JP5504553B2 - エポキシ樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップフィルム絶縁層用樹脂組成物、及び新規エポキシ樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップフィルム絶縁層用樹脂組成物、及び新規エポキシ樹脂 Download PDF

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本発明は、硬化物のガラス領域、及び硬化物が暴される温度領域(サーマルサイクル条件下)における線膨張係数が極めて低いために寸法安定性に優れ、且つ熱的衝撃/物理的衝撃にも優れる(強靭性)エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂及びその硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は、その硬化物において優れた耐熱性と絶縁性を発現することから、半導体やプリント配線基板などの電子部品用途において広く用いられている。
この電子部品用途のなかでも半導体パッケージ基板材料におけるビルドアップ基板の技術分野では、絶縁材料に用いられる樹脂材料としてこれまでの液状材料に代わり、エポキシ樹脂及び硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物からフィルム状に成形した所謂ビルドアップフィルムを基板上にラミネート、硬化させる技術が注目されている。然し乍ら、通常、該フィルムを構成する絶縁層であるエポキシ樹脂硬化物は、銅配線、半田等といった異種材料との線膨張係数が相違(CTEミスマッチ)するために、寸法安定性に劣ることに加え、熱衝撃による応力によってクラックが生じやすいという問題を有していた。従って、硬化物の線膨張率が低く、且つ熱衝撃や物理的衝撃に対して強い、靭性の高いエポキシ樹脂硬化物、及びこれら特性を発現するエポキシ樹脂組成物が求められていた。
そこで、例えば、接着フィルムを構成する絶縁材料として、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、及び無機充填材を必須成分としたエポキシ樹脂組成物を用い、かつ、該無機充填材を多量に使用して材料自体の線膨張係数を低く抑制した技術が知られている(下記、特許文献1参照)。
然し乍ら、近年、電子部品の高性能化に伴い半導体パッケージ基板には多段ビア構造が採用されるなど、接着フィルムにはより低い線膨張係数を有するものが求められているところ、前記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂硬化物自体の線膨張係数の低減という点では十分ではなく、近年の著しい半導体装置の高速化に対応可能な水準に達していないのが現状であった。更に、前記エポキシ樹脂組成物は、ビルドアップ工法用に不可欠なビアホール形成時のレーザーによる加工性や、めっき層との密着性が十分なものではなかった。
他方、エポキシ樹脂硬化物の線膨張係数のより一層の低減化を図ることを目的として結晶性の高いエポキシ樹脂を用いた場合、結晶性エポキシ樹脂は溶剤溶解性に乏しいことからフィルム形状への成形が極めて困難なものとなってしまうものであった。
特開2005−154727号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、エポキシ樹脂硬化物自体の線膨張係数が著しく低く、電子部品の絶縁材料として硬化物の寸法安定性に優れ、かつ、硬化物の靱性が高く耐久性に優れ、とりわけビルドアップフィルム絶縁層に適したエポキシ樹脂組成物、及び新規エポキシ樹脂を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホニル基に対して2,4’−位にオキシ基が位置するビフェニルスルホン構造を樹脂構造中に有し、かつ、特定範囲のエポキシ当量を有するビスフェノール型エポキシ樹脂を主剤として用いることにより、溶剤溶解性が良好となり、且つその硬化物が極めて低い線膨張係数を達成し、更に、高い靭性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホン構造を分子構造中に有し、かつ、そのエポキシ当量が250〜2000g/当量の範囲にあるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)、及び硬化剤(B)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
本発明は、また、前記エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とするビルドアップフィルム絶縁層用樹脂組成物に関する。
本発明は、また、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、また、下記一般式1
Figure 0005504553

(式中、nは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、Aは、下記構造式A
Figure 0005504553

(構造式A中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表す。)
で表される化学構造を表し、
Bは、下記構造式B
Figure 0005504553

(式中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される化学構造を表し、
Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
で表される構造を有することを特徴とする新規エポキシ樹脂に関する。
本発明は、また、下記構造式2
Figure 0005504553

(式中、mは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、A’で表される構造部位のうち、少なくとも1つは、下記構造式A
Figure 0005504553

(構造式A中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表す。)
で表される化学構造であって、かつ、A’で表される構造部位のうち、少なくとも1つは、下記構造式C

Figure 0005504553

(構造式C中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17はそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表し、Xはイソプロピリデン基、メチレン基、又は直接結合を表す。)
で表される化学構造であり、また、
Bは、下記構造式B
Figure 0005504553

