JP2005033867A - 電力制御装置及び電力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置を提供する。
【解決手段】バッテリB1の入出力電位、及び走行モータを駆動するためにバッテリB1と走行モータとの間に備えられたインバータ回路の入出力電位を、チョッパ回路を用いて昇圧または降圧することにより、PAM制御を用いて走行モータを駆動すると共に、走行モータの駆動または回生に伴うバッテリB1の充放電を制御する昇降圧回路1と、バッテリB1の電位より低電位の電力で動作する補機類への電力供給を制御する降圧回路2とを備え、昇降圧回路1のチョッパ回路をトランスT1の1次巻き線L1により構成すると共に、1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に電力を誘起させ、降圧回路2は、2次巻き線L2、L3に誘起された電力の電位を降圧して補機類へ供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】バッテリB1の入出力電位、及び走行モータを駆動するためにバッテリB1と走行モータとの間に備えられたインバータ回路の入出力電位を、チョッパ回路を用いて昇圧または降圧することにより、PAM制御を用いて走行モータを駆動すると共に、走行モータの駆動または回生に伴うバッテリB1の充放電を制御する昇降圧回路1と、バッテリB1の電位より低電位の電力で動作する補機類への電力供給を制御する降圧回路2とを備え、昇降圧回路1のチョッパ回路をトランスT1の1次巻き線L1により構成すると共に、1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に電力を誘起させ、降圧回路2は、2次巻き線L2、L3に誘起された電力の電位を降圧して補機類へ供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄電装置の電力を、電位を変換して負荷へ供給する電力制御装置及び電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印加電圧の高調波成分に基づきモータに発生する鉄損による損失を低減し得て、モータを高い効率で駆動することができるモータの駆動装置がある。
この装置では、インバータ主回路の電源極性に対して逆極性を有するバッテリと、リアクトル(インダクタンス素子)と、バッテリとインバータ主回路との間に設けられた駆動用チョッパ回路と、この駆動用チョッパ回路をオンオフ制御してインバータ主回路に印加する電圧を制御すると共に、インバータ主回路にPWM信号を与えて前記モータの駆動を制御する制御手段とを具備している。また、制御手段は、インバータ主回路の電源極性に対して逆極性を有するバッテリと、インバータ主回路との間に設けられた駆動用チョッパ回路をオンオフ制御してインバータ主回路に印加する電圧を制御し、インバータ主回路に与えるPWM信号のデューティ比が常に100%となるようにモータを駆動することにより、モータの印加電圧に含まれる高調波成分を抑制している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−51683号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する自動車では、走行用モータを駆動するための高電位バッテリと、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリとを備えている。
このような自動車では、モータの回生電力により充電される高電位バッテリを用いて低電位バッテリを充電したり、車両用補機へ電力を供給することで、例えば走行中等に外部から電力を供給されなくても、車両内の高電位バッテリに蓄えられた電力を利用して、車両用補機を動作させながら車両を走行させることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような従来のモータの駆動装置を利用している場合、高電位バッテリから低電位バッテリ及び車両用補機へ電力を供給するためには、高電位バッテリの電圧を低電位バッテリの電圧に変換するためのダウンバータ(DC−DCコンバータ)を別に設ける必要があり、自動車のシステム重量の増加や、容積の増加を招き、自動車の燃費の悪化を招くと共に自動車自体のコストを上昇させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置及び電力制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る電力制御装置は、蓄電装置(例えば実施の形態のバッテリB1)の入出力電力を、トランス(例えば実施の形態のトランスT1)の1次巻き線により構成されたチョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧し、PAM制御を用いてモータを駆動するための電力として、前記蓄電装置と前記モータとの間に備えられたインバータ回路へ供給すると共に、前記インバータ回路の前記蓄電装置側に、前記モータの回生電力によって発生する入出力電力を、前記チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧して前記蓄電装置へ供給することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する昇降圧回路(例えば実施の形態の昇降圧回路1)と、前記蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷への電力供給を制御する降圧回路(例えば実施の形態の降圧回路2)と、前記昇降圧回路と前記降圧回路を制御する制御部(例えば実施の形態の制御部3)とを備え、前記制御部が、前記トランスの1次巻き線に電力を供給することにより、前記トランスの2次巻き線に電力を誘起させ、前記降圧回路により前記トランスの2次巻き線に誘起された電力の電位を降圧して前記負荷へ供給することを特徴とする。
【0008】
以上の構成を備えた電力制御装置は、制御部が、PAM(Pulse Amplitude Modulation)制御によるモータの駆動または回生に伴い、蓄電装置の入出力電力を、その電位を昇圧または降圧してインバータ回路へ供給する際、あるいはインバータ回路の蓄電装置側に発生する入出力電力を、その電位を昇圧または降圧して蓄電装置へ供給する際、昇降圧回路を構成するトランスの1次巻き線に電力を供給し、トランスの2次巻き線に電力を誘起させると共に、降圧回路によりトランスの2次巻き線に誘起された電力の電位を降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0009】
請求項2の発明に係る電力制御装置は、請求項1に記載の電力制御装置において、前記昇降圧回路が、前記蓄電装置の正極側端子に直列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD1)を備え、前記蓄電装置の正極側端子から電流が流れ出る方向に導通する第1のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q1)と、前記蓄電装置と前記第1のスイッチング素子との直列回路に並列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD2)を備え、前記第1のスイッチング素子から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第2のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q2)と、前記第1のスイッチング素子が前記第2のスイッチング素子と接続する接点に1次巻き線の一方の端子が接続されると共に、該1次巻き線と同一方向に巻き込まれた2次巻き線を備え、前記トランスに該当する第1トランス(例えば実施の形態のトランスT1)と、前記第1トランスの1次巻き線のもう一方の端子と前記インバータ回路の入力端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD3)を備え、前記インバータ回路から前記第1トランスの1次巻き線の方向へ導通する第3のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q3)と、前記第1トランスの1次巻き線が前記第3のスイッチング素子と接続する接点と、前記蓄電装置の負極側端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD4)を備え、前記第1トランスの1次巻き線から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第4のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q4)とを具備し、前記降圧回路が、前記第1トランスの2次巻き線の両端端子に一方の端子がそれぞれ接続されると共に、前記負荷へ電流を流すように導通する2個の整流用ダイオード(例えば実施の形態の整流用ダイオードD5、D6)と、前記2個の整流用ダイオードのそれぞれのもう一方の端子に1次巻き線が共通に接続されると共に、該1次巻き線と反対方向に巻き込まれた2次巻き線を備える第2トランス(例えば実施の形態のトランスT2)と、前記第2トランスの2次巻き線と前記第1トランスの2次巻き線の中間タップとの間に設けられた第5のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q5)と、前記第2トランスの2次巻き線が前記第5のスイッチング素子と接続する接点と、前記第2トランスの1次巻き線との間に接続されると共に、前記第2トランスの2次巻き線から前記第2トランスの1次巻き線の方向へ導通するダイオード(例えば実施の形態のダイオードD7)とを具備することを特徴とする。
【0010】
以上の構成を備えた電力制御装置は、昇降圧回路が、第1から第4のスイッチング素子のスイッチングにより、蓄電装置に蓄電された電力の電位を降圧または昇圧してインバータ回路へ供給することで、インバータ回路を介して接続されたモータを駆動することができる。一方、同様に昇降圧回路が、第1から第4のスイッチング素子のスイッチングにより、インバータ回路を介して接続されたモータの回生電力の電位を降圧または昇圧して蓄電装置に電力を供給することで、蓄電装置を充電することができる。また、降圧回路が、第1トランスを介して昇降圧回路から供給される電力を、第5のスイッチング素子のスイッチングにより降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0011】
請求項3の発明に係る電力制御方法は、請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、前記昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値(例えば実施の形態のVpdu制御指示値)と前記蓄電装置の入出力電圧測定値(例えば実施の形態のバッテリB1の両端電圧Vbatt)とを比較して、前記第1トランスの1次巻き線の両端に印加される電圧により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理(例えば実施の形態のステップS10)と、前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS11)とを含むことを特徴とする。
【0012】
これにより、昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値と蓄電装置の入出力電圧測定値とが近接し、第1トランスの1次巻き線の両端に十分な電圧が印加されず、第1トランスの2次巻き線に十分な電力を誘起することができないと判断できる場合、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定すると共に、平均値が昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に対応した交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0013】
請求項4の発明に係る電力制御方法は、請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値(例えば実施の形態の入出力電力制御指示値)に基づいて、前記第1トランスの1次巻き線を流れる電流により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理(例えば実施の形態のステップS1、S3)と、前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS5、S13)とを含むことを特徴とする。
【0014】
これにより、昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値が小さく、第1トランスの1次巻き線に、蓄電装置の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、第1トランスの2次巻き線に断続的にしか電力を誘起することができないと判断できる場合、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定すると共に、平均値が電力指示値に対応する交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0015】
請求項5の発明に係る電力制御方法は、請求項4に記載の電力制御方法において、前記電力指示値が零である場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が零の交番電流を前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS2)を含むことを特徴とする。
【0016】
これにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない状況の中でも、特に第1トランスの1次巻き線に全く電流が流れず、第1トランスの2次巻き線に全く電力を誘起することができないと判断できる場合、昇降圧回路の第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が零の交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0017】
請求項6の発明に係る電力制御方法は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の電力制御方法において、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する処理(例えば実施の形態のステップS7、S9、S15、S17)を含むことを特徴とする。
【0018】
これにより、蓄電装置の電力の電位を昇圧または降圧してインバータ回路へ供給し、PAM制御によりモータを駆動することができると共に、モータの回生エネルギーにより発生した電力をインバータ回路から取得し、該電力の電位を昇圧または降圧して蓄電装置を充電することができる。
【0019】
請求項7の発明に係る電力制御方法は、請求項3から請求項6のいずれかに記載の電力制御方法において、前記第5のスイッチング素子を制御することにより、前記負荷への電力供給を制御する処理を含むことを特徴とする。
【0020】
これにより、電力を負荷へ供給する際に、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ供給された電力の電位を希望の電位に降圧して負荷へ供給することができる。
【0021】
請求項8の発明に係る電力制御方法は、請求項7に記載の電力制御方法において、前記第5のスイッチング素子を制御して前記負荷への電力供給を制御する場合、前記第5のスイッチング素子の動作速度を、前記第1から第4のスイッチング素子の導通または遮断の状態に基づいて決定することを特徴とする。
【0022】
これにより、電力を負荷へ供給する際に、降圧回路が出力する電力の電位を適切かつ容易に制御することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(全体構成)
本実施の形態の電力制御装置は、例えばエンジンの出力を補助して車両を走行させるための走行モータを備えたハイブリット車両(HEV:Hybrid Electric Vehicles)等において、走行モータを駆動する際に有用な装置である。図1は、本発明の一実施の形態の電力制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、バッテリB1は、例えば本実施の形態の電力制御装置が搭載された車両を走行駆動するエンジンを補助するか、またはこの車両を走行駆動するように、その回転子が車両の駆動装置に連結された走行モータを、インバータ回路を介してPAM制御により駆動するための電力、及びバッテリB1の電位より低電位の電力で動作するワイパーやライト等の車両の補機類を動作させたり、補機類用のバッテリを充電するための電力を蓄電する蓄電装置である。
【0024】
(昇降圧回路)
また、バッテリB1の正極側端子と負極側端子との間には、バッテリB1の入出力電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC1が接続されると共に、バッテリB1の正極側端子には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(フライホイールダイオード:Free Wheeling Diode )D1を備え、バッテリB1の正極側端子から電流が流れ出る方向に導通するスイッチング素子Q1が直列に接続されている。更に、バッテリB1とスイッチング素子Q1との直列回路には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD2を備え、スイッチング素子Q1からバッテリB1の負極側端子の方向へ導通するスイッチング素子Q2が並列に接続されると共に、スイッチング素子Q1がスイッチング素子Q2と接続する接点に、トランスT1の1次巻き線L1の一方の端子が接続されている。
【0025】
更に、トランスT1の1次巻き線L1のもう一方の端子と、走行モータを駆動するためのインバータ回路の入力端子との間には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD3を備え、インバータ回路からトランスT1の1次巻き線L1の方向へ導通するスイッチング素子Q3とが接続されている。更に、トランスT1の1次巻き線L1がスイッチング素子Q3と接続する接点と、バッテリB1の負極側端子との間には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD4を備え、トランスT1の1次巻き線L1からバッテリB1の負極側端子の方向へ導通するスイッチング素子Q4が接続されている。なお、トランスT1の1次巻き線L1のもう一方の端子とスイッチング素子Q3と接続する電力供給線には、トランスT1の1次巻き線L1に流れる電流を計測する電流センサAS1が設けられている。
【0026】
また、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子との間には、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子間の電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC2が接続されており、平滑化コンデンサC1、C2と、転流ダイオードD1、D2、D3、D4と、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4と、トランスT1の1次巻き線L1とにより、昇降圧回路1を構成している。
【0027】
(降圧回路)
一方、トランスT1の1次巻き線L1と同一方向に巻き込まれたトランスT1の2次巻き線の両端端子には、上述の補機類へ電流を流すように導通する2個の整流用ダイオードD5、D6が接続されている。また、トランスT1の2次巻き線には中間タップが設けられており、以下の説明では、中間タップを境に一方の2次巻き線をL2、もう一方の2次巻き線をL3とする。従って、整流用ダイオードD5は、トランスT1の2次巻き線L2の中間タップ側とは反対側の端子に接続され、整流用ダイオードD6は、トランスT1の2次巻き線L3の中間タップ側とは反対側の端子に接続されている。
【0028】
また、2個の整流用ダイオードD5、D6のそれぞれのもう一方の端子には、トランスT2の1次巻き線L4が共通に接続されており、更に、トランスT2の1次巻き線L4と反対方向に巻き込まれたトランスT2の2次巻き線L5と、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点である中間タップとの間には、スイッチング素子Q5が接続されている。また、トランスT2の2次巻き線L5がスイッチング素子Q5と接続する接点と、トランスT2の1次巻き線L4との間には、トランスT2の2次巻き線L5からトランスT2の1次巻き線L1の方向へ導通するダイオードD7が接続されている。
【0029】
更に、トランスT2の1次巻き線L4のダイオードD7との接点の反対側と、トランスT2の2次巻き線L5のダイオードD7との接点の反対側との間には、トランスT2の1次巻き線L4とトランスT2の2次巻き線L5との間の電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC3が接続されており、整流用ダイオードD5、D6と、トランスT1の2次巻き線L2、L3と、トランスT2の1次巻き線L4と、トランスT2の2次巻き線L5と、スイッチング素子Q5と、ダイオードD7と、平滑化コンデンサC3とにより、降圧回路2を構成している。
【0030】
