JP2005023207A - ボールペン用水性インキおよびこれを使用したボールペン - Google Patents
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Abstract
【課題】昼光下で視認出来ず、紫外線を照射することで視認出来る水性ボールペン用のインキを提供する。
【解決手段】発色剤としての蛍光増白剤と、水と水溶性有機溶剤と剪断減粘樹脂とから少なくともなり、インキの粘度が50〜2500mPa・sのであるボールペン用インキ。発色剤が蛍光増幅剤のみであるボールペン用インキ。前記インキが潤滑剤としてNーアシルアミノ酸及び/又はその塩を含有するボールペン用インキ。前記蛍光増白剤がスチルベン系染料であるボールペン用インキ。前記インキのpHが6.0以上9.0以下であるボールペン用インキ。
【選択図】 図1
【解決手段】発色剤としての蛍光増白剤と、水と水溶性有機溶剤と剪断減粘樹脂とから少なくともなり、インキの粘度が50〜2500mPa・sのであるボールペン用インキ。発色剤が蛍光増幅剤のみであるボールペン用インキ。前記インキが潤滑剤としてNーアシルアミノ酸及び/又はその塩を含有するボールペン用インキ。前記蛍光増白剤がスチルベン系染料であるボールペン用インキ。前記インキのpHが6.0以上9.0以下であるボールペン用インキ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昼光下では筆跡が視認できず、紫外線照射により筆跡が発光し視認可能となるボールペン用の水性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昼光下では筆跡が視認できず、紫外線照射により筆跡を視認できるインキとしてスキンマーク用紫外線発色性インキ組成物(特許文献1参照)がある。これは水に溶解しない蛍光増白剤とアルコール溶剤をと水に溶解しない樹脂を含むものである。
また、昼光線中では不可視である特定の染料を含むインキをジェット流で被記録媒体に印刷し、これに紫外線を当てて可視化する印刷インキ及び印刷方法(特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−98202号公報(第1頁第1欄2行〜7行)
【特許文献2】
特開昭55−5896号公報(第1頁第1欄5行〜第2欄3行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のスキンマーク用のインキは即乾性が要求される人体の皮膚にマーキングするため低沸点のアルコールであり、また、印刷インキも溶剤は低沸点のものを主としており、これらのインキは水性ボールペンに使用すると経時的にペン先が乾燥しやすく使用に耐えない。
また、前記インキはその用途から低粘度であり、インキ収容管に直接インキを収容する方式のボールペンに使用するとペン先を下向きに放置した場合、ペン先からのインキの漏れを発生するおそれがある。
本発明の目的は、水性ボールペンに使用して昼光下では筆跡を視認出来ず、紫外線を照射した時に発光して筆跡が視認出来る水性ボールペン用のインキを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発色剤としての蛍光増白剤と、水と水溶性有機溶剤と剪断減粘樹脂と潤滑剤とから少なくともなり、インキの粘度が50〜2500mPa・sであるボールペン用水性インキを要旨とする。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する蛍光増白剤としては昼光下ではほぼ無色であり、紫外線を照射したときに発光して視認出来るものであれば良く、スチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、イミダゾール系などが使用可能である。一例を挙げると、カヤホールSTCリキッド、同HBCリキッド、同FKYリキッド、同BRリキッド、同PBSリキッド(以上(株)日本化薬カラーズ製)、ホワイテックスBB、同BKconc.、同PAconc.、同SKC(以上住友化学工業(株)製)、MikephorBN、同WS(以上三井化学(株)製)等があるがこれらに限られるものではない。
これらは一種又は2種以上を混合して使用可能であり、その使用量は紫外線により視認出来れば十分であるが、一般的には0.2重量%〜10重量%である。0.2重量%未満では視認性が不十分であり、10重量%を超えて添加しても視認性は向上せず不経済である。
【0007】
剪断減粘性樹脂は、水性ボールペンに充填したときにペン先からのインキのボタ落ちを防止すると共に筆跡の滲みを抑えるために使用するものであり、一例を挙げると、キサンタンガム、ガーガム、イソプロピルアクリルアミド、ポリN−ビニルアシルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等がある。これらのうち、キサンタンガムが剪断減粘性が大きくインキのボタ落ち防止効果が高いので好ましい。これらの剪断減粘性樹脂は一種又は2種以上を選択使用可能であり、の使用量はインキの粘度が50〜2500mPa・sの範囲となるよう適宜添加すればよい。
