JP2005032912A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主回路モジュールの充填材表面温度が低減できるようにした電力変換装置を提供すること。
【解決手段】パワー半導体素子6が導体5に実装された高熱伝導プリント配線板1をモールドケース2に納め、充填材20によりパワー半導体素子6を封止した主回路モジュール50Aにおいて、充填材20の充填に際して、その中に熱伝導プレート10を埋め込み、パワー半導体素子6が発生した熱を熱伝導プレート10によりモジュール外に引出して放熱を図ると共に、充填材20の上に更に別の充填材21を設け、下側の充填材20は高熱伝導率の材料で形成し、上側の充填材21は低熱伝導率の材料で形成したもの。
【選択図】 図1
【解決手段】パワー半導体素子6が導体5に実装された高熱伝導プリント配線板1をモールドケース2に納め、充填材20によりパワー半導体素子6を封止した主回路モジュール50Aにおいて、充填材20の充填に際して、その中に熱伝導プレート10を埋め込み、パワー半導体素子6が発生した熱を熱伝導プレート10によりモジュール外に引出して放熱を図ると共に、充填材20の上に更に別の充填材21を設け、下側の充填材20は高熱伝導率の材料で形成し、上側の充填材21は低熱伝導率の材料で形成したもの。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワー半導体と制御回路素子を回路基板に搭載しモジュール化した電力変換装置に係り、特にインバータ用に好適な電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータなどの電力変換装置では、IGBTやダイオードなどのパワー半導体素子(電力用半導体素子)を備えた主回路モジュールに、制御回路や電源回路などの周辺回路を搭載したプリント配線板を組合わせ、全体をモジュール化した電力変換装置、いわゆる半導体パワーモジュールが従来から使用されている。
【0003】
そこで、このような半導体パワーモジュールの一例について、図8の平面図と図9の断面図により説明する。ここで、図9は、図8を一部断面にして、図の下側からみた図である。
【0004】
これら図8と図9において、まず、主回路モジュール50は、絶縁金属基板やDBC(Direct Bonding Cupper)基板などに代表される高熱伝導プリント配線板1の上面(図においての上面)に、IGBTなどに代表されるパワー半導体素子6を実装したもので、このときパワー半導体素子6は、高熱伝導プリント配線板1の表面にある絶縁層の上面で配線パターンを形成している導体5に接合されている。
【0005】
そして、この高熱伝導プリント配線板1には、主端子3を備えた枠状のモールドケース2が接合され、各パワー半導体素子6と主端子3の間にボンディングワイヤ7により電気的な接続を行った後、モールドケース2内に充填材20を注入して、パワー半導体素子6を封止する。
【0006】
この後、主回路モジュール50の下面には放熱フィン30が取付けられ、これにより、高熱伝導プリント配線板1の下面が放熱フィン30の上面に密着した状態にされる。
【0007】
このとき、高熱伝導プリント配線板1の下面と放熱フィン30の上面の間にシリコングリスなどを介在させることにより、効果的な熱伝導が見込めるようにするのが通例である。
【0008】
次に、プリント配線板40は、パワー半導体素子6の駆動制御を行う制御IC41a、41bなどの制御部品を始めとして、電源回路部品として使用される電解コンデンサ42a、42bや制御電源用のトランス43などの周辺電子部品及び入出力配線用の端子台44などの構造部品を搭載したものである。
【0009】
そして、このプリント配線板40は、その下面がモールドケース2の上に接触した状態で主回路モジュール50の上に重ねられ、ビスなどにより主回路モジュール50に取付けられているものである。
【0010】
ところで、このような半導体パワーモジュールに使用される電解コンデンサ42a、42bや、駆動制御用IC41a、41bの類は、一般に高温下では性能が低下し、且つ、劣化が早まってしまう。
【0011】
このとき、高耐熱部品を採用して、このような温度の問題に対処することも想定されるが、通常は、これらの部品について、それらの周囲温度の上昇が極力抑えられるようにして使用する。
【0012】
ここで、このような半導体パワーモジュールの場合、温度上昇の元になる発熱量は主回路モジュール50によるものが支配的で、このため、一般には、放熱フィン30の冷却能力(放熱能力)を強化したり、パワー半導体素子6のスイッチング周波数を幾分下げた状態で電力変換装置の運転を行い、発生損失自体を低減するなどの対策を施こして対処するのが通例であった。
【0013】
しかして、これでも不十分な場合、従来技術では、更に制御IC41a、41b及び電解コンデンサ42a、42bと主回路モジュール50の間の配置を工夫して装置内の自然対流効果を高めたり、電動ファンを追加して強制空冷を図るなどの対策を施している。
【0014】
一方、制御回路や保護回路などの周辺回路を一緒に組込んだものではないが、半導体モジュールが筐体を備え、この筐体内にある封入部の中にヒートパイプを挿設し、封入部を効率よく冷却するようにした半導体モジュールも従来から知られている((例えば、特許文献1参照。)。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−118195号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、制御回路や保護回路などの周辺回路を一緒に組込んだ半導体パワーモジュールの小型化と温度上昇の抑制にトレードオフ関係がある点に配慮がされておらず、性能維持に問題があった。
【0017】
このような半導体パワーモジュールの場合、一般的には、制御回路からパワー半導体素子までの配線が長くなるにつれ、誤動作が引き起こされ易くなることが知られている。これは、配線が長くなると配線インダクタンスが増加し、且つ、外部ノイズを拾い易くなってしまうからである。
【0018】
従って、基本的に制御ICなどの制御回路は、主回路モジュールの近傍に配置する必要があり、図8と図9の従来技術における制御IC41aのように、主回路モジュール50の真上に配置されていることが多い。
【0019】
一方、制御回路系ではないが、電解コンデンサ42a、42bに関しても同様で、安定した電圧を得るためには、配線インダクタンスを極力小さく抑える必要がある。
【0020】
このため、電源の入出力源である主回路モジュール50の主端子3や制御端子4に対する配線距離が或る範囲内に収まるようにする必要があり、結果的に主回路モジュール50の周辺に配置されてしまうことになる。
【0021】
このとき主回路モジュール50を封止している充填材20の表面は、パワー半導体素子6の発熱によりかなりの温度になってしまうので、プリント配線板40の上側の周辺雰囲気に或る程度の温度上昇が伴ってしまうのが避けられない。
【0022】
従って、上記した周辺雰囲気の温度、つまり周囲温度の低減を図るためには、従来技術で説明した各種の対策が必要となるが、このとき、放熱フィン30の冷却能力強化や部品配置の工夫による対策は、電力変換装置自体の小形化が年々進んでいる現状では、スペース不足で十分な対策が施せない。
