JP2005032812A - ステージ装置及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】省スペース化に寄与する。
【解決手段】試料W1、W2を保持して定盤44上を移動可能なホルダーWHA、WHBと、ホルダーWHA、WHBを定盤44表面の第1方向に移動させる駆動装置65A、65Bとを備える。駆動装置65A、65Bは、定盤44の外側で第1方向に沿って設けられた固定子58A、58Bと、固定子58A、58Bと協働する可動子62A、62Bとを有し、ホルダーWHA、WHBを支持するとともに、可動子62A、62Bに対して第1方向に移動する移動ステージ83A、83Bを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】試料W1、W2を保持して定盤44上を移動可能なホルダーWHA、WHBと、ホルダーWHA、WHBを定盤44表面の第1方向に移動させる駆動装置65A、65Bとを備える。駆動装置65A、65Bは、定盤44の外側で第1方向に沿って設けられた固定子58A、58Bと、固定子58A、58Bと協働する可動子62A、62Bとを有し、ホルダーWHA、WHBを支持するとともに、可動子62A、62Bに対して第1方向に移動する移動ステージ83A、83Bを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステージ装置及び露光装置に係り、更に詳しくは、複数のホルダーを備えたステージ装置及び該ステージ装置を備えた露光装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子(集積回路)又は液晶表示素子等をリソグラフィ工程で製造する場合に、種々の露光装置が用いられている。近年では、半導体素子の高集積化に伴い、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパなどの逐次移動型の投影露光装置が、主流となっている。
【0003】
この種の投影露光装置は、主として半導体素子等の量産機として使用されるものであることから、一定時間内にどれだけの枚数のウエハを露光処理できるかという処理能力、すなわちスループットを向上させることが必然的に要請されている。
【0004】
この種の投影露光装置では、ウエハ交換→アライメント(サーチアライメント,ファインアライメント)→露光→ウエハ交換……のように、大きく3つの動作が1つのウエハステージを用いて繰り返し行なわれている。従って、前述した3つの動作、すなわちウエハ交換、アライメント、及び露光動作の内の複数動作同士を部分的にでも同時並行的に処理できれば、これらの動作をシーケンシャルに行なう場合に比べて、スループットを向上させることができる。しかるに、ウエハ交換とアライメン卜中には露光は行われず、工程時間の短縮つまりスループッ卜の向上のためには、例えばウエハ交換とアライメン卜をするステージと露光をするステージとを同時に独立して制御する方法が考えられる。
【0005】
これに関して、例えば特許文献1には、Y軸リニアモータによってY軸方向に移動可能な第1ガイドバー、第2ガイドバー、これら第1ガイドバー、第2ガイドバーにそれぞれ沿ってX軸方向に移動可能な第1、第2ウエハステージを設け、X軸方向に沿って配置された投影光学系とアライメント光学系の直下の露光位置及びアライメント位置に、2つのウエハステージをそれぞれ独立してXY2次元方向に並行して駆動するステージ装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−17404号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置及び露光装置には、以下のような問題が存在する。
露光位置とアライメント位置との間でウエハステージをX軸方向に駆動してお互いに入れ替える際には、Y軸リニアモータを用いて第1ガイドバー、第2ガイドバーを離間させる方向に駆動してステージ同士が接触しないように制御する必要がある。そのため、第1ガイドバー、第2ガイドバーの移動可能範囲を大きくするためにY軸リニアモータ(の固定子)を大型化(長く)する必要が生じ、装置設置に要するスペースが大きくなるという問題が生じる。
【0008】
また、例えば第1ウエハステージを用いて露光処理を実施している間に、アライメント処理を実施すべき第2ウエハステージを支持する第2ガイドバーに第1ウエハステージが接触する虞がある場合には、第1ウエハステージと接触しない位置に第2ガイドバーを退避させるためにアライメント処理を中断せざるを得ない場合があり、スループットの低下を招くという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、省スペース化に寄与できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、生産効率の向上に寄与できるステージ装置及び露光装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置は、試料(W、W1、W2)を保持して定盤(44)上を移動可能なホルダー(WHA、WHB)と、ホルダー(WHA、WHB)を定盤(44)表面の第1方向(X軸方向)に移動させる駆動装置(65A、65B)とを備えるステージ装置(12)であって、駆動装置(65A、65B)は、定盤(44)の外側で第1方向に沿って設けられた固定子(58A、58B)と、固定子(58A、58B)と協働する可動子(62A、62B)とを有し、ホルダー(WHA、WHB)を支持するとともに、可動子(62A、62B)に対して第1方向に移動する移動ステージ(83A、83B)を備えることを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明のステージ装置では、移動ステージ(83A、83B)を移動させることによって、可動子(62A、62B)を移動させることなくホルダー(WHA、WHB)を第1方向(X軸方向)に移動させることができる。そのため、本発明では可動子(62A、62B)の移動可能範囲を小さくすることができ、可動子(62A、62B)が協働する固定子(58A、58B)、すなわち駆動装置(65A、65B)の大型化を防止して省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、試料(W、W1、W2)を保持して定盤(44)上を移動可能な第1、第2ホルダー(WHA、WHB)と、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)のそれぞれを定盤(44)表面の第1方向(X軸方向)に移動させる第1、第2駆動装置(65A、65B)と、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)のそれぞれを第1方向とは異なる第2方向(Y軸方向)に移動させる第3、第4駆動装置(67A、67B)と、を備えるステージ装置(12)であって、第1、第2駆動装置(65A、65B)のそれぞれは、定盤(44)の外側で第1方向に沿って設けられた固定子(58A、58B)と、固定子(58A、58B)と協働する可動子(62A、62B)とを備え、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)をそれぞれ支持するとともに、可動子(62A、62B)に対して第1方向に移動させる第1、第2移動ステージ(83A、83B)と、第3、第4駆動装置(67A、67B)の少なくとも一方の駆動装置を用いて第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第2方向に沿って接近させるときに、第1、第2移動ステージ(83A、83B)の少なくとも一方のステージを用いて第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第1方向に沿って遠ざける制御装置(CONT)と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)の位置を入れ替える際に第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第2方向に沿って接近させるときに、第1、第2移動ステージ(83A、83B)の少なくとも一方のステージを移動させることによって、可動子(62A、62B)を移動させることなく第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第1方向に沿って遠ざけて接触を防止することができる。そのため、本発明では可動子(62A、62B)の移動可能範囲を小さくすることができ、可動子(62A、62B)が協働する固定子(58A、58B)、すなわち第1、第2駆動装置(65A、65B)の大型化を防止して省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、例えば第1、第2ホルダー(WHA、WHB)を所定位置(例えば露光位置、アライメント位置)に第1方向(X軸方向)に移動させる際にも、第1、第2移動ステージ(83A、83B)を第1方向に移動させればよいため、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)と接触する位置まで第4、第3駆動装置(67B、67A)を移動させる必要がなくなる。そのため、各ホルダ(WHA、WHB)を用いた処理を中断する必要もなくなり、スループットの低下を防止することができる。
【0015】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(RST)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(12)に保持された基板(W、W1、W2)に露光する露光装置(10)であって、マスクステージ(RST)と基板ステージ(12)との少なくとも一方のステージとして、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のステージ装置(12)が用いられることを特徴とするものである。
【0016】
従って、本発明の露光装置では、マスクステージ(RST)、基板ステージ(12)の省スペース化によりフットプリントを小さくすることができるとともに、各ステージにおいて複数の処理を並行して実施する際にも、各処理を中断させることがなくなり生産効率の向上を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置及び露光装置の実施の形態を、図1ないし図12を参照して説明する。
ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をウエハステージに適用するものとして説明する。
【0018】
図1には、一実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。
この露光装置10は、不図示の光源及び照明ユニットILUを含み、露光用照明光によりマスクとしてのレチクルRを上方から照明する照明系、レチクルRを主として所定の走査方向、ここでは第2方向としてのY軸方向(図1における紙面左右方向)に駆動するレチクル駆動系、レチクルRの下方に配置された投影光学系PL、投影光学系PLの下方に配置され、基板(試料)としてのウエハW1、W2(適宜、代表的にWと称する)をそれぞれ保持して独立してXY2次元面内で移動するウエハステージWST1、WST2を含む基板ステージとしてのステージ装置12、投影光学系PLの+Y側に配置されたアライメント光学系ALG等を備えている。この内、不図示の光源を除く上記各部は、超クリーンルームの床面上に設置され、温度、湿度等が精度良く管理された環境制御チャンバ(以下、「チャンバ」という)14内に収納されている。
【0019】
なお、投影光学系PLの光軸AX(図5参照)は、ステージ定盤44の−Y側の位置に配置され、アライメント光学系ALGの光軸SX(図5参照)はステージ定盤44の+Y側の位置に配置される。従って、ステージ定盤44の−Y側が露光エリアとされ、このエリアに位置するウエハステージに対して露光処理が行われ、ステージ定盤44の+Y側がアライメントエリアとされ、このエリアに位置するウエハステージに対してアライメントが行われる。
【0020】
ステージ装置12は、図1に示されるように、内部にウエハ室40を形成するチャンバ42の内部に設置されている。このチャンバ42の上壁には、投影光学系PLの鏡筒の下端部近傍が隙間無く接合されている。
ステージ装置12は、ウエハ室40内に収納されたステージ定盤44、このステージ定盤44の上方に非接触ベアリングである不図示の真空予圧型気体静圧軸受け装置を介して浮上支持され、Y軸方向(図1における紙面内左右方向)及び第1方向であるX軸方向(図1における紙面直交方向)に独立して2次元移動可能な2つのウエハステージWST1,WST2、これらのウエハステージWST1,WST2を駆動するステージ駆動系、ウエハステージWST1,WST2の位置を計測するウエハ干渉計システム、及びウエハステージWST1,WST2の移動を規制する規制装置等から主に構成される。
【0021】
なお、前記ウエハ室40内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm程度とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)が充填されている。また、このウエハ室40を形成するチャンバ42の−X側(図1における紙面手前側)の+Y側半部(図1における右半部)の位置には、ウエハをロード・アンロードする不図示のウエハローダが設けられている。
【0022】
図2には、チャンバ42内に収納されたステージ装置12の外観斜視図が示されている。この図2及び図1に示されるように、ステージ装置12は、チャンバ42の内部底面に水平に設置されたベースプレートBPと、該ベースプレートBP上に不図示の防振ユニットを介して3点あるいは4点でベースプレートBPに対して平行に支持されたステージ定盤(定盤)44と、ステージ定盤44に支持されて移動するウエハステージWST1、WST2と、後述のXガイドステージ69A、69B及び後述のYガイドステージ61A、61Bを介してウエハステージWST1、WST2をそれぞれX軸方向に移動させる駆動装置であるXリニアモータ(第1駆動装置)65A及びXリニアモータ(第2駆動装置)65Bと、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれY軸方向に移動させるYリニアモータ(第3駆動装置)67A、及びYリニアモータ(第4駆動装置)67Bとを主体に構成されている。
【0023】
Xリニアモータ65Aは、ステージ定盤44のY軸方向両端にそれぞれX軸方向に沿って配置された固定子58A、58Aと、それぞれ固定子58A、58Aとの間の電磁気的相互作用により固定子58A、58Aに沿ってX軸方向に駆動される可動子62A、62Aとから構成されている。これら固定子58A、58Aは、ステージ定盤44のY軸方向両端のベースプレートBP上に固定された支持ブロック64、64にそれぞれ支持される。
同様に、Xリニアモータ65Bは、ステージ定盤44のY軸方向両端にそれぞれX軸方向に沿って配置された固定子58B、58Bと、それぞれ固定子58B、58Bとの間の電磁気的相互作用により固定子58B、58Bに沿ってX軸方向に駆動される可動子62B、62Bとから構成されている。これら固定子58B、58Bは、上記の支持ブロック64、64にそれぞれ支持される。
【0024】
支持ブロック64上にはX方向に延在するXガイド60A、60Bがそれぞれ設けられている。そして、固定子58A、58Bの下面(−Z側の面)には、それぞれエアパッド等のエアベアリングを有しXガイド60A、60Bに嵌合することでX方向に非接触で移動自在に支持される支持部材59A、59Bが設けられている。そして、可動子62A、62B(ウエハステージWST1、WST2)のX軸方向の移動に伴う反力は、固定子58A、58BがXガイド60A、60Bに沿って移動により吸収されるため、ベースプレートBPに与える運動量は理論的にゼロとなり、ステージ装置12における重心の位置がX方向において実質的に固定される。
