JP2005032670A - コイン形非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供する。
【解決手段】 正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液を、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池において、前記正極を厚み0.3mm以上のペレット状成形体で構成し、前記電解液として10.3mS/cm以上の電導度と2.5cp以下の粘度を有するものを用いてコイン形非水二次電池を構成する。
前記電解液としては、環状カーボネートと非環状カーボネートとを含む少なくとも2種の混合溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解させたものが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コイン形非水二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池に関する。
現在、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源としては主としてリチウムイオン二次電池が用いられている。その理由としてはニッケル−カドミウム二次電池や金属水素化二次電池などに代表される従来の二次電池に比べて、軽量化が可能になったことと高電圧化が可能になったことが挙げられる。
現在使用されているリチウムイオン二次電池では、LiCoO2 などの金属酸化物を正極に用い、黒鉛を負極に用いており、市販されている円筒形や角形のリチウムイオン二次電池では、その電極として金属箔に活物質を含む合剤塗膜を形成した塗布型電極が一般的に用いられている。このリチウムイオン二次電池の負荷特性を考えると、正極および負極の構成が同一の場合、主として電解液の電導度が律速となる。特に非水系の電解液は水系の電解液に比して電導度が低いため、この電導度を高くすることが負荷特性の優れた電池を得るための必要条件になる。
一般にリチウムイオン二次電池などの非水二次電池では、電解液を構成する溶媒としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの誘電率の高い環状カーボネートとジエチルカーボネートやメチルエチルカーボネートなどの低粘度の非環状カーボネートまたはジメトキシエタンなどのエステル類との混合溶媒が用いられ、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )や過塩素酸リチウム(LiClO4 )などが用いられ、例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを溶解させて調製した電解液を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−022722号公報(第1頁)
しかしながら、前記電解液を用いた場合でも、正極が正極合剤のペレット状成形体で構成され、その厚みが0.3mm以上と厚くなる場合には、必ずしも優れた負荷特性が得られなかった。
本発明は、前記のような従来のコイン形非水二次電池の問題点を解決し、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容したコイン形非水二次電池であって、正極を厚み0.3mm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成する場合においても、電解液として10.3mS/cm以上の電導度と2.5cp以下の粘度を有するものを用いることによって、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供し、前記課題を解決したものである。
本発明のコイン形非水二次電池は、高容量で、かつ負荷特性が優れている。
本発明が前記構成を採用することによって、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することができる理由を、以下に本発明を実施するための形態とともに説明する。
前記のように、リチウムイオン二次電池などの非水二次電池では、一般に電解液を構成する溶媒としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの誘電率の高い環状カーボネートとジエチルカーボネートやメチルエチルカーボネートなどの低粘度の非環状カーボネートまたはエステル類との混合溶媒が用いられ、電解質として六フッ化リン酸リチウムなどが用いられているが、それらで構成される電解液の電導度を調べると、例えば、電解質として六フッ化リン酸リチウムを用いた場合には溶媒としてエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを選ぶと、その電導度は溶媒体積比1:2〜1:3で電導度が最大となり、現実にそのあたりの組成の電解液が実用の非水二次電池に用いられている。
しかしながら、これまでの実用電池では、電極として金属箔などからなる集電体に活物質を含有する合剤の塗膜を形成した厚みが0.1mm以下の薄い塗布型電極が用いられていたのに対し、本発明のごとく、正極に厚み0.3mm以上のペレット状成形体を用いる場合には、電解液の電導度だけでは負荷特性を充分に向上させることができなかった。そこで、本発明者は、正極に厚みが0.3mm以上のペレット状成形体を用いるコイン型非水二次電池の負荷特性の向上を目指して鋭意検討を重ねた結果、上記のような厚みが0.3mm以上のペレット状成形体を正極に用いるコイン型非水二次電池では、負荷特性の向上にあたって、電解液の電導度とは別の因子、つまり、電解液の粘度が支配的であることを見出した。
すなわち、厚みが0.3mm以上のペレット状成形体を正極に用いる場合には、正極の厚み方向の導電性を確保するために電解液の通路が充分確保されるとともに、リチウムイオンを誘導する電解液そのものの物理的な流れを速くする必要があり、電導度以上にその流れを規制する粘度が重要となる。電解液の通路を確保するためには正極を構成する合剤の密度を低くすればよいが、それに伴って体積当たりの容量密度が低下するため好ましくない。また、正極の体積そのものが大きくなるために正極全体に電解液が均一に浸透するためにはやはり低粘度である必要がある。例えば、六フッ化リン酸リチウムを電解質としてエチレンカーボネートと非環状カーボネートの中で最も電導度の高いジメチルカーボネートとの混合溶媒に溶解させて調製した電解液を用いる場合、厚みが0.1mm以下の通常の塗布型正極では、電解液の電導度の高さに従い、その体積比が1:2周辺で最も負荷特性が優れているが、厚みが0.3mm以上のペレット状成形体を正極として用いた場合には、低電流密度領域ではむしろ電導度より粘度が律速となり、低粘度のジメチルカーボネートが多くて、電導度の劣る1:6から1:8(エチレンカーボネートに対するジメチルカーボネートの体積比)で最も容量が大きいことからも明らかである。
