JP2015100756A - 廃液の蒸発乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固形分と液体分を含む廃液の水分を蒸発除去する蒸発乾燥装置を提供する。【解決手段】廃液の蒸発乾燥装置が、空気の流入口と流出口を設けられた乾燥室1Aと、乾燥室内にて、伸縮性をもつ多数の細片からなる吸収材Sを移動経路に沿って移動させる手段と、移動経路の開始端部sにて、吸収材に廃液を吸収させる手段と、移動経路の終了端部eにて、吸収材を圧縮することにより吸収材から液体分を分離する固液分離手段1Jと、乾燥室1Aの外部に設けられた熱交換部2と、を備え、除湿部2Aは、相対的に低温の水が流れる熱交換パイプ2A2を配設され、乾燥室の流出口から送出された空気を流入されるとともに加熱部2Bに空気を送出し、加熱部は、相対的に高温の水が流れる熱交換パイプ2B2を配設され、除湿部から送出された空気を流入されるとともに乾燥室の流入口に空気を送出する。【選択図】図1

Description

本発明は、固形分と大量の水分とを含む種々の廃液から蒸発により水分を除去するための蒸発乾燥装置に関する。
液状の食品加工残渣や家畜排泄物は、水分を除去し乾燥させて肥料や飼料として利用可能である。また、食品加工残渣や家畜排泄物の発酵分解を利用したバイオガスプラントによるCHP(Combined Heat Power:熱電供給システム)においても、発酵分解による消化液が生じる。また、酒や焼酎などの製造工程からも絞り粕を含む廃液が生じる。このような有機物の発酵分解工程により生じる廃液についても、水分を除去し乾燥させて肥料等として利用可能である。
しかしながら、液状の食品加工残渣や家畜排泄物又はそれらの発酵分解による廃液(本明細書ではこれらを総称して「廃液」という)には、有機物の固形分とともに大量の水分が含まれている。例えば、芋焼酎粕はその95%が水分である。従って、このような廃液を肥料や飼料として利用する場合は、廃液に含まれる大量の水分を除去しなければならない。
これらの廃液から水分を除去する簡易な方法は、乾燥機を用いて加熱により水分を蒸発させることである。蒸発以外の種々の固液分離法も提示されている。例えば、凝集剤により廃液中の有機成分を凝集させる方法(例えば特許文献1)、オゾンを廃液中に溶解させて有機成分を酸化分解させてから凝集剤により凝集させる方法(例えば特許文献2)、冷凍機を用いて水分を凍結させて有機成分を濃縮させる方法(特許文献3等)がある。
特開2009−214043号公報 特開2007−216207号公報 特開2001−232393号公報
しかしながら、上述した、廃液から水分を除去する従来の方法は、消費エネルギーや処理設備及び処理剤等のコストが高すぎる上、これらの処理設備からの排気や排水が環境面で問題となることもある。また、処理後の肥料や飼料等の需要が少ない場合もある。このような場合、廃液をそのまま廃棄せざるを得ないが、昨今では環境保護の観点から規制が厳しくなり、廃液をそのまま海洋投棄することは認められなくなっている。そのため、多くの業者は、産業処理業者に委託して有料で焼却処理を行っている。
一方、2012年7月、再生可能エネルギー買取制度が施行され、食品加工残渣等を原料とするバイオガスプラントの設置が全国的に計画されている。
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、固形分と大量の水分を含む廃液から水分を除去するための処理装置において、低コストでかつ環境保護に適した処理装置を実現することである。さらに、普及しつつあるバイオガスプラントによるCHPと好適に組み合わせることができる処理装置を実現することである。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付するものである。
本発明の態様は、固形分と液体分を含む廃液の水分を蒸発させて除去するための蒸発乾燥装置において、空気の流入口(in)と流出口(out)を設けられた乾燥室(1A)と、前記乾燥室(1A)内にて、伸縮性をもつ多数の細片からなる吸収材(S)を所定の移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)に沿って移動させる手段と、前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部(s)にて、前記吸収材(S)に廃液を吸収させる手段(1F4)と、前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