JP2005029775A - 高強度繊維用超高分子量オレフィン系重合体の製造方法及び超高分子量オレフィン繊維 - Google Patents

高強度繊維用超高分子量オレフィン系重合体の製造方法及び超高分子量オレフィン繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、重合体の融点未満の温度で固相押出延伸や、圧延の後、更に延伸することを特長とする高強度、高弾性率繊維用ポリオレフィン樹脂の製造方法および繊維を製造する方法ならびに繊維を提供することを目的としている。
【解決の手段】本発明に係る第一の超高分子量ポリオレフィンの製造方法は、微粒子状担体に、(A)下記一般式で表される遷移金属化合物と、(B)アルキル基とアルミニウム原子とのモル比(アルキル基/アルミニウム原子)が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物とが担持されてなることを特徴としている。
【化1】
Figure 2005029775

【選択図】なし

Description

本発明は、固相押出延伸や、圧延後に延伸して高強度、高弾性率の繊維を得る為の、オレフィン系重合体の製造法に関する。さらに詳しくは、遷移金属化合物と特定の有機アルミニウムオキシ化合物とを含むオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いた超高分子量オレフィン系重合体の製造方法ならび得られた超高分子量オレフィン系重合体を固相押出延伸や、圧延後に延伸する高強度、高弾性率の繊維の製造方法、得られた高強度、高弾性率の繊維に関するものである。尚、ここでいう圧延は工業的にはロール圧延を含むものである。
従来より、超高分子量ポリエチレンは、ポリオレフィンの中でも衝撃強度が高く、耐摩耗性、耐薬品性、低比重に優れることを利用し、産業材用途や工業材用途、各種ガイドやスペーサー、ライニング、スポーツ用品、特に高強度繊維用途等に使用されている。従来、Smithらはいわゆるポリエチレンのバージンポリマーを用い低温で押し出すことにより、高強度のポリエチレン繊維を得ることを見出していた。その後、特開昭63−41512,特開昭63−66207等による高強度繊維用ポリエチレン材料が発明されていたが、中心金属もTi,Vを使用していた。一方、近年の高活性、高立体規則性を有するポリオレフィン重合用触媒の研究成果として、既に工業化されたメタロセン触媒や特開2000−128931等にポストメタロセン触媒が挙げられ、中でも、高い重合活性でオレフィン重合体またはオレフィン共重合体を製造することのできる触媒として、ジルコノセンなどの遷移金属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるオレフィン重合触媒が知られている(特許文献1〜3)。
本発明者らは、このような状況のもと鋭意検討した結果、本発明における触媒と重合方法が、高強度、高弾性率ポリエチレン繊維用樹脂として優れていることを見出し、特定の触媒と特定の重合方法を用いることで本発明を完成するに至った。今回さらに、本発明による重合方法を用いて、分子量分布の狭い超高分子量ポリエチレンを用いると、従来のポリエチレンより高強度にできることが明らかとなり、本発明における触媒と重合方法が、超高分子量ポリエチレンより高強度繊維を得る為に優れた方法で有ることを見出した。

特開昭63−41512号公報 特開昭63−66207号公報 特開2000−128931号公報
本発明は、重合体の融点未満の温度で固相押出延伸や、圧延の後、更に延伸することを特長とする高強度、高弾性率の繊維、フィルムまたはシート用超高分子量ポリオレフィン樹脂の製造方法および繊維を製造する方法ならびに繊維を提供することを目的としている。
本発明に係る第一の超高分子量ポリオレフィンの製造方法は、微粒子状担体に、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)アルキル基とアルミニウム原子とのモル比(アルキル基/アルミニウム原子)が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物(B)とが担持されてなることを特徴としている。
Figure 2005029775
(式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mは、1〜6の整数を示し、 R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR1〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
本発明に係る第2の高強度、高弾性率ポリオレフィン繊維の製造方法は重合体(パウダー)粉末の極限粘度が5〜50dl/g、融解熱量が200J/gである超高分子量オレフィン系重合体をその重合体の融点未満の温度で固相押出延伸や、圧延の後、更に延伸することを特長とする。
本発明に係る第3は上記の方法で得られる高強度、高弾性率ポリエチレン繊維を特徴としている。
本発明のオレフィン重合用触媒と方法により、高い重合活性を示し、且つ重合体パウダーを用いた融点以下での固相延伸、圧延と延伸による高強度、高弾性率繊維を得るに適した、優れた重合体が得られる。本重合体を用いた成形には、特開昭55−107506,特開平1−92207,特開昭63−41512,特開平7−238416,特開昭59−216912,特許1890838,特許1965445,特許2081450等の公知の方法があり、更に、これらの方法を用いた後、更に延伸することによって、従来得られなかった高強度繊維を得ることが可能となる。
本発明について以下、詳細に説明する。
本発明は高強度並びに高弾性率のポリオレフィン繊維を得る為の超高分子量ポリオレフィン樹脂の製造方法に関する。ここでポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレが用いられるが特にポリエチレンが好適である。ポリエチレンはホモポリエチレンまたはエチレンと10質量%以下好ましくは5質量%以下の少量のα−オレフィンとの共重合体が好適である。ここでα−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが用いられるが特にプロピレンが好ましい。今回のポリエチレン繊維、フィルムの成形方法は押出機や、特公昭60−47922に示されるいわゆるゲル紡糸とは異なり、樹脂の融点を超える溶融に消費される多量の熱エネルギーや、多量の溶媒を使用しない為、溶媒の回収に使用されるエネルギーが不要となり、更に製造工程の簡略化も可能な高い効率を有する繊維製造方法である。
