JP2005029634A - エポキシ樹脂組成物とその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性を有するエポキシ樹脂材料を提供すること。
【解決手段】エポキシ樹脂と硬化剤とからなるエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)と、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(B)とを付加反応させて得られる変性エポキシ樹脂(I)であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、これを硬化させて得られる硬化物。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性を有する新規なエポキシ樹脂と硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物、及びこれを硬化して得られる硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂と硬化剤とからなる熱硬化性樹脂組成物は、接着剤、塗料、電気電子材料等の産業分野において広く使用されている。その用途向けのエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂類が最も広く使用されている。特に柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性などが強く求められる分野では、エポキシ当量が200〜3,000g/当量(以下、g/eqと略記する。)であるオリゴマー型のビスフェノール型エポキシ樹脂が好適であり、広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、電子材料分野においても、プリント配線基板などの用途で前記のエポキシ樹脂類が絶縁材料として広く用いられている。しかし、携帯機器や高速演算処理機器の普及によって、高密度・高集積度・高速処理を実現できる先端エレクトロニクス部品、例えばビルドアップ層間絶縁材料などの開発が活発化している。しかし前記エポキシ樹脂類では、先端分野が求める性能を提供できない。具体的には、柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性などの特性において、高度化の要求が強まっていて、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂組成物では、柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性が不十分となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−143243号公報(第2−4頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、上記のような要求に対応できる、優れた柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性を有するエポキシ樹脂材料を提供することある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)と、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(B)を付加反応させて得られる変性エポキシ樹脂(I)と硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物が、柔軟性、強靱性、密着性、耐湿性をもつエポキシ樹脂材料を提供することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)と、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(B)を付加反応させて得られる変性エポキシ樹脂(I)と硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物、及びこれを硬化して得られる硬化物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる変性エポキシ樹脂(I)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)のエポキシ基に、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(B)の水酸基を付加反応させて得られるものである。
【0009】
また、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)は、2官能以上のエポキシ樹脂を示し、特に限定されるものではない。例示するならば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0010】
これらのなかでも、変性エポキシ樹脂(I)の分子量を上げても、粘度の増加が小さく、流動性や成形性が優れることから、2官能型エポキシ樹脂が好ましく、硬化性や経済性などに優れることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0011】
また、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(b)とは、多価フェノール類の芳香族性水酸基とビニルエーテル基を付加反応させて、多価フェノール類をアセタール基結合によって分子鎖伸長させた化学構造を有しているものである。前記アセタール化反応とは、化学反応式(1)
【式1】
Figure 2005029634
で表される反応であり、芳香族性水酸基とビニルエーテル基が付加反応して生成したアセタール基を介して結合する化学反応を示す。
【0012】
前記多価フェノール類(b1)としては、1分子中に1個より多い芳香族性水酸基を含有する芳香族系化合物であれば、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、それらの置換基含有体のようなジヒドロキシベンゼン類;1、6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、それらの置換基含有体のようなジヒドロキシナフタレン類;
【0013】
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)及びこれらの置換基含有体等のビスフェノール類;