なお、+Y側に位置する支持ブロック64には、X方向に沿ってガイド部68A、68Bが設けられており、+Y側に位置する可動子62A、62Bにはガイド部68A、68Bに嵌合してガイドされるXガイドステージ69A、69Bが設けられている。
【0025】
Yリニアモータ67Aは、Xリニアモータ65Aの可動子62A、62A間にY方向に沿って架設された固定子66Aと、固定子66Aとの間の電磁気的相互作用により固定子66Aに沿ってY軸方向に駆動される可動子88Aとから構成されている。また、Xリニアモータ65Aの可動子62A、62A間には、固定子66Aと平行してYガイドステージ61Aが架設されている。このYガイドステージ61Aには、可動子88Aと一体的に移動し可動子88AのY軸方向への移動をガイドするY粗動ステージ63Aが移動自在に嵌合している。
【0026】
同様に、Yリニアモータ67Bは、Xリニアモータ65Bの可動子62B、62B間にY方向に沿って架設された固定子66Bと、固定子66Bとの間の電磁気的相互作用により固定子66Bに沿ってY軸方向に駆動される可動子88Bとから構成されている。また、Xリニアモータ65Bの可動子62B、62B間には、固定子66Bと平行してYガイドステージ61Bが架設されている。このYガイドステージ61Bには、可動子88Bと一体的に移動し可動子88BのY軸方向への移動をガイドするY粗動ステージ63Bが移動自在に嵌合している。
【0027】
なお、可動子62A、62Bは、固定子58A、58Bと対向する面にそれぞれ電磁石81A、81B(図2では不図示、図6参照)が設けられており、固定子58A、58Bは電磁石81A、81Bと対向する面に不図示の鉄板が設けられている。そして、制御装置CONT(図6参照)の制御下で電磁石81A、81Bの磁気的吸引力とを適宜調整することにより、Y粗動ステージ63A、63B及びウエハステージWST1、WST2のY方向への移動に伴う反力を相殺することができる。
【0028】
次に、図3及び図4を参照してY粗動ステージ及びウエハステージWST1、WST2について説明する。なお、ウエハステージWST1、WST2の構成は同様であるので、以下においては代表的にウエハステージWST1についてのみ説明し、ウエハステージWST2については図において符号(主に添字Bを付記)のみ記載する。
【0029】
図3及び図4に示すように、ウエハステージWST1は、上述のY粗動ステージ63Aと、この粗動ステージ63Aの+X側(粗動ステージ63Bの場合は−X側)に水平に延設された支持部82Aに支持される移動ステージ(第1移動ステージ)83A(移動ステージ83Bは第2移動ステージを構成する)と、移動ステージ83A上に設置されるテーブル部70Aとを主体に構成されている。
【0030】
図4に示すように、移動ステージ83Aの底面には非接触ベアリングである真空予圧型の複数のエアベアリング72が設けられており、エアベアリング72の軸受け面から吹き出される加圧気体(例えばヘリウム、あるいは窒素ガスなど)の静圧と、粗動ステージ63A全体の自重と真空吸引力とのバランスにより、移動ステージ83Aがステージ定盤44の上面である移動面の上方に数ミクロン程度のクリアランスを介して非接触で支持されるようになっている。
なお、移動ステージ83Aが、Xリニアモータ65A及び後述するリニアモータLM1、LM2の駆動によって、−X側に最大限移動した際にも、ステージ定盤44はエアベアリング72を介して移動ステージ83Aを移動可能に支持できるようにその大きさが設定されている。
【0031】
また、移動ステージ83Aは、当該移動ステージ83Aに設けられたリニアモータLM1、LM2及びボイスコイルモータVCMによって、粗動ステージ63Aの支持部82Aに対してX軸方向、Y軸方向及びθZ(Z軸と平行な軸周りの回転)方向の3自由度で移動可能に支持されている。具体的には、移動ステージ83Aは、Y軸方向に間隔をあけて配置されたリニアモータLM1、LM2によって支持部82Aに対してX軸方向に移動自在、且つリニアモータLM1、LM2の駆動量を異ならせることによってθZ方向に移動自在となっている。リニアモータLM1、LM2は、例えば100mm程度の大きなストロークで用いる際に適した三相の制御信号(三相交流)で駆動制御される、いわゆる三相制御のアクチュエータとして用いられている。
また、移動ステージは、リニアモータLM1、LM2の間に配置されたボイスコイルモータVCMによって支持部82Aに対してY軸方向に、例えば数mm程度移動自在となっている。なお、これらリニアモータLM1、LM2及びボイスコイルモータVCMの駆動は、制御装置CONTによって制御される(図6参照)。
【0032】
図3及び図4に示すように、テーブル部70Aと移動ステージ83Aとの間には、E型コアとI型コアとの結合によるEIコア型のアクチュエータ84a〜84c(以下、適宜代表的にEIコア84と称する)と、ボイスコイルモータ85a〜85c(以下、適宜代表的にボイスコイルモータ85と称する)とがそれぞれ三角形の頂点をなす三ヶ所ずつ配置されている。これらEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cは、いずれも単相の制御信号により駆動制御される、いわゆる単相制御アクチュエータとして用いられる。
【0033】
EIコア84a〜84cは、テーブル部70Aと移動ステージ83Aとをステージ定盤44の表面に沿った方向に微少量相対移動させるものであって、図4に示すように、テーブル部70Aの下部に設けられ鉄心をなす可動子としてのI型コア86と、移動ステージ83Aの上部でI型コア86を挟んだ両側に設けられコイル体を有する固定子としてのE型コア87とから構成されている。これらEIコア84a〜84c(のE型コア87)の駆動は、制御装置CONTによって制御される(図3では不図示、図6参照)。3つのEIコア84a〜84cの中、2つ(図3中、−Y側のEIコア84a、84b)はI型コア86がX軸方向に沿って配置され、E型コア87がI型コア86を挟んだY軸方向両側に配置されており、残りの一つ(図3中、+Y側のEIコア84c)はI型コア86がY軸方向に沿って配置され、E型コア87がI型コア86を挟んだX軸方向両側に配置されている。
【0034】
従って、EIコア84cの駆動を制御することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してX軸方向に相対移動させることができ、EIコア84a、84bを同一の大きさ・方向に駆動することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してY軸方向に相対移動させることができる。また、EIコア84a、84bの駆動量を異ならせることで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してθZ方向に相対移動させることができる。
【0035】
ボイスコイルモータ85a〜85cは、テーブル部70Aと移動ステージ83AとをZ軸方向に微少量相対移動させるものであって、テーブル部70Aの下部に設けられ発磁体をなす可動子89と、移動ステージ83Aの上部で可動子89に対向配置されコイル体を有する固定子90とからそれぞれ構成されている(図4ではボイスコイルモータ85aは不図示)。これらボイスコイルモータ85a〜85cの駆動(各固定子90への通電量)は制御装置CONTによって制御される(図6参照)。
【0036】
従って、ボイスコイルモータ85a〜85cを同一の大きさ・方向に駆動することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してZ軸方向(光軸方向)に相対移動させることができる。また、ボイスコイルモータ85a〜85cの駆動量を適宜異ならせることにより、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してθY(Y軸と平行な軸周りの回転)方向及びθX(X軸と平行な軸周りの回転)方向に相対移動させることができる。
つまり、制御装置CONTがEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cの駆動を制御することにより、テーブル部70A(及び後述するホルダー)は移動ステージ83Aに対して、Y方向、X方向、Z方向、θY方向、θX方向及びθZ方向で変位可能な6自由度を有する構成となっている。
【0037】
また、テーブル部70Aは、真空吸着等の吸着手段によりウエハ(基板)Wを保持するウエハホルダー(第1ホルダー)WHA(ウエハホルダーWHBは第2ホルダーを構成する)を備えている。テーブル部70Aの上面には、X軸方向の一端にY軸方向に延びるX移動鏡73Xが設けられ、Y軸方向の一端(−Y側の端部)には、X軸方向に延びるY移動鏡73Yが設けられている。さらに、テーブル部70Aの上面には、その表面がウエハWの高さとほぼ同一高さに設定された基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMには、後述する各種基準マークが形成されている。この基準マーク板FMは、例えばウエハステージWST1の基準位置を検出する際に用いられる。
【0038】
露光エリアに位置するウエハステージのY軸方向の位置は、ステージ定盤44の−Y側外部に設けられ移動鏡73Yに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計32(図1、2及び5参照)により計測され、X軸方向の位置はステージ定盤44の+X側外部に設けられ移動鏡73Xに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計33(図2参照)により計測され、その結果が制御装置CONTに出力される(図6参照)。また、アライメントエリアに位置するウエハステージのY軸方向の位置は、ステージ定盤44の略中央に吊設され(図1参照)移動鏡73Yに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計(検出装置)34(図1乃至図3参照)により計測され、X軸方向の位置はステージ定盤44の+X側外部に設けられ移動鏡73Xに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計35(図2参照)により計測され、その結果が制御装置CONTに出力される(図6参照)。
【0039】
図1に戻り、前記光源としては、ここではF2レーザ光源(出力波長157nm)あるいはArFエキシマレーザ光源(出力波長193nm)などの、真空紫外域のパルス紫外光を出力するパルスレーザ光源が用いられている。この光源は、チャンバ14が設置される超クリーンルームとは別のクリーン度が低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置され、不図示の引き回し光学系を介してチャンバ14内の照明ユニットILUに接続されている。光源は、そのパルス発光の繰り返し周波数(発振周波数)やパルスエネルギなどが、制御装置CONTの管理下にあるレーザ制御装置18(図1では図示せず、図6参照)によって制御されるようになっている。
【0040】
前記照明ユニットILUは、内部を外気に対して気密状態にする照明系ハウジング20と、この照明系ハウジング20内に所定の位置関係で収納された、2次光源形成光学系、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系(いずれも図示省略)等から成る照明光学系とによって構成され、レチクルR上の矩形(あるいは円弧状)の照明領域IAR(図5参照)を均一な照度で照明する。照明光学系としては、例えば特開平9−320956号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。照明系ハウジング20内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm未満とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)などが充填されている。
【0041】
前記レチクル駆動系は、図1に示されるレチクルチャンバ22内に収容されている。レチクルチャンバ22と照明系ハウジング20との接続部分には、ホタル石などから成る光透過窓が形成されている。レチクルチャンバ22内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm程度とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)などが充填されている。前記レチクル駆動系は、図1に示されるレチクルベース盤24上をレチクルRを保持してXY2次元面内で移動可能なレチクルステージ(マスクステージ)RSTと、このレチクルステージRSTを駆動する不図示のリニアモータ等を含む駆動部26(図1では図示せず、図6参照)と、このレチクルステージRSTの位置を管理するレチクル干渉計システム28とを備えている。
【0042】
これを更に詳述すると、レチクルステージRSTは、実際には、不図示の非接触ベアリング、例えば真空予圧型気体静圧軸受け装置を介してレチクルベース盤24上に浮上支持され、不図示のリニアモータによって、走査方向であるY軸方向に所定ストローク範囲で駆動されるレチクル粗動ステージと、該レチクル粗動ステージに対しボイスコイルモータ等からなる駆動機構によってX軸方向、Y軸方向及びθZ方向(Z軸回りの回転方向)に微少駆動されるレチクル微動ステージとから構成される。このレチクル微動ステージ上に不図示の静電チャック又は真空チャックを介してレチクルRが吸着保持されている。上述のように、レチクルステージRSTは、実際には、2つのステージから構成されるが、以下においては、便宜上、レチクルステージRSTは、駆動部26によりX軸、Y軸方向の微小駆動、θZ方向の微小回転、及びY軸方向の走査駆動がなされる単一のステージであるものとして説明する。なお、駆動部26は、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする機構であるが、図6では図示の便宜上から単なるブロックとして示されている。
【0043】
レチクルステージRST上には、図5に示されるように、X軸方向の一側の端部に、レチクルステージRSTと同じ素材(例えばセラミック等)から成る移動鏡30がY軸方向に延設されており、この移動鏡30のX軸方向の一側の面には鏡面加工により反射面が形成されている。この移動鏡30の反射面に向けて干渉計システム28からの干渉計ビームが照射され、その干渉計ではその反射光を受光して基準面に対する相対変位を計測することにより、レチクルステージRSTの位置を計測している。ここで、この干渉計28は、実際には独立に計測可能な2本の干渉計光軸を有しており、レチクルステージRSTのX軸方向の位置計測と、ヨーイング量の計測が可能となっている。この干渉計28は、上述したウエハステージ側の干渉計32、34からのウエハステージWST1、WST2のヨーイング情報やY位置情報に基づいてレチクルとウエハの相対回転(回転誤差)をキャンセルする方向にレチクルステージRSTを回転制御したり、X方向同期制御(位置合わせ)を行なうために用いられる。なお、図5においては、ウエハステージWST1、WST2におけるY粗動ステージ63A、63Bの図示を省略している。
【0044】