本発明で使用されるポリオレフィンの極限粘度([η])は5〜50dl/g、好ましくは10〜40dl/g、より好ましくは15〜30dl/g(但し15は含まない)であり、5dl/g未満では、延伸繊維の強度が不足し、50dl/gを超えるとプレス、固相延伸でポリオレフィン粉体の粒界の接合が不十分で、均一な延伸が困難となる。さらに50dl/g以上では溶液の粘度を加工可能な粘度に保つ為には、溶液の濃度を薄める必要があり、生産性が低下する。
分子量分布Mw/Mnは高温GPCにより測定され、Mw/Mnは4以下が好ましく、更に好ましくはMw/Mnが3.5以下である。更に、本発明で使用されるポリオレフィンのDSCで測定する融解熱は200J/g以上であり、好ましくは200〜293J/g、更に好ましくは205〜293J/g、より好ましくは210〜293J/gである。本発明の重合体を用い、繊維成形では、特開昭59−216914、特開昭59−216912に示されるように延伸された成形体では、配向結晶化によりラメラ由来と考えられる長周期が観察されなくなる。また、結晶化度、配向係数も向上するが、本発明においても延伸することにより配向係数は高くなることが確認されている。配向係数は好ましくは0.5以上、更に好ましく0.7以上、より好ましく0.9以上が良い。長周期は好ましくは30nm以上、更に好ましくは40nm以上、より好ましくは、60nm以上で観察不能レベルが良い。
本発明で得られたポリオレフィン樹脂は、固相共押出延伸、ゲル延伸、および単結晶マット延伸法により紡糸することができる。固相共押出延伸は、ポリオレフィン樹脂の粉体を融点以下で一旦プレスし板状に加工された後、固相共押出延伸(マテリアルインテグレーション,vol.15 No.3(2002))される。粉体の平均粒径は50から500μmが使用され、これより小さい粒径では粉体が固まり流動が困難となり、これより大きい粒径では、プレス、固相延伸時の粉体粒子同士の接合が困難となり、均一な延伸が事実状できなくなる。粒径は好ましくは、50〜400μm更に好ましくは、100〜250μmが使用される。
ゲル延伸の場合、粒径がこれより小さいと、パウダーが凝集し、均一溶解が困難となり、大きくても、大きな粒径のパウダーの溶解が遅れ、均一溶解が困難となる。
単結晶マット延伸は、Macromolecules 1988,21,470−477に記載されている方法を用いることが出来る。
またゲル延伸は、特開昭59−216914、特開昭62−41341、特開平7−238416,特許2557461号や2601868号に記載された方法等公知の方法が使用可能であり、溶解に用いる溶媒は特許2557461号や2601868号に記載されるようなオクタン、デカン、ドデカン、デカリン、流動パラフィンのような脂肪族炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン、等芳香族系溶媒或いはその水素化系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイル、灯油等の鉱油が挙げられる。希釈剤としてのワックス類としては具体的には脂肪族系炭化水素化合物を主体とし、通常質量平均分子量が2000以下、好ましくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィン系ワックスと呼ばれる化合物が用いられる。
延伸倍率は通常10〜400倍、好ましくは 20〜400倍である。延伸されたポリオレフィン繊維の弾性率は50GPa以上、好ましくは100GPa以上より好ましくは120GPa以上である。また延伸されたポリオレフィン繊維の強度は1.0GPa以上、好ましくは2.0GPa以上より好ましくは3.5GPa以上である。
固相延伸の場合、プレス成形の温度は20℃以上融点未満が使用され、好ましくは90℃以上融点未満、更に好ましくは110℃以上融点未満である。固相延伸、若しくはロール圧延の温度も20℃以上融点未満、好ましくは90℃以上融点未満、更に好ましくは110℃以上融点未満が採用される。
延伸は公知の方法が利用でき、延伸時の温度は20℃以上170℃未満が使用され、好ましくは90℃以上160℃未満、更に好ましくは130℃以上160℃未満が採用される。
以下、本発明におけるオレフィンの重合用触媒、及びこのオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、微粒子状担体に、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)アルキル基とアルミニウム原子とのモル比が特定の範囲にある有機アルミニウムオキシ化合物(B)が担持された触媒成分と、必要に応じて有機金属化合物(C)とから形成される。
本発明のオレフィン重合触媒を形成する各触媒成分について説明する。
(A)遷移金属化合物
Figure 2005029775
(なお、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(I)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族の金属原子であり、特に好ましくは4族または5族の金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。mは、1〜6、好ましくは1〜4の整数を示す。
1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR1〜R6の例について、より具体的に説明する。
酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンソイル基などが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが好ましく例示される。
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
なお、R6 は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわち、R6 はハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が好ましい。