【0014】
ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン,ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)プロパン等のビスナフトール類、フェノール/ホルムアルデヒド重縮合物、オルソクレゾール/ホルムアルデヒド重縮合物、1−ナフトール/ホルムアルデヒド重縮合物、2−ナフトール/ホルムアルデヒド重縮合物、フェノール/アセトアルデヒド重縮合物、オルソクレゾール/アセトアルデヒド重縮合物、1−ナフトール/アセトアルデヒド重縮合物、2−ナフトール/アセトアルデヒド重縮合物、フェノール/サリチルアルデヒド重縮合物、オルソクレゾール/サリチルアルデヒド重縮合物、1−ナフトール/サリチルアルデヒド重縮合物、2−ナフトール/サリチルアルデヒド重縮合物等とこれらの置換基含有体等のフェノール類(ナフトール類)/アルデヒド類重縮合物類;
【0015】
フェノール/ジシクロペンタジエン重付加物、フェノール/テトラヒドロインデン重付加物、フェノール/4−ビニルシクロヘキセン重付加物、フェノール/5−ビニルノボルナ−2−エン重付加物、フェノール/α−ピネン重付加物、フェノール/β−ピネン重付加物、フェノール/リモネン重付加物,オルソクレゾール/ジシクロペンタジエン重付加物、オルソクレゾール/テトラヒドロインデン重付加物,オルソクレゾール/4−ビニルシクロヘキセン重付加物、オルソクレゾール/5−ビニルノボルナ−2−エン重付加物、オルソクレゾール/α−ピネン重付加物、1−ナフトール/ジシクロペンタジエン重付加物、1−ナフトール/4−ビニルシクロヘキセン重付加物、1−ナフトール/5−ビニルノルボルナジエン重付加物、1−ナフトール/α−ピネン重付加物、1−ナフトール/β−ピネン重付加物、1−ナフトール/リモネン重付加物、オルソクレゾール/β−ピネン重付加物、オルソクレゾール/リモネン重付加物等とこれらの置換基含有体等のフェノール類(ナフトール類)/ジエン類重付加物類;
【0016】
フェノール/p−キシレンジクロライド重縮合物、1−ナフトール/p−キシレンジクロライド重縮合物、2−ナフトール/p−キシレンジクロライド重縮合物、フェノール/ビスクロロメチルビフェニル重縮合物、オルトクレゾール/ビスクロロメチルビフェニル重縮合物、1−ナフトール/ビスクロロメチルビフェニル重縮合物、2−ナフトール/ビスクロロメチルビフェニル重縮合物とこれらの置換基含有体等のフェノール類/アラルキル樹脂類との重縮合物類が挙げられる。また、これらの置換基含有体の置換基例としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0017】
これらの多価フェノール類(b1)のなかでも、ビニルエーテル類変性率を高めても低粘度のエポキシ樹脂が得られることから、2価フェノール類が好ましい。更に、2価フェノール類のなかでも、靭性等の性能に優れることから、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類が好ましく、また耐湿性に優れることから前記フェノール類(ナフトール類)/ジエン類重付加物類中のフェノール類(ナフトール類)2モルにジエン類が1モル付加している2価フェノール類が特に好ましい。
【0018】
また前記多価ビニルエーテル類(b2)としては、1分子中に1個より多いビニルエーテル基を含有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレンレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレンレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレンレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジビニルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン基を含有するジビニルエーテル類;
【0019】
グリセロールジビニルエーテル、トリグリセロールジビニルエーテル、1,3−ブチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、1,10−デカンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジビニルエーテル等のアルキレン基を有するジビニルエーテル類;
【0020】
1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンジオールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジオールジビニルエーテル等のシクロアルカン構造を含有するジビニルエーテル類;ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジビニルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジビニルエーテルのようなジビニルエーテル類;
【0021】
トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテルのような3価ビニルエーテル類、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ペンタエリスリトールエトキシテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテルのような4価ビニルエーテル類;ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)ビニルエーテル多価ビニルエーテル類などが挙げられる。
【0022】
前記多価ビニルエーテル類(b2)のなかでも、ビニルエーテル類変性率を高めても低粘度のエポキシ樹脂が得られることから、ジビニルエーテル類が好ましい。ジビニルエーテル類は、得られるエポキシ樹脂の所望の特性を考慮して、適当なものを選択すればよい。これらの中でも、ポリオキシアルキレン基を含有するジビニルエーテル類、アルキレン基を有するジビニルエーテル類、シクロアルカン骨格を含有するジビニルエーテル類が好ましい。これらの中でも、際だって優れる、流動性、柔軟性、屈曲性、靭性、密着性などを所望するならば、ポリオキシアルキレン骨格を含有するジビニルエーテル類が好ましく、これを用いた場合は、ポリエーテル骨格の親水性が高いので、水性型或いはエマルジョン型のエポキシ樹脂組成物を容易に調製することができる。また、際だって優れた耐湿性、誘電特性を所望するならば、シクロアルカン骨格含有型のジビニルエーテル類が好ましい。
