しかしながら、このような特許文献1の表示装置では、明るい所で半透過反射板によって外部光を反射すると共に、外部光に含まれている紫外線領域の光に蛍光層が反応して可視光線領域の蛍光を発光することにより、液晶表示素子を照明し、また暗い所でバックライト素子を発光させて液晶表示素子を照明するので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子に表示された情報を視認することができても、液晶表示素子に表示された情報を平面的に表示するだけであるから、表示形態が単純で装飾性に欠けるという問題がある。
一方、時計の表示装置には、液晶表示素子の裏面側にホログラムシートを配置し、このホログラムシートの画像情報を立体的に表現するようにしたものがある。
特開2000−258569号公報
しかし、この特許文献2の表示装置では、ホログラムシートに予め形成された画像情報を立体的に表現することはできても、液晶表示素子に表示された情報そのものを立体的に表現することができないばかりか、ホログラムシートを用いているため、そのホログラムシートの製作が難しく、面倒であり、高価なものになるという問題がある。
この発明の課題は、ホログラムシートを用いずに、液晶表示素子による表示を立体的に表現することができ、これにより装飾性の高いものを得ることである。
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
請求項1に記載の発明は、図1〜図5、図12〜図52に示すように、一対の透明な基板(14、15)の対向面にそれぞれ透明電極(16、17)を設けると共に、前記一対の基板間に液晶(液晶18、液晶ポリマー56)を封入してなる液晶表示素子(12、55)と、この液晶表示素子の表裏面側のうち、少なくとも一方の外面側に配置されているレンズ部(21、23、38、48、50、57、第1レンズ部60、62、70、73、76、第2レンズ部61、63、66、71、74、77、第3レンズ部64、67、72、75、78、第4レンズ部65)とを備え、
前記レンズ部が、前記液晶表示素子の前記透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応して配置されていることを特徴とする表示装置である。
請求項2に記載の発明は、図1〜図5、図12〜図52に示すように、一対の透明な基板(14、15)の対向面にそれぞれ透明電極(16、17)を設けると共に、前記一対の基板間に液晶(液晶18、液晶ポリマー56)を封入してなる液晶表示素子(12、55)と、この液晶表示素子の表裏面側のうち、少なくとも一方の外面側に配置されているレンズ部(21、23、38、48、50、57、第1レンズ部60、62、70、73、76、第2レンズ部61、63、66、71、74、77、第3レンズ部64、67、72、75、78、第4レンズ部65)を有するパネル(レンズパネル13)とを備え、
前記レンズ部が、前記液晶表示素子の前記透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応して配置されていることを特徴とする表示装置である。
請求項3に記載の発明は、図12〜図52に示すように、前記レンズ部(21、23、38、48、50、57)の表裏面側のうち、少なくとも一方の面側に装飾層(カラーインク層28、58、金属層32、装飾層35、36、40、45)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置である。
請求項4に記載の発明は、図6〜図11に示すように、一対の透明な基板(14、15)の対向面にそれぞれ透明電極(16、17)を設けると共に、前記一対の基板間に液晶(18)を封入してなる液晶表示素子(25)と、この液晶表示素子の裏面側に配置され、且つレンズ部(26)と装飾層(27)とを有するパネル(レンズパネル13)とを備え、
前記レンズ部および前記装飾層が、前記液晶表示素子の前記透明電極同士が互いに対応する各領域を除く部分に対応して配置されていることを特徴とする表示装置である。
請求項5に記載の発明は、図6〜図11に示すように、前記レンズ部(26)および前記装飾層(27)が、互いに対応して重なり合っていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置である。
請求項6に記載の発明は、図37に示すように、前記液晶表示素子(55)が、前記一対の基板(14、15)間に前記液晶として液晶ポリマー(56)を封入した高分子分散型に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置である。
請求項7に記載の発明は、図12〜図52に示すように、前記装飾層(35、36、40、45)が、カラーインク層(28)と金属層(32)との少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項3または5に記載の表示装置である。
請求項8に記載の発明は、図15および図16に示すように、前記装飾層が、多層膜からなる偏光フィルム(34)であることを特徴する請求項3または5に記載の表示装置である。
請求項9に記載の発明は、図1〜図29、図33、図34、図37〜図52に示すように、前記レンズ部(21、23、26、38、48、50、57、第1レンズ部60、62、70、73、76、第2レンズ部61、63、66、71、74、77、第3レンズ部64、67、72、75、78、第4レンズ部65)が、前記パネル(レンズパネル13)に一体的に設けられていることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の表示装置である。
請求項10に記載の発明は、図1〜図52に示すように、前記レンズ部(21、23、26、38、48、50、57、第1レンズ部60、62、70、73、76、第2レンズ部61、63、66、71、74、77、第3レンズ部64、67、72、75、78、第4レンズ部65)が、凸形状と凹形状とのうち、少なくとも一方の形状で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の表示装置である。
請求項11に記載の発明は、図1〜図37、図43〜図52に示すように、前記レンズ部(21、23、38、48、50、57、第1レンズ部60、62、70、73、76、第2レンズ部61、63、66、71、74、77、第3レンズ部64、67、72、75、78、第4レンズ部65)が、断面形状が半円弧形状または多角形状で、前記透明電極(16、17)同士が互いに対応する各領域とほぼ同じ形状で形成されていることを特徴とする請求項10に記載の表示装置である。
請求項12に記載の発明は、図38〜図42に示すように、前記レンズ部(57)が、断面形状が半円弧形状または多角形状で、前記透明電極(16、17)同士が互いに対応する各領域に対応する部分にドット状に複数設けられていることを特徴とする請求項10に記載の表示装置である。
請求項13に記載の発明は、図27〜図29に示すように、前記レンズ部(38)が、上面と立上り面とを有する形状に形成され、前記装飾層(40、第1、第2装飾層41、42)が、前記レンズ部の前記上面と前記立上り面との少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の表示装置である。
請求項14に記載の発明は、図43および図44に示すように、前記レンズ部(21、38、48)が半透過状態で着色されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の表示装置である。
請求項15に記載の発明は、図45に示すように、前記レンズ部(第1レンズ部60、62、第2レンズ部61、63、66、第3レンズ部64、67、第4レンズ65)が、形状や色が異なる複数の種類を組み合わせて平面的に配列されていることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の表示装置である。
請求項16に記載の発明は、図46に示すように、前記レンズ部(第1レンズ部70、73、76、第2レンズ部71、74、77、第3レンズ部72、75、78)が、形状や色が異なる複数の種類を組み合わせて立体的に積層させた構成であることを特徴とする請求項8〜15のいずれかに記載の表示装置である。
請求項17に記載の発明は、図12〜図52に示すように、前記液晶表示素子(12、25、55)を照明するバックライト部材(バックライト装置29、バックライト素子33)を備えていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の表示装置である。
請求項18に記載の発明は、図47〜図49に示すように、一対の透明な基板(14、15)の対向面にそれぞれ透明電極(16、17)を設けると共に、前記一対の基板間に液晶(18)を封入してなる液晶表示素子(12)と、この液晶表示素子の表裏面側のうち、一方の外面側に配置されるレンズ部(21)を有するパネル(レンズパネル13)とを備え、前記レンズ部が前記液晶表示素子の前記透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応して配置されている構成の表示装置の製造方法であって、
前記レンズ部を前記パネルに設けるパネル製造工程と、
前記レンズ部を前記液晶表示素子の前記透明電極同士が対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応させた状態で、前記パネルを前記液晶表示素子の表裏面側のうち、一方の外面側に配置するパネル取付工程と
を有することを特徴とする表示装置の製造方法である。
請求項19に記載の発明は、図48に示すように、前記レンズ部(21)を、一体成形法、印刷法、エンボス加工法のいずれかの方法で前記パネル(レンズパネル13)に設けることを特徴とする請求項18に記載の表示装置の製造方法である。
請求項20に記載の発明は、図1〜図6、および図12〜図52に示すように、電圧印加用の透明電極(16、17)を透明な基板(14、15)上に設けた平板状の液晶表示素子(12、55)と、この液晶表示素子の表裏面のうち、少なくとも一方の面側に配置されているレンズ部(21、23、38、48、50、57、60、62、70、73、76、61、63、66、71、74、77、64、67、72、75、78、65)とを備え、前記レンズ部と前記透明電極とは、互いに対応した位置に配置されていることを特徴とする表示装置である。
