JP2005024978A - ケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材、取付枠及びプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部の構造及びケーブル引出部形成装置を提供する。また、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部に用いられる巻回部材、取付枠及びプレートを提供する。
【解決手段】壁H内に設置されたボックス12には取付枠13が取付けられ、その取付枠13には、ボックス12内へ延びる軸受け16が形成されている。壁H内に配線された光ファイバケーブルFは、巻回部材14の巻回部19に巻回され、巻回部19の半径は、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径に設定されている。そして、巻回部19に形成された軸部19bを軸受け16に支持させることにより、巻回部材14がボックス12内に設置され、巻回部19により光ファイバケーブルFの最小曲げ半径が維持されている。
【選択図】 図4
【解決手段】壁H内に設置されたボックス12には取付枠13が取付けられ、その取付枠13には、ボックス12内へ延びる軸受け16が形成されている。壁H内に配線された光ファイバケーブルFは、巻回部材14の巻回部19に巻回され、巻回部19の半径は、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径に設定されている。そして、巻回部19に形成された軸部19bを軸受け16に支持させることにより、巻回部材14がボックス12内に設置され、巻回部19により光ファイバケーブルFの最小曲げ半径が維持されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物内で屋内配線により建物壁内に配線された光ファイバケーブルを、巻いた状態で壁面に設置するために形成されるケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材、取付枠及びプレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物内の建物壁内には、ケーブルとして光ファイバケーブルが配線されている。そして、その建物壁には、その光ファイバケーブルを室内で使用する機器と接続可能とするために、光ファイバケーブルの引出部が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。図6に示すように、図示しない建物壁内には函51が設置され、その函51の壁面を貫通して第1光ファイバケーブル52が函51内に導入されている。また、第1光ファイバケーブル52には、第1の接続手段53により第2光ファイバケーブル54が接続されている。函51の正面には取付け枠55がネジ止めされ、その取付け枠55に固着された第2の接続手段56に前記第2光ファイバケーブル54が接続されている。
【0003】
前記函51の内部には中空状をなす保護部材57が設けられ、その保護部材57内には第1光ファイバケーブル52及び第2光ファイバケーブル54の余長部分が、それら第1及び第2光ファイバケーブル52,54の最小曲げ半径(許容最小曲率)を超えるように巻回された状態で収容されている。そして、巻回された第1及び第2光ファイバケーブル52,54は自身の弾性力により、半径を大きくする方向へ力が作用するため、保護部材57の内壁に接触し、前記最小曲げ半径を確保した状態で収容されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3360996号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の光ファイバケーブルの引出部の構造において、第1及び第2光ファイバケーブルがその軸線方向へ引張られると、第1及び第2光ファイバケーブルはその巻き半径が小さくなってしまう虞があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部の構造及びケーブル引出部形成装置を提供することにある。また、その他の目的とするところは、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部に用いられる巻回部材、取付枠及びプレートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部の構造であって、前記建物壁には、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材が設けられ、当該巻回部材は、その一部又は全部が、建物壁内に収容された状態で設置されていることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、建物壁内からその表側へ取り出し可能に設置されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、同巻回部材に対するケーブルの巻回方向が建物壁の厚み方向となるように設置されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材には、前記ケーブルを保持するための保持部が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記ケーブルは光ファイバケーブルであり、前記巻回部材は、前記光ファイバケーブルを同光ファイバケーブルの最小曲げ半径で巻回可能に形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記巻回部材は前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記巻回部材は前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記巻回部材は前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のケーブル引出部の構造において、前記プレートには建物壁の表側に配線されたケーブルをプレート内に挿入可能とする接続口が形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスと、当該ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁内に設置されたボックス内に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁に設置された取付枠の内側に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、建物壁内に設置されたボックスに取付枠を取付け、前記巻回部材を、前記取付枠の内側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記巻回部材を、建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記ケーブルを外周に巻回可能とするとともに、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の巻回部材において、前記建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されることを要旨とする。
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0025】
請求項20に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0026】
請求項21に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを要旨とする。
【0027】
請求項22に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを要旨とする。
【0028】
請求項23に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを要旨とする。
【0029】
請求項24に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを要旨とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化したケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材及び取付枠の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0031】
図1に示すように、建築物内には建物壁としての壁Hが立設され、その壁H内にケーブルとしての光ファイバケーブルFが配線されている。なお、前記壁Hは、一対の壁材Wを相対向するように立設することにより形成され、前記光ファイバケーブルFは一対の壁材W内に配線されている。前記壁Hの表面を形成する一方の壁材Wには前記光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出すための透孔Sが穿設されている。前記光ファイバケーブルFの先端部にはプラグPが接続され、このプラグPには接続部としてのコネクタCが接続可能であり、当該コネクタCは別の光ファイバケーブルFのプラグPと接続するために設けられる。このコネクタCは四角筒状をなすとともに、両端部にプラグPを接続可能に形成されている。また、コネクタCの中央外面には外方へ突出する当接片tが形成されている。
【0032】
壁H内に配線された光ファイバケーブルFを、前記壁Hの表側に引出可能とするために前記壁Hには光ファイバケーブル引出部11が形成されている。そして、その光ファイバケーブル引出部11の構造を形成するためには、ケーブル引出部形成装置が使用される。前記ケーブル引出部形成装置は、壁H内に設置される四角箱状をなすボックス12と、壁Hの表側から前記ボックス12に取付けられて同壁Hに設置される四角枠状をなす取付枠13と、前記ボックス12内に収容される巻回部材14とより構成されている。
【0033】
まず、前記ボックス12について説明する。合成樹脂材料製又は金属材料製のボックス12は、前面に開口を有する縦長四角箱状に形成されている。ボックス12の上下方向への長さは、ボックス12の左右方向への長さより長く形成されている。また、ボックス12の内部には前記巻回部材14の後側部が収容可能に形成されている。ボックス12の上下両側壁には、それぞれ一対のケーブル挿通孔12aが穿設されている。さらに、ボックス12の上下両側壁の内面には、それぞれボス部12bが突設され、各ボス部12b内にはビスBを螺合可能とするナット(図示せず)が埋設されている。
【0034】
次に、前記取付枠13について説明する。合成樹脂材料製の取付枠13の上下に相対向する内周縁には、それぞれ前記ビスBを挿通可能な挿通孔15が形成されている。取付枠13の左右に相対向する内周縁には、それぞれ取付部としての軸受け16が形成され、各軸受け16はそれぞれ側面視三角形状に形成されているとともに、取付枠13の後側(背面側)に向かって先細となるように形成されている。各軸受け16には円孔状をなす支持孔16aが形成され、各支持孔16aはそれぞれ軸受け16を貫通して形成されている。また、各軸受け16の相対向する内面にはそれぞれ案内溝16bが凹設され、各案内溝16bはそれぞれ取付枠13の前側(正面側)から前記支持孔16aに向かって直線状に延びるように形成されている。
【0035】
取付枠13の前面下部には、平面視略W状をなす取付突部17が突設されている。この取付突部17の中央部には、前記コネクタCの端部を収容可能とする収容凹部17aが凹設されている。また、取付突部17の前端面、即ち、前記収容凹部17aの両側の端面には、それぞれ取付ビス18を螺合可能とする取付孔17bが形成されている。各取付孔17b内にはそれぞれナット(図示せず)が埋設されている。そして、取付枠13は壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに設置され、その設置状態で、壁H(ボックス12内)に、巻回部材14(巻回部19)の取付部としての前記軸受け16を設け、前記巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置する設置手段として機能する。
【0036】
