七」、「七」の図柄組合せ、「武士」、「武士」、「武士」の図柄組合せ、「老人」、「老人」、「老人」の図柄組合せ、「太鼓」、「太鼓」、「太鼓」の図柄組合せを用いることができる。
また、高確率中に特定図柄で大当り状態となった場合は、その大当り状態が終了してから、新たに大当り状態となる図柄の組合せが表示される確率を高確率に移行するように制御される。但し、大当り状態中の、大当り状態となる図柄の組合せが表示される確率は全て低確率に制限するように制御することとなる。
大入賞口8内には、特定領域としてのVカウントスイッチ19a、カウントスイッチ19bが設けられおり、この特定領域としてのVカウントスイッチ19aを入賞球が通過した場合に、大当り状態を継続させるように構成されている。また、大入賞口8の下方には、アウト球を回収するアウト口9が設けられている。さらに、遊技領域3の左下部にはレール10が設置されており、の打球発射装置42(図1参照)から発射された遊技球は、このレール10に沿って上昇移動し、遊技領域3内に打ち込まれる。
ここで、大入賞口8は、開放後に所定時間が経過したとき、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞したときに開閉板が閉じると共に、遊技球が特定領域としてのVカウントスイッチ19aを通過する度に、最大所定回数(例えば16回)まで開閉動作を繰り返す変動処理が施される。
液晶表示装置4の上方には、普通図柄表示用LED11a、11b及び普通図柄記憶LED13a、13b、13c、13dが、また下方には特別図柄記憶LED12が4個設けられている。普通図柄表示用LED11a、11bは、それぞれ緑色発光ダイオード、赤色発光ダイオードで構成され、遊技球が普通図柄作動用ゲート7を通過すると所定時間、交互に点灯動作を行う。所定時間経過後、普通図柄表示用LED11aが点灯した状態であれば、電動チューリップ5が第1状態に変換される。
普通図柄記憶LED13a、13b、13c、13dは、始動入賞口6の左側に設けた普通図柄作動用ゲート7への遊技球通過がある度に1個ずつ点灯し、その時点での普通図柄表示用LED11a、11bの動作可能回数(所定の最大数。本実施例では4回を限度とする)を遊技者に知らせる。5回目以降の遊技球通過はカウントされず、無効となるように処理される。また、大入賞口8が開放又は拡大状態中では普通図柄表示用LED11a、11bは作動しないように制御されている。
また、遊技中に普通図柄表示用LED11a、11bの図柄が変動を開始してから所定変動時間(例えば50秒)が経過すると、図柄の変動が停止し、表示結果として図柄を停止表示するように制御されている。但し、変動時間短縮機能が作動している状態では、図柄が変動を開始してから上記所定変動時間よりも短い所定の時間(例えば6秒)が経過すると図柄の変動が停止し、表示結果として図柄を停止表示する。
普通図柄表示用LED11aと11bに、例えば、1通りの「緑点灯」と「赤消灯」の組合せが表示結果として停止表示されると、始動入賞口6が1又は複数回の拡大動作を行う「当り」状態となる。一方、1通りの「緑消灯」と「赤点灯」の組合せが表示結果として停止表示されても、当り状態とならない。
上記組合せが表示結果として停止表示され、当り状態になった場合、所定時間(例えば、約0.3秒間)の拡大動作を所定回数(例えば1回)実行するか、又は遊技球が所定の最大数(例えば4個)入賞すると当り状態を終了する。但し、開放延長機能作動時においては所定時間(例えば、約4.0秒間)の拡大動作を実行するか、又は遊技球が所定の最大数(例えば4個)入賞すると当り状態を終了する。
特別図柄記憶LED12の夫々は、液晶表示装置4で特別図柄の変動表示が開始された後、始動入賞口6への遊技球入賞がある度に1個ずつ点灯し、その時点での液晶表示装置4の変動表示可能回数(例えば4回を限度とする)を遊技者に知らせるものである。従って、4個の特別図柄記憶LED12が全て点灯している時の始動入賞口6への入賞は、変動表示開始条件としては無効処理される。
本図中、液晶表示装置4の左側には、左風車15が設けられ、液晶表示装置4の右側には、右風車16が設けられている。また、始動入賞口6の左側には、入賞球があると10個の賞球を払出すように定められた一般入賞口18a、18cが設けられ、右側には同じく一般入賞口18b、18dが設けられている。