(式中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される化学構造を表し、
Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
で表される構造を有することを特徴とする新規エポキシ樹脂に関する。
本発明によれば、エポキシ樹脂硬化物自体の線膨張係数が著しく低く、電子部品の絶縁材料として硬化物の寸法安定性に優れ、かつ、硬化物の靱性が高く耐久性に優れ、とりわけビルドアップフィルム絶縁層に適したエポキシ樹脂組成物、及び新規エポキシ樹脂を提供できる。
本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、前記した通り、2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホン構造を分子構造中に有し、かつ、そのエポキシ当量が250〜2000g/当量の範囲にあることを特徴としている。このように前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、分子構造内にスルホニル構造を有することから、樹脂自体に優れた凝集力を付与できる。また、分子量が高いことからその硬化物の架橋点間距離が長くなり、硬化物において架橋密度に起因する束縛が少なく、硬化物中の自由体積(隙間部分)を少なくできる。このような点からビスフェノール型エポキシ樹脂(A)の硬化物の線膨張係数は極めて低いものとなる。更に、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、その分子構造において、2つの芳香環がスルホニル基で結節された剛直な化学構造を有しており、また、エポキシ基に由来する脂肪族エーテル構造を規則的に繰り返し有することから分子構造的に自由度が高くなることから、熱的衝撃性や物理的衝撃に強い靭性の高い硬化物を得ることができる。
また、一般にビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂は、結晶性の高いエポキシ樹脂として知られているところ、本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、ベンゼン環上の置換位置においてスルホニル基に対してオキシ基が2,4’−位にあることから、結晶性が低減され、有機溶剤への溶解性も飛躍的に向上し、その結果、フィルム形態を採ることができたものである。このような観点から、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は250〜2000g/当量の範囲が好ましく、特に250〜1000g/当量の範囲であることが特に好ましい。ここで、エポキシ当量は、「JIS K7236(2001)」に準拠して測定される値である。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)の分子構造中に含まれる2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホン構造は、具体的には、下記構造式A
Figure 0005504553

(式中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
で表されるものが挙げられる。
上記構造式A中のR、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRにおいて、前記炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基等が挙げられ、前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が挙げられる。これらの中でも特にビスフェノール型エポキシ樹脂(A)の有機溶剤への溶解性の点からメチル基、エチル基、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。また、炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を有する場合、これらは前記R〜Rの任意の位置に存在し得るが、原料となるフェノール化合物の合成が容易で工業的に入手が容易である点から、オキシ基に対してオルソ又はパラの位置、即ちR、R3、R6、及びR7の位置に炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を有し、かつ、R、R4、R5、及びRに水素原子を有するものであることが好ましい。本発明ではとりわけ上記構造式A中のR〜Rの全てが水素原子であることが硬化物の線膨張係数が低く、かつ、硬化物がより高靱性になる点から好ましい。
このような観点から構造式Aを満たす2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホン構造は、具体的には、2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホン、3,3'−ジメチル-2,4’-ビス(オキシフェニレン)スルホン、3,3'−ジエチル-2,4’-ビス(オキシフェニレン)スルホン、3,3',5,5’−テトラクロロ−2,4’-ビス(オキシフェニレン)スルホン、3,3',5,5’−テトラブロモ−2,4’-ビス(オキシフェニレン)スルホン等が好ましい。これらのなかでも特に硬化物の線膨張係数が低く、かつ、硬化物がより高靱性になることからR〜Rの全てが水素原子である2,4’−ビス(オキシフェニレン)スルホンが好ましい。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)の具体的構造は、例えば、
下記一般式1
Figure 0005504553

(式中、nは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、Aは、下記構造式A
Figure 0005504553

(構造式A中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表す。)
で表される化学構造を表し、
Bは、下記構造式B
Figure 0005504553

(式中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される化学構造を表し、
Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
で表される構造を有するエポキシ樹脂(以下、これを「エポキシ樹脂A1」と略記する。)が挙げられる。
上記構造式中、nは、前記した通り、該構造式中括弧で括られた繰り返し単位の平均であり、GPCの測定に基づき下記(i)〜(iv)の方法に従って求められた数値である。
(i)エポキシ樹脂A1のGPC測定を行って、GPCチャートを得る。
(ii)各ピークの数平均分子量(ポリスチレン換算)と各ピークを構成する物質の分子構造から求めた理論分子量との相関関係式を最小二乗法で求める。
(iii)GPC測定結果からエポキシ樹脂A1全体の数平均分子量(ポリスチレン換算)を求め、前記(ii)で得られた相関関係式から、エポキシ樹脂A1の理論分子量を求める。
(iv)エポキシ樹脂A1の理論分子量からnを求める。
[GPCによる測定方法]
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
このようにして算出されるnの値は、前記した通り0.1〜10の範囲であるが、本発明では有機溶剤に対する溶解性がより良好なものとなり、かつ、エポキシ樹脂硬化物自体の線膨張係数の低減効果及び該硬化物の衝撃強度とのバランスが良好になる点から、0.1〜3.0の範囲であることが好ましく、特に0.1〜0.8の範囲であることが好ましい。
よって、前記構造式1で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、具体的には、下記構造式D
Figure 0005504553