次に、前記巻回部材14について説明する。合成樹脂製の巻回部材14は円柱状をなす巻回部19と、その巻回部19の両端面から延設された軸部19bとから構成されている。前記巻回部19はその外周に前記光ファイバケーブルFを巻回可能に形成され、同巻回部19の両端の周縁にはリブ19aが巻回部19の径方向へ延びるように形成されている。また、巻回部19において、前記リブ19a以外の部位における半径は60mmに設定され、この60mmは、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を殆ど発生させずに曲げることができる、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径となっている。巻回部19を形成する円柱の両端面において、同両端面の円の中心点となる位置には、前記巻回部19の軸方向へ延びる軸部19bが外方へ突設されている。巻回部19の下面には薄板状をなす延設部20が設けられ、この延設部20は巻回部19の下面から下方へ鉛直に延びるように形成されている。その延設部20の下端部には、平面視略横C字状をなす保持部21が設けられている。この保持部21の内側には前記コネクタCの端部が挿入可能に形成されている。
【0037】
次いで、図3に示すように、前記透孔Sを覆うために、同壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに設置されるプレート22について説明する。合成樹脂製のプレート22は、略縦長板状をなすとともに、長さ方向に沿った中央部には膨出部22bが形成されている。プレート22の外郭は、取付枠13の外郭より大きく形成され、プレート22の後面(背面)の周縁部において、下縁部を除いた位置には周縁リブ22aが形成されている。図4に示すように、前記膨出部22bの下部は下方に開口するように形成され、その開口により接続口22cが構成されている。この接続口22cは、巻回部材14に巻回された光ファイバケーブルFと、壁Hの表側に配線された別のケーブルとを接続するために当該別のケーブルをプレート22内に挿入可能とするためにプレート22に形成されている。
【0038】
さて、ケーブル引出部形成装置を用いて壁Hに光ファイバケーブル引出部11を形成するには、まず、図2に示すように、建築物内に立設された柱(図示せず)にボックス12を固定し、そのボックス12を挟むように一対の壁材Wを立設するとともに、一方の壁材Wをボックス12の前面開口側に立設する。即ち、ボックス12は壁H内に設置される。次に、ボックス12の開口が一方の壁材Wの表側に臨むように、壁材Wを切除し、透孔Sを穿設する。次いで、取付枠13の上下両挿通孔15からビスBを、ボックス12の上下両ボス部12bに螺合して、取付枠13を壁Hの表側からボックス12の前面側に取付けるとともに、取付枠13を壁Hの表面に設置する。すると、一対の軸受け16がボックス12内に延設され、設置手段としての取付枠13によりボックス12内の左右に相対向する内側面にそれぞれ取付部としての軸受け16が設けられる。
【0039】
続いて、ボックス12の下側のケーブル挿通孔12aから、壁H内に配線された光ファイバケーブルFをボックス12内に引込み、さらに、ボックス12内から透孔S内、即ち取付枠13内を通過させて壁Hの表側へ引き出す。そして、その引き出された光ファイバケーブルFの先端にプラグPを接続し、そのプラグPを保持部21の上側からその内部に挿入する。さらに、そのプラグPにコネクタCの上端を接続した後、プラグPを引き上げてコネクタCの上端側を保持部21内に挿入するとともに、当接片tの上面を保持部21の下面に当接させる。すると、光ファイバケーブルFの先端部がプラグP及びコネクタCを介して保持部21に保持されるとともに、同光ファイバケーブルFには、コネクタCにより保持部21の下側から別の光ファイバケーブルFが接続可能な状態になる。
【0040】
次に、保持部21を始点として、巻回部19の外周面に対して光ファイバケーブルFを時計回りとなるように巻き付ける。すると、光ファイバケーブルFが巻回部19によって、前記最小曲げ半径(60mm)となるように巻回される。そして、巻回部材14の側面視において、延設部20が巻回部19の前下部より下方へ延びるように、巻回部材14の後側を、取付枠13の内側からボックス12内に挿入し、両軸部19bをそれぞれ案内溝16b内に挿入する。
【0041】
さらに、巻回部材14をボックス12内へ押し込むと、両軸部19bはそれぞれ案内溝16bにより支持孔16aに向かって案内され、その支持孔16a内に挿入される。その結果、軸部19bが軸受け16に支持され、巻回部材14がボックス12内に収容されるとともに、取付枠13の内側に取付けられる。このとき、巻回部材14は、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向が、ボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるとともに、軸部19bが、ボックス12の深さ方向に対して直交するボックス12の左右方向(水平方向)へ延びるように、ボックス12内に挿入される。巻回部材14がボックス12内に収容された状態では、巻回部材14(巻回部19)は、その後側部の一部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置されるとともに、前側部が透孔Sから壁Hの表側に臨み、壁Hの表側に突出している。
【0042】
また、巻回部材14が壁Hに設置された状態では、保持部21が壁Hの表側に臨んでいる。そして、コネクタCの下端部を収容凹部17a内に収容し、そのコネクタCの前側に四角板状をなす取付板23を配設した後、その取付板23の両端から取付ビス18を取付孔17bに螺合する。すると、図3に示すように、その取付板23により、コネクタCが収容凹部17aから前方へ抜け出ることが防止される。また、コネクタCの当接片tの下面が取付突部17の上面に当接するため、コネクタCが下方へ移動することなく取付枠13の前面下部に固定される。
【0043】
図3及び図4に示すように、巻回部材14(巻回部19)がボックス12内に収容され、壁Hに設置された状態において、プラグPが接続された光ファイバケーブルFの先端側は、透孔S内から壁Hの表側に臨んでいる。また、その光ファイバケーブルFの先端側は、巻回部19の上側から下方に向かって延びるため、取付枠13内の上部から下方へ向かって延びるように配設され、さらに、コネクタCの下端が下方へ臨んでいる。
【0044】
次いで、図4に示すように、プレート22の周縁リブ22aが取付枠13の外周に位置するように、同プレート22を壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに接合するとともに、膨出部22bの内側に壁H表面から突出した巻回部19の一部、延設部20、保持部21及び取付突部17を収容する。その結果、透孔Sをはじめ、その透孔S内から壁Hの表側へ突出した巻回部材14、光ファイバケーブルF、保持部21等はプレート22に覆われる。また、そのプレート22の下方にコネクタCの下端が臨む状態に配設されている。そして、ケーブル引出部形成装置により壁Hには、光ファイバケーブル引出部11が形成され、その光ファイバケーブル引出部11の構造により、壁H内に配線された光ファイバケーブルFが、透孔Sから壁Hの表側に臨むように配線されるとともに、壁Hの表側に引出可能に配線される。
【0045】
即ち、光ファイバケーブル引出部11の構造により、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引出可能とするために、長さに余裕を持った余長部が巻回部19の外周に巻回された状態で壁Hに配線される。そして、巻回部19の半径が、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径(60mm)に設定されているため、前記余長部が最小曲げ半径となる状態で巻回、配線される。そのため、余長部により、例えば、プラグPを別種類のプラグに変更するために、光ファイバケーブルFの先端を切断しても長さに余裕を持つことができ、後の接続作業の際に、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出すことが可能となる。
【0046】
さて、光ファイバケーブルFが壁Hに配線された状態で、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出す際に、その軸線方向となる下方へ引張られたとする。このとき、光ファイバケーブルFは、その巻き半径が収縮しようとするが、光ファイバケーブルFは巻回部19の外周面に巻き着くのみで、巻回部19の半径より小さくなることはない。従って、光ファイバケーブルFは引張られても、その巻き半径が維持され、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径が維持される。
【0047】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)壁H内のボックス12内に、光ファイバケーブルFが巻回された巻回部材14を収容、設置して光ファイバケーブル引出部11の構造とした。そのため、万一、光ファイバケーブルFがその軸線方向へ引張られても、巻回部19により光ファイバケーブルFの巻き半径である最小曲げ半径を維持することができる。従って、光ファイバケーブルFの配線状態で、最小曲げ半径が小さくなり、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を招くといった不具合を殆ど発生させることがなくなる。
【0048】
(2)巻回部材14はボックス12とは別体形成され、さらに壁Hとは別体形成されているため、巻回部材14を壁Hの表側に引き出すことができる。従って、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回した後、巻回部材14をボックス12内に収容して壁Hに設置することができる。その結果、例えば、ボックス12に一体化された巻回部19に光ファイバケーブルFを巻き付ける場合と比較して、光ファイバケーブルFの巻回作業、ひいては、光ファイバケーブルFの配線作業を容易に行うことができる。また、ボックス12内に収容された光ファイバケーブルFをボックス12内から引き出す作業も、巻回部材14をボックス12内から取り出し、壁Hの表側に引き出した後、光ファイバケーブルFを巻回部19から解けばよいため、光ファイバケーブルFの引出作業も容易に行うことができる。
【0049】
(3)軸受け16は、ボックス12内の左右に相対向する位置に設けられ、その軸受け16に軸部19bを支持させることにより、巻回部材14を、光ファイバケーブルFの巻回方向が、ボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるようにボックス12内に設置することができる。即ち、巻回部材14はボックス12の奥行きを利用して同ボックス12内に設置されている。そのため、ボックス12の左右方向への開口幅が、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径(60mm)よりも狭く形成されていても、巻回部材14をボックス12内に収容して壁Hに設置することを可能とすることができる。従って、巻回部材14をボックス12内に収容するために、前記最小曲げ半径より大きな開口幅を有する大型のボックスを用いる必要がなくなる。その結果、通常の電気ケーブルの配線工事と、光ファイバケーブルFの配線工事とを、ボックス12を区別する必要が無くなり、作業者のボックス12の区別に係る負担を減らすことができる。
【0050】
(4)光ファイバケーブルFが巻回部19の上側から下方へ向かって延びるように、巻回部材14が壁Hに設置されている。そのため、プラグPが接続口22cへ臨むように光ファイバケーブルFを配設することができ、接続口22cからプレート22内に挿入された別の光ファイバケーブルFとの接続作業を容易に行うことが可能となる。
【0051】
(5)巻回部材14がボックス12内に設置された状態では、保持部21が壁H表に露出しているため、その保持部21に保持されたコネクタCは壁Hの表面に配置される。そのため、巻き状態にある光ファイバケーブルFが直線状に復帰しようとする作用により、光ファイバケーブルFの先端が壁Hの裏側へ移動してしまう不具合を防止することができる。従って、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、コネクタCをボックス12内から取り出したり、コネクタCの位置を確認等する必要が無く、光ファイバケーブルF同士の接続作業を容易に行うことができる。
