JP2005024160A - 除湿乾燥装置及び除湿乾燥方法 - Google Patents

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哲次 森口
Yumito Karanihara
弓人 唐仁原
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Abstract

【課題】除湿乾燥装置として、各別な熱源を要さずに低コストで効率よく除湿乾燥を行え、廃棄物の処理やその再生処理等に好適であり、熱変質を生じ易い被乾燥物にも支障なく適用でき、構造的に簡素で設備コストが安くつくものを提供する。
【解決手段】外気Aを燃焼装置4の高温排ガスGとの熱交換によって昇温させる第一熱交換部1と、昇温した高温空気Aを冷却水Cとの熱交換によって降温させて含有水分を結露により除去する第二熱交換部2と、降温した乾燥空気Aを導入して内部に収容した被乾燥物Mを乾燥させる乾燥室3とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の含湿物の除湿乾燥に用いる装置と除湿乾燥方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
除湿乾燥方法としては、含有水分の自然蒸発を待つ放置乾燥、扇風機等で空気を吹き付けて乾燥する送風乾燥、被乾燥物の収納部全体又は被乾燥物自体をヒーター等で加熱する加熱乾燥、被乾燥物の収納部に加熱空気を送る熱風乾燥、被乾燥物を収容した容器を回転させて遠心力による脱水を行う遠心脱水乾燥、被乾燥物を収容した回転ドラムを加熱する回転ドラム式乾燥、被乾燥物の収納空間を減圧して含有水分を強制蒸発させる真空乾燥等の多くの方式がある。
【0003】
しかるに、放置乾燥や送風乾燥は、長時間を要して能率が悪い上、外気の湿度によって乾燥の進み具合が大きく左右されるという問題がある。また、加熱乾燥や熱風乾燥では、ヒーター等の加熱装置や空気加熱の熱源に多くのエネルギーを消費するため、例えば廃棄物に類するものの処理やその再生処理における水分量の低減等、処理目的によってはコスト的に見合わない場合があると共に、専ら昇温によって水分蒸発を促すことから、熱変質を生じ易い被乾燥物には適用できないという欠点があった。更に、遠心脱水乾燥、回転ドラム式乾燥、真空乾燥等では、適用できる被乾燥物の種類が極めて限定されると共に、設備コスト及び運転コストが嵩むという難点がある。
【0004】
本発明は、上述の状況に鑑み、除湿乾燥装置として、各別な熱源を要さずに低コストで効率よく除湿乾燥を行え、廃棄物の処理やその再生処理等に好適であり、しかも熱変質を生じ易い被乾燥物にも支障なく適用でき、また構造的に簡素で設備コストが安くつくものを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る除湿乾燥装置は、図面の参照符号を付して示せば、外部より導入した空気(外気A)を燃焼装置4の高温排ガスGとの熱交換によって昇温させる第一熱交換部1と、この昇温した高温空気Aを冷却水Cとの熱交換によって降温させて含有水分を結露により除去する第二熱交換部2と、この降温した乾燥空気Aを導入して内部に収容した被乾燥物Mを乾燥させる乾燥室3とを備えてなる構成としている。
【0006】
そして、請求項2の発明は、請求項1の除湿乾燥装置において、前記乾燥室3が上下に透通した多数の通気部を有する上下複数段の引出し式乾燥棚31…を備える構成としている。また、請求項3の発明は、請求項1又は2の除湿乾燥装置において、前記燃焼装置4が炭化炉5から排出される燃焼排ガスGを再燃焼させるガス再燃焼炉であるものとしている。更に請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの除湿乾燥装置において、前記乾燥室3からの排気(含湿空気A)を前記燃焼装置4の燃焼部4aに導入する構成としている。
【0007】