の終了端部(e)にて、前記吸収材(S)を圧縮することにより前記吸収材(S)から液体分を分離する固液分離手段(1J)と、前記乾燥室(1A)の外部に設けられ加熱部(2A)と除湿部(2B)から構成された熱交換部(2)と、を備え、前記除湿部(2A)は、相対的に低温の水が流れる熱交換パイプ(2A2)を配設され、前記乾燥室(1A)の前記流出口(out)から送出された空気を流入されるとともに前記加熱部(2B)に空気を送出し、前記加熱部(2B)は、相対的に高温の水が流れる熱交換パイプ(2B2)を配設され、前記除湿部(2A)から送出された空気を流入されるとともに前記乾燥室(1A)の前記流入口(in)に空気を送出することを特徴とする。
上記の態様において、前記固液分離手段(1J)により液体分を分離された前記吸収材(S)を、前記前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段(1C)をさらに備えることが、好適である。
上記の態様において、前記固液分離手段(1J)により分離された液体分を、前記吸収材(S)に再度吸収させるべく前記前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段をさらに備えることが、好適である。
上記の態様において、前記固液分離手段(1J)により液体分を分離された後の固形分の付着した前記吸収材(S)を、前記乾燥室(1A)の外部に取り出す手段(3B1)と、外部に取り出された前記吸着材(S)に付着した固形分を脱離させる手段(3C)と、をさらに備えることが、好適である。
上記態様において、固形分を脱離された前記吸収材(S)を、前記乾燥室(1A)内の前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段(3B2)をさらに備えることが、好適である。
上記態様において、前記廃液がバイオガスプラントにおいて生じた消化液であり、前記相対的に高温の水が、当該バイオガスプラントによるCHPにより加熱された水であることが、好適である。
本発明による蒸発乾燥装置では、温水(冷水に対して相対的に高温の水を意味する)を熱エネルギーとして、固形分を含む廃液の水分を蒸発させ、固形分を乾燥させることができる。また本装置では、熱エネルギーを用いない機械的な固液分離機構も組み合わせることにより、さらに効率的に蒸発乾燥を行うことができる。
具体的には、伸縮性のある多数の細片からなる吸収材に廃液を吸収させて乾燥室内を移動させる間に、相対的に高温低湿度の空気に触れさせることにより水分を蒸発させる。この水分蒸発により生じた相対的に低温高湿度の空気は、乾燥室の外部に送出される。乾燥室の外部には、加熱部と除湿部から構成された熱交換部が設けられている。除湿部は、乾燥室から送出された低温高湿度の空気と冷水(温水に対して相対的に低温の水を意味する)との熱交換により空気を冷却除湿し、加熱部は、除湿部で冷却除湿された空気と温水との熱交換により空気を加熱する。加熱部で加熱された高温低湿度の空気は、乾燥室に戻される。
さらに、乾燥室内では、廃液を吸収した吸収材を圧縮する機械的な固液分離処理により、吸収材に固体分を付着させるとともに液体分を分離することができる。
上記の処理を必要に応じて繰り返すことにより、吸収材に固形分を十分に付着させかつ乾燥させることができる。その後、吸着材を回収し固形分を脱離することにより、固形分を回収し、吸着材を再生できる。回収した有機物の固形分は、肥料や飼料等に再利用することが可能である。
本装置により蒸発乾燥処理においては、全く排気がなく、周囲の大気を汚染することがない。また、吸収材、廃液及び空気の移送のための駆動手段に必要なエネルギーを除いて、蒸発乾燥に必要な熱エネルギーは、温水の熱エネルギーのみである。この温水についても、廃液を生じるバイオガスプラントのCHPの廃熱を利用して得ることにより、別途燃料を消費することがなく効率的である。さらに、冷却除湿により生じたドレン水も清浄な水である。
このように本発明による廃液の蒸発乾燥装置は、低コストでかつ環境保護に適しており、また、普及しつつあるバイオガスプラントによるCHPと好適に組み合わせることができる。