特にR6 は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましく、さらにハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基であることが好ましい。
6として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、 tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
6として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルフェニル、ジフェニルメチルシリル、イソフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
本発明では、R6 としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、およびこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
1 〜R6 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mが2以上の場合には、R1 〜R6 で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1 同士、R2 同士、R3 同士、R4 同士、R5 同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化
水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。酸素含有基としては、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオウ含有基としては、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
窒素含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例は特開2000−128931に[化合物6]〜[化合物16]として記載されている。
(B)有機アルミニウムオキシ化合物
有機アルミニウムオキシ化合物は、下記式(i)または(ii)で表されるアルキルアルミニウムオキシ化合物を主成分とし、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を少量含んでいると考えられる。よって、本発明において有機アルミニウムオキシ化合物中のアルキル基とは、アルキルアルミニウムオキシ化合物中のアルキル基と、有機アルミニウム化合物中のアルキル基の合計であり、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子とは、アルキルアルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子との合計である。
Figure 2005029775
(式中、Rはアルキル基を示し、nはn≧1である。)本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、該有機アルミニウムオキシ化合物中のアルキル基(R)とアルミニウム原子(Al)とのモル比(R/Al比)が1.8以下、好ましくは1.8ないし1.2、より好ましくは1.7ないし1.4の範囲にあることが望ましい。
次に、R/Al比の求め方を、Rがメチル基の場合を例に挙げて説明する。
充分に窒素置換したフラスコに、アルミニウム原子に換算して2ミリモルの有機アルミニウムオキシ化合物の溶液を装入する。この際、溶液の総量が40mlとなるようにトルエンを加え調整する。系内を10℃に冷却後、0.5Nの硫酸水溶液10mlを滴下する。この操作により発生するメタンガスをガスビュレットで捕集する。完全にメタンガスの発生が止まったことを確認した後、メタンガスの発生量(aミリリットル)とガスの温度(t℃)を測定し、下記式1により求める。なお、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子の量は、プラズマ発光分光分析法により測定する。
[式1]
R/Al=(a×273)/{22.4×(t+273)×2} ・・・式1
このような有機アルミニウムオキシ化合物は、たとえば下記のような方法により調製することができる。(a)従来公知の有機アルミニウムオキシ化合物、たとえば市販のアルミノキサンと、水とを接触させてR/Al比を調節する方法。(b)従来公知の有機アルミニウムオキシ化合物、たとえば市販のアルミノキサンと、水を含まない無機化合物と接触させてR/Al比を調節する方法。(c)従来公知の有機アルミニウムオキシ化合物、たとえば市販のアルミノキサンの溶液から、溶媒を一旦蒸発させ、有機アルミニウムオキシ化合物を乾固させ、再び溶媒に溶解させてR/Al比を調節する方法。この中で、(c)の方法が一番好ましい。
なお、アルミノキサンは、通常溶液として市販されているが、この場合はこの溶液のまま用いることができる。また、上記アルミノキサンの溶液は、反応に悪影響を及ぼさない限り、他の成分を含んでいてもよい。
以下、R/Al比を調節する有機アルミニウムオキシ化合物を、原料有機アルミニウムオキシ化合物ということがある。前記(a)の方法では、原料有機アルミニウムオキシ化合物と水とを接触させることにより、原料有機アルミニウムオキシ化合物中の有機アルミニウム化合物と水とが反応するためR/Al比を調節することができる。この場合、R/Al比が1.8を超える原料有機アルミニウムオキシ化合物と水とを接触させR/Al比が1.8以下である原料有機アルミニウムオキシ化合物を調製することができ、またR/Al比を1.8以下に調節した(原料)有機アルミニウムオキシ化合物と水とを接触させR/Al比を1.8以下の特定の値に調節してもよい。