一方、本発明の除湿乾燥方法は、外部より導入した空気Aを第一熱交換部1において燃焼装置4の高温排ガスGとの熱交換によって200〜250℃に昇温させ、この昇温した高温空気Aを第二熱交換部2において冷却水Cとの熱交換によって30〜90℃に降温させると共に、結露により湿度5%以下となるように含有水分を除去し、この降温した乾燥空気Aを乾燥室3に導入して内部の被乾燥物Mを乾燥させることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る除湿乾燥装置及び除湿乾燥方法について、図示の実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は装置の概略構成と空気の流れを示すフローチャート、図2は装置要部の配置構成を示す平面図、図3は第二熱交換部の縦断面図、図4は乾燥室の正面図、図5は同乾燥室の縦断面図である。
【0009】
図1及び図2において、1は第一熱交換部、2は第二熱交換部、3は乾燥室、4はガス再燃焼炉、5は炭化炉、6は温水器、7a〜7cは送気経路に介在するファン、8はクーリングタワー、9は制御盤である。これらの内、炭化炉5及びガス再燃焼炉4と温水器6は、木質チップを原料として木炭や竹炭を製造する炭化装置としてのユニットを構成している。そして、この炭化装置に、第一及び第二熱交換部1,2と乾燥室3及びクーリングタワー8よりなる除湿乾燥装置が付属設備として設けられている。
【0010】
炭化装置においては、木質チップを炭化炉5の炉本体5a内に装填し、蓋板5bを閉じて略密閉状態として下部から着火することにより、該木質チップを酸素不足状態で自発燃焼・熱分解させて炭化するが、この自発燃焼に伴って発生する燃焼排ガスGがファン7aによってガス再燃焼炉4の燃焼部4a内に送られ、ガスバーナー41を介して再燃焼され、この再燃焼後の高温排ガスGが排気筒部4bより煙道42を経て温水器6へ送られ、この温水器6内で水と熱交換して降温し、低温排ガスGとして当該温水器6の出口に設けた排気口6aより外部へ放出される。
【0011】
ここで、ガス再燃焼炉4は、炭化炉5から出る燃焼排ガスG中に含まれる微量有機成分を高温燃焼によって完全分解させるために付設されており、特に炭化用材料として木質チップと共に種々の有機質廃物を装填して炭化処理する場合に、有害成分や悪臭成分が燃焼排ガスGに付随して外部へ放散するの防止する手段として極めて有効であり、これによって最終的に外部へ放出される低温排ガスGが無害・無臭になる。また、炭化炉5は、炉本体5aを左右の支持フレーム51,51に枢支すると共に、炉本体5aから独立した蓋板5bを図2の如く支持レバー52,52を介して左右の支柱53,53に枢支することにより、炭化処理後に蓋板5bを開いた状態で炉本体5aを前方へ傾倒させて内部の炭化物を容易に取り出せるようにしている。
【0012】
乾燥装置の第一熱交換部1は、ガス再燃焼炉4から温水器6へ至る煙道42に介在しており、高温排ガスGを下部より導入する垂直筒部11の外側に、熱交換ジャケット12を設け、下部の空気取入口1aより外気Aを熱交換ジャケット12内に導入し、当該ジャケット12内の螺旋状に形成された通気路12aを通る過程で垂直筒部11内を通過する高温排ガスGとの熱交換によって昇温させ、上部の導出口1bより高温空気Aとして取り出すようになっている。なお、煙道42のガス再燃焼炉4から第一熱交換部1に至る部分は、放熱による熱損失が抑えるために断熱材で被覆されている。一方、第一熱交換部1を経た排ガスGは熱交換によってやや温度を下げて温水器6へ向かうことになる。
【0013】
第一熱交換部1を出た高温空気Aは、断熱材で被覆された送気管13(図2参照)を通して第二熱交換部2へ送られ、ここでクーリングタワー8を介して循環する冷却水Cと熱交換し、降温すると同時に含有水分が結露により除去され、低温の乾燥空気Aに転化して乾燥室3へ送られ、該乾燥室3内に収容された被乾燥物の除湿乾燥を担うことになる。
【0014】