請求項21に記載の発明は、図1〜図6、および図12〜図52に示すように、前記レンズ部と前記透明電極とが、互いに同じ形状をしていることを特徴とする請求項20に記載の表示装置である。
請求項22に記載の発明は、図1〜図6、および図12〜図52に示すように、前記レンズ部と前記透明電極とが、複数個形成されていることを特徴とする請求項20に記載の表示装置である。
請求項23に記載の発明は、図38〜図42に示すように、前記レンズ部が、前記透明電極一個に対し複数個形成されていることを特徴とする請求項20に記載の表示装置である。
請求項1に記載の発明によれば、液晶表示素子の表裏面側のうち、一方の外面側に配置されるレンズ部を液晶表示素子の透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応させたので、透明電極同士が互いに対応する各領域を選択的に点灯させたときに、この点灯した領域が光透過状態になることにより、この点灯領域によって液晶表示素子に情報を表示させることができると共に、この液晶表示素子に表示された情報をレンズ部によって立体的に表現することができ、これにより液晶表示素子に表示された情報を立体的に表現することができるので、装飾性の高いものを得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、液晶表示素子の表裏面側のうち、一方の外面側にパネルを配置する際に、このパネルに設けられたレンズ部を液晶表示素子の透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応させたので、請求項1に記載の発明と同様、透明電極同士が互いに対応する各領域を選択的に点灯させたときに、この点灯した領域が光透過状態になることにより、この点灯領域によって液晶表示素子に情報を表示させることができると共に、この液晶表示素子に表示された情報をレンズ部によって立体的に表現することができ、これにより液晶表示素子に表示された情報を立体的に表現することができるので、装飾性の高いものを得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、レンズ部の表裏面側のうち、少なくとも一方の面側に装飾層が設けられていることにより、請求項1または2に記載の発明と同様、点灯領域をレンズ部によって立体的に表現することができるほか、特に装飾層によって装飾効果を付加することができ、これにより多彩な装飾効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、レンズと装飾部とを有するパネルを液晶表示素子の裏面側に配置する際、パネルのレンズ部と装飾層とを液晶表示素子の透明電極同士が互いに対応する各領域を除く部分に対応させたので、液晶表示素子の透明電極が対向しない背景に相当する非点灯領域を光透過状態にすることにより、透明電極同士が互いに対応する領域を選択的に点灯させて液晶表示素子に情報を表示させたときも、また液晶表示素子に情報が表示されていないときも、液晶表示素子の背景に相当する非点灯領域に装飾層の一部または全部をレンズ部によって立体的に表現することができ、このため液晶表示素子に情報を表示させても、その表示された情報の邪魔にならずに、液晶表示素子の背景部分に装飾層の一部または全部を立体的に表現することができるので、装飾性の高いものを得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、レンズ部および装飾層が互いに対応して重なり合っていることにより、液晶表示素子に情報を表示させても、この表示された情報の邪魔にならずに、液晶表示素子の背景部分に装飾層の全体をレンズ部によって立体的に表現することができる。
請求項6に記載の発明によれば、液晶表示素子が一対の基板間に液晶として液晶ポリマーを封入した高分子分散型に構成されていることにより、点灯領域または非点灯領域のいずれかが光透過状態になることにより、請求項1または2に記載の発明と同様、液晶表示素子に表示された情報をレンズ部によって立体的に表現することができ、または請求項4に記載の発明と同様、液晶表示素子の背景に相当する部分に装飾層をレンズ部によって立体的に表現することができるほか、特に液晶表示素子が液晶ポリマーを用いた高分子分散型に構成されているから、偏光板を用いずに情報を表示することができ、これにより表示を明るくすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、装飾層が半透過性のカラーインク層であれば、このカラーインク層によって点灯領域または非点灯領域をカラーで表現することができ、また装飾層が金属層であれば、この金属層によって点灯領域または非点灯領域を金属調で表現することができ、さらに装飾層がカラーインク層と金属層とを積層した構成であれば、点灯領域または非点灯領域を金属調のカラーで表現することができ、これらによって多彩な加飾表現ができ、より一層、装飾性の高いものを得ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、装飾層が多層膜からなる偏光フィルムであることにより、表示された情報またはその背景部分を金属調で表現することができる。すなわち、このときには、液晶表示素子の一対の基板間にツイストネマティク型の液晶が封入され、この液晶表示素子の表裏面にそれぞれ設けられた偏光板が、その吸収軸または透過軸を互いに平行にして配置された状態で、透明電極同士が互いに対応する領域を点灯させて光透過状態にして情報を表示させたときに、液晶表示素子に表示された情報をレンズ部によって立体的に表現すると共に、偏光フィルムによって金属調で表現することができ、これにより高級感のあるものを得ることができる。
請求項9に記載の発明によれば、レンズ部がパネルに一体的に設けられていることにより、請求項2に記載の発明と同様、点灯領域をレンズ部によって立体的に表現することができ、また請求項4に記載の発明と同様、非点灯領域である背景に装飾層をレンズ部によって立体的に表現することができるほか、特にレンズ部をパネルに射出成形またはエンボス加工によって一体に形成することにより、その製作および組立作業が容易になり、安価なものを得ることができる。
請求項10に記載の発明によれば、レンズ部が、凸形状と凹形状とのうち、少なくとも一方の形状で形成されていることにより、点灯領域または非点灯領域を凸形状または凹形状の立体で表現することができると共に、凸形状と凹形状とを組み合わせて設けることにより、点灯領域または非点灯領域をそれぞれ凸形状と凹形状との両方を組み合わせた複合化された形状で立体的に表現することができる。
請求項11に記載の発明によれば、レンズ部は、断面形状が半円弧形状または多角形状で、透明電極同士が互いに対応する各領域とほぼ同じ形状で形成されていることにより、光透過状態となる点灯領域をレンズ部によって円弧状または多角状の凸形状または凹形状で立体的に表現することができ、これによっても装飾効果を付加することができる。
請求項12に記載の発明によれば、レンズ部は、断面形状が半円弧形状または多角形状で、透明電極同士が互いに対応する各領域に対応する部分にドット状に複数設けられていることにより、光透過状態となる点灯領域をドット状に配列された複数のレンズ部によってドット状の立体で表現することができ、これによっても装飾効果を付加することができる。
請求項13に記載の発明によれば、レンズ部が上面と立上り面とを有する形状に形成され、装飾層がレンズ部の上面と立上り面との少なくとも一方の面に設けられていることにより、レンズ部の上面と立上り面との少なくとも一方に設けられた装飾層によって、色彩的な装飾効果を部分的に付加することができ、このため液晶表示素子による表示形態のバリエーションが豊富になり、これによっても装飾効果を高めることができる。
請求項14に記載の発明によれば、レンズ部が半透過状態で着色されていることにより、光透過状態となる点灯領域または非点灯領域のいずれかをレンズ部によって立体的に表現する際、レンズ部の着色に応じた色で立体的に表現することができ、これによっても色彩的な加飾ができ、多彩な装飾効果を得ることができる。
請求項15に記載の発明によれば、レンズ部が形状や色の異なる複数の種類を組み合わせて平面的に配列されていることにより、光透過状態となる点灯領域または非点灯領域のいずれかをレンズ部によって立体的に表現する際、形状や色の異なる複数の種類のレンズ部によって液晶表示素子に表示された情報が複合化されて立体的に表現されるので、より一層、表示形態のバリエーションが豊富になり、多彩な装飾効果を得ることができる。
請求項16に記載の発明によれば、レンズ部が形状や色の異なる複数の種類を組み合わせて立体的に積層させた構成であることにより、光透過状態となる点灯領域または非点灯領域のいずれかをレンズ部によって立体的に表現する際、形状や色の異なる複数の種類を組み合わせて立体的に積層したレンズ部によって液晶表示素子に表示された情報が複合化されて立体的に表現されるので、請求項15に記載の発明と同様、表示形態のバリエーションが豊富になり、より一層、多彩な装飾効果を得ることができる。
請求項17に記載の発明によれば、液晶表示素子を照明するバックライト部材を備えていることにより、点灯領域または非点灯領域のいずれかが光透過状態になることにより、請求項1または2に記載の発明と同様、液晶表示素子に表示された情報をレンズ部によって立体的に表現することができ、または請求項4に記載の発明と同様、液晶表示素子の背景に装飾層をレンズ部によって立体的に表現することができるほか、特にバックライト部材によって液晶表示素子を照明することができるので、明るい所でも暗い所でも、表示された情報またはその背景を明るく表示することができる。