図1は、本発明による廃液の蒸発乾燥装置の全体構成及び主要な稼働方法を概略的かつ模式的に示した図である。 図2は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における蒸発乾燥部及び固形分回収部の部分を示した概略平面図である。 図3は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における蒸発乾燥部及び固形分回収部の部分を示した概略側面図である。 図4は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における熱交換部2を示しており、(a)は平面図、(b)は概略側断面図である。 図5は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における液体分回収部を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
以下、一例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の処理対象とする廃液は、固形分と液体分とを含む廃液である。固形分は、典型的には有機物であり、液体分はほぼ大部分が水分である。廃液の例として、バイオガスプラントの消化液、酒や焼酎粕等の廃液、家畜排泄物、液状の食品加工残渣などが挙げられる。本明細書において、「廃液の蒸発乾燥」とは、元の廃液に含まれる水分を全て蒸発させて固形分を乾燥させる場合に限らず、元の廃液に含まれる水分の一部のみを蒸発させて液体分を濃縮液とするとともに液体分と分離した固形分を乾燥させる場合も含む。その他、多様な態様で実施する場合を含むものとする。
図1は、本発明による廃液の蒸発乾燥装置の全体構成及び稼働方法の一例を概略的かつ模式的に示した図である。具体的な構成例については、後述する図2〜図5で示す。なお、図1〜図5では、廃液がバイオガスプラントの消化液である場合を想定して説明する。
蒸発乾燥装置は、蒸発乾燥部1、熱交換部2、固体分回収部3、液体分回収部4から構成されている。処理対象である新規廃液は、装置外から供給される。図中、廃液及び液体分の移動は、太線黒矢印で示している。なお、液体分はほとんど水分であるが、種々の水溶性物質や分離されなかった固形分が液体分に含まれていてもよいものとする。
蒸発乾燥部1は、乾燥室1Aを備えている。新規廃液は、二方向バルブVを介して乾燥室1A内に導入される。乾燥室1A内には、吸収材を、開始端部sから終了端部eまで所定の移動経路に沿って移動させるための手段が形成されている。吸収材は、伸縮性を有し廃液を吸収可能な材料から形成された多数の細片から構成されている。図中、吸収材の移動は、細線白矢印で示している。移動経路の開始端部sにおいて吸収材に廃液を吸収させる。廃液を吸収した吸収材は、移動経路に沿って乾燥室1A内を移動する。
一方、乾燥室1Aには、空気の流入口inと流出口outが設けられている。流入口から流入した空気は、乾燥室1A全体を隈無く流れ、流出口outから送出される。図中、空気の流れは、太点線白矢印で示されている。流入口inから流入する空気は、相対的に高温低湿度(例えば、気温80℃、湿度20%)である。高温低湿度の空気が、廃液を吸収した吸収材と触れ合うことにより、廃液から水分が蒸発する。これにより、空気は相対的に低温高湿度(例えば、気温50℃、湿度95%)となる。低温高湿度となった空気は、流出口outから送出される。
流出口outから送出された空気は、熱交換部2の除湿部2Aに導入される。除湿部2Aには、相対的に低温の水すなわち冷水が流入し、空気と冷水の熱交換により空気は冷却除湿され、結露したドレン水は排出される。熱交換により、冷水の温度は、例えば20℃が30℃となる。このドレン水は清浄な水である。相対的に低温低湿度となった空気は、除湿部2Aから加熱部2Bに送出される。加熱部2Bには、相対的に高温の水すなわち温水が流入し、空気と温水の熱交換により空気は加熱される。熱交換により、温水の温度は、例えば85℃が75となる。相対的に高温低湿度となった空気は、再び乾燥室1Aに送出される。このように、空気は、乾燥室1Aと熱交換部2との間で循環する。
なお、本明細書における空気の温度及び湿度についての高低、並びに、水の温度についての高低は、本装置内における相対的な意味で用いている。従って、温水とは、相対的に高温の水を意味し、冷水とは、相対的に低温の水を意味する。
乾燥室1A内で空気と触れ合いつつ移動経路に沿って移動した吸収材は、移動経路の終了端部eにて固液分離される。この固液分離は機械的手段により行われ、吸収材を圧縮することにより、固形分を吸収材に付着させるとともに、液体分を絞り出す。絞り出された液体分は、水分が蒸発したことにより、元の廃液の液体分よりも濃縮されている。
