JP2005025952A - 導体ペースト及びその利用 - Google Patents

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健一 杉村
Koji Mori
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Abstract

【課題】比較的低温域で焼成した場合であってもセラミック基材と導体膜との間の焼成収縮率の差を縮め得るセラミック添加剤を含む導体ペーストを提供すること。
【解決手段】本発明の導体ペーストは、融点が1100℃以下の金属から実質的に構成された導電性粉末を主成分とする導体ペーストである。このペーストには、粉末状のセラミック添加剤であってSEM測定に基づく平均粒径が0.05μm以下であること、及び/又は、構成粒子の少なくとも80個数%がSEM測定に基づく粒径0.01〜0.05μmの範囲にあること、を具備するセラミック添加剤が前記導電性粉末100質量部に対して1〜10質量部の割合で含有されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品に電極その他の膜状導体を形成する用途に用いられる導体ペースト、特に低温焼成タイプのセラミック基材に導体(例えば内部電極)を形成する用途に好適な導体ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】電子回路や抵抗、コンデンサ等を構築するのに用いられる各種セラミック配線基板その他のセラミック電子部品のセラミック基材(基板)に所定パターンの膜状導体(配線、電極等)を形成する材料として導体ペーストが使用されている。導体ペーストは、セラミック基材に膜状導体を形成する主成分たる導電性粉末と必要に応じて添加される種々の添加剤(無機結合剤、界面活性剤、フィラー等)とを所定の有機媒質(ビークル)に分散させることにより調製される導体形成材料である。導電性粉末としては、金、白金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫、鉛、インジウム等、又はこれらの任意の組み合わせから成る金属粉末が用いられている。
【0003】
また、積層セラミックコンデンサや積層インダクタ等の積層セラミック電子部品は、予め導体ペーストが付与されて形成された導体膜(未焼成導体パターン)を有する未焼成セラミック基材(グリーンシート)を複数枚積層し、次いで、当該積層体を適当な温度で焼成する(焼き付ける)。このことにより、セラミック基材(セラミック誘電体)と所定パターンの導体膜(即ち内部電極)とが積層されて成るセラミック積層基板を備えた積層セラミック電子部品が得られる。
従来、焼成時におけるセラミック誘電体と導体膜との収縮率の差を小さくし、所望する接着強度を確保しつつ構造欠陥、断線等を防止するため、セラミック誘電体と収縮率の近似したセラミック添加剤が導体ペーストに添加されている。
例えば特許文献1〜6には、セラミック添加剤としてBaTiO粉末、CaTiO粉末等のチタン酸塩系セラミック添加剤を含有するNiペーストが記載されている。
【0004】
ところで、従来よりも低温で焼成するタイプのセラミック積層基板を備える積層セラミック電子部品の需要が近年増大している(例えば高周波通信システム用)。低温焼成タイプのセラミック基材(基板)は、焼成温度を比較的低くすることができるため(例えば1000℃以下)、導電性のよい低融点の金属、例えば銀(Ag)、銅(Cu)を使用して導体(例えば内部電極)を形成することができる。すなわち、低温焼成タイプのセラミック基材の内部電極形成用途には、Agから成る導電性粉末を主体とする導体ペースト(Agペースト)やCuから成る導電性粉末を主体とする導体ペースト(Cuペースト)を使用することができる。また、焼成温度が低いため、アルミナ基板のような高温(例えば1500℃)で焼成する場合と比較して、低コストで目的の積層セラミック電子部品を製造することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−68559号公報
【特許文献2】特開2000−277369号公報
【特許文献3】特開平11−124602号公報
【特許文献4】特開平10−144561号公報
【特許文献5】特開平11−214242号公報
【特許文献6】特開2002−245874号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような低温焼成用導体ペースト(Cuペースト、Agペースト等)を使用する場合でも、焼成時におけるセラミック基板(即ちグリーンシートが焼結されて成るセラミック誘電体)と導体膜との収縮率の差を小さくするためのセラミック添加剤を、用いる導体ペーストに含有させておくことが望ましい。
しかしながら、従来使用されているようなセラミック添加剤(例えば上記各特許文献に記載されているような形態のチタン酸バリウム)は耐熱性が高すぎて1000℃前後の焼成温度では焼結が困難であった。その対策としてかかるセラミック添加剤の添加量を下げた場合には、導体膜の収縮抑制効果が小さくなり好ましくない。即ちセラミック基材(誘電体)と導体膜との間の焼成収縮率差を縮め難かった。また、適用対象のセラミック基材の誘電体組成と異なるセラミック添加剤を多量に加えることは製品の温度特性に影響を及ぼすため好ましくない。