原料有機アルミニウムオキシ化合物と接触させる水は、液体、蒸気または固体のいずれの状態でも用いることができる。具体的には、たとえば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの無機化合物またはポリマーなどに吸着した吸着水、ベンゼン、トルエン、ヘキサンなどの炭化水素溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、トリエチルアミンなどのアミン溶媒などに溶解あるいは分散させた水、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸鉄、塩化第1セリウムなどの塩の結晶水などを挙げることができる。これらのうち、無機化合物に吸着した吸着水を用いることが望ましい。
また、後述する微粒子状担体の吸着水を原料有機アルミニウムオキシ化合物と接触させる水として用いることもできる。原料有機アルミニウムオキシ化合物と接触させる水として吸着水または結晶水を用いる場合、原料有機アルミニウムオキシ化合物と水との接触は、通常有機媒体中で行われる。
この際用いられる有機媒体としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などの炭化水素溶媒;あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などのハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などを挙げることができる。
これらの有機媒体のうちでは、芳香族炭化水素が特に好ましい。原料有機アルミニウムオキシ化合物と水との接触に用いられる水は、原料有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子1モルに対して0.01〜0.3モル、好ましくは0.02〜0.2モル、より好ましくは0.03〜0.15モルの量で用いられる。反応系内の原料有機アルミニウムオキシ化合物の濃度は、原料有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子に換算して、通常1×10−3〜5モル/リットル(溶媒)、好ましくは1×10−2〜3モル/リットル(溶媒)の範囲であることが望ましく、また反応系内の水の濃度は、通常0.01〜1モル/リットル(溶媒)、好ましくは0.02〜0.5モル/リットル(溶媒)の濃度であることが望ましい。
原料有機アルミニウムオキシ化合物と、水との接触は、通常−50〜150℃、好ましくは0〜120℃、より好ましくは20〜100℃の温度で行なわれる。また接触時間は、接触温度によっても大きく変わるが、通常0.5〜300時間、好ましくは1〜150時間程度である。
原料有機アルミニウムオキシ化合物と、水とを接触させるには、具体的には下記のようにすればよい。(1)原料有機アルミニウムオキシ化合物と、吸着水を含有する化合物とを混合して、原料有機アルミニウムオキシ化合物と吸着水とを接触させる方法。(なお、吸着水を含有する化合物には、下記微粒子状担体を含む)(2)原料有機アルミニウムオキシ化合物と、結晶水を含有する化合物とを混合して、原料有機アルミニウムオキシ化合物と結晶水とを接触させる方法。
(3)原料有機アルミニウムオキシ化合物と、水を含有(溶解または分散)した炭化水素溶媒とを接触させる方法。(4)原料有機アルミニウムオキシ化合物の溶液に、水蒸気を吹込むなどして、原料有機アルミニウムオキシ化合物と水蒸気とを接触させる方法。(5)原料有機アルミニウムオキシ化合物と、水または氷を直接接触させる方法。
(b)の方法では、R/Al比が1.8を超える原料有機アルミニウムオキシ化合物と実質的に水を含まない無機化合物とを接触させR/Al比が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物を調製することができる。なお、本明細書において実質的に水を含まないとは、無機化合物の吸着水量が0.1質量%以下であることを意味する。
実質的に水を含まない無機化合物と原料有機アルミニウムオキシ化合物とを接触させることにより、原料有機アルミニウムオキシ化合物中の特定の成分、たとえば特定のR/Al比を有するアルキルアルミニウムオキシ化合物が無機化合物に吸着され分離されることなどが寄与し、R/Al比が変化するものと考えられる。したがって無機化合物としては、実質的に水を含まないものが使用されるが、このような無機化合物の中でも表面水酸基を有するものは、当該水酸基の働きによってR/Al比を変えることもできる。この場合原料有機アルミニウムオキシ化合物と接触させる無機化合物としては、具体的には、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。この無機化合物の表面水酸基量は、1.0質量%以上、好ましくは1.5〜4.0質量%、特に好ましくは2.0〜3.5質量%であり、吸着水量は、0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下であることが望ましい。
また、無機化合物の粒径は10〜300μm、好ましくは20〜200μmの範囲にあることが好ましく、比表面積は50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあることが好ましい。
ここで、無機化合物の吸着水量(質量%)および表面水酸基量(質量%)は下記のようにして求められる。[吸着水量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥させたときの重量減を乾燥前の重量に対する百分率で示した値である。[表面水酸基量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥して得られた無機化合物の重量をX(g)とし、さらに該無機化合物を1000℃で20時間焼成して得られた表面水酸基が消失した焼成物の重量をY(g)として、下記式2により計算する。
[式2]
表面水酸基量(重量%)=[(X−Y)/X]×100 ・・・式2
原料有機アルミニウムオキシ化合物と、上記の無機化合物との接触は、通常有機媒体中で行なわれる。この際用いられる有機媒体としては、上記のような炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類などを挙げることができる。これらの有機媒体のうちでは、芳香族炭化水素が特に好ましい。