【0052】
(6)光ファイバケーブルFの先端にはプラグPが接続され、そのプラグPにはコネクタCが接続されている。そのため、コネクタCを使用することにより、光ファイバケーブルFと別の光ファイバケーブルFとを容易に接続することができる。
【0053】
(7)巻回部材14は、取付枠13を用いることにより壁Hに設置されている。そのため、巻回部材14を壁Hに直接的に固定する場合と比較して、巻回部材14の設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0054】
(8)取付枠13に延設された軸受け16に軸部19bを支持させるだけで、巻回部材14、即ち巻回部19を壁Hに設置することができる。そして、その軸受け16には軸部19bが挿入される支持孔16a、さらに軸部19bを支持孔16aに案内する案内溝16bが形成されている。従って、軸部19bを軸受け16に支持させる作業を容易に行うことができ、壁Hに対する巻回部材14の設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0055】
(9)ボックス12と、取付枠13と、巻回部材14を使用することにより、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回した状態で壁Hに設置することができ、その巻回部19により光ファイバケーブルFの最小曲げ半径を維持することができる。従って、光ファイバケーブルFの配線状態で、最小曲げ半径が小さくなり、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を招くといった不具合を殆ど発生させることがなくなる。
【0056】
(10)壁Hの表面から突出した巻回部材14、取付枠13はプレート22により覆われるため、壁Hの美観の低下を防止することができる。また、プレート22の下部に接続口22cが形成されているため、壁Hの表側に配線された別の光ファイバケーブルFをプレート22内に容易に挿入することができ、両光ファイバケーブルFを容易に接続することができる。
【0057】
(11)巻回部材14は、その後側部がボックス12内に収容された状態で壁Hに設置されている。そのため、巻回部材14に巻回された光ファイバケーブルFをボックス12により保護することができる。
【0058】
(12)取付枠13には取付突部17が突設され、その取付突部17の収容凹部17aにコネクタCを固定することができる。従って、光ファイバケーブルFの先端部を壁Hの表側の一定位置に位置決めすることができ、光ファイバケーブルF同士の接続作業を容易に行うことができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化したケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材及びプレートの第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の取付枠13を省略し、プレート22を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、前記壁Hにおける光ファイバケーブル引出部31を形成するためには、ケーブル引出部形成装置が使用される。前記ケーブル引出部形成装置は、前記ボックス12と、前記巻回部材14と、設置手段としてのプレート32とより構成されている。前記ボックス12及び巻回部材14は第1の実施形態と構成が同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0061】
前記プレート32は、壁Hの透孔Sをはじめ、その透孔S内から壁Hの表側に突出した巻回部材14を覆うために、壁Hの表面に設置される。合成樹脂製のプレート32は、略縦長板状をなすとともに、長さ方向に沿った中央部にはその長さ方向へ延びる膨出部32bが形成されている。プレート32の外郭は、透孔Sより大きく形成され、プレート32の後面(背面)の周縁部において、下縁部を除いた位置には周縁リブ32aが形成されている。前記膨出部32bの下部は下方に開口するように形成され、その開口により前記接続口22cと同様の接続口32cが構成されている。
【0062】
また、図5に破線に示すように、プレート32の相対向する長側辺の中央部には、それぞれ取付部としての軸受け33が形成されている。各軸受け33はそれぞれ側面視三角形状に形成され、プレート32の後側(背面側)に向かって先細となるように形成されている。各軸受け33には円孔状をなす支持孔33aが形成され、各支持孔33aはそれぞれ軸受け33を貫通して形成されている。また、各軸受け33の相対向する内面にはそれぞれ案内溝33bが凹設され、各案内溝33bはそれぞれ軸受け33の先端側から前記支持孔33aに向かって直線状に延びるように形成されている。そして、プレート22は壁Hの表面を形成する一方の壁材Wの表面に設置され、その設置状態で、壁H(ボックス12内)に、巻回部材14(巻回部19)の取付部としての前記軸受け33を設け、前記巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置する設置手段として機能する。
【0063】
さて、ケーブル引出部形成装置を用いて壁Hに光ファイバケーブル引出部31を形成するには、第1の実施形態と同様に、ボックス12を壁H内に設置し、同壁H内に配線された光ファイバケーブルFをボックス12内から透孔Sを貫通させて壁Hの表側に引き出す。そして、保持部21に光ファイバケーブルFの先端部を保持させた後、第1の実施形態と同様に、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回する。
【0064】
次に、保持部21及びコネクタCが、膨出部32b内に収容されるように巻回部材14をプレート32の裏側へ配設し、両軸部19bをそれぞれ案内溝33b内に挿入する。さらに、巻回部材14をプレート32側へ押し込むと、巻回部材14がプレート32の裏側に支持されて取付けられる。巻回部材14がプレート32の裏側に取付けられた状態では、光ファイバケーブルFの先端側は巻回部19の上側から下方へ向かって延びるように配設され、さらに、コネクタCの下端が下方へ臨んでいる。最後に、プレート32の周縁リブ32aが透孔Sの外周に位置するように壁Hの表面に接合するとともに、一対の軸受け33及び巻回部材14をボックス12内に収容する。
【0065】
すると、プレート32が壁Hに設置されることにより、ボックス12内に軸受け33が設けられる。そして、その軸受け33により、ボックス12内に巻回部材14が収容されるとともに、巻回部材14(巻回部19)が壁Hに設置される。巻回部材14がボックス12内に収容された状態では、巻回部材14は、透孔Sから壁Hの表側に臨むように、ボックス12内に後側の一部が収容され、巻回部材14の前側はプレート22の膨出部22b内に収容されている。また、巻回部材14は、光ファイバケーブルFの巻回方向が、壁Hの厚み方向及びボックス12の深さ方向へ延びるとともに、軸部19bが水平方向へ延びるようにボックス12内に設置される。
【0066】
その結果、巻回部材14、光ファイバケーブルF、透孔S等はプレート32に覆われ、そのプレート32の下方にコネクタCの下端が臨む状態に配設されている。そして、ケーブル引出部形成装置により壁Hには、光ファイバケーブル引出部31の構造が形成される。
【0067】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。即ち、プレート32に巻回部材14を支持させた後、プレート32を壁Hに接合すると同時に巻回部材14をボックス12内に収容した。そのため、取付枠13を用いる必要が無いため、部材点数が少なくなり、光ファイバケーブル引出部31を容易に形成することができる。
【0068】
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 各実施形態において、取付枠13に取付部としての軸受け16を設け、プレート22に取付部としての軸受け33を設けたが、以下のように変更してもよい。例えば、巻回部材14の両端面において、軸部19bの代わりに係合凹部を設け、軸受け16,33に前記係合凹部に係合可能な係合突起を形成する。そして、係合突起を係合凹部に係合させて取付枠13、プレート22に巻回部材14を取り付けてもよい。
【0069】
また、巻回部材14の軸部19bを省略するとともに、軸受け16,33の支持孔16a,33a及び案内溝16b,33bを省略する。そして、巻回部19の両端面を軸受け16,33に接着剤等で接着したり、軸受け16,33から巻回部19にビス、釘等を打ち込んだりして、軸受け16,33を取付部として使用して巻回部材14を取付枠13又はプレート22に取り付けてもよい。
【0070】
・ 各実施形態において、取付枠13及びプレート22からそれぞれ軸受け16,33を壁H内へ延びるように形成したが、軸受け16,33を省略するとともに、軸部19bを支持可能とする取付部を取付枠13の内周縁又はプレート22の裏面に形成してもよい。
【0071】
・ 第2の実施形態では、プレート32と巻回部材14とを別体形成し、使用時に両部材14,32を組付けたが以下のように変更してもよい。即ち、プレート32の軸受け33に巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成して、巻回部材14又は巻回部19のみを備えたプレート32を形成する。そして、そのプレート32よりなるケーブル引出部形成装置又はプレート32と、ボックス12とよりなるケーブル引出部形成装置を用いてケーブル引出部を形成してもよい。
【0072】
・ 第1の実施形態では、取付枠13と巻回部材14とを別体形成し、使用時に両部材13,14を組付けたが以下のように変更してもよい。即ち、取付枠13の軸受け16に巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成して、巻回部材14又は巻回部19のみを備えた取付枠13を形成する。そして、その取付枠13よりなるケーブル引出部形成装置又は取付枠13と、ボックス12とよりなるケーブル引出部形成装置を用いてケーブル引出部を形成してもよい。
【0073】
・ 各実施形態では、ボックス12と、巻回部材14と、取付枠13又はプレート32とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部11,31を形成したが、以下のように変更してもよい。即ち、ボックス12を設置手段として壁H内に設置し、そのボックス12の相対向する左右側壁の内面に、取付部としての軸受けを形成するとともに、その軸受けに支持孔及び案内溝のうち少なくとも支持孔を形成する。そして、巻回部材14の軸部19bを支持孔に支持させて、ボックス12内に巻回部材14を直接的に取付けるとともに、その一部又は全部が壁H内に収容されるように壁Hに設置してもよい。このとき、巻回部材14の延設部20及び保持部21を省略し、巻回部19のみをボックス12に支持させる。また、ボックス12と巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置が構成され、そのボックス12と巻回部材14とによりケーブル引出部が壁Hに形成される。
【0074】
・ 第1の実施形態では、ボックス12と、取付枠13と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部11を形成したが、以下のように変更してもよい。ボックス12を省略して、設置手段としての取付枠13と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用してケーブル引出部を形成する。即ち、取付枠13を壁Hの表面に設置し、その取付枠13から壁H内に延設された取付部としての軸受け16に巻回部材14を支持させて取付枠13の内側に巻回部材14を取付ける。そして、その取付枠13により巻回部材14が、その一部又は全部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置され、ケーブル引出部が壁Hに設置される。
【0075】