吸収材を移動経路に沿って1回移動させるのみで、所望する程度に吸収材を乾燥できかつ液体分を濃縮できた場合は、後述するように吸収材及び液体分をそれぞれ外部に取り出し回収する。
1回移動させるのみでは、吸収材の乾燥又は液体分の濃縮が不十分な場合は、再度、移動経路に沿って移動させるために、固形分を付着させた吸収材を移動経路の開始端部sに戻す。一方、液体分は、乾燥室1Aの外部に取り出され、液体分回収部4の濃縮液回収タンク4Aを経て、二方向バルブVを介して乾燥室1Aに戻される。そして、再び、吸収材に液体分を吸収させて、移動経路に沿って移動させる。これを繰り返すことにより、廃液の固体分を吸収材に十分に付着させるとともに、液体分から水分を十分に蒸発させることができる。
稼働方法の一例においては、乾燥室1A内で吸収材を1回又は複数回循環させた後、液体分を乾燥室1Aに戻すことを停止する。この時点で、吸収材には廃液の固形分が付着している。その後は、空気と触れさせながら吸収材を循環させて吸収材を完全に乾燥させる。吸収材が乾燥したならば、空気を停止し、固形分が付着した吸収材を固形分回収部3に取り出す。固形分回収部3では、吸収材に振動を加えることにより固形分を分離する。その後、吸収材は乾燥室1Aに戻される。分離した固形分は、肥料や飼料として利用される。
また、濃縮液回収タンク4Aに回収された液体分は、濃縮処理が完了した後、より大きな濃縮液貯蔵タンク4Bに移され保管される。
図2及び図3は、図1に示した廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における蒸発乾燥部1及び固形分回収部3の部分を示している。図2は、乾燥室1Aの内部を示した概略平断面図であり、図3は、概略側断面図である。
乾燥室1Aは、周囲を外壁で囲まれた直方体形状であり、ほぼ閉鎖された空間を形成可能である。乾燥室1Aの短い側壁の一方(図3の右側)には、下側に空気の流入口inが、上側に空気の流出口outが設けられている。上壁には廃液送管1F2の導入口が設けられ、下壁には廃液送管1F5の導出口が設けられている。乾燥室1Aの内部には、回転駆動されるオーガー移送機1B2、1B3及びコンベア駆動ロータ1D1、1D2の回転軸が、対向する長い側壁の間に掛け渡されるように設置されている。
乾燥室1A内には、吸収材Sの移動経路として、上下4段のコンベアが設置されている。各段のコンベアは、短い側壁とほぼ同じ長さの幅を有しかつ長い側壁に沿って水平に延在する帯状の搭載面を有する。各コンベアは、上下方向の通気性を確保するためにメッシュコンベアとなっている。吸収材Sは、廃液を吸収するためのものであり、多数の細片から構成される。図示の都合上、一部の吸収材細片のみを描いているが、実際はコンベアの搭載面上にある程度の厚さをもって密に敷き詰めることが好ましい。
吸収材Sの材料は、伸縮性ないしは弾性を有しかつ液体を吸収し保持し易いものとする。例えばスポンジのような多孔質の合成樹脂から形成する。1つの吸収材細片の形状は、例えば、立方体、直方体、球体、環体、角錐、不定形体等、特に限定しないが廃液を吸収して保持しやすい形状が好ましい。例えば、表面に適宜の凹凸を形成してもよい。また、1つの吸収材細片の大きさは、メッシュコンベアのメッシュの目から落ちない大きさとする必要があるが、特に限定しない。例えば、コンベアが幅2m、長さ4m程度の場合、吸収材細片の差し渡し長さを数cm程度のものとする。吸収材細片は、小さすぎると廃液を効率的に吸収できず、また、大きすぎると内部に浸透した廃液の水分が蒸発し難くなるので、適切な大きさを選択する。
1段目のコンベア1E1及び3段目のコンベア1E3はコンベア駆動ローラ1D1により駆動され、2段目のコンベア1E2及び4段目のコンベア1E4はコンベア1D2により駆動される。1段目のコンベア1E1において、流出口outとは反対側の一端が、吸収材Sの移動経路の開始端部である。
乾燥室1A内に吸収材Sを最初に投入する際は、乾燥室1Aの外部に設置したホッパー1H1内に収容した吸収材Sを、傾斜設置されたオーガー移送機1B1により乾燥室1Aの外部に設置したホッパー1H2まで移送する(図2の白矢印a1参照)。ホッパー1H2は、乾燥室1Aの上壁近傍に設置されている。続いて、ホッパー1H2から乾燥室1Aの内部に水平に延びているオーガー移送機1B2により、吸収材Sが、1段目のコンベア1E1の開始端部(その近傍を含む)において均等になるように搭載面上にばらまかれる(図2の白矢印a2参照)。