また、上述のバッテリB1の正極側端子と負極側端子との間には、平滑化コンデンサC1と並列に、バッテリB1の両端電圧を計測するための電圧センサVS1が設けられると共に、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子との間には、平滑化コンデンサC2と並列に、昇降圧回路1の入出力電圧を計測するための電圧センサVS2が設けられている。また、トランスT2の1次巻き線L4のダイオードD7との接点の反対側と、トランスT2の2次巻き線L5のダイオードD7との接点の反対側との間には、平滑化コンデンサC3と並列に、降圧回路2の出力電圧を計測するための電圧センサVS3が設けられている。
【0031】
(制御部)
また、本実施の形態の電力制御装置は、昇降圧回路1の入出力制御、及び降圧回路2の出力制御を実行するCPU(中央演算装置)を備えた制御部3を備えており、バッテリB1の両端電圧を示す電圧センサVS1の計測データVbattと、昇降圧回路1の入出力電圧を示す電圧センサVS2の計測データVpduと、降圧回路2の出力電圧を示す電圧センサVS3の計測データVdvと、トランスT1の1次巻き線L1に流れる電流を示す電流センサAS1の計測データILは、制御情報として、昇降圧回路1と降圧回路2とを制御するために設けられた制御部3に入力されている。
【0032】
更に、制御部3には、走行モータの駆動を制御するために設けられたモータECU(Electronic Control Unit :図示せず)から、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値と、走行モータの回転数を通知するモータ回転数と、昇降圧回路1におけるバッテリB1に対する充放電動作を指示する入出力電力制御指示値とが、制御情報として入力されており、制御部3から各スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5の各ゲート端子には、各制御情報に基づいて制御部3が各スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5のスイッチングを制御するための制御線が接続されている。
【0033】
(トランス)
なお、上述のトランスT1について、図2に示す断面図を用いて更に詳細に説明すると、トランスT1は、コア50に巻かれた1次巻き線L1の上に、2次巻き線L2、L3を共に同一方向に巻いたものであって、トランスT1の1次巻き線L1と2次巻き線L2、L3の巻き線比は、それぞれの巻き線のターン数をN1、N2、N3で現すと、下記(1)式で示される。
【0034】
N1:N2:N3=1:P:P(Pは任意の数) ・・・(1)
【0035】
また、上述のトランスT2は、コアに巻かれた1次巻き線L4の上に、2次巻き線L5を反対方向に巻いたものであって、トランスT2の1次巻き線L4と2次巻き線L5の巻き線比は、それぞれの巻き線のターン数をN4、N5で現すと、下記(2)式で示される。
【0036】
N4:N5=1:1 ・・・(2)
【0037】
また、バッテリB1は、蓄電池等の蓄電装置に限らず、キャパシタ等、直流電力を蓄電できるものであれば、何を用いても良い。
【0038】
(昇降圧回路の電力制御動作)
次に、本実施の形態の電力制御装置における昇降圧回路の電力制御動作について、図面を参照して詳細に説明する。
(制御マップ)
まず、本実施の形態の電力制御装置の制御部3が、電力制御のモードを決定するための制御マップについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態の電力制御装置の制御部3が電力制御のモードを決定するための制御マップを、横軸はバッテリB1に入出力する充放電電力、縦軸は昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとして示したものである。具体的には、制御マップの横軸の中心X0は、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力と、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力とが平衡する部分であって、この時トランスT1の1次巻き線L1には電流が流れない。また、制御マップの縦軸に示すY0は、バッテリB1の両端電圧Vbattを示すラインであって、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとが平衡する部分である。
【0039】
また、制御マップの横軸の中心X0より右側は、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力を示し、右側に行く程駆動アシスト電力は大きくなる。また、制御マップの横軸の中心X0より左側は、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力を示し、左側に行く程回生電力は大きくなる。一方、制御マップの縦軸に示すY0より上側は、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きいことを示し、上側に行く程入出力電圧Vpduは大きくなる。また、制御マップの縦軸に示すY0より下上側は、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さいことを示し、下側に行く程入出力電圧Vpduは小さくなる。
【0040】
また、制御マップにおいて、領域A1は、バッテリB1から出力する駆動アシスト電力あるいはバッテリB1を充電する回生電力が零に近接し、バッテリB1の放電あるいは充電が断続的にしか行われないため、トランスT1の1次巻き線L1に、バッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、トランスT1の2次巻き線L2、L3に断続的にしか電力を誘起することができないIL不連続領域である。
【0041】
一方、制御マップにおいて、領域A2は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとが近接し、トランスT1の1次巻き線L1の両端に十分な電圧が印加されず、トランスT1の2次巻き線L2、L3に十分な電力を誘起することができない電力供給不可領域である。
また、領域A3は、走行モータの起電圧範囲であって、走行モータに印加される電圧が低いために走行モータが駆動していないモータ停止領域である。
【0042】
これに対し、制御マップの横軸の中心X0より右側であって、縦軸に示すY0より下側に位置すると共に、領域A1、A2、A3に含まれない領域A4は、駆動アシスト電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さい領域であるので、昇降圧回路1がバッテリB1の両端電圧Vbattを降圧しながら、走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する「降圧アシスト領域」である。
【0043】
また、制御マップの横軸の中心X0より右側であって、縦軸に示すY0より上側に位置すると共に、領域A1、A2に含まれない領域A5は、駆動アシスト電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きい領域であるので、昇降圧回路1がバッテリB1の両端電圧Vbattを昇圧しながら、走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する「昇圧アシスト領域」である。
【0044】
また、制御マップの横軸の中心X0より左側であって、縦軸に示すY0より上側に位置すると共に、領域A1、A2に含まれない領域A6は、回生電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きい領域であるので、昇降圧回路1がインバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電圧Vpduを降圧しながら、バッテリB1を充電する「降圧回生領域」である。更に、制御マップの横軸の中心X0より左側であって、縦軸に示すY0より下側に位置すると共に、領域A1、A2、A3に含まれない領域A7は、回生電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さい領域であるので、昇降圧回路1がインバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電圧Vpduを昇圧しながら、バッテリB1を充電する「昇圧回生領域」である。
【0045】
なお、領域A1と領域A2、あるいは領域A1と領域A3とが重なる領域は、重なった両方の領域の条件を満たしている。また、図3の制御マップの縦軸に示すY0、すなわちバッテリB1の両端電圧Vbattが、駆動アシスト電力が大きくなる程(右側へ行く程)低くなり、逆に回生電力が大きくなる程(左側へ行く程)高くなるのは、駆動アシスト電力が大きくなりバッテリB1の放電が進むにつれてバッテリB1の両端電圧Vbattが低くなり、回生電力が大きくなりバッテリB1の充電が進むにつれてバッテリB1の両端電圧Vbattが高くなることを示している。
【0046】
(制御マップと動作モード)
次に、本実施の形態の電力制御装置における制御マップと、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作モードとの対応について説明する。以下に示す表1は、制御マップと、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作モードとの対応を示す表である。表1において、モード(a)からモード(k)は、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作が制御マップのどの領域と対応するかを示したもので、図3に示す制御マップの(a)から(k)で示す部分に相当する。
【0047】
【表1】
【0048】
(降圧回路供給モード2)
表1において、車両が中速で走行している時に加速するような場合であって、バッテリB1の両端電圧Vbattが昇降圧回路1の入出力電圧Vpduと近接するモード(c)、あるいは車両が高速で走行している時にわずかに加速するような場合であって、断続的に走行モータの駆動アシスト電力を必要とするモード(e)、あるいは車両が高速で走行している時にわずかに減速するような場合であって、断続的に走行モータの回生電力が発生するモード(g)、あるいは車両が中速で走行している時に減速するような場合であって、バッテリB1の両端電圧Vbattが昇降圧回路1の入出力電圧Vpduと近接するモード(i)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpdu、あるいは入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値となる交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、バッテリB1とインバータ回路との間の電力の入出力を制御しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧回路供給モード2」を実行する。
【0049】
具体的には、モード(c)では、図4に示す回路図と図5に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図5(2)に示すように、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpduから求まる電流値であって、バッテリB1から電流が流れ出す方向に流れる交番電流(平均値が”正”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0050】
そして、図5(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図5(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt≒Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図5(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0051】
なお、モード(e)の場合も、モード(c)と同様に、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpduから求まる電流値であって、バッテリB1から電流が流れ出す方向に流れる交番電流(平均値が”正”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流し、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0052】
一方、モード(i)では、図6に示す回路図と図7に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図6に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図7(2)に示すように、平均値が、入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値であって、バッテリB1へ電流が流れ込む方向に流れる交番電流(平均値が”負”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0053】
そして、図7(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図7(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt≒Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図6及び図7(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0054】
なお、モード(g)の場合も、モード(i)と同様に、平均値が、入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値であって、バッテリB1へ電流が流れ込む方向に流れる交番電流(平均値が”負”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流し、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0055】
従って、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給、あるいは走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、降圧回路2の動作については、詳細を後述する。
【0056】
(降圧回路供給モード1)
また、車両が停止しているような場合であって、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力と、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力とが平衡するモード(a)、あるいは車両が高速でクルーズ走行(定速走行)しているような場合であって、同様に駆動アシスト電力と回生電力とが平衡するモード(f)、あるいは車両が中速でクルーズ走行(定速走行)しているような場合であって、同様に駆動アシスト電力と回生電力とが平衡するモード(k)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、平均値が零の交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、バッテリB1とインバータ回路との間の電力の入出力なしに、トランスT1を介して降圧回路2への電力供給のみを行う「降圧回路供給モード1」を実行する。
【0057】
具体的には、モード(a)では、図4に示す回路図と図9に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図9(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0058】
そして、図9(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図9(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt>Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図9(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0059】
一方、モード(f)では、図4に示す回路図と図11に示す波形図とを用いて説明すると、同様に、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図11(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0060】
そして、図11(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図11(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt<Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図11(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0061】
また、モード(k)では、図4に示す回路図と図13に示す波形図とを用いて説明すると、同様に、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図13(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0062】
そして、図13(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図13(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt=Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図13(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0063】
従って、走行モータへの駆動アシスト電力の供給、あるいは走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行わずに、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0064】
(降圧アシストモード)
また、車両が低速で走行している時に加速するような場合であって、走行モータを駆動するために、バッテリB1から駆動アシスト電力を出力する必要があるモード(b)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、バッテリB1の電力の電位を降圧して走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧アシストモード」を実行する。
【0065】
具体的には、図15に示す回路図と図16に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q2、Q3、Q4を常時OFFにすることにより降圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q1をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図15に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q1の通電率Duty_Aにより、スイッチング素子Q3との接点側を高電位とする、(4)式に基づく電圧Vpduを平滑化コンデンサC2の両端に発生させる。
【0066】
Vpdu=Duty_A×Vbatt ・・・(4)
【0067】
また、図16(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図15において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図16(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図16(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図15及び図16(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0068】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattから昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを引いた差分電圧と、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧とし、(Vbatt−Vpdu)<Vpduとする。
【0069】
従って、バッテリB1の両端電圧Vbattを降圧して、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0070】
(昇圧アシストモード)
また、車両が高速で走行している時に加速するような場合であって、走行モータを駆動するために、バッテリB1から駆動アシスト電力を出力する必要があるモード(d)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、バッテリB1の電力の電位を昇圧して走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「昇圧アシストモード」を実行する。