一方、レチクルステージRSTの走査方向(スキャン方向)であるY軸方向の一側には、一対のコーナーキューブミラー36A、36Bが設置されている。そして、ダブルパス干渉計37から、これらのコーナーキューブミラー36A、36Bに対して干渉計ビームが照射され、レチクルベース盤24上に設けられた不図示の反射面にコーナーキューブミラー36A、36Bより戻され、そこで反射したそれぞれの反射光が同一光路を戻り、それぞれのダブルパス干渉計37で受光され、それぞれのコーナーキューブミラー36A、36Bの基準位置(レファレンス位置で前記レチクルベース盤24上の反射面)からの相対変位が計測される。そして、これらのダブルパス干渉計37の計測値が制御装置CONT(図1では図示せず、図6参照)に供給され、その平均値に基づいてレチクルステージRSTのY軸方向の位置が計測される。このY軸方向位置の情報は、ウエハ側の干渉計の計測値に基づくレチクルステージRSTとウエハステージWST1又はWST2との相対位置の算出、及びこれに基づく走査露光時の走査方向(Y軸方向)のレチクルとウエハの同期制御に用いられる。
【0045】
なお、レチクルRを構成するガラス基板の素材は、使用する光源によって使い分ける必要がある。例えば、光源としてF2レーザ光源等の真空紫外光源を用いる場合には、ホタル石やフッ化マグネシウム、フッ化リチウム等のフッ化物結晶、あるいは水酸基濃度が100ppm以下で、かつフッ素を含有する合成石英(フッ素ドープ石英)などを用いる必要があり、ArFエキシマレーザ光源あるいはKrFエキシマレーザ光源を用いる場合には、上記各物質の他、合成石英を用いることも可能である。
【0046】
図1に戻り、前記投影光学系PLは、その鏡筒の上端部近傍がレチクルチャンバ22に隙間無く接合されている。投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで1/4(又は1/5)縮小倍率の縮小系が用いられている。このため、レチクルRに照明ユニットILUから照明光(紫外パルス光)が照射されると、レチクルR上の回路パターン領域のうちの紫外パルス光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が紫外パルス光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の視野の中央にスリット状または矩形状(多角形)に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0047】
前記投影光学系PLの光軸中心(レチクルパターン像の投影中心と一致)より+Y側に所定距離離れた位置にオフアクシス(off−axis)方式のアライメント光学系ALGが設置されている。このアライメント光学系ALGは、LSA(Laser Step Alignment)系、FIA( Filed Image Alignment)系、LIA(Laser Interferometric Alignment )系の3種類のアライメントセンサを有しており、基準マーク板上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。
【0048】
ここで、LSA系は、レーザ光をマークに照射して、回折・散乱された光を利用してマーク位置を計測する最も汎用性のあるセンサであり、従来から幅広いプロセスウエハに使用される。FIA系は、ハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測するセンサであり、アルミ層やウエハ表面の非対称マークに有効に使用される。また、LIA系は、回折格子状のマークに周波数をわずかに変えたレーザ光を2方向から照射し、発生した2つの回折光を干渉させて、その位相からマークの位置情報を検出するセンサであり、低段差や表面荒れウエハに有効に使用される。本実施形態では、これら3種類のアライメントセンサを、適宜目的に応じて使い分け、ウエハ上の3点の一次元マークの位置を検出してウエハの概略位置計測を行なういわゆるサーチアライメントや、ウエハ上の各ショット領域の正確な位置計測を行なうファインアライメント等を行なうようになっている。
【0049】
さらに、本実施形態の露光装置10では、図1では図示が省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク(図示省略)と基準マーク板FM1、FM2(図5参照)上のマークとを同時に観察するための露光波長を用いたTTR(Through The Reticle )アライメント光学系から成る一対のレチクルアライメント顕微鏡138A、138B(図6参照)が設けられている。これらのレチクルアライメント顕微鏡138A、138Bの検出信号は、制御装置CONTに供給される。
【0050】
また、図1では図示が省略されているが、投影光学系PL、アライメント光学系ALGのそれぞれには、合焦位置を調べるためのオートフォーカス/オートレベリング計測機構(以下、「AF/AL系」という)がそれぞれ設けられている。このように、投影光学系PL及びアライメント光学系ALGのそれぞれに、オートフォーカス/オートレベリング計測機構を設けた露光装置の構成は、例えば特開平10−214783号公報に詳細に開示されており、公知であるから、ここではこれ以上の説明を省略する。従って、本実施形態では、上記特開平10−214783号公報に記載の露光装置と同様に、アライメント光学系ALGによるアライメントセンサの計測時に、露光時と同様のAF/AL系の計測、制御によるオートフォーカス/オートレベリングを実行しつつアライメントマークの位置計測を行なうことにより、高精度なアライメント計測が可能になる。換言すれば、露光時とアライメント時との間で、ステージの姿勢によるオフセット(誤差)が発生しなくなる。
【0051】
図6には、本実施形態に係る露光装置10の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御する制御装置CONT及び、この制御装置CONTに計測結果を出力する各種計測機器及び、これらの計測結果に基づいて駆動される各種駆動装置から構成される。
なお、以下の説明では、制御装置CONTの制御により各種駆動装置が駆動される点については記載を省略する。
【0052】
続いて、本実施形態に係る露光装置10におけるステージ装置12の動作の中、露光エリアとアライメントエリアとの間でウエハステージWST1、WST2を入れ替える(スイッチする)動作について図7に示すフローチャート、図8乃至図11を参照して説明する。なお、図8乃至図11においては、ステージ構成部材を簡略化して図示しており、また各図を用いて説明する動作に特に関係のあるものについてのみ符号を付している。
【0053】
(露光処理中&アライメント処理中)
図8は、露光エリア(図中、上側)に位置するウエハステージWST2に対して露光処理が行われ、アライメントエリア(図中、下側)に位置するウエハステージWST1に対してアライメント処理が行われる図である。
このとき、各ウエハステージWST1、WST2においては、テーブル部70A、70B(すなわちウエハホルダーWHA、WHB)はリニアモータLM1、LM2の駆動によりY粗動ステージ63A、63B(の支持部82A、82B)に対してX軸方向に相対移動する。換言すると、テーブル部70A、70Bは、Xリニアモータ65A、65Bの駆動を伴うことなく独立して、Y粗動ステージ63A、63Bから離間する方向(テーブル部70Aは+X側、テーブル部70Bは−X側)へ移動できる。そのため、Yガイドステージ61A、61Bをステージ定盤44の外側に止めておくことができ、テーブル部70AはYガイドステージ61Bに対して、そしてテーブル部70BはYガイドステージ61Aに対して接触することなくウエハホルダーWHA、WHBに保持されたウエハW1、W2の所定領域を露光位置、アライメント位置にそれぞれ移動させて位置決めすることができる。
なお、ウエハステージWST1においては、アライメント処理によりウエハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)と基準マーク板FMの基準マークとの相対位置関係が計測される。
【0054】
上記粗動ステージ63A、63Bに対してテーブル部70A、70Bが相対移動する際、X軸方向の相対移動に関しては、その反力でXガイド60A、60Bに沿って固定子58A、58Bが移動するため、ベースプレートBPに与える運動量が一定に保存され、重心位置も保持される。また、テーブル部70A、70Bが粗動ステージ63A、63Bに対してY軸方向に相対移動する際には、電磁石81A、81Bの磁気的吸引力を調整することで、テーブル部70A、70Bの移動に伴う反力が相殺(キャンセル)される。
なお、テーブル部70AとウエハホルダーWHA、及びテーブル部70BとウエハホルダーWHBは、それぞれ一体的に構成されているので、以下の説明ではこれらテーブル部及びウエハホルダーの移動については単にウエハホルダーWHA、WHBの移動として説明する。また、以下の説明では、ステージ定盤44の中心から外れる方向を単に外側方向と称して説明する。
【0055】
(ウエハホルダーをX軸方向外側に退避させる工程)
ウエハステージWST2に対する露光処理、ウエハステージWST1に対するアライメント処理が終了すると、制御装置CONTは、露光エリアとアライメントエリアとの間でステージWST1、WST2の位置をスイッチさせるために(ステップS0、図7参照)、Yリニアモータ67A、67Bを用いてウエハステージWST1、WST2をY軸方向に沿って移動させるが、ステージWST1、WST2同士が接触しないように、且つ各ステージWST1、WST2がレーザ干渉計34と接触しないように、予め移動ステージ83A、83Bを移動させてウエハホルダーWHA、WHBを互いに遠ざける。より詳細には、リニアモータLM1、LM2の駆動により、図9に示すように、移動ステージ83A、83BをX軸方向でステージ定盤44の外側方向へ移動させて、ウエハホルダーWHA、WHBをY粗動ステージ63A、63Bにそれぞれ近接させるとともに、Xリニアモータ65A、65Bの可動子62A、62BについてもX軸方向で外側方向へ移動させる(ステップS1)。
【0056】
ここで、各ステージWST1、WST2をレーザ干渉計34と接触させないために必要な移動量は、移動ステージ83A、83Bの移動量と可動子62A、62Bの移動量とを加算したものとなるため、移動ステージ83A、83Bが移動することにより、移動ステージ83A、83Bが存在しない場合(ウエハホルダーWHA、WHBとY粗動ステージ63A、63BとがX軸方向にほぼ一体的に移動する場合)と比較して、可動子62A、62Bの移動量は小さくなる。
また、移動ステージ83A、83Bが外側方向に移動した際には、図4に示すように、移動ステージ83A、83Bの一部がステージ定盤44の外側に位置することになるが、エアベアリング72がステージ定盤44に支持されているため支障を来すことがなく、ステージ定盤44をX軸方向で小さくできる。
【0057】
(ウエハホルダーをY軸方向に移動させる工程)
次に、ウエハホルダーWHA、WHBを互いに遠ざけた状態でYリニアモータ67A、67Bの駆動によってウエハステージWST1、WST2をY軸方向(互いに逆方向)に移動させ(ステップS2)、図10に示すように、ウエハステージWST1を露光エリアに、ウエハステージWST2をアライメントエリアにそれぞれ位置させる。このウエハステージWST1、WST2の接近移動に際しても、予め各ステージをX軸方向に遠ざけているので、ステージ同士及びレーザ干渉計34と接触することがない。
【0058】
(スイッチされたウエハホルダーをX軸方向中央側に移動させる工程)
続いて、Xリニアモータ65A、65Bの駆動により粗動ステージ63A、63BをX軸方向に沿ってステージ定盤44の中央側に移動させるとともに、リニアモータLM1、LM2の駆動により移動ステージ83A、83Bを支持部82A、82Bに対してX軸方向に移動させることにより、図11に示すように、ウエハホルダーWHA、WHBを露光エリア、アライメントエリアの所定位置(処理位置)にそれぞれ位置決めする(ステップS3)。
【0059】
上記Xリニアモータ65A、65B、Yリニアモータ67A、67B及びリニアモータLM1、LM2を用いたウエハホルダーWHA、WHBの位置決めは、駆動量が大きなラフな位置決め(粗位置決め)として行われ、微少な駆動量でウエハホルダーWHA、WHBを精密(ファイン)に位置決めする際には、図3及び図4に示したEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cの駆動により、ウエハホルダーWHA、WHBを6自由度で変位させることにより行われる。
このようにして、露光エリアとアライメントエリアとの間で、ウエハステージWST1、WST2のスイッチングが完了する(ステップS4)。
【0060】
次に、2つのウエハステージを用いた並行処理について説明する。
例えば、露光エリアにおいてウエハホルダーWHA上のウエハW1に対し投影光学系PLを介して後述のようにして露光動作を行なっている間に、アライメントエリアでは所定のローディングポジションにてウエハローダ及びウエハステージWST2上の不図示の受け渡し機構によりウエハ交換が行われ、ウエハホルダーWHB上にウエハW2がロードされる。次いで、制御装置CONTでは、上記干渉計34、35の計測値をモニタしつつ、Yリニアモータ65B及びXリニアモータ67Bを制御して、ウエハステージWST2をアライメント基準位置に位置決めする。このウエハステージWST2の移動の間も、ウエハステージWST1側では露光動作が続行されている。なお、上記アライメント基準位置とは、アライメント光学系ALGの真下にウエハステージWST2の基準マーク板FM2上の第1基準マーク(図示省略)が来るような位置である。
【0061】
続いて、ウエハステージWST2側では、サーチアライメントを実施した後、ウエハW2上の各ショット領域の配列を、例えばEGAを使って求めるファインアライメントが行なわれる。すなわち、干渉計34、35の計測値に基づいてウエハステージWST2の位置を管理しつつ、設計上のショット配列データ(アライメントマーク位置データ)をもとに、ウエハW2上の所定のサンプルショットのアライメントマーク位置をアライメント光学系ALGのFIA系のセンサ等で計測し、この計測結果とショット配列の設計座標データとに基づいて最小自乗法による統計演算により、全てのショット配列データを演算する。これにより、上記のアライメント時ステージ座標系上で各ショットの座標位置が算出される。そして、制御装置CONTでは、各ショットの座標位置から前述した第1基準マークの座標位置を減算することで、第1基準マークに対する各ショットの相対位置関係を算出する。
【0062】
一方、露光エリアにおいては、ウエハステージWST1を、露光時ステージ座標系上で位置制御しながら、ウエハステージWST1上の基準マーク板FM1がレチクルパターン像の投影位置に位置決めされる露光基準位置に位置決めする。この露光基準位置にウエハステージWST1が位置決めされると、制御装置CONTでは、一対のレチクルアライメント顕微鏡(図示省略)により露光光を用いて基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークとそれに対応するレチクル上マークのウエハ面上投影像の相対位置検出、すなわちレチクルアライメント顕微鏡による前記各マーク像の画像信号の取り込みを行なう。これにより、露光時ステージ座標系における基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置と、レチクルR上マークのウエハ面上投影像座標位置が検出されることとなり、両者の差により露光位置(投影光学系PLの投影中心)と基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置の相対位置関係が求められる。
【0063】