本実施形態の遊技機は、例示した第1種パチンコ遊技機に限定されず、条件装置を備えていない第2種パチンコ遊技機や、特別装置を備えた第3種パチンコ遊技機などに適用することができる他に、遊技機として例えば、アレンジボール機、雀球遊技機など何でもよい。
図4は、本実施の形態のパチンコ遊技機における電気回路部を示すブロック図である。なお、構成要素の符号については適宜図1を参照する。パチンコ遊技機は、全体の動作を主制御手段としての主制御回路30によって制御する。主制御回路30は、制御プログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段であるROM30bと、読み書き可能な記憶手段であるRAM30cと、上記ROMに格納された制御プログラムに従って制御動作を実行する演算処理装置としてのMPU30aとを含み、これらを一つの基板上に配置して構成されている。
ここで、主制御回路30上のMPU、ROM、RAMを表示制御回路31上のMPU等と区別するために、以下、メインMPU30a、メインROM30b、メインRAM30cと称する。このメインMPU30aは、定期的に発生するリセット信号の入力により、メインROM30bに記憶している制御用プログラムの先頭から処理を実行する。
図示する主制御回路30に接続された中継基板34には、遊技球の検知手段として、普通図柄作動用ゲート7での遊技球の通過を検出する通過球センサ20、一般始動入賞口6への遊技球の入賞を検出する始動入賞球センサ22、一般入賞口18a、18b、18c、18dへの遊技球の入賞を検出する入賞球センサ21、打球発射装置42からの発射球を検出する発射球センサ23、発射後遊技盤上に到達しないで戻ってきた遊技球を検出する戻り球センサ24、及び大入賞口8内に設けられた特定領域としてのVカウントスイッチ19a、カウントスイッチ19bを通過する遊技球を検出する大入賞球センサ25が接続される。
但し、本実施の形態は図示した電気的な結線方法に限定されるものではなく、例えば、始動入賞口6への遊技球の入賞を検出する始動入賞球センサ22からの信号線を、図中の実線で示した中継基板34に接続する経路から、図中の破線で示したように中継基板34を介さずに主制御回路30へ直接的に接続するように変更することもできる。このように結線変更をするとプリント配線基板を目視するだけで始動入賞球センサ22からの電気的信号が主制御回路30へ送信されていることを容易に確認することができる。
また、アクチュエータとして、普通図柄表示用LED11a、11b、ランプ表示装置41、電動チューリップ(普通電動役物)5、及び大入賞口8が、中継基板34に接続されている。
上記各センサが遊技球を検知すると、その検知信号は主制御回路30上のメインMPU30aに入力され、当該入力に応じて、メインMPU30aが各種アクチュエータをそれぞれ駆動制御する。また、表示制御回路31、音声制御回路32及び賞球制御回路33に対しても、それぞれ制御指令が送信される。
パチンコ遊技機は、遊技中に、通過球センサ20が、普通図柄作動用ゲート7での遊技球通過による検知信号を出力すると、主制御回路30上のメインMPU30aが、この検知信号に応じて、普通図柄表示用LED11a、11bでの遊技に関する各種判定を行う。そして、その判定結果に基づいて普通図柄表示用LED11a、11bの表示を制御する。
始動入賞球センサ22は、始動入賞口6での遊技球入賞による検知信号を出力すると、主制御回路30上のメインMPU30aが、この検知信号に基づいて、液晶表示装置4での遊技に関する各種判定を行う。そして、その判定に基づき液晶表示装置4での表示態様(例えば、特別図柄の変動表示開始から確定表示又は揺れ変動までの変動表示パターン、確定表示態様(停止表示する場合に表示する図柄)、キャラクタ画像又は背景画像などの演出表示態様など)を決定し、当該決定結果に基づいた表示制御指令信号(表示制御コマンド信号)を生成し、液晶表示装置4の表示制御を行う表示制御手段としての表示制御回路31に送信する。