【0071】
具体的には、図18に示す回路図と図19に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1を常時ONとし、スイッチング素子Q2、Q3を常時OFFにすることにより昇圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q4をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図18に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q4の通電率Duty_Bにより、スイッチング素子Q3との接点側を高電位とする、(5)式に基づく電圧Vpduを平滑化コンデンサC2の両端に発生させる。
【0072】
Vpdu=1/(1−Duty_B)×Vbatt ・・・(5)
【0073】
また、図19(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図18において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図19(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図19(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図18及び図19(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0074】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧VpduからバッテリB1の両端電圧Vbattを引いた差分電圧とで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)<Vbattとする。
【0075】
従って、バッテリB1の両端電圧Vbattを昇圧して、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0076】
(降圧回生モード)
また、車両が高速で走行している時に減速するような場合であって、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電力を利用してバッテリB1を充電するモード(h)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、インバータ回路から取得した電力の電位を降圧してバッテリB1を充電しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧回生モード」を実行する。
【0077】
具体的には、図21に示す回路図と図22に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q2、Q4を常時OFFにすることにより降圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q3をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図21に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q3の通電率Duty_Cにより、(6)式に基づく電圧VbattをバッテリB1の両端に発生させる。
【0078】
Vbatt=Duty_C×Vpdu ・・・(6)
【0079】
また、図22(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図21において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図22(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図22(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図21及び図22(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0080】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧VpduからバッテリB1の両端電圧Vbattを引いた差分電圧とで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)<Vbattとする。
【0081】
従って、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを降圧して、走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0082】
(昇圧回生モード)
また、車両が低速で走行している時に減速するような場合であって、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電力を利用してバッテリB1を充電するモード(j)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、インバータ回路から取得した電力の電位を昇圧してバッテリB1を充電しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「昇圧回生モード」を実行する。
【0083】
具体的には、図24に示す回路図と図25に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q3を常時ONとし、スイッチング素子Q1、Q4を常時OFFにすることにより昇圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q2をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図24に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q2の通電率Duty_Dにより、(7)式に基づく電圧VbattをバッテリB1の両端に発生させる。
【0084】
Vbatt=1/(1−Duty_D)×Vpdu ・・・(7)
【0085】
また、図25(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図24において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図25(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図25(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図24及び図25(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0086】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattから昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを引いた差分電圧と、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)>Vpduとする。
【0087】
従って、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを昇圧して、走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0088】
(電力制御動作の制御フロー)
次に、制御マップを利用した電力制御動作の制御フローについて、図面を参照して具体的に説明する。図27は、本実施の形態の電力制御装置において制御部3が実行する昇降圧回路の電力制御動作の制御フローを示すフローチャートである。
図27において、まず制御部3は入出力電力制御指示値の大きさを判定し、入出力電力制御指示値が0[W]であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0089】
ステップS1において、入出力電力制御指示値が0[W]である場合(ステップS1のYES)、昇降圧回路1によるバッテリB1の充放電を行う必要がないので、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード1」を実行する(ステップS2)。
一方、ステップS1において、入出力電力制御指示値が0[W]でない場合(ステップS1のNO)、次に、制御部3は入出力電力制御指示値の大きさを判定し、入出力電力制御指示値が正の数値であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0090】
また、ステップS3において、入出力電力制御指示値が正の数値である場合(ステップS3のYES)、制御部3は入出力電力制御指示値と、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値とにより指示された状態が、図3に示す制御マップにおいて、トランスT1の1次巻き線L1にバッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れないIL不連続領域に含まれるか否かを判定する(ステップS4)。
【0091】
ステップS4において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれる場合(ステップS4のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS5)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が正の数値であるので、バッテリB1から走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する。
【0092】
一方、ステップS4において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれない場合(ステップS4のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かを判定する(ステップS6)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0093】
ステップS6において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きい場合(ステップS6のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧アシストモード」を実行する(ステップS7)。
また、ステップS6において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きくない場合(ステップS6のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かを判定する(ステップS8)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かは、Vpdu制御指示値からVbattを差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0094】
ステップS8において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さい場合(ステップS8のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「昇圧アシストモード」を実行する(ステップS9)。
また、ステップS8において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さくない場合(ステップS8のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かを判定する(ステップS10)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分の絶対値が既定値より小さいか否かにより判定するものとする。
【0095】
ステップS10において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しい場合(ステップS10のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS11)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が正の数値であるので、バッテリB1から走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する。
また、ステップS10において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいとみなせない場合(ステップS10のNO)、制御部3は、何もせず電力制御動作を終了する。
【0096】
また、ステップS3において、入出力電力制御指示値が正の数値でない場合(ステップS3のNO)、制御部3は入出力電力制御指示値と、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値とにより指示された状態が、図3に示す制御マップにおいて、トランスT1の1次巻き線L1にバッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れないIL不連続領域に含まれるか否かを判定する(ステップS12)。
【0097】
ステップS12において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれる場合(ステップS12のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS13)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が負の数値であるので、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する。
【0098】
一方、ステップS12において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれない場合(ステップS12のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かを判定する(ステップS14)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0099】
ステップS14において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きい場合(ステップS14のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「昇圧回生モード」を実行する(ステップS15)。
また、ステップS14において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きくない場合(ステップS14のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かを判定する(ステップS16)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かは、Vpdu制御指示値からVbattを差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0100】
ステップS16において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さい場合(ステップS16のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回生モード」を実行する(ステップS17)。
また、ステップS16において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さくない場合(ステップS16のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かを判定する(ステップS18)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分の絶対値が既定値より小さいか否かにより判定するものとする。
【0101】
ステップS18において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しい場合(ステップS18のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS19)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が負の数値であるので、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する。
また、ステップS18において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいとみなせない場合(ステップS18のNO)、制御部3は、何もせず電力制御動作を終了する。
【0102】
(降圧回路の降圧動作)
次に、上述した昇降圧回路1の電力制御動作モードに対応した降圧回路2の降圧動作について説明する。
(回路動作)
図1を用いて降圧回路2の降圧動作を説明すると、昇降圧回路1を制御してトランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に交流電力が誘起されると、整流用ダイオードD5、D6の働きにより整流されて、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点(2次巻き線の中間タップ)と、整流用ダイオードD5、D6の接点との間には、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力とトランスT1の巻き線のターン数とに比例した電圧値を持つ一方向の電力が得られる。
【0103】
これに対し、制御部3では、降圧回路2に接続された、例えば動作電位が12[V]系の補機類に電力を供給するために、予め設定された降圧回路出力電圧目標値に基づいて、スイッチング素子Q5をスイッチングすることにより、降圧回路2の出力電圧を降圧回路出力電圧目標値に制御する。具体的には、スイッチング素子Q5がON時に、整流用ダイオードD5、D6を通り、トランスT2の1次巻き線L4を介して補機類へ流れ、補機類からトランスT2の2次巻き線L5を介して、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点(2次巻き線の中間タップ)へ戻る、トランスT1の2次巻き線L2、L3の誘起電力による電流ループと、スイッチング素子Q5がOFF時に、ダイオードD7を通り、トランスT2の1次巻き線L4を介して補機類へ流れ、補機類からトランスT2の2次巻き線L5へ戻る、トランスT2の2次巻き線L5の逆起電力による電流ループとにより、補機類へ降圧回路出力電圧目標値に基づく電力が供給される。
【0104】
また、降圧回路2では、昇降圧回路1の電力制御動作に伴って、昇降圧回路1のスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4のスイッチングの状態により、降圧回路2の入力電圧V4にステップ的な変動が現れる。そのため、仮にスイッチング素子Q5を一定のスイッチングデューティでスイッチングする場合、入力電圧V4の変動が、降圧回路2の出力電圧Vdvにリップル電圧となって現れる。
【0105】
そこで、このリップル電圧を抑制するために、昇降圧回路1の電力制御動作モードに対応して、電力制御動作時に昇降圧回路1においてスイッチングされるスイッチング素子に同期したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティの意図的な変動により、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制する。
【0106】
(デューティ算出の制御ブロック)
以下に、制御部3による降圧回路2のスイッチング素子Q5に対するスイッチングデューティの算出方法について、図面を参照して説明する。図28は、制御部3におけるスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御ブロック図である。
図28において、まず制御部3では、減算器11により降圧回路出力電圧目標値から降圧回路2の出力電圧Vdvが減算され、目標値に対する実測値の偏差が算出される。減算器11により算出された偏差は、PID制御のP(Proprtional:比例)とD(Differential:微分)について補償するPD補償器12へ入力される。そして、PD補償器12の出力は加算器13へ入力される。
【0107】
また、減算器11により算出された偏差は、スイッチA14を通りKIで示される積分ゲイン15を乗算された後、I(Integral:積分)について補償するI1補償器16に入力される。そして、I1補償器16の出力はスイッチB17を介して加算器13へ入力される。また、減算器11により算出された偏差は、スイッチC18を通りKIで示される積分ゲイン19を乗算された後、I(Integral:積分)について補償すると共に、I1補償器16とは特性の異なるI2補償器20に入力される。そして、I2補償器20の出力はスイッチD21を介して加算器13へ入力される。
【0108】