【0008】
水は主溶剤である。
【0009】
インキとしての種々の品質、例えば、低温時でのインキ凍結防止、ペン先でのインキ乾燥防止、顔料の分散媒、染料の溶解剤、粘度調整剤の溶解・分散等の目的で水並びに従来公知の水溶性有機溶剤を使用する。水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独或は混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して3〜60重量%が好ましい。
【0010】
更には、インキの粘度調整あるいは着色剤の分散安定化等の目的で、合成系のカチオン化したアクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、アクリル系樹脂、ポリアミン、ポリビニルブチラール、アルギン酸エステル、あるいは無機系高分子等が挙げられる。
【0011】
また、窒素硫黄系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、イソチアゾリノン化合物等の防腐剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、顔料の分散安定剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等の界面活性剤といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
【0012】
そして、本発明のインキはボールペン用なので、筆記時にボールと受座の摩擦抵抗を軽減し、滑らかな書き味を付与するために潤滑剤を添加するものである。潤滑剤としては、各種の水溶性切削油、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン及びその塩、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル等が挙げられるがこれに限られるものではない。これらの使用量は0.2重量%〜10重量%が好ましい。0.2重量%未満では潤滑効果が不十分であり、10重量%を超えて添加してもそれ以上の潤滑効果は得られず不経済である。
【0013】
このようなインキを収容するボールペンは、例えば、パイプ状のインキタンクの一端にボールペンチップを接続し、インキタンクないに直接的にインキを充填したものが好適に使用できる。
【0014】
本発明の水性インキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ヘンシェルミキサー等の撹拌機に染料と水と水溶性有機溶剤を入れ撹拌した後、残りの成分を入れ、更に混合撹拌することにより容易に得られる。濾過等を必要に応じて行っても良い。着色剤として顔料を用いた場合は、予め顔料をボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機により分散し分散顔料状となした後、上記と同様に行えば、容易に得られる。
【0015】
また、このようなインキをインキタンクに充填してボールペンを組み立てる方法としては、インキをインキタンクに充填し更にインキフォロワーを充填した後、キャップをするかペン先をホットメルト接着剤などで封して、ペン先側を外側に向けて遠心するか、減圧下に遠心することでインキ中の気泡を除去するなどの方法が採用できる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。また、インキの粘度は東京計器製ELD型粘度計を用い、50mPa・s以下の時は1°34’×R24のコーンロータを使用し剪断速度38.3/sで測定し、50mPa・sを超える粘度の時は3°×R17.65のコーンロータを使用して剪断速度2/sで25℃で測定した。
【0017】
上記成分のうち、ケルザンARの全量と水5部を混合しこれをプロペラ撹拌機で2時間攪拌してケルザンARのペーストを得た。次いで、残りの成分を混合し、プロペラ撹拌機で1時間攪拌した後これにケルザンARのペーストを加えて更に1時間攪拌して無色のインキを得た。このものの粘度は330mPa・sで、pHは7.6であった。
【0018】
上記成分のうち、ケルザンARの全量と水10部を混合しこれをプロペラ撹拌機で2時間攪拌してケルザンARのペーストを得た。次いで、残りの成分を混合し、プロペラ撹拌機で1時間攪拌した後これにケルザンARのペーストを加えて更に1時間攪拌して無色のインキを得た。このものの粘度は1200mPa・sで、pHは7.4であった。
【0019】
比較例1
実施例1において、ケルザンARを抜いてその分水を添加した以外は同様に為し無色の水性インキを得た。このものの粘度は4.3mPa・sで、pHは7.7であった。
【0020】
比較例2
実施例2において、ケルザンARの量を0.1重量部に減じ、その分水0.4重量部を添加した以外は実施例2と同様に為して無色の水性インキを得た。このものの粘度は44mPa・sで、pHは7.6であった。