原料有機アルミニウムオキシ化合物との接触に用いられる無機化合物は、原料有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子に対して1〜50モル%、好ましくは5〜45モル%、より好ましくは10〜40モル%の量で用いられる。反応系内の原料有機アルミニウムオキシ化合物の濃度は、原料有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子に換算して、通常1×10−3〜5グラム原子/リットル(溶媒)、好ましくは1×10−2〜3グラム原子/リットル(溶媒)の範囲であることが望ましい。
原料有機アルミニウムオキシ化合物と水を含まない無機化合物との接触は、通常−50〜150℃、好ましくは0〜120℃、より好ましくは20〜100℃の温度で行なわれる。また接触時間は、接触温度によっても大きく変わるが、通常0.5〜300時間、好ましくは1〜150時間程度である。
(c)の方法では、R/Al比が1.8を超える原料有機アルミニウムオキシ化合物の溶液から、溶媒を一旦蒸発させ、有機アルミニウムオキシ化合物を乾固させた後、再び溶媒に溶解させてR/Al比が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物を調製することができる。また、R/Al比が1.8以下である(原料)有機アルミニウムオキシ化合物を用いて、R/Al比を1.8以下の特定の値に調節してもよい。溶媒を蒸発させる際の温度は、10〜100℃、好ましくは20〜50℃であり、圧力は2〜100mmHg、好ましくは5〜40mmHgであることが望ましい。乾固した有機アルミニウムオキシ化合物を溶解させる溶媒としては、前記(a)の方法で用いた有機媒体を挙げることができ、芳香族炭化水素が好ましい。
さらに、本発明では、(a)の方法と(b)の方法と(c)の方法とを組み合わせてR/Al比が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物を調製してもよい。
具体的には、たとえば、(a)の方法によりR/Al比を1.8以下に調節した(原料)有機アルミニウムオキシ化合物のR/Al比を、(c)の方法により1.8以下の特定の値に調節してもよく、また、(b)の方法によりR/Al比を1.8以下に調節した(原料)有機アルミニウムオキシ化合物のR/Al比を、(c)の方法によりR/Al比を1.8以下の特定の値に調節してもよい。
(C)有機金属化合物
本発明で用いられる(C) 有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(C−1) 一般式 Ra mAl(ORb)npq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−2) 一般式 M2 AlRa 4
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(C−3) 一般式 Rab3
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3 はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
前記(C−1)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra m Al(ORb3-m
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlX3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlH3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m Al(ORb )nq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−1)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49)xAly(C510)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(C−1)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げるこ
とができる。このような化合物として具体的には、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2 などを挙げることができる。
前記(C−2)に属する化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4などを挙げることができる。
またその他にも、(C-1) 有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
(C) 有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような(C) 有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(D) 遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(D)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)は、前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物である。従って、少なくとも前記遷移金属化合物(A)と接触させてイオン対を形成するものは、この化合物に含まれる。このような化合物としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物もあげることができる。
具体的には、ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえば、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005029775
式中、R22としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R23〜R26は、互いに同一でも異なっていてもよい有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
22としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩なども挙げられる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体なども挙げられる。