【0023】
一方、高耐熱部品の採用はコストの問題から困難であり、この結果、最終的に電力変換装置としてのスペックダウンや耐用年数の低下などが引き起こされてしまうのが免れず、従って、従来技術では、性能維持に問題が生じてしまうのである。
【0024】
また、通常、パワー半導体素子は、高電圧で大電流による高周波のスイッチングが行われている場合がほとんどで、この場合、パワー半導体素子はノイズ放射源に等しいといっても過言ではない。
【0025】
従って、主回路モジュール50の上面に制御IC41aなどの高周波ノイズの影響を受け易い制御部品が配置されている状況では、装置のノイズ耐量を下げ、誤動作が引き起こされ易い環境を自ら作り出している構造とも言える。
【0026】
本発明の目的は、主回路モジュールの充填材表面温度が低減できるようにした電力変換装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、半導体素子が搭載された回路基板を枠状のケースに収容して充填材により封止した主回路モジュール部と、前記枠状のケースの上から前記主回路モジュールに重ねて取付けられている周辺回路基板とを備えた電力変換装置において、前記充填材の中で、前記半導体素子の少なくとも一部を覆うようにして、前記充填材の中に埋め込まれた熱伝導プレートが設けられ、前記充填材は、前記熱伝導プレートの前記回路基板に面した側と他方の側で、少なくとも熱伝達特性が異なり、前記回路基板に面した側では、前記他方の側よりも高い熱伝導率を備えるようにして達成される。
【0028】
このとき、前記他方の側の前記充填材の少なくとも一部が空気層で置き換えられ、前記空気層を保持するための蓋が設けられていることによっても、上記目的が達成される。
【0029】
また、このとき、前記熱伝導プレートは、少なくとも前記ケースの側壁から外部に引き出されている端部を備え、前記端部で放熱が図られるようにしても、上記目的が達成される。
【0030】
更に、このとき、前記熱伝導プレートには、少なくとも1個の孔が形成されていても良く、前記熱伝導プレートが導電性材で作られ、前記端部がアース電位にある放熱フィンに接続されていても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電力変換装置について、図示の実施の形態により詳細に説明すると、まず、図1は、本発明の第1の実施形態における主回路モジュール50Aを示したもので、ここで、10は熱伝導プレートで、その他は図8と図9で説明した従来技術における主回路モジュール50と同じで、下面には、図2に示すように放熱フィン30を備え、上面にはプリント配線板40が取付けられている。
【0032】
ここで、本発明の目的は、上記したように、最上部にある充填材表面の温度を低減することであり、このためには、パワー半導体素子6と熱伝導プレート10の間では高熱伝導性の充填材が適しており、他方、熱伝導プレート10上面に存在する充填材は、反対に低熱伝導性の充填材が適していると言える。
【0033】
そこで、この図1の実施形態では、充填材20を2層に分け、下側の充填材20に対して、上側では充填材21とした上で、下側の充填材20は高熱伝導率の材料で、上側の充填材21は低熱伝導率の材料で、それぞれ形成し、これにより充填材20の熱伝導率をT20、充填材21の熱伝導率をT21 としたとき、これらの間にT20>T21 の関係が成り立つようにする。
【0034】
このとき、これら充填材20、21の材料としては、シリコンゲルやエポキシ樹脂などが一般的で、しかもこのとき、アルミナなどの粉末が混入されるのが通例である。
【0035】
そこで、このときのシリコンゲルやエポキシ樹脂に対するアルミナ粉末の混入比率を変えてやれば熱伝導率が変わり、アルミナ粉末の混入比率を多くするほど熱電導率が高くなる。
【0036】
従って、例えば充填材20にはアルミナ粉末の混入比率が多い材料を用い、充填材21にはアルミナ粉末の混入比率が少ない材料を用いることにより、上記の関係を容易に満足させることができる。
【0037】
そして、この実施形態における主回路モジュール50Aでも、IGBTなどに代表されるパワー半導体素子6が導体5に実装された高熱伝導プリント配線板1を備え、これがモールドケース2に接着され、各パワー半導体素子6と主端子3の間などにボンディングワイヤ7による電気的な接続が施された後、充填材20によりパワー半導体素子6が封止されている点は、従来技術と同じである。
【0038】
しかして、この図1の実施形態における主回路モジュール50Aでは、充填材20の充填に際して、その中に熱伝導プレート10が埋め込まれており、この点で、図9で説明した従来技術と大きく異なっている。
【0039】
このときの充填材20、21としては、上記したように、シリコンゲルやエポキシ樹脂などが一般的であるが、各素子間の絶縁と、外部からの異物の混入や吸湿抑制などについての信頼性が満足されれば、他の類似の材料の適用も可能である。
【0040】
ここで、熱伝導プレート10は、複数のパワー半導体素子6の上を一部、或いは大部分覆う形で、パワー半導体素子6と充填材20の表面(つまりモジュールの表面)の間に埋め込まれている。
【0041】
しかも、この熱伝導プレート10は、その一方の端部(図では右端)が、図示のように、モールドケース2の側壁を乗り越えてモジュールの外部に直接引き出され、図2に示すように、放熱フィン30に固定されている。
【0042】
そこで、このようなモジュール構造における充填材20の熱の流れについて説明すると、まず、図9に示した従来のモジュール構造の場合、パワー半導体素子6で発生された熱の一部は充填材20に伝達し、その中を通って表面に達した後、ここから空気中に放散される。
【0043】
従って、従来技術の場合、充填材20に伝達した熱の最終的な移動経路は、その表面から空気中への熱伝達であり、このため、放射効果を考慮しても、高熱伝導プリント配線板1を介して放熱フィン30に伝達する経路に比較して、流出する熱流量が著しく少なくなってしまい、パワー半導体素子と充填材20表面との温度勾配が小さくなってしまう。
【0044】
このため、図8と図9の従来技術による主回路モジュール50の場合、充填材20の表面温度が上昇してしまい、上記したように、様々な対策を施す必要が生じてしまうのである。
【0045】
一方、図1の実施形態による主回路モジュール50Aの場合、パワー半導体素子6から充填材20の表面の空気中への熱伝達経路に熱伝導プレート10が設けてあるので、この区間において熱伝導によるモジュール外部への強制放熱ルートが形成されることになり、この結果、パワー半導体素子6と充填材20表面間の温度勾配を大きくすることが可能になる。
【0046】
ここで、この熱伝導プレート10は、複数のパワー半導体素子6の上を一部、或いは大部分覆う形で充填材20に埋め込まれ、パワー半導体素子6から充填材20の中を厚み方向に伝達してきた熱に対して、横方向に熱抵抗が低い経路を与えているので、充填材20に伝達した熱は、充填材20の表面に至る途中で熱伝導プレート10に流れ込むようになる。
【0047】