請求項18に記載の発明によれば、請求項2に記載の表示装置の製造方法であって、レンズ部をパネルに設けるパネル製造工程と、レンズ部を液晶表示素子の一対の透明な基板にそれぞれ設けられた透明電極同士が互いに対応する各領域のうち、少なくとも一部の領域に対応させた状態で、パネルを液晶表示素子の表裏面側のうち、一方の外面側に配置するパネル取付工程とからなることにより、パネルのレンズ部を液晶表示素子の透明電極同士が互いに対応する各領域の一部に確実に対応させて容易に製作することができ、これにより液晶表示素子に情報を表示させたときに、液晶表示素子に表示された情報を立体的に表現することができる。
請求項19に記載の発明によれば、レンズ部を、一体成形法、印刷法、エンボス加工法のいずれかの方法でパネルに設けることにより、レンズ部をパネルに精度良く設けることができる。この場合、出射成形によりレンズ部を形成する場合には、パネルを成形するときに、レンズ部を同時に形成することができる。また、レンズ部を印刷で形成する場合には、レンズ部の材料として紫外線硬化型の合成樹脂を用いることにより、容易に形成することができる。さらに、レンズ部をエンボス加工で形成する場合には、エンボス用の金型をパネルに押し当てることにより容易に形成することができる。
請求項20に記載の発明によれば、電圧印加用の透明電極を透明な基板上に設けた平板状の液晶表示素子と、この液晶表示素子の表裏面のうち、少なくとも一方の面側に配置されているレンズ部とを備えており、前記レンズ部と前記透明電極とが互いに対応した位置に配置されているので、液晶表示素子に情報を表示させた際に、この情報が表示された部分を立体的に表示させることができる。
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照して、この発明の表示装置を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明の電子腕時計の要部を示した拡大断面図、図2はその表示装置の要部を示した拡大断面図、図3は図2の表示装置の表示パターンを示した正面図、図4は図2のレンズパネルの正面図、図5は図2の表示装置の表示状態を示した正面図である。
この電子腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部には、時計ガラス2が装着されており、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール3が収納されている。また、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋4が防水リング5を介して取り付けられている。
時計モジュール3は、図1に示すように、時刻などの情報を電気光学的に表示するデジタル機能と、文字板の上方を運針する指針によって時刻を指示するアナログ機能とのうち、少なくともデジタル機能を備えたものである。すなわち、この時計モジュール3は、上部ハウジング6と下部ハウジング7とを備えている。この上部ハウジング6内には、表示装置8が時計ガラス2に対応して配置されており、下部ハウジング7内には、電池9が配置されている。また、上部ハウジング6と下部ハウジング7との間には、回路基板10が配置されており、この回路基板10には、表示装置8がインターコネクタ8aによって電気的に接続されていると共に、電池9が電気的に接続されている。そして、上部ハウジング6と下部ハウジング7とは、下部ハウジング7の下面に配置された地板11によって互いに取り付けられている。
表示装置8は、図1および図2に示すように、平板状の液晶表示素子12とレンズパネル13とを備えている。液晶表示素子12は、図2に示すように、透明なガラスや透明な合成樹脂からなる上下一対の透明な基板14、15を有し、その対向面にそれぞれITOなどの透明な導電性材料からなる透明電極16、17が設けられていると共に、これら一対の基板14、15間に液晶18が封止材18aで囲われて封入され、上側の基板14の上面と下側の基板15の下面とにそれぞれ偏光板19、20がその吸収軸(または透過軸)を所定角度で交差させた状態で設けられ、これにより、電圧が印加された一対の透明電極16、17が対向する領域、すなわち、互いに重なり合う点灯領域E1が電圧印加時に光透過状態となるネガテイブタイプに構成されている。
この場合、一対の透明電極16、17のうち、上側の基板14に設けられた上側の透明電極16は、図3に示すように、日の字形状のセグメント電極16aとドット電極16bとに形成されており、下側の基板15に設けられた下側の透明電極17は、セグメント電極16aとドット電極16bとにそれぞれ対応するコモン電極に形成されている。また、液晶18は、捩じれ角度がほぼ90°のTN型、捩じれ角度がほぼ120°のHTN型、捩じれ角度がほぼ180°以上のSTN型のいずれかのタイプである。この液晶表示素子12は、上側の基板14の端部上面が上部ハウジング6の鍔部6aに下側から当接し、上側の基板14の端部下面がインターコネクタ8aによって支持され、この状態で上部ハウジング6内に配置されていると共に、インターコネクタ8aによって回路基板10と電気的に接続されている。
レンズパネル13は、透明または半透明の光透過性を有するフィルムからなり、図2に示すように、その上面に断面形状が半円弧状の凸形状のレンズ部21が設けられている。すなわち、このレンズ部21は、上下の透明電極16、17同士が互いに対応する各領域のうち、一部の領域つまり上側の透明電極16のセグメント電極16aに対応する領域に対応して設けられており、上側の透明電極16のドット電極16bに対応する領域に対応する部分には設けられていない。
また、このレンズ部21は、レンズパネル13上に紫外線硬化型樹脂をシルク印刷などの印刷によって塗布し、この状態で紫外線を照射させて硬化させることにより、図4に示すように、透明電極16、17同士が互いに対応する各領域、つまり上側の透明電極16のセグメント電極16aとほぼ同じ形状に形成されている。この場合、レンズ部21は、上側の透明電極16のセグメント電極16aよりも少し大きく形成されていても良く、逆に少し小さく形成されていても良く、またセグメント電極16aに対して少しずれて設けられていても良い。なお、レンズパネル13が対向する上部ハウジング6の上面、またはレンズパネル13の下面は、反射面に形成されている。
このような電子腕時計によれば、明るい所で外部光が時計ガラス2を通して腕時計ケース1内に採り込まれ、この採り込まれた外部光が表示装置8の液晶表示素子12に照射されるので、液晶表示素子12を駆動して時刻などの情報を表示することにより、その表示された情報を時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から視認することができる。すなわち、液晶表示素子12を駆動して、一対の基板14、15の各透明電極16、17に選択的に電圧を印加すると、電圧が印加された透明電極16、17同士が対応する点灯領域E1が光透過状態となり、この点灯領域E1によって図5に示すように時刻などの情報が表示される。
このときには、液晶表示素子12に照射された外部光のうち、液晶表示素子12の点灯領域E1に照射された外部光のみが、その点灯領域E1に対応する個所の液晶表示素子12を透過してレンズパネル13のレンズ部21に照射され、この照射された光の一部が凸形状のレンズ部21の表面で反射され、他の一部の光がレンズ部21に入射してレンズパネル13の下面側で反射され、この反射された光がレンズ部21から上方に拡散される。このレンズ部21で拡散および反射された光が再び上記と逆の光路を経て液晶表示素子12の上方に放射されるので、図5に示すように、液晶表示素子12に点灯領域E1として表示された情報が明るく表示されると共に、この情報がレンズ部21によって半円弧形状の凸形状の立体で表示される。これにより、液晶表示素子12に表示された情報そのものを立体的に表現することができ、装飾性の高いものを得ることができる。
なお、上記実施形態1では、レンズパネル13の上面に凸形状のレンズ部21を設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図6に示すように、透明または半透明の光透過性を有するシート24に断面半円弧状の凹形状のレンズ部23を形成し、このシート24をレンズパネル13上に設け、この凹形状のレンズ部23を、上下の透明電極16、17同士が互いに対応する領域のうち、一部の領域つまり上側の透明電極16のセグメント電極16aに対応する領域に対応させた構成でも良い。この場合には、液晶表示素子12に表示された情報が凹形状のレンズ部23によって半円弧状の凹形状の立体で表示されるので、実施形態1と同様、表示された情報そのものを立体的に表現することができ、これによっても装飾性の高いものを得ることができる。
(実施形態2)
次に、図7〜図10を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子25の下側にレンズパネル13を配置し、このレンズパネル13の上面に凸形状のレンズ部26を設け、その下面に装飾層27を設け、且つ液晶表示素子25をポジティブタイプに構成した構造であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、この液晶表示素子25は、図7に示すように、上下一対の透明な基板14、15のうち、上側の基板14の上面と下側の基板15の下面とにそれぞれ偏光板19、20がその吸収軸(または透過軸)をほぼ平行にして設けられ、これにより一対の透明電極16、17同士が互いに対向する点灯領域E1が電圧印加時に光を遮断する光遮断状態となるポジテイブタイプに構成されている。また、レンズパネル13は、実施形態1と同様、透明または半透明の光透過性を有するフィルムからなり、その上面に緩やかに盛り上がる凸形状のレンズ部26を一体に形成した構成になっている。
このレンズ部26は、一対の基板14、15の各透明電極16、17同士が互いに対向する点灯領域E1を除く非点灯領域E2、つまり図9(a)に示すように、点灯領域E1の背景に相当する部分に対応して設けられていると共に、その形状が緩やかに盛り上がる凸形状に形成されている。また、このレンズパネル13の下面に設けられた装飾層27は、図7に示すように、カラーインク層からなり、図9(b)に示すように、絵や模様、図形などの絵柄をカラーで表示した構成になっている。この場合、レンズ部26と装飾層27とは、図9(a)および図9(b)に示すように、レンズパネル13の上下面にほぼ同じ形状で互いに対応して設けられている。