(式中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される構造単位、或いは、
下記構造式E
Figure 0005504553

(式中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される構造単位を繰り返し単位とするものであることが硬化物の線膨張係数の低減を図ることができる点から好ましい。
上記構造式D及び構造式Eで表される構造単位においてR〜Rの具体例は、前記構造式Aにおけるものと同一であり、Rにおける炭素原子数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基等が挙げられる。上記した具体的構造の中でも、特に硬化物の線膨張係数が低く、また、硬化物の熱的衝撃性や物理的衝撃性といった靱性が極めて良好なものとなる点からR〜Rが全て水素原子であって、かつ、Rが水素原子であるものが好ましい。
上記したエポキシ樹脂A1を製造する方法は、例えば、2,4’−ビスフェノールスルホン類とエピハロヒドリンとを反応させる方法(方法1)、及び、
2,4’−ビスフェノールスルホン類とエピハロヒドリンの反応物に、更に2,4’−ビスフェノールスルホン類を反応させる方法(方法2)が挙げられる。
方法1及び方法2で用いられる2,4’−ビスフェノールスルホン類は、下記構造式3
Figure 0005504553

(式中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)で表されるビスフェノールスルホン類であり、R〜Rの具体例は、前記構造式Aにおけるものと同一であり、2,4’−ビスフェノールスルホン類の具体例としては、2,4’−ビスフェノールスルホン、3,3'−ジメチル−2,4’−ビスフェノールスルホン、3,3'−ジエチル−2,4’−ビスフェノールスルホン、3,3',5,5’−テトラクロロ−2,4’−ビスフェノールスルホン、3,3',5,5’−テトラブロモ−2,4’-ビスフェノールスルホン等が挙げられる。
前記方法1は、具体的には、前記2,4’−ビスフェノールスルホン類と、エピクロルヒドリン及びエピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンとを混合して溶解混合物とした後、該溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加、または滴下しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。
ここで、前記エピハロヒドリンの添加量は、原料の2,4’−ビスフェノールスルホン中の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲が用いられる。当該範囲の中でも、特に分子量の調節が容易であり、かつ、過剰エピハロヒドリンを除去する工程を短縮化できて生産性が向上する点から0.8〜10当量の範囲であることが好ましい。更に、エポキシ樹脂A1の高分子量化を図る点から、特に0.8〜2.5当量の範囲であることが好ましい。
また、この反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法を採用してもよい。
上記反応は、また、2,4’−ビスフェノールスルホン類とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて該2,4’−ビスフェノールスルホン類のハロヒドリンエーテル化物を得、次いでこれにアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法を採用してもよい。
上記何れの反応も、反応を円滑に進行させるために有機溶媒を用いることが好ましい。かかる有機溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらの使用量は、エピハロヒドリンの量に対し、通常、質量基準で、0.05〜0.50倍量、なかでも0.10〜0.30倍量であることが好ましい。特に、非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、エピハロヒドリンの量に対し通常0.05〜1倍量、なかでも0.10〜0.60倍量であることが好ましい。
このようにして得られたエポキシ化反応を行った後、得られたエポキシ樹脂の粗生成物を、水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや他の添加溶媒などを除去する。また、更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリン等を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環反応を行うことにより、エポキシ基の濃度をより高めることができる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。前記閉環反応を行う際の反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とするエポキシ樹脂が得られる。
次に、前記方法2は、具体的には、2,4’−ビスフェノールスルホン類のジグリシジルエーテル、或いは、上記方法1によって得られたエポキシ樹脂(以下、これらを「2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂」と略記する。)に、2,4’−ビスフェノールスルホン類を反応させる方法が挙げられる。
かかる、2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂と2,4’−ビスフェノールスルホン類との反応は、触媒の存在下、不活性ガス気流中又は空気中で110〜180℃の温度範囲において行なうことができる。
ここで用いる触媒は、グリシジル基とフェノール性水酸基が定量的に反応するホスフィン類、アルカリ金属化合物、アミン類を単独で又は併用して用いるのが触媒活性に優れ、かつ、ゲル化を良好に防止できる点から好ましい。
前記ホスフィン類は、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアルキルもしくはトリアリールホスフィン又はこれらと酸化合物との塩類などが挙げられる。
前記アルカリ金属化合物は、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、アミドなどが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
前記アミン類は、脂肪族又は芳香族の第一級、第二級、第三級、第四級アミン類などが挙げられ、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
上記した触媒の使用量は、2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂及び2,4’−ビスフェノールスルホンの総仕込量100質量部に対して、0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲で用いることが反応時間の短縮化でき、また、反応制御が容易となる点から好ましい。
本発明では、上記方法1及び方法2のなかでも特にエポキシ当量の調整が容易である点から方法2が特に好ましい。よって、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂A1は、前記方法2で得られた構造を有するものがとりわけ好ましい。
また、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)は、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂A1の他、2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂の他の2官能型エポキシ樹脂と2,4’−ビスフェノールスルホン類とを反応させた構造を有するもの(以下、これを「エポキシ樹脂A2」と略記する。)が挙げられる。
ここで当該他の2官能型エポキシ樹脂は、具体的には、結合位置が4,4’−位にあるビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂、及びこれらのメチル基又はエチル基が核置換した化合物等のビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及びこれらのメチル基、エチル基、ブロモ基が核置換した化合物等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,6−ジグリシジルオキシナフタレン型エポキシ樹脂、1,1−ビス(2−グリシジルオキシナフチル)メタン等のナフタレン系エポキシ樹脂;4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール−4,4’−ジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、及びこれらのメチル基、エチル基、ブロモ基が核置換した化合物等のジヒドロキシベンゼン類型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、特に硬化物の線膨張係数の低減効果が顕著なものとなり、且つ溶剤溶解性が優れるため、スルホニル基に対してフェノール性水酸基の結合位置が4,4’−位にあるビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂、及びこれらのメチル基又はエチル基が核置換した化合物等のビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及びこれらのメチル基、エチル基、ブロモ基が核置換した化合物等のビスフェノール型エポキシ樹脂;4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール−4,4’−ジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、特に分子量が高い割に粘度が低くなるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)が得られ、その有機溶剤への溶解性が良好となる点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール−4,4’−ジグリシジルエーテルであることが好ましい。
従って、前記エポキシ樹脂A2は、下記一般式1
Figure 0005504553