そして、主制御装置CONTでは、先にアライメント処理で求めた基準マーク板FM1上の第1基準マークに対するウエハW1上の各ショットの相対位置関係、及び露光位置と基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置との相対位置関係より、最終的に露光位置と各ショットの相対位置関係を算出する。そして、その算出結果に基づいてEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cを駆動してウエハホルダーWHAをファインに位置決めするとともに、ウエハW1上のショット領域の露光のための走査開始位置にウエハステージWST1を順次位置決めしつつ、各ショット領域の露光の都度、レチクルステージRSTとウエハステージWST1とを同期して走査方向に相対走査することにより、走査露光が行なわれることとなる。勿論、このウエハW1側の露光動作と並行して、ウエハステージWST2側では、ウエハ交換、これに続き、前述と同様にアライメント基準位置へのウエハステージWST2の移動、サーチアライメント、ファインアライメントが行われる。そして、その後、上述と同様に、2つのウエハステージWST1、WST2を独立して2次元方向に移動させながら入れ替え(スイッチング)、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光シーケンスと、他方のウエハに対するウエハ交換及びアライメントシーケンスとの並行処理が繰り返し行われる。
【0064】
以上のように、本実施の形態では、スイッチングを行うに当たってウエハホルダーWHA、WHBをX軸方向で遠ざける際に移動ステージ83A、83Bを移動させるので、Xリニアモータ65A、65Bの可動子62A、62Bを駆動する際のストロークを短くすることができる。そのため、固定子58A、58Bを短くすることができ、Yリニアモータ65A、65Bの設置に要するスペースを抑えた省スペース化を図ることが可能になる。また、本実施の形態では、ウエハホルダーWHA、WHBを含むテーブル部70A、70Bが移動ステージ83A、83Bに対して6自由度で支持されて精密な位置決めがなされ、粗動ステージ63A、63Bにおいては高い位置決め精度が要求されないため、粗動ステージ63A、63Bをステージ定盤44によってZ方向に支持させることなく駆動することができ、ステージ定盤44の小型化による省スペース化も併せて実現している。
【0065】
また、本実施の形態では、上記のように可動子62A、62Bの駆動ストロークを短くできるので、露光処理及びアライメント処理を実施する際にYガイドステージ61A、61Bを従来よりも外側に位置させることが可能になる。従って、各処理を実施する際にこれらYガイドステージ61A、61BがウエハホルダーWHA、WHBの移動の妨げにならないため、一方の処理のために他方の処理を中断させる必要がなくなり、スループットの低下を防止して生産効率の向上に寄与することも可能になる。
【0066】
また、本実施の形態では、ウエハホルダーWHA、WHBの移動に伴う反力を固定子58A、58Bの移動及び電磁石81A、81Bの駆動によりキャンセルしていることに加えて、Xリニアモータ65A、65Bの固定子58A、58B及びYリニアモータ67A、67Bの固定子66A、66Bがステージ定盤44の外側で支持されているので、上記反力に起因する振動がステージ定盤44を介してウエハホルダーWHA、WHBに伝わってパターンの転写精度等に悪影響を及ぼすことを回避できる。しかも、本実施の形態では、長ストロークを必要とする移動ステージ83A、83B駆動用のアクチュエータとして、三相制御のリニアモータLM1、LM2を用いることで制御性を向上させるとともに、高い位置決め精度を必要とするウエハホルダーWHA、WHB駆動用のアクチュエータとして、相間のリップル等が生じない単相制御のEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cを用いることで高精度の位置制御を実現することができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、移動ステージ83A、83Bが粗動ステージ63A、63Bに対してX、Y、θZ方向の3自由度で支持されるとしたが、ウエハホルダーWHA、WHBと同様に6自由度で支持される構成としてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、スイッチングを行う際に、リニアモータLM1、LM2の駆動によりウエハホルダーWHA、WHBをX軸方向外側へ移動させた後に、Yリニアモータ67A、67Bの駆動によりY粗動ステージ63A、63Bを介してウエハホルダーWHA、WHBをY軸方向に移動させる手順としたが、これに限定されるものではなく、例えばウエハホルダーWHA、WHBのX軸方向への移動とY軸方向への移動とを同時に行ってもよい。つまり、各ウエハホルダーがY軸方向についてレーザ干渉計34に接近する方向に移動する際には、X軸方向外側へも同時に移動させ(斜めに移動させることになる)、逆にY軸方向についてレーザ干渉計34から離間する方向へ移動する際には、X軸方向中央側へも同時に移動させる手順としてもよい。このときのウエハホルダーWHA、WHBの移動速度、移動開始時期等は、各ステージがレーザ干渉計34と接触しない値に設定すればよい。
この場合、ウエハホルダーWHA、WHBのY軸方向への移動工程中に、X軸方向への移動工程を併行して実施でき、スループットをより向上させることが可能になる。
【0069】
また、上記実施の形態では、ウエハステージWST1、WST2(テーブル部70A、70B)が共通のステージ定盤44により移動可能に支持される構成としたが、それぞれ個別の定盤に支持される2枚定盤形式を採用することも可能である。
また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置をウエハステージに適用する構成としたが、レチクルステージRSTに適用することも可能である。
【0070】
なお、上記実施形態では、照明ユニットILUがハウジング20を有し、レチクルステージRSTがレチクルチャンバ22に収納され、ステージ装置12がチャンバ42内に設置され、これらハウジング14、チャンバ22、チャンバ42及び投影光学系PLの鏡筒内にヘリウムガス等の不活性ガスがそれぞれ充填されている場合について説明したが、これに限らず、露光装置の構成各部の全体が単一のチャンバ内に収納されていても構わない。
【0071】
また、上記実施形態では、一方のウエハステージ上で1枚のレチクルのパターンを用いて露光を行っている間に、他方のウエハステージ上でウエハ交換、アライメント等を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば特開平10−214783号に開示されるように、2枚のレチクルを搭載可能なレチクルステージを用いて、一方のウエハステージ上で2枚のレチクルのパターンを用いて二重露光を行っている間に、他方のウエハステージ上でウエハ交換、アライメント等を並行して行うようにしても良い。このようにすると、同時並行処理によりスループットをあまり低下させることなく、二重露光により高解像度とDOF(焦点深度)の向上効果とを得ることができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、本発明に係るステージ装置が、スキャニング・ステッパに適用された場合について例示したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、本発明に係るステージ装置は、マスクと基板とを静止した状態で露光を行うステッパ等の静止型の露光装置にも好適に適用できるものである。このような場合であっても、ステージ装置により、基板を保持する基板ステージの位置制御性を向上することができるので、ステージに保持された基板の位置決め精度の向上及び位置決め整定時間の短縮化が可能となり、これにより露光精度及びスループットの向上が可能となる。
【0073】
また、本発明に係るステージ装置は、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを基板に転写するプロキシミティ露光装置にも好適に適用できる。
【0074】
勿論、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気へッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)の製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
【0075】
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV(Extreme Ultraviolet)露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、EUV露光装置では反射型マスクが用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0076】
さらに、本発明に係るステージ装置は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置にも広く適用できる。
【0077】
投影光学系PLとしては、光源としてArFエキシマレーザ光源あるいはKrFエキシマレーザ光源を用いる場合には、屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る屈折系が主として用いられるが、F2レーザ光源、Ar2レーザ光源等を用いる場合には、例えば特開平3−282527号公報に開示されているような、屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射光学系が主として用いられる。但し、F2レーザ光源を用いる場合に、屈折系を用いることは可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、投影光学系として縮小系を用いる場合について説明したが、投影光学系は等倍系および拡大系のいずれでも良い。さらに、反射屈折型の投影光学系としては、前述したものに限らず、例えば円形イメージフィールドを有し、かつ物体面側、及び像面側が共にテレセントリックであるとともに、その投影倍率が1/4倍又は1/5倍となる縮小系を用いても良い。また、この反射屈折型の投影光学系を備えた走査型露光装置の場合、照明光の照射領域が投影光学系の視野内でその光軸をほぼ中心とし、かつレチクル又はウエハの走査方向とほぼ直交する方向に沿つて延びる矩形スリット状に規定されるタイプであっても良い。かかる反射屈折型の投影光学系を備えた走査型露光装置によれば、例えば波長157nmのF2レーザ光を露光用照明光として用いても100nmL/Sパターン程度の微細パターンをウエハ上に高精度に転写することが可能である。
【0079】
また、本発明に係る露光装置における露光用光学系としては、投影光学系に限らず、X線光学系、電子光学系等の荷電粒子線光学系を用いることもできる。例えば、電子光学系を用いる場合には、光学系は電子レンズ及び偏向器を含んで構成することができ、電子銃として、熱電子放射型のランタンへキサボライト(LaB6)、夕ンタル(Ta)を用いることができる。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
【0080】
更に、電子光学系を用いる露光装置に本発明を適用する場合、マスクを用いる構成としても良いし、マスクを用いずに電子線による直接描画により基板上にパターンを形成する構成としても良い。すなわち、本発明は、露光用光学系として電子光学系を用いる電子ビーム露光装置であれば、ペンシルビーム方式、可変成形ビーム方式、セルプロジェクション方式、ブランキング・アパーチャ方式、及びEBPSのいずれのタイプであっても、適用が可能である。
【0081】
また、本発明に係る露光装置では、露光用照明光として、前述した遠紫外域、真空紫外域の光に限らず、波長5〜30nm程度の軟X線領域のEUV光を用いても良い。また、例えば真空紫外光としては、ArFエキシマレーザ光やF2レーザ光などが用いられるが、これに限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0082】
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0083】
また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0084】
上記実施形態のように基板ステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0085】
基板ステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0086】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0087】
半導体デバイスは、図12に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、駆動装置の設置に要するスペースや定盤の小型化を抑えた省スペース化を図ることが可能になる。
また、本発明では、露光処理やアライメント処理を中断させずスループットの低下を抑えるため、生産効率の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る露光装置の概略構成図である。
【図2】ステージ装置の外観斜視図である。
【図3】ウエハステージの平面図である。
【図4】図3における正面図である。
【図5】レチクルステージ、2つのウエハステージ、投影光学系及びアライメント系の位置関係を示す斜視図である。
【図6】露光装置の制御系の主要構成を示す制御ブロック図である。
【図7】ウエハステージをスイッチングする手順を示すフローチャート図である。
【図8】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図9】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図10】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図11】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図12】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク)
RST レチクルステージ(マスクステージ)
W1、W2 ウエハ(基板、試料)
WHA ウエハホルダー(第1ホルダー)
WHB ウエハホルダー(第2ホルダー)
10 露光装置
12 ステージ装置(基板ステージ)
34 レーザ干渉計(検出装置)
44 ステージ定盤(定盤)
58A、58B 固定子
62A、62B 可動子
65A Xリニアモータ(第1駆動装置、駆動装置)
65B Xリニアモータ(第2駆動装置、駆動装置)
67A Yリニアモータ(第3駆動装置)
67B Yリニアモータ(第4駆動装置)
83A 移動ステージ(第1移動ステージ)
83B 移動ステージ(第2移動ステージ)
84a〜84c EIコア(アクチュエータ)
85a〜85c ボイスコイルモータ(アクチュエータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステージ装置及び露光装置に係り、更に詳しくは、複数のホルダーを備えたステージ装置及び該ステージ装置を備えた露光装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子(集積回路)又は液晶表示素子等をリソグラフィ工程で製造する場合に、種々の露光装置が用いられている。近年では、半導体素子の高集積化に伴い、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパなどの逐次移動型の投影露光装置が、主流となっている。
【0003】
この種の投影露光装置は、主として半導体素子等の量産機として使用されるものであることから、一定時間内にどれだけの枚数のウエハを露光処理できるかという処理能力、すなわちスループットを向上させることが必然的に要請されている。
【0004】