このような電子腕時計によれば、実施形態1と同様、明るい所では外部光が腕時計ケース1内に採り込まれて表示装置8の液晶表示素子25に照射されるので、液晶表示素子25を駆動して時刻などの情報を表示することにより、その表示された情報を時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から視認することができる。すなわち、液晶表示素子25を駆動して、一対の基板14、15の各透明電極16、17に選択的に電圧を印加すると、電圧が印加された透明電極16、17同士に対応する点灯領域E1が光遮断状態となり、この点灯領域E1によって図10に示すように時刻などの情報が黒く表示される。
このときには、液晶表示素子25に照射された外部光のうち、電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域E1に照射された外部光のみが、その点灯領域E1で遮断されるが、この点灯領域E1以外の非点灯領域E2に対応する個所では、外部光が液晶表示素子25、レンズ部26、およびレンズパネル13を順に透過して装飾層27に照射される。この照射された光は、装飾層27で反射され、この反射光が凸形状のレンズ部26で拡散され、この拡散された光が液晶表示素子25を透過して上方に放射される。
これにより、図10に示すように、非点灯領域E2である背景部分に、装飾層27による絵や模様、図形などの絵柄がカラーで表示されると共に、その絵や模様、図形などの絵柄が凸形状のレンズ部26によって緩やかに盛り上がる状態で立体的に表示される。このため、液晶表示素子25に情報を黒く表示した状態で、その背景に絵柄をカラーで緩やかに盛り上がる立体で表現することができる。これにより、色彩的な装飾効果を付加することができるので、多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態2では、レンズパネル13の上面にレンズ部26を設け、レンズパネル13の下面に装飾層27を設けたが、これに限らず、例えば図11に示すように、レンズパネル13の上面に装飾層27を設け、この装飾層27の上面に緩やかに盛り上がる凸形状のレンズ部26を設けた構造でも良い。このような構造でも、実施形態2と同様、液晶表示素子25の背景部分に装飾層27の絵や模様、図形などの絵柄をレンズ部26によって緩やかに盛り上がる状態で立体的に表現することができる。
また、レンズ部26は必ずしも凸形状である必要はなく、緩やかに凹んだ凹形状に形成されていても良い。このように形成すれば、装飾層27の絵柄を緩やかに凹んだ状態で立体的に表現することができる。
(実施形態3)
次に、図12を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、レンズパネル13の下面に装飾層としてカラーインク層28を設け、このレンズパネル13の下側にバックライト装置29を配置した構造で、これ以外は実施形態1と同じ構造になっている。この場合にも、レンズパネル13の上面には、凸形状のレンズ部21が液晶表示素子12の透明電極16、17同士が対応する領域、つまり上側の透明電極16のセグメント電極16aに対応して設けられている。
カラーインク層28は、透明な保護膜中に着色された粒子を混入した光透過性を有するものであり、レンズパネル13の下面全体に設けられ、透過する光を着色するように構成されている。また、バックライト装置29は、導光板30と発光ダイオード(LED)などの発光素子31とからなり、導光板30がレンズパネル13の下面に対応して配置され、発光素子31が導光板30の側面に対応して配置され、この状態で発光素子31が発光すると、その光が導光板30の側面から内部に入射し、この入射した光が導光板30で面方向に導かれながら導光板30の上面から出射されることにより、レンズパネル13を介して液晶表示素子12をその下面側から照明するように構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態1と同様、明るい所では外部光が腕時計ケース1内に採り込まれて表示装置8の液晶表示素子12に照射されるので、液晶表示素子12を駆動して時刻などの情報を表示すると、その表示された情報を時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から視認することができる。すなわち、液晶表示素子12を駆動して、一対の基板14、15の各透明電極16、17に選択的に電圧を印加すると、電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって図5に示したように時刻などの情報が表示される。
このときには、液晶表示素子12に照射された外部光のうち、電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域に照射された外部光のみが、その点灯領域に対応する個所の液晶表示素子12を透過してレンズパネル13のレンズ部21に照射され、この照射された光の一部が凸形状のレンズ部21の表面で放射状に反射され、他の一部の光がレンズパネル13およびカラーインク層28を透過してバックライト装置29の導光板30に照射され、この照射された光が導光板30で反射されてカラーインク層28およびレンズパネル13を透過してレンズ部21から上方に拡散される。
このレンズ部21で拡散および反射された光は、再び上記と逆の光路を経て液晶表示素子12の上方に放射されるので、図5に示したように、点灯領域がカラーインク層28で着色されて情報として明るく表示されると共に、この情報が凸形状のレンズ部21によって半円弧形状の凸形状で立体的に表示される。これにより、液晶表示素子12に表示された情報をカラーで立体的に表現することができるので、色彩が多彩になり、より一層、装飾性の高いものを得ることができる。
また、暗い所では、バックライト装置29の発光素子31を点灯させると、その光がカラーインク層28で着色されて透過し、この透過した光がレンズパネル13を透過して凸形状のレンズ部21で拡散され、この拡散された光で液晶表示素子12の下面が照明される。このため、液晶表示素子12が駆動されて電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域が光透過状態となるので、この点灯領域によって図5に示したように時刻などの情報が表示される。
このときにも、上記と同様、カラーインク層28によって着色されたカラーで液晶表示素子12の情報が表示されると共に、この表示された情報が凸形状のレンズ部21によって立体的に表示される。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域で表示された情報をカラーで立体的に表現することができ、これにより色彩が多彩な装飾効果を付加することができるので、より一層、多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態3では、バックライト装置29が、レンズパネル13の下側に配置された導光板30によって、発光素子31からの光を面方向に導きながら面発光させて液晶表示素子12を照明するように構成したが、これに限らず、例えば図13に示すように、発光素子31を液晶表示素子12の側面に対向させて配置し、この状態で発光素子31を回路基板10にコイルばね29aによって電気的に接続し、この発光素子31で発光した光を液晶表示素子12の側面から液晶表示素子12の内部に入射させることにより、液晶表示素子12を照明するように構成しても良い。このように構成すれば、表示装置8全体の薄型化をも図ることができる。
(実施形態4)
次に、図14を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態4について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、上面に凸形状のレンズ部21が設けられたレンズパネル13の下面に、装飾層として光透過性を有する金属層32を設け、このレンズパネル13の下側に面発光型のバックライト素子33を配置した構造で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構造になっている。
すなわち、この金属層32は、光透過性を有する金属薄膜の装飾層であり、肉眼では見えにくい微細な貫通孔を多数形成し、これら微細な貫通孔を光が透過すると共に、貫通孔以外の表面で光を反射することにより、半透過反射機能を有するように構成されている。また、バックライト素子33は、EL発光素子(エレクトロルミネッセンス発光素子)などの面発光型の発光素子からなり、面発光した光が金属層32、レンズパネル13、およびレンズ部21を透過して液晶表示素子12をその下面側から照明するように構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態1と同様、明るい所では外部光が腕時計ケース1内に採り込まれて表示装置8の液晶表示素子12に照射されるので、液晶表示素子12を駆動して時刻などの情報を表示すると、その表示された情報を時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から視認することができる。すなわち、液晶表示素子12を駆動して、一対の基板14、15の各透明電極16、17に選択的に電圧を印加すると、電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって図5に示したように時刻などの情報が表示される。
このときには、液晶表示素子12に照射された外部光が、点灯領域に対応する個所の液晶表示素子12を透過してレンズパネル13のレンズ部21に照射され、この照射された光の一部が凸形状のレンズ部21の表面で反射され、他の一部の光がレンズパネル13を透過して金属層32に照射され、この金属層32で反射されてレンズ部21から上方に拡散される。このレンズ部21で拡散および反射された光が再び上記と逆の光路を経て液晶表示素子12の上方に放射されるので、図5に示したように、点灯領域がレンズ部21によって凸形状の立体で表示されると共に、この点灯領域が金属層32によって金属調で表現される。これにより、液晶表示素子12に表示された情報を金属調の立体で表現することができる。