しかも、この熱伝導プレート10は、その一方の端部がモジュールの外部に直接引き出されているので、熱伝導プレート10に流れ込んだ熱は横方向に流れ、この一方の端部に達する。そこで、この端部での熱放散を図ることにより、充填材20の表面温度が上昇するのを抑えることができる。
【0048】
加えて、この主回路モジュール50Aの場合、更に充填材20の上には、この充填材20よりも熱伝導性が低い充填材21が設けてあり、従って、熱伝導プレート10の下側では、パワー半導体素子6で発生した熱が、熱伝導率の高い充填材20を通って効率よく熱伝導プレート10に伝達され、他方、熱伝導プレート10の上側では、熱伝導プレート10の熱が充填材21の表面に達するのが、この充填材21が有する低い熱伝導率により抑えられることになり、更に充填材の表面温度の低減を得ることができる。
【0049】
従って、この実施形態に係る主回路モジュール50Aによれば、モジュールの表面温度が低減できるので、従来技術のように、充填材20の表面温度上昇の影響を回避するための種々の対策を施す必要がなく、この結果、小型で高性能を維持した電力変換装置を得ることができる。
【0050】
ここで、熱伝導プレート10の放熱方法について説明すると、この実施形態では、図2に示すように、熱伝導プレート10の端部がネジ31により放熱フィン30に接合されている。このとき、上記した主回路モジュールと放熱フィンの場合と同様、両者間にシリコングリスなどを介在させてやれば密着度が上り、より効果的な熱伝導が見込める。
【0051】
この図2の実施形態によれば、熱伝導プレート10の基材として金属などの導電性基材を選択し、放熱フィン30をアース電位(共通電位)に保った場合、制御IC41aが搭載されているプリント配線板40とパワー半導体素子6の間で、パワー半導体素子6の上面がアース電極で覆われた形となる。
【0052】
従って、この実施形態に係る主回路モジュール50Aによれば、パワー半導体素子6のスイッチング動作により発生する放射ノイズが熱伝導プレート10による遮蔽され、プリント配線板40側に伝播されるのが抑えられることになり、この結果、制御IC41aの誤動作を抑え、安定した制御のもとで所望の性能を発揮させることができる。
【0053】
ここで、この図2の実施形態では、両者の連結場所を主回路モジュール50Aの取付け面と同一面上にしているが、充填材20の内部よりも温度が低い場所であれば、冷却フィン30の側面など他の場所でも良く、何らかの方法で両者が密着連結できれば、連結手段を問うものではない。
【0054】
一方、熱伝導プレート10を放熱フィン30に連結させる代りに、モジュールから露出している熱伝導プレート10の端部にファンから風を送るなどの強制空冷作用を施すようにしても同様の効果を得ることができる。この場合、その端部に、放熱フィン30と同様に凹凸を設けて放熱面積を拡大させると、より効果的である。
【0055】
ここで、この熱伝導プレート10の材質としては、熱伝導率が高いほど効率的で望ましい。従って、銅やアルミなどの金属材が理想的であるが、所望の熱伝導率が得られるなら、特に金属材に限定されるものではない。
【0056】
また、この図1の実施形態では、熱伝導プレート10の端部をモールドケース2の側壁に沿って折り曲げて外部に取り出しているが、これに代えてモールドケース2の側壁を貫通させるなどの形態も可能で、特に限定されない。
【0057】
ところで、この熱伝導プレート10は、パワー半導体素子6から絶縁する必要があるため、ボンディングワイヤ7や主端子3などの導電体から適度な距離を保つ必要がある。
【0058】
しかし、一般的な充填材であるシリコンゲルやエポキシ樹脂でも15〜20KV/mm程度の絶縁性を有しているので、1mm程度の絶縁距離を保てば十分であり、主回路モジュール50A全体が厚くなってしまうおそれはない。
【0059】
次に、熱伝導プレート10の厚みについて説明すると、これは厚い方が放熱フィン6までの熱抵抗が小さくなるので有利であるが、反面、寸法、重量、コストの面では不利になる。
【0060】
そこで、これらのことを勘案し、効率の良い厚さとすべきであるが、ここで、例えば銅を基材とした熱伝導プレート10の場合の熱解析シミュレーションを行った結果を図3に示す。
【0061】
このとき、良く知られているように、銅は熱伝導率が高く、従って、図3から明らかなように、僅か1mmの厚さでも温度上昇がかなり抑制されるが、一方、3mm以上では、その効果も僅かなものとなる。そこで、強度的な問題も考慮すると、1mm前後の厚さが最適であると予想され、従って、これが、この実施形態での所望の厚さとなる。
【0062】
ところで、この図1の主回路モジュール50Aの場合、問題になるのは、それを組立てる際、充填材20の内部に気泡などのボイドが生じることである。充填材20内のボイドは周辺導体間の絶縁性を低下させると共に、応力集中、吸湿性劣化など信頼性低下を引き起こす要因となるからである。
【0063】
従って、特にパワー半導体素子6の周辺にボイドが発生しないように注意を払った組み立てが必要で、このときの難易度は、充填材20の充填量やモジュール構造によって異なり、予め充填材を十分に脱泡してから充填作業を行うことで対応可能な場合もあるが、これだけでは足りず、更に減圧処理などを組み合せる必要な場合もある。
【0064】
また、このときの充填領域の形状は単純な箱型である方が望ましく、従って、熱伝導プレート10は充填時の障害物的存在となるので、より一層の注意が必要である。そこで、この実施形態に係る主回路モジュール50Aの充填材の充填プロセスについて、図4により説明する。
【0065】
まず、図4(a)に示すように、パワー半導体素子6とボンディングワイヤ7が全て覆われるまでモールドケース2内に充填材20を注ぎこむ。次に同図(b)示すように、熱伝導プレート10をモールドケース2内に挿入して載置する。そして、この後、同図(c)に示すように、更に所定の厚さまで充填材20を充填するのである。
【0066】
ここで、この図4(c)には図示されていないが、この後、充填材20の上に低熱伝導性の充填材料が流し込まれ、充填材21が形成されることになる。
【0067】
このように、熱伝導プレート10を組み込む前後で、2段階に分けて充填材20を充填することにより、熱伝導プレート10の影響でパワー半導体素子6周辺にボイドが発生するのを防ぐことができる。
【0068】
ところで、以上の図4では、パワー半導体素子6の周辺にボイドができないようにした充填材の封止方法について説明したが、このとき熱伝導プレート10の面積にもよるが、図4(c)において、2度目の充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の下部にボイドが発生する可能性がある。
【0069】
ここでパワー半導体素子6と熱伝導プレート10の間にボイドが発生すると、両者間の熱伝導が阻害され、充填材20の表面温度の低減効果が小さくなってしまうため、この場所でもボイドが発生しないようにすることが重要である。
【0070】
そこで、まず、図5(a)は、複数の円形の孔11aを設けた場合の熱伝導プレート10の実施形態で、これによれば、図4(c)において、熱伝導プレート10の上部に充填材20を流し込んだ際、これらの円形の孔11aが熱伝導プレート10の下部に溜まった空気の抜け道となるので、ボイドが発生しないようにすることができる。
【0071】