【0021】
ボールペンの構造の一例を図1に示す。
透明性を有し、内部を視認可能なポリプロピレン樹脂の押し出し成形パイプをインキタンク1とし、内部に繊維収束体などのインキ吸蔵部材を使用せずに直接的にインキ2を収容し、このインキ2を継ぎ手部材3を介してボールペンチップ4と接続している。インキタンク1内のインキ2の界面には、インキの逆流防止や空気の混入を抑制する高粘度流体であるインキフォロワー組成物5が層状に配置されている。インキフォロワー組成物5は、ポリブテンを基剤としてこれにゲル化剤を入れて粘性を調整したものであり、粘度が25000〜70000mPa・sとしている。インキ2が消費されるに伴ってインキの界面と共にボールペンチップ側に移動する。本発明のインキのように、蛍光増白剤のみを発色剤として使用したものでは、インキタンク内のインキが見た目透明又は極めて薄い色がついた程度のものなので、透明といえども多少乳白色のポリプロピレン樹脂製のパイプの壁を通じて視認し難い場合もあるので、このインキフォロワー組成物に着色してインキ残量の目安とすることもできる。このインキタンク1にボールペンチップ4が接続されたものをリフィルとして、透明性を有するアクリルスチレン樹脂の射出成形品である外装体6に収容し、この外装体6に着脱自在に装着可能なポリエチレンテレフタレート樹脂の射出成形品のキャップ7にてボールペンチップ4が覆われる。キャップ7の内部には、ニトリルブタジエンゴム製のパッキン部材8が収容配置されており、外装体6にキャップ7が装着した状態でパッキン部材がボールペンチップ4の先端に接触してボールペンチップ4のインキの吐出口を塞いで実質的にここから内部に空気が進入したりインキが漏れ出すことを防止している。このパッキン部材8と前述のインキフォロワー組成物の層及びポリプロピレン樹脂製のインキタンク1にてインキ2は密封された状態を形成でき、製造時に混入した気泡などがあっても成長を抑制することができる。また、パッキン部材8は白色に近い無彩色性を有しており、パッキン部材8に付着したインキに紫外線を照射するとパッキン部材8の反射と相俟って鮮やかに発色するものである。
【0022】
ボールペンチップ4の周辺を示す要部拡大図である図2に示すように、ボールペンチップ4は筆記部材としての超鋼材製のボール4aを抱持するステンレス製のボールホルダー4bとからなっている。共に金属製の部材からなるところ、インキのpHによってや染料の種類によっては腐食が発生して筆記性能に悪影響を及ぼす可能性もあるので、インキのpHは6.0〜9.0程度に調整されることが好ましい。特にpHによって染料である蛍光増白材が影響を受けると筆跡にはじめから色がついてしまったり、紫外線照射による発色効果が失われる恐れがある。また、ボールペンチップは、直管状の細径部4cを有している。本発明のインキによる筆跡は、紫外線を照射しないと視認し難いものであるため、筆記する最中にもブラックライトなどで紫外線を照射しないと筆記し難いものであるが、紫外線照射の角度などによっては影になったり、ペン先を見難い場合もあるので、極力筆記先端の近傍を細い部分として筆記しやすいように工夫したものである。
【0023】
【発明の効果】
以上、実施例1及び2、比較例1及び2で得たインキ組成物について、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
(試験用ボールペンの作製)
上記実施例2〜3で得た水性インキを、図1に示したボールペンのインキタンクに0.8g程度充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。ボール径は0.3mmのものを使用した。
【0026】
試験1:上記試験用のボールペンを用いて、筆記用紙(JIS P3201筆記用紙A)に「国」という文字を5字筆記した。続いて、この文字が視認出来るか目視で確認し、続いてこの文字に紫外線を照射して発光状態を目視で確認した。
【0027】
試験2:上記試験用のボールペンを室温に24時間ペン先を下向きに放置後、ペン先から漏れ落ちたインキ滴の数を測定した。
【0028】
以上、詳細に説明したように本発明のインキは昼光下では視認出来ず、紫外線を照射したとき視認出来るようになるペン先を下向きに放置したときにインキのボタ落ちのな無いインキである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例を示す縦断面図。
【図2】図1要部拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 インキタンク
2 インキ
3 継ぎ手部材
4 ボールペンチップ
4a ボール
4b ボールホルダー
4c 細径部
5 インキフォロワー組成物
6 外装体
7 キャップ