また、暗い所では、バックライト素子33を点灯させて面発光させると、その光が金属層32を透過し、この透過した光がレンズパネル13を透過して凸形状のレンズ部21で拡散され、この拡散された光で液晶表示素子12の下面が照明される。このため、液晶表示素子12が駆動されて点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって図5に示したように時刻などの情報が表示されるときにも、上記と同様、表示された情報が金属層32によって金属調に着色されて表示されると共に、その表示された情報が凸形状のレンズ部21によって立体的に表示される。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域で表示された情報を金属調で立体的に表現することができ、これにより高級感のある装飾効果を付加することができるので、多彩な装飾効果を得ることができる。
(実施形態5)
次に、図15および図16を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態5について説明する。この場合には、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12の上下の各偏光板19、20をその各吸収軸19a、20a(または透過軸)がほぼ平行になるように配置し、凸形状のレンズ部21が設けられたレンズパネル13の下面に偏光フィルム34を配置した構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。
この場合、液晶表示素子12の上側の偏光板19は、図16(a)に示すように、その吸収軸19aが正面から見て左下から右上に向けてほぼ45°の方向に傾いた状態で配置されており、下側の偏光板20は、図16(b)に示すように、上側の偏光板19と同様、その吸収軸20aが正面から見て左下から右上に向けてほぼ45°の方向に傾いた状態で配置されている。これにより、上下の各偏光板19、20は、各吸収軸19a、20aが互いにほぼ平行になるように配置されている。
また、偏光フィルム34は、多層膜からなり、図16(c)に示すように、その吸収軸34a、34bが正面から見て上下の各偏光板19、20の各吸収軸19a、20aに対してほぼ45°傾いた状態で配置されている。すなわち、偏光フィルム34は、その各吸収軸34a、34bのうち、一方の吸収軸34aが正面から見て吸収軸19a、20aに対して時計回りにほぼ45°傾いており、他方の吸収軸34bが正面から見て吸収軸19a、20aに対して反時計回りにほぼ45°傾いた状態で配置されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所では外部光が腕時計ケース1内に採り込まれて液晶表示素子12に照射されるので、液晶表示素子12を駆動して、一対の基板14、15の各透明電極16、17に選択的に電圧を印加すると、電圧が印加された透明電極16、17に対応する点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって図5に示したように時刻などの情報が表示される。このときには、液晶表示素子12に照射された外部光のうち、点灯領域に照射された外部光のみが、その点灯領域の液晶表示素子12を透過してレンズパネル13のレンズ部21に照射され、この照射された光の一部が凸形状のレンズ部21の表面で反射され、他の一部の光がレンズ部21およびレンズパネル13を透過して偏光フィルム34に照射される。
このときには、偏光フィルム34の吸収軸34a、34bが上下の各偏光板19、20の各吸収軸19a、20aに対してほぼ45°傾いて交差しているので、偏光フィルム34に照射された光のうち、一部の光は偏光フィルム34で吸収されるが、他の光が偏光フィルム34で反射され、この反射された光が金属調の光としてレンズ部21から上方に拡散される。これにより、点灯領域がレンズ部21によって凸形状の立体で表示されると共に、この点灯部分が偏光フィルム34の反射によって金属調で表現される。このため、液晶表示素子12に表示された情報を金属調で立体的に表現することができるので、実施形態4と同様、装飾性の高いものを得ることができる。
また、暗い所では、バックライト素子33を面発光させると、その光が偏光フィルム34をその吸収軸34a、34bに沿って透過し、この透過した光が金属調の光としてレンズパネル13を透過してレンズ部21で拡散され、この拡散された光で液晶表示素子12の下面が照明される。このため、液晶表示素子12が駆動されて点灯領域が光透過状態となると、この点灯領域に照射された光のうち、一部の光は反射されるが、他の光が透過することにより、図5に示したように時刻などの情報が表示される。このときには、上記と同様、偏光フィルム34を透過した金属調の光によって情報が金属調で表示されると共に、その情報がレンズ部21によって凸形状の立体で表示される。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域で表示された情報を金属調で立体的に表現することができ、これにより高級感のある装飾効果を付加することができると共に、多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態5では、偏光フィルム34を、その吸収軸34a、34bが液晶表示素子12の各偏光板19、20の各吸収軸19a、20aに対しほぼ45°傾くように配置した透過型の場合について述べたが、これに限らず、例えば偏光フィルム34を、その吸収軸34a、34bが液晶表示素子12の各偏光板19、20の各吸収軸19a、20aに対しほぼ90°傾くように配置した反射型の構造でも良い。このような構造でも、実施形態5とほぼ同様の効果がある。
(実施形態6)
次に、図17を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態6について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、上面に凸形状のレンズ部21が設けられたレンズパネル13の下面に2層構造の装飾層35を設け、この装飾層35の下側にバックライト素子33を配置した構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。
すなわち、装飾層35は、カラーインク層28と金属層32とを積層した2層構造になっている。カラーインク層28は、実施形態3と同様、光透過性を有するものであり、レンズパネル13の下面全体に設けられている。金属層32は、実施形態4と同様、光透過性を有する金属薄膜の装飾層であり、肉眼では見えにくい微細な貫通孔が多数形成され、これら微細な貫通孔を光が透過すると共に、貫通孔以外の表面で光を反射することにより、半透過反射機能を有するように構成されている。また、バックライト素子33は、実施形態4と同様、EL発光素子(エレクトロルミネッセンス発光素子)などの面発光型の発光素子からなり、面発光した光によって液晶表示素子12を照明するように構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示する際、その情報をレンズ部21によって立体的に表現すると共に、装飾部35によって色彩を加えて表現することができる。すなわち、明るい所では外部光が液晶表示素子12の点灯領域、レンズ部21、およびレンズパネル13を順に透過し、この透過した光が装飾層35に照射され、この照射された光が装飾層35のカラーインク層28を透過して金属層32で反射されるので、装飾層35のカラーインク層28によってカラーで表示されると共に、金属層32によって更に金属調で加飾されて表示される。
また、暗い所では、バックライト素子33を点灯させて面発光させると、その光が装飾層35の金属層32を透過した上、カラーインク層28で着色されて透過し、この透過した光がレンズパネル13を透過してレンズ部21で拡散されるので、実施形態4と同様、装飾層35のカラーインク層28によってカラーで表示されると共に、金属層32によって更に金属調で加飾されて表示される。これにより、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報を金属調のカラーで立体的に表現することができ、このため実施形態4よりも、多彩な装飾効果が得られる。
なお、上記実施形態1〜6では、レンズパネル13の上面にレンズ部21を一体的に形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図18に示すように、レンズパネル13をエンボス加工によって凸形状のレンズ部21を波形状に一体に形成しても良い。この場合には、レンズパネル13が波形状に形成されるが、その下面に予め装飾層36を設けておけば、レンズパネル13の凹凸状に沿って装飾層36を設けることができる。この場合、装飾層36は、半透過型のカラーインク層28と半透過型の金属層32との少なくとも一方で構成されていれば良い。
また、これに限らず、例えば図19に示すように、光透過性を有するシート24に凸形状のレンズ部21を一体に形成し、このシート24をレンズパネル13の上面に設けた構造でも良く、また図20に示すように、凸形状のレンズ部21をレンズパネル13と別に形成し、このレンズ部21をレンズパネル13の上面にそれぞれ透明な接着剤39で接着した構成でも良い。また、図21に示すように、バックライト素子33の上面に装飾層36を設け、この装飾層36の上面に紫外線硬化型樹脂のレンズ部21を直接設けた構造でも良い。さらに、図22(a)および図22(b)に示すように、凸形状のレンズ部21の表面を微細な凹凸面37に形成しても良い。
また、上記実施形態1〜6およびその各変形例では、凸形状のレンズ部21を半円弧状に形成した場合について述べたが、これに限らず、図23(a)および図23(b)に示すように、凸形状のレンズ部38を台形状に形成しても良い。この場合にも、図23(a)に示すようにレンズパネル13に台形状のレンズ部38を出射成形によって一体に形成しても良く、また図23(b)に示すように光透過性を有するシート24に台形状のレンズ部38を形成し、このシート24をレンズパネル13の上面に設けた構造でも良い。さらに、図24(a)および図24(b)に示すように台形状のレンズ部38の表面を微細な凹凸面37に形成しても良い。この場合には、図24(a)に示すように台形状のレンズ部38の上面のみを微細な凹凸面37に形成しても良く、また図24(b)に示すように台形状のレンズ部38の側面のみを微細な凹凸面37に形成しても良い。