次に、図5(b)は、複数の円形の孔11aと矩形の孔11bを組み合わせた場合の熱伝導プレート10の実施形態で、ボイドの発生を抑えるのには、この実施形態の方が期待できる場合もある。なお、このとき、円形の孔11aと矩形の孔11bを組み合わせるのではなく、矩形の孔11bだけを複数個、設けるようにしてもよい。
【0072】
ここで、このときの円形の孔11aと矩形の孔11bの大きさや個数、形状、それに総面積は、最終的な充填材20表面の温度低減に影響を及ぼすため、実際の効果と比較した上で決定する必要があるのは言うまでもない。
【0073】
このため、図4(c)において、2度目に充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の上部が丁度覆い隠される程度の量に留めておき、その後、更に3度目として、今度は充填材21を所定の高さまで充填するのである。
【0074】
次に、図6は、低熱伝導率の充填材として、空気を適用した場合の本発明の一実施形態に係る主回路モジュール50Bを示したもので、このため、図4(c)において、2度目に充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の上部が丁度覆い隠される程度の量に留めておき、その上に空気層22が形成されるようにして低熱伝導性の材料で作られた蓋23をモジュール最上面に被せたものである。
【0075】
良く知られているように、空気(気体)の熱伝達率は、固体の熱伝導率に比較してかなり低く、しかも、この図6の実施形態では、モジュール最上面には蓋23が設けてある。
【0076】
従って、この図6の実施形態に係る主回路モジュール50Bによれば、熱伝導プレート10から蓋23に伝達される熱量は極めて少なくでき、この結果、蓋23の表面温度を更に低くすることができる。
【0077】
次に、本発明の更に別の実施形態について、図7により説明する。ここで、この図7において、同図(a)は、この実施形態に係る主回路モジュール50Cの平面図で、同図(b)は同じく主回路モジュール50Cの断面図である。
【0078】
ここで、図1で説明した主回路モジュール50Aでは、図2に示されているように、主端子3がモールドケース2の4面ある側壁の中の2面に引き出されていて、端子の無い壁面が1面しかない。
【0079】
一方、この図7に示した主回路モジュール50Cは、同図(a)に示されているように、)主端子3が引き出されている面数が1面で、端子が引き出されていない壁面が2面、存在している場合の一実施形態である。
【0080】
ここで、電流容量が小さな主回路モジュールの場合、主端子の幅が狭くても充分であり、このため、図7に示す主回路モジュール50Cの構成が可能になり、従って、この実施形態は、比較的小容量の電力変換装置に適用して有効なものであるが、これに限定されるものでもなく、主端子の厚さを増すなどの対応により大容量のものにも適用が可能である。
【0081】
ここで、この主回路モジュール50Cは、図1の実施形態で説明した主回路モジュール50Aにおける熱伝導プレート10を2枚の熱伝導プレート10a、10bに分割し、モールドケース2の端子が引き出されていない2面の側壁から夫々モジュールの外部に引き出されている点を特徴としている。
【0082】
従って、この実施形態の場合、モジュールの用途など使用条件により、モジュールに内蔵すべき熱伝導プレートの枚数が変更でき、熱伝導プレート10a、10bの一方を省略することができる。
【0083】
例えば、一方の熱伝導プレート10aを、IGBTなどインバータ部を構成しているパワー半導体素子6の上に配置し、他方の熱伝導プレート10bを整流ダイオードなど電源整流部を構成しているパワー半導体素子6の上に配置しておくようにするのである。
【0084】
そして、三相交流受電に適用したときは、電源整流部を構成しているパワー半導体素子6の発熱量が少ないので、熱伝導プレート10aだけを設け、熱伝導プレート10bは省略して構成することができる。
【0085】
また、単相交流受電の場合は、熱伝導プレート10b側のパワー半導体素子6の発熱量も多くなるため、熱伝導プレート10a、10bの双方を設けておくなど、状況に応じて使い分けができる。
【0086】
しかも、この実施形態では、熱伝導プレート10a、10bの双方が左右対称になっているので、同一形状にすることができ、この結果、熱伝導プレートとしては1品種となり、コスト面で優位に立つことができる。
【0087】
ここで、この図7は、熱伝導プレートを2枚にした場合の実施形態であるが、更に細かく分割し、細分化した搭載方法をとることも可能である。
【0088】
従って、上記した実施形態によれば、充填材の中に埋め込まれた熱伝導プレートを介して、充填材の中からモジュール外部に熱伝導が起るので、主回路モジュール充填材の表面温度が低減され、この結果、同モジュールの周囲温度が低減されるため、電力変換装置としてのスペック向上と耐用年数の延長が得られる。
【0089】
また、上記した実施形態によれば、接地電位にある放熱フィンに接続された熱伝導プレートがパワー半導体素子の上を覆うようにできるので、パワー半導体素子のスイッチング動作により発生する放射ノイズがプリント配線板上の制御ICなどに伝播されるのが遮蔽され、電力変換装置の誤動作を低減することができ、動作に信頼性が増す。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、主回路モジュールの充填材表面温度が低減できるので、小型で初期の性能を維持した電力変換装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明における主回路モジュールの熱解析結果の一例を示す特性図である。
【図4】本発明における主回路モジュールの製造工程を示す説明図である。
【図5】本発明における熱伝導プレートの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第2の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第3の実施形態を示す断面図である。
【図8】従来技術による電力変換装置の一例を示す平面図である。
【図9】従来技術による電力変換装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高熱伝導プリント配線板
2 枠状のモールドケース
3 主端子
4 制御端子
5 導体
6 パワー半導体素子
7 ボンディングワイヤ
10 熱伝導プレート
10a 熱伝導プレート(インバータ部用)
10b 熱伝導プレート(電源整流部用)
11a 円形の孔
11b 矩形の孔
20 充填材(高熱伝導率)
21 充填材(低熱伝導率)
22 空気層
23 蓋
30 放熱フィン
31 ネジ
40 プリント配線板
41a、41b 制御IC
42a、42b 電解コンデンサ
43 制御電源用トランス
44 端子台
50A、50B、50C 主回路モジュール