8 パッキン部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、昼光下では筆跡が視認できず、紫外線照射により筆跡が発光し視認可能となるボールペン用の水性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昼光下では筆跡が視認できず、紫外線照射により筆跡を視認できるインキとしてスキンマーク用紫外線発色性インキ組成物(特許文献1参照)がある。これは水に溶解しない蛍光増白剤とアルコール溶剤をと水に溶解しない樹脂を含むものである。
また、昼光線中では不可視である特定の染料を含むインキをジェット流で被記録媒体に印刷し、これに紫外線を当てて可視化する印刷インキ及び印刷方法(特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−98202号公報(第1頁第1欄2行〜7行)
【特許文献2】
特開昭55−5896号公報(第1頁第1欄5行〜第2欄3行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のスキンマーク用のインキは即乾性が要求される人体の皮膚にマーキングするため低沸点のアルコールであり、また、印刷インキも溶剤は低沸点のものを主としており、これらのインキは水性ボールペンに使用すると経時的にペン先が乾燥しやすく使用に耐えない。
また、前記インキはその用途から低粘度であり、インキ収容管に直接インキを収容する方式のボールペンに使用するとペン先を下向きに放置した場合、ペン先からのインキの漏れを発生するおそれがある。
本発明の目的は、水性ボールペンに使用して昼光下では筆跡を視認出来ず、紫外線を照射した時に発光して筆跡が視認出来る水性ボールペン用のインキを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発色剤としての蛍光増白剤と、水と水溶性有機溶剤と剪断減粘樹脂と潤滑剤とから少なくともなり、インキの粘度が50〜2500mPa・sであるボールペン用水性インキを要旨とする。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する蛍光増白剤としては昼光下ではほぼ無色であり、紫外線を照射したときに発光して視認出来るものであれば良く、スチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、イミダゾール系などが使用可能である。一例を挙げると、カヤホールSTCリキッド、同HBCリキッド、同FKYリキッド、同BRリキッド、同PBSリキッド(以上(株)日本化薬カラーズ製)、ホワイテックスBB、同BKconc.、同PAconc.、同SKC(以上住友化学工業(株)製)、MikephorBN、同WS(以上三井化学(株)製)等があるがこれらに限られるものではない。
これらは一種又は2種以上を混合して使用可能であり、その使用量は紫外線により視認出来れば十分であるが、一般的には0.2重量%〜10重量%である。0.2重量%未満では視認性が不十分であり、10重量%を超えて添加しても視認性は向上せず不経済である。
【0007】
剪断減粘性樹脂は、水性ボールペンに充填したときにペン先からのインキのボタ落ちを防止すると共に筆跡の滲みを抑えるために使用するものであり、一例を挙げると、キサンタンガム、ガーガム、イソプロピルアクリルアミド、ポリN−ビニルアシルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等がある。これらのうち、キサンタンガムが剪断減粘性が大きくインキのボタ落ち防止効果が高いので好ましい。これらの剪断減粘性樹脂は一種又は2種以上を選択使用可能であり、の使用量はインキの粘度が50〜2500mPa・sの範囲となるよう適宜添加すればよい。
【0008】
水は主溶剤である。
【0009】
インキとしての種々の品質、例えば、低温時でのインキ凍結防止、ペン先でのインキ乾燥防止、顔料の分散媒、染料の溶解剤、粘度調整剤の溶解・分散等の目的で水並びに従来公知の水溶性有機溶剤を使用する。水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独或は混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して3〜60重量%が好ましい。
【0010】
更には、インキの粘度調整あるいは着色剤の分散安定化等の目的で、合成系のカチオン化したアクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、アクリル系樹脂、ポリアミン、ポリビニルブチラール、アルギン酸エステル、あるいは無機系高分子等が挙げられる。
【0011】
また、窒素硫黄系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、イソチアゾリノン化合物等の防腐剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、顔料の分散安定剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等の界面活性剤といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