1段目のコンベア1E1の開始端部の上方には、上壁から導入された廃液送管1F2に連結された廃液送管1F3が、コンベア1E1の幅方向に延びている。廃液送管1F3の下面には、適宜の間隔で噴射孔1F4が形成されている。新規廃液は、廃液送管1F1から二方向バルブVを介して廃液送管1F2、1F3を通り、噴射孔1F4からスプレー状に噴射される。噴射された廃液は、その直下を移動している吸収材Sにより吸収される。廃液の液体分は吸収材Sの内部に浸透し、固形分は吸収材Sの表面に付着する。
吸収材Sは、コンベア1E1の他端から2段目のコンベア1E2に落下して逆方向に移送され(図2の白矢印a3参照)、順次、3段目のコンベア1E3に落下して移送され、4段目のコンベア1E4に落下して移送される。4段目のコンベア1E4の一端が、吸収材Sの移動経路の終了端部である。なお、コンベアの移動速度は、適宜設定されるが、吸収材を空気と十分に触れさせるために、できるだけ低速で移動させることが好ましい。
この移動経路に沿って移動する間、吸収材Sは、流入口inから流入する空気と触れ合う。流入する空気は、相対的に高温低湿度である。これにより吸収材S中の廃液の水分が蒸発する。そして、相対的に低温高湿度となった空気は、流出口outから送出される。
吸収材Sの移動経路の形状は、図示の例に限られないが、乾燥室1A内でなるべく長い距離を移動できるように配設することが望ましい。
吸収材Sの移動経路の終了端部(その近傍を含む)には、吸収材Sから液体分を分離するために、水切りローラ1Jからなる固液分離手段が設けられている。水切りローラ1Jは、コンベア1E4の幅と同じ長さの一対の円柱ローラから構成される。コンベア1E4により移送されてきた吸収材Sは、水切りローラ1Jの間を通過することにより圧縮され、液体分が絞り出される。絞り出された液体分は、乾燥室1Aの底壁に設けられた液体分貯留槽1Kに落下する。液体分貯留槽1Kに溜まった液体分は、廃液送管1F5により液体部回収部へと送られる。
一方、水切りローラ1Jにより液体分を分離された吸収材Sの表面には、廃液の固形分が付着している。固形分が付着した吸収材Sは、コンベア1E4の一端からホッパー1H3内に落下する。ホッパー1H3は、コンベア1E4の幅と同じ長さで延びており、コンベア1E4から落下した全ての吸収材Sを収容する。このときは、ホッパー1H3の底面開口は閉じている。
ホッパー1H3内に設置されたオーガー移送機1B3は、吸収材Sをホッパー1H3の一端側に移送する(図2の白矢印a4参照)。ホッパー1H3の一端側には、バケット付きコンベア1Cが設置されている。バケット付きコンベア1Cは、通気性を確保したメッシュコンベア1C1に、適宜の間隔でバケット1C2を取り付けた縦方向移動用のコンベアである。バケット付きコンベア1Cは、バケット1C2によりホッパー1C3から吸収材Sをすくい取り、最上段のコンベア1E1の上方まで運び上げ、移動経路の開始端部であるコンベア1E1の一端に吸収材Sを投下する(図2の白矢印a5参照)。このようにして、吸収材Sは、乾燥室1A内の移動経路を繰り返し循環することができる。
一方、液体分回収部に送られた液体分は、廃液送管1F6により戻すことができる。戻された液体分は、二方向バルブVを介して廃液送管1F2により乾燥室1Aに入り、再び、噴射孔1F4から噴射される。このようにして、廃液の液体分も、乾燥室1Aと液体分回収部の間で繰り返し循環することができる。
上記のように、固形分を付着した吸収材S及び廃液から分離した液体分の循環を繰り返すことにより、廃液に含まれる水分をさらに蒸発させるとともに、廃液に含まれる固形分をさらに吸着剤Sに付着させることができる。
なお、吸収材Sを循環させる回数、及び、液体分を循環させる回数は、1回でも複数回でもよい。吸収材Sについては所望する乾燥状態が得られるように、また、液体部については所望する濃度が得られるように、1回又は複数回に設定する。
例えば、上記の循環を適切な回数だけ繰り返した後、液体分の循環を停止する。すなわち、噴射孔1F4からの噴射を停止する。その後、吸収材Sの循環のみを繰り返し、吸収材Sに残る水分を完全に蒸発させる。
吸収材Sが完全に乾燥したならば、オーガー移送機1B3及びバケット付きコンベア1Cを停止し、吸収材Sを全てホッパー1H3に収容する。
続いて、固形分を付着させた吸収材Sの外部取り出しを行う。先ず、ホッパー1H3内の吸収材Sをオーガー移送機1B3により底面開口の方へと移送し(図2の白矢印a6参照)、底面開口を開いて吸収材貯留槽1Lに落下させる。オーガー移送機3B1は、吸収材貯留槽1Lから、外部に設置された回収ホッパー3Aへと延びている。オーガー移送機3B1により、吸収材Sを回収ホッパー3Aへと移送する(図2の白矢印a7参照)。