従って、セラミック基材(誘電体)と導体膜との焼成収縮率差を縮めるとともに、比較的低温(例えば1100℃以下)域で焼成する場合でも導電性、温度特性等に優れた導体膜及び該導体膜を備えたセラミック電子製品を製造し得る低温焼成用導体ペーストが望まれている。
【0007】
本発明は、導体ペーストに関する上記従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、比較的低温域で焼成した場合であってもセラミック基材と導体膜との間の焼成収縮率の差を縮め得るセラミック添加剤を含む導体ペーストを提供することである。また、他の目的の一つは、そのような導体ペーストを用いてセラミック電子部品の導体膜(導体層)を作製する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明者は、セラミック添加剤として所定粒径範囲のものを所定の含有率で含むCu、Ag等の低融点金属粉末を主体とする導体ペースト(以下「低温焼成用導体ペースト」ともいう。)であって、比較的低温域で焼成しても上記低融点金属粉末と共にセラミック添加剤が良好に焼結され得、チタン酸バリウムその他のセラミック誘電体と導体膜との熱収縮率差を縮め得る導体ペーストを創出した。
【0009】
すなわち、ここで開示される導体ペーストは、融点が1100℃以下の金属から実質的に構成された導電性粉末を主成分とする導体ペーストである。このペーストには、粉末状のセラミック添加剤であって、以下の条件:
SEM測定に基づく平均粒径が0.05μm以下であること;及び
構成粒子の少なくとも80個数%がSEM測定に基づく粒径0.01〜0.05μmの範囲にあること;
のうちの少なくともいずれかを具備するセラミック添加剤が、上記導電性粉末100質量部に対して1〜10質量部の割合で含有されている。
ここでSEM測定に基づく粒径及び平均粒径とは、走査電子顕微鏡(SEM)により観察・測定した粒径(典型的には定方向径若しくは定方等分径)及び平均粒径をいう。
【0010】
上記導体ペーストを用いてセラミックグリーンシートに導体膜を形成すると、最高焼成温度(導電性粉末の融点以下)が比較的低温であってもセラミック誘電体(即ちグリーンシート焼結物)と導体膜との間の熱収縮率差を小さくし得、高い接着強度でセラミック誘電体に導体膜を形成することができる。
また、この導体ペーストによると、低温焼成であってもセラミック添加剤が良好に焼結されるため、また添加量も少ないため、導電性、温度特性(例えば静電容量の温度依存性)に優れる導体膜を製造することができる。延いては、そのような導体膜を有する低温焼成タイプのセラミック基材(基板)を備えたセラミック電子部品を製造することができる。
【0011】
ペーストを構成する導電性粉末のSEM測定に基づく平均粒径は、概ね2μm以下であることが好ましい。このような粉末を使用すると、緻密な薄膜形状の導体を形成することが容易となる。このような導体ペーストは、セラミック電子部品、典型的には積層セラミックコンデンサ等のセラミック積層基板を備える積層セラミック電子部品における内部電極(即ち積層基板の各層間に形成される導体膜)を形成するのに好適である。
好ましい導電性粉末としてCu粉末、Ag粉末又はCu若しくはAgと他の金属(Pd等)との合金粉末を主体に構成されているものが挙げられる。
【0012】
ここで開示される導体ペーストの好ましい一つは、ほぼ1050℃以下で焼成されるセラミックグリーンシートに導体を形成するために使用されるペーストである。上述した構成の導体ペーストによれば、焼成温度が1050℃以下の場合にも高い接着強度の良好な導体膜を形成することができる。
【0013】
また、ここで開示される導体ペーストの好ましい他の一つは、上記セラミック添加剤が上記グリーンシートを構成するセラミックと実質的に同じ組成のセラミックから構成されているペーストである。導体ペーストに添加されるセラミック添加剤の材質(組成)と、当該ペーストを適用するセラミックグリーンシート(セラミック基材)の材質(組成)とを一致させることによって、低温焼成時のセラミック誘電体(グリーンシート焼結体)と導体膜の熱収縮率の差をより縮めることができる。温度特性に及ぼす影響もなくし得る。
例えば、上記セラミック添加剤がチタン酸バリウム系セラミック(即ちチタン酸バリウム又はチタン酸バリウムを主成分とするセラミック)粉末であることを特徴とする導体ペーストは、チタン酸バリウム系セラミックから成るグリーンシート(即ちペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体材料)に低融点の金属(導電性粉末)から成る導体膜を形成するのに好適である。
【0014】
また、本発明はここで開示される導体ペーストを使用することを特徴とする、セラミック電子部品の導体膜(電極等)を作製する方法を提供する。
すなわち、ここで開示されるいずれかの導体ペーストを用意する工程と、該導体ペーストをセラミックグリーンシートに付与して所定形状の導体膜を形成する工程と、上記導体ペーストが付与されたグリーンシートを焼成する工程とを包含する方法である。好ましくは最高焼成温度は1050℃以下に設定される。