・ 第2の実施形態では、ボックス12と、プレート32と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部31を形成したが、以下のように変更してもよい。ボックス12を省略して、設置手段としてのプレート32と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用してケーブル引出部を壁Hに形成する。即ち、プレート32を壁Hの表面に設置し、そのプレート32から壁H内に延設された取付部としての軸受け33に巻回部材14を支持させてプレート32の裏側に巻回部材14を取付ける。そして、そのプレート32により巻回部材14が、その一部又は全部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置され、ケーブル引出部が壁Hに設置される。
【0076】
・ 壁Hを形成する一方の壁材Wの裏面に、巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置するための設置手段及び取付部として、同壁材Wの裏側へ延びる軸受けを一体形成し、その軸受けに巻回部材14を支持させて、巻回部19を壁H内に設置してケーブル引出部を形成してもよい。又はその軸受けに巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成してもよい。
【0077】
・ 各実施形態では、光ファイバケーブルFの先端にプラグPを接続し、そのプラグPにコネクタCを接続したが、光ファイバケーブルFの壁Hへの設置状態で、コネクタCを省略してもよい。そして、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、プラグPにコネクタCを接続してもよい。又は光ファイバケーブルFの壁Hへの設置状態で、プラグPとコネクタCを省略してもよい。そして、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、光ファイバケーブルFにプラグP及びコネクタCを接続してもよい。
【0078】
・ 各実施形態では、巻回部19の半径を、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径となる60mmに設定したが、40mm、25mm、15mm等の任意の値に変更してもよく、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径に設定されていなくてもよい。
【0079】
・ 各実施形態では、ケーブルとして光ファイバケーブルFに具体化したが、ケーブルとして電線ケーブル、電話線、同軸ケーブル等に具体化してもよい。
・ 各実施形態では、保持部21が壁Hの表側に臨むように巻回部材14が壁Hに設置されたが、保持部21が壁Hの表側に臨まない状態で巻回部材14が壁Hに設置されていてもよい。
【0080】
・ 保持部21として、巻回部19に巻回された光ファイバケーブルFの外側から巻回部19に取付け可能な保持部材を使用し、その保持部材により光ファイバケーブルFを巻回部材14に保持させてもよい。
【0081】
・ 各実施形態において、巻回部材14のリブ19a及び延設部20並びに保持部21のうちの少なくともいずれか一つを省略してもよい。例えば、延設部20及び保持部21を省略し、巻回部材14を軸部19bを備えた巻回部19のみの構成としてもよい。このように構成した場合、第1の実施形態では、光ファイバケーブルFに接続されたコネクタCを、保持部21に保持させることなく取付突部17の収容凹部17aに直接的に保持させる。第2の実施形態では、例えば、プレート32の膨出部32bの内面に、コネクタCを保持可能な保持突部を形成し、その保持突部にコネクタCを保持させてもよい。
【0082】
・ 各実施形態では、巻回部材14の側面視で時計周りに光ファイバケーブルFを巻回し、巻回部材14の前側の上方から下方に向かって光ファイバケーブルFが延びるようにしたが以下のように変更してもよい。例えば、巻回部材14の側面視で反時計周りに光ファイバケーブルFを巻回し、巻回部材14の前側の下部から上方に向かって光ファイバケーブルFが延びるようにしてもよい。
【0083】
・ 各実施形態では、巻回部材14はその後側部がボックス12内に収容され、前側の一部分が壁Hの表面より外方へ突出した状態となったが以下のように変更してもよい。例えば、第1の実施形態では、ボックス12の深さを深くするとともに、取付枠13の軸受け16の長さを壁Hの内方へ延長して支持孔16aの位置を第1の実施形態より後ろ側に形成する。なお、取付枠13の取付突部17と、巻回部材14の延設部20及び保持部21は省略する。そして、ボックス12に取付枠13が取付けられ、軸受け16に軸部19bが支持された状態で、巻回部材14の全体が壁H内に収容され、さらにボックス12内に収容されていてもよい。第2の実施形態では、ボックス12の深さを深くするとともに、プレート32の軸受け33の長さを壁Hの内方へ延長して支持孔33aの位置を第2の実施形態より後ろ側へ離れた位置に形成する。なお、巻回部材14の延設部20及び保持部21は省略する。そして、壁Hにプレート32が設置され、軸受け33に軸部19bが支持された状態で、巻回部材14の全体が壁H内に収容され、さらにボックス12内に収容されていてもよい。巻回部材14の全体がボックス12内に収容された状態では、光ファイバケーブルFの先端のみが壁Hの表側に引き出され、プレート22,32により透孔Sが覆われている。
【0084】
・ 各実施形態では、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向がボックス12の深さ及び壁Hの厚み方向へ延びるとともに、軸部19bが左右方向へ水平に延びるように取付けたが以下のように変更してもよい。ボックス12の左右方向への開口幅を拡大し、巻回部材14の、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向がボックス12の左右方向へ延びるとともに、軸部19bがボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるように取り付けてもよい。即ち、巻回部材14がボックス12に収容された状態で、巻回部材14が、透孔Sから壁Hの表側に円形状に臨むように、同巻回部材14を壁Hに設置してもよい。
【0085】
・ 各実施形態では、巻回部19に光ファイバケーブルFを巻回した後、巻回部材14を壁H内に設置して光ファイバケーブル引出部11,31を構成したが以下のように変更してもよい。例えば、光ファイバケーブルFが配線される前に、巻回部材14のみを壁H内に設置し、巻回部19のみを設置した状態で光ファイバケーブル引出部11,31を構成してもよい。
【0086】
・ 各実施形態では巻回部19を円柱状に形成したが、四角柱状、三角柱状等に形成してもよい。
・ 各実施形態では、巻回部材14を略円柱状に形成したが、巻回部19を円環状に形成してもよく、円盤状に形成してもよい。
【0087】
・ 各実施形態では、壁Hの裏側に配線された光ファイバケーブルFを、ボックス12内に引込んだが、建物壁としてのコンクリート壁内に光ファイバケーブルFを配線し、同コンクリート壁内に埋設されたボックス12に光ファイバケーブルFを引込んで光ファイバケーブル引出部11,31を形成してもよい。
【0088】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記巻回部材には軸部が突設され、前記軸部が前記取付部として設けられた軸受けに支持されることにより、巻回部材が建物壁に設置され、その設置状態では、巻回部材に対するケーブルの巻回方向が建物壁の厚み方向となるとともに、前記軸部が左右方向へ水平に延びていることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。このように構成した場合、軸部を軸受けに支持させるのみで巻回部材を建物壁に設置することができ、巻回部材の建物壁への設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0089】
(2)前記ケーブルは、その先端側が、前記建物壁の表側で巻回部材の上側から下方に向かって延びるように巻回部材に巻回されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0090】
(3)前記巻回部材は、前記保持部が建物壁の表側に臨むように設置されていることを特徴とする請求項4〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0091】
(4)前記光ファイバケーブルが巻回部の外周に巻回された状態では、同光ファイバケーブルの先端部に、別の光ファイバケーブルと接続するための接続部が設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができる。また、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部に用いられる巻回部材、取付枠及びプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のケーブル引出部形成装置を示す分解斜視図。
【図2】光ファイバケーブルを巻回部材に巻回した状態を示す斜視図。
【図3】取付枠及び巻回部材を壁に設置した状態を示す斜視図。
【図4】光ファイバケーブル引出部を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の光ファイバケーブル引出部を示す断面図。
【図6】従来のケーブルの引出部の構造を示す斜視図。
【符号の説明】
C…接続部としてのコネクタ、F…ケーブルとしての光ファイバケーブル、H…建物壁、S…透孔、11,31…ケーブル引出部としての光ファイバケーブル引出部、12…設置手段としてのボックス、13…設置手段としての取付枠、14…巻回部材、16,33…取付部としての軸受け、19…巻回部、21…保持部、32…設置手段としてのプレート、32c…接続口。
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物内で屋内配線により建物壁内に配線された光ファイバケーブルを、巻いた状態で壁面に設置するために形成されるケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材、取付枠及びプレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物内の建物壁内には、ケーブルとして光ファイバケーブルが配線されている。そして、その建物壁には、その光ファイバケーブルを室内で使用する機器と接続可能とするために、光ファイバケーブルの引出部が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。図6に示すように、図示しない建物壁内には函51が設置され、その函51の壁面を貫通して第1光ファイバケーブル52が函51内に導入されている。また、第1光ファイバケーブル52には、第1の接続手段53により第2光ファイバケーブル54が接続されている。函51の正面には取付け枠55がネジ止めされ、その取付け枠55に固着された第2の接続手段56に前記第2光ファイバケーブル54が接続されている。
【0003】