(式中、mは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、A’で表される構造部位のうち、少なくとも1つは、下記構造式A
Figure 0005504553

(構造式A中、R、R、R3、R4、R5、R6、R7、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
で表される化学構造であって、かつ、A’で表される構造部位のうち、少なくとも1つは、下記構造式C

Figure 0005504553

(構造式C中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17はそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表し、Xはイソプロピリデン基、メチレン基、又は直接結合を表す。)
で表される化学構造であり、また、
Bは、下記構造式B
Figure 0005504553

(式中、Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される化学構造を表し、Gはグリシジル基を表す。また、A’とBとの結合位置は、前記構造式A’中、2位、4’位の何れであってもよい。)
で表される構造を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
ここで、構造式2中、mの値は繰り返し単位の平均であり、エポキシ樹脂A1における構造式1中のnと同一の方法で算出される値である。具体的には、前記した通り、0.1〜10の範囲であるが、有機溶剤に対する溶解性がより良好なものとなり、かつ、エポキシ樹脂硬化物自体の線膨張係数の低減効果及び該硬化物の衝撃強度とのバランスが良好になる点から、0.1〜3.0の範囲であることが好ましく、特に0.1〜0.8の範囲であることが好ましい。
また、構造式C中、R10〜R16において、前記炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基等が挙げられ、前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が挙げられる。これらの中でも特にビスフェノール型エポキシ樹脂(A)の有機溶剤への溶解性の点からメチル基、エチル基、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。また、炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を有する場合、これらは前記R10〜R16の任意の位置に存在し得るが、原料となるフェノール化合物の合成が容易で工業的に入手が容易である点から、オキシ基に対してオルソの位置、即ちR10、R13、R15、R16の位置に炭素原子数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を有し、かつ、R11、R12、R14、及びR17に水素原子を有するものであることが好ましい。
また、構造式B中のRは、炭素原子数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、及びt−ブチル基等が挙げられる。上記構造Bの中でも、特に硬化物の線膨張係数が低く、また、硬化物の熱的衝撃性や物理的衝撃性といった靱性が極めて良好なものとなる点からRが水素原子であるものが好ましい。
ここで、エポキシ樹脂A2を製造する方法は、具体的には、当該他の2官能型エポキシ樹脂と2,4’−ビスフェノールスルホンとを、触媒の存在下、不活性ガス気流中又は空気中で110〜180℃の温度範囲において行なう方法(方法3)が挙げられる。
ここで用いる触媒は、グリシジル基とフェノール性水酸基が定量的に反応するホスフィン類、アルカリ金属化合物、アミン類を単独で又は併用して用いるのが触媒活性に優れ、かつ、ゲル化を良好に防止できる点から好ましい。
前記ホスフィン類は、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアルキルもしくはトリアリールホスフィン又はこれらと酸化合物との塩類などが挙げられる。
前記アルカリ金属化合物は、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、アミドなどが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
前記アミン類は、脂肪族又は芳香族の第一級、第二級、第三級、第四級アミン類などが挙げられ、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
上記した触媒の使用量は、当該他の2官能型エポキシ樹脂及び2,4’−ビスフェノールスルホンの総仕込量100質量部に対して、0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲で用いることが反応時間の短縮化でき、また、反応制御が容易となる点から好ましい。
次に、本発明で用いる硬化剤(B)は、具体的には、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの硬化剤を使用できる。
具体的には、アミン系化合物は、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
アミド系化合物は、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。
酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
フェノール系化合物は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、α−ナフトールアラルキル樹脂、β−ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。また、前記アミノトリアジン変性フェノール樹脂は、具体的には、メラミンやベンゾグアナミン等のアミノ基含有トリアジン化合物と、フェノール、クレゾール等のフェノール類と、ホルムアルデヒドとの共重合体が挙げられる。
これらの中でも、特に、硬化物の線膨張係数がより低くなり、熱的衝撃及び物理的衝撃に強く靱性に優れる点から多価フェノール系化合物が好ましく、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、α−ナフトールアラルキル樹脂、β−ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤(B)として前記フェノール性水酸基を1分子内に2つ以上含有する多価フェノール系化合物を用いる場合には、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と、硬化剤(B)中のフェノール性水酸基との比率が、前者のエポキシ基/後者のフェノール性水酸基のモル比で0.95〜1.05となる配合割合であることが、線膨張係数が極めて低く、熱的衝撃/物理的衝撃に強い強靭な硬化物を得ることができる点から好ましい。
上記したとおり、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)、及び硬化剤(B)を必須成分とするものであるが、これらの各成分に加え、3官能以上のエポキシ樹脂を用いることが、硬化性に優れ、かつ、硬化物の耐湿性及び耐熱性が良好となる点から好ましい。
上記したとおり、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂(A)、及び硬化剤(B)を必須成分とするものであるが、これらの各成分に加え、3官能以上のエポキシ樹脂を用いることが、硬化性に優れ、かつ、硬化物の耐湿性及び耐熱性が良好となる点から好ましい。即ち、ビルドアップ用の接着フィルムとして用いる場合、3官能以上のエポキシ樹脂を併用することが、硬化物の破断強度を向上させ、また硬化物の架橋密度を向上させることができ、無機充填材を35質量%以上充填させても粗化処理後の硬化物表面に無機充填材が剥き出しになるのを抑制し、安定して高いめっきピール強度を得ることができる。
ここで用いる3官能以上のエポキシ樹脂は、例えば、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、及び、
下記構造式
Figure 0005504553