従って、制御部3では、スイッチA14とスイッチB17とをONし、スイッチC18とスイッチD21とをOFFした状態でスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のためのPID制御を行うと、PD補償器12とI1補償器16とによるPID制御を実行することができ、加算器13の出力にスイッチング素子Q5のスイッチングデューティが得られる。一方、スイッチA14とスイッチB17とをOFFし、スイッチC18とスイッチD21とをONした状態でスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のためのPID制御を行うと、PD補償器12とI2補償器20とによるPID制御を実行することができ、加算器13の出力にスイッチング素子Q5のスイッチングデューティが得られる。
【0109】
(デューティ算出の制御フロー)
次に、上述の制御ブロックを用いたスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローについて説明する。
図29は、昇降圧回路1の電力制御動作の降圧回路供給モード1、降圧回路供給モード2、降圧アシストモードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が降圧回路供給モード1、降圧回路供給モード2、降圧アシストモードのいずれかである場合、図29に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q1がON状態にあるか否かを判定し(ステップS21)、スイッチング素子Q1がON状態にある場合には(ステップS21のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS22)。また、スイッチング素子Q1がOFF状態にある場合には(ステップS21のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS23)。
【0110】
また、図30は、昇降圧回路1の電力制御動作の昇圧アシストモードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が昇圧アシストモードである場合、図30に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q4がON状態にあるか否かを判定し(ステップS31)、スイッチング素子Q4がON状態にある場合には(ステップS31のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS32)。また、スイッチング素子Q4がOFF状態にある場合には(ステップS31のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS33)。
【0111】
図31は、昇降圧回路1の電力制御動作の降圧回生モードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が降圧回生モードである場合、図31に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q3がON状態にあるか否かを判定し(ステップS41)、スイッチング素子Q3がON状態にある場合には(ステップS41のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS42)。また、スイッチング素子Q3がOFF状態にある場合には(ステップS41のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS43)。
【0112】
図32は、昇降圧回路1の電力制御動作の昇圧回生モードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が昇圧回生モードである場合、図32に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q2がON状態にあるか否かを判定し(ステップS51)、スイッチング素子Q2がON状態にある場合には(ステップS51のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS52)。また、スイッチング素子Q2がOFF状態にある場合には(ステップS51のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS53)。
【0113】
上述の制御により、例えば車両の走行状態がモード(c)やモード(i)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード2」を実行しているような場合、図8(1)に示すほぼ均一な降圧回路2の入力電圧V4に対応して、図8(2)に示す均一なスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5を図8(3)に示すようにON/OFF制御する。
【0114】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、図8(4)に示すような均一な電圧を取り出し、図8(5)に示すように、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0115】
同様に、例えば車両の走行状態がモード(k)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合も、図14に示すように、均一なスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5をON/OFF制御する。これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に均一な電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0116】
また、例えば車両の走行状態がモード(a)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合、図10(1)に示す矩形波状の降圧回路2の入力電圧V4に対応して、図10(2)に示すように、入力電圧V4が高い場合には小さく、入力電圧V4が低い場合には大きく制御されたスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5を図10(3)に示すようにON/OFF制御する。
【0117】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、図10(4)に示すように、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、図10(5)に示すように、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0118】
同様に、例えば車両の走行状態がモード(f)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合は図12に示すように、また、例えば車両の走行状態がモード(b)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧アシストモード」を実行しているような場合は図17に示すように、更に、例えば車両の走行状態がモード(d)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「昇圧アシストモード」を実行しているような場合は図20に示すように、それぞれ矩形波状の降圧回路2の入力電圧V4に対応して、入力電圧V4が高い場合には小さく、入力電圧V4が低い場合には大きく制御されたスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5をON/OFF制御する。
【0119】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0120】
また、同様に、例えば車両の走行状態がモード(h)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回生モード」を実行しているような場合は図23に示すように、また、例えば車両の走行状態がモード(j)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「昇圧回生モード」を実行しているような場合は図26に示すように、それぞれ回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0121】
なお、上述の実施の形態において、電力を蓄電する装置はバッテリB1に限らず、直流電力を蓄電可能な、キャパシタ等を含む蓄電装置(エネルギーストレージデバイス)であれば何を用いても良い。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の電力制御装置によれば、バッテリB1の入出力電力を、チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧し、PAM制御を用いて走行モータを駆動するための電力としてインバータ回路へ供給すると共に、インバータ回路のバッテリB1側へ、走行モータの回生電力によって発生する入出力電力を、チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧してバッテリB1へ供給することにより、走行モータの駆動または回生に伴うバッテリB1の充放電を制御する昇降圧回路と、バッテリB1の電位より低電位の電力で動作する補機類への電力供給を制御する降圧回路2とを備え、昇降圧回路1のチョッパ回路をトランスT1の1次巻き線L1により構成すると共に、1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に電力を誘起させ、降圧回路2は、2次巻き線L2、L3に誘起された電力の電位を、スイッチング素子Q5のスイッチングにより降圧して補機類へ供給することで、走行モータ及びバッテリB1と電位の異なる補機類を同時に動作させることができる。
【0123】
また、本実施の形態の電力制御方法によれば、トランスT1の1次巻き線L1の両端に十分な電圧が印加されず、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ電力供給ができない場合、あるいはトランスT1の1次巻き線L1に、バッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ断続的にしか電力供給ができないと判断できる場合、入出力電力制御指示値に対応した交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ電力供給を行うことができる。
【0124】
また、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4を制御することで、PAM制御により走行モータを駆動することができると共に、走行モータの回生エネルギーにより発生した電力をインバータ回路から取得してバッテリB1を充電することができる。また、スイッチング素子Q5のスイッチングデューティを制御することで、昇降圧回路1から降圧回路2へ供給された電力の電位を希望の電位に降圧して補機類へ供給することができる。更に、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4の導通または遮断の状態に基づいてスイッチング素子Q5のスイッチングデューティを決定することで、降圧回路2が出力する電力の電位を適切かつ容易に制御することができる。
【0125】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、走行モータの駆動または回生の状況によって、トランスT1を介した昇降圧回路1から降圧回路2への電力供給が不可能であると判定された場合でも、走行モータの駆動または回生に影響を与えずに、走行モータ、及びバッテリB1と電位の異なる補機類に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【0126】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の電力制御装置によれば、制御部が、昇降圧回路を制御し、蓄電装置に蓄電された電力を、その電位を降圧または昇圧してインバータ回路へ供給することで、インバータ回路を介して接続されたモータを駆動することができる。また、インバータ回路を介して接続されたモータの回生電力を、その電位を降圧または昇圧して蓄電装置に供給することで、蓄電装置を充電することができる。更に、モータの駆動または回生に伴い、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ供給される電力を、制御部が降圧回路を制御することにより降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0127】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【0128】
また、本発明の電力制御方法によれば、昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値と蓄電装置の入出力電圧測定値とが近接し、第1トランスの1次巻き線の両端に十分な電圧が印加されず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない場合、あるいは昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値が小さく、第1トランスの1次巻き線に、蓄電装置の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ断続的にしか電力供給ができないと判断できる場合、電力指示値に対応した交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0129】
更に、特に第1トランスの1次巻き線に全く電流が流れず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない場合、平均値が零の交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0130】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータの駆動または回生の状況によって、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合でも、モータの駆動または回生に影響を与えずに、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電力制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の電力制御装置の昇降圧回路に備えられたトランスの断面を示す図である。
【図3】同実施の形態の電力制御装置の制御部が電力制御のモードを決定するための制御マップを示す図である。
【図4】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す回路図である。
【図5】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図6】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す回路図である。
【図7】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図8】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図9】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図10】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図11】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図12】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図13】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図14】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図15】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す回路図である。
【図16】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図17】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図18】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す回路図である。
【図19】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図20】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図21】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す回路図である。
【図22】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す波形図である。
【図23】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す波形図である。
【図24】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す回路図である。
【図25】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す波形図である。
【図26】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す波形図である。
【図27】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する昇降圧回路の電力制御動作の制御フローを示すフローチャートである。
【図28】同実施の形態の電力制御装置の制御部における降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御ブロック図である。
【図29】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図30】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図31】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図32】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・昇降圧回路、2・・・降圧回路、3・・・制御部、B1・・・バッテリ(蓄電装置)、T1・・・トランス(第1トランス)、D1、D2、D3、D4・・・転流ダイオード、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5・・・スイッチング素子、D5、D6・・・整流用ダイオード、T2・・・トランス(第2トランス)、D7・・・ダイオード
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄電装置の電力を、電位を変換して負荷へ供給する電力制御装置及び電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印加電圧の高調波成分に基づきモータに発生する鉄損による損失を低減し得て、モータを高い効率で駆動することができるモータの駆動装置がある。
この装置では、インバータ主回路の電源極性に対して逆極性を有するバッテリと、リアクトル(インダクタンス素子)と、バッテリとインバータ主回路との間に設けられた駆動用チョッパ回路と、この駆動用チョッパ回路をオンオフ制御してインバータ主回路に印加する電圧を制御すると共に、インバータ主回路にPWM信号を与えて前記モータの駆動を制御する制御手段とを具備している。また、制御手段は、インバータ主回路の電源極性に対して逆極性を有するバッテリと、インバータ主回路との間に設けられた駆動用チョッパ回路をオンオフ制御してインバータ主回路に印加する電圧を制御し、インバータ主回路に与えるPWM信号のデューティ比が常に100%となるようにモータを駆動することにより、モータの印加電圧に含まれる高調波成分を抑制している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−51683号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する自動車では、走行用モータを駆動するための高電位バッテリと、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリとを備えている。