微粒子状担体
本発明で用いられる微粒子状担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2 、SiO2−V25 、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2 、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支ない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)と、(C) 有機金属化合物、(B) 有機アルミニウムオキシ化合物および(D) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の成分とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)と、成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(A)と、成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(C)及び成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(4)成分(A)と成分(C)と成分(D)を予め接触させた触媒成分と、成分(C)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(5)成分(A)と成分(B)とを予め接触させた触媒を重合器に添加する方法。
(6)成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(C)又は(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。この中で特に(2)、(3)、(4)の方法が好ましい。
本発明に係る超高分子量オレフィン系重合体の製造方法では、例えば上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを溶液中で共重合することによりオレフィン系重合体を得る。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法で実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、液相1リットル当たり通常1×10−12〜1×10−2モル、好ましくは1×10−10〜1×10−3モルになるような量で用いられる。
成分(C) は、成分(C) と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C) /M〕が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(B) は、成分(B)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B) /M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(D) は、成分(D) と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(D) /M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)(C)(D)の違いにより調節することもできる。
なお、本発明ではオレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも、オレフィンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記微粒子状担体に、前記(A)遷移金属化合物〔成分(A)〕と、前記(B)アルキル基とアルミニウム原子とのモル比(アルキル基/アルミニウム原子)が1.8以下である有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(B)〕とが担持されているのが好ましい。
このようなオレフィン重合用触媒(固体触媒成分)は、上記微粒子状担体、成分(A)および成分(B)を不活性炭化水素溶媒中で混合接触させることにより調製することができる。また各成分を混合接触させるに際して、さらに前記有機アルミニウム化合物(C)〔成分(C)〕を添加することもできる。
この際の混合順序は任意に選ばれるが、好ましくは微粒子状担体と成分(B)とを混合接触させ、次いで成分(A)を混合接触させるか、あるいは、成分(B)と成分(A)との混合物と、微粒子状担体とを混合接触させることが選ばれる。
本発明においてオレフィン重合用触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
上記各成分を混合するに際して、成分(A)は、微粒子状担体1g当たり、通常5×10−6〜5×10−4モル、好ましくは1×10−6〜2×10−4モルの量で用いられ、成分(A)の濃度は、約1×10−4〜2×10−2モル/リットル(溶媒)、好ましくは2×10−4〜1×10−2モル/リットル(溶媒)の範囲である。成分(B)は、微粒子状担体1g当り、成分(B)中のアルミニウム原子(Al)に換算して通常1×10−4〜0.1モル、好ましく5×10−4〜5×10−2モルの量で用いられる。成分(B)中のアルミニウム原子(Al)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、通常10〜600、好ましくは20〜400である。
上記各成分を混合する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記固体触媒成分にオレフィンが予備重合した予備重合触媒であってもよい。
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、重合系内の成分(A)中の遷移金属原子の量としては、反応容積1リットル当り、通常1×10−10〜1×10−2モル、好ましくは1×10−8〜1×10−3モルとなるような量で用いられる。この際、必要に応じて有機金属化合物(成分(C))を用いる事ができる。この場合、有機金属化合物の量は、成分(A)中の遷移金属原子1モルあたり、2000モル以下、好ましくは50〜1000モルの量であることが望ましい。また、成分(C)のかわりに、担体に担持されたものとは別に、有機アルミニウムオキシ化合物を加えてもよい。