で表される4官能ナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるビスフェノール型エポキシ樹脂(A)と3官能以上のエポキシ樹脂(A’)との配合割合は、成分(A)/成分(A’)の質量比で、1/0.1〜1/2の範囲、特に1/0.3〜1/1の範囲であることが、特にビルドアップ用の接着フィルムを製造する場合の組成物の粘着性が適度に抑えられ、真空ラミネート時の脱気性が良好でボイドの発生を防止できる点から好ましい。
また、エポキシ樹脂成分として前記成分(A’)を併用する場合であって、かつ、硬化剤(B)として前記フェノール性水酸基を1分子内に2つ以上含有する多価フェノール系化合物を用いる場合には、前記硬化剤(B)中のフェノール性水酸基のモル数に対して、成分(A)及び成分(A’)中のエポキシ基の総モル数の比(エポキシ基/フェノール性水酸基)が0.95〜1.05となる範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、用途に応じて、上記した各成分に加え、更に有機溶剤(C)を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂組成物を積層板用ワニスとして用いる場合には基材への含浸性が改善される他、ビルドアップ用接着フィルムとして用いる場合には、基材シートへの塗工性が良好になる。ここで使用し得る有機溶剤(C)は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また、有機溶剤(C)の添加量は、目標とする粘度によって適宜調整することができるが、固形分濃度([エポキシ樹脂(A)及びその他エポキシ樹脂成分+硬化剤(B)]/[エポキシ樹脂(A)及びその他エポキシ樹脂成分+硬化剤(B)+有機溶剤(C)]で示される質量基準の濃度)が、50〜80質量%となる範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分に加え、更に、硬化促進剤(D)を併用してもよい。
ここで使用し得る硬化促進剤(D)は、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。この中でも、硬化物の低線膨張係数化の効果が顕著なものとなる点からリン系化合物、第3級アミン、イミダゾールが好ましい。
また、硬化促進剤(D)の添加量は、目標とする硬化時間等によって適宜調整することができるが、前記したエポキシ樹脂成分、硬化剤成分及び前記硬化促進剤(D)の総質量に対して0.01〜7質量%となる範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分に加え、更に、更に無機質充填材を使用することができる。この無機質充填材は、具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられる。無機質充填材の配合量を特に大きくする場合は、溶融シリカを用いることが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布がより広くなるように調製することが好ましい。
ここで無機質充填材の使用量は、エポキシ樹脂組成物の用途に応じ適宜選択することができるが、例えばビルドアップフィルム絶縁層用途では、該無機質充填材の使用量を増加させた場合には、硬化物の線膨張係数はより低くなるものの、めっき層との接着性が低下する傾向にある。本発明のエポキシ樹脂組成物はその硬化物が顕著に低い線膨張係数を示すことから、ビルドアップフィルム絶縁層用途では無機質充填材の使用量を低く抑えることができ、例えば、エポキシ樹脂組成物中無機充填剤を80質量%以下となる範囲で用いることができ、特に20〜50質量%の範囲、更に20〜30質量%の範囲で用いることができる。また、ビルドアップフィルム絶縁層用途では、その硬化物の線膨張係数が低くいことから無機充填剤を何等使用することなく、ビルドアップフィルムに供することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
ここで、難燃剤としては、ハロゲン化合物、燐原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃化合物などが挙げられる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などのハロゲン化合物、赤燐、燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミンなどの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られ、接着剤、塗料、半導体封止材、回路基板材、複合材料、及びビルドアップフィルム等の各種の用途に適用できる。
例えば、無溶剤型の接着剤や塗料や封止材用エポキシ樹脂組成物を調整するには、当該エポキシ樹脂を含む、硬化剤及び、必要に応じて無機充填材などの成分を、予備混合した後に、撹拌混合機や押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して製造することができる。これらの用途において無機充填材の使用量は通常、充填率30〜95質量%となる範囲である。
また、溶剤型の接着剤、塗料、銅張り積層板、ビルドアップ基板、繊維強化複合材料用のエポキシ樹脂組成物を調整するには、本発明のエポキシ樹脂成分、硬化剤成分、硬化促進剤、及び、必要により難燃剤等をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解させることにより製造することができる。この際の溶剤の使用量は、前記組成物ワニス中、10〜70質量%となる範囲であることが好ましい。
この様にして得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させるには、例えば、塗料用途の場合、上記の様にして調整された塗料を基材に塗布して、それを15〜200℃の環境で5分間〜1週間放置することによって、目的の塗膜硬化物を得ることができる。
また、接着剤の場合は、それを用いて基材を接着後、塗料と同様にして硬化させればよい。封止材硬化物は、該組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また、回路基板材や複合材料用のワニス組成物の硬化物は積層物であり、この硬化物を得る方法としては、回路基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを熱プレス成形して得ることができる。