【0023】
次いで、本発明に用いる変性多価フェノール類(B)の製造方法に関して説明する。反応方法としては、芳香族性水酸基とビニルエーテル基との反応条件にのっとればよく、特に限定されるものではないが、例えば、前記多価フェノール類(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とを仕込み、攪拌混合しながら加熱することによって目的の変性多価フェノールを得ることができる。この場合、必要に応じて、有機溶媒や触媒を使用することができる。使用できる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族性有機溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノールなどのアルコール系有機溶媒等をもちいることができ、用いる原料や生成物の溶解度などの性状や反応条件や経済性等を考慮して適宜選択すればよい。有機溶媒の量としては、原料100重量部に対して、5〜500重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0024】
また、前記触媒に関しては、通常、無触媒系においても、十分反応は進行するが、用いる原料の種類や得られる変性多価フェノール類の所望の特性、所望の反応速度等によっては、触媒を使用してもよい。その触媒の種類としては、通常、水酸基とビニルエーテル基の反応に用いられる触媒であれば特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸など有機酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ、塩化ガリウム、塩化チタン、臭化アルミニウム、臭化ガリウム、三弗化ホウ素エーテル錯体、三弗ホウ素フェノール錯体などのルイス酸等が挙げられ、添加量としては、原料全重量に対して、10ppm〜1重量%の範囲で触媒を用いることができる。但し、触媒添加系においては、芳香環に対するビニル基の核付加反応を起こさないように、その種類や添加量、及び反応条件を選択する必要がある。
【0025】
芳香族性水酸基とビニルエーテル基との反応条件としては、通常、室温から200℃、好ましくは、50〜150℃の温度で、0.5〜30時間程度、加熱攪拌すればよい。この際、ビニルエーテル類の自己重合を防止するため、酸素含有雰囲気下での反応の方が好ましい。反応の進行程度は、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等を用いて、原料の残存量を測定することによって追跡できる。また有機溶媒を使用した場合は、蒸留等でそれを除去し、触媒を使用した場合は、必要によって失活剤等で失活させて、水洗や濾過操作によって除去する。但し、次工程のエポキシ化反応で悪影響がない有機溶媒や触媒(失活触媒残含む)の場合は、特に精製しなくてもよい。
【0026】
上記反応における多価フェノール類(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)の反応比率は、反応生成物1分子中に少なくとも1個以上の芳香族性水酸基が残るような比率であれば、特に限定されないが、原料の多価フェノール類(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)の種類と組み合わせや、得られる変性多価フェノール類の所望のビニルエーテル変性率、分子量、水酸基当量等の物性値、及び反応条件に因るアセタール転化率等に応じて決定すればよい。
【0027】
例えば、ビニルエーテル変性に因る柔軟性、耐湿性、誘電特性などの効果を際だって高めたい場合は、多価ビニルエーテル類の量を高めればよい。具体的は、多価フェノール類(b1)の芳香族性水酸基に対して、多価ビニルエーテル類(b2)のビニルエーテル基が、〔多価フェノール類(b1)の芳香族性水酸基〕/〔多価ビニルエーテル類(b2)のビニルエーテル基〕=80/20〜50/50(モル比)となるような割合が好ましい。
【0028】
また、副反応の影響等によって、ビニルエーテル転化率が低いような反応条件の場合は、前述の比率が〔多価フェノール類(b1)の芳香族性水酸基〕/〔多価ビニルエーテル類(b2)のビニルエーテル基〕=50/50(モル比)を超えて,ビニルエーテル基過剰の仕込み量条件でも構わない。一方、硬化性、耐熱性等の他物性バランスを重視したい場合は、前述の比率が〔多価フェノール類(b1)の芳香族性水酸基〕/〔多価ビニルエーテル類(b2)のビニルエーテル基〕=95/5〜80/20(モル比)の範囲が好ましい。
【0029】
前述のようにして得られる変性多価フェノール類(B)のうち、原料の多価フェノール類(b1)として2価フェノール類を、かつ、多価ビニルエーテル類としてジビニルエーテル類を用いた場合は、一般式(1)
【化1】
Figure 2005029634
(式中、Arが、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよい炭素数6〜12の芳香環2個が、炭素数1〜6のアルキレン基で連結され、且つ前記芳香環に、それぞれ1個の結合部位を有する構造(M)或いは炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよい炭素数6〜12の芳香環2個が、炭素数6〜12の脂環式脂肪族基で連結され、且つ前記芳香環に、それぞれ1個の結合部位を有する構造(N)を表し、nは、1〜20の整数を表わし、Xは、上記一般式(2)又は(3)をあらわす。一般式(2)中のRは直鎖或いは分岐鎖であってもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、pは0〜10の整数であり、Rは炭素数6〜15の脂肪族炭化水素環を示し、一般式(3)中のqは0或いは1の整数を表す。)
【0030】
一般式(1)中のArとしては、例えば,前記多価フェノール類(b1)中のハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、これらの置換基含有体等のジヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2、3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、これらの置換基含有体等のジヒドロキシナフタレン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、これらの置換基含有体等のビスフェノール類、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−ナフチル)プロパン等のビスナフトール類等のフェノール類(ナフトール類)/ジエン類付加物中のフェノール類(ナフトール類)2モルに対してジエン類1モルが付加している2価フェノール類から水酸基(−OH)を除いた残基が挙げられる。