この方法によると、焼成温度が1050℃以下のような低温焼成によっても、高い接着強度の良好な導体膜をセラミック基材上に作製(形成)することができる。上記導体ペーストが付与されたグリーンシートを複数積層することによって積層セラミック電子部品の内部電極を作製することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
本発明の導体ペーストは、特定の粒径範囲のセラミック添加剤を特定の割合で含有することで特徴付けられる導体ペーストであり、上述の目的を達成し得る限りにおいて他の成分の内容や組成に特に制限はない。
ペーストの導電性粉末は、融点が1100℃以下の金属から実質的に構成されていればよい。このような低融点の導電性粉末として代表的なものに、Cu粉末、Ag粉末又はCu若しくはAgと他の金属との合金粉末(例えばAgとPdとから成る低融点の合金粉末)が挙げられる。
導電性粉末の粒径は特に制限されないが、緻密構造の焼成膜を形成するという観点からはSEM測定に基づく平均粒径(典型的には定方向径若しくは定方等分径)が概ね2.0μm以下(例えば0.1〜2.0μm、好ましくは0.2〜1.0μm)の微粉末が好ましい。また、そのような比較的微小な平均粒径を有し且つ粒径10μm以上(特に好ましくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないような粒度分布の比較的狭い微粉末が特に好ましい。
【0017】
ペーストにおける導電性粉末の含有率は、特に限定するものではないが、ペースト全体の30〜90質量%、特に40〜60質量%程度であることが好ましい。
なお、導電性粉末は、従来公知の製造方法によって製造されたものでよく、特別な製造手段を要求するものではない。例えば、周知の還元析出法、気相反応法、ガス還元法等によって製造された金属微粒子を使用することができる。また、所望する粒径や純度の市販品を用いることもできる。
【0018】
次に、セラミック添加剤について説明する。
本発明に係るセラミック添加剤は、SEM測定に基づく平均粒径(以下「SEM平均粒径」と略称する。)が概ね0.05μm以下(例えば0.01〜0.05μm)、好ましくは0.03μm以下(例えば0.01〜0.03μm)であるか、あるいは該セラミック添加剤の80個数%が0.01〜0.05μm、好ましくは0.01〜0.03μmの範囲にある。このような特性のセラミック添加剤を使用することにより、セラミック基材(誘電体)と導体膜との熱収縮率差を縮める効果が向上する。また、1100℃以下の低温域での焼成であっても十分に焼結された導体膜を得ることができる。また、誘電率等の温度特性が良好な導体膜(焼成膜)を得ることができる。好ましい態様において、JIS C6424に従う温度特性が、最も優れた特A、少なくとも特Bの評価が得られ得る。
一方、使用するセラミック添加剤のSEM平均粒径が0.05μmよりも大きすぎると、あるいは該セラミック添加剤の構成粒子の80個数%のSEM測定に基づく粒径が0.01〜0.05μmの範囲から大きく逸脱すると低温焼結が不充分となり、得られる導体膜の導電性、温度特性等に悪影響を及ぼす虞がある。
【0019】
ここで開示される導体ペーストでは、セラミック添加剤の添加量は導電性粉末100質量部に対して、1〜10質量部の割合が望ましい。好ましくは3〜10質量部、特に3〜5質量部の割合で添加することが好適である。添加量(含有量)が導電性粉末100質量部に対して1質量部未満であると、セラミック添加剤を加える効果があまり期待できない。一方、かかる添加量(含有量)が導電性粉末100質量部に対して10質量部を越えると、得られる導体膜の導電性、温度特性等に悪影響を及ぼす虞がある。
【0020】
導体ペーストに添加し得るセラミック添加剤としては、導体ペーストに従来用いられている種々の材質のセラミック添加剤を利用可能であるが、ペーストを付与する対象物であるセラミック基材(誘電体)と同じ材質のセラミック添加剤、或いは対象物であるセラミック基材に近似した焼成収縮率を有する材質のセラミック添加剤が好ましい。このような材質の具体例としてチタン酸塩系セラミックが挙げられる。例えば、チタン酸バリウム系セラミック(即ちチタン酸バリウム又はチタン酸バリウムを主成分とするセラミック)、チタン酸カルシウム系セラミック(即ちチタン酸カルシウム又はチタン酸カルシウムを主成分とするセラミック)、チタン酸ストロンチウム系セラミック(即ちチタン酸ストロンチウム又はチタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック)、チタン酸ビスマス系セラミック(即ちチタン酸ビスマス又はチタン酸ビスマスを主成分とするセラミック)、チタン酸マグネシウム系セラミック(即ちチタン酸マグネシウム又はチタン酸マグネシウムを主成分とするセラミック)が好適例として挙げられる。特にチタン酸バリウム系セラミック粉末から成るセラミック添加剤が好適である。
【0021】
なお、用途限定を意図するものではないが、ここで開示される導体ペーストは1050℃以下、特に600〜1000℃程度で焼成されるセラミックグリーンシートに所定パターンの導体膜(配線、電極等)を形成する材料として好適である。
【0022】