このような自動車では、モータの回生電力により充電される高電位バッテリを用いて低電位バッテリを充電したり、車両用補機へ電力を供給することで、例えば走行中等に外部から電力を供給されなくても、車両内の高電位バッテリに蓄えられた電力を利用して、車両用補機を動作させながら車両を走行させることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような従来のモータの駆動装置を利用している場合、高電位バッテリから低電位バッテリ及び車両用補機へ電力を供給するためには、高電位バッテリの電圧を低電位バッテリの電圧に変換するためのダウンバータ(DC−DCコンバータ)を別に設ける必要があり、自動車のシステム重量の増加や、容積の増加を招き、自動車の燃費の悪化を招くと共に自動車自体のコストを上昇させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置及び電力制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る電力制御装置は、蓄電装置(例えば実施の形態のバッテリB1)の入出力電力を、トランス(例えば実施の形態のトランスT1)の1次巻き線により構成されたチョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧し、PAM制御を用いてモータを駆動するための電力として、前記蓄電装置と前記モータとの間に備えられたインバータ回路へ供給すると共に、前記インバータ回路の前記蓄電装置側に、前記モータの回生電力によって発生する入出力電力を、前記チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧して前記蓄電装置へ供給することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する昇降圧回路(例えば実施の形態の昇降圧回路1)と、前記蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷への電力供給を制御する降圧回路(例えば実施の形態の降圧回路2)と、前記昇降圧回路と前記降圧回路を制御する制御部(例えば実施の形態の制御部3)とを備え、前記制御部が、前記トランスの1次巻き線に電力を供給することにより、前記トランスの2次巻き線に電力を誘起させ、前記降圧回路により前記トランスの2次巻き線に誘起された電力の電位を降圧して前記負荷へ供給することを特徴とする。
【0008】
以上の構成を備えた電力制御装置は、制御部が、PAM(Pulse Amplitude Modulation)制御によるモータの駆動または回生に伴い、蓄電装置の入出力電力を、その電位を昇圧または降圧してインバータ回路へ供給する際、あるいはインバータ回路の蓄電装置側に発生する入出力電力を、その電位を昇圧または降圧して蓄電装置へ供給する際、昇降圧回路を構成するトランスの1次巻き線に電力を供給し、トランスの2次巻き線に電力を誘起させると共に、降圧回路によりトランスの2次巻き線に誘起された電力の電位を降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0009】
請求項2の発明に係る電力制御装置は、請求項1に記載の電力制御装置において、前記昇降圧回路が、前記蓄電装置の正極側端子に直列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD1)を備え、前記蓄電装置の正極側端子から電流が流れ出る方向に導通する第1のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q1)と、前記蓄電装置と前記第1のスイッチング素子との直列回路に並列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD2)を備え、前記第1のスイッチング素子から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第2のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q2)と、前記第1のスイッチング素子が前記第2のスイッチング素子と接続する接点に1次巻き線の一方の端子が接続されると共に、該1次巻き線と同一方向に巻き込まれた2次巻き線を備え、前記トランスに該当する第1トランス(例えば実施の形態のトランスT1)と、前記第1トランスの1次巻き線のもう一方の端子と前記インバータ回路の入力端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD3)を備え、前記インバータ回路から前記第1トランスの1次巻き線の方向へ導通する第3のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q3)と、前記第1トランスの1次巻き線が前記第3のスイッチング素子と接続する接点と、前記蓄電装置の負極側端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(例えば実施の形態の転流ダイオードD4)を備え、前記第1トランスの1次巻き線から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第4のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q4)とを具備し、前記降圧回路が、前記第1トランスの2次巻き線の両端端子に一方の端子がそれぞれ接続されると共に、前記負荷へ電流を流すように導通する2個の整流用ダイオード(例えば実施の形態の整流用ダイオードD5、D6)と、前記2個の整流用ダイオードのそれぞれのもう一方の端子に1次巻き線が共通に接続されると共に、該1次巻き線と反対方向に巻き込まれた2次巻き線を備える第2トランス(例えば実施の形態のトランスT2)と、前記第2トランスの2次巻き線と前記第1トランスの2次巻き線の中間タップとの間に設けられた第5のスイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子Q5)と、前記第2トランスの2次巻き線が前記第5のスイッチング素子と接続する接点と、前記第2トランスの1次巻き線との間に接続されると共に、前記第2トランスの2次巻き線から前記第2トランスの1次巻き線の方向へ導通するダイオード(例えば実施の形態のダイオードD7)とを具備することを特徴とする。
【0010】
以上の構成を備えた電力制御装置は、昇降圧回路が、第1から第4のスイッチング素子のスイッチングにより、蓄電装置に蓄電された電力の電位を降圧または昇圧してインバータ回路へ供給することで、インバータ回路を介して接続されたモータを駆動することができる。一方、同様に昇降圧回路が、第1から第4のスイッチング素子のスイッチングにより、インバータ回路を介して接続されたモータの回生電力の電位を降圧または昇圧して蓄電装置に電力を供給することで、蓄電装置を充電することができる。また、降圧回路が、第1トランスを介して昇降圧回路から供給される電力を、第5のスイッチング素子のスイッチングにより降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0011】
請求項3の発明に係る電力制御方法は、請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、前記昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値(例えば実施の形態のVpdu制御指示値)と前記蓄電装置の入出力電圧測定値(例えば実施の形態のバッテリB1の両端電圧Vbatt)とを比較して、前記第1トランスの1次巻き線の両端に印加される電圧により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理(例えば実施の形態のステップS10)と、前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS11)とを含むことを特徴とする。
【0012】
これにより、昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値と蓄電装置の入出力電圧測定値とが近接し、第1トランスの1次巻き線の両端に十分な電圧が印加されず、第1トランスの2次巻き線に十分な電力を誘起することができないと判断できる場合、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定すると共に、平均値が昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に対応した交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0013】
請求項4の発明に係る電力制御方法は、請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値(例えば実施の形態の入出力電力制御指示値)に基づいて、前記第1トランスの1次巻き線を流れる電流により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理(例えば実施の形態のステップS1、S3)と、前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS5、S13)とを含むことを特徴とする。
【0014】
これにより、昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値が小さく、第1トランスの1次巻き線に、蓄電装置の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、第1トランスの2次巻き線に断続的にしか電力を誘起することができないと判断できる場合、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定すると共に、平均値が電力指示値に対応する交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0015】
請求項5の発明に係る電力制御方法は、請求項4に記載の電力制御方法において、前記電力指示値が零である場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が零の交番電流を前記第1トランスの1次巻き線に流す処理(例えば実施の形態のステップS2)を含むことを特徴とする。
【0016】
これにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない状況の中でも、特に第1トランスの1次巻き線に全く電流が流れず、第1トランスの2次巻き線に全く電力を誘起することができないと判断できる場合、昇降圧回路の第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が零の交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、該交番電流に対応する電力を第1トランスの2次巻き線に誘起して、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0017】
請求項6の発明に係る電力制御方法は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の電力制御方法において、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する処理(例えば実施の形態のステップS7、S9、S15、S17)を含むことを特徴とする。
【0018】
これにより、蓄電装置の電力の電位を昇圧または降圧してインバータ回路へ供給し、PAM制御によりモータを駆動することができると共に、モータの回生エネルギーにより発生した電力をインバータ回路から取得し、該電力の電位を昇圧または降圧して蓄電装置を充電することができる。
【0019】
請求項7の発明に係る電力制御方法は、請求項3から請求項6のいずれかに記載の電力制御方法において、前記第5のスイッチング素子を制御することにより、前記負荷への電力供給を制御する処理を含むことを特徴とする。
【0020】
これにより、電力を負荷へ供給する際に、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ供給された電力の電位を希望の電位に降圧して負荷へ供給することができる。
【0021】
請求項8の発明に係る電力制御方法は、請求項7に記載の電力制御方法において、前記第5のスイッチング素子を制御して前記負荷への電力供給を制御する場合、前記第5のスイッチング素子の動作速度を、前記第1から第4のスイッチング素子の導通または遮断の状態に基づいて決定することを特徴とする。
【0022】
これにより、電力を負荷へ供給する際に、降圧回路が出力する電力の電位を適切かつ容易に制御することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(全体構成)
本実施の形態の電力制御装置は、例えばエンジンの出力を補助して車両を走行させるための走行モータを備えたハイブリット車両(HEV:Hybrid Electric Vehicles)等において、走行モータを駆動する際に有用な装置である。図1は、本発明の一実施の形態の電力制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、バッテリB1は、例えば本実施の形態の電力制御装置が搭載された車両を走行駆動するエンジンを補助するか、またはこの車両を走行駆動するように、その回転子が車両の駆動装置に連結された走行モータを、インバータ回路を介してPAM制御により駆動するための電力、及びバッテリB1の電位より低電位の電力で動作するワイパーやライト等の車両の補機類を動作させたり、補機類用のバッテリを充電するための電力を蓄電する蓄電装置である。
【0024】
(昇降圧回路)
また、バッテリB1の正極側端子と負極側端子との間には、バッテリB1の入出力電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC1が接続されると共に、バッテリB1の正極側端子には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオード(フライホイールダイオード:Free Wheeling Diode )D1を備え、バッテリB1の正極側端子から電流が流れ出る方向に導通するスイッチング素子Q1が直列に接続されている。更に、バッテリB1とスイッチング素子Q1との直列回路には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD2を備え、スイッチング素子Q1からバッテリB1の負極側端子の方向へ導通するスイッチング素子Q2が並列に接続されると共に、スイッチング素子Q1がスイッチング素子Q2と接続する接点に、トランスT1の1次巻き線L1の一方の端子が接続されている。
【0025】
更に、トランスT1の1次巻き線L1のもう一方の端子と、走行モータを駆動するためのインバータ回路の入力端子との間には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD3を備え、インバータ回路からトランスT1の1次巻き線L1の方向へ導通するスイッチング素子Q3とが接続されている。更に、トランスT1の1次巻き線L1がスイッチング素子Q3と接続する接点と、バッテリB1の負極側端子との間には、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードD4を備え、トランスT1の1次巻き線L1からバッテリB1の負極側端子の方向へ導通するスイッチング素子Q4が接続されている。なお、トランスT1の1次巻き線L1のもう一方の端子とスイッチング素子Q3と接続する電力供給線には、トランスT1の1次巻き線L1に流れる電流を計測する電流センサAS1が設けられている。
【0026】
また、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子との間には、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子間の電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC2が接続されており、平滑化コンデンサC1、C2と、転流ダイオードD1、D2、D3、D4と、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4と、トランスT1の1次巻き線L1とにより、昇降圧回路1を構成している。
【0027】
(降圧回路)
一方、トランスT1の1次巻き線L1と同一方向に巻き込まれたトランスT1の2次巻き線の両端端子には、上述の補機類へ電流を流すように導通する2個の整流用ダイオードD5、D6が接続されている。また、トランスT1の2次巻き線には中間タップが設けられており、以下の説明では、中間タップを境に一方の2次巻き線をL2、もう一方の2次巻き線をL3とする。従って、整流用ダイオードD5は、トランスT1の2次巻き線L2の中間タップ側とは反対側の端子に接続され、整流用ダイオードD6は、トランスT1の2次巻き線L3の中間タップ側とは反対側の端子に接続されている。
【0028】
また、2個の整流用ダイオードD5、D6のそれぞれのもう一方の端子には、トランスT2の1次巻き線L4が共通に接続されており、更に、トランスT2の1次巻き線L4と反対方向に巻き込まれたトランスT2の2次巻き線L5と、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点である中間タップとの間には、スイッチング素子Q5が接続されている。また、トランスT2の2次巻き線L5がスイッチング素子Q5と接続する接点と、トランスT2の1次巻き線L4との間には、トランスT2の2次巻き線L5からトランスT2の1次巻き線L1の方向へ導通するダイオードD7が接続されている。
【0029】
更に、トランスT2の1次巻き線L4のダイオードD7との接点の反対側と、トランスT2の2次巻き線L5のダイオードD7との接点の反対側との間には、トランスT2の1次巻き線L4とトランスT2の2次巻き線L5との間の電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC3が接続されており、整流用ダイオードD5、D6と、トランスT1の2次巻き線L2、L3と、トランスT2の1次巻き線L4と、トランスT2の2次巻き線L5と、スイッチング素子Q5と、ダイオードD7と、平滑化コンデンサC3とにより、降圧回路2を構成している。
【0030】
また、上述のバッテリB1の正極側端子と負極側端子との間には、平滑化コンデンサC1と並列に、バッテリB1の両端電圧を計測するための電圧センサVS1が設けられると共に、スイッチング素子Q3とバッテリB1の負極側端子との間には、平滑化コンデンサC2と並列に、昇降圧回路1の入出力電圧を計測するための電圧センサVS2が設けられている。また、トランスT2の1次巻き線L4のダイオードD7との接点の反対側と、トランスT2の2次巻き線L5のダイオードD7との接点の反対側との間には、平滑化コンデンサC3と並列に、降圧回路2の出力電圧を計測するための電圧センサVS3が設けられている。
【0031】
(制御部)
また、本実施の形態の電力制御装置は、昇降圧回路1の入出力制御、及び降圧回路2の出力制御を実行するCPU(中央演算装置)を備えた制御部3を備えており、バッテリB1の両端電圧を示す電圧センサVS1の計測データVbattと、昇降圧回路1の入出力電圧を示す電圧センサVS2の計測データVpduと、降圧回路2の出力電圧を示す電圧センサVS3の計測データVdvと、トランスT1の1次巻き線L1に流れる電流を示す電流センサAS1の計測データILは、制御情報として、昇降圧回路1と降圧回路2とを制御するために設けられた制御部3に入力されている。
【0032】
更に、制御部3には、走行モータの駆動を制御するために設けられたモータECU(Electronic Control Unit :図示せず)から、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値と、走行モータの回転数を通知するモータ回転数と、昇降圧回路1におけるバッテリB1に対する充放電動作を指示する入出力電力制御指示値とが、制御情報として入力されており、制御部3から各スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5の各ゲート端子には、各制御情報に基づいて制御部3が各スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5のスイッチングを制御するための制御線が接続されている。
【0033】
(トランス)
なお、上述のトランスT1について、図2に示す断面図を用いて更に詳細に説明すると、トランスT1は、コア50に巻かれた1次巻き線L1の上に、2次巻き線L2、L3を共に同一方向に巻いたものであって、トランスT1の1次巻き線L1と2次巻き線L2、L3の巻き線比は、それぞれの巻き線のターン数をN1、N2、N3で現すと、下記(1)式で示される。
【0034】
N1:N2:N3=1:P:P(Pは任意の数) ・・・(1)
【0035】
また、上述のトランスT2は、コアに巻かれた1次巻き線L4の上に、2次巻き線L5を反対方向に巻いたものであって、トランスT2の1次巻き線L4と2次巻き線L5の巻き線比は、それぞれの巻き線のターン数をN4、N5で現すと、下記(2)式で示される。
【0036】
N4:N5=1:1 ・・・(2)
【0037】
また、バッテリB1は、蓄電池等の蓄電装置に限らず、キャパシタ等、直流電力を蓄電できるものであれば、何を用いても良い。
【0038】
(昇降圧回路の電力制御動作)
次に、本実施の形態の電力制御装置における昇降圧回路の電力制御動作について、図面を参照して詳細に説明する。
(制御マップ)
まず、本実施の形態の電力制御装置の制御部3が、電力制御のモードを決定するための制御マップについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態の電力制御装置の制御部3が電力制御のモードを決定するための制御マップを、横軸はバッテリB1に入出力する充放電電力、縦軸は昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとして示したものである。具体的には、制御マップの横軸の中心X0は、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力と、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力とが平衡する部分であって、この時トランスT1の1次巻き線L1には電流が流れない。また、制御マップの縦軸に示すY0は、バッテリB1の両端電圧Vbattを示すラインであって、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとが平衡する部分である。