すなわち、第二熱交換部2は、図3に示すように、略縦円筒形の躯体20内が上部の空気分配室2a、中間部の熱交換室2b、下部の集水室2cに区画されており、空気分配室2aには第一熱交換部1からの送気管13に接続した空気入口21が設けられ、熱交換室2bにはクーリングタワー8からの冷却水Cを循環導通させる水導入管8a及び水導出管8bが接続されると共に、該熱交換室2bを貫通して空気分配室2aと集水室2cとを連通する多数本の通気管22…が配設され、更に躯体20の中心部に上下方向に沿う空気導出管23が貫設されている。そして、空気導出管23は、下端が集水室2cに開放すると共に、躯体20の外部へ突出した上端部がファン7bを介して乾燥室3への送気管24に接続している。また、躯体20の上面部から空気導出管23の周囲にわたって冷却水ジャケット25が設けてあり、この冷却水ジャケット24内には外部配管された通水管26を介して熱交換室2bより冷却水Cが通水される。なお、図3では省略しているが、通水管26は流入側と流出側の2本がある。27は躯体20の外周面を被包する断熱材層である。
【0015】
この第二熱交換部2においては、可変速モーター70によってファン7bを駆動することにより、その吸引力で第一熱交換部1からの高温空気Aが空気分配室2aに導入され、通気管22…を通って集水室2cへ流入し、更に該集水室2cより空気導出管23を通って送気管24へ送出されるが、この過程で熱交換室2b内及び冷却水ジャケット25内を流通する冷却水Cと熱交換して降温すると共に、この降温に伴って含有水分が通気管22…及び空気導出管23の内周壁に結露し、もって送気管24へは低温の乾燥空気Aとして送出される。しかして、集水室2cの内底は逆円錐形に形成され、その中心部にドレン28が設けられると共に、通気管22…及び空気導出管23の各下端部22a,23aが集水室2c内に突出しており、これらの内周壁に結露した水Wは集水室2c内に滴下して底部に溜まり、ドレン28の開閉弁29の開放操作で外部へ排出される。
【0016】
なお、前記第一熱交換部1における空気取入口1aから熱交換ジャケット12内への外気Aの取り入れは、この第二熱交換部2のファン7bによる吸引力によってなされる。従って、可変速モーター70によるファン7bの回転速度の設定により、第一熱交換部1への外気Aの流入速度ひいては熱交換による空気の昇温度合を調整することができる。また、乾燥室3への乾燥空気Aの供給速度もファン7bの回転速度によって定まるが、その温度については該ファン7bの回転速度とクーリングタワー8による冷却水Cの循環速度とによって調整可能である。
【0017】
乾燥室3は、図3及び図4に示すように、前面に開閉扉31を備えた縦長直方体形状のボックス30から構成され、その内部に上下複数段(図では6段)の引出し式乾燥棚32…が収容されると共に、最下部に上側を多孔板34にて仕切った空気分配室33が設けてあり、この空気分配室33に第二熱交換部2からの送気管24に接続した空気入口3aが設けられる一方、ボックス30の天井部に空気出口3bが設けられている。しかして、各乾燥棚32は、金属板からなる周枠部32aと金属製ネットを張設した底面部32bとで、ボックス30から独立した浅い箱型ケースを構成しており、ボックス30の左右両内壁に設けた水平枢軸の支持ローラー35…上に載置した状態で当該ボックス30内に収容される一方、前方へ引き出して当該ボックス30から抜出できるようになっている。
【0018】
この乾燥室3では、被乾燥物Mを乾燥棚32…に入れてボックス30内に収容し、開閉扉31を閉めて内部を密閉状態とし、第二熱交換部2から送給される低温の乾燥空気Aを空気分配室33に導入する。この空気分配室33に流入した乾燥空気Aは、図5の矢印で示すように、多孔板34の孔部34a…を通って上方へ放出され、各乾燥棚32の底面部32bの金属製ネットならびに被乾燥物Mの隙間を通って上昇し、この過程で被乾燥物Mに含まれる湿気を効率よく取り込んで最終的に空気出口3bよりボックス30外へ排出される。従って、被乾燥物Mは、時間経過と共に含有水分を減じてゆき、所要時間後に設定レベルまで含水率を低下した状態として取り出されることになる。