この種の投影露光装置では、ウエハ交換→アライメント(サーチアライメント,ファインアライメント)→露光→ウエハ交換……のように、大きく3つの動作が1つのウエハステージを用いて繰り返し行なわれている。従って、前述した3つの動作、すなわちウエハ交換、アライメント、及び露光動作の内の複数動作同士を部分的にでも同時並行的に処理できれば、これらの動作をシーケンシャルに行なう場合に比べて、スループットを向上させることができる。しかるに、ウエハ交換とアライメン卜中には露光は行われず、工程時間の短縮つまりスループッ卜の向上のためには、例えばウエハ交換とアライメン卜をするステージと露光をするステージとを同時に独立して制御する方法が考えられる。
【0005】
これに関して、例えば特許文献1には、Y軸リニアモータによってY軸方向に移動可能な第1ガイドバー、第2ガイドバー、これら第1ガイドバー、第2ガイドバーにそれぞれ沿ってX軸方向に移動可能な第1、第2ウエハステージを設け、X軸方向に沿って配置された投影光学系とアライメント光学系の直下の露光位置及びアライメント位置に、2つのウエハステージをそれぞれ独立してXY2次元方向に並行して駆動するステージ装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−17404号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置及び露光装置には、以下のような問題が存在する。
露光位置とアライメント位置との間でウエハステージをX軸方向に駆動してお互いに入れ替える際には、Y軸リニアモータを用いて第1ガイドバー、第2ガイドバーを離間させる方向に駆動してステージ同士が接触しないように制御する必要がある。そのため、第1ガイドバー、第2ガイドバーの移動可能範囲を大きくするためにY軸リニアモータ(の固定子)を大型化(長く)する必要が生じ、装置設置に要するスペースが大きくなるという問題が生じる。
【0008】
また、例えば第1ウエハステージを用いて露光処理を実施している間に、アライメント処理を実施すべき第2ウエハステージを支持する第2ガイドバーに第1ウエハステージが接触する虞がある場合には、第1ウエハステージと接触しない位置に第2ガイドバーを退避させるためにアライメント処理を中断せざるを得ない場合があり、スループットの低下を招くという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、省スペース化に寄与できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、生産効率の向上に寄与できるステージ装置及び露光装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置は、試料(W、W1、W2)を保持して定盤(44)上を移動可能なホルダー(WHA、WHB)と、ホルダー(WHA、WHB)を定盤(44)表面の第1方向(X軸方向)に移動させる駆動装置(65A、65B)とを備えるステージ装置(12)であって、駆動装置(65A、65B)は、定盤(44)の外側で第1方向に沿って設けられた固定子(58A、58B)と、固定子(58A、58B)と協働する可動子(62A、62B)とを有し、ホルダー(WHA、WHB)を支持するとともに、可動子(62A、62B)に対して第1方向に移動する移動ステージ(83A、83B)を備えることを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明のステージ装置では、移動ステージ(83A、83B)を移動させることによって、可動子(62A、62B)を移動させることなくホルダー(WHA、WHB)を第1方向(X軸方向)に移動させることができる。そのため、本発明では可動子(62A、62B)の移動可能範囲を小さくすることができ、可動子(62A、62B)が協働する固定子(58A、58B)、すなわち駆動装置(65A、65B)の大型化を防止して省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、試料(W、W1、W2)を保持して定盤(44)上を移動可能な第1、第2ホルダー(WHA、WHB)と、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)のそれぞれを定盤(44)表面の第1方向(X軸方向)に移動させる第1、第2駆動装置(65A、65B)と、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)のそれぞれを第1方向とは異なる第2方向(Y軸方向)に移動させる第3、第4駆動装置(67A、67B)と、を備えるステージ装置(12)であって、第1、第2駆動装置(65A、65B)のそれぞれは、定盤(44)の外側で第1方向に沿って設けられた固定子(58A、58B)と、固定子(58A、58B)と協働する可動子(62A、62B)とを備え、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)をそれぞれ支持するとともに、可動子(62A、62B)に対して第1方向に移動させる第1、第2移動ステージ(83A、83B)と、第3、第4駆動装置(67A、67B)の少なくとも一方の駆動装置を用いて第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第2方向に沿って接近させるときに、第1、第2移動ステージ(83A、83B)の少なくとも一方のステージを用いて第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第1方向に沿って遠ざける制御装置(CONT)と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)の位置を入れ替える際に第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第2方向に沿って接近させるときに、第1、第2移動ステージ(83A、83B)の少なくとも一方のステージを移動させることによって、可動子(62A、62B)を移動させることなく第1ホルダー(WHA)と第2ホルダー(WHB)とを第1方向に沿って遠ざけて接触を防止することができる。そのため、本発明では可動子(62A、62B)の移動可能範囲を小さくすることができ、可動子(62A、62B)が協働する固定子(58A、58B)、すなわち第1、第2駆動装置(65A、65B)の大型化を防止して省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、例えば第1、第2ホルダー(WHA、WHB)を所定位置(例えば露光位置、アライメント位置)に第1方向(X軸方向)に移動させる際にも、第1、第2移動ステージ(83A、83B)を第1方向に移動させればよいため、第1、第2ホルダー(WHA、WHB)と接触する位置まで第4、第3駆動装置(67B、67A)を移動させる必要がなくなる。そのため、各ホルダ(WHA、WHB)を用いた処理を中断する必要もなくなり、スループットの低下を防止することができる。
【0015】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(RST)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(12)に保持された基板(W、W1、W2)に露光する露光装置(10)であって、マスクステージ(RST)と基板ステージ(12)との少なくとも一方のステージとして、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のステージ装置(12)が用いられることを特徴とするものである。
【0016】
従って、本発明の露光装置では、マスクステージ(RST)、基板ステージ(12)の省スペース化によりフットプリントを小さくすることができるとともに、各ステージにおいて複数の処理を並行して実施する際にも、各処理を中断させることがなくなり生産効率の向上を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置及び露光装置の実施の形態を、図1ないし図12を参照して説明する。
ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をウエハステージに適用するものとして説明する。
【0018】
図1には、一実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。
この露光装置10は、不図示の光源及び照明ユニットILUを含み、露光用照明光によりマスクとしてのレチクルRを上方から照明する照明系、レチクルRを主として所定の走査方向、ここでは第2方向としてのY軸方向(図1における紙面左右方向)に駆動するレチクル駆動系、レチクルRの下方に配置された投影光学系PL、投影光学系PLの下方に配置され、基板(試料)としてのウエハW1、W2(適宜、代表的にWと称する)をそれぞれ保持して独立してXY2次元面内で移動するウエハステージWST1、WST2を含む基板ステージとしてのステージ装置12、投影光学系PLの+Y側に配置されたアライメント光学系ALG等を備えている。この内、不図示の光源を除く上記各部は、超クリーンルームの床面上に設置され、温度、湿度等が精度良く管理された環境制御チャンバ(以下、「チャンバ」という)14内に収納されている。
【0019】
なお、投影光学系PLの光軸AX(図5参照)は、ステージ定盤44の−Y側の位置に配置され、アライメント光学系ALGの光軸SX(図5参照)はステージ定盤44の+Y側の位置に配置される。従って、ステージ定盤44の−Y側が露光エリアとされ、このエリアに位置するウエハステージに対して露光処理が行われ、ステージ定盤44の+Y側がアライメントエリアとされ、このエリアに位置するウエハステージに対してアライメントが行われる。
【0020】
ステージ装置12は、図1に示されるように、内部にウエハ室40を形成するチャンバ42の内部に設置されている。このチャンバ42の上壁には、投影光学系PLの鏡筒の下端部近傍が隙間無く接合されている。
ステージ装置12は、ウエハ室40内に収納されたステージ定盤44、このステージ定盤44の上方に非接触ベアリングである不図示の真空予圧型気体静圧軸受け装置を介して浮上支持され、Y軸方向(図1における紙面内左右方向)及び第1方向であるX軸方向(図1における紙面直交方向)に独立して2次元移動可能な2つのウエハステージWST1,WST2、これらのウエハステージWST1,WST2を駆動するステージ駆動系、ウエハステージWST1,WST2の位置を計測するウエハ干渉計システム、及びウエハステージWST1,WST2の移動を規制する規制装置等から主に構成される。
【0021】
なお、前記ウエハ室40内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm程度とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)が充填されている。また、このウエハ室40を形成するチャンバ42の−X側(図1における紙面手前側)の+Y側半部(図1における右半部)の位置には、ウエハをロード・アンロードする不図示のウエハローダが設けられている。
【0022】
図2には、チャンバ42内に収納されたステージ装置12の外観斜視図が示されている。この図2及び図1に示されるように、ステージ装置12は、チャンバ42の内部底面に水平に設置されたベースプレートBPと、該ベースプレートBP上に不図示の防振ユニットを介して3点あるいは4点でベースプレートBPに対して平行に支持されたステージ定盤(定盤)44と、ステージ定盤44に支持されて移動するウエハステージWST1、WST2と、後述のXガイドステージ69A、69B及び後述のYガイドステージ61A、61Bを介してウエハステージWST1、WST2をそれぞれX軸方向に移動させる駆動装置であるXリニアモータ(第1駆動装置)65A及びXリニアモータ(第2駆動装置)65Bと、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれY軸方向に移動させるYリニアモータ(第3駆動装置)67A、及びYリニアモータ(第4駆動装置)67Bとを主体に構成されている。
【0023】
Xリニアモータ65Aは、ステージ定盤44のY軸方向両端にそれぞれX軸方向に沿って配置された固定子58A、58Aと、それぞれ固定子58A、58Aとの間の電磁気的相互作用により固定子58A、58Aに沿ってX軸方向に駆動される可動子62A、62Aとから構成されている。これら固定子58A、58Aは、ステージ定盤44のY軸方向両端のベースプレートBP上に固定された支持ブロック64、64にそれぞれ支持される。
同様に、Xリニアモータ65Bは、ステージ定盤44のY軸方向両端にそれぞれX軸方向に沿って配置された固定子58B、58Bと、それぞれ固定子58B、58Bとの間の電磁気的相互作用により固定子58B、58Bに沿ってX軸方向に駆動される可動子62B、62Bとから構成されている。これら固定子58B、58Bは、上記の支持ブロック64、64にそれぞれ支持される。
【0024】
支持ブロック64上にはX方向に延在するXガイド60A、60Bがそれぞれ設けられている。そして、固定子58A、58Bの下面(−Z側の面)には、それぞれエアパッド等のエアベアリングを有しXガイド60A、60Bに嵌合することでX方向に非接触で移動自在に支持される支持部材59A、59Bが設けられている。そして、可動子62A、62B(ウエハステージWST1、WST2)のX軸方向の移動に伴う反力は、固定子58A、58BがXガイド60A、60Bに沿って移動により吸収されるため、ベースプレートBPに与える運動量は理論的にゼロとなり、ステージ装置12における重心の位置がX方向において実質的に固定される。
なお、+Y側に位置する支持ブロック64には、X方向に沿ってガイド部68A、68Bが設けられており、+Y側に位置する可動子62A、62Bにはガイド部68A、68Bに嵌合してガイドされるXガイドステージ69A、69Bが設けられている。
【0025】
Yリニアモータ67Aは、Xリニアモータ65Aの可動子62A、62A間にY方向に沿って架設された固定子66Aと、固定子66Aとの間の電磁気的相互作用により固定子66Aに沿ってY軸方向に駆動される可動子88Aとから構成されている。また、Xリニアモータ65Aの可動子62A、62A間には、固定子66Aと平行してYガイドステージ61Aが架設されている。このYガイドステージ61Aには、可動子88Aと一体的に移動し可動子88AのY軸方向への移動をガイドするY粗動ステージ63Aが移動自在に嵌合している。
【0026】
同様に、Yリニアモータ67Bは、Xリニアモータ65Bの可動子62B、62B間にY方向に沿って架設された固定子66Bと、固定子66Bとの間の電磁気的相互作用により固定子66Bに沿ってY軸方向に駆動される可動子88Bとから構成されている。また、Xリニアモータ65Bの可動子62B、62B間には、固定子66Bと平行してYガイドステージ61Bが架設されている。このYガイドステージ61Bには、可動子88Bと一体的に移動し可動子88BのY軸方向への移動をガイドするY粗動ステージ63Bが移動自在に嵌合している。
【0027】
なお、可動子62A、62Bは、固定子58A、58Bと対向する面にそれぞれ電磁石81A、81B(図2では不図示、図6参照)が設けられており、固定子58A、58Bは電磁石81A、81Bと対向する面に不図示の鉄板が設けられている。そして、制御装置CONT(図6参照)の制御下で電磁石81A、81Bの磁気的吸引力とを適宜調整することにより、Y粗動ステージ63A、63B及びウエハステージWST1、WST2のY方向への移動に伴う反力を相殺することができる。
【0028】
次に、図3及び図4を参照してY粗動ステージ及びウエハステージWST1、WST2について説明する。なお、ウエハステージWST1、WST2の構成は同様であるので、以下においては代表的にウエハステージWST1についてのみ説明し、ウエハステージWST2については図において符号(主に添字Bを付記)のみ記載する。
【0029】