(実施形態7)
次に、図25を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態7について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、凸形状のレンズ部21が上面に設けられたレンズパネル13の上面に光透過性を有する装飾層36を設け、この装飾層36でレンズパネル13の上面に形成されたレンズ部21を覆った構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。この場合、装飾層36は、半透過型のカラーインク層と半透過型の金属層とのうち、例えば半透過型のカラーインク層からなり、カラー表示をするように構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報が表示するときに、レンズパネル13に形成された凸形状のレンズ部21によって立体的に表現すると共に、装飾層36のカラーインク層によってカラーで表現することができる。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報をカラーで立体的に表現することができ、これにより色彩的な装飾効果を付加することができるので、多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態7では、装飾層36が半透過型のカラーインク層で構成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば肉眼では見えにくい微細な貫通孔を多数形成した金属薄膜からなる半透過型の金属層32で装飾層36を構成しても良い。このような金属層32を用いれば、点灯領域を金属調で表現することができる。また、装飾層36に代えて、例えば図26に示すように、半透過型のカラーインク層28と半透過型の金属層32とを積層した2層構造の装飾層35を用いても良い。このようにすれば、実施形態6と同様、点灯領域を2層構造の装飾層35によって金属調のカラーで表現をすることができるので、より一層、多彩な装飾効果が得られる。
(実施形態8)
次に、図27および図28を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態8について説明する。この場合には、図25に示された実施形態7と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、レンズパネル13の上面に断面形状が台形状のレンズ部38を設け、このレンズ部38の上端面のみに装飾層40を部分的に設けた構造で、これ以外は実施形態7とほぼ同じ構造になっている。すなわち、このレンズ部38は、図28に示すように、その断面形状が台形状で、レンズパネル13の上面に出射成形によって一体に成形され、透明電極16、17同士が互いに対応する点灯領域に対応して設けられた構成になっている。また、装飾層40は、半透過型のカラーインク層28と半透過型の金属層32とのうち、少なくとも一方で構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態7と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域による情報がレンズパネル13のレンズ部38によって台形状の立体で表示されると共に、装飾層40によって情報がカラーまたは金属調で部分的に表示される。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報そのものをカラーまたは金属調で立体的に表現することができるので、実施形態7と同様、色彩的な装飾効果を付加することができ、これにより多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態8では、断面形状が台形状のレンズ部38の上端面のみに装飾層40を部分的に設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図29(a)に示すように、台形状のレンズ部38の両側面のみに装飾層40を部分的に設けた構造でも良い。また、図29(b)に示すように、台形状のレンズ部38の上端面に第1装飾層41を設け、台形状のレンズ部38の両側面に第2装飾層42を設けた構造でも良い。また、図29(c)に示すように、台形状のレンズ部38の全表面に第1装飾層41を設けると共に、台形状のレンズ部38の上端面に対応する個所の第1装飾層41上のみに第2装飾層42を部分的に積層させた構造でも良い。このようないずれの構造においても、実施形態8と同様の効果があるほか、特に表示形態のバリエーションが豊富になり、より一層、多彩な装飾効果が得られる。
(実施形態9)
次に、図30を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態9について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12の下側にバックライト素子33を配置し、このバックライト素子33の上面に凹凸形状の装飾層45を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。すなわち、この装飾層45は、金属薄板46に貫通孔47を多数形成し、この金属薄板46をプレス加工またがエンボス加工で凹凸状に形成することにより、断面形状が半円弧状のレンズ部48を形成し、これらレンズ部48を透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応させて設けた構成になっている。
この場合、金属薄板46は、その表面で外部光を反射する際、レンズ部48の表面では外部光を放射状に反射するように構成されている。また、この金属薄板46の貫通孔47は、肉眼で見える比較的大きな孔径で、光を十分に透過すると共に、半円弧状のレンズ部48に位置する部分では放射状に形成され、バックライト素子33からの光を放射状に透過するように構成されている。これにより、レンズ部48が実施形態4のレンズ部21とほぼ同じレンズ機能を果たすように構成されている。
このような電子腕時計によれば、金属薄板46がその表面で外部光を反射すると共に、金属薄板46の貫通孔47を光が十分に透過するので、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の光透過状態となる点灯部分によって時刻などの情報を表示する際、点灯領域を装飾層45の金属薄板46の各レンズ部48によって立体的に表現することができる。これにより、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報を金属調で立体的に表現することができるので、装飾効果を付加することができ、これにより多彩な装飾効果を得ることができる。
(実施形態10)
次に、図31を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態10について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12の下面に凹形状のレンズ部50を設け、バックライト素子33の上面に装飾層36を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。すなわち、凹形状のレンズ部50は、断面が半円弧状の凹部で、光透過性を有するシート24に一体に形成され、このシート24を液晶表示素子12における下側の偏光板19の下面に設けるときに、透明電極16、17同士が互いに対応する点灯領域に対応して配置される。また、装飾層36は、実施形態8と同様、半透過型のカラーインク層28または半透過型の金属層32のいずれかで形成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子25の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域が液晶表示素子12の下面に設けられたレンズ部50によって凹形状の立体で表示される。このときには、装飾層36によって点灯領域がカラーまたは金属調で表示されるので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報をカラーまたは金属調で凹形状の立体で表現することができ、これにより実施形態4と同様、色彩的な装飾効果を付加することができるので、多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態10では、バックライト素子33の上面に装飾層36を設けたが、これに限らず、例えば図32に示すように、凹形状のレンズ部50が設けられたシート24の下面全体に装飾層36を設けた構造でも良い。この場合には、シート24の下面に予め装飾層36を設け、この状態でシート24をプレス加工によって凹形状のレンズ部50を形成することにより、シート24の凹凸状に沿って装飾層36を設けても良い。このような構造でも、実施形態10と同様の作用効果がある。
(実施形態11)
次に、図33を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態11について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、バックライト素子33の上面に装飾層36を設け、この装飾層36上にレンズパネル13を配置し、このレンズパネル13の上面に凸形状のレンズ部21を一体に設け、且つ液晶表示素子12の下面に凹形状のレンズ部50が設けられたシード24を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。