次に、本発明の導体ペーストに含ませ得る他の副成分として好適なものについて説明する。例えば、上記導電性粉末を分散させておく有機媒質(ビークル)が挙げられる。本発明の実施にあたっては、かかる有機ビークルは導電性粉末を分散させておくものであればよく、従来の導体ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチルセルロース等のセルロース系高分子、エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ブチルカルビトール、ターピネオール等の高沸点有機溶媒又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。特に限定しないが、有機ビークルの含有率は、ペースト全体のほぼ10〜60質量%となる量が適当である。
【0023】
また、導体ペーストには、当該ペースト本来の電気的抵抗度(導電性)や導体成分の熱収縮率を著しく損なわない限りにおいて、種々の無機添加剤を副成分として含ませることができる。例えば、かかる無機添加剤としては、ガラス粉末、その他種々のフィラー等が挙げられる。無機添加剤は、導体ペーストから得られる導体のセラミック基材(基板)に対する接着強度の向上を実現することができる。
【0024】
また、導体ペーストには、当該ペースト本来の電気的抵抗度(導電性)やマイグレーション耐性等を著しく損なわない限りにおいて、種々の有機添加剤を副成分として含ませることができる。例えば、かかる有機添加剤としては、各種の有機バインダー、セラミック基材(特に結晶化ガラス系のセラミック基材)との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネート系及びアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙げられる。
有機バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール等をベースとするものが挙げられる。導体ペーストに良好な粘性及びセラミック基材(グリーンシート)に対する塗膜形成能を付与し得るものが好適である。また、導体ペーストに光硬化性(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合物及び光重合開始剤を適宜添加してもよい。
【0025】
なお、上述したものの他、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等を導体ペーストに適宜添加することができる。これら添加剤は、従来の導体ペーストの調製に用いられ得るものであればよく、詳細な説明は省略する。
【0026】
次に、導体ペーストの製造方法について説明する。ここで開示される導体ペーストは、従来の導体ペーストと同様、典型的には導電性粉末(例えばAg粉末、Cu粉末)とセラミック添加剤と適当な有機媒質(ビークル)とを混和することによって調製することができる。このとき、必要に応じて上述したような副成分(他の添加剤)を添加・混合するとよい。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、所定の導電性粉末及び各種添加剤を有機ビークルとともに所定の配合比で混合し、相互に練り合わせる。
【0027】
次に、ここで開示される導体ペーストを用いた導体膜形成に係る好適例について説明する。
ここで開示される導体ペーストは、セラミックグリーンシート上に配線、電極等の導体を形成するのに従来用いられてきた導体ペーストと同様に取り扱うことができ、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。
典型的には、スクリーン印刷法やディスペンサー塗布法等によって、所望する形状・厚みとなるようにして導体ペーストをセラミックグリーンシートの所定の部位に塗りつけ、好ましくは乾燥する。積層セラミックコンデンサ(MLCC)のような積層セラミック電子部品の内部電極を作製する場合は、内部電極に相当するパターンで予め導体ペーストが付与されたセラミックグリーンシートを所定枚数積み重ね、これらを積層方向に圧着するとよい。
なお、適用対象のセラミック基材(グリーンシート)の材質に特に制限はないが、低温焼成タイプのセラミック材料、例えばコーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)等の結晶化ガラス材料、チタン酸バリウム系その他のチタン酸塩セラミック材料、PZT(ジルコンチタン酸鉛)セラミック材料等から成るセラミック基材が好ましい。
【0028】
次いで、加熱器中で適当な加熱条件、例えば概ね1050℃以下(例えば600〜1050℃、特には700〜1000℃)で所定時間加熱することによって、その塗りつけられたペースト成分をセラミック基材ごと焼成(焼き付け)・硬化させる。この一連の処理を行うことによって、目的の導体(配線、電極等)が形成された電子部品(例えば積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタ等の構築用セラミック配線基板)が得られる。而して、当該電子部品を組み立て材料として用いつつ従来公知の構築方法を適用することによってさらに高度な電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ等の積層セラミック電子部品)を得ることができる。なお、かかる構築方法自体は従来公知の方法であり、特に本発明を特徴付けるものではないため詳細な説明は省略する。