重合温度は、スラリー重合法を実施する際には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であることが望ましく、液相重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)(C)(D)の違いにより調節することもできる。
このようなオレフィン重合触媒により重合することができるオレフィンとしては、エチレンと炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、また炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、またはジエンまたはポリエンなどを用いることもできる。
これらのオレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いる事ができるがエチレンおよびまたはプロピレンが好ましく特にエチレンが好ましい。
得られた重合体に下記の公知の安定剤、添加剤を適宜添加し、各々に期待される性能の向上を図ってもよい。
金属不活性化剤、紫外線吸収剤、HALS、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、脂肪酸金属塩、燐酸エステル、脂肪酸エステル等各種エステル、シリカ、カーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン重合体を得る為に使用した前述の微粒子を適宜配合使用してもかまわない。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔物性の測定方法〕
(質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
ウォーターズ社製GPC−2000を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgelGMH6−HT及びTSKgel GMH6−HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.15質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
(極限粘度([η]))
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち重合パウダー約15mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
(融解熱)
PerkinElmer社製Pyris(I)を用い、窒素気流中昇温速度10℃/minにて融解熱量を測定した。
(強度、弾性率)
化学繊維フィラメント糸試験方法(JIS L1013)に準じて強度および弾性率を測定した。
[固体成分(A)の調製]
窒素流通下、150℃で5時間乾燥したシリカゲル(SiO2)30gを466mLのトルエンに懸濁した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.08mmol/mL)134.3mLを25℃で30分かけて滴下した。滴下終了後、30分かけて114℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで3回洗浄した後、トルエンを加え、固体成分(A)のトルエンスラリーを調製した。得られた固体成分(A)の一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:0.150g/mL、Al濃度:1.179mmol/mLであった。
[固体触媒成分(B)の調製]
窒素置換した300mLのガラス製フラスコにトルエン150mLを入れ、攪拌下、上記で調製した固体成分(A)のトルエンスラリー(固体部換算で0.95g)を装入した。次に、遷移金属化合物(1)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.0006mmol/mL)50.0mLを15分かけて滴下し、室温で1時間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘプタンで3回洗浄し、ヘプタン100mLを加えて固体触媒成分(B)のヘプタンスラリーを調製した。得られた固体触媒成分(B)のヘプタンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.0026mmol/mL、Al濃度0.66mmol/mLであった。
[実施例1]
[重合]
充分に窒素置換したSUS製1リットルオートクレーブに、デカン500mlを装入し、エチレンで液相および気相を飽和させた。トリイソブチルアルミニウムを原子換算で0.5mmol、固体触媒成分(B)として下記化合物1を0.001mmol加え、全圧が7kg/cm-G になるようエチレンを供給しながら、85℃で3時間重合を行った。得られたポリマーをヘキサンで洗浄した後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、187.7gであり、重合活性は187.7kg/mmol−Zr、[η]は21.6dl/g、融解熱は220J/gであった。
Figure 2005029775
[固相延伸]
得られた重合体を130℃で12MPaでプレスして厚さ0.5mmのシートを得た。それを用い、130℃で6倍の固相延伸を行い更に、空気中で145℃で引張延伸し、固相延伸分と合わせ79倍迄延伸できた。
[実施例2]
充分に窒素置換したSUS製1リットルオートクレーブに、ヘプタン500mlを装入し、室温でエチレンで液相および気相を飽和させた。メチルアルモキサンを原子換算で0.5mmol、トルエンに溶解させた遷移金属化合物として下記化合物2をZr原子に換算して0.002mmol加え、全圧が8kg/cm−Gになるようエチレンを供給しながら、30℃で15分間重合を行った。
得られたポリマースラリーを2Lのメタノールに加えて攪拌後、濾過し、メタノールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、24.59gであり、重合活性は123.0kg/mmol−Zr、[η]は16.9dl/gで、Mw/Mn=3.1、融解熱は220J/gであった。