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワー半導体と制御回路素子を回路基板に搭載しモジュール化した電力変換装置に係り、特にインバータ用に好適な電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータなどの電力変換装置では、IGBTやダイオードなどのパワー半導体素子(電力用半導体素子)を備えた主回路モジュールに、制御回路や電源回路などの周辺回路を搭載したプリント配線板を組合わせ、全体をモジュール化した電力変換装置、いわゆる半導体パワーモジュールが従来から使用されている。
【0003】
そこで、このような半導体パワーモジュールの一例について、図8の平面図と図9の断面図により説明する。ここで、図9は、図8を一部断面にして、図の下側からみた図である。
【0004】
これら図8と図9において、まず、主回路モジュール50は、絶縁金属基板やDBC(Direct Bonding Cupper)基板などに代表される高熱伝導プリント配線板1の上面(図においての上面)に、IGBTなどに代表されるパワー半導体素子6を実装したもので、このときパワー半導体素子6は、高熱伝導プリント配線板1の表面にある絶縁層の上面で配線パターンを形成している導体5に接合されている。
【0005】
そして、この高熱伝導プリント配線板1には、主端子3を備えた枠状のモールドケース2が接合され、各パワー半導体素子6と主端子3の間にボンディングワイヤ7により電気的な接続を行った後、モールドケース2内に充填材20を注入して、パワー半導体素子6を封止する。
【0006】
この後、主回路モジュール50の下面には放熱フィン30が取付けられ、これにより、高熱伝導プリント配線板1の下面が放熱フィン30の上面に密着した状態にされる。
【0007】
このとき、高熱伝導プリント配線板1の下面と放熱フィン30の上面の間にシリコングリスなどを介在させることにより、効果的な熱伝導が見込めるようにするのが通例である。
【0008】
次に、プリント配線板40は、パワー半導体素子6の駆動制御を行う制御IC41a、41bなどの制御部品を始めとして、電源回路部品として使用される電解コンデンサ42a、42bや制御電源用のトランス43などの周辺電子部品及び入出力配線用の端子台44などの構造部品を搭載したものである。
【0009】
そして、このプリント配線板40は、その下面がモールドケース2の上に接触した状態で主回路モジュール50の上に重ねられ、ビスなどにより主回路モジュール50に取付けられているものである。
【0010】
ところで、このような半導体パワーモジュールに使用される電解コンデンサ42a、42bや、駆動制御用IC41a、41bの類は、一般に高温下では性能が低下し、且つ、劣化が早まってしまう。
【0011】
このとき、高耐熱部品を採用して、このような温度の問題に対処することも想定されるが、通常は、これらの部品について、それらの周囲温度の上昇が極力抑えられるようにして使用する。
【0012】
ここで、このような半導体パワーモジュールの場合、温度上昇の元になる発熱量は主回路モジュール50によるものが支配的で、このため、一般には、放熱フィン30の冷却能力(放熱能力)を強化したり、パワー半導体素子6のスイッチング周波数を幾分下げた状態で電力変換装置の運転を行い、発生損失自体を低減するなどの対策を施こして対処するのが通例であった。
【0013】
しかして、これでも不十分な場合、従来技術では、更に制御IC41a、41b及び電解コンデンサ42a、42bと主回路モジュール50の間の配置を工夫して装置内の自然対流効果を高めたり、電動ファンを追加して強制空冷を図るなどの対策を施している。
【0014】
一方、制御回路や保護回路などの周辺回路を一緒に組込んだものではないが、半導体モジュールが筐体を備え、この筐体内にある封入部の中にヒートパイプを挿設し、封入部を効率よく冷却するようにした半導体モジュールも従来から知られている((例えば、特許文献1参照。)。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−118195号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、制御回路や保護回路などの周辺回路を一緒に組込んだ半導体パワーモジュールの小型化と温度上昇の抑制にトレードオフ関係がある点に配慮がされておらず、性能維持に問題があった。
【0017】
このような半導体パワーモジュールの場合、一般的には、制御回路からパワー半導体素子までの配線が長くなるにつれ、誤動作が引き起こされ易くなることが知られている。これは、配線が長くなると配線インダクタンスが増加し、且つ、外部ノイズを拾い易くなってしまうからである。
【0018】
従って、基本的に制御ICなどの制御回路は、主回路モジュールの近傍に配置する必要があり、図8と図9の従来技術における制御IC41aのように、主回路モジュール50の真上に配置されていることが多い。
【0019】
一方、制御回路系ではないが、電解コンデンサ42a、42bに関しても同様で、安定した電圧を得るためには、配線インダクタンスを極力小さく抑える必要がある。
【0020】
このため、電源の入出力源である主回路モジュール50の主端子3や制御端子4に対する配線距離が或る範囲内に収まるようにする必要があり、結果的に主回路モジュール50の周辺に配置されてしまうことになる。
【0021】
このとき主回路モジュール50を封止している充填材20の表面は、パワー半導体素子6の発熱によりかなりの温度になってしまうので、プリント配線板40の上側の周辺雰囲気に或る程度の温度上昇が伴ってしまうのが避けられない。
【0022】
従って、上記した周辺雰囲気の温度、つまり周囲温度の低減を図るためには、従来技術で説明した各種の対策が必要となるが、このとき、放熱フィン30の冷却能力強化や部品配置の工夫による対策は、電力変換装置自体の小形化が年々進んでいる現状では、スペース不足で十分な対策が施せない。
【0023】
一方、高耐熱部品の採用はコストの問題から困難であり、この結果、最終的に電力変換装置としてのスペックダウンや耐用年数の低下などが引き起こされてしまうのが免れず、従って、従来技術では、性能維持に問題が生じてしまうのである。
【0024】
また、通常、パワー半導体素子は、高電圧で大電流による高周波のスイッチングが行われている場合がほとんどで、この場合、パワー半導体素子はノイズ放射源に等しいといっても過言ではない。
【0025】
従って、主回路モジュール50の上面に制御IC41aなどの高周波ノイズの影響を受け易い制御部品が配置されている状況では、装置のノイズ耐量を下げ、誤動作が引き起こされ易い環境を自ら作り出している構造とも言える。
【0026】
本発明の目的は、主回路モジュールの充填材表面温度が低減できるようにした電力変換装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、半導体素子が搭載された回路基板を枠状のケースに収容して充填材により封止した主回路モジュール部と、前記枠状のケースの上から前記主回路モジュールに重ねて取付けられている周辺回路基板とを備えた電力変換装置において、前記充填材の中で、前記半導体素子の少なくとも一部を覆うようにして、前記充填材の中に埋め込まれた熱伝導プレートが設けられ、前記充填材は、前記熱伝導プレートの前記回路基板に面した側と他方の側で、少なくとも熱伝達特性が異なり、前記回路基板に面した側では、前記他方の側よりも高い熱伝導率を備えるようにして達成される。