この場合にも、装飾層36は、実施形態8と同様、半透過型のカラーインク層28または半透過型の金属層32のいずれかで形成されている。また、凸形状のレンズ部21は、レンズパネル13の上面に断面が半円弧状の凸形状に一体に形成され、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応して配置されるように構成されている。一方、凹形状のレンズ部50は、断面形状が半円弧状で、シート24に形成され、このシート24を液晶表示素子12における下側の偏光板19の下面に設けるときに、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応すると共に、レンズパネル13のレンズ部21にも対応して配置されるように構成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域が液晶表示素子12の下面に設けられた凹形状のレンズ部50と、バックライト素子33に配置されたレンズパネル13の凸形状のレンズ部21とによって、複合化された立体で表示される。このときにも、装飾層36によって点灯領域がカラーまたは金属調で表示されるので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報を、カラーまたは金属調で、且つ凹形状のレンズ部50と凸形状のレンズ部21とによる複合化された立体で表現することができ、このため実施形態10よりも、装飾性および色彩性のバリエーションが豊富になり、より一層、装飾性の高いものを得ることができる。
なお、上記実施形態11では、バックライト素子33の上面とレンズパネル13の下面との間に装飾層36を設けた構成であるが、これに限らず、例えば図34に示すように、凹形状のレンズ部50が設けられたシート24の下面全体にも装飾層36を設けてた構成でも良い。この場合、装飾層36は、半透過型のカラーインク層からなり、凹形状のレンズ部50の底部に位置する個所、つまり凸形状のレンズ部21の上端部分に対応する個所に開口部36aを形成した構成になっている。このように構成すれば、実施形態11と同様の作用効果があるほか、特にレンズパネル13の下面の装飾層36と凹形状のレンズ部50が設けられたシート24の下面全体の装飾層36との両方によって色彩的な装飾効果が付加されるので、より一層、多彩な装飾効果を得ることができると共に、装飾層36に開口部36aが設けられているので、液晶表示素子12に表示された情報を明るくすることができる。
(実施形態12)
次に、図35を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態12について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12における上側の偏光板19の上面に凸形状のレンズ部21を設け、下側の基板15と下側の偏光板20との間に装飾層36を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。この場合にも、凸形状のレンズ部21は、実施形態1と同様、紫外線硬化樹脂によって断面形状が半円弧形状に形成され、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応して設けられている。また、装飾層36は、半透過型のカラーインク層28からなり、液晶表示素子12の表示領域に対応する個所に設けられている。
このような電子腕時計においても、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域が液晶表示素子12の上面に設けられた凸形状のレンズ部21によって立体的に表示される。このときにも、装飾層36によって点灯領域がカラーで表示されるので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報をカラーで立体的に表現することができ、このため実施形態4と同様、色彩的な装飾効果を付加することができるので、多彩な装飾効果を得ることができる。
(実施形態13)
次に、図36を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態13について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12における上側の偏光板19の上面に凸形状のレンズ部21を設け、下側の偏光板20の下面に凹形状のレンズ部50を設け、バックライト素子33の上面に装飾層36を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。
この場合にも、凸形状のレンズ部21は、実施形態12と同様、紫外線硬化樹脂によって断面形状が半円弧形状に形成され、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応して設けられている。また、凹形状のレンズ部50は、断面が半円弧状の凹部で、シート24に形成され、このシート24を液晶表示素子12における下側の偏光板20の下面に設けた構成になっている。この場合、シート24は、凹形状のレンズ部50を凸形状のレンズ部21にそれぞれ対応させた状態で、下側の偏光板20の下面に設けられている。また、装飾層36は、実施形態8と同様、半透過型のカラーインク層28または半透過型の金属層32のいずれかで形成されている。
このような電子腕時計によれば、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域が、液晶表示素子12の上面に設けられた凸形状のレンズ部21と、液晶表示素子12の下面に設けられた凹形状のレンズ部50とによって、複合化された立体的な表示形態で表示される。このときにも、装飾層36によって点灯領域がカラーまたは金属調で表示されるので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報を、カラーまたは金属調で、且つ凸形状のレンズ部21と凹形状のレンズ部50とにより複合化された立体で表現することができ、これにより実施形態12よりも、装飾性および色彩性のバリエーションが豊富になり、より一層、多彩な装飾効果を得ることができる。
(実施形態14)
次に、図37を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態14について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子55が高分子分散型の構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。すなわち、この液晶表示素子55は、上下一対の透明な基板14、15の間に液晶ポリマー56を封止材18aで囲んで封入し、透明電極16、17同士が互いに対向する点灯領域が電圧印加時に光透過状態となるネガテイブタイプに構成されている。この場合にも、バックライト素子33の上面には、装飾層36を介してレンズパネル13が配置されており、このレンズパネル13の上面には、断面形状が半円弧状の凸形状のレンズ部21が液晶表示素子55の点灯領域、つまり透明電極16、17同士が互いに対応する領域に対応して設けられている。
このような電子腕時計においても、実施形態4と同様、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子55の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、点灯領域がバックライト素子33の上側に配置された凸形状のレンズ部21によって立体的に表示される。このときにも、装飾層36によって点灯領域がカラーまたは金属調で表示されるので、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子55に表示された情報をカラーまたは金属調で立体的に表現することができる。これにより、実施形態4と同様、多彩な装飾効果を得ることができるほか、特に液晶表示素子55が液晶ポリマー56を用いた高分子分散型の構造であるから、実施形態4の液晶表示素子12のような偏光板19、20を用いずに情報を表示することができ、このため表示全体を明るくすることができる。
なお、上記実施形態14では、液晶表示素子55をネガテイブタイプに構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば液晶表示素子55をポジテイブタイプに構成しても良い。この場合には、上下一対の透明な基板14、15の間に上記と性質の異なる液晶ポリマー56を封入し、透明電極16、17同士が互いに対向する点灯領域に電圧を印加したときに、光を遮断する光遮断状態となるポジテイブタイプに構成すれば良い。この場合には、実施形態2と同様、非点灯領域に対応する個所に緩やかに盛り上がる凸形状のレンズ部26および絵柄が表示された装飾層27を設ければ良い。このような構造にすれば、実施形態2と同様、液晶表示素子55に表示された情報を黒く表示するときに、その背景部分にレンズ部26によって装飾層36の絵柄を緩やかに盛り上がる立体で表現することができる。
また、上記実施形態14およびその変形例では、レンズパネル13に凸形状のレンズ部21または26を設けたが、これに限らず、図21に示したように装飾層36上に紫外線硬化型樹脂からなる凸形状のレンズ部21を直接設けても良く、また必ずしも凸形状のレンズ部21である必要はなく、図31および図32に示した実施形態10およびその変形例と同様、液晶表示素子55の下面つまり下側の基板15の下面に凹形状のレンズ部50を設けても良い。また、図33および図34に示した実施形態11およびその変形例と同様、バックライト素子33側に凸形状のレンズ部21を設け、液晶表示素子55の下面に凹形状のレンズ部50を設け、これらを互いに対応させて配置しても良い。さらに、図36に示した実施形態13と同様に、液晶表示素子55の上面に凸形状のレンズ部21を設け、液晶表示素子55の下面に凹形状のレンズ部50を設けても良い。
(実施形態15)