【0031】
また、一般式(1)中のXの具体例としては、前記多価ビニルエーテル類中のエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレンレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレンレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレンレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジビニルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル、グリセロールジビニルエーテル、トリグリセロールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−ブチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、1,10−デカンジオールジビニルエーテル、トリシクロデカンジオールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジビニルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジビニルエーテルのようなジビニルエーテル類からビニルオキシ基(−OCH=CH)を除いた残基が挙げられる。
【0032】
本発明に用いる変性エポキシ樹脂(I)は、上記の多官能型エポキシ樹脂(A)のエポキシ基と変性多価フェノール類(B)の水酸基を付加反応させることによって得ることができ、2段法或いはアドバンス法と呼ばれるオリゴマー型エポキシ樹脂の公知の製造方法に準拠すればよい。上記のエポキシ基と水酸基の反応比率であるが、エポキシ基が水酸基に対して過剰になるような比率であれば特に限定されるものではないが、例えば、多官能型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基(EA)と変性多価フェノール類(B)中のヒドロキシ基(HB)の当量比〔(EA)/(HB)〕を1.00/0.05〜1.00/0.95の範囲で調整すると、得られる変性エポキシ樹脂(I)の流動性や強度等の特性を調整しながら反応することができる。但し、組み合わせる多官能型エポキシ樹脂(A)や変性多価フェノール類(B)の種類によって特性が変わるので、所望の特性によって、適宜調整すればよい。
【0033】
これらの中でも、変性エポキシ樹脂(I)中のエポキシ基を硬化する際の反応点として用いる場合は、変性エポキシ樹脂(I)のエポキシ当量を200〜2000g/eq.の範囲にあることが好ましい。
【0034】
また、変性エポキシ樹脂(I)として低分子量で流動性や強度を重視した樹脂設計して用いる場合は、変性多価フェノール類(B)の割合を少なくすることが好ましく、〔(EA)/(HI)〕が当量比で0.95/0.05〜0.60/0.40となる範囲が好ましい。
【0035】
また、変性エポキシ樹脂(I)として柔軟性や接着性を重視した樹脂設計して用いる場合は、分子量を上げるとことが好ましく、〔(EA)/(HB)〕が当量比で1.00/0.50〜1.00/0.90の範囲が好ましい。
【0036】
前記多官能型エポキシ樹脂(A)と変性多価フェノール類(B)との反応は一般的には無溶剤系で反応させることができるが、必要に応じて、有機溶媒中で反応させることもできる。その場合の有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル等の脂肪族エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂環式エーテル類が挙げられる。また反応する際は、多官能型エポキシ樹脂(A)と変性多価フェノール類(B)を一括で仕込んでも良く、最初に多官能型エポキシ樹脂(A)を仕込み、それに変性多価フェノール類(B)を徐々に添加していっても良い。
【0037】
前記反応は無触媒条件で加熱だけでも進行するが、反応時間の短縮や副反応の抑制を目的に、適当な触媒を用いて反応させることが好ましい。その触媒としては、2段法やアドバンス法に使用できる種々の触媒を使用することが可能であるが、例示するならば、触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、DBU等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド等のホスホニウム塩類等が挙げられ、それらの使用量は全樹脂重量に対して、10〜5000ppmの範囲内が好ましい。反応温度は室温〜250℃の範囲が好ましく、反応時間や副反応の抑制等のバランスを考慮すると、80〜180℃の範囲が特に好ましい。反応時間は、上記の反応条件のもとで反応が完結するまでに時間が必要であり、反応終点は変性多価フェノール類(B)の水酸基が実質的に消失、或いは仕込み条件から算出される設定エポキシ当量に達した時点である。通常、上記の反応条件のもとでは、0.5〜24時間で反応を完結することができる。
【0038】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記変性エポキシ樹脂(I)と、硬化剤とからなるものであるが、本発明においては更に他のエポキシ樹脂を併用してもよい。併用し得るエポキシ樹脂は、種々の分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。難燃性を付与する必要がある場合は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などの臭素化エポキシ樹脂の併用が好ましく、耐熱性の一層の向上を目的とする場合は、ノボラック型エポキシ樹脂が、また耐湿性の一層の向上を目的とする場合は、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0039】