図3及び図4に示すように、ウエハステージWST1は、上述のY粗動ステージ63Aと、この粗動ステージ63Aの+X側(粗動ステージ63Bの場合は−X側)に水平に延設された支持部82Aに支持される移動ステージ(第1移動ステージ)83A(移動ステージ83Bは第2移動ステージを構成する)と、移動ステージ83A上に設置されるテーブル部70Aとを主体に構成されている。
【0030】
図4に示すように、移動ステージ83Aの底面には非接触ベアリングである真空予圧型の複数のエアベアリング72が設けられており、エアベアリング72の軸受け面から吹き出される加圧気体(例えばヘリウム、あるいは窒素ガスなど)の静圧と、粗動ステージ63A全体の自重と真空吸引力とのバランスにより、移動ステージ83Aがステージ定盤44の上面である移動面の上方に数ミクロン程度のクリアランスを介して非接触で支持されるようになっている。
なお、移動ステージ83Aが、Xリニアモータ65A及び後述するリニアモータLM1、LM2の駆動によって、−X側に最大限移動した際にも、ステージ定盤44はエアベアリング72を介して移動ステージ83Aを移動可能に支持できるようにその大きさが設定されている。
【0031】
また、移動ステージ83Aは、当該移動ステージ83Aに設けられたリニアモータLM1、LM2及びボイスコイルモータVCMによって、粗動ステージ63Aの支持部82Aに対してX軸方向、Y軸方向及びθZ(Z軸と平行な軸周りの回転)方向の3自由度で移動可能に支持されている。具体的には、移動ステージ83Aは、Y軸方向に間隔をあけて配置されたリニアモータLM1、LM2によって支持部82Aに対してX軸方向に移動自在、且つリニアモータLM1、LM2の駆動量を異ならせることによってθZ方向に移動自在となっている。リニアモータLM1、LM2は、例えば100mm程度の大きなストロークで用いる際に適した三相の制御信号(三相交流)で駆動制御される、いわゆる三相制御のアクチュエータとして用いられている。
また、移動ステージは、リニアモータLM1、LM2の間に配置されたボイスコイルモータVCMによって支持部82Aに対してY軸方向に、例えば数mm程度移動自在となっている。なお、これらリニアモータLM1、LM2及びボイスコイルモータVCMの駆動は、制御装置CONTによって制御される(図6参照)。
【0032】
図3及び図4に示すように、テーブル部70Aと移動ステージ83Aとの間には、E型コアとI型コアとの結合によるEIコア型のアクチュエータ84a〜84c(以下、適宜代表的にEIコア84と称する)と、ボイスコイルモータ85a〜85c(以下、適宜代表的にボイスコイルモータ85と称する)とがそれぞれ三角形の頂点をなす三ヶ所ずつ配置されている。これらEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cは、いずれも単相の制御信号により駆動制御される、いわゆる単相制御アクチュエータとして用いられる。
【0033】
EIコア84a〜84cは、テーブル部70Aと移動ステージ83Aとをステージ定盤44の表面に沿った方向に微少量相対移動させるものであって、図4に示すように、テーブル部70Aの下部に設けられ鉄心をなす可動子としてのI型コア86と、移動ステージ83Aの上部でI型コア86を挟んだ両側に設けられコイル体を有する固定子としてのE型コア87とから構成されている。これらEIコア84a〜84c(のE型コア87)の駆動は、制御装置CONTによって制御される(図3では不図示、図6参照)。3つのEIコア84a〜84cの中、2つ(図3中、−Y側のEIコア84a、84b)はI型コア86がX軸方向に沿って配置され、E型コア87がI型コア86を挟んだY軸方向両側に配置されており、残りの一つ(図3中、+Y側のEIコア84c)はI型コア86がY軸方向に沿って配置され、E型コア87がI型コア86を挟んだX軸方向両側に配置されている。
【0034】
従って、EIコア84cの駆動を制御することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してX軸方向に相対移動させることができ、EIコア84a、84bを同一の大きさ・方向に駆動することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してY軸方向に相対移動させることができる。また、EIコア84a、84bの駆動量を異ならせることで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してθZ方向に相対移動させることができる。
【0035】
ボイスコイルモータ85a〜85cは、テーブル部70Aと移動ステージ83AとをZ軸方向に微少量相対移動させるものであって、テーブル部70Aの下部に設けられ発磁体をなす可動子89と、移動ステージ83Aの上部で可動子89に対向配置されコイル体を有する固定子90とからそれぞれ構成されている(図4ではボイスコイルモータ85aは不図示)。これらボイスコイルモータ85a〜85cの駆動(各固定子90への通電量)は制御装置CONTによって制御される(図6参照)。
【0036】
従って、ボイスコイルモータ85a〜85cを同一の大きさ・方向に駆動することで、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してZ軸方向(光軸方向)に相対移動させることができる。また、ボイスコイルモータ85a〜85cの駆動量を適宜異ならせることにより、テーブル部70Aを移動ステージ83Aに対してθY(Y軸と平行な軸周りの回転)方向及びθX(X軸と平行な軸周りの回転)方向に相対移動させることができる。
つまり、制御装置CONTがEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cの駆動を制御することにより、テーブル部70A(及び後述するホルダー)は移動ステージ83Aに対して、Y方向、X方向、Z方向、θY方向、θX方向及びθZ方向で変位可能な6自由度を有する構成となっている。
【0037】
また、テーブル部70Aは、真空吸着等の吸着手段によりウエハ(基板)Wを保持するウエハホルダー(第1ホルダー)WHA(ウエハホルダーWHBは第2ホルダーを構成する)を備えている。テーブル部70Aの上面には、X軸方向の一端にY軸方向に延びるX移動鏡73Xが設けられ、Y軸方向の一端(−Y側の端部)には、X軸方向に延びるY移動鏡73Yが設けられている。さらに、テーブル部70Aの上面には、その表面がウエハWの高さとほぼ同一高さに設定された基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMには、後述する各種基準マークが形成されている。この基準マーク板FMは、例えばウエハステージWST1の基準位置を検出する際に用いられる。
【0038】
露光エリアに位置するウエハステージのY軸方向の位置は、ステージ定盤44の−Y側外部に設けられ移動鏡73Yに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計32(図1、2及び5参照)により計測され、X軸方向の位置はステージ定盤44の+X側外部に設けられ移動鏡73Xに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計33(図2参照)により計測され、その結果が制御装置CONTに出力される(図6参照)。また、アライメントエリアに位置するウエハステージのY軸方向の位置は、ステージ定盤44の略中央に吊設され(図1参照)移動鏡73Yに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計(検出装置)34(図1乃至図3参照)により計測され、X軸方向の位置はステージ定盤44の+X側外部に設けられ移動鏡73Xに対してレーザ光を照射するレーザ干渉計35(図2参照)により計測され、その結果が制御装置CONTに出力される(図6参照)。
【0039】
図1に戻り、前記光源としては、ここではF2レーザ光源(出力波長157nm)あるいはArFエキシマレーザ光源(出力波長193nm)などの、真空紫外域のパルス紫外光を出力するパルスレーザ光源が用いられている。この光源は、チャンバ14が設置される超クリーンルームとは別のクリーン度が低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置され、不図示の引き回し光学系を介してチャンバ14内の照明ユニットILUに接続されている。光源は、そのパルス発光の繰り返し周波数(発振周波数)やパルスエネルギなどが、制御装置CONTの管理下にあるレーザ制御装置18(図1では図示せず、図6参照)によって制御されるようになっている。
【0040】
前記照明ユニットILUは、内部を外気に対して気密状態にする照明系ハウジング20と、この照明系ハウジング20内に所定の位置関係で収納された、2次光源形成光学系、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系(いずれも図示省略)等から成る照明光学系とによって構成され、レチクルR上の矩形(あるいは円弧状)の照明領域IAR(図5参照)を均一な照度で照明する。照明光学系としては、例えば特開平9−320956号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。照明系ハウジング20内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm未満とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)などが充填されている。
【0041】
前記レチクル駆動系は、図1に示されるレチクルチャンバ22内に収容されている。レチクルチャンバ22と照明系ハウジング20との接続部分には、ホタル石などから成る光透過窓が形成されている。レチクルチャンバ22内には、空気(酸素)の含有濃度が数ppm程度とされたクリーンなヘリウムガス(He)あるいは乾燥窒素ガス(N2)などが充填されている。前記レチクル駆動系は、図1に示されるレチクルベース盤24上をレチクルRを保持してXY2次元面内で移動可能なレチクルステージ(マスクステージ)RSTと、このレチクルステージRSTを駆動する不図示のリニアモータ等を含む駆動部26(図1では図示せず、図6参照)と、このレチクルステージRSTの位置を管理するレチクル干渉計システム28とを備えている。
【0042】
これを更に詳述すると、レチクルステージRSTは、実際には、不図示の非接触ベアリング、例えば真空予圧型気体静圧軸受け装置を介してレチクルベース盤24上に浮上支持され、不図示のリニアモータによって、走査方向であるY軸方向に所定ストローク範囲で駆動されるレチクル粗動ステージと、該レチクル粗動ステージに対しボイスコイルモータ等からなる駆動機構によってX軸方向、Y軸方向及びθZ方向(Z軸回りの回転方向)に微少駆動されるレチクル微動ステージとから構成される。このレチクル微動ステージ上に不図示の静電チャック又は真空チャックを介してレチクルRが吸着保持されている。上述のように、レチクルステージRSTは、実際には、2つのステージから構成されるが、以下においては、便宜上、レチクルステージRSTは、駆動部26によりX軸、Y軸方向の微小駆動、θZ方向の微小回転、及びY軸方向の走査駆動がなされる単一のステージであるものとして説明する。なお、駆動部26は、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする機構であるが、図6では図示の便宜上から単なるブロックとして示されている。
【0043】
レチクルステージRST上には、図5に示されるように、X軸方向の一側の端部に、レチクルステージRSTと同じ素材(例えばセラミック等)から成る移動鏡30がY軸方向に延設されており、この移動鏡30のX軸方向の一側の面には鏡面加工により反射面が形成されている。この移動鏡30の反射面に向けて干渉計システム28からの干渉計ビームが照射され、その干渉計ではその反射光を受光して基準面に対する相対変位を計測することにより、レチクルステージRSTの位置を計測している。ここで、この干渉計28は、実際には独立に計測可能な2本の干渉計光軸を有しており、レチクルステージRSTのX軸方向の位置計測と、ヨーイング量の計測が可能となっている。この干渉計28は、上述したウエハステージ側の干渉計32、34からのウエハステージWST1、WST2のヨーイング情報やY位置情報に基づいてレチクルとウエハの相対回転(回転誤差)をキャンセルする方向にレチクルステージRSTを回転制御したり、X方向同期制御(位置合わせ)を行なうために用いられる。なお、図5においては、ウエハステージWST1、WST2におけるY粗動ステージ63A、63Bの図示を省略している。
【0044】
一方、レチクルステージRSTの走査方向(スキャン方向)であるY軸方向の一側には、一対のコーナーキューブミラー36A、36Bが設置されている。そして、ダブルパス干渉計37から、これらのコーナーキューブミラー36A、36Bに対して干渉計ビームが照射され、レチクルベース盤24上に設けられた不図示の反射面にコーナーキューブミラー36A、36Bより戻され、そこで反射したそれぞれの反射光が同一光路を戻り、それぞれのダブルパス干渉計37で受光され、それぞれのコーナーキューブミラー36A、36Bの基準位置(レファレンス位置で前記レチクルベース盤24上の反射面)からの相対変位が計測される。そして、これらのダブルパス干渉計37の計測値が制御装置CONT(図1では図示せず、図6参照)に供給され、その平均値に基づいてレチクルステージRSTのY軸方向の位置が計測される。このY軸方向位置の情報は、ウエハ側の干渉計の計測値に基づくレチクルステージRSTとウエハステージWST1又はWST2との相対位置の算出、及びこれに基づく走査露光時の走査方向(Y軸方向)のレチクルとウエハの同期制御に用いられる。
【0045】
なお、レチクルRを構成するガラス基板の素材は、使用する光源によって使い分ける必要がある。例えば、光源としてF2レーザ光源等の真空紫外光源を用いる場合には、ホタル石やフッ化マグネシウム、フッ化リチウム等のフッ化物結晶、あるいは水酸基濃度が100ppm以下で、かつフッ素を含有する合成石英(フッ素ドープ石英)などを用いる必要があり、ArFエキシマレーザ光源あるいはKrFエキシマレーザ光源を用いる場合には、上記各物質の他、合成石英を用いることも可能である。
【0046】
図1に戻り、前記投影光学系PLは、その鏡筒の上端部近傍がレチクルチャンバ22に隙間無く接合されている。投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで1/4(又は1/5)縮小倍率の縮小系が用いられている。このため、レチクルRに照明ユニットILUから照明光(紫外パルス光)が照射されると、レチクルR上の回路パターン領域のうちの紫外パルス光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が紫外パルス光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の視野の中央にスリット状または矩形状(多角形)に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0047】
前記投影光学系PLの光軸中心(レチクルパターン像の投影中心と一致)より+Y側に所定距離離れた位置にオフアクシス(off−axis)方式のアライメント光学系ALGが設置されている。このアライメント光学系ALGは、LSA(Laser Step Alignment)系、FIA( Filed Image Alignment)系、LIA(Laser Interferometric Alignment )系の3種類のアライメントセンサを有しており、基準マーク板上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。
【0048】