以上の各種用途のなかでも、本発明では、特に、ビルドアップフィルム絶縁層、及び、積層板用プリプレグがとりわけ有用である。
本発明のビルドアップフィルム絶縁層用樹脂組成物からビルドアップフィルム絶縁層を製造する方法は、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を、支持フィルム上に塗布、乾燥させてフィルム状の絶縁層を形成する方法が挙げられる。このようにして形成させたフィルム状の絶縁層は、多層プリント配線板用のビルドアップフィルムとして使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物から製造されたビルドアップフィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填可能となるようエポキシ樹脂組成物中の各配合成分を調節することが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記ビルドアップフィルムの製造方法について、更に詳述すれば、具体的にはワニス状の本発明のエポキシ樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等の乾燥工程により有機溶剤を除去させることにより、絶縁層であるビルドアップフィルム樹脂組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
前記乾燥工程の条件は、エポキシ樹脂組成物の層(X)中の有機溶剤(C)の含有率が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させることが好ましい。乾燥条件はワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることができる。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における層(X)は、保護フィルムで保護されることが、エポキシ樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる点から好ましい。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
次に、上記のようして得られたビルドアップフィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
ここで、回路基板とは、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものが挙げられる。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルム(Y)を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層が形成される。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルム(Y)を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次に回路基板上に形成された絶縁層に、ドリル、レーザー、プラズマ等の方法により、穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。
次いで、絶縁層表面を酸化剤より粗化処理を行う。酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、及び硝酸等が挙げられる。
次に、粗化処理により凸凹のアンカーが形成された樹脂組成物層表面に、無電解めっきと電解めっきを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのめっきレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成してもよい。なお導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。本発明では、前記したとおり、無機充填材の使用量を低く抑えることができる点から、優れたピール強度を発現させることができる。
また、導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えばサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。
次に、繊維からなるシート状補強基材に本発明のエポキシ該樹脂組成物を含浸させて多層プリント配線板の層間絶縁層用のプリプレグを製造する方法は、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造する方法が挙げられる。ここで使用し得る繊維からなるシート状補強基材としては、例えばガラスクロスやアラミド繊維等が挙げられる。
次に上記プリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートを挟み加圧・加熱条件下でプレス積層する方法が挙げられる。圧力条件は具体的には5〜40kgf/cm、温度は120〜200℃で20〜100分の範囲であることが好ましい。また接着フィルムと同様に真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することによっても製造可能である。その後、前に記載した方法と同様、酸化剤により硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をめっきにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
以下、実施例及び比較例において本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例及び比較例中のエポキシ樹脂の性状値の測定方法は下記の通りである。
[エポキシ当量]
「JIS K7236(2001)」に準拠して測定した。
[軟化点]
「JIS K7234」に準拠して測定した。
[ICI粘度]
「ASTM D4287」に準拠して測定し、150℃における溶融粘度を測定した。
[GPC]
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
[NMR]
日本電子株式会社「NMR GSX270」にて測定。