前記函51の内部には中空状をなす保護部材57が設けられ、その保護部材57内には第1光ファイバケーブル52及び第2光ファイバケーブル54の余長部分が、それら第1及び第2光ファイバケーブル52,54の最小曲げ半径(許容最小曲率)を超えるように巻回された状態で収容されている。そして、巻回された第1及び第2光ファイバケーブル52,54は自身の弾性力により、半径を大きくする方向へ力が作用するため、保護部材57の内壁に接触し、前記最小曲げ半径を確保した状態で収容されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3360996号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の光ファイバケーブルの引出部の構造において、第1及び第2光ファイバケーブルがその軸線方向へ引張られると、第1及び第2光ファイバケーブルはその巻き半径が小さくなってしまう虞があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部の構造及びケーブル引出部形成装置を提供することにある。また、その他の目的とするところは、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部に用いられる巻回部材、取付枠及びプレートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部の構造であって、前記建物壁には、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材が設けられ、当該巻回部材は、その一部又は全部が、建物壁内に収容された状態で設置されていることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、建物壁内からその表側へ取り出し可能に設置されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、同巻回部材に対するケーブルの巻回方向が建物壁の厚み方向となるように設置されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材には、前記ケーブルを保持するための保持部が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記ケーブルは光ファイバケーブルであり、前記巻回部材は、前記光ファイバケーブルを同光ファイバケーブルの最小曲げ半径で巻回可能に形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造において、前記巻回部材は、建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記巻回部材は前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記巻回部材は前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のケーブル引出部の構造において、前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記巻回部材は前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のケーブル引出部の構造において、前記プレートには建物壁の表側に配線されたケーブルをプレート内に挿入可能とする接続口が形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスと、当該ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁内に設置されたボックス内に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁に設置された取付枠の内側に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、建物壁内に設置されたボックスに取付枠を取付け、前記巻回部材を、前記取付枠の内側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記巻回部材を、建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記ケーブルを外周に巻回可能とするとともに、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを要旨とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の巻回部材において、前記建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されることを要旨とする。
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0025】
請求項20に記載の発明は、請求項17に記載の巻回部材において、前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを要旨とする。
【0026】
請求項21に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを要旨とする。
【0027】
請求項22に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを要旨とする。
【0028】
請求項23に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを要旨とする。
【0029】
請求項24に記載の発明は、建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを要旨とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化したケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材及び取付枠の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0031】
図1に示すように、建築物内には建物壁としての壁Hが立設され、その壁H内にケーブルとしての光ファイバケーブルFが配線されている。なお、前記壁Hは、一対の壁材Wを相対向するように立設することにより形成され、前記光ファイバケーブルFは一対の壁材W内に配線されている。前記壁Hの表面を形成する一方の壁材Wには前記光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出すための透孔Sが穿設されている。前記光ファイバケーブルFの先端部にはプラグPが接続され、このプラグPには接続部としてのコネクタCが接続可能であり、当該コネクタCは別の光ファイバケーブルFのプラグPと接続するために設けられる。このコネクタCは四角筒状をなすとともに、両端部にプラグPを接続可能に形成されている。また、コネクタCの中央外面には外方へ突出する当接片tが形成されている。
【0032】
壁H内に配線された光ファイバケーブルFを、前記壁Hの表側に引出可能とするために前記壁Hには光ファイバケーブル引出部11が形成されている。そして、その光ファイバケーブル引出部11の構造を形成するためには、ケーブル引出部形成装置が使用される。前記ケーブル引出部形成装置は、壁H内に設置される四角箱状をなすボックス12と、壁Hの表側から前記ボックス12に取付けられて同壁Hに設置される四角枠状をなす取付枠13と、前記ボックス12内に収容される巻回部材14とより構成されている。
【0033】
まず、前記ボックス12について説明する。合成樹脂材料製又は金属材料製のボックス12は、前面に開口を有する縦長四角箱状に形成されている。ボックス12の上下方向への長さは、ボックス12の左右方向への長さより長く形成されている。また、ボックス12の内部には前記巻回部材14の後側部が収容可能に形成されている。ボックス12の上下両側壁には、それぞれ一対のケーブル挿通孔12aが穿設されている。さらに、ボックス12の上下両側壁の内面には、それぞれボス部12bが突設され、各ボス部12b内にはビスBを螺合可能とするナット(図示せず)が埋設されている。
【0034】
次に、前記取付枠13について説明する。合成樹脂材料製の取付枠13の上下に相対向する内周縁には、それぞれ前記ビスBを挿通可能な挿通孔15が形成されている。取付枠13の左右に相対向する内周縁には、それぞれ取付部としての軸受け16が形成され、各軸受け16はそれぞれ側面視三角形状に形成されているとともに、取付枠13の後側(背面側)に向かって先細となるように形成されている。各軸受け16には円孔状をなす支持孔16aが形成され、各支持孔16aはそれぞれ軸受け16を貫通して形成されている。また、各軸受け16の相対向する内面にはそれぞれ案内溝16bが凹設され、各案内溝16bはそれぞれ取付枠13の前側(正面側)から前記支持孔16aに向かって直線状に延びるように形成されている。
【0035】
取付枠13の前面下部には、平面視略W状をなす取付突部17が突設されている。この取付突部17の中央部には、前記コネクタCの端部を収容可能とする収容凹部17aが凹設されている。また、取付突部17の前端面、即ち、前記収容凹部17aの両側の端面には、それぞれ取付ビス18を螺合可能とする取付孔17bが形成されている。各取付孔17b内にはそれぞれナット(図示せず)が埋設されている。そして、取付枠13は壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに設置され、その設置状態で、壁H(ボックス12内)に、巻回部材14(巻回部19)の取付部としての前記軸受け16を設け、前記巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置する設置手段として機能する。
【0036】
次に、前記巻回部材14について説明する。合成樹脂製の巻回部材14は円柱状をなす巻回部19と、その巻回部19の両端面から延設された軸部19bとから構成されている。前記巻回部19はその外周に前記光ファイバケーブルFを巻回可能に形成され、同巻回部19の両端の周縁にはリブ19aが巻回部19の径方向へ延びるように形成されている。また、巻回部19において、前記リブ19a以外の部位における半径は60mmに設定され、この60mmは、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を殆ど発生させずに曲げることができる、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径となっている。巻回部19を形成する円柱の両端面において、同両端面の円の中心点となる位置には、前記巻回部19の軸方向へ延びる軸部19bが外方へ突設されている。巻回部19の下面には薄板状をなす延設部20が設けられ、この延設部20は巻回部19の下面から下方へ鉛直に延びるように形成されている。その延設部20の下端部には、平面視略横C字状をなす保持部21が設けられている。この保持部21の内側には前記コネクタCの端部が挿入可能に形成されている。
【0037】
次いで、図3に示すように、前記透孔Sを覆うために、同壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに設置されるプレート22について説明する。合成樹脂製のプレート22は、略縦長板状をなすとともに、長さ方向に沿った中央部には膨出部22bが形成されている。プレート22の外郭は、取付枠13の外郭より大きく形成され、プレート22の後面(背面)の周縁部において、下縁部を除いた位置には周縁リブ22aが形成されている。図4に示すように、前記膨出部22bの下部は下方に開口するように形成され、その開口により接続口22cが構成されている。この接続口22cは、巻回部材14に巻回された光ファイバケーブルFと、壁Hの表側に配線された別のケーブルとを接続するために当該別のケーブルをプレート22内に挿入可能とするためにプレート22に形成されている。
【0038】
さて、ケーブル引出部形成装置を用いて壁Hに光ファイバケーブル引出部11を形成するには、まず、図2に示すように、建築物内に立設された柱(図示せず)にボックス12を固定し、そのボックス12を挟むように一対の壁材Wを立設するとともに、一方の壁材Wをボックス12の前面開口側に立設する。即ち、ボックス12は壁H内に設置される。次に、ボックス12の開口が一方の壁材Wの表側に臨むように、壁材Wを切除し、透孔Sを穿設する。次いで、取付枠13の上下両挿通孔15からビスBを、ボックス12の上下両ボス部12bに螺合して、取付枠13を壁Hの表側からボックス12の前面側に取付けるとともに、取付枠13を壁Hの表面に設置する。すると、一対の軸受け16がボックス12内に延設され、設置手段としての取付枠13によりボックス12内の左右に相対向する内側面にそれぞれ取付部としての軸受け16が設けられる。
【0039】
続いて、ボックス12の下側のケーブル挿通孔12aから、壁H内に配線された光ファイバケーブルFをボックス12内に引込み、さらに、ボックス12内から透孔S内、即ち取付枠13内を通過させて壁Hの表側へ引き出す。そして、その引き出された光ファイバケーブルFの先端にプラグPを接続し、そのプラグPを保持部21の上側からその内部に挿入する。さらに、そのプラグPにコネクタCの上端を接続した後、プラグPを引き上げてコネクタCの上端側を保持部21内に挿入するとともに、当接片tの上面を保持部21の下面に当接させる。すると、光ファイバケーブルFの先端部がプラグP及びコネクタCを介して保持部21に保持されるとともに、同光ファイバケーブルFには、コネクタCにより保持部21の下側から別の光ファイバケーブルFが接続可能な状態になる。
【0040】
次に、保持部21を始点として、巻回部19の外周面に対して光ファイバケーブルFを時計回りとなるように巻き付ける。すると、光ファイバケーブルFが巻回部19によって、前記最小曲げ半径(60mm)となるように巻回される。そして、巻回部材14の側面視において、延設部20が巻回部19の前下部より下方へ延びるように、巻回部材14の後側を、取付枠13の内側からボックス12内に挿入し、両軸部19bをそれぞれ案内溝16b内に挿入する。