具体的には、左図柄、中図柄、右図柄からなる変動表示を備える場合に、表示結果として確定表示する左図柄を指定する左図柄指定コマンド信号、表示結果として確定表示する中図柄を指定する中図柄指定コマンド信号、表示結果として確定表示する右図柄を指宜する右図柄指定コマンド信号、変動表示パターン指定コマンド信号(図柄画像の変動表示態様、キャラクタ画像の変動表示態様、背景画像の変動表示態様、吹出し画像の変動表示態様などの情報を含む)などを変動開始と略同時期に主制御回路30から表示制御回路31に送信し、所定の秒数後(例えば30秒後など)に図柄確定表示信号を主制御回路30から表示制御回路31に送信する。また、次回以降の変動表示パターン指定信号に基づいて開始する変動で、大当りが発生することを判定した場合には、上記の信号とは別に、大当りとなる変動開始よりも以前に、大当りが発生することを遊技者に報知するための演出表示の開始を指定する大当り事前予告演出指定コマンド信号を主制御回路30から表示制御回路31に送信する場合もある。また、判定結果が“大当り”であれば、大入賞口8の扉を開いて遊技球が入賞しやすい開状態に変換する。
表示制御回路31は、主制御回路30より受信した制御コマンド信号に基づいて液晶表示装置4に表示すべき画像データを生成し、該画像データの表示制御を実行する。この表示制御回路31は、主制御回路30を構成する基板とは別の基板上に各種制御装置を配置して構成されている。また、第1図柄列態様で停止表示をおこなうためのデータ、及び第2図柄列態様で停止表示をおこなうためのデータは表示制御回路31に記憶し、第1図柄列態様及び第2図柄列態様のいずれの表示態様により停止表示するかを、主制御回路30で決定するように構成することができる。例えば、「通常変動」から「リーチ変動」へ、「リーチ変動」から「第1図柄列態様でゆれ変動」という変動パターン(例えば第1変動パターンとする。)と、「通常変動」から「リーチ変動」へ、「リーチ変動」から「第2図柄列態様でゆれ変動」という変動パターン(例えば第2変動パターンとする。)とを含む2つ以上の複数の変動パターンを設け、複数の変動パターンのうちのいずれかの変動パターンに対応する変動表示パターン指定コマンド信号を主制御回路30から表示制御回路31に送信し、表示制御回路31は受信した信号に基づいて、特別図柄を変動表示又は停止表示させるように構成しても良い。
但し、本発明はこの構成に限定するものではなく、主制御回路30では、停止表示する場合の図柄列態様は決定せず、表示制御回路31で決定して表示することもできる。例えば、図柄を変動表示中に上記大当り事前予告演出指定コマンド信号を受信した場合は、第1図柄列態様でゆれ変動、確定表示などを必ず又は高い確率でおこない、受信しなかった場合は第2図柄列態様でゆれ変動、確定表示などをおこなうように構成しても良い。
これら各種制御装置には、主制御回路30から受信した制御コマンドの解釈および後述のVDP31dのパラメータ設定を行うサブMPU31a、サブMPU31aで実行する制御プログラムを格納するプログラムROM31b、上記制御プログラムを実行するときの一時的な記憶手段としてのワークRAM31c、画像を形成するためのドットデータを格納する画像ROM31e、サブMPU31aで設定されたパラメータに応じて画像ROM31e内のドットデータを読み込み、表示すべき画像データを生成するVDP(Video Display Processor)31d、VDP31dで生成された画像データをRGB信号に変換するD/A変換器31g、制御プログラムが異常な処理ルーチンに入ったことを検出する一方、正常な処理ルーチン中は所定時間内にサブMPU31a及びVDP31dを初期状態に戻すためのリセット命令を発生するウォッチドッグタイマ機能を有するCTC(Count Timer Controller)31f、及びCTC31fからのリセット命令によりリセット信号を発生するリセットIC31hが含まれている。
例えば、主制御回路30では、メイン遊技制御処理及び割込み処理が行われる。このイン遊技制御処理では、最初に、割込み許可フラグをセットする。この割込み許可フラグをセットすることにより、割込み処理が実行される。