【0019】
なお、空気出口3bに至った含湿空気Aは、臭気や付随成分等の問題がない場合にはそのまま外部へ放出される。しかるに、被乾燥物Mの種類により、この含湿空気Aに悪臭成分や有害成分が付随する場合は、図1に示すように、ファン7cを介してガス再燃焼炉4の燃焼部4a内へ導入することにより、炭化炉5からの燃焼排ガスGと共に高温燃焼によって悪臭成分や有害成分を完全に分解させ、高温排ガスGとして第一熱交換部1を経て温水器6に至り、排気口6aより無害無臭の低温排ガスGとして外部へ放出される。
【0020】
上記構成の除湿乾燥装置では、外部から導入した空気Aを一次熱交換で高温化し、続いて二次熱交換で低温化することにより、含有水分を結露除去して乾燥空気Aとし、この低温の乾燥空気Aを被乾燥物Mの除湿乾燥に供するようにしており、直接加熱や間接加熱で被乾燥物M自体を昇温させて乾燥を行う方式ではないから、被乾燥物Mが熱変質を生じ易いものであっても支障なく除湿乾燥できる。しかも、導入外気Aの一次熱交換による高温化には、その熱交換相手として炭化装置に付設されたガス再燃焼炉5から出る高温排ガスGを利用する、つまり廃熱を利用するため、加熱用としての各別な熱源を要さず、もって消費エネルギーが少なく低コストでの除湿乾燥を行えるから、特に処理コストが最大の課題となる廃棄物の処理やその再生処理等にも好ましく適用できる。
【0021】
また、この除湿乾燥装置自体は、送気用のファン7bとクーリングタワー8の他には可動部がなく、各々簡単な躯体構造の第一及び第二熱交換部1,2と乾燥室3を配管接続しただけであり、構成的に非常に簡素であるために低コストで製作可能であると共に、適用する被乾燥物Mの処理量に対応した小型化及び大型化も容易である。
【0022】
第一熱交換部1にて昇温させる高温空気Aの温度は、200〜250℃の範囲が好適であり、低過ぎては第二熱交換部2での結露による水分除去効率が低下して乾燥空気として充分な低湿度に設定しにくく、逆に高過ぎては第二熱交換部2での低温化が困難になり、冷却能力を高めるためにクーリングタワー8として大型のものが必要となる。
【0023】
第二熱交換部2から乾燥室3へ送る乾燥空気Aとしては、被乾燥物Mの種類と目的とする除湿乾燥度合によって異なるが、温度が30〜90℃の範囲で、湿度が5%以下となるように設定するのがよい。なお、乾燥空気Aの温度については、やはり高いほど効率よく短時間で除湿乾燥を行えるから、被乾燥物Mに熱変質等の高温化による問題がなければ、高温域に設定する方がよいことは言うまでもない。
【0024】
この除湿乾燥装置を適用する被乾燥物Mとしては、食品材料、化学工業材料、窯業材料、建築材料、家畜糞尿や汚泥の如き廃棄物、様々な分野の製品等、除湿乾燥を必要とするもの全てが対象となる。また、被乾燥物Mは通気性の面より固形であることが好ましいが、ペースト状等の粘稠性が高いものであっても、予め適当な固形物と混合してその表面に被着させた状態にしておけば、支障なく除湿乾燥を行える。
【0025】
前記実施形態では第一熱交換部1の熱交換に利用する高温排ガスGの排出源が炭化装置のガス再燃焼炉4である構成を例示したが、本発明の除湿乾燥装置には該排出源として高温排ガスを生じる様々な燃焼装置を利用できる。なお、実施形態のような炭化装置との組み合わせでは、炭化装置で炭化させるための炭化用材料を当該除湿乾燥装置によって予備乾燥し、当該炭化用材料の水分含量を低減して炭化効率を高めると共に、その炭化時の自発燃焼にて発生する熱を当該除湿乾燥装置の第一熱交換部での熱交換に利用するという、エネルギー的に非常に無駄のない循環システムを構築でき、とりわけ廃棄物を通常の木材や竹材と共に炭化処理して無害化したり再資源化する場合に特に好適である。
【0026】