【0012】
そして、本発明のインキはボールペン用なので、筆記時にボールと受座の摩擦抵抗を軽減し、滑らかな書き味を付与するために潤滑剤を添加するものである。潤滑剤としては、各種の水溶性切削油、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン及びその塩、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル等が挙げられるがこれに限られるものではない。これらの使用量は0.2重量%〜10重量%が好ましい。0.2重量%未満では潤滑効果が不十分であり、10重量%を超えて添加してもそれ以上の潤滑効果は得られず不経済である。
【0013】
このようなインキを収容するボールペンは、例えば、パイプ状のインキタンクの一端にボールペンチップを接続し、インキタンクないに直接的にインキを充填したものが好適に使用できる。
【0014】
本発明の水性インキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ヘンシェルミキサー等の撹拌機に染料と水と水溶性有機溶剤を入れ撹拌した後、残りの成分を入れ、更に混合撹拌することにより容易に得られる。濾過等を必要に応じて行っても良い。着色剤として顔料を用いた場合は、予め顔料をボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機により分散し分散顔料状となした後、上記と同様に行えば、容易に得られる。
【0015】
また、このようなインキをインキタンクに充填してボールペンを組み立てる方法としては、インキをインキタンクに充填し更にインキフォロワーを充填した後、キャップをするかペン先をホットメルト接着剤などで封して、ペン先側を外側に向けて遠心するか、減圧下に遠心することでインキ中の気泡を除去するなどの方法が採用できる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。また、インキの粘度は東京計器製ELD型粘度計を用い、50mPa・s以下の時は1°34’×R24のコーンロータを使用し剪断速度38.3/sで測定し、50mPa・sを超える粘度の時は3°×R17.65のコーンロータを使用して剪断速度2/sで25℃で測定した。
【0017】
上記成分のうち、ケルザンARの全量と水5部を混合しこれをプロペラ撹拌機で2時間攪拌してケルザンARのペーストを得た。次いで、残りの成分を混合し、プロペラ撹拌機で1時間攪拌した後これにケルザンARのペーストを加えて更に1時間攪拌して無色のインキを得た。このものの粘度は330mPa・sで、pHは7.6であった。
【0018】
上記成分のうち、ケルザンARの全量と水10部を混合しこれをプロペラ撹拌機で2時間攪拌してケルザンARのペーストを得た。次いで、残りの成分を混合し、プロペラ撹拌機で1時間攪拌した後これにケルザンARのペーストを加えて更に1時間攪拌して無色のインキを得た。このものの粘度は1200mPa・sで、pHは7.4であった。
【0019】
比較例1
実施例1において、ケルザンARを抜いてその分水を添加した以外は同様に為し無色の水性インキを得た。このものの粘度は4.3mPa・sで、pHは7.7であった。
【0020】
比較例2
実施例2において、ケルザンARの量を0.1重量部に減じ、その分水0.4重量部を添加した以外は実施例2と同様に為して無色の水性インキを得た。このものの粘度は44mPa・sで、pHは7.6であった。
【0021】
ボールペンの構造の一例を図1に示す。
透明性を有し、内部を視認可能なポリプロピレン樹脂の押し出し成形パイプをインキタンク1とし、内部に繊維収束体などのインキ吸蔵部材を使用せずに直接的にインキ2を収容し、このインキ2を継ぎ手部材3を介してボールペンチップ4と接続している。インキタンク1内のインキ2の界面には、インキの逆流防止や空気の混入を抑制する高粘度流体であるインキフォロワー組成物5が層状に配置されている。インキフォロワー組成物5は、ポリブテンを基剤としてこれにゲル化剤を入れて粘性を調整したものであり、粘度が25000〜70000mPa・sとしている。インキ2が消費されるに伴ってインキの界面と共にボールペンチップ側に移動する。本発明のインキのように、蛍光増白剤のみを発色剤として使用したものでは、インキタンク内のインキが見た目透明又は極めて薄い色がついた程度のものなので、透明といえども多少乳白色のポリプロピレン樹脂製のパイプの壁を通じて視認し難い場合もあるので、このインキフォロワー組成物に着色してインキ残量の目安とすることもできる。このインキタンク1にボールペンチップ4が接続されたものをリフィルとして、透明性を有するアクリルスチレン樹脂の射出成形品である外装体6に収容し、この外装体6に着脱自在に装着可能なポリエチレンテレフタレート樹脂の射出成形品のキャップ7にてボールペンチップ4が覆われる。キャップ7の内部には、ニトリルブタジエンゴム製のパッキン部材8が収容配置されており、外装体6にキャップ7が装着した状態でパッキン部材がボールペンチップ4の先端に接触してボールペンチップ4のインキの吐出口を塞いで実質的にここから内部に空気が進入したりインキが漏れ出すことを防止している。このパッキン部材8と前述のインキフォロワー組成物の層及びポリプロピレン樹脂製のインキタンク1にてインキ2は密封された状態を形成でき、製造時に混入した気泡などがあっても成長を抑制することができる。また、パッキン部材8は白色に近い無彩色性を有しており、パッキン部材8に付着したインキに紫外線を照射するとパッキン部材8の反射と相俟って鮮やかに発色するものである。