次に、停止図柄選択用乱数カウンタの更新処理を行う。この停止図柄選択用乱数カウンタは、大当り判定の判定結果が「ハズレ」のとき液晶表示装置4にどの特別図柄を表示するかの選択に用いられる。当該カウンタの更新処理では、カウント値のカウントアップ(+1加算)を毎回行い、上限値に達した次回の更新処理では、再度「0」からカウントアップしなおすように構成されている。停止図柄選択用乱数カウンタでは、上限値が「11」に設定されている。なお、この停止図柄選択用乱数カウンタは、左図柄選択用乱数カウンタ、中図柄選択用乱数カウンタ、及び右図柄選択用乱数カウンタの3つのカウンタで構成され、それぞれ別個に更新処理を行うように構成している。
また、主制御回路30から表示制御回路31へ送信するコマンド信号に、上記の左・中・右の各図柄指定コマンド信号、変動表示パターン指定コマンド信号、大当り事前予告演出指定コマンド信号などの表示制御コマンド信号の他に、例えば、遊技者による操作が可能な位置に設けられた図柄の変動表示を停止させる図柄変動表示停止ボタンを遊技者が操作した場合に主制御回路30から表示制御回路31に送信される図柄変動表示停止指令コマンド信号を設け、その信号を受信した場合に、停止表示する図柄列態様を第1図柄列態様にするか、第2図柄列態様にするかを、その信号を受信する前に受信した上記の表示制御コマンド信号や所定の乱数抽選などに基づいて決定するように構成しても良い。
引き続き、停止図柄選択用乱数カウンタの更新処理を終了した後に、主制御回路30から表示制御回路31、音声制御回路32等の各種制御回路に対してコマンドが送信中であるかどうか判別し、送信中であれば、割り込み許可フラグをセットする。一方、コマンドが送信中でなければ、エラーチェック処理についてのコマンドを生成し、生成されたコマンドに基づきエラーチェック処理を実行する。
そして、エラー発生中かどうかを判別し、エラー発生中であれば、割り込み許可フラグをセットする。一方、エラー発生中でなければ、特別図柄ゲーム制御処理を実行するように構成する。
さらに、主制御回路30により表示結果を決定する表示結果決定用データを生成し、該表示結果決定用データに基づく表示結果を前記図柄表示手段としての液晶表示装置4に表示させる表示結果決定用データ生成手段としての表示制御回路31をさらに備えることができる。
図5は、本実施の形態に用いる大当り停止態様選択テーブルを示す図である。パチンコ遊技機は、特別図柄ゲーム制御処理を遂行中に、大当り停止態様選択用乱数カウンタで更新されたカウント値を大当り図柄選択用乱数値として抽出し、大当り停止態様を選択する。この処理では、メインROM30b(図4参照)内に格納された図示する大当り停止態様選択テーブルを参照し、大当り図柄選択用乱数値に基づいて、予め定められた複数の大当り停止態様の中から一つの図柄を選択する。
例えば、大当り停止態様選択テーブルでは、9種類の「一」から「九」までの漢数字図柄と、3種類の「武士」、「老人」、「太鼓」の文字図柄が特別図柄として設定され、この大当り停止態様選択テーブルに示すように、同一態様の特別図柄が3つ揃った停止態様が大当り停止態様である。
また、大当り停止態様を液晶表示装置4に表示するための画像データは、表示制御回路31の画像ROM31e(図4参照)内に格納される。この大当り停止態様選択テーブルでは各大当り停止態様を識別するための12個のコードナンバーが割り当てられ、選択された大当り停止態様のコードナンバーが「左停止図柄番号指定コマンド」、「中停止図柄番号指定コマンド」及び「右停止図柄番号指定コマンド」の指定情報としてそれぞれ設定される。
引き続き、演出グループ番号選択用の乱数に基づいて演出番号を選択すると共に、大当り停止態様選択用乱数カウンタで更新されたカウント値を大当り図柄選択用乱数値として抽出し、大当り停止態様を選択して「演出グループ番号指定コマンド」、「左停止図柄番号指定コマンド」、「中停止図柄番号指定コマンド」及び「右停止図柄番号指定コマンド」を生成し、これらのコマンドをメインRAM30cに格納する。ここで、メインRAM30cに格納されたコマンドは、表示制御回路31へ送信される。
図6は、本実施形態による遊技機としての遊技盤2の模式的な正面図であり、液晶表示装置4に表示される演出態様を示した図である。
図6(a)に示すように、液晶表示装置4の表示画面上には、第1の拡大可能境界とての第1ターゲットスコープ51と、第2の拡大可能境界としての第2ターゲットスコープ52と、第3の拡大可能境界としての第3ターゲットスコープ53が単線で略矩形状に形成されている。各ターゲットスコープは、入れ子状、すなわち、第1ターゲットスコープ51、第2ターゲットスコープ52、第3ターゲットスコープ53の順に大きくなるように形成されている。