また、乾燥室3の引出し式乾燥棚32は、前記実施形態では底面部32bが金属製ネットを張設したものとなっているが、該底面部32bをパンチングメタルの如き多孔板や簀の子状のものとする等、上下に透通した多数の通気部を有する構造であればよい。更に、乾燥棚は、このような引出し式乾燥棚32に代えて、ボックス30に固定した固定棚形態、ボックス30に対して出入可能なワゴンに上下複数段の乾燥棚を設けたワゴン形態、均一乾燥のためにボックス30内で乾燥棚が回転駆動するターンテーブル形態等、様々に設定できる。その他、本発明の除湿乾燥装置では、第一及び第二熱交換部1,2における空気側及び熱交換相手側の流路構成、乾燥室3の内部構造等、細部構成については実施例以外に種々設計変更可能である。
【0027】
〔除湿乾燥試験〕
前記実施形態の除湿乾燥装置により、豚舎から出た未乾燥の豚糞尿ならびに該豚糞尿と間伐竹材チップとを被乾燥物M1〜M3として同時に除湿乾燥処理を行った。しかして、炭化装置では、予め乾燥処理した豚糞尿と間伐竹材チップとの混合物を炭化用材料として炭化炉5(容量960L)に略満杯に装填し、底部よりバーナー炎を約20秒当てて着火させたのち、自動温度制御により、炉内温度を着火約30分後に最高温度約600℃に達して以降の炭化終了まで300℃以上を保持するように設定すると共に、ガス再燃焼炉4の炉内温度を800℃に設定して炭化処理を行った。一方、除湿乾燥装置では、被乾燥物M1〜M3の各々を乾燥室3の一つの引出し式乾燥棚32に収容し、第一熱交換部1における外気Aの取り入れ量を15m/分に設定し、除湿乾燥の開始から1時間後、2時間後、3時間後、21時間後に各被乾燥物M1〜M3の重量を測定し、その重量低下から除湿水分量を求めた。その結果を、乾燥物M1〜M3の内容と共に後記表1に示す。また、この乾燥処理における各段階での導入外気A、第一熱交換部1を出た高温空気A、乾燥室3へ送給する乾燥空気A、該乾燥室3から出る含湿空気Aの温度及び湿度の測定した結果を後記表2に示す。
【0028】
【表1】
Figure 2005024160
【0029】
【表2】
Figure 2005024160
【0030】
表1にて示すように、被乾燥物M1〜M3のいずれについても、本発明の除湿乾燥装置によって含有水分を高度に除去できることが明らかである。しかして、被乾燥物M1とM2,M3との試験結果の比較から、被乾燥物が豚糞尿のような粘稠性の高いものである場合、廃材等のチップの混入によって除湿乾燥が効率よく進行することが判る。一方、表2の結果から、本発明の除湿乾燥装置及び除湿乾燥方法によれば、廃熱を利用した一次熱交換による外気の加熱と二次熱交換による冷却とで非常に低湿度の乾燥空気が得られ、この乾燥空気によって被乾燥物の含有水分を効率よく引き出して系外へ排出除去できることが判る。
【0031】
なお、上記除湿乾燥試験による乾燥後(21時間後)の被乾燥物M1〜M3の全量(25.5kg)と助燃用の間伐竹材チップ12.5kgとの混合物を炭化炉5に投入し、除湿乾燥試験時と同様に着火して自動温度制御により炭化処理を行ったところ、炭化用材料の投入量が少ないために約4時間後に炭化が終息した。この処理後に炭化炉5から取り出した炭化物は、間伐竹材チップに由来するチップ状の竹炭2.2kgと、豚糞尿に由来する微細な砂状の炭化物1.45kgとで構成されており、臭気は全く認められなかった。従って、豚糞尿は、元の乾燥前重量が30.6kgであるから、除湿乾燥処理及び炭化処理を経て約20分の1に減量されたことになる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、除湿乾燥装置として、外部より導入した空気を燃焼装置の高温排ガスとの熱交換によって昇温させる第一熱交換部と、この昇温した高温空気を冷却水との熱交換によって降温させて含有水分を結露により除去する第二熱交換部と、この降温した乾燥空気を導入して内部に収容した被乾燥物を乾燥させる乾燥室とを備えることから、各別な熱源を要さずに低コストで効率よく除湿乾燥を行え、廃棄物の処理やその再生処理等に好適であり、しかも熱変質を生じ易い被乾燥物にも支障なく適用でき、また構造的に簡素で設備コストが安くつくものが提供される。
【0033】