【0041】
さらに、巻回部材14をボックス12内へ押し込むと、両軸部19bはそれぞれ案内溝16bにより支持孔16aに向かって案内され、その支持孔16a内に挿入される。その結果、軸部19bが軸受け16に支持され、巻回部材14がボックス12内に収容されるとともに、取付枠13の内側に取付けられる。このとき、巻回部材14は、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向が、ボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるとともに、軸部19bが、ボックス12の深さ方向に対して直交するボックス12の左右方向(水平方向)へ延びるように、ボックス12内に挿入される。巻回部材14がボックス12内に収容された状態では、巻回部材14(巻回部19)は、その後側部の一部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置されるとともに、前側部が透孔Sから壁Hの表側に臨み、壁Hの表側に突出している。
【0042】
また、巻回部材14が壁Hに設置された状態では、保持部21が壁Hの表側に臨んでいる。そして、コネクタCの下端部を収容凹部17a内に収容し、そのコネクタCの前側に四角板状をなす取付板23を配設した後、その取付板23の両端から取付ビス18を取付孔17bに螺合する。すると、図3に示すように、その取付板23により、コネクタCが収容凹部17aから前方へ抜け出ることが防止される。また、コネクタCの当接片tの下面が取付突部17の上面に当接するため、コネクタCが下方へ移動することなく取付枠13の前面下部に固定される。
【0043】
図3及び図4に示すように、巻回部材14(巻回部19)がボックス12内に収容され、壁Hに設置された状態において、プラグPが接続された光ファイバケーブルFの先端側は、透孔S内から壁Hの表側に臨んでいる。また、その光ファイバケーブルFの先端側は、巻回部19の上側から下方に向かって延びるため、取付枠13内の上部から下方へ向かって延びるように配設され、さらに、コネクタCの下端が下方へ臨んでいる。
【0044】
次いで、図4に示すように、プレート22の周縁リブ22aが取付枠13の外周に位置するように、同プレート22を壁Hの表面を形成する一方の壁材Wに接合するとともに、膨出部22bの内側に壁H表面から突出した巻回部19の一部、延設部20、保持部21及び取付突部17を収容する。その結果、透孔Sをはじめ、その透孔S内から壁Hの表側へ突出した巻回部材14、光ファイバケーブルF、保持部21等はプレート22に覆われる。また、そのプレート22の下方にコネクタCの下端が臨む状態に配設されている。そして、ケーブル引出部形成装置により壁Hには、光ファイバケーブル引出部11が形成され、その光ファイバケーブル引出部11の構造により、壁H内に配線された光ファイバケーブルFが、透孔Sから壁Hの表側に臨むように配線されるとともに、壁Hの表側に引出可能に配線される。
【0045】
即ち、光ファイバケーブル引出部11の構造により、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引出可能とするために、長さに余裕を持った余長部が巻回部19の外周に巻回された状態で壁Hに配線される。そして、巻回部19の半径が、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径(60mm)に設定されているため、前記余長部が最小曲げ半径となる状態で巻回、配線される。そのため、余長部により、例えば、プラグPを別種類のプラグに変更するために、光ファイバケーブルFの先端を切断しても長さに余裕を持つことができ、後の接続作業の際に、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出すことが可能となる。
【0046】
さて、光ファイバケーブルFが壁Hに配線された状態で、光ファイバケーブルFを壁Hの表側に引き出す際に、その軸線方向となる下方へ引張られたとする。このとき、光ファイバケーブルFは、その巻き半径が収縮しようとするが、光ファイバケーブルFは巻回部19の外周面に巻き着くのみで、巻回部19の半径より小さくなることはない。従って、光ファイバケーブルFは引張られても、その巻き半径が維持され、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径が維持される。
【0047】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)壁H内のボックス12内に、光ファイバケーブルFが巻回された巻回部材14を収容、設置して光ファイバケーブル引出部11の構造とした。そのため、万一、光ファイバケーブルFがその軸線方向へ引張られても、巻回部19により光ファイバケーブルFの巻き半径である最小曲げ半径を維持することができる。従って、光ファイバケーブルFの配線状態で、最小曲げ半径が小さくなり、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を招くといった不具合を殆ど発生させることがなくなる。
【0048】
(2)巻回部材14はボックス12とは別体形成され、さらに壁Hとは別体形成されているため、巻回部材14を壁Hの表側に引き出すことができる。従って、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回した後、巻回部材14をボックス12内に収容して壁Hに設置することができる。その結果、例えば、ボックス12に一体化された巻回部19に光ファイバケーブルFを巻き付ける場合と比較して、光ファイバケーブルFの巻回作業、ひいては、光ファイバケーブルFの配線作業を容易に行うことができる。また、ボックス12内に収容された光ファイバケーブルFをボックス12内から引き出す作業も、巻回部材14をボックス12内から取り出し、壁Hの表側に引き出した後、光ファイバケーブルFを巻回部19から解けばよいため、光ファイバケーブルFの引出作業も容易に行うことができる。
【0049】
(3)軸受け16は、ボックス12内の左右に相対向する位置に設けられ、その軸受け16に軸部19bを支持させることにより、巻回部材14を、光ファイバケーブルFの巻回方向が、ボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるようにボックス12内に設置することができる。即ち、巻回部材14はボックス12の奥行きを利用して同ボックス12内に設置されている。そのため、ボックス12の左右方向への開口幅が、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径(60mm)よりも狭く形成されていても、巻回部材14をボックス12内に収容して壁Hに設置することを可能とすることができる。従って、巻回部材14をボックス12内に収容するために、前記最小曲げ半径より大きな開口幅を有する大型のボックスを用いる必要がなくなる。その結果、通常の電気ケーブルの配線工事と、光ファイバケーブルFの配線工事とを、ボックス12を区別する必要が無くなり、作業者のボックス12の区別に係る負担を減らすことができる。
【0050】
(4)光ファイバケーブルFが巻回部19の上側から下方へ向かって延びるように、巻回部材14が壁Hに設置されている。そのため、プラグPが接続口22cへ臨むように光ファイバケーブルFを配設することができ、接続口22cからプレート22内に挿入された別の光ファイバケーブルFとの接続作業を容易に行うことが可能となる。
【0051】
(5)巻回部材14がボックス12内に設置された状態では、保持部21が壁H表に露出しているため、その保持部21に保持されたコネクタCは壁Hの表面に配置される。そのため、巻き状態にある光ファイバケーブルFが直線状に復帰しようとする作用により、光ファイバケーブルFの先端が壁Hの裏側へ移動してしまう不具合を防止することができる。従って、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、コネクタCをボックス12内から取り出したり、コネクタCの位置を確認等する必要が無く、光ファイバケーブルF同士の接続作業を容易に行うことができる。
【0052】
(6)光ファイバケーブルFの先端にはプラグPが接続され、そのプラグPにはコネクタCが接続されている。そのため、コネクタCを使用することにより、光ファイバケーブルFと別の光ファイバケーブルFとを容易に接続することができる。
【0053】
(7)巻回部材14は、取付枠13を用いることにより壁Hに設置されている。そのため、巻回部材14を壁Hに直接的に固定する場合と比較して、巻回部材14の設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0054】
(8)取付枠13に延設された軸受け16に軸部19bを支持させるだけで、巻回部材14、即ち巻回部19を壁Hに設置することができる。そして、その軸受け16には軸部19bが挿入される支持孔16a、さらに軸部19bを支持孔16aに案内する案内溝16bが形成されている。従って、軸部19bを軸受け16に支持させる作業を容易に行うことができ、壁Hに対する巻回部材14の設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0055】
(9)ボックス12と、取付枠13と、巻回部材14を使用することにより、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回した状態で壁Hに設置することができ、その巻回部19により光ファイバケーブルFの最小曲げ半径を維持することができる。従って、光ファイバケーブルFの配線状態で、最小曲げ半径が小さくなり、光ファイバケーブルFの伝送損失の増加や信頼性低下を招くといった不具合を殆ど発生させることがなくなる。
【0056】
(10)壁Hの表面から突出した巻回部材14、取付枠13はプレート22により覆われるため、壁Hの美観の低下を防止することができる。また、プレート22の下部に接続口22cが形成されているため、壁Hの表側に配線された別の光ファイバケーブルFをプレート22内に容易に挿入することができ、両光ファイバケーブルFを容易に接続することができる。
【0057】
(11)巻回部材14は、その後側部がボックス12内に収容された状態で壁Hに設置されている。そのため、巻回部材14に巻回された光ファイバケーブルFをボックス12により保護することができる。
【0058】
(12)取付枠13には取付突部17が突設され、その取付突部17の収容凹部17aにコネクタCを固定することができる。従って、光ファイバケーブルFの先端部を壁Hの表側の一定位置に位置決めすることができ、光ファイバケーブルF同士の接続作業を容易に行うことができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化したケーブル引出部の構造、ケーブル引出部形成装置、巻回部材及びプレートの第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の取付枠13を省略し、プレート22を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、前記壁Hにおける光ファイバケーブル引出部31を形成するためには、ケーブル引出部形成装置が使用される。前記ケーブル引出部形成装置は、前記ボックス12と、前記巻回部材14と、設置手段としてのプレート32とより構成されている。前記ボックス12及び巻回部材14は第1の実施形態と構成が同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0061】
前記プレート32は、壁Hの透孔Sをはじめ、その透孔S内から壁Hの表側に突出した巻回部材14を覆うために、壁Hの表面に設置される。合成樹脂製のプレート32は、略縦長板状をなすとともに、長さ方向に沿った中央部にはその長さ方向へ延びる膨出部32bが形成されている。プレート32の外郭は、透孔Sより大きく形成され、プレート32の後面(背面)の周縁部において、下縁部を除いた位置には周縁リブ32aが形成されている。前記膨出部32bの下部は下方に開口するように形成され、その開口により前記接続口22cと同様の接続口32cが構成されている。
【0062】