回収ホッパー3Aには、振動を発生するバイブレータ3Bが搭載されている。バイブレータ3Bを稼働させることにより、吸着材Sに付着した固形分を分離し、回収ホッパー3Aの底面開口から固形分のみを篩い落とさせる。回収された固形分は、肥料や飼料として利用される。回収ホッパー3Aには再生された吸収材Sが残される。再生された吸収材Sは、オーガー移送機3B2によりホッパー1H1へと戻され、再使用される(図2の白矢印a8参照)。
図4は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における熱交換部2を示しており、(a)は平面図、(b)は概略側断面図である。熱交換部2は、それぞれ熱交換器から構成された除湿部2Aと加熱部2Bを備えている。
除湿部2Aの筐体2A1には、上述した蒸発乾燥部1の乾燥室1Aの流出口outから出た空気が流入するための流入口と、加熱部2Bに空気を送出するための流出口が設けられている。除湿部2Aの流入口には送風ファン2A3が設置されている。さらに、筐体2A1内には、熱交換パイプ2A2が配設されている。熱交換パイプ2A2には、冷水が流入し(矢印X1参照)、熱交換パイプ2A2を通過する間に空気との間で熱交換し、流出する(矢印X2参照)。乾燥室1Aから流入した空気は、冷水との熱交換により冷却除湿された後、接続管2Cを通り加熱部2Bへ送出される。除湿により凝集したドレン水は、ドレン管2A4から排出される。
除湿部2Aにおける熱交換用の冷水は、水道水でも地下水でもよい。
加熱部2Bの筐体2B1には、除湿部2Aと連通した接続管2Cから空気が流入する流入口と、上述した蒸発乾燥部1の乾燥室1Aの流入口inに空気を送出するための流出口が設けられている。加熱部2Bの流入口には送風ファン2B3が設置されている。さらに、筐体2B1内には、熱交換パイプ2B2が配設されている。熱交換パイプ2B2には、温水が流入し(矢印Y1参照)、熱交換パイプ2B2を通過する間に空気との間で熱交換し、流出する(矢印Y2参照)。除湿部2Aから流入した空気は、温水との熱交換により加熱された後、乾燥室1Aへ送出される。
加熱部2Bにおける熱交換用の温水は、処理対象の廃液を生じたバイオガスプラントによるCHPの廃熱を利用して得ることが好ましい。あるいは、種々の工場、焼却施設、発電施設等における廃熱を利用して水を加熱して温水を得てもよい。本装置は、廃液処理を目的としているので、新たな燃料を消費せずに温水を得ることが望ましい。
図5は、廃液の蒸発乾燥装置の具体的な構成例における液体分回収部4を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。
濃縮液回収タンク4Aには、ポンプPを稼働することにより、上述した蒸発乾燥部1の乾燥室1Aの液体分貯留槽1Kに溜まった液体分が廃液送管1F5及び4Cを通って一時的に貯められる。液体分を乾燥室1Aへ戻して循環させる場合は、濃縮液回収タンク4Aから廃液送管1F6へと送出される。所定の濃度に達して処理を完了した液体分は、廃液送管4Dを通って濃縮液貯蔵タンク4Bへ送られ貯められる。
上述した本発明による廃液の蒸発乾燥装置の稼働方法は、バイオガスプラントの消化液を廃液として想定したものであるが、本装置は、種々の廃液処理のために多様な稼働方法を適用することが可能である。
焼酎粕等廃液及び液状食品加工残渣の除水減量処理も、上記と同様の稼働方法で行うことができる。これにより、乾燥した飼料又は肥料の成分を抽出できる。
また、家畜排泄物の除水減量も、一次的な固液分離処理を行った後の液体に対して、上記と同様の稼働方法で行うことができる。
ヒートパルプや粗飼料等の飼料主材料に対して、焼酎粕から得た飼料成分を絡めて付加するための温風乾燥処理にも適用できる。その場合、吸水材S、水切りローラ1J、バケット付きコンベア1Cは使用しない。ホッパー1H1に飼料主材料を投入し、オーガー移送機1B1及び1B2により乾燥室1A内に送り込む。そして、焼酎粕から分離して濃縮液回収タンク4Aに回収しておいた液体分の濃縮液を噴射孔1F4から飼料主材料に噴射する。濃縮液を噴射された飼料主材料をメッシュコンベア1E1〜1E4で移動させつつ温風と触れさせることにより、蒸発乾燥させる。その後、ホッパー1H3に落下した材料を、オーガー移送機1B3及び3B1を用いて外部の回収ホッパー3Aに回収する。この場合、バイブレータ3Cは使用しない。乾燥が十分でない場合は、ホッパー1H3に落下した材料を、バケット付きコンベア1Cを使用して最上段のメッシュコンベア1E1に戻して再度温風乾燥してもよい。このように、本装置は、水分を含む固体材料の乾燥処理にも適用することができる。