【0029】
【実施例】以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0030】
<材料>
以下の実施例及び比較例において、使用した主要材料は以下のとおりである。
(1)銅粉末(SEM平均粒径:0.5μm)
(2)平均粒径の異なる各種チタン酸バリウム(以下「BT」と略称する。)
▲1▼SEM平均粒径:0.03μm
▲2▼SEM平均粒径:0.05μm
▲3▼SEM平均粒径:0.1μm
【0031】
<実施例1:導体ペーストの調製(1)>
本実施例では、BTとして上記▲1▼で示したものを使用した。すなわち、銅粉末50質量%、BTは銅粉末100質量部に対して1質量部(ペースト全体の0.5質量%)、界面活性剤(ポリマー系)1質量%、残部がビークル(特に制限はないがここではエチルセルロース樹脂をターピネオール系溶剤に溶解させたものを使用した。)となるように、各材料を秤量した。
次いで、秤量した銅粉末、BT、界面活性剤及びビークルを混合し、三本ロールミルを用いてよく練り合わせた。これにより、本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0032】
<実施例2:導体ペーストの調製(2)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して3質量部(即ちペースト全体の1.5質量%)に変更したことを除いて実施例1と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0033】
<実施例3:導体ペーストの調製(3)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して5質量部(即ちペースト全体の2.5質量%)に変更したことを除いて実施例1と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0034】
<実施例4:導体ペーストの調製(4)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して10質量部(即ちペースト全体の5質量%)に変更したことを除いて実施例1と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0035】
<実施例5:導体ペーストの調製(5)>
BTとして上記▲2▼で示したものを使用したことを除いて実施例1と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。即ち、▲2▼BTは銅粉末100質量部に対して1質量部(ペースト全体の0.5質量%)添加した。
【0036】
<実施例6:導体ペーストの調製(6)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して3質量部(即ちペースト全体の1.5質量%)に変更したことを除いて実施例5と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0037】
<実施例7:導体ペーストの調製(7)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して5質量部(即ちペースト全体の2.5質量%)に変更したことを除いて実施例5と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0038】
<実施例8:導体ペーストの調製(8)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して10質量部(即ちペースト全体の5質量%)に変更したことを除いて実施例5と同様の材料及びプロセスによって本実施例に係る導体ペーストを調製した。
【0039】
<比較例1:銅粉末の粒径が異なる導体ペーストの調製(1)>
BTとして上記▲3▼で示したものを使用したことを除いて実施例1と同様の材料及びプロセスによって本比較例に係る導体ペーストを調製した。即ち、▲3▼BTは銅粉末100質量部に対して1質量部(ペースト全体の0.5質量%)添加した。
【0040】
<比較例2:銅粉末の粒径が異なる導体ペーストの調製(2)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して3質量部(即ちペースト全体の1.5質量%)に変更したことを除いて比較例1と同様の材料及びプロセスによって本比較例に係る導体ペーストを調製した。
【0041】
<比較例3:銅粉末の粒径が異なる導体ペーストの調製(3)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して5質量部(即ちペースト全体の2.5質量%)に変更したことを除いて比較例1と同様の材料及びプロセスによって本比較例に係る導体ペーストを調製した。
【0042】
<比較例4:銅粉末の粒径が異なる導体ペーストの調製(4)>
BTの配合割合を銅粉末100質量部に対して10質量部(即ちペースト全体の5質量%)に変更したことを除いて比較例1と同様の材料及びプロセスによって本比較例に係る導体ペーストを調製した。
【0043】