これに対して、高電流密度領域では電導度が支配的になるが、電導度の最も高い1:2よりは低粘度側にピークがシフトして、1:4辺りで最も大きな容量が得られたことを見出した。また、溶媒を固定した場合、電解質の濃度が高くなると粘度が上昇することから、最も高い容量が得られるのは電解質濃度が低粘度側にシフトした値となることも判明した。
本発明者は、上記の知見に基づいて、鋭意研究を重ね、最も優れた負荷特性が得られるのは10.3mS/cm以上の電導度および2.5cp以下の粘度を有する電解液であることを見出した。これらの条件において、低粘度条件が満たされない場合は、低電流密度領域では容量が高いものの、高電流密度領域では容量が急激に低下する。
本発明において、電解液の電導度は、20℃において、TOA社製電導度計CM−40Sで測定したものであり、この電解液の電導度は高いほど好ましく、特に10.8mS/cm以上が好ましい。
本発明において、電解液の粘度は、20℃において、東機産業社製TV−20形粘度計で測定したものであり、この電解液の粘度は低いほど好ましく、特に2cp以下が好ましい。
本発明において、正極の活物質としては、特に限定されることはないが、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiNix Co1-x 2 、LiMnO2 、LiMn2 4 などのリチウムイオンの挿入・脱離が可能なリチウム含有複合酸化物が好ましい。
正極の導電助剤としては、特に限定されることはないが、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、気相成長炭素繊維などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉などが好ましく、特に黒鉛化炭素長繊維は厚みが0.3mm以上と厚みが大きい正極の厚み方向に対しても高い導電性を付与できるとともに電解液の浸入経路を形成できることから好ましい。また、正極のバインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレンなどが好ましい。
正極の作製にあたっては、上記正極活物質、導電助剤、バインダーなどを混合して正極合剤を調製し、それを金型に充填して加圧成形することにより、正極を構成する厚みが0.3mmのペレット状成形体が作製される。また、上記正極合剤の調製にあたって、正極活物質、導電助剤、バインダーを溶剤の存在下で混合し、それを乾燥して、粉砕すると、各成分がより均一に分散した正極合剤が得られる。本発明において、このペレット状成形体からなる正極の厚みを0.3mm以上に特定しているが、これは、従来技術では、正極の厚みが0.3mm以上になると負荷特性の低下が著しくなるが、本発明によれば、正極を厚みが0.3mm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成する場合でも、負荷特性の低下を抑制でき、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池が得られるという理由によるものである。
本発明において、負極は、負極活物質を含む負極合剤のペレット状成形体で構成してもよいし、また、金属リチウムやリチウム合金のみで構成してもよい。負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、その負極の活物質としては、リチウムイオンが挿入・脱離できるものであれば特に限定されることはないが、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、低結晶カーボンなどの炭素質材料、Si、Snなどの金属の酸化物などが好ましい。
また、負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、その作製にあたって、上記負極活物質以外にバインダーが必要であり、そのバインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロースとの混合物、ポリアミドイミドなどが好ましい。また、負極合剤の調製にあたって、必要に応じて、前記正極の場合に例示したような導電助剤を用いることができる。
本発明において、電解液は有機溶媒などの非水溶媒にリチウム塩などの電解質を溶解し、電導度が10.3mS/cm以上で、かつ粘度が2.5cp以下になるように調製される。
上記電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの非環状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類などを用いることができるが、特に環状カーボネートと非環状カーボネートとを含む2種以上の混合溶媒が好ましく、電解質としては、例えば、LiPF6 、LiCF3 SO3 などのLiCn 2n+1SO3 (n>1)、LiClO4 、LiBF4 、LiAsF6 、(Cn 2n+1SO2 )(Cm 2m+1SO2 )NLi(m、n≧1)、(RfOSO2 2 NLi(Rfは炭素数が2以上のハロゲン化アルキル)などを用いることができる。
本発明において、正極缶、負極缶、セパレータ、環状の絶縁性ガスケットなどは、特に限定されることなく、従来構成のものも用いることができる。
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
正極活物質としてLiCoO2 を用い、導電助剤としてカーボンブラックと平均長さ200μmの黒鉛化長炭素繊維を用い、前記LiCoO2 83質量部とカーボンブラック7質量部と黒鉛化長炭素繊維3質量部とを混合し、得られた混合物93質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン7質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって、合剤含有塗料を調製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた正極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより、直径16mm、厚さ0.9mmのペレット状成形体を作製し、これを正極とした。