ここで、LSA系は、レーザ光をマークに照射して、回折・散乱された光を利用してマーク位置を計測する最も汎用性のあるセンサであり、従来から幅広いプロセスウエハに使用される。FIA系は、ハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測するセンサであり、アルミ層やウエハ表面の非対称マークに有効に使用される。また、LIA系は、回折格子状のマークに周波数をわずかに変えたレーザ光を2方向から照射し、発生した2つの回折光を干渉させて、その位相からマークの位置情報を検出するセンサであり、低段差や表面荒れウエハに有効に使用される。本実施形態では、これら3種類のアライメントセンサを、適宜目的に応じて使い分け、ウエハ上の3点の一次元マークの位置を検出してウエハの概略位置計測を行なういわゆるサーチアライメントや、ウエハ上の各ショット領域の正確な位置計測を行なうファインアライメント等を行なうようになっている。
【0049】
さらに、本実施形態の露光装置10では、図1では図示が省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク(図示省略)と基準マーク板FM1、FM2(図5参照)上のマークとを同時に観察するための露光波長を用いたTTR(Through The Reticle )アライメント光学系から成る一対のレチクルアライメント顕微鏡138A、138B(図6参照)が設けられている。これらのレチクルアライメント顕微鏡138A、138Bの検出信号は、制御装置CONTに供給される。
【0050】
また、図1では図示が省略されているが、投影光学系PL、アライメント光学系ALGのそれぞれには、合焦位置を調べるためのオートフォーカス/オートレベリング計測機構(以下、「AF/AL系」という)がそれぞれ設けられている。このように、投影光学系PL及びアライメント光学系ALGのそれぞれに、オートフォーカス/オートレベリング計測機構を設けた露光装置の構成は、例えば特開平10−214783号公報に詳細に開示されており、公知であるから、ここではこれ以上の説明を省略する。従って、本実施形態では、上記特開平10−214783号公報に記載の露光装置と同様に、アライメント光学系ALGによるアライメントセンサの計測時に、露光時と同様のAF/AL系の計測、制御によるオートフォーカス/オートレベリングを実行しつつアライメントマークの位置計測を行なうことにより、高精度なアライメント計測が可能になる。換言すれば、露光時とアライメント時との間で、ステージの姿勢によるオフセット(誤差)が発生しなくなる。
【0051】
図6には、本実施形態に係る露光装置10の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御する制御装置CONT及び、この制御装置CONTに計測結果を出力する各種計測機器及び、これらの計測結果に基づいて駆動される各種駆動装置から構成される。
なお、以下の説明では、制御装置CONTの制御により各種駆動装置が駆動される点については記載を省略する。
【0052】
続いて、本実施形態に係る露光装置10におけるステージ装置12の動作の中、露光エリアとアライメントエリアとの間でウエハステージWST1、WST2を入れ替える(スイッチする)動作について図7に示すフローチャート、図8乃至図11を参照して説明する。なお、図8乃至図11においては、ステージ構成部材を簡略化して図示しており、また各図を用いて説明する動作に特に関係のあるものについてのみ符号を付している。
【0053】
(露光処理中&アライメント処理中)
図8は、露光エリア(図中、上側)に位置するウエハステージWST2に対して露光処理が行われ、アライメントエリア(図中、下側)に位置するウエハステージWST1に対してアライメント処理が行われる図である。
このとき、各ウエハステージWST1、WST2においては、テーブル部70A、70B(すなわちウエハホルダーWHA、WHB)はリニアモータLM1、LM2の駆動によりY粗動ステージ63A、63B(の支持部82A、82B)に対してX軸方向に相対移動する。換言すると、テーブル部70A、70Bは、Xリニアモータ65A、65Bの駆動を伴うことなく独立して、Y粗動ステージ63A、63Bから離間する方向(テーブル部70Aは+X側、テーブル部70Bは−X側)へ移動できる。そのため、Yガイドステージ61A、61Bをステージ定盤44の外側に止めておくことができ、テーブル部70AはYガイドステージ61Bに対して、そしてテーブル部70BはYガイドステージ61Aに対して接触することなくウエハホルダーWHA、WHBに保持されたウエハW1、W2の所定領域を露光位置、アライメント位置にそれぞれ移動させて位置決めすることができる。
なお、ウエハステージWST1においては、アライメント処理によりウエハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)と基準マーク板FMの基準マークとの相対位置関係が計測される。
【0054】
上記粗動ステージ63A、63Bに対してテーブル部70A、70Bが相対移動する際、X軸方向の相対移動に関しては、その反力でXガイド60A、60Bに沿って固定子58A、58Bが移動するため、ベースプレートBPに与える運動量が一定に保存され、重心位置も保持される。また、テーブル部70A、70Bが粗動ステージ63A、63Bに対してY軸方向に相対移動する際には、電磁石81A、81Bの磁気的吸引力を調整することで、テーブル部70A、70Bの移動に伴う反力が相殺(キャンセル)される。
なお、テーブル部70AとウエハホルダーWHA、及びテーブル部70BとウエハホルダーWHBは、それぞれ一体的に構成されているので、以下の説明ではこれらテーブル部及びウエハホルダーの移動については単にウエハホルダーWHA、WHBの移動として説明する。また、以下の説明では、ステージ定盤44の中心から外れる方向を単に外側方向と称して説明する。
【0055】
(ウエハホルダーをX軸方向外側に退避させる工程)
ウエハステージWST2に対する露光処理、ウエハステージWST1に対するアライメント処理が終了すると、制御装置CONTは、露光エリアとアライメントエリアとの間でステージWST1、WST2の位置をスイッチさせるために(ステップS0、図7参照)、Yリニアモータ67A、67Bを用いてウエハステージWST1、WST2をY軸方向に沿って移動させるが、ステージWST1、WST2同士が接触しないように、且つ各ステージWST1、WST2がレーザ干渉計34と接触しないように、予め移動ステージ83A、83Bを移動させてウエハホルダーWHA、WHBを互いに遠ざける。より詳細には、リニアモータLM1、LM2の駆動により、図9に示すように、移動ステージ83A、83BをX軸方向でステージ定盤44の外側方向へ移動させて、ウエハホルダーWHA、WHBをY粗動ステージ63A、63Bにそれぞれ近接させるとともに、Xリニアモータ65A、65Bの可動子62A、62BについてもX軸方向で外側方向へ移動させる(ステップS1)。
【0056】
ここで、各ステージWST1、WST2をレーザ干渉計34と接触させないために必要な移動量は、移動ステージ83A、83Bの移動量と可動子62A、62Bの移動量とを加算したものとなるため、移動ステージ83A、83Bが移動することにより、移動ステージ83A、83Bが存在しない場合(ウエハホルダーWHA、WHBとY粗動ステージ63A、63BとがX軸方向にほぼ一体的に移動する場合)と比較して、可動子62A、62Bの移動量は小さくなる。
また、移動ステージ83A、83Bが外側方向に移動した際には、図4に示すように、移動ステージ83A、83Bの一部がステージ定盤44の外側に位置することになるが、エアベアリング72がステージ定盤44に支持されているため支障を来すことがなく、ステージ定盤44をX軸方向で小さくできる。
【0057】
(ウエハホルダーをY軸方向に移動させる工程)
次に、ウエハホルダーWHA、WHBを互いに遠ざけた状態でYリニアモータ67A、67Bの駆動によってウエハステージWST1、WST2をY軸方向(互いに逆方向)に移動させ(ステップS2)、図10に示すように、ウエハステージWST1を露光エリアに、ウエハステージWST2をアライメントエリアにそれぞれ位置させる。このウエハステージWST1、WST2の接近移動に際しても、予め各ステージをX軸方向に遠ざけているので、ステージ同士及びレーザ干渉計34と接触することがない。
【0058】
(スイッチされたウエハホルダーをX軸方向中央側に移動させる工程)
続いて、Xリニアモータ65A、65Bの駆動により粗動ステージ63A、63BをX軸方向に沿ってステージ定盤44の中央側に移動させるとともに、リニアモータLM1、LM2の駆動により移動ステージ83A、83Bを支持部82A、82Bに対してX軸方向に移動させることにより、図11に示すように、ウエハホルダーWHA、WHBを露光エリア、アライメントエリアの所定位置(処理位置)にそれぞれ位置決めする(ステップS3)。
【0059】
上記Xリニアモータ65A、65B、Yリニアモータ67A、67B及びリニアモータLM1、LM2を用いたウエハホルダーWHA、WHBの位置決めは、駆動量が大きなラフな位置決め(粗位置決め)として行われ、微少な駆動量でウエハホルダーWHA、WHBを精密(ファイン)に位置決めする際には、図3及び図4に示したEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cの駆動により、ウエハホルダーWHA、WHBを6自由度で変位させることにより行われる。
このようにして、露光エリアとアライメントエリアとの間で、ウエハステージWST1、WST2のスイッチングが完了する(ステップS4)。
【0060】
次に、2つのウエハステージを用いた並行処理について説明する。
例えば、露光エリアにおいてウエハホルダーWHA上のウエハW1に対し投影光学系PLを介して後述のようにして露光動作を行なっている間に、アライメントエリアでは所定のローディングポジションにてウエハローダ及びウエハステージWST2上の不図示の受け渡し機構によりウエハ交換が行われ、ウエハホルダーWHB上にウエハW2がロードされる。次いで、制御装置CONTでは、上記干渉計34、35の計測値をモニタしつつ、Yリニアモータ65B及びXリニアモータ67Bを制御して、ウエハステージWST2をアライメント基準位置に位置決めする。このウエハステージWST2の移動の間も、ウエハステージWST1側では露光動作が続行されている。なお、上記アライメント基準位置とは、アライメント光学系ALGの真下にウエハステージWST2の基準マーク板FM2上の第1基準マーク(図示省略)が来るような位置である。
【0061】
続いて、ウエハステージWST2側では、サーチアライメントを実施した後、ウエハW2上の各ショット領域の配列を、例えばEGAを使って求めるファインアライメントが行なわれる。すなわち、干渉計34、35の計測値に基づいてウエハステージWST2の位置を管理しつつ、設計上のショット配列データ(アライメントマーク位置データ)をもとに、ウエハW2上の所定のサンプルショットのアライメントマーク位置をアライメント光学系ALGのFIA系のセンサ等で計測し、この計測結果とショット配列の設計座標データとに基づいて最小自乗法による統計演算により、全てのショット配列データを演算する。これにより、上記のアライメント時ステージ座標系上で各ショットの座標位置が算出される。そして、制御装置CONTでは、各ショットの座標位置から前述した第1基準マークの座標位置を減算することで、第1基準マークに対する各ショットの相対位置関係を算出する。
【0062】
一方、露光エリアにおいては、ウエハステージWST1を、露光時ステージ座標系上で位置制御しながら、ウエハステージWST1上の基準マーク板FM1がレチクルパターン像の投影位置に位置決めされる露光基準位置に位置決めする。この露光基準位置にウエハステージWST1が位置決めされると、制御装置CONTでは、一対のレチクルアライメント顕微鏡(図示省略)により露光光を用いて基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークとそれに対応するレチクル上マークのウエハ面上投影像の相対位置検出、すなわちレチクルアライメント顕微鏡による前記各マーク像の画像信号の取り込みを行なう。これにより、露光時ステージ座標系における基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置と、レチクルR上マークのウエハ面上投影像座標位置が検出されることとなり、両者の差により露光位置(投影光学系PLの投影中心)と基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置の相対位置関係が求められる。
【0063】
そして、主制御装置CONTでは、先にアライメント処理で求めた基準マーク板FM1上の第1基準マークに対するウエハW1上の各ショットの相対位置関係、及び露光位置と基準マーク板FM1上の一対の第2基準マークの座標位置との相対位置関係より、最終的に露光位置と各ショットの相対位置関係を算出する。そして、その算出結果に基づいてEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cを駆動してウエハホルダーWHAをファインに位置決めするとともに、ウエハW1上のショット領域の露光のための走査開始位置にウエハステージWST1を順次位置決めしつつ、各ショット領域の露光の都度、レチクルステージRSTとウエハステージWST1とを同期して走査方向に相対走査することにより、走査露光が行なわれることとなる。勿論、このウエハW1側の露光動作と並行して、ウエハステージWST2側では、ウエハ交換、これに続き、前述と同様にアライメント基準位置へのウエハステージWST2の移動、サーチアライメント、ファインアライメントが行われる。そして、その後、上述と同様に、2つのウエハステージWST1、WST2を独立して2次元方向に移動させながら入れ替え(スイッチング)、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光シーケンスと、他方のウエハに対するウエハ交換及びアライメントシーケンスとの並行処理が繰り返し行われる。
【0064】
以上のように、本実施の形態では、スイッチングを行うに当たってウエハホルダーWHA、WHBをX軸方向で遠ざける際に移動ステージ83A、83Bを移動させるので、Xリニアモータ65A、65Bの可動子62A、62Bを駆動する際のストロークを短くすることができる。そのため、固定子58A、58Bを短くすることができ、Yリニアモータ65A、65Bの設置に要するスペースを抑えた省スペース化を図ることが可能になる。また、本実施の形態では、ウエハホルダーWHA、WHBを含むテーブル部70A、70Bが移動ステージ83A、83Bに対して6自由度で支持されて精密な位置決めがなされ、粗動ステージ63A、63Bにおいては高い位置決め精度が要求されないため、粗動ステージ63A、63Bをステージ定盤44によってZ方向に支持させることなく駆動することができ、ステージ定盤44の小型化による省スペース化も併せて実現している。
【0065】
また、本実施の形態では、上記のように可動子62A、62Bの駆動ストロークを短くできるので、露光処理及びアライメント処理を実施する際にYガイドステージ61A、61Bを従来よりも外側に位置させることが可能になる。従って、各処理を実施する際にこれらYガイドステージ61A、61BがウエハホルダーWHA、WHBの移動の妨げにならないため、一方の処理のために他方の処理を中断させる必要がなくなり、スループットの低下を防止して生産効率の向上に寄与することも可能になる。
【0066】