実施例1(前記方法1による2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,4’−ビスフェノールスルホン(日華化学株式会社製「BPS−24C」)250g(1.0モル)、エピハロヒドリン370g(4.0モル)、n−ブタノール111gを仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液180g(2.20モル)を5時間かけて滴下した、次いでこの条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ樹脂(E−1)352gを得た。この樹脂(E−1)のエポキシ当量は290g/当量.、軟化点80℃、ICI粘度4.6dPa・s(150℃)、前記構造式1における繰り返し単位の平均nの値は0.2であった。
実施例2(前記方法2による2,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,4’−ビスフェノールスルホン(日華化学株式会社製「BPS−24C」)250g(1.0モル)、エピハロヒドリン740g(8.0モル)、n−ブタノール222gを仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。その後、40℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液440g(2.20モル)を2時間かけて滴下した、その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにし、続いて65℃で0.5時間ホールドして、攪拌を続けた。その後、静置して水層を除去した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%の水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ樹脂(E−2)356gを得た。このエポキシ樹脂(E−2)のエポキシ当量は224g/当量.、軟化点57℃、ICI粘度0.5dPa・s(150℃)であった。
次いで、温度計、冷却管、攪拌器を取り付けたフラスコに、エポキシ樹脂(E−2)224g、2,4’−ビスフェノールスルホン(日華化学株式会社製「BPS−24C」)22gを仕込み、150℃迄昇温し同温度で5時間ホールドして、エポキシ樹脂(E−3)244gを得た。このエポキシ樹脂(E−3)のエポキシ当量は308g/当量.、軟化点82℃、ICI粘度4.3dPa・s(150℃)であった、前記構造式1における繰り返し単位の平均nの値は0.4であった。エポキシ樹脂(E−3)のGPCチャート図を図1に、C13−NMRチャート図を図2に示す。
実施例3(前記方法3による2,4’−ビスフェノールスルホン変性型エポキシ樹脂の合成)
温度計、冷却管、攪拌器を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製「EPICLON 850−S」:エポキシ当量188g/当量、粘度 13500mPa.s(25℃))188g、2,4’−ビスフェノールスルホン(日華化学株式会社製 BPS-24C)33gを仕込み、120℃に昇温して相溶させた後、トリフェニルホスフィン0.2gを仕込み、150度まで昇温し同温度で5時間ホールドして、エポキシ樹脂(E−4)220gを得た。このエポキシ樹脂(E−4)のエポキシ当量は311g/当量、軟化点54℃、ICI粘度0.9dPa・s(150℃)、前記構造式2における繰り返し単位の平均nの値は、0.3であった。エポキシ樹脂(E−4)のGPCチャート図を図3に示す。
比較例1(1段法による4,4’−ビスフェノールスルホン型エポキシ樹脂)
実施例1における2,4’−ビスフェノールスルホン250gを4,4’−ビスフェノールスルホン(小西化学工業製「BS−PN」)250gに変更する以外は、実施例1と同様にしてエポキシ化を実施したが、得られるエポキシ樹脂の結晶性が強く溶解性が悪いためか、樹脂を得ることができなかった。
比較例2(1段法による4,4’−ビスフェノールスルホン/ビスフェノールA共縮型エポキシ樹脂の合成)
実施例1における2,4’−ビスフェノールスルホン250gを、4,4’−ビスフェノールスルホン(小西化学工業製「BS−PN」)200g(1.6モル)とビスフェノールA91g(0.4モル)の併用に変更する以外は、実施例1と同様にしてエポキシ化を実施し、エポキシ樹脂(R−1)404gを得た。この樹脂(R−1)のエポキシ当量は251g/当量.、軟化点56℃、ICI粘度1.0dPa・s(150℃)であった。
比較例3(2段法による4,4’−ビスフェノールスルホン変性型エポキシ樹脂の合成)
実施例3における2,4’−ビスフェノールスルホン33gを、4,4’−ビスフェノールスルホン(小西化学工業製 BS−PN)33gに変更し、150℃でのホールド時間を2時間に変更する以外は、実施例3と同様にして、エポキシ樹脂(R−2)218gを得た。エポキシ樹脂(R−2)220gを得た。この樹脂(R−2)のエポキシ当量は319g/当量.、軟化点58℃、ICI粘度1.5dPa・s(150℃)であった。
実施例4〜8及び比較例4〜8
表1及び表2に示す各成分を配合比率に従って、エポキシ樹脂組成物(ワニス)を調整した。次に、この樹脂ワニスを銅箔(厚さ18μm)上に、乾燥後の樹脂厚みが70μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で10分乾燥させ、180℃で1.5時間の硬化させた。その後、エッチング液(第二塩化鉄液)にて全面エッチングを行い、乾燥させることでフィルム状硬化物試験片を得、評価に供した。
<耐熱性(ガラス転移温度)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
<熱膨張係数の評価>
硬化物フィルムを幅約3mm長さ約15mmの試験片とし、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製SS−6100)を用いて、引張モードで熱機械分析を行った。(測定架重:30mN、昇温速度:3℃/分で2回、測定温度範囲:−50℃から250℃)
2回目の測定における、1)ガラス領域(50℃)における線膨張係数、2)硬化物が暴される温度領域における線膨張係数(30℃から150℃の温度範囲における平均膨張係数)を評価した。
<硬化物の強靭性(機械強度)の評価>
硬化物フィルムを用いて、日本工業規格(JIS K7127)に準拠し、引張破断強度測定を行った。
Figure 0005504553