第1ターゲットスコープ51の内側には、少なくとも図柄の変動表示を行う変動表示領域60が形成されている。さらに変動表示領域60の外側には変動表示領域60ではない領域としての非変動表示領域61が形成されている。変動表示領域60は、表示制御回路31(図4参照)による制御によって、演出態様としての“忠臣蔵”の登場人物の特定キャラクタ映像が静止画もしくは動画で表示することができるように構成されている。図中の変動表示領域60では、第1ターゲットスコープ50内に忠臣蔵の登場人物と変動表示領域60内下方に特別図柄としての“587”のナンバーが表示されている。
変動表示領域60と非変動表示領域61とは、表示境界50を介して接している。すなわち、表示境界50は、変動表示領域60と非変動表示領域61とを区画するように形成されている。
さらに、サブMPU31aは、表示境界50を第1ターゲットスコープ51に至るまで拡大して表示するように制御している。すなわち、変動表示領域60は、図8及び図9で後述するように、リーチを予告する演出やスーパーリーチによる演出等に伴い、表示境界変更手段としてのサブMPU31a(図4参照)によって、表示境界50が第1ターゲットスコープ51、第2ターゲットスコープ52、第3ターゲットスコープ53に至るまで順次段階的に拡大するように制御されている。したがって、拡大可能境界としての各ターゲットスコープ51、52、53は、表示境界50が拡大可能な大きさ、すなわち、変動表示領域60が拡大可能な大きさを表していることとなる。また、変動表示領域60が拡大する際には、変動表示領域60に表示されている画像も共に拡大するように制御することもできるし、後述で具体的に説明するように、変動表示領域60に表示されている画像表示を維持しつつ、変動表示領域60が拡大することによって広がった変動表示領域60の略枠状の領域に新たな画像を表示するように制御することもできる。
図6(b)に示すように、変動表示領域60は、サブMPU31aの制御により、表示境界50が第1ターゲットスコープ51に至るまで拡大表示される。このとき、第1ターゲットスコープ51に、変動表示領域60と非変動表示領域61とを区画する表示境界50が重なる。なお、変動表示領域60の拡大は瞬時に行ってもよいし、所定の時間、例えば0.5秒から1秒をかけて徐々に行ってもよい。以下で説明する拡大においても同様である。
同様に図6(c)では、変動表示領域60は、第1ターゲットスコープ51に重なった表示境界50が第2ターゲットスコープ52に至るまでさらに拡大表示され、第2ターゲットスコープ52に表示境界50が重なり、図6(d)では、変動表示領域60は、第2ターゲットスコープ52に重なった表示境界50が第3ターゲットスコープ53に至るまでさらに拡大表示され、第3ターゲットスコープ53に表示境界50が重なるように制御されている。
なお、非変動表示領域61は、表示制御回路31によって、変動表示領域60に表示される演出に関連するような画像又は映像を表示するように制御してもよい。非変動表示領域61の画像は変動する図柄の画像であってもよいし、静止図柄の画像であってもよい。この場合、例えば、変動表示領域60に表示される演出を補助するような画像又は映像を表示することで、演出をより一層盛り上げることができる。また、表示境界50が第1ターゲットスコープ51、第2ターゲットスコープ52、第3ターゲットスコープ53に至るとは、表示境界50が実質的に第1ターゲットスコープ51、第2ターゲットスコープ52、第3ターゲットスコープ53の近傍に止まればよく、例えば、数ピクセル前後ずれていてもよい。