【0022】
ボールペンチップ4の周辺を示す要部拡大図である図2に示すように、ボールペンチップ4は筆記部材としての超鋼材製のボール4aを抱持するステンレス製のボールホルダー4bとからなっている。共に金属製の部材からなるところ、インキのpHによってや染料の種類によっては腐食が発生して筆記性能に悪影響を及ぼす可能性もあるので、インキのpHは6.0〜9.0程度に調整されることが好ましい。特にpHによって染料である蛍光増白材が影響を受けると筆跡にはじめから色がついてしまったり、紫外線照射による発色効果が失われる恐れがある。また、ボールペンチップは、直管状の細径部4cを有している。本発明のインキによる筆跡は、紫外線を照射しないと視認し難いものであるため、筆記する最中にもブラックライトなどで紫外線を照射しないと筆記し難いものであるが、紫外線照射の角度などによっては影になったり、ペン先を見難い場合もあるので、極力筆記先端の近傍を細い部分として筆記しやすいように工夫したものである。
【0023】
【発明の効果】
以上、実施例1及び2、比較例1及び2で得たインキ組成物について、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
(試験用ボールペンの作製)
上記実施例2〜3で得た水性インキを、図1に示したボールペンのインキタンクに0.8g程度充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。ボール径は0.3mmのものを使用した。
【0026】
試験1:上記試験用のボールペンを用いて、筆記用紙(JIS P3201筆記用紙A)に「国」という文字を5字筆記した。続いて、この文字が視認出来るか目視で確認し、続いてこの文字に紫外線を照射して発光状態を目視で確認した。
【0027】
試験2:上記試験用のボールペンを室温に24時間ペン先を下向きに放置後、ペン先から漏れ落ちたインキ滴の数を測定した。
【0028】
以上、詳細に説明したように本発明のインキは昼光下では視認出来ず、紫外線を照射したとき視認出来るようになるペン先を下向きに放置したときにインキのボタ落ちのな無いインキである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例を示す縦断面図。
【図2】図1要部拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 インキタンク
2 インキ
3 継ぎ手部材
4 ボールペンチップ
4a ボール
4b ボールホルダー
4c 細径部
5 インキフォロワー組成物
6 外装体
7 キャップ
8 パッキン部材
Claims (8)
- 発色剤としての蛍光増白剤と、水と水溶性有機溶剤と剪断減粘樹脂とから少なくともなり、インキの粘度が50〜2500mPa・sであるボールペン用水性インキ。
- 前記発色剤が蛍光増白剤のみである請求項1記載のボールペン用水性インキ。
- 前記インキが潤滑剤として、N−アシルアミノ酸及び/又はその塩を含有する請求項1項又は請求項2に記載のボールペン用水性インキ。
- 前記蛍光増白剤がスチルベン系染料である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ。
- インキのpHが6.0以上9.0以下である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のボールペン用水性インキ。
- 透明性を有するポリプロピレン樹脂製の筒をインキタンクとし、その一端に直接又は接続部材を介してボールペンチップを備え、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインキが前記インキタンクに直接収容されると共に、この筒内のインキのボールペンチップと反対側の界面位置にインキフォロワー組成物を配置したボールペン。
- 前記インキタンクが透明性を有する合成樹脂製の外装体に収容され、この外装体と着脱可能なキャップ内に、前記ボールペンチップと当接してボールペンチップを実質的に封するニトリルブタジエンゴム製のパッキン部材を配置した請求項6記載のボールペン。
- 前記ボールペンチップが、直管状最径部を有する請求項6又は請求項7に記載のボールペン。
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