Figure 2005029775
[成形]
得られた重合体を135℃キシレン中に0.05wt%で溶解後、85℃に20時間保温し、析出した単結晶を濾過、減圧乾燥した。
得られた単結晶を130℃で12MPaでプレスして厚さ0.5mmのシートを得た。それを用い、120℃で6倍の固相延伸を行い更に、空気中で130℃で引張延伸した。延伸倍率と、JIS L1013に基づき測定した弾性率、強度を表1に示す。
[配向係数]
理学電機製RINT2550、Cuターゲットを使用し、管電圧40kV,電流350mAで基準軸を繊維の長さ方向とし、基準軸方向に揃えて試料をホルダーに貼り付けて測定した。
[長周期]
理学電機製RINT2500、Cuターゲットを使用し、管電圧50kV,電流300mAで試料ホルダーに貼り付けて測定した。小角X線散乱散乱強度のチャートを描きそのピーク位置から算出した。
[固体触媒成分(C)の調製]
窒素雰囲気下、無水塩化マグネシウム4.76g、2―エチルヘキシルアルコール18.1mlおよびデカン15mlを120℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とし、さらに安息香酸エチル0.84mlを添加し、120℃で1時間攪拌下保持した後、室温まで冷却する。この溶液を0℃に冷却した200mlの四塩化チタン中に1時間かけて攪拌下で滴下し1時間温度を保持した。この溶液を80℃まで昇温し、そのまま2時間攪拌した後、生成した固体部分を濾過によって採取し、これを100mlの四塩化チタンに再び懸濁させ、90℃で2時間加熱攪拌した。濾過によって生成した固体物質を採取し、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまでヘキサンで洗浄後、固体成分(C)のデカンスラリーを調製した。得られた固体触媒成分(C)のデカンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Ti濃度0.00217mmol/mLであった。
[比較例1]
[重合]
充分に窒素置換したSUS製1リットルオートクレーブに、ヘプタン500mlを装入し、エチレンで液相および気相を飽和させた。トリイソブチルアルミニウムを原子換算で0.5mmol、固体触媒成分(C)をTi原子に換算して0.004mmol加え、全圧が7kg/cm−Gになるようエチレンを供給しながら、70℃で3時間重合を行った。得られたポリマーをヘキサンで洗浄した後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、84.4gであり、重合活性は21.1kg/mmol−Zr、[η]は21.0dl/g、融解熱は198J/gであった。
[固相延伸]
比較例1で得られた重合体を用いた他は、実施例1と同様の操作を行った。引張延伸は出来なかった。
[比較例2]
[重合]
窒素置換したSUS製の容器に4850Lのn−デカンを注入しエチレンで気相、及び液相を飽和させた。トリイソブチルアルミニウムを原子換算で1mmol/L、固体触媒成分(C)をTi原子に換算して0.0117mmol/Lの各々の濃度で加え、全圧が6.3kg/cm−G になるようエチレンを供給しながら、75℃で14時間重合を行った。 重合溶液をデカント後、パウダーを乾燥した。[η]は 17dl/gで、Mw/Mn=10.8、融解熱は195J/gであった。本重合体を用いて、比較例2で得られた重合体を用いた他は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す
Figure 2005029775

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物、(C) 有機金属化合物および(D) 遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物よりなる群((B)(C)(D))から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を用いることを特徴とする極限粘度([η])が5〜50dl/gの超高分子量オレフィン系重合体の製造方法。
    Figure 2005029775
    (上式中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mは、1〜6の整数を示し、R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合には、一つの配位子のR1〜R6のうちの1個の基と、他の配位子のR1〜R6の1個の基が連結されていてもよく、各配位子間でR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 微粒子状担体に
    (A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
    (B)アルキル基とアルミニウム原子とのモル比(アルキル基/アルミニウム原子)が1.8以下の範囲にある有機アルミニウムオキシ化合物(B)とが担持されてなる固体触媒成分とからなるオレフィン重合用触媒を用いることを特徴とする極限粘度が5〜50dl/gの超高分子量オレフィン系重合体の製造方法。
  3. 請求項1乃至2で得られた超高分子量オレフィン系重合体。
  4. 重合体(パウダー)粉末の極限粘度が5〜50dl/g、融解熱量が200J/g以上である超高分子量オレフィン系重合体をその重合体の融点未満の温度で固相押出延伸や、圧延の後、更に延伸することを特長とする高強度、高弾性率ポリオレフィン繊維の製造方法。
  5. 請求項1乃至2で得られた超高分子量オレフィン系重合体を、溶媒または質量平均分子量が70以上、2000以下のワックスに加熱混合し、該混合物を直接紡糸或いは一旦結晶マット化後に延伸して得られる、3GPa以上の強度を有する超弾性率ポリオレフィン繊維の製造方法。
  6. 請求項4乃至5に記載の方法で得られる高強度、高弾性率ポリエチレン繊維。
  7. 請求項1乃至2の重合体を用いて得られる分子量分布(Mw/Mn)が4以下であり、X線回折により測定された配向係数が0.5以上もしくは/且つ、長周期が30nm以上の延伸成形体。
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