Figure 0005504553


表1及び表2中の各成分は、以下の通り。
エポキシ樹脂(R−3):大日本インキ化学工業株式会社製ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(ビス(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン)「エピクロン HP−4700」(エポキシ当量:167g/当量 軟化点:91℃ ICI粘度 4.5dPa.s)
エポキシ樹脂(R−4):大日本インキ化学工業株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン 850S」(エポキシ当量:188g/当量 液状 ICI粘度 <0.1dPa.s)
硬化剤(H−1):大日本インキ化学工業株式会社製フェノールノボラック樹脂「フェノライトTD−2090−60M」、水酸基当量105g/当量、固形分軟化点120℃、不揮発分60質量%(溶剤:MEK)〕
硬化剤(H−2):大日本インキ化学工業株式会社製メラミン変性フェノールノボラック樹脂「フェノライトLA−1356」(水酸基当量146g/当量、固形分軟化点135℃、不揮発分60質量%、窒素含有量19質量%)
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール)
MEK:メチルエチルケトン
※1):MEKは、前記硬化剤(H−1)及び硬化剤(H−2)中に含まれているMEKの量を考慮して、組成物全体に占めるMEKの全量が表1又は表2中の量となるように配合した。
図1は実施例2で得られたエポキシ樹脂(E−3)のGPCチャート図である。 図2は実施例2で得られたエポキシ樹脂(E−3)のC13−NMRチャート図である。 図3は実施例3で得られたエポキシ樹脂(E−4)のGPCチャート図である。

Claims (7)

  1. スフェノール型エポキシ樹脂(A)、及び硬化剤(B)を必須成分とし、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)が、下記一般式1
    Figure 0005504553
    (式中、nは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、Aは下記構造式A
    Figure 0005504553
    (構造式A中、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、及びR はそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
    で表される化学構造を表し、
    Bは、下記構造式B
    Figure 0005504553
    (式中、R は、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
    で表される化学構造を表し、Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
    で表されるものであり、かつ、そのエポキシ当量が250〜2,000g/当量の範囲にあることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)が、2,4’−ビスフェノールスルホンとエピハロヒドリンとを反応させて得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、更に、2,4’−ビスフェノールスルホンとを反応させた構造を有するものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(B)に加え、更に、有機溶剤(C)を、固形分濃度が50〜80質量%となる割合で含有する請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  5. 請求項1〜の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物からなることを特徴とするビルドアップフィルム絶縁層用樹脂組成物。
  6. 下記一般式1
    Figure 0005504553
    (式中、nは括弧で括られた繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、Aは、下記構造式A
    Figure 0005504553
    (構造式A中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
    で表される化学構造を表し、
    Bは、下記構造式B
    Figure 0005504553
    (式中、Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
    で表される化学構造を表し、
    Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
    で表される構造を有し、そのエポキシ当量が250〜2000g/当量の範囲にあることを特徴とする新規エポキシ樹脂。
  7. 下記構造式2
    Figure 0005504553
    (式中、mは繰り返し単位の平均で0.1〜10であり、A’下記構造式A
    Figure 0005504553
    (構造式A中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
    で表される化学構造、又は、下記構造式C
    Figure 0005504553
    (構造式C中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17はそれぞれ独立的に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を表し、Xはイソプロピリデン基、メチレン基、又は直接結合を表す。)
    で表される化学構造の何れかであり、A’で表される構造部位のうち少なくとも一つは前記構造式Aで表される化学構造であり、かつ、A’で表される構造部位のうち少なくとも一つは前記構造式Cで表される化学構造である。また、
    Bは、下記構造式B
    Figure 0005504553
    (式中、Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
    で表される化学構造を表し、
    Gは、グリシジル基を表す。また、AとBとの結合位置は、前記構造式A中、2位、4’位の何れであってもよい。)
    で表される構造を有し、そのエポキシ当量が250〜2000g/当量の範囲にあることを特徴とする新規エポキシ樹脂。
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