【0039】
また、制御マップの横軸の中心X0より右側は、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力を示し、右側に行く程駆動アシスト電力は大きくなる。また、制御マップの横軸の中心X0より左側は、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力を示し、左側に行く程回生電力は大きくなる。一方、制御マップの縦軸に示すY0より上側は、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きいことを示し、上側に行く程入出力電圧Vpduは大きくなる。また、制御マップの縦軸に示すY0より下上側は、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さいことを示し、下側に行く程入出力電圧Vpduは小さくなる。
【0040】
また、制御マップにおいて、領域A1は、バッテリB1から出力する駆動アシスト電力あるいはバッテリB1を充電する回生電力が零に近接し、バッテリB1の放電あるいは充電が断続的にしか行われないため、トランスT1の1次巻き線L1に、バッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、トランスT1の2次巻き線L2、L3に断続的にしか電力を誘起することができないIL不連続領域である。
【0041】
一方、制御マップにおいて、領域A2は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとが近接し、トランスT1の1次巻き線L1の両端に十分な電圧が印加されず、トランスT1の2次巻き線L2、L3に十分な電力を誘起することができない電力供給不可領域である。
また、領域A3は、走行モータの起電圧範囲であって、走行モータに印加される電圧が低いために走行モータが駆動していないモータ停止領域である。
【0042】
これに対し、制御マップの横軸の中心X0より右側であって、縦軸に示すY0より下側に位置すると共に、領域A1、A2、A3に含まれない領域A4は、駆動アシスト電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さい領域であるので、昇降圧回路1がバッテリB1の両端電圧Vbattを降圧しながら、走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する「降圧アシスト領域」である。
【0043】
また、制御マップの横軸の中心X0より右側であって、縦軸に示すY0より上側に位置すると共に、領域A1、A2に含まれない領域A5は、駆動アシスト電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きい領域であるので、昇降圧回路1がバッテリB1の両端電圧Vbattを昇圧しながら、走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する「昇圧アシスト領域」である。
【0044】
また、制御マップの横軸の中心X0より左側であって、縦軸に示すY0より上側に位置すると共に、領域A1、A2に含まれない領域A6は、回生電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより大きい領域であるので、昇降圧回路1がインバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電圧Vpduを降圧しながら、バッテリB1を充電する「降圧回生領域」である。更に、制御マップの横軸の中心X0より左側であって、縦軸に示すY0より下側に位置すると共に、領域A1、A2、A3に含まれない領域A7は、回生電力が大きく、かつ昇降圧回路1の入出力電圧Vpduが、バッテリB1の両端電圧Vbattより小さい領域であるので、昇降圧回路1がインバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電圧Vpduを昇圧しながら、バッテリB1を充電する「昇圧回生領域」である。
【0045】
なお、領域A1と領域A2、あるいは領域A1と領域A3とが重なる領域は、重なった両方の領域の条件を満たしている。また、図3の制御マップの縦軸に示すY0、すなわちバッテリB1の両端電圧Vbattが、駆動アシスト電力が大きくなる程(右側へ行く程)低くなり、逆に回生電力が大きくなる程(左側へ行く程)高くなるのは、駆動アシスト電力が大きくなりバッテリB1の放電が進むにつれてバッテリB1の両端電圧Vbattが低くなり、回生電力が大きくなりバッテリB1の充電が進むにつれてバッテリB1の両端電圧Vbattが高くなることを示している。
【0046】
(制御マップと動作モード)
次に、本実施の形態の電力制御装置における制御マップと、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作モードとの対応について説明する。以下に示す表1は、制御マップと、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作モードとの対応を示す表である。表1において、モード(a)からモード(k)は、車両の走行状態、バッテリB1の電力充放電状態、及び昇降圧回路1の電力制御動作が制御マップのどの領域と対応するかを示したもので、図3に示す制御マップの(a)から(k)で示す部分に相当する。
【0047】
【表1】
【0048】
(降圧回路供給モード2)
表1において、車両が中速で走行している時に加速するような場合であって、バッテリB1の両端電圧Vbattが昇降圧回路1の入出力電圧Vpduと近接するモード(c)、あるいは車両が高速で走行している時にわずかに加速するような場合であって、断続的に走行モータの駆動アシスト電力を必要とするモード(e)、あるいは車両が高速で走行している時にわずかに減速するような場合であって、断続的に走行モータの回生電力が発生するモード(g)、あるいは車両が中速で走行している時に減速するような場合であって、バッテリB1の両端電圧Vbattが昇降圧回路1の入出力電圧Vpduと近接するモード(i)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpdu、あるいは入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値となる交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、バッテリB1とインバータ回路との間の電力の入出力を制御しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧回路供給モード2」を実行する。
【0049】
具体的には、モード(c)では、図4に示す回路図と図5に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図5(2)に示すように、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpduから求まる電流値であって、バッテリB1から電流が流れ出す方向に流れる交番電流(平均値が”正”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0050】
そして、図5(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図5(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt≒Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図5(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0051】
なお、モード(e)の場合も、モード(c)と同様に、平均値が、入出力電力制御指示値と昇降圧回路1の入出力電圧Vpduから求まる電流値であって、バッテリB1から電流が流れ出す方向に流れる交番電流(平均値が”正”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流し、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0052】
一方、モード(i)では、図6に示す回路図と図7に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図6に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図7(2)に示すように、平均値が、入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値であって、バッテリB1へ電流が流れ込む方向に流れる交番電流(平均値が”負”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0053】
そして、図7(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図7(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt≒Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図6及び図7(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0054】
なお、モード(g)の場合も、モード(i)と同様に、平均値が、入出力電力制御指示値とバッテリB1の両端電圧Vbattから求まる電流値であって、バッテリB1へ電流が流れ込む方向に流れる交番電流(平均値が”負”の交番電流)をトランスT1の1次巻き線L1に流し、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0055】
従って、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給、あるいは走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、降圧回路2の動作については、詳細を後述する。
【0056】
(降圧回路供給モード1)
また、車両が停止しているような場合であって、走行モータを駆動するためにバッテリB1から出力する駆動アシスト電力と、走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する回生電力とが平衡するモード(a)、あるいは車両が高速でクルーズ走行(定速走行)しているような場合であって、同様に駆動アシスト電力と回生電力とが平衡するモード(f)、あるいは車両が中速でクルーズ走行(定速走行)しているような場合であって、同様に駆動アシスト電力と回生電力とが平衡するモード(k)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、平均値が零の交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、バッテリB1とインバータ回路との間の電力の入出力なしに、トランスT1を介して降圧回路2への電力供給のみを行う「降圧回路供給モード1」を実行する。
【0057】
具体的には、モード(a)では、図4に示す回路図と図9に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図9(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0058】
そして、図9(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図9(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt>Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図9(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0059】
一方、モード(f)では、図4に示す回路図と図11に示す波形図とを用いて説明すると、同様に、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図11(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0060】
そして、図11(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図11(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt<Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図11(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0061】
また、モード(k)では、図4に示す回路図と図13に示す波形図とを用いて説明すると、同様に、スイッチング素子Q1、Q4を同時にONまたはOFF、スイッチング素子Q2、Q3を同時にONまたはOFFすると共に、スイッチング素子Q1、Q4とスイッチング素子Q2、Q3とを交互にスイッチングして、図4に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、図13(2)に示すように、平均値が零の交番電流をトランスT1の1次巻き線L1に流す。
【0062】
そして、図13(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図13(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1(バッテリB1の両端電圧Vbattと昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧、但しVbatt=Vpdu)に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図4及び図13(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0063】
従って、走行モータへの駆動アシスト電力の供給、あるいは走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行わずに、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0064】
(降圧アシストモード)
また、車両が低速で走行している時に加速するような場合であって、走行モータを駆動するために、バッテリB1から駆動アシスト電力を出力する必要があるモード(b)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、バッテリB1の電力の電位を降圧して走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧アシストモード」を実行する。
【0065】
具体的には、図15に示す回路図と図16に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q2、Q3、Q4を常時OFFにすることにより降圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q1をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図15に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q1の通電率Duty_Aにより、スイッチング素子Q3との接点側を高電位とする、(4)式に基づく電圧Vpduを平滑化コンデンサC2の両端に発生させる。
【0066】
Vpdu=Duty_A×Vbatt ・・・(4)
【0067】
また、図16(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図15において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図16(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図16(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図15及び図16(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0068】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattから昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを引いた差分電圧と、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧とし、(Vbatt−Vpdu)<Vpduとする。
【0069】
従って、バッテリB1の両端電圧Vbattを降圧して、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0070】
(昇圧アシストモード)
また、車両が高速で走行している時に加速するような場合であって、走行モータを駆動するために、バッテリB1から駆動アシスト電力を出力する必要があるモード(d)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、バッテリB1の電力の電位を昇圧して走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「昇圧アシストモード」を実行する。
【0071】
具体的には、図18に示す回路図と図19に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1を常時ONとし、スイッチング素子Q2、Q3を常時OFFにすることにより昇圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q4をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図18に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q4の通電率Duty_Bにより、スイッチング素子Q3との接点側を高電位とする、(5)式に基づく電圧Vpduを平滑化コンデンサC2の両端に発生させる。
【0072】
Vpdu=1/(1−Duty_B)×Vbatt ・・・(5)
【0073】
また、図19(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図18において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図19(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図19(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図18及び図19(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0074】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧VpduからバッテリB1の両端電圧Vbattを引いた差分電圧とで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)<Vbattとする。
【0075】
従って、バッテリB1の両端電圧Vbattを昇圧して、要求された走行モータへの駆動アシスト電力の供給を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0076】
(降圧回生モード)
また、車両が高速で走行している時に減速するような場合であって、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電力を利用してバッテリB1を充電するモード(h)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、インバータ回路から取得した電力の電位を降圧してバッテリB1を充電しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「降圧回生モード」を実行する。
【0077】
具体的には、図21に示す回路図と図22に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q1、Q2、Q4を常時OFFにすることにより降圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q3をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図21に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と、同様に(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q3の通電率Duty_Cにより、(6)式に基づく電圧VbattをバッテリB1の両端に発生させる。
【0078】
Vbatt=Duty_C×Vpdu ・・・(6)
【0079】