負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化処理したものを用い、このメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化処理したもの93質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン7質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって合剤含有塗料を作製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた負極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより直径16.5mm、厚さ0.7mmのペレット状成形体を作製して、これを負極とした。
電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:4の混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解させて調製した電導度が10.9mS/cmで、粘度が1.9cpの非水系電解液を用い、セパレータとしては微孔性ポリプロピレンフィルムを用い、正極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、負極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、環状の絶縁性ガスケットとしてはポリプロピレン製のものを用い、これらと前記正極および負極とで図1に示すようなコイン形非水二次電池を作製した。
ここで、図1に示すコイン形非水二次電池について説明すると、1は前記の正極で、2は前記の負極であり、これらの正極1と負極2との間にはセパレータ3が介在し、これらの正極1と負極2とセパレータ3と前記電解液とは正極缶4と負極缶5と環状の絶縁性ガスケット6とで形成される密閉空間内に収容されている。
これを詳細に説明すると、正極1は正極缶4に収容され、その正極1上にセパレータ3を載置し、電解液を注入し、負極2を載置し、その上から周辺部に絶縁性ガスケット6を取り付けた負極缶5をかぶせ、正極缶4の開口端部を内方に締めつけて絶縁性ガスケット6を負極缶5の周辺部と正極缶4の開口端部の内面に圧接することによって正極缶4と負極缶5との間隙を密閉することによってコイン形非水二次電池が組み立てられている。
実施例2
電解液としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:3.5の混合溶媒にLiPF6 を0.9モル/リットル溶解させて調製した電導度が11.2mS/cmで、粘度が2.25cpの非水系電解液を用いた以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
比較例1
電解液としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒にLiPF6 を1.6モル/リットル溶解させて調製した電導度が11.7mS/cmで、粘度が3.6cpの非水系電解液を用いた以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
比較例2
電解液としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:8の混合溶媒にLiPF6 を1.0モル/リットル溶解させて調製した電導度が9.9mS/cmで、粘度が2.0cpの非水系電解液を用いた以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
上記実施例1〜2および比較例1〜2の電池について、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0Vの間で次の条件下で充放電して放電容量を測定した。すなわち、充電電流密度は1mA/cm2 に固定し、放電電流密度1mA/cm2 での初回放電容量を測定し、続いて、放電電流密度5mA/cm2 、10mA/cm2 、20mA/cm2 での放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2005032670
表1に示すように、実施例1〜2の電池は、放電電流密度が1mA/cm2 での初回放電容量が大きく、高容量であり、また、比較例1〜2の電池に比べて、放電電流密度が10mA/cm2 、20mA/cm2 という高電流密度領域においても大きい放電容量が得られ、負荷特性が優れていた。
これに対して、比較例1の電池は、電解液の粘度が高いため、高電流密度領域、低電流密度領域のいずれにおいても容量が小さく、比較例2の電池は、低電流密度領域では容量が高いものの、電解液の電導度が低いため、高電流密度領域では容量が急激に低下し、実施例1〜2の電池に比べて、負荷特性が劣っていた。
本発明に係るコイン形非水二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 環状の絶縁性ガスケット

Claims (3)

  1. 正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液を、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池であって、前記正極が厚み0.3mm以上のペレット状成形体からなり、前記電解液が10.3mS/cm以上の電導度と2.5cp以下の粘度を有することを特徴とするコイン形非水二次電池。
  2. 電解液が、環状カーボネートと非環状カーボネートとを含む少なくとも2種の混合溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解させたものであることを特徴とする請求項1記載のコイン形非水二次電池。
  3. 正極の活物質が、LiCoO2 、LiNix Co1-x 2 、LiMnO2 、LiMn2 4 などのリチウムイオンの挿入・脱離が可能なリチウム含有金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載のコイン形非水二次電池。
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