【0028】
このとき、前記他方の側の前記充填材の少なくとも一部が空気層で置き換えられ、前記空気層を保持するための蓋が設けられていることによっても、上記目的が達成される。
【0029】
また、このとき、前記熱伝導プレートは、少なくとも前記ケースの側壁から外部に引き出されている端部を備え、前記端部で放熱が図られるようにしても、上記目的が達成される。
【0030】
更に、このとき、前記熱伝導プレートには、少なくとも1個の孔が形成されていても良く、前記熱伝導プレートが導電性材で作られ、前記端部がアース電位にある放熱フィンに接続されていても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電力変換装置について、図示の実施の形態により詳細に説明すると、まず、図1は、本発明の第1の実施形態における主回路モジュール50Aを示したもので、ここで、10は熱伝導プレートで、その他は図8と図9で説明した従来技術における主回路モジュール50と同じで、下面には、図2に示すように放熱フィン30を備え、上面にはプリント配線板40が取付けられている。
【0032】
ここで、本発明の目的は、上記したように、最上部にある充填材表面の温度を低減することであり、このためには、パワー半導体素子6と熱伝導プレート10の間では高熱伝導性の充填材が適しており、他方、熱伝導プレート10上面に存在する充填材は、反対に低熱伝導性の充填材が適していると言える。
【0033】
そこで、この図1の実施形態では、充填材20を2層に分け、下側の充填材20に対して、上側では充填材21とした上で、下側の充填材20は高熱伝導率の材料で、上側の充填材21は低熱伝導率の材料で、それぞれ形成し、これにより充填材20の熱伝導率をT20、充填材21の熱伝導率をT21 としたとき、これらの間にT20>T21 の関係が成り立つようにする。
【0034】
このとき、これら充填材20、21の材料としては、シリコンゲルやエポキシ樹脂などが一般的で、しかもこのとき、アルミナなどの粉末が混入されるのが通例である。
【0035】
そこで、このときのシリコンゲルやエポキシ樹脂に対するアルミナ粉末の混入比率を変えてやれば熱伝導率が変わり、アルミナ粉末の混入比率を多くするほど熱電導率が高くなる。
【0036】
従って、例えば充填材20にはアルミナ粉末の混入比率が多い材料を用い、充填材21にはアルミナ粉末の混入比率が少ない材料を用いることにより、上記の関係を容易に満足させることができる。
【0037】
そして、この実施形態における主回路モジュール50Aでも、IGBTなどに代表されるパワー半導体素子6が導体5に実装された高熱伝導プリント配線板1を備え、これがモールドケース2に接着され、各パワー半導体素子6と主端子3の間などにボンディングワイヤ7による電気的な接続が施された後、充填材20によりパワー半導体素子6が封止されている点は、従来技術と同じである。
【0038】
しかして、この図1の実施形態における主回路モジュール50Aでは、充填材20の充填に際して、その中に熱伝導プレート10が埋め込まれており、この点で、図9で説明した従来技術と大きく異なっている。
【0039】
このときの充填材20、21としては、上記したように、シリコンゲルやエポキシ樹脂などが一般的であるが、各素子間の絶縁と、外部からの異物の混入や吸湿抑制などについての信頼性が満足されれば、他の類似の材料の適用も可能である。
【0040】
ここで、熱伝導プレート10は、複数のパワー半導体素子6の上を一部、或いは大部分覆う形で、パワー半導体素子6と充填材20の表面(つまりモジュールの表面)の間に埋め込まれている。
【0041】
しかも、この熱伝導プレート10は、その一方の端部(図では右端)が、図示のように、モールドケース2の側壁を乗り越えてモジュールの外部に直接引き出され、図2に示すように、放熱フィン30に固定されている。
【0042】
そこで、このようなモジュール構造における充填材20の熱の流れについて説明すると、まず、図9に示した従来のモジュール構造の場合、パワー半導体素子6で発生された熱の一部は充填材20に伝達し、その中を通って表面に達した後、ここから空気中に放散される。
【0043】
従って、従来技術の場合、充填材20に伝達した熱の最終的な移動経路は、その表面から空気中への熱伝達であり、このため、放射効果を考慮しても、高熱伝導プリント配線板1を介して放熱フィン30に伝達する経路に比較して、流出する熱流量が著しく少なくなってしまい、パワー半導体素子と充填材20表面との温度勾配が小さくなってしまう。
【0044】
このため、図8と図9の従来技術による主回路モジュール50の場合、充填材20の表面温度が上昇してしまい、上記したように、様々な対策を施す必要が生じてしまうのである。
【0045】
一方、図1の実施形態による主回路モジュール50Aの場合、パワー半導体素子6から充填材20の表面の空気中への熱伝達経路に熱伝導プレート10が設けてあるので、この区間において熱伝導によるモジュール外部への強制放熱ルートが形成されることになり、この結果、パワー半導体素子6と充填材20表面間の温度勾配を大きくすることが可能になる。
【0046】
ここで、この熱伝導プレート10は、複数のパワー半導体素子6の上を一部、或いは大部分覆う形で充填材20に埋め込まれ、パワー半導体素子6から充填材20の中を厚み方向に伝達してきた熱に対して、横方向に熱抵抗が低い経路を与えているので、充填材20に伝達した熱は、充填材20の表面に至る途中で熱伝導プレート10に流れ込むようになる。
【0047】
しかも、この熱伝導プレート10は、その一方の端部がモジュールの外部に直接引き出されているので、熱伝導プレート10に流れ込んだ熱は横方向に流れ、この一方の端部に達する。そこで、この端部での熱放散を図ることにより、充填材20の表面温度が上昇するのを抑えることができる。
【0048】
加えて、この主回路モジュール50Aの場合、更に充填材20の上には、この充填材20よりも熱伝導性が低い充填材21が設けてあり、従って、熱伝導プレート10の下側では、パワー半導体素子6で発生した熱が、熱伝導率の高い充填材20を通って効率よく熱伝導プレート10に伝達され、他方、熱伝導プレート10の上側では、熱伝導プレート10の熱が充填材21の表面に達するのが、この充填材21が有する低い熱伝導率により抑えられることになり、更に充填材の表面温度の低減を得ることができる。
【0049】
従って、この実施形態に係る主回路モジュール50Aによれば、モジュールの表面温度が低減できるので、従来技術のように、充填材20の表面温度上昇の影響を回避するための種々の対策を施す必要がなく、この結果、小型で高性能を維持した電力変換装置を得ることができる。
【0050】
ここで、熱伝導プレート10の放熱方法について説明すると、この実施形態では、図2に示すように、熱伝導プレート10の端部がネジ31により放熱フィン30に接合されている。このとき、上記した主回路モジュールと放熱フィンの場合と同様、両者間にシリコングリスなどを介在させてやれば密着度が上り、より効果的な熱伝導が見込める。
【0051】
この図2の実施形態によれば、熱伝導プレート10の基材として金属などの導電性基材を選択し、放熱フィン30をアース電位(共通電位)に保った場合、制御IC41aが搭載されているプリント配線板40とパワー半導体素子6の間で、パワー半導体素子6の上面がアース電極で覆われた形となる。