請求項2の発明によれば、上記の除湿乾燥装置において、乾燥室が上下に透通した多数の通気部を有する上下複数段の引出し式乾燥棚を備えることから、被乾燥物の乾燥室への装填と乾燥後の取り出しが容易であると共に、被乾燥物を複数段の乾燥棚に分配して均等な除湿乾燥を行えるという利点がある。
【0034】
請求項3の発明によれば、上記の除湿乾燥装置において、燃焼装置が炭化炉から排出される燃焼排ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉である構成としているから、炭化炉による炭の製造に伴う廃熱を利用して除湿乾燥を行えることに加え、その炭化用材料ならびに炭化処理による無害化や再資源化を行う種々の廃棄物について、その含水率の低減による炭化処理効率の向上を図るために、前処理として除湿乾燥を行うことができる。
【0035】
請求項4の発明によれば、上記の除湿乾燥装置において、乾燥室からの排気を燃焼装置の燃焼部に導入する構成としているから、被乾燥物が例えば家畜糞尿、腐敗した生ゴミ類や屑肉等であって、乾燥室からの排気に悪臭成分や有害成分が付随する場合でも、最終的に外部へ放出する排ガスを完全に無害無臭にできるという利点がある。
【0036】
請求項5の発明によれば、除湿乾燥方法として、外部より導入した空気を第一熱交換部において燃焼装置の高温排ガスとの熱交換によって200〜250℃に昇温させ、この昇温した高温空気を第二熱交換部において冷却水との熱交換によって30〜90℃に降温させると共に、結露により湿度5%以下となるように含有水分を除去し、この降温した乾燥空気を乾燥室に導入して内部の被乾燥物を乾燥させることから、各別な熱源を要さずに低コストで効率よく除湿乾燥を行え、しかも熱変質を生じ易い被乾燥物でも変質させることなく処理可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿乾燥装置の概略構成と空気の流れを示すフローチャートである。
【図2】同除湿乾燥装置の要部の配置構成を示す平面図である。
【図3】同除湿乾燥装置の第二熱交換部の縦断面図である。
【図4】同除湿乾燥装置の乾燥室の正面図である。
【図5】同乾燥室の縦断面図である。
【符号の説明】
1 第一熱交換部
2 第二熱交換部
3 乾燥室
32 引出し式乾燥棚
4 ガス再燃焼装置(燃焼装置)
4a 燃焼部
5 炭化炉
外気(外部より導入した空気)
高温空気
乾燥空気
含湿空気(乾燥室からの排気)
C 冷却水
燃焼排ガス
高温排ガス
M 被乾燥物
W 結露水

Claims (5)

  1. 外部より導入した空気を燃焼装置の高温排ガスとの熱交換によって昇温させる第一熱交換部と、この昇温した高温空気を冷却水との熱交換によって降温させて含有水分を結露により除去する第二熱交換部と、この降温した乾燥空気を導入して内部に収容した被乾燥物を乾燥させる乾燥室とを備えてなる除湿乾燥装置。
  2. 前記乾燥室が上下に透通した多数の通気部を有する上下複数段の引出し式乾燥棚を備えてなる請求項1記載の除湿乾燥装置。
  3. 前記燃焼装置が炭化炉から排出される燃焼排ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉である請求項1又は2に記載の除湿乾燥装置。
  4. 前記乾燥室からの排気を前記燃焼装置の燃焼部に導入するように構成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の除湿乾燥装置。
  5. 外部より導入した空気を第一熱交換部において燃焼装置の高温排ガスとの熱交換によって200〜250℃に昇温させ、この昇温した高温空気を第二熱交換部において冷却水との熱交換によって30〜90℃に降温させると共に、結露により湿度5%以下となるように含有水分を除去し、この降温した乾燥空気を乾燥室に導入して内部の被乾燥物を乾燥させることを特徴とする除湿乾燥方法。
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