また、図5に破線に示すように、プレート32の相対向する長側辺の中央部には、それぞれ取付部としての軸受け33が形成されている。各軸受け33はそれぞれ側面視三角形状に形成され、プレート32の後側(背面側)に向かって先細となるように形成されている。各軸受け33には円孔状をなす支持孔33aが形成され、各支持孔33aはそれぞれ軸受け33を貫通して形成されている。また、各軸受け33の相対向する内面にはそれぞれ案内溝33bが凹設され、各案内溝33bはそれぞれ軸受け33の先端側から前記支持孔33aに向かって直線状に延びるように形成されている。そして、プレート22は壁Hの表面を形成する一方の壁材Wの表面に設置され、その設置状態で、壁H(ボックス12内)に、巻回部材14(巻回部19)の取付部としての前記軸受け33を設け、前記巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置する設置手段として機能する。
【0063】
さて、ケーブル引出部形成装置を用いて壁Hに光ファイバケーブル引出部31を形成するには、第1の実施形態と同様に、ボックス12を壁H内に設置し、同壁H内に配線された光ファイバケーブルFをボックス12内から透孔Sを貫通させて壁Hの表側に引き出す。そして、保持部21に光ファイバケーブルFの先端部を保持させた後、第1の実施形態と同様に、光ファイバケーブルFを巻回部19に巻回する。
【0064】
次に、保持部21及びコネクタCが、膨出部32b内に収容されるように巻回部材14をプレート32の裏側へ配設し、両軸部19bをそれぞれ案内溝33b内に挿入する。さらに、巻回部材14をプレート32側へ押し込むと、巻回部材14がプレート32の裏側に支持されて取付けられる。巻回部材14がプレート32の裏側に取付けられた状態では、光ファイバケーブルFの先端側は巻回部19の上側から下方へ向かって延びるように配設され、さらに、コネクタCの下端が下方へ臨んでいる。最後に、プレート32の周縁リブ32aが透孔Sの外周に位置するように壁Hの表面に接合するとともに、一対の軸受け33及び巻回部材14をボックス12内に収容する。
【0065】
すると、プレート32が壁Hに設置されることにより、ボックス12内に軸受け33が設けられる。そして、その軸受け33により、ボックス12内に巻回部材14が収容されるとともに、巻回部材14(巻回部19)が壁Hに設置される。巻回部材14がボックス12内に収容された状態では、巻回部材14は、透孔Sから壁Hの表側に臨むように、ボックス12内に後側の一部が収容され、巻回部材14の前側はプレート22の膨出部22b内に収容されている。また、巻回部材14は、光ファイバケーブルFの巻回方向が、壁Hの厚み方向及びボックス12の深さ方向へ延びるとともに、軸部19bが水平方向へ延びるようにボックス12内に設置される。
【0066】
その結果、巻回部材14、光ファイバケーブルF、透孔S等はプレート32に覆われ、そのプレート32の下方にコネクタCの下端が臨む状態に配設されている。そして、ケーブル引出部形成装置により壁Hには、光ファイバケーブル引出部31の構造が形成される。
【0067】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。即ち、プレート32に巻回部材14を支持させた後、プレート32を壁Hに接合すると同時に巻回部材14をボックス12内に収容した。そのため、取付枠13を用いる必要が無いため、部材点数が少なくなり、光ファイバケーブル引出部31を容易に形成することができる。
【0068】
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 各実施形態において、取付枠13に取付部としての軸受け16を設け、プレート22に取付部としての軸受け33を設けたが、以下のように変更してもよい。例えば、巻回部材14の両端面において、軸部19bの代わりに係合凹部を設け、軸受け16,33に前記係合凹部に係合可能な係合突起を形成する。そして、係合突起を係合凹部に係合させて取付枠13、プレート22に巻回部材14を取り付けてもよい。
【0069】
また、巻回部材14の軸部19bを省略するとともに、軸受け16,33の支持孔16a,33a及び案内溝16b,33bを省略する。そして、巻回部19の両端面を軸受け16,33に接着剤等で接着したり、軸受け16,33から巻回部19にビス、釘等を打ち込んだりして、軸受け16,33を取付部として使用して巻回部材14を取付枠13又はプレート22に取り付けてもよい。
【0070】
・ 各実施形態において、取付枠13及びプレート22からそれぞれ軸受け16,33を壁H内へ延びるように形成したが、軸受け16,33を省略するとともに、軸部19bを支持可能とする取付部を取付枠13の内周縁又はプレート22の裏面に形成してもよい。
【0071】
・ 第2の実施形態では、プレート32と巻回部材14とを別体形成し、使用時に両部材14,32を組付けたが以下のように変更してもよい。即ち、プレート32の軸受け33に巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成して、巻回部材14又は巻回部19のみを備えたプレート32を形成する。そして、そのプレート32よりなるケーブル引出部形成装置又はプレート32と、ボックス12とよりなるケーブル引出部形成装置を用いてケーブル引出部を形成してもよい。
【0072】
・ 第1の実施形態では、取付枠13と巻回部材14とを別体形成し、使用時に両部材13,14を組付けたが以下のように変更してもよい。即ち、取付枠13の軸受け16に巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成して、巻回部材14又は巻回部19のみを備えた取付枠13を形成する。そして、その取付枠13よりなるケーブル引出部形成装置又は取付枠13と、ボックス12とよりなるケーブル引出部形成装置を用いてケーブル引出部を形成してもよい。
【0073】
・ 各実施形態では、ボックス12と、巻回部材14と、取付枠13又はプレート32とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部11,31を形成したが、以下のように変更してもよい。即ち、ボックス12を設置手段として壁H内に設置し、そのボックス12の相対向する左右側壁の内面に、取付部としての軸受けを形成するとともに、その軸受けに支持孔及び案内溝のうち少なくとも支持孔を形成する。そして、巻回部材14の軸部19bを支持孔に支持させて、ボックス12内に巻回部材14を直接的に取付けるとともに、その一部又は全部が壁H内に収容されるように壁Hに設置してもよい。このとき、巻回部材14の延設部20及び保持部21を省略し、巻回部19のみをボックス12に支持させる。また、ボックス12と巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置が構成され、そのボックス12と巻回部材14とによりケーブル引出部が壁Hに形成される。
【0074】
・ 第1の実施形態では、ボックス12と、取付枠13と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部11を形成したが、以下のように変更してもよい。ボックス12を省略して、設置手段としての取付枠13と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用してケーブル引出部を形成する。即ち、取付枠13を壁Hの表面に設置し、その取付枠13から壁H内に延設された取付部としての軸受け16に巻回部材14を支持させて取付枠13の内側に巻回部材14を取付ける。そして、その取付枠13により巻回部材14が、その一部又は全部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置され、ケーブル引出部が壁Hに設置される。
【0075】
・ 第2の実施形態では、ボックス12と、プレート32と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用して光ファイバケーブル引出部31を形成したが、以下のように変更してもよい。ボックス12を省略して、設置手段としてのプレート32と、巻回部材14とによりケーブル引出部形成装置を構成し、そのケーブル引出部形成装置を使用してケーブル引出部を壁Hに形成する。即ち、プレート32を壁Hの表面に設置し、そのプレート32から壁H内に延設された取付部としての軸受け33に巻回部材14を支持させてプレート32の裏側に巻回部材14を取付ける。そして、そのプレート32により巻回部材14が、その一部又は全部が壁H内に収容された状態で壁Hに設置され、ケーブル引出部が壁Hに設置される。
【0076】
・ 壁Hを形成する一方の壁材Wの裏面に、巻回部材14(巻回部19)を壁Hに設置するための設置手段及び取付部として、同壁材Wの裏側へ延びる軸受けを一体形成し、その軸受けに巻回部材14を支持させて、巻回部19を壁H内に設置してケーブル引出部を形成してもよい。又はその軸受けに巻回部材14又は巻回部19のみを一体形成してもよい。
【0077】
・ 各実施形態では、光ファイバケーブルFの先端にプラグPを接続し、そのプラグPにコネクタCを接続したが、光ファイバケーブルFの壁Hへの設置状態で、コネクタCを省略してもよい。そして、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、プラグPにコネクタCを接続してもよい。又は光ファイバケーブルFの壁Hへの設置状態で、プラグPとコネクタCを省略してもよい。そして、光ファイバケーブルF同士を接続するときに、光ファイバケーブルFにプラグP及びコネクタCを接続してもよい。
【0078】
・ 各実施形態では、巻回部19の半径を、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径となる60mmに設定したが、40mm、25mm、15mm等の任意の値に変更してもよく、光ファイバケーブルFの最小曲げ半径に設定されていなくてもよい。
【0079】
・ 各実施形態では、ケーブルとして光ファイバケーブルFに具体化したが、ケーブルとして電線ケーブル、電話線、同軸ケーブル等に具体化してもよい。
・ 各実施形態では、保持部21が壁Hの表側に臨むように巻回部材14が壁Hに設置されたが、保持部21が壁Hの表側に臨まない状態で巻回部材14が壁Hに設置されていてもよい。
【0080】
・ 保持部21として、巻回部19に巻回された光ファイバケーブルFの外側から巻回部19に取付け可能な保持部材を使用し、その保持部材により光ファイバケーブルFを巻回部材14に保持させてもよい。
【0081】
・ 各実施形態において、巻回部材14のリブ19a及び延設部20並びに保持部21のうちの少なくともいずれか一つを省略してもよい。例えば、延設部20及び保持部21を省略し、巻回部材14を軸部19bを備えた巻回部19のみの構成としてもよい。このように構成した場合、第1の実施形態では、光ファイバケーブルFに接続されたコネクタCを、保持部21に保持させることなく取付突部17の収容凹部17aに直接的に保持させる。第2の実施形態では、例えば、プレート32の膨出部32bの内面に、コネクタCを保持可能な保持突部を形成し、その保持突部にコネクタCを保持させてもよい。
【0082】
・ 各実施形態では、巻回部材14の側面視で時計周りに光ファイバケーブルFを巻回し、巻回部材14の前側の上方から下方に向かって光ファイバケーブルFが延びるようにしたが以下のように変更してもよい。例えば、巻回部材14の側面視で反時計周りに光ファイバケーブルFを巻回し、巻回部材14の前側の下部から上方に向かって光ファイバケーブルFが延びるようにしてもよい。
【0083】
・ 各実施形態では、巻回部材14はその後側部がボックス12内に収容され、前側の一部分が壁Hの表面より外方へ突出した状態となったが以下のように変更してもよい。例えば、第1の実施形態では、ボックス12の深さを深くするとともに、取付枠13の軸受け16の長さを壁Hの内方へ延長して支持孔16aの位置を第1の実施形態より後ろ側に形成する。なお、取付枠13の取付突部17と、巻回部材14の延設部20及び保持部21は省略する。そして、ボックス12に取付枠13が取付けられ、軸受け16に軸部19bが支持された状態で、巻回部材14の全体が壁H内に収容され、さらにボックス12内に収容されていてもよい。第2の実施形態では、ボックス12の深さを深くするとともに、プレート32の軸受け33の長さを壁Hの内方へ延長して支持孔33aの位置を第2の実施形態より後ろ側へ離れた位置に形成する。なお、巻回部材14の延設部20及び保持部21は省略する。そして、壁Hにプレート32が設置され、軸受け33に軸部19bが支持された状態で、巻回部材14の全体が壁H内に収容され、さらにボックス12内に収容されていてもよい。巻回部材14の全体がボックス12内に収容された状態では、光ファイバケーブルFの先端のみが壁Hの表側に引き出され、プレート22,32により透孔Sが覆われている。