1 蒸発乾燥部
1A 乾燥室
1B1、1B2、1B3 オーガー移送機
1C バケット付きコンベア
1C1 メッシュコンベア
1C2 バケット
1D1、1D2 コンベア駆動ローラ
1E1、1E2、1E3、1E4 メッシュコンベア
1F1、1F2、1F3、1F5、1F6 廃液送管
1F4 噴射孔
1H1、1H2、1H3 ホッパー
1J 水切りローラ
1K 液体分貯留槽
1L 吸収材貯留槽
2 熱交換部
2A 除湿部
2A1 筐体
2A2 熱交換パイプ
2A3 送風ファン
2A4 ドレン管
2B 加熱部
2B1 筐体
2B2 熱交換パイプ
2B3 送風ファン
2C 接続管
3A 回収ホッパー
3B1、3B2 オーガー移送機
3C バイブレータ
4 液体分回収部
4A 濃縮液回収タンク
4B 濃縮液貯蔵タンク
4C、4D 廃液送管
V 二方向バルブ
P ポンプ
S 吸着材
in (空気)流入口
out (空気)流出口

Claims (6)

  1. 固形分と液体分を含む廃液の水分を蒸発させて除去するための蒸発乾燥装置において、
    空気の流入口(in)と流出口(out)を設けられた乾燥室(1A)と、
    前記乾燥室(1A)内にて、伸縮性をもつ多数の細片からなる吸収材(S)を所定の移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)に沿って移動させる手段と、
    前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部(s)にて、前記吸収材(S)に廃液を吸収させる手段(1F4)と、
    前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の終了端部(e)にて、前記吸収材(S)を圧縮することにより前記吸収材(S)から液体分を分離する固液分離手段(1J)と、
    前記乾燥室(1A)の外部に設けられ加熱部(2A)と除湿部(2B)から構成された熱交換部(2)と、を備え、
    前記除湿部(2A)は、相対的に低温の水が流れる熱交換パイプ(2A2)を配設され、前記乾燥室(1A)の前記流出口(out)から送出された空気を流入されるとともに前記加熱部(2B)に空気を送出し、
    前記加熱部(2B)は、相対的に高温の水が流れる熱交換パイプ(2B2)を配設され、前記除湿部(2A)から送出された空気を流入されるとともに前記乾燥室(1A)の前記流入口(in)に空気を送出することを特徴とする
    廃液の蒸発乾燥装置。
  2. 前記固液分離手段(1J)により液体分を分離された前記吸収材(S)を、前記前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段(1C)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項1に記載の廃液の蒸発乾燥装置。
  3. 前記固液分離手段(1J)により分離された液体分を、前記吸収材(S)に再度吸収させるべく前記前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段をさらに備えたことを特徴とする
    請求項1又は2に記載の廃液の蒸発乾燥装置。
  4. 前記固液分離手段(1J)により液体分を分離された後の固形分の付着した前記吸収材(S)を、前記乾燥室(1A)の外部に取り出す手段(3B1)と、
    外部に取り出された前記吸着材(S)に付着した固形分を脱離させる手段(3C)と、をさらに備えたことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の廃液の蒸発乾燥装置。
  5. 固形分を脱離された前記吸収材(S)を、前記乾燥室(1A)内の前記移動経路(1E1, 1E2, 1E3, 1E4)の開始端部に戻す手段(3B2)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項4に記載の廃液の蒸発乾燥装置。
  6. 前記廃液がバイオガスプラントにおいて生じた消化液であり、前記相対的に高温の水が、当該バイオガスプラントによるCHPにより加熱された水であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の廃液の蒸発乾燥装置。
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