さらに、図7に示すように、表示境界50が拡大すると単に変動表示領域60の全体が拡大されるだけではなく、焦点移動を伴わず対象物、ここでは“大石蔵之助”に接近する、もしくは遠ざかるように、変動表示領域60の一部がズームインや、ズームアウトなどを行う画像を表示してもよい。図中の変動表示領域60は、第1ターゲットスコープ51内に“大石蔵之助”のズームアップ画像を表示しており、変動表示領域60が段階的に拡大するのに伴い、“大石蔵之助”の画像も段階的にズームアップ、すなわち遊技者が段階的に“大石蔵之助”に近づくが如く制御されている。この場合、迫力のある画像でゲームを演出することができる。また、サブMPU31aは、表示境界50を拡大して表示することに伴って、表示されている画像の範囲が広がるように制御してもよい。すなわち、変動表示領域60は、変動表示領域60が段階的に拡大するのに伴い、“大石蔵之助”等の画像表示を維持しつつ、拡大することによって広がった変動表示領域60の略枠状の領域に新たな画像、例えば、“大石蔵之助” 等の画像に関連した背景画像として、従者の人数を増やす等の画像を表示し、徐々に遊技者の視界が広がるが如く表示制御することもできる。このように構成する場合は、遊技者に臨場感を与え、興趣を高めることに資することとなる。
変動表示領域60は、サブMPUによって、特別遊技状態に移行する可能性がどの位あるかという情報である「大当り信頼度」が高くなるほど、第1ターゲットスコープ51から第3ターゲットスコープ53まで順番に拡大表示されるように制御されている。例えば、変動表示領域60は、通常の状態(図6(a)の状態)で大当り信頼度が約0%から10%、大当り信頼度が約11%から25%の状態では、第1ターゲットスコープ51まで拡大(図6(b)の状態)され、大当り信頼度が約26%から40%の状態では、第2ターゲットスコープ52まで拡大(図6(c)の状態)され、大当り信頼度が約41%から100%の状態では、第3ターゲットスコープ53まで拡大(図6(d)の状態)されるように制御されている。
なお、各ターゲットスコープ50、51、52、53は液晶表示装置4の画面の盤面に描写されているセル画のデザインと一体化して形成してもよい。各ターゲットスコープ50、51、52、53を液晶表示装置4の画面の盤面を目安として形成することで、遊技者にとって視認し易くなり、境界線にわずらわしさを感じさせることがなくなる。
次に、図8の本実施形態としての遊技機1のフローチャートを参照して、大当りを予告する演出に伴った表示境界変更処理、ここでは、「大当り信頼度」が高くなるほど変動表示領域60が拡大することを予告演出として用いる表示境界変更処理について説明する。構成要素の符号については適宜図3または図4を参照する。
ここでまず、遊技球が始動入賞口6を通過し始動入賞した時に、既にそれ以前の始動入賞により特別図柄の変動が実行されている場合には、保留球が記憶される。保留球は特別図柄記憶LED12の点灯によって表示され、最大4つまで記憶可能である。保留された記憶による大当り判定処理は、始動入口6に入賞するのと略同時に、大当り判定用の乱数値が1つサンプリングされ、その乱数値をもとに当該保留球による変動表示が開始される直前に大当り判定が1回だけ行われる。保留された状態で既に大当り判定のパラメータである乱数値が存在する場合、当該保留球による変動表示を行う前の段階に、大当りとなる保留球が存在することを予め判断することが可能となる。これにより、当該保留球による変動表示が行われる前に、すなわち、まだ保留されている状態において、大当りの予告演出を行うことができる。また、保留されていない状態で変動表示が行われている場合でも、当該変動が大当りであるが否かを判断することができるため、当該変動表示中にも大当りの予告演出を行うことができる。さらに、変動開始時には、サブMPU31aによって画像ROM31e内に格納されている予告パターンのうち、いずれの予告を演出するかが選択される。
ここでは、選択され得る予告の演出として変動表示領域60が第1ターゲットスコープ51まで拡大する予告A、変動表示領域60が第2ターゲットスコープ52まで拡大する予告B、変動表示領域60が第3ターゲットスコープ53まで拡大する予告Cがあり、予告Aの大当りとなる信頼度は10%、予告Bの大当りとなる信頼度は20%、予告Cの大当りとなる信頼度は30%に各々設定されているものとする。