また、本実施の形態では、ウエハホルダーWHA、WHBの移動に伴う反力を固定子58A、58Bの移動及び電磁石81A、81Bの駆動によりキャンセルしていることに加えて、Xリニアモータ65A、65Bの固定子58A、58B及びYリニアモータ67A、67Bの固定子66A、66Bがステージ定盤44の外側で支持されているので、上記反力に起因する振動がステージ定盤44を介してウエハホルダーWHA、WHBに伝わってパターンの転写精度等に悪影響を及ぼすことを回避できる。しかも、本実施の形態では、長ストロークを必要とする移動ステージ83A、83B駆動用のアクチュエータとして、三相制御のリニアモータLM1、LM2を用いることで制御性を向上させるとともに、高い位置決め精度を必要とするウエハホルダーWHA、WHB駆動用のアクチュエータとして、相間のリップル等が生じない単相制御のEIコア84a〜84c及びボイスコイルモータ85a〜85cを用いることで高精度の位置制御を実現することができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、移動ステージ83A、83Bが粗動ステージ63A、63Bに対してX、Y、θZ方向の3自由度で支持されるとしたが、ウエハホルダーWHA、WHBと同様に6自由度で支持される構成としてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、スイッチングを行う際に、リニアモータLM1、LM2の駆動によりウエハホルダーWHA、WHBをX軸方向外側へ移動させた後に、Yリニアモータ67A、67Bの駆動によりY粗動ステージ63A、63Bを介してウエハホルダーWHA、WHBをY軸方向に移動させる手順としたが、これに限定されるものではなく、例えばウエハホルダーWHA、WHBのX軸方向への移動とY軸方向への移動とを同時に行ってもよい。つまり、各ウエハホルダーがY軸方向についてレーザ干渉計34に接近する方向に移動する際には、X軸方向外側へも同時に移動させ(斜めに移動させることになる)、逆にY軸方向についてレーザ干渉計34から離間する方向へ移動する際には、X軸方向中央側へも同時に移動させる手順としてもよい。このときのウエハホルダーWHA、WHBの移動速度、移動開始時期等は、各ステージがレーザ干渉計34と接触しない値に設定すればよい。
この場合、ウエハホルダーWHA、WHBのY軸方向への移動工程中に、X軸方向への移動工程を併行して実施でき、スループットをより向上させることが可能になる。
【0069】
また、上記実施の形態では、ウエハステージWST1、WST2(テーブル部70A、70B)が共通のステージ定盤44により移動可能に支持される構成としたが、それぞれ個別の定盤に支持される2枚定盤形式を採用することも可能である。
また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置をウエハステージに適用する構成としたが、レチクルステージRSTに適用することも可能である。
【0070】
なお、上記実施形態では、照明ユニットILUがハウジング20を有し、レチクルステージRSTがレチクルチャンバ22に収納され、ステージ装置12がチャンバ42内に設置され、これらハウジング14、チャンバ22、チャンバ42及び投影光学系PLの鏡筒内にヘリウムガス等の不活性ガスがそれぞれ充填されている場合について説明したが、これに限らず、露光装置の構成各部の全体が単一のチャンバ内に収納されていても構わない。
【0071】
また、上記実施形態では、一方のウエハステージ上で1枚のレチクルのパターンを用いて露光を行っている間に、他方のウエハステージ上でウエハ交換、アライメント等を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば特開平10−214783号に開示されるように、2枚のレチクルを搭載可能なレチクルステージを用いて、一方のウエハステージ上で2枚のレチクルのパターンを用いて二重露光を行っている間に、他方のウエハステージ上でウエハ交換、アライメント等を並行して行うようにしても良い。このようにすると、同時並行処理によりスループットをあまり低下させることなく、二重露光により高解像度とDOF(焦点深度)の向上効果とを得ることができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、本発明に係るステージ装置が、スキャニング・ステッパに適用された場合について例示したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、本発明に係るステージ装置は、マスクと基板とを静止した状態で露光を行うステッパ等の静止型の露光装置にも好適に適用できるものである。このような場合であっても、ステージ装置により、基板を保持する基板ステージの位置制御性を向上することができるので、ステージに保持された基板の位置決め精度の向上及び位置決め整定時間の短縮化が可能となり、これにより露光精度及びスループットの向上が可能となる。
【0073】
また、本発明に係るステージ装置は、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを基板に転写するプロキシミティ露光装置にも好適に適用できる。
【0074】
勿論、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気へッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)の製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
【0075】
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV(Extreme Ultraviolet)露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、EUV露光装置では反射型マスクが用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0076】
さらに、本発明に係るステージ装置は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置にも広く適用できる。
【0077】
投影光学系PLとしては、光源としてArFエキシマレーザ光源あるいはKrFエキシマレーザ光源を用いる場合には、屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る屈折系が主として用いられるが、F2レーザ光源、Ar2レーザ光源等を用いる場合には、例えば特開平3−282527号公報に開示されているような、屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射光学系が主として用いられる。但し、F2レーザ光源を用いる場合に、屈折系を用いることは可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、投影光学系として縮小系を用いる場合について説明したが、投影光学系は等倍系および拡大系のいずれでも良い。さらに、反射屈折型の投影光学系としては、前述したものに限らず、例えば円形イメージフィールドを有し、かつ物体面側、及び像面側が共にテレセントリックであるとともに、その投影倍率が1/4倍又は1/5倍となる縮小系を用いても良い。また、この反射屈折型の投影光学系を備えた走査型露光装置の場合、照明光の照射領域が投影光学系の視野内でその光軸をほぼ中心とし、かつレチクル又はウエハの走査方向とほぼ直交する方向に沿つて延びる矩形スリット状に規定されるタイプであっても良い。かかる反射屈折型の投影光学系を備えた走査型露光装置によれば、例えば波長157nmのF2レーザ光を露光用照明光として用いても100nmL/Sパターン程度の微細パターンをウエハ上に高精度に転写することが可能である。
【0079】
また、本発明に係る露光装置における露光用光学系としては、投影光学系に限らず、X線光学系、電子光学系等の荷電粒子線光学系を用いることもできる。例えば、電子光学系を用いる場合には、光学系は電子レンズ及び偏向器を含んで構成することができ、電子銃として、熱電子放射型のランタンへキサボライト(LaB6)、夕ンタル(Ta)を用いることができる。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
【0080】
更に、電子光学系を用いる露光装置に本発明を適用する場合、マスクを用いる構成としても良いし、マスクを用いずに電子線による直接描画により基板上にパターンを形成する構成としても良い。すなわち、本発明は、露光用光学系として電子光学系を用いる電子ビーム露光装置であれば、ペンシルビーム方式、可変成形ビーム方式、セルプロジェクション方式、ブランキング・アパーチャ方式、及びEBPSのいずれのタイプであっても、適用が可能である。
【0081】
また、本発明に係る露光装置では、露光用照明光として、前述した遠紫外域、真空紫外域の光に限らず、波長5〜30nm程度の軟X線領域のEUV光を用いても良い。また、例えば真空紫外光としては、ArFエキシマレーザ光やF2レーザ光などが用いられるが、これに限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0082】
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0083】
また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0084】
上記実施形態のように基板ステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合においてエアベアリングを用いたエア浮上型に限られず、ローレンツ力を用いた磁気浮上型を用いてもよい。また、各ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0085】
基板ステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。また、レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0086】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0087】
半導体デバイスは、図12に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、駆動装置の設置に要するスペースや定盤の小型化を抑えた省スペース化を図ることが可能になる。
また、本発明では、露光処理やアライメント処理を中断させずスループットの低下を抑えるため、生産効率の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る露光装置の概略構成図である。
【図2】ステージ装置の外観斜視図である。
【図3】ウエハステージの平面図である。
【図4】図3における正面図である。
【図5】レチクルステージ、2つのウエハステージ、投影光学系及びアライメント系の位置関係を示す斜視図である。
【図6】露光装置の制御系の主要構成を示す制御ブロック図である。
【図7】ウエハステージをスイッチングする手順を示すフローチャート図である。
【図8】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図9】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図10】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図11】ウエハステージをスイッチングする手順を示す図である。
【図12】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク)
RST レチクルステージ(マスクステージ)
W1、W2 ウエハ(基板、試料)
WHA ウエハホルダー(第1ホルダー)
WHB ウエハホルダー(第2ホルダー)
10 露光装置
12 ステージ装置(基板ステージ)
34 レーザ干渉計(検出装置)
44 ステージ定盤(定盤)
58A、58B 固定子
62A、62B 可動子
65A Xリニアモータ(第1駆動装置、駆動装置)
65B Xリニアモータ(第2駆動装置、駆動装置)
67A Yリニアモータ(第3駆動装置)
67B Yリニアモータ(第4駆動装置)
83A 移動ステージ(第1移動ステージ)
83B 移動ステージ(第2移動ステージ)
84a〜84c EIコア(アクチュエータ)
85a〜85c ボイスコイルモータ(アクチュエータ)
Claims (11)
- 試料を保持して定盤上を移動可能なホルダーと、該ホルダーを前記定盤表面の第1方向に移動させる駆動装置とを備えるステージ装置であって、
前記駆動装置は、前記定盤の外側で前記第1方向に沿って設けられた固定子と、該固定子と協働する可動子とを有し、
前記ホルダーを支持するとともに、前記可動子に対して前記第1方向に移動する移動ステージを備えることを特徴とするステージ装置。 - 請求項1記載のステージ装置において、
前記移動ステージは、前記ホルダーを前記第1方向と略直交し前記定盤の表面に沿う第2方向に駆動する第2駆動装置の一部を構成することを特徴とするステージ装置。 - 請求項1または2記載のステージ装置において、
前記移動ステージは、前記可動子に対して3自由度以上の自由度を有し、
前記ホルダーは、前記移動ステージに対して6自由度を有することを特徴とするステージ装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載のステージ装置において、前記ホルダーを前記移動ステージに対して相対移動させる単相制御のアクチュエータを備えることを特徴とするステージ装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載のステージ装置において、前記ホルダー、前記駆動装置、及び前記移動ステージは、複数設けられていることを特徴とするステージ装置。
- 試料を保持して定盤上を移動可能な第1、第2ホルダーと、前記第1、第2ホルダーのそれぞれを前記定盤表面の第1方向に移動させる第1、第2駆動装置と、前記第1、第2ホルダーのそれぞれを前記第1方向とは異なる第2方向に移動させる第3、第4駆動装置と、を備えるステージ装置であって、
前記第1、第2駆動装置のそれぞれは、前記定盤の外側で前記第1方向に沿って設けられた固定子と、該固定子と協働する可動子とを備え、
前記第1、第2ホルダーをそれぞれ支持するとともに、前記可動子に対して前記第1方向に移動させる第1、第2移動ステージと、
前記第3、第4駆動装置の少なくとも一方の駆動装置を用いて前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを前記第2方向に沿って接近させるときに、前記第1、第2移動ステージの少なくとも一方のステージを用いて前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを前記第1方向に沿って遠ざける制御装置と、を備えたことを特徴とするステージ装置。 - 請求項6記載のステージ装置において、
前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを前記第1方向に遠ざける際に、前記第1移動ステージと前記第2移動ステージとの少なくとも一方のステージの一部は、前記定盤の外側に位置することを特徴とするステージ装置。 - 請求項6または7記載のステージ装置において、
前記固定子は、前記第1、第2ホルダーの移動に伴う反力に応じて移動することを特徴とするステージ装置。 - 請求項6から8のいずれかに記載のステージ装置において、前記可動子は、前記第3、第4駆動装置の一部に設けられることを特徴とするステージ装置。
- 請求項6から9のいずれかに記載のステージ装置において、
検知光を照射して前記第1、第2ホルダーの少なくとも一方の位置情報を検出する検出装置が前記定盤上方で前記第1、第2ホルダーの間に配置されることを特徴とするステージ装置。 - マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された基板に露光する露光装置であって、
前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方のステージとして、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のステージ装置が用いられることを特徴とする露光装置。
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