これらの併用し得るエポキシ樹脂は、組成物中の全エポキシ樹脂成分中20重量%以下であることが好ましい。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる硬化剤は、種々のエポキシ樹脂用硬化剤が使用でき、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などのエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられる。具体的には、イミダゾ−ル類、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリアルキレングリコールポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド等のアミン系類やリノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂類等のアミン系硬化剤類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等を始めとする多価フェノール化合物類、及びこれらの変性物等のフェノール系化合物類;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物類;BF−アミン錯体、並びにグアニジン誘導体等が挙げられる。またこれらの硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0041】
前記の硬化剤のなかでも、特に柔軟性や接着性が優れる点では、アミン系硬化剤類が好ましい。また耐熱性や耐湿性を重視する場合は、フェノール系化合物類が好ましい。
【0042】
また、前記硬化剤の使用量は、硬化反応が充分で、硬化物性が良好となる点から、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤中の活性水素基が0.7〜1.5当量になる範囲が好ましい。
【0043】
また、硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。また、電子部品用途では、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン(DBU)などが、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性などが優れるために好ましい。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記した各成分に加え、必要に応じて更に無機質充填材を使用することができる。この無機質充填材は、具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられる。無機質充填材の配合量を特に大きくする場合は、溶融シリカを用いることが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布がより広くなるように調製することが好ましい。
【0045】
また必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。また必要に応じて、難燃剤を使用してもよい。難燃剤としては、ハロゲン化合物、燐原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃化合物などが挙げられる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などのハロゲン化合物、赤燐、燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミンなどの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が挙げられる。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記変性エポキシ樹脂(I)と硬化剤とを、更に必要に応じて前記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂全般の用途に適用できるが、特に接着剤、塗料、封止材、回路基板材、複合材料等の用途として特に有用である。
【0047】
例えば、前記エポキシ樹脂組成物を用いて、無溶剤型の接着剤や塗料用エポキシ樹脂組成物や封止材用エポキシ樹脂組成物を調製するには、前記エポキシ樹脂類と硬化剤とを、更に必要に応じて、無機充填材などの成分を、予備混合した後に、攪拌混合機や押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して製造することができる。また無機充填材の使用量は通常、充填率30〜95重量%となる範囲である。
【0048】
また、溶剤型の接着剤用エポキシ樹脂組成物、塗料用エポキシ樹脂組成物、回路基板材用エポキシ樹脂組成物、複合材料用エポキシ樹脂組成物を調製するには、本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解させることにより製造することができる。この際の溶剤の使用量は、前記組成物ワニス中の通常10〜70重量%であり、用途や所望の要求特性等によって、好ましい組成を決めればよい。
【0049】
本発明の硬化物は、前記エポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得ることができる。該硬化物は成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムなどとして使用できる。例えば、塗膜は前記の様にして調製した塗料を基材に塗布して、それを室温〜200℃の環境で5分間〜1週間放置することによって、目的の塗膜硬化物を得ることができる。接着剤の場合は、前記の様にして調製した接着剤を用いて基材を接着後、塗料と同様にして硬化されればよい。封止材硬化物は、前記の様にして調製した組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また、回路基板材や複合材料用のワニス組成物の硬化物は積層物であり、これら硬化物を得る方法としては、回路基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを熱プレス成形して得ることができる。
【0050】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。なお、以下に記載の部及び%は、特に断りがない限り重量基準である。
【0051】
合成例1