【0052】
従って、この実施形態に係る主回路モジュール50Aによれば、パワー半導体素子6のスイッチング動作により発生する放射ノイズが熱伝導プレート10による遮蔽され、プリント配線板40側に伝播されるのが抑えられることになり、この結果、制御IC41aの誤動作を抑え、安定した制御のもとで所望の性能を発揮させることができる。
【0053】
ここで、この図2の実施形態では、両者の連結場所を主回路モジュール50Aの取付け面と同一面上にしているが、充填材20の内部よりも温度が低い場所であれば、冷却フィン30の側面など他の場所でも良く、何らかの方法で両者が密着連結できれば、連結手段を問うものではない。
【0054】
一方、熱伝導プレート10を放熱フィン30に連結させる代りに、モジュールから露出している熱伝導プレート10の端部にファンから風を送るなどの強制空冷作用を施すようにしても同様の効果を得ることができる。この場合、その端部に、放熱フィン30と同様に凹凸を設けて放熱面積を拡大させると、より効果的である。
【0055】
ここで、この熱伝導プレート10の材質としては、熱伝導率が高いほど効率的で望ましい。従って、銅やアルミなどの金属材が理想的であるが、所望の熱伝導率が得られるなら、特に金属材に限定されるものではない。
【0056】
また、この図1の実施形態では、熱伝導プレート10の端部をモールドケース2の側壁に沿って折り曲げて外部に取り出しているが、これに代えてモールドケース2の側壁を貫通させるなどの形態も可能で、特に限定されない。
【0057】
ところで、この熱伝導プレート10は、パワー半導体素子6から絶縁する必要があるため、ボンディングワイヤ7や主端子3などの導電体から適度な距離を保つ必要がある。
【0058】
しかし、一般的な充填材であるシリコンゲルやエポキシ樹脂でも15〜20KV/mm程度の絶縁性を有しているので、1mm程度の絶縁距離を保てば十分であり、主回路モジュール50A全体が厚くなってしまうおそれはない。
【0059】
次に、熱伝導プレート10の厚みについて説明すると、これは厚い方が放熱フィン6までの熱抵抗が小さくなるので有利であるが、反面、寸法、重量、コストの面では不利になる。
【0060】
そこで、これらのことを勘案し、効率の良い厚さとすべきであるが、ここで、例えば銅を基材とした熱伝導プレート10の場合の熱解析シミュレーションを行った結果を図3に示す。
【0061】
このとき、良く知られているように、銅は熱伝導率が高く、従って、図3から明らかなように、僅か1mmの厚さでも温度上昇がかなり抑制されるが、一方、3mm以上では、その効果も僅かなものとなる。そこで、強度的な問題も考慮すると、1mm前後の厚さが最適であると予想され、従って、これが、この実施形態での所望の厚さとなる。
【0062】
ところで、この図1の主回路モジュール50Aの場合、問題になるのは、それを組立てる際、充填材20の内部に気泡などのボイドが生じることである。充填材20内のボイドは周辺導体間の絶縁性を低下させると共に、応力集中、吸湿性劣化など信頼性低下を引き起こす要因となるからである。
【0063】
従って、特にパワー半導体素子6の周辺にボイドが発生しないように注意を払った組み立てが必要で、このときの難易度は、充填材20の充填量やモジュール構造によって異なり、予め充填材を十分に脱泡してから充填作業を行うことで対応可能な場合もあるが、これだけでは足りず、更に減圧処理などを組み合せる必要な場合もある。
【0064】
また、このときの充填領域の形状は単純な箱型である方が望ましく、従って、熱伝導プレート10は充填時の障害物的存在となるので、より一層の注意が必要である。そこで、この実施形態に係る主回路モジュール50Aの充填材の充填プロセスについて、図4により説明する。
【0065】
まず、図4(a)に示すように、パワー半導体素子6とボンディングワイヤ7が全て覆われるまでモールドケース2内に充填材20を注ぎこむ。次に同図(b)示すように、熱伝導プレート10をモールドケース2内に挿入して載置する。そして、この後、同図(c)に示すように、更に所定の厚さまで充填材20を充填するのである。
【0066】
ここで、この図4(c)には図示されていないが、この後、充填材20の上に低熱伝導性の充填材料が流し込まれ、充填材21が形成されることになる。
【0067】
このように、熱伝導プレート10を組み込む前後で、2段階に分けて充填材20を充填することにより、熱伝導プレート10の影響でパワー半導体素子6周辺にボイドが発生するのを防ぐことができる。
【0068】
ところで、以上の図4では、パワー半導体素子6の周辺にボイドができないようにした充填材の封止方法について説明したが、このとき熱伝導プレート10の面積にもよるが、図4(c)において、2度目の充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の下部にボイドが発生する可能性がある。
【0069】
ここでパワー半導体素子6と熱伝導プレート10の間にボイドが発生すると、両者間の熱伝導が阻害され、充填材20の表面温度の低減効果が小さくなってしまうため、この場所でもボイドが発生しないようにすることが重要である。
【0070】
そこで、まず、図5(a)は、複数の円形の孔11aを設けた場合の熱伝導プレート10の実施形態で、これによれば、図4(c)において、熱伝導プレート10の上部に充填材20を流し込んだ際、これらの円形の孔11aが熱伝導プレート10の下部に溜まった空気の抜け道となるので、ボイドが発生しないようにすることができる。
【0071】
次に、図5(b)は、複数の円形の孔11aと矩形の孔11bを組み合わせた場合の熱伝導プレート10の実施形態で、ボイドの発生を抑えるのには、この実施形態の方が期待できる場合もある。なお、このとき、円形の孔11aと矩形の孔11bを組み合わせるのではなく、矩形の孔11bだけを複数個、設けるようにしてもよい。
【0072】
ここで、このときの円形の孔11aと矩形の孔11bの大きさや個数、形状、それに総面積は、最終的な充填材20表面の温度低減に影響を及ぼすため、実際の効果と比較した上で決定する必要があるのは言うまでもない。
【0073】
このため、図4(c)において、2度目に充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の上部が丁度覆い隠される程度の量に留めておき、その後、更に3度目として、今度は充填材21を所定の高さまで充填するのである。
【0074】
次に、図6は、低熱伝導率の充填材として、空気を適用した場合の本発明の一実施形態に係る主回路モジュール50Bを示したもので、このため、図4(c)において、2度目に充填材20を充填する際、熱伝導プレート10の上部が丁度覆い隠される程度の量に留めておき、その上に空気層22が形成されるようにして低熱伝導性の材料で作られた蓋23をモジュール最上面に被せたものである。
【0075】
良く知られているように、空気(気体)の熱伝達率は、固体の熱伝導率に比較してかなり低く、しかも、この図6の実施形態では、モジュール最上面には蓋23が設けてある。
【0076】
従って、この図6の実施形態に係る主回路モジュール50Bによれば、熱伝導プレート10から蓋23に伝達される熱量は極めて少なくでき、この結果、蓋23の表面温度を更に低くすることができる。