<参考例:BTを含まない導体ペーストの調製>
BTを添加しないことを除いて上記各実施例及び比較例と同様の材料及びプロセスによって導体ペーストを調製した。
【0044】
<実験例1:焼成収縮率の測定>
次に、実施例1〜8、比較例1〜4及び参考例の各導体ペーストを金属プレート状に塗布し、その後乾燥させることによって、厚さ10〜50μmのフィルムをそれぞれ形成した。これらフィルムから直径20mmの円盤をいくつか切り抜き、各導体ペースト由来の試料とした。
次いで、これら円盤試料を大気中において300℃まで加熱した。その温度を20分間維持することにより脱バインダー処理した。
【0045】
その後、各円盤試料を5mol%の水素を含有する窒素ガス雰囲気中に移し、最高焼成温度を400℃、550℃、700℃、850℃及び950℃のいずれかに設定して各試料を焼成した。そして、焼成後の円盤試料の寸法(直径)を計測し、焼成前の試料の直径との差を焼成収縮率(%)とした。
結果を表1及び図1〜図3に示す。図1は、参考例ならびに実施例1〜4(使用したBTのSEM平均粒径:0.03μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。また、図2は、参考例ならびに実施例5〜8(使用したBTのSEM平均粒径:0.05μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。また、図3は、参考例ならびに比較例1〜4(使用したBTのSEM平均粒径:0.1μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。
【0046】
【表1】
Figure 2005025952
【0047】
表1及び図1〜3から明らかなように、添加BTのSEM平均粒径が0.1μmである比較例1〜4に係る試料に比べ、添加BTのSEM平均粒径が0.03μmである実施例1〜4に係る試料及び添加BTのSEM平均粒径が0.05μmである実施例5〜8に係る試料は、焼成収縮率の低下が顕著であった。
特に、図1及び図2から明らかなように、最高焼成温度が700〜850℃のとき、SEM平均粒径が0.03μm又は0.05μmのBTを添加して成る試料では、ペースト中のBT含有率が低い場合(ペースト中の含有率が0.5質量%の場合及び1.5質量%の場合:実施例1,2,5,6参照)でも、顕著に焼成収縮率を低下させ得ることが認められた。
【0048】
以上の実施例において、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書において例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例(BT無添加)ならびに実施例1〜4(使用したBTのSEM平均粒径:0.03μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。
【図2】参考例(BT無添加)ならびに実施例5〜8(使用したBTのSEM平均粒径:0.05μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。
【図3】参考例(BT無添加)ならびに比較例1〜4(使用したBTのSEM平均粒径:0.1μm)に係る導体ペーストから作製した円盤試料についての各焼成温度と収縮率との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 融点が1100℃以下の金属から実質的に構成された導電性粉末を主成分とする導体ペーストであって、
    粉末状のセラミック添加剤であって以下の条件:
    SEM測定に基づく平均粒径が0.05μm以下であること;及び
    構成粒子の少なくとも80個数%がSEM測定に基づく粒径0.01〜0.05μmの範囲にあること;
    のうちの少なくともいずれかを具備するセラミック添加剤が、前記導電性粉末100質量部に対して1〜10質量部の割合で含有されている、導体ペースト。
  2. 前記導電性粉末のSEM測定に基づく平均粒径が2μm以下である、請求項1に記載の導体ペースト。
  3. 前記導電性粉末は、Cu粉末、Ag粉末又はCu若しくはAgと他の金属との合金粉末を主体に構成されている、請求項1又は2に記載の導体ペースト。
  4. 1050℃以下で焼成されるセラミックグリーンシートに導体を形成するために使用される、請求項1〜3のいずれかに記載の導体ペースト。
  5. 前記セラミック添加剤は、前記グリーンシートを構成するセラミックと実質的に同じ組成のセラミックから構成されている、請求項4に記載の導体ペースト。
  6. 前記セラミック添加剤はチタン酸バリウム系セラミック粉末から実質的に構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の導体ペースト。
  7. セラミック電子部品の導体膜を作製する方法であって、
    請求項1〜6のいずれかに記載の導体ペーストを用意する工程と、
    該導体ペーストをセラミックグリーンシートに付与して所定形状の導体膜を形成する工程と、
    前記導体ペーストが付与されたグリーンシートを焼成する工程と、
    を包含する方法。
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