温度計、攪拌機を取り付けたフラスコにビスフェノールA228g(1.00モル)とトリエチレングリコールジビニルエーテル(ISP社製:商品名Rapi−Cure DVE−3)172g(0.85モル)を仕込み、120℃まで1時間要して昇温した後に、さらに120℃で6時間反応させて、変性多価フェノール類(P−1)400gを得た。上記で得られた変性多価フェノール類(P−1)120g(水酸基0.33当量)とビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製:EPICLON 850S、エポキシ当量188g/eq)188gを上記反応装置に仕込み、トリフェニルホスフィン0.1gを添加して、150℃で10時間加熱攪拌し、エポキシ当量452g/eqの目的の変性エポキシ樹脂(E−1)300gを得た。
【0052】
合成例2
トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE−3)の量を192gに変更した以外は、合成例1と同様にして、変性多価フェノール類(P−2)410gを得た。上記で得られた変性多価フェノール類(P−2)125gに代えた以外は、合成例1と同様にして、エポキシ当量458g/eqの目的のエポキシ樹脂(E−2)305gを得た。
【0053】
合成例3
原料のDVE−3を1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(日本カーバイド工業社製:商品名CHDVE)144gに変更した以外は、合成例1と同様にして、変性フェノール類(P−3)372gを得た。次いで変性フェノール類(P−1)を(P−3)150gに変更した以外は、合成例1と同様にして、エポキシ当量442g/eqの目的のエポキシ樹脂(E−3)320gを得た。
【0054】
合成例4
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製 EPICLON HP−4032D;エポキシ当量142g/eq)142gに変更した以外は、合成例1と同様にして、エポキシ当量457g/eqの目的のエポキシ樹脂(E−4)250gを得た。
【0055】
実施例1〜4及び比較例1、2
合成例1〜4で得られたエポキシ樹脂(E−1)〜(E−4)の4種類と、比較として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製 EPICLON 850S;エポキシ当量189g/eq)とビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製 EPICLON 1055;エポキシ当量470g/eq)との合計6種類のエポキシ樹脂を用いてそれを用いて評価用の組成物を作製した。耐衝撃性試験と密着性試験用には、それぞれの固形分値80%のメチルエチルケトン溶液を調製し、それにエポキシ樹脂の固形分に対して4重量%の2−エチル−4−メチルイミダゾール(以下、2E4MZと略記する。)を添加して、均一なワニスを得た。次いでそのワニスを厚さ1mmのアルミニウム板にバーコーダーで塗布し、180℃で1時間硬化させて、膜厚が30μmの塗膜試験片を得た。
【0056】
また耐湿性試験用には、それぞれを100℃で溶融し、そこに樹脂に対して4%の2E4MZを添加して均一に混合して組成物を得た。その組成物を120℃で1時間プレス成形して、厚みが2.0mmの成型試験片を得た。それぞれの試験結果を表1に記載する。
【0057】
【表1】
Figure 2005029634
【0058】
試験方法
(1)耐衝撃性試験:各試験片にてデュポン式衝撃試験法(JIS K 5600−5−3 6.1)に準拠して,半径1/4インチ,500gの錘を50cmの高さから落として判定した。目視で観察し,剥離が認められないものを合格(○),剥離が認められたものを不合格(×)とした。
【0059】
2)密着性試験:塗膜に100個の1mm×1mmの碁盤目を基材まで届くようにカッターナイフで切り込みを入れてからセロハンテープを貼って瞬間的に引き剥がした。基板上に残った塗膜の碁盤目数を目視で測定した。
【0060】
3)耐湿性試験:85℃/85%RHの条件の恒温恒湿器内で300時間吸湿させて、重量増加率を吸湿率とした。
【0061】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、柔軟性と強靭性、及び耐湿性に富み、優れた信頼性が求められる半導体や回路基板の関連材料や、先端複合材料や、高機能性塗料、接着剤などの分野で有用である。

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤とからなるエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する多官能型エポキシ樹脂(A)と、多価フェノール(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類(B)とを付加反応させて得られる変性エポキシ樹脂(I)であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記変性エポキシ樹脂(I)が、多官能型エポキシ樹脂(A)と変性多価フェノール類(B)とを、多官能型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基(EA)と変性多価フェノール類(B)中のヒドロキシ基(HB)の当量比〔(EA)/(HB)〕が0.95/0.05〜0.60/0.40となるような割合で付加反応させて得られるものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記変性エポキシ樹脂(I)のエポキシ当量が、200〜2000g/当量の範囲である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記変性多価フェノール類(B)が、多価フェノール類(b1)として2価フェノール類を、且つ多価ビニルエーテル類(b2)としてジビニルエーテル類を用いたものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記変性多価フェノール類(B)が、多価フェノール類(b1)と多価ビニルエーテル類(b2)とを、〔多価フェノール類(b1)の芳香族性水酸基〕/〔多価ビニルエーテル類(b2)のビニルエーテル基〕=80/20〜50/50(モル比)となる範囲で反応させて得られるものである請求項1〜5の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記多官能型エポキシ樹脂(A)が、2官能型エポキシ樹脂である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
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