【0077】
次に、本発明の更に別の実施形態について、図7により説明する。ここで、この図7において、同図(a)は、この実施形態に係る主回路モジュール50Cの平面図で、同図(b)は同じく主回路モジュール50Cの断面図である。
【0078】
ここで、図1で説明した主回路モジュール50Aでは、図2に示されているように、主端子3がモールドケース2の4面ある側壁の中の2面に引き出されていて、端子の無い壁面が1面しかない。
【0079】
一方、この図7に示した主回路モジュール50Cは、同図(a)に示されているように、)主端子3が引き出されている面数が1面で、端子が引き出されていない壁面が2面、存在している場合の一実施形態である。
【0080】
ここで、電流容量が小さな主回路モジュールの場合、主端子の幅が狭くても充分であり、このため、図7に示す主回路モジュール50Cの構成が可能になり、従って、この実施形態は、比較的小容量の電力変換装置に適用して有効なものであるが、これに限定されるものでもなく、主端子の厚さを増すなどの対応により大容量のものにも適用が可能である。
【0081】
ここで、この主回路モジュール50Cは、図1の実施形態で説明した主回路モジュール50Aにおける熱伝導プレート10を2枚の熱伝導プレート10a、10bに分割し、モールドケース2の端子が引き出されていない2面の側壁から夫々モジュールの外部に引き出されている点を特徴としている。
【0082】
従って、この実施形態の場合、モジュールの用途など使用条件により、モジュールに内蔵すべき熱伝導プレートの枚数が変更でき、熱伝導プレート10a、10bの一方を省略することができる。
【0083】
例えば、一方の熱伝導プレート10aを、IGBTなどインバータ部を構成しているパワー半導体素子6の上に配置し、他方の熱伝導プレート10bを整流ダイオードなど電源整流部を構成しているパワー半導体素子6の上に配置しておくようにするのである。
【0084】
そして、三相交流受電に適用したときは、電源整流部を構成しているパワー半導体素子6の発熱量が少ないので、熱伝導プレート10aだけを設け、熱伝導プレート10bは省略して構成することができる。
【0085】
また、単相交流受電の場合は、熱伝導プレート10b側のパワー半導体素子6の発熱量も多くなるため、熱伝導プレート10a、10bの双方を設けておくなど、状況に応じて使い分けができる。
【0086】
しかも、この実施形態では、熱伝導プレート10a、10bの双方が左右対称になっているので、同一形状にすることができ、この結果、熱伝導プレートとしては1品種となり、コスト面で優位に立つことができる。
【0087】
ここで、この図7は、熱伝導プレートを2枚にした場合の実施形態であるが、更に細かく分割し、細分化した搭載方法をとることも可能である。
【0088】
従って、上記した実施形態によれば、充填材の中に埋め込まれた熱伝導プレートを介して、充填材の中からモジュール外部に熱伝導が起るので、主回路モジュール充填材の表面温度が低減され、この結果、同モジュールの周囲温度が低減されるため、電力変換装置としてのスペック向上と耐用年数の延長が得られる。
【0089】
また、上記した実施形態によれば、接地電位にある放熱フィンに接続された熱伝導プレートがパワー半導体素子の上を覆うようにできるので、パワー半導体素子のスイッチング動作により発生する放射ノイズがプリント配線板上の制御ICなどに伝播されるのが遮蔽され、電力変換装置の誤動作を低減することができ、動作に信頼性が増す。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、主回路モジュールの充填材表面温度が低減できるので、小型で初期の性能を維持した電力変換装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明における主回路モジュールの熱解析結果の一例を示す特性図である。
【図4】本発明における主回路モジュールの製造工程を示す説明図である。
【図5】本発明における熱伝導プレートの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第2の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の電力変換装置における主回路モジュールの第3の実施形態を示す断面図である。
【図8】従来技術による電力変換装置の一例を示す平面図である。
【図9】従来技術による電力変換装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高熱伝導プリント配線板
2 枠状のモールドケース
3 主端子
4 制御端子
5 導体
6 パワー半導体素子
7 ボンディングワイヤ
10 熱伝導プレート
10a 熱伝導プレート(インバータ部用)
10b 熱伝導プレート(電源整流部用)
11a 円形の孔
11b 矩形の孔
20 充填材(高熱伝導率)
21 充填材(低熱伝導率)
22 空気層
23 蓋
30 放熱フィン
31 ネジ
40 プリント配線板
41a、41b 制御IC
42a、42b 電解コンデンサ
43 制御電源用トランス
44 端子台
50A、50B、50C 主回路モジュール
Claims (6)
- 半導体素子が搭載された回路基板を枠状のケースに収容して充填材により封止した主回路モジュール部と、前記枠状のケースの上から前記主回路モジュールに重ねて取付けられている周辺回路基板とを備えた電力変換装置において、
前記充填材の中で、前記半導体素子の少なくとも一部を覆うようにして、前記充填材の中に埋め込まれた熱伝導プレートが設けられ、
前記充填材は、前記熱伝導プレートの前記回路基板に面した側と他方の側で、少なくとも熱伝達特性が異なり、前記回路基板に面した側では、前記他方の側よりも高い熱伝導率を備えていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1の発明において、
前記他方の側の前記充填材の少なくとも一部が空気層で置き換えられ、
前記空気層を保持するための蓋が設けられていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1又は請求項2の発明において、
前記熱伝導プレートは、少なくとも前記ケースの側壁から外部に引き出されている端部を備え、
前記端部で放熱が図られていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1又は請求項2の発明において、
前記熱伝導プレートには、少なくとも1個の孔が形成されていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項3の発明において、
前記熱伝導プレートが導電性材で作られ、
前記端部がアース電位にある放熱フィンに接続されていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1の発明において、
前記熱伝導プレートが、少なくとも2枚に分割されていることを特徴とする電力変換装置。
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