また、図22(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図21において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図22(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図22(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図21及び図22(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0080】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattと、昇降圧回路1の入出力電圧VpduからバッテリB1の両端電圧Vbattを引いた差分電圧とで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)<Vbattとする。
【0081】
従って、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを降圧して、走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0082】
(昇圧回生モード)
また、車両が低速で走行している時に減速するような場合であって、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーに伴い発生する電力を利用してバッテリB1を充電するモード(j)では、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、インバータ回路から取得した電力の電位を昇圧してバッテリB1を充電しながら、同時にトランスT1を介して降圧回路2への電力供給を行う「昇圧回生モード」を実行する。
【0083】
具体的には、図24に示す回路図と図25に示す波形図とを用いて説明すると、スイッチング素子Q3を常時ONとし、スイッチング素子Q1、Q4を常時OFFにすることにより昇圧チョッパ回路を形成すると共に、スイッチング素子Q2をスイッチングしてON、OFFを繰り返し、図24に示すように、昇降圧回路1に(A)で示した方向の電流と(B)で示した方向の電流とを交互に流すことにより、スイッチング素子Q2の通電率Duty_Dにより、(7)式に基づく電圧VbattをバッテリB1の両端に発生させる。
【0084】
Vbatt=1/(1−Duty_D)×Vpdu ・・・(7)
【0085】
また、図25(2)に示すように、トランスT1の1次巻き線L1へ、図24において(A)及び(B)で示した方向の電流を交互に流すことにより、図25(4)に示すように、トランスT1の2次巻き線L2、L3へ、図25(3)に示すトランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1に対し、巻き線のターン数の比Pで比例する電圧V2、V3を発生させ、整流用ダイオードD5、D6を介して、図24及び図25(5)に示す降圧回路2の入力電圧V4として抽出する。
【0086】
但し、ここでは、トランスT1の1次巻き線L1に印加される両端電圧V1は、バッテリB1の両端電圧Vbattから昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを引いた差分電圧と、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduとで表される電圧とし、(Vpdu−Vbatt)>Vpduとする。
【0087】
従って、昇降圧回路1の入出力電圧Vpduを昇圧して、走行モータからの回生電力によるバッテリB1の充電を行いながら、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3を介して降圧回路2へ電力を供給することができる。なお、ここでも降圧回路2の動作については後述する。
【0088】
(電力制御動作の制御フロー)
次に、制御マップを利用した電力制御動作の制御フローについて、図面を参照して具体的に説明する。図27は、本実施の形態の電力制御装置において制御部3が実行する昇降圧回路の電力制御動作の制御フローを示すフローチャートである。
図27において、まず制御部3は入出力電力制御指示値の大きさを判定し、入出力電力制御指示値が0[W]であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0089】
ステップS1において、入出力電力制御指示値が0[W]である場合(ステップS1のYES)、昇降圧回路1によるバッテリB1の充放電を行う必要がないので、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード1」を実行する(ステップS2)。
一方、ステップS1において、入出力電力制御指示値が0[W]でない場合(ステップS1のNO)、次に、制御部3は入出力電力制御指示値の大きさを判定し、入出力電力制御指示値が正の数値であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0090】
また、ステップS3において、入出力電力制御指示値が正の数値である場合(ステップS3のYES)、制御部3は入出力電力制御指示値と、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値とにより指示された状態が、図3に示す制御マップにおいて、トランスT1の1次巻き線L1にバッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れないIL不連続領域に含まれるか否かを判定する(ステップS4)。
【0091】
ステップS4において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれる場合(ステップS4のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS5)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が正の数値であるので、バッテリB1から走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する。
【0092】
一方、ステップS4において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれない場合(ステップS4のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かを判定する(ステップS6)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0093】
ステップS6において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きい場合(ステップS6のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧アシストモード」を実行する(ステップS7)。
また、ステップS6において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きくない場合(ステップS6のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かを判定する(ステップS8)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かは、Vpdu制御指示値からVbattを差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0094】
ステップS8において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さい場合(ステップS8のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「昇圧アシストモード」を実行する(ステップS9)。
また、ステップS8において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さくない場合(ステップS8のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かを判定する(ステップS10)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分の絶対値が既定値より小さいか否かにより判定するものとする。
【0095】
ステップS10において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しい場合(ステップS10のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS11)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が正の数値であるので、バッテリB1から走行モータを駆動するための電力をインバータ回路へ供給する。
また、ステップS10において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいとみなせない場合(ステップS10のNO)、制御部3は、何もせず電力制御動作を終了する。
【0096】
また、ステップS3において、入出力電力制御指示値が正の数値でない場合(ステップS3のNO)、制御部3は入出力電力制御指示値と、昇降圧回路1の入出力電圧値を指示するVpdu制御指示値とにより指示された状態が、図3に示す制御マップにおいて、トランスT1の1次巻き線L1にバッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れないIL不連続領域に含まれるか否かを判定する(ステップS12)。
【0097】
ステップS12において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれる場合(ステップS12のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS13)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が負の数値であるので、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する。
【0098】
一方、ステップS12において、入出力電力制御指示値とVpdu制御指示値とにより指示された状態がIL不連続領域に含まれない場合(ステップS12のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かを判定する(ステップS14)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0099】
ステップS14において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きい場合(ステップS14のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「昇圧回生モード」を実行する(ステップS15)。
また、ステップS14において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分大きくない場合(ステップS14のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かを判定する(ステップS16)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さいか否かは、Vpdu制御指示値からVbattを差し引いた差分が既定値より大きいか否かにより判定するものとする。
【0100】
ステップS16において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さい場合(ステップS16のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回生モード」を実行する(ステップS17)。
また、ステップS16において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値より十分小さくない場合(ステップS16のNO)、制御部3は、次に、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かを判定する(ステップS18)。なお、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいか否かは、VbattからVpdu制御指示値を差し引いた差分の絶対値が既定値より小さいか否かにより判定するものとする。
【0101】
ステップS18において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しい場合(ステップS18のYES)、制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作モードとして、前述の「降圧回路供給モード2」を実行する(ステップS19)。なお、この場合の「降圧回路供給モード2」は、入出力電力制御指示値が負の数値であるので、インバータ回路から取得した走行モータの回生エネルギーによりバッテリB1を充電する。
また、ステップS18において、バッテリB1の両端電圧VbattがVpdu制御指示値とほぼ等しいとみなせない場合(ステップS18のNO)、制御部3は、何もせず電力制御動作を終了する。
【0102】
(降圧回路の降圧動作)
次に、上述した昇降圧回路1の電力制御動作モードに対応した降圧回路2の降圧動作について説明する。
(回路動作)
図1を用いて降圧回路2の降圧動作を説明すると、昇降圧回路1を制御してトランスT1の1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に交流電力が誘起されると、整流用ダイオードD5、D6の働きにより整流されて、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点(2次巻き線の中間タップ)と、整流用ダイオードD5、D6の接点との間には、トランスT1の1次巻き線L1に供給された電力とトランスT1の巻き線のターン数とに比例した電圧値を持つ一方向の電力が得られる。
【0103】
これに対し、制御部3では、降圧回路2に接続された、例えば動作電位が12[V]系の補機類に電力を供給するために、予め設定された降圧回路出力電圧目標値に基づいて、スイッチング素子Q5をスイッチングすることにより、降圧回路2の出力電圧を降圧回路出力電圧目標値に制御する。具体的には、スイッチング素子Q5がON時に、整流用ダイオードD5、D6を通り、トランスT2の1次巻き線L4を介して補機類へ流れ、補機類からトランスT2の2次巻き線L5を介して、トランスT1の2次巻き線L2、L3の接点(2次巻き線の中間タップ)へ戻る、トランスT1の2次巻き線L2、L3の誘起電力による電流ループと、スイッチング素子Q5がOFF時に、ダイオードD7を通り、トランスT2の1次巻き線L4を介して補機類へ流れ、補機類からトランスT2の2次巻き線L5へ戻る、トランスT2の2次巻き線L5の逆起電力による電流ループとにより、補機類へ降圧回路出力電圧目標値に基づく電力が供給される。
【0104】
また、降圧回路2では、昇降圧回路1の電力制御動作に伴って、昇降圧回路1のスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4のスイッチングの状態により、降圧回路2の入力電圧V4にステップ的な変動が現れる。そのため、仮にスイッチング素子Q5を一定のスイッチングデューティでスイッチングする場合、入力電圧V4の変動が、降圧回路2の出力電圧Vdvにリップル電圧となって現れる。
【0105】
そこで、このリップル電圧を抑制するために、昇降圧回路1の電力制御動作モードに対応して、電力制御動作時に昇降圧回路1においてスイッチングされるスイッチング素子に同期したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティの意図的な変動により、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制する。
【0106】
(デューティ算出の制御ブロック)
以下に、制御部3による降圧回路2のスイッチング素子Q5に対するスイッチングデューティの算出方法について、図面を参照して説明する。図28は、制御部3におけるスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御ブロック図である。
図28において、まず制御部3では、減算器11により降圧回路出力電圧目標値から降圧回路2の出力電圧Vdvが減算され、目標値に対する実測値の偏差が算出される。減算器11により算出された偏差は、PID制御のP(Proprtional:比例)とD(Differential:微分)について補償するPD補償器12へ入力される。そして、PD補償器12の出力は加算器13へ入力される。
【0107】
また、減算器11により算出された偏差は、スイッチA14を通りKIで示される積分ゲイン15を乗算された後、I(Integral:積分)について補償するI1補償器16に入力される。そして、I1補償器16の出力はスイッチB17を介して加算器13へ入力される。また、減算器11により算出された偏差は、スイッチC18を通りKIで示される積分ゲイン19を乗算された後、I(Integral:積分)について補償すると共に、I1補償器16とは特性の異なるI2補償器20に入力される。そして、I2補償器20の出力はスイッチD21を介して加算器13へ入力される。
【0108】
従って、制御部3では、スイッチA14とスイッチB17とをONし、スイッチC18とスイッチD21とをOFFした状態でスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のためのPID制御を行うと、PD補償器12とI1補償器16とによるPID制御を実行することができ、加算器13の出力にスイッチング素子Q5のスイッチングデューティが得られる。一方、スイッチA14とスイッチB17とをOFFし、スイッチC18とスイッチD21とをONした状態でスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のためのPID制御を行うと、PD補償器12とI2補償器20とによるPID制御を実行することができ、加算器13の出力にスイッチング素子Q5のスイッチングデューティが得られる。
【0109】
(デューティ算出の制御フロー)
次に、上述の制御ブロックを用いたスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローについて説明する。
図29は、昇降圧回路1の電力制御動作の降圧回路供給モード1、降圧回路供給モード2、降圧アシストモードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が降圧回路供給モード1、降圧回路供給モード2、降圧アシストモードのいずれかである場合、図29に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q1がON状態にあるか否かを判定し(ステップS21)、スイッチング素子Q1がON状態にある場合には(ステップS21のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS22)。また、スイッチング素子Q1がOFF状態にある場合には(ステップS21のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS23)。
【0110】
また、図30は、昇降圧回路1の電力制御動作の昇圧アシストモードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が昇圧アシストモードである場合、図30に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q4がON状態にあるか否かを判定し(ステップS31)、スイッチング素子Q4がON状態にある場合には(ステップS31のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS32)。また、スイッチング素子Q4がOFF状態にある場合には(ステップS31のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS33)。
【0111】
図31は、昇降圧回路1の電力制御動作の降圧回生モードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が降圧回生モードである場合、図31に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q3がON状態にあるか否かを判定し(ステップS41)、スイッチング素子Q3がON状態にある場合には(ステップS41のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS42)。また、スイッチング素子Q3がOFF状態にある場合には(ステップS41のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS43)。
【0112】
図32は、昇降圧回路1の電力制御動作の昇圧回生モードに対応したスイッチング素子Q5のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。制御部3は、昇降圧回路1の電力制御動作が昇圧回生モードである場合、図32に示すように、昇降圧回路1の電力制御動作中に、スイッチング素子Q2がON状態にあるか否かを判定し(ステップS51)、スイッチング素子Q2がON状態にある場合には(ステップS51のYES)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をOFF、スイッチC18及びスイッチD21をONにする(ステップS52)。また、スイッチング素子Q2がOFF状態にある場合には(ステップS51のNO)、図28に示す制御ブロックのスイッチA14及びスイッチB17をON、スイッチC18及びスイッチD21をOFFにする(ステップS53)。