次に、図38〜図41を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態15について説明する。この場合にも、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示素子12の下側に配置されるレンズパネル13に半球状のレンズ部57をドット状に複数形成すると共に、このレンズ部57に対応する個所を除いたレンズパネル13の上面に半透過型のカラーインク層58を設けた構造で、これ以外は実施形態4とほぼ同じ構造になっている。
この場合、レンズパネル13は、バックライト素子33上に半透過型の金属層32を介して配置されており、レンズ部57は、図38および図40に示すように、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域、つまり点灯領域に対応する部分にドット状に複数配列されている。また、カラーインク層58は、レンズ部57と同様、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域、つまり点灯領域に対応する部分のレンズパネル13の上面にレンズ部57を除いて設けられている。このカラーインク層58は、液晶表示素子12の上下の各偏光板19、20によって表示画面全体が着色されている場合、それと同色系か、または異なる色の補色系かに着色されていることが望ましい。
すなわち、カラーインク層58が液晶表示素子12の表示画面と同色系の場合には、液晶表示素子12が駆動されて情報を表示したときに、図41に示すように、その点灯領域が複数配列されたレンズ部57によってドット状の立体で表示される。また、カラーインク層58が液晶表示素子12の表示画面と異なる色の補色系の場合には、液晶表示素子12が駆動されて情報を表示したときに、その点灯領域がカラーインク層58によって点灯領域の背景と異なる色に着色されると共に、この着色された点灯領域が複数のレンズ部57によってドット状の立体で表示される。なお、レンズパネル13の下面には、金属薄膜からなる半透過型の金属層32が設けられている。
このような電子腕時計においても、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12の点灯領域が光透過状態となり、この点灯領域によって時刻などの情報を表示するときに、図41に示すように、点灯領域がレンズ部57によってドット状の立体で表示される。このときには、レンズパネル13の下面に設けられた金属層32によって金属調に表示されると共に、カラーインク層58によって点灯領域が金属調のカラーまたは金属調のみで表示される。これにより、液晶表示素子12に表示された情報を金属調のカラーまたは金属調のみでドット状の立体で表現することができる。
この場合、カラーインク層58が液晶表示素子12の表示画面と同色系の場合には、図41に示すように、点灯領域が複数のレンズ部57によってドット状の立体で且つ金属調で表示される。また、カラーインク層58が液晶表示素子12の表示画面と異なる色の補色系の場合には、カラーインク層58によって点灯領域がその背景部分と異なる色で着色されると共に、この着色された点灯領域が複数のレンズ部57によってドット状の立体で金属調に表示される。このため、明るい所でも暗い所でも、液晶表示素子12に表示された情報を金属調のカラーで且つドット状の立体で表現することができ、これにより多彩な装飾効果を得ることができる。
なお、上記実施形態15では、カラーインク層58をレンズパネル13の上面に設けたが、これに限らず、例えば図42に示すように、液晶表示素子12の下面つまり下側の偏光板20の下面にカラーインク層58を設けても良い。この場合にも、カラーインク層58は、液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する領域つまり点灯領域に対応する部分に位置するレンズ部57に対応する部分を除いて設けられている。また、このカラーインク層58も、実施形態15と同様、液晶表示素子12の上下の各偏光板19、20によって表示画面全体が着色されている場合、それと同色系か、または異なる色の補色系かに着色されていることが望ましい。
また、上記第1〜第15実施形態およびその各変形例では、レンズパネル13および凸形状のレンズ部21、26、57が透明または半透明に構成されているが、これに限らず、例えば図43に示すように、レンズパネル13およびレンズ部21、26、57の全てを半透過状態で着色することにより、液晶表示素子12(または25、55)をカラーで表現するように構成しても良く、また図44に示すように、凸形状のレンズ部21、26、57のみを半透過状態で着色することにより、液晶表示素子12(または25、55)をカラーで表現するように構成しても良い。
なおまた、上記第1〜第15実施形態およびその各変形例では、同一平面に同一形状の凸形状のレンズ部21、26、38、57または凹形状のレンズ部23、50を設けたが、これに限らず、例えば図45(a)〜図45(c)に示すように、異なる形状または異なる色の複数種類の凸形状のレンズ部を組み合わせて平面的に設けても良い。例えば、図45(a)に示すように、レンズパネル13の上面に断面形状がほぼ台形状の第1レンズ部60を所定間隔で設け、これら第1レンズ部60の間に着色された第2レンズ部61を設けた構造でも良い。
また、図45(b)に示すように、レンズパネル13の上面に断面形状が半円弧状の第1レンズ部62を所定間隔で設け、これら第1レンズ部62間に断面形状が半円弧状の着色された第2レンズ部63を設けると共に、断面形状が台形状の第3レンズ部64を所定間隔で設け、これら第3レンズ部64間に断面形状が台形状の異なる色で着色された第4レンズ部65を設けた構造でも良い。
また、図45(c)に示すように、レンズパネル13の上面に断面形状がほぼ台形状の第1レンズ部60を所定間隔で設け、これら第1レンズ部60のうち、一部の第1レンズ部60の間にそれよりも高さが高いほぼ台形状の着色された第2レンズ部66を設けると共に、他の第1レンズ部60の間にそれよりも高さが高く且つ異なる色で着色された半円弧状の第3レンズ部67を設けた構造でも良い。このようないずれの構成においても、形状および色の異なる複数のレンズ部60〜67によって複合化された立体的な表示形態が得られるので、より一層、装飾性および色彩性に富んだ多彩な装飾効果が得られる。
さらに、上記第1〜第15実施形態およびその各変形例では、凸形状のレンズ部21、26、38、57または凹形状のレンズ部23、50を平面的に設けたが、これに限らず、例えば図46(a)〜図46(c)に示すように、異なる形状または異なる色の複数種類のレンズ部を積層させた構造でも良い。例えば、図46(a)に示すように、レンズパネル13上に断面形状が台形状の第1レンズ部70を複数設け、これら第1レンズ部70のうち、一部の第1レンズ部70上にそれよりも小さい断面形状が台形状の着色された第2レンズ部71を設け、他の第1レンズ部70上にそれよりも小さい断面形状が半円弧状の着色された第3レンズ部72を設けた構造でも良い。
また、図46(b)に示すように、レンズパネル13上に上面が凹部状に形成された第1レンズ部73を複数設け、これら第1レンズ部73のうち、一部の第1レンズ部73上にそれよりも小さい断面形状が台形状の着色された第2レンズ部74を設け、他の第1レンズ部73上にそれよりも小さい断面形状が半円弧状の着色された第3レンズ部75を設けた構造でも良い。
さらに、図46(c)に示すように、レンズパネル13上に断面形状が台形状の着色された第1レンズ部76と断面形状が半円弧状の着色された第2レンズ部77とを設け、これら第1、第2レンズ部76、77の表面をそれぞれ透明な第3レンズ部78で覆った構造でも良い。このようないずれの構成においても、形状および色の異なる複数のレンズ部70〜78によって複合化された立体的な表示形態が得られるので、より一層、装飾性および色彩性に富んだ多彩な装飾効果を得ることができる。
(実施形態16)
次に、図47〜図49を参照して、この発明に係る表示装置の製造方法を電子腕時計に適用した実施形態16について説明する。この場合には、図14に示された実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計における表示装置8の製造方法は、まず、図47に示すように、第1工程でレンズパネル13の上面にレンズ部21を形成すると共に、このレンズパネル13の下面に金属層32を設ける。
すなわち、第1工程では、図47に示すように、複数のレンズパネル13が配列可能な大きさのベースパネル80を用意し、このベースパネル80の下面全域に亘って金属板81を接着し、この状態で複数のレンズパネル13に対応する各領域にそれぞれレンズ部21を形成する。このときには、各レンズパネル13ごとに切断用の位置合わせマークを設けておくことが望ましい。そして、レンズ部21が形成されたベースパネル80を各領域ごとに金属板81と共に分割する。これにより、下面に金属層32が設けられたレンズパネル13を一度に複数形成する。
この場合、レンズパネル13にレンズ部13を形成する際には、図48(a)に示すようにレンズパネル13の成形時にレンズ部21を同時に一体成形する方法、図48(b)に示すようにレンズパネル13上に紫外線硬化樹脂を印刷によって肉盛して塗布した後、紫外線を照射させて硬化させることによりレンズ部21を形成する方法、および図48(c)に示すようにレンズパネル13をエンボス加工してレンズ部21を一体に加工する方法などがあり、これらのいずれかの方法で形成すれば良い。
次に、図49に示すように、第2工程でレンズパネル13および金属層32を液晶表示素子12の下側に位置合わせして配置する。この第2工程では、レンズパネル13に設けられたレンズ部21を液晶表示素子12の透明電極16、17同士が互いに対応する点灯領域にレンズ部21を対応させ、この状態でレンズパネル13を液晶表示素子12の下側に位置合わせする。これにより、表示装置8を精度良く良好に且つ容易に製作することができる。
なお、上記第1〜第16実施形態およびその各変形例では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、これに限らず、例えば図50に示したトラベルウォッチ85などの時計や、図51に示した電卓86、あるいは図52に示した携帯電話機87などにも適用することができるほか、電子辞書や電子手帳などの電子機器、または自動車の計器類などの各種の機器にも広く適用することができる。