リーチを予告する演出に伴った表示境界変更処理では、まずサブMPU31aによって予告Aが成立したか否かが判定され(S100)、予告Aが成立したと判定された場合には、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第2ターゲットスコープ51まで拡大表示され(S102)、予告Aが成立しなかったと判定された場合には、表示境界変更処理を終了する。変動表示領域60が第1ターゲットスコープ51まで拡大表示されると、つぎに、サブMPU31aによって予告Bが成立したか否かが判定され(S104)、予告Bが成立したと判定された場合には、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第2ターゲットスコープ52までさらに拡大表示され(S106)、予告Bが成立しなかったと判定された場合には、表示境界変更処理を終了する。変動表示領域60が第2ターゲットスコープ52まで拡大表示されると、つぎにサブMPU31aによって予告Cが成立したか否かが判定され(S108)、予告Bが成立したと判定された場合には、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第3ターゲットスコープ53までさらに拡大表示され(S110)、予告Cが成立しなかったと判定された場合には、表示境界変更処理を了する。変動表示領域60が第3ターゲットスコープ53まで拡大表示されると、表示境界変更処理は終了し、大当りであれば特別遊技状態、大当りでなければ通常遊技状態に移行する。
以上で説明した遊技機1によれば、各ターゲットスコープ51、52、53が液晶表示装置4にあらかじめ表示されているので、遊技者は変動表示領域60がどこまで拡大するのかを明確に把握することができる。また、何段階拡大し、現在の表示がどの段階の拡大表示なのかが視認により容易に確認することができ、さらに、通常変動中に予告が成立し変動表示領域60が段階的に拡大表示されることに応じて信頼度が上昇したことが明確に把握できるようになり、興趣性が向上する。
また、本実施の形態に係る遊技機1では、通常遊技中には拡大可能境界である各ターゲットスコープ51、52、53を表示しない構成とすることができる。この場合、所定の演出が行われる直前まで、各ターゲットスコープ51、52、53を表示せず、演出の寸前にサブMPU31aの制御により表示するように構成する。すなわち、液晶表示装置4は、例えば後述の図9のフローチャートに示すように、リーチ発生とともに各ターゲッスコープ51、52、53を表示し、演出を伴うことで大当りへの信頼度が高いリーチであることを遊技者に対して示唆する、いわゆる「スーパーリーチ」による演出に伴って、変動表示領域60が拡大するようにサブMPU31aによって制御されている。
なお、リーチとは、最後に停止表示される図柄の組以外の組において図柄が停止表示された状態で、最後に停止表示される図柄の停止表示態様によっては、大当りが発生する可能性があることをいい、例えば特別図柄を3組に区分して変動表示する場合に、第1停止図柄および第2停止図柄が停止した段階で、大当りが発生する可能性が生じたこと、例えば第1停止図柄、第2停止図柄がともに同一の数字「七」となったことをいう。
図9は、スーパーリーチによる演出に伴った表示境界変更処理について説明するフローチャートである。構成要素の符号については適宜図3または図4を参照する。
まず、サブMPU31aによって、リーチ発生か否かの判定処理が実行され(S200)、リーチが発生していないと判断された場合には表示境界変更処理を終了する。リーチが発生していると判断された場合には、液晶表示装置4に拡大可能境界としての各ターゲットスコープ51、52、53を表示する(S202)。つぎに、大当りとなる信頼度が10%程度であるスーパーリーチA、大当りとなる信頼度が20%程度であるスーパーリーチB、大当りとなる信頼度が30%程度であるスーパーリーチCのうちのいずれかが表示されたか否かを判定する(S204)。
なお上記説明では、スーパーリーチBは、スーパーリーチAから発展したスーパーリーチであり、スーパーリーチCは、スーパーリーチBから発展したスーパーリーチであるものとして説明したが、これに限らず、各スーパーリーチA、B、Cは、それぞれ独立したスーパーリーチであってもよいことは言うまでもない。