【0084】
・ 各実施形態では、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向がボックス12の深さ及び壁Hの厚み方向へ延びるとともに、軸部19bが左右方向へ水平に延びるように取付けたが以下のように変更してもよい。ボックス12の左右方向への開口幅を拡大し、巻回部材14の、巻回部19に対する光ファイバケーブルFの巻回方向がボックス12の左右方向へ延びるとともに、軸部19bがボックス12の深さ方向及び壁Hの厚み方向へ延びるように取り付けてもよい。即ち、巻回部材14がボックス12に収容された状態で、巻回部材14が、透孔Sから壁Hの表側に円形状に臨むように、同巻回部材14を壁Hに設置してもよい。
【0085】
・ 各実施形態では、巻回部19に光ファイバケーブルFを巻回した後、巻回部材14を壁H内に設置して光ファイバケーブル引出部11,31を構成したが以下のように変更してもよい。例えば、光ファイバケーブルFが配線される前に、巻回部材14のみを壁H内に設置し、巻回部19のみを設置した状態で光ファイバケーブル引出部11,31を構成してもよい。
【0086】
・ 各実施形態では巻回部19を円柱状に形成したが、四角柱状、三角柱状等に形成してもよい。
・ 各実施形態では、巻回部材14を略円柱状に形成したが、巻回部19を円環状に形成してもよく、円盤状に形成してもよい。
【0087】
・ 各実施形態では、壁Hの裏側に配線された光ファイバケーブルFを、ボックス12内に引込んだが、建物壁としてのコンクリート壁内に光ファイバケーブルFを配線し、同コンクリート壁内に埋設されたボックス12に光ファイバケーブルFを引込んで光ファイバケーブル引出部11,31を形成してもよい。
【0088】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記巻回部材には軸部が突設され、前記軸部が前記取付部として設けられた軸受けに支持されることにより、巻回部材が建物壁に設置され、その設置状態では、巻回部材に対するケーブルの巻回方向が建物壁の厚み方向となるとともに、前記軸部が左右方向へ水平に延びていることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。このように構成した場合、軸部を軸受けに支持させるのみで巻回部材を建物壁に設置することができ、巻回部材の建物壁への設置及びその設置作業を容易に行うことができる。
【0089】
(2)前記ケーブルは、その先端側が、前記建物壁の表側で巻回部材の上側から下方に向かって延びるように巻回部材に巻回されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0090】
(3)前記巻回部材は、前記保持部が建物壁の表側に臨むように設置されていることを特徴とする請求項4〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0091】
(4)前記光ファイバケーブルが巻回部の外周に巻回された状態では、同光ファイバケーブルの先端部に、別の光ファイバケーブルと接続するための接続部が設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項10のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができる。また、ケーブルを、その巻き半径を維持した状態で建物壁に配線することができるケーブル引出部に用いられる巻回部材、取付枠及びプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のケーブル引出部形成装置を示す分解斜視図。
【図2】光ファイバケーブルを巻回部材に巻回した状態を示す斜視図。
【図3】取付枠及び巻回部材を壁に設置した状態を示す斜視図。
【図4】光ファイバケーブル引出部を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の光ファイバケーブル引出部を示す断面図。
【図6】従来のケーブルの引出部の構造を示す斜視図。
【符号の説明】
C…接続部としてのコネクタ、F…ケーブルとしての光ファイバケーブル、H…建物壁、S…透孔、11,31…ケーブル引出部としての光ファイバケーブル引出部、12…設置手段としてのボックス、13…設置手段としての取付枠、14…巻回部材、16,33…取付部としての軸受け、19…巻回部、21…保持部、32…設置手段としてのプレート、32c…接続口。
Claims (24)
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部の構造であって、
前記建物壁には、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材が設けられ、当該巻回部材は、その一部又は全部が、建物壁内に収容された状態で設置されていることを特徴とするケーブル引出部の構造。 - 前記巻回部材は、建物壁内からその表側へ取り出し可能に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記巻回部材は、同巻回部材に対するケーブルの巻回方向が建物壁の厚み方向となるように設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記巻回部材には、前記ケーブルを保持するための保持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記ケーブルは光ファイバケーブルであり、前記巻回部材は、前記光ファイバケーブルを同光ファイバケーブルの最小曲げ半径で巻回可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記巻回部材は、建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記巻回部材は前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを特徴とする請求項6に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記巻回部材は前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを特徴とする請求項6に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記巻回部材は前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されていることを特徴とする請求項6に記載のケーブル引出部の構造。
- 前記プレートには建物壁の表側に配線されたケーブルをプレート内に挿入可能とする接続口が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のケーブル引出部の構造。
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、
前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスと、当該ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁内に設置されたボックス内に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とするケーブル引出部形成装置。 - 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、
建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁に設置された取付枠の内側に、前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とするケーブル引出部形成装置。 - 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、
前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、建物壁に設置される取付枠と、当該取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、建物壁内に設置されたボックスに取付枠を取付け、前記巻回部材を、前記取付枠の内側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とするケーブル引出部形成装置。 - 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、
前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に前記巻回部材を取付けることにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とするケーブル引出部形成装置。 - 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするケーブル引出部を建物壁に形成するためのケーブル引出部形成装置であって、
前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように、当該建物壁内に設置されるボックスと、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために建物壁に形成された透孔を覆うべく建物壁の表面に設置されるプレートと、当該プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材とより構成され、前記巻回部材を、建物壁の表面に設置されたプレートの裏側に取付けるとともに、ボックス内に収容することにより、当該巻回部材が、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とするケーブル引出部形成装置。 - 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記ケーブルを外周に巻回可能とするとともに、その一部又は全部が建物壁内に収容された状態で設置されることを特徴とする巻回部材。
- 前記建物壁に設けられた設置手段により当該建物壁に設置されることを特徴とする請求項16に記載の巻回部材。
- 前記設置手段は、前面に開口を有する箱状に形成され、当該開口が建物壁の表側に臨むように前記建物壁内に設置されるボックスにより形成され、前記ボックスに設けられた取付部により同ボックス内に取付けられた状態で建物壁に設置されることを特徴とする請求項17に記載の巻回部材。
- 前記設置手段は、前記建物壁に設置される取付枠により形成され、前記取付枠に設けられた取付部により同取付枠の内側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを特徴とする請求項17に記載の巻回部材。
- 前記設置手段は、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるプレートにより形成され、前記プレートに設けられた取付部により同プレートの裏側に取付けられた状態で建物壁に設置されることを特徴とする請求項17に記載の巻回部材。
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを特徴とする取付枠。
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、建物壁に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを特徴とする取付枠。
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部材を取付けるための取付部を備えていることを特徴とするプレート。
- 建物壁内に配線されたケーブルを、前記建物壁の表側に引出可能とするために、前記建物壁に形成されるケーブル引出部に用いられ、前記建物壁の表側に前記ケーブルを引き出すために同建物壁に形成された透孔を覆うべく当該建物壁の表面に設置されるとともに、前記ケーブルを外周に巻回可能とする巻回部を備えることを特徴とするプレート。
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