【0113】
上述の制御により、例えば車両の走行状態がモード(c)やモード(i)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード2」を実行しているような場合、図8(1)に示すほぼ均一な降圧回路2の入力電圧V4に対応して、図8(2)に示す均一なスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5を図8(3)に示すようにON/OFF制御する。
【0114】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、図8(4)に示すような均一な電圧を取り出し、図8(5)に示すように、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0115】
同様に、例えば車両の走行状態がモード(k)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合も、図14に示すように、均一なスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5をON/OFF制御する。これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に均一な電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0116】
また、例えば車両の走行状態がモード(a)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合、図10(1)に示す矩形波状の降圧回路2の入力電圧V4に対応して、図10(2)に示すように、入力電圧V4が高い場合には小さく、入力電圧V4が低い場合には大きく制御されたスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5を図10(3)に示すようにON/OFF制御する。
【0117】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、図10(4)に示すように、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、図10(5)に示すように、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0118】
同様に、例えば車両の走行状態がモード(f)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回路供給モード1」を実行しているような場合は図12に示すように、また、例えば車両の走行状態がモード(b)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧アシストモード」を実行しているような場合は図17に示すように、更に、例えば車両の走行状態がモード(d)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「昇圧アシストモード」を実行しているような場合は図20に示すように、それぞれ矩形波状の降圧回路2の入力電圧V4に対応して、入力電圧V4が高い場合には小さく、入力電圧V4が低い場合には大きく制御されたスイッチングデューティにより、スイッチング素子Q5をON/OFF制御する。
【0119】
これにより、回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0120】
また、同様に、例えば車両の走行状態がモード(h)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「降圧回生モード」を実行しているような場合は図23に示すように、また、例えば車両の走行状態がモード(j)の状態で、昇降圧回路1が電力制御動作として「昇圧回生モード」を実行しているような場合は図26に示すように、それぞれ回路図に示すダイオードD7の両端電圧V5に、入力電圧V4が高い場合には時間幅が狭くかつ高い電圧を、入力電圧V4が低い場合には時間幅が広くかつ低い電圧を取り出し、トランスT2の1次巻き線L4に流れる電流IL4の平均値を均一化して、降圧回路2の出力電圧Vdvのリップル電圧を抑制することができる。
【0121】
なお、上述の実施の形態において、電力を蓄電する装置はバッテリB1に限らず、直流電力を蓄電可能な、キャパシタ等を含む蓄電装置(エネルギーストレージデバイス)であれば何を用いても良い。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の電力制御装置によれば、バッテリB1の入出力電力を、チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧し、PAM制御を用いて走行モータを駆動するための電力としてインバータ回路へ供給すると共に、インバータ回路のバッテリB1側へ、走行モータの回生電力によって発生する入出力電力を、チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧してバッテリB1へ供給することにより、走行モータの駆動または回生に伴うバッテリB1の充放電を制御する昇降圧回路と、バッテリB1の電位より低電位の電力で動作する補機類への電力供給を制御する降圧回路2とを備え、昇降圧回路1のチョッパ回路をトランスT1の1次巻き線L1により構成すると共に、1次巻き線L1に供給された電力により、トランスT1の2次巻き線L2、L3に電力を誘起させ、降圧回路2は、2次巻き線L2、L3に誘起された電力の電位を、スイッチング素子Q5のスイッチングにより降圧して補機類へ供給することで、走行モータ及びバッテリB1と電位の異なる補機類を同時に動作させることができる。
【0123】
また、本実施の形態の電力制御方法によれば、トランスT1の1次巻き線L1の両端に十分な電圧が印加されず、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ電力供給ができない場合、あるいはトランスT1の1次巻き線L1に、バッテリB1の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ断続的にしか電力供給ができないと判断できる場合、入出力電力制御指示値に対応した交番電流を、トランスT1の1次巻き線L1に流すことにより、トランスT1を介して昇降圧回路1から降圧回路2へ電力供給を行うことができる。
【0124】
また、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4を制御することで、PAM制御により走行モータを駆動することができると共に、走行モータの回生エネルギーにより発生した電力をインバータ回路から取得してバッテリB1を充電することができる。また、スイッチング素子Q5のスイッチングデューティを制御することで、昇降圧回路1から降圧回路2へ供給された電力の電位を希望の電位に降圧して補機類へ供給することができる。更に、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4の導通または遮断の状態に基づいてスイッチング素子Q5のスイッチングデューティを決定することで、降圧回路2が出力する電力の電位を適切かつ容易に制御することができる。
【0125】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、走行モータの駆動または回生の状況によって、トランスT1を介した昇降圧回路1から降圧回路2への電力供給が不可能であると判定された場合でも、走行モータの駆動または回生に影響を与えずに、走行モータ、及びバッテリB1と電位の異なる補機類に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【0126】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の電力制御装置によれば、制御部が、昇降圧回路を制御し、蓄電装置に蓄電された電力を、その電位を降圧または昇圧してインバータ回路へ供給することで、インバータ回路を介して接続されたモータを駆動することができる。また、インバータ回路を介して接続されたモータの回生電力を、その電位を降圧または昇圧して蓄電装置に供給することで、蓄電装置を充電することができる。更に、モータの駆動または回生に伴い、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ供給される電力を、制御部が降圧回路を制御することにより降圧して負荷へ供給することで、モータの駆動または回生に伴う蓄電装置の充放電を制御しながら、蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷を動作させることができる。
【0127】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【0128】
また、本発明の電力制御方法によれば、昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値と蓄電装置の入出力電圧測定値とが近接し、第1トランスの1次巻き線の両端に十分な電圧が印加されず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない場合、あるいは昇降圧回路へ蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値が小さく、第1トランスの1次巻き線に、蓄電装置の充放電に伴って流れるはずの電流が断続的にしか流れず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ断続的にしか電力供給ができないと判断できる場合、電力指示値に対応した交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0129】
更に、特に第1トランスの1次巻き線に全く電流が流れず、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給ができない場合、平均値が零の交番電流を、第1トランスの1次巻き線に流すことにより、第1トランスを介して昇降圧回路から降圧回路へ電力供給を行うことができる。
【0130】
従って、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、モータの駆動または回生の状況によって、第1トランスを介した昇降圧回路から降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合でも、モータの駆動または回生に影響を与えずに、モータを含む電位の異なる複数の負荷に電力の供給が可能な電力制御装置を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電力制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の電力制御装置の昇降圧回路に備えられたトランスの断面を示す図である。
【図3】同実施の形態の電力制御装置の制御部が電力制御のモードを決定するための制御マップを示す図である。
【図4】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す回路図である。
【図5】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図6】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す回路図である。
【図7】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図8】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図9】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図10】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図11】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図12】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図13】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図14】同実施の形態の電力制御装置の降圧回路供給モード動作を示す波形図である。
【図15】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す回路図である。
【図16】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図17】同実施の形態の電力制御装置の降圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図18】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す回路図である。
【図19】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図20】同実施の形態の電力制御装置の昇圧アシストモード動作を示す波形図である。
【図21】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す回路図である。
【図22】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す波形図である。
【図23】同実施の形態の電力制御装置の降圧回生モード動作を示す波形図である。
【図24】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す回路図である。
【図25】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す波形図である。
【図26】同実施の形態の電力制御装置の昇圧回生モード動作を示す波形図である。
【図27】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する昇降圧回路の電力制御動作の制御フローを示すフローチャートである。
【図28】同実施の形態の電力制御装置の制御部における降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御ブロック図である。
【図29】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図30】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図31】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【図32】同実施の形態の電力制御装置の制御部が実行する降圧回路のスイッチングデューティ算出のための制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・昇降圧回路、2・・・降圧回路、3・・・制御部、B1・・・バッテリ(蓄電装置)、T1・・・トランス(第1トランス)、D1、D2、D3、D4・・・転流ダイオード、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5・・・スイッチング素子、D5、D6・・・整流用ダイオード、T2・・・トランス(第2トランス)、D7・・・ダイオード
Claims (8)
- 蓄電装置の入出力電力を、トランスの1次巻き線により構成されたチョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧し、PAM制御を用いてモータを駆動するための電力として、前記蓄電装置と前記モータとの間に備えられたインバータ回路へ供給すると共に、前記インバータ回路の前記蓄電装置側に、前記モータの回生電力によって発生する入出力電力を、前記チョッパ回路を用いてその電位を昇圧または降圧して前記蓄電装置へ供給することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する昇降圧回路と、
前記蓄電装置の電位より低電位の電力で動作する負荷への電力供給を制御する降圧回路と、
前記昇降圧回路と前記降圧回路を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記トランスの1次巻き線に電力を供給することにより、前記トランスの2次巻き線に電力を誘起させ、前記降圧回路により前記トランスの2次巻き線に誘起された電力の電位を降圧して前記負荷へ供給することを特徴とする電力制御装置。 - 前記昇降圧回路が、
前記蓄電装置の正極側端子に直列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードを備え、前記蓄電装置の正極側端子から電流が流れ出る方向に導通する第1のスイッチング素子と、
前記蓄電装置と前記第1のスイッチング素子との直列回路に並列に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードを備え、前記第1のスイッチング素子から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子が前記第2のスイッチング素子と接続する接点に1次巻き線の一方の端子が接続されると共に、該1次巻き線と同一方向に巻き込まれた2次巻き線を備え、前記トランスに該当する第1トランスと、
前記第1トランスの1次巻き線のもう一方の端子と前記インバータ回路の入力端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードを備え、前記インバータ回路から前記第1トランスの1次巻き線の方向へ導通する第3のスイッチング素子と、
前記第1トランスの1次巻き線が前記第3のスイッチング素子と接続する接点と、前記蓄電装置の負極側端子との間に接続されると共に、自己の導通方向とは逆向きの電流を流せる転流ダイオードを備え、前記第1トランスの1次巻き線から前記蓄電装置の負極側端子の方向へ導通する第4のスイッチング素子とを具備し、
前記降圧回路が、
前記第1トランスの2次巻き線の両端端子に一方の端子がそれぞれ接続されると共に、前記負荷へ電流を流すように導通する2個の整流用ダイオードと、
前記2個の整流用ダイオードのそれぞれのもう一方の端子に1次巻き線が共通に接続されると共に、該1次巻き線と反対方向に巻き込まれた2次巻き線を備える第2トランスと、
前記第2トランスの2次巻き線と前記第1トランスの2次巻き線の中間タップとの間に設けられた第5のスイッチング素子と、
前記第2トランスの2次巻き線が前記第5のスイッチング素子と接続する接点と、前記第2トランスの1次巻き線との間に接続されると共に、前記第2トランスの2次巻き線から前記第2トランスの1次巻き線の方向へ導通するダイオードとを具備することを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。 - 請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、
前記昇降圧回路に対する入出力電圧の制御指示値と前記蓄電装置の入出力電圧測定値とを比較して、前記第1トランスの1次巻き線の両端に印加される電圧により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理と、
前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理とを含むことを特徴とする電力制御方法。 - 請求項2に記載の電力制御装置における電力制御方法であって、
前記昇降圧回路へ前記蓄電装置の充放電を指示するための電力指示値に基づいて、前記第1トランスの1次巻き線を流れる電流により前記第1トランスを介して前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が可能か否かを判定する処理と、
前記昇降圧回路から前記降圧回路への電力供給が不可能であると判定された場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が前記電力指示値に対応した交番電流を、前記第1トランスの1次巻き線に流す処理とを含むことを特徴とする電力制御方法。 - 前記電力指示値が零である場合、前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、平均値が零の交番電流を前記第1トランスの1次巻き線に流す処理を含むことを特徴とする請求項4に記載の電力制御方法。
- 前記第1から第4のスイッチング素子を制御することにより、前記モータの駆動または回生に伴う前記蓄電装置の充放電を制御する処理を含むことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の電力制御方法。
- 前記第5のスイッチング素子を制御することにより、前記負荷への電力供給を制御する処理を含むことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の電力制御方法。
- 前記第5のスイッチング素子を制御して前記負荷への電力供給を制御する場合、前記第5のスイッチング素子の動作速度を、前記第1から第4のスイッチング素子の導通または遮断の状態に基づいて決定することを特徴とする請求項7に記載の電力制御方法。
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