いずれも表示されていないと判定されれば、変動終了か否かの判定処理(S216)に分岐し、いずれかが表示されたと判定されれば、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第1ターゲットスコープ51まで拡大表示される(S206)。つぎに、スーパーリーチB、スーパーリーチCのうちのどちらかが表示されたか否かを判定する(S208)。どちらも表示されていないと判定されれば、変動終了か否かの判定処理(S216)に分岐し、いずれかが表示されたと判定されれば、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第2ターゲットスコープ52まで拡大表示される(S210)。
さらに、スーパーリーチCが表示されたか否かを判定する(S212)。スーパーリーチCが表示されていないと判定されれば、変動終了か否かの判定処理(S216)に分岐し、スーパーリーチCが表示されたと判定されれば、サブMPU31aにより変動表示領域60は、第3ターゲットスコープ53まで拡大表示される(S214)。
つぎに、変動終了か否かの判定処理が実行され(S216)、変動中と判定されれば、S204からの処理を繰り返し実行し、変動終了と判定されれば、サブMPU31aの制御により液晶表示装置4に表示されている各ターゲットスコープ51、52、53を再び非表示とし、表示境界変更処理を終了し、大当りであれば特別遊技状態、大当りでなければ通常遊技状態に移行する。 以上で説明した遊技機1によれば、サブMPU31aにより、通常変動中には、各ターゲットスコープ51、52、53が液晶表示装置4に表示されておらず、リーチ成立により出現するように制御されているため、遊技者に対して各ターゲットスコープ51、52、53にわずらわしさを感じさせることがない。さらに、スーパーリーチ成立により、変動表示領域60が拡大表示され、成立したスーパーリーチがスーパーリーチ群のうち信頼度が高い特定のスーパーリーチであればさらに拡大表示されるので、スーパーリーチの期待度を明確に把握することができ遊技者に対して期待感を持続させ、遊技性の向上を図ることができる。
本発明の第2の実施の形態であるソフトウエアプログラムは、パソコンや遊技機、ゲーム機などのコンピュータに以上で説明した各処理を実行させるように、該コンピュータにインストールされるソフトウエアプログラムであり、ROMカートリッジ、CD−ROM、DVD等の記録媒体に記憶させたり、通信衛星等のネットワーク環境下、あるいはインターネット等の通信回線を利用して配布されるものである。
本ソフトウエアプログラムは、コンピュータに、複数の図柄群を変動表示して停止させるようにしたシミュレーションゲームプログラムであって、以上で説明した表示境界変更処理を行うように構成されている。
そして、テレビゲームコントローラやパソコン等のコンピュータに表示境界変更処理を実行させるものであり、コンピュータの画像モニタ上に電動チューリップ5(図3参照)や一般始動入賞口6(図3参照)等を含めた遊技盤2(図3参照)の全体の画像を写し出すと共に、打球発射装置42(図1参照)に変わるキーボード上に特定キーや専用操作ボタン等からなる操作スイッチを操作しながら疑似遊技が楽しめるように構成されている。
なお、本発明の実施の形態である遊技機1は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記説明では、拡大可能境界は、各ターゲットスコープ51、52、53として単線であるものとして説明したがこれに限らず、例えば、波線であってもよいし、額縁のようにある幅を持った環状の領域として構成してもよい。拡大可能境界が、額縁の枠のように幅を持った領域である場合、拡大可能境界の幅を持った領域内で、キャラクタの予告演出や予備的・幇助的な変動表示を行うことができ、これにより変動表示領域での演出表示がさらに盛り上げられ遊技者対しての興趣性を向上させる。また、拡大可能境界は、第4段階、第5段階、第6段階、第n段階というように、実行する演出態様に応じて段階を任意に増減させることが可能であることはいうまでもない。
本発明に係る遊技機の機能を実現するためのコンピュータプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶させることができ、あるいはインターネット等の電気通信回線や衛星通信回線を利用して配布することができる。
なお、本発明に係る遊技機は、上述した実施形態に限定されるものではなく、スロットマシン、パチスロ遊技機等の他の遊技機にも適用することができる。