JP2005021454A - 高分子ミセルを有効成分とする組織接着剤 - Google Patents

高分子ミセルを有効成分とする組織接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】動物組織の接着剤の提供。
【解決手段】表面にアルデヒド基が存在する高分子ミセルとポリアミンポリマーとの組み合わせ物からなる組織接着剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は温血動物の組織を接着し、都合よくは確実な止血をもたらす接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術中の止血は、伝統的には糸と針を用いて行われてきたが、近年の手術の難度が高くなったことにより、止血目的に組織接着剤が、循環器外科を中心に汎用されつつある。この止血のための組織接着剤に求められる要件は、安全性、操作性、接着強度が高いことである。
【0003】
このような外科手術における組織接着剤および/またはシーラントとして、動物由来のコラーゲン、動物またはヒト(特に、血液)由来の、フィブリングルー(Fibrin Glue)(例えば、非特許文献1参照。)が、使用されてきたが、動物やヒト由来の成分であるコラーゲンやフィブリノーゲンを用いたものはウイルスやクロイツフェルトヤコブ病などの感染の危惧が除けない。このような観点から、該接着剤として合成ポリマーの使用も検討されてきた(例えば、非特許文献2参照。)。しかし、これらの材料は局所的な炎症や細胞毒性を示し、また、生物適合性に乏しいものであった。さらにこれらの材料の使用に伴う短所を補うものとして、水溶性領域[例えば、ポリ(エチレンオキシド)]と生分解性領域[例えば、ポリ(ヒドロキシ酸)]を有し、かつポリマー間に共有結合をもたらすフリーラジカル重合性末端基とを有するポリマーを用いる組織の接着剤が提案されている[例えば、特許文献1参照。]。また、ウシアルブミンとグルタルアルデヒドを用いる糊[Bio Glu(商標)]も組織の接着剤と使用すべく検討が進んでいる。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5,410,016号明細書(第26欄、第31〜34欄)
【0005】
【非特許文献1】
Transfusion,30(8),1990,741
【0006】
【非特許文献2】
Advances in Polymer Science 79:65−93
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた特許文献1に記載の組織接着剤は、動物由来の生体成分をなるべく使用することなく、合成ポリマーのみから調製でき、しかも良好な組織接着性を示すようである。
【0008】
しかしながら、該組織接着剤は、その塗布後に接着剤固化のための重合開始に際し、特殊な光を照射する必要があるなど、手術中の操作が煩雑になる欠点がある。また、Bio Glue(商標)を初めとするグルタルアルデヒドなどの低分子アルデヒドを使用するものは、低分子アルデヒドが止血面組織から組織内深部へ浸透することによる危険性の懸念がある。
【0009】
したがって、低毒性でかつ、生体成分を用いることによる感染についての危惧がなく、操作性に優れた(例えば、患部への塗布後に、特殊な光の照射や特別な加熱などを要することなく、通常、短時間(1分程度)で固化する。)特性を有する組織接着剤の提供が希求されるところである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、例えば、ポリ(エチレンオキシド)−block−ポリ(ラクチド)のポリ(エチレンオキシド)セグメントの末端にアルデヒド基(またはホルミル:OHC−)を担持するポリマーから水系溶媒中で形成された高分子ミセルと、アミノ基(HN−)を有するポリマーとを患部組織へ塗布すると、ゲルを形成して止血作用を示すとともに、組織へ確実かつ、強く接着することを見出した。この結果は、以下に示す理論に拘束されるものでないが、高分子ミセル表面に存在するアルデヒド基とアミノ基を有するポリアミンポリマーのアミノ基との間でシッフ塩形を形成してゲルをもたらし、さらに、未反応のアルデヒド基が生体組織に存在するアミノ基とも反応することで強い組織接着性をも示したものとみなせる。
【0011】
このような作用・効果は、上記の高分子ミセルに用いたブロックコポリマーに代え、上記のブロックコポリマー以外の各種のアルデヒド−親水性セグメント−疎水性セグメントで表されるブロックコポリマーに由来する高分子ミセル、さらには、作用・効果は若干劣ることがあるものの複数個のアルデヒドを有する、ある一定の水溶性ポリマーを用いた場合でも、良好な組織接着性を示すことを見出した。
【0012】
したがって、本発明によれば、(a)一般式(I)
(<H.philic>−L−)<H.phobic>
(上式中、<H.philic>は、L側の末端と異なるもう一方の末端に少なくとも1個のアルデヒド基(またはホルミル:OHC−)を有する親水性ポリマーセグメントを表し、
<H.phobic>は、L側の末端と異なるもう一方の末端に架橋結合を形成しうる官能基(例えば、エチレン系不飽和集合性基)を有するかまたは有しない疎水性ポリマーセグメントを表し、
Lは、<H.philic>と<H.phobic>を連結する単結合または連結基を表し、そしてpは整数1または2である。)で表されるブロックコポリマーに由来し、かつ、水性媒体中に置いた場合に、親水性ポリマーセグメントからシエル部分が形成され、そして疎水性ポリマーセグメントからコア部分が形成された高分子ミセル、あるいは複数個のアルデヒド基を有する水溶性ビニル高分子、複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリサッカライドおよび複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリエーテルからなる群から選ばれる水溶性ポリマーを含んでなる調製物(以下、調製物(a)ともいう。)と(b)(a)に記載の高分子ミセルまたは水溶性ポリマーのアルデヒド基と反応しうるアミノ基を側鎖に有し、そして該アルデヒド基との反応の結果、水性媒体中でゲルを形成しうる水溶性ポリアミンポリマーを含んでなる調製物(以下、(b)調製物ともいう。)、との組み合わせ物を含んでなる動物組織のための接着剤が提供される。
【0013】
本発明の主要なまたは好ましい態様について、以下に述べる。
【0014】
本発明に従う、(a)調製物と(b)調製物との組み合わせ物は、両調製物が個別に存在するか、あるいは混合した状態にある場合のいずれの状態にある物も意味する。混合した状態にある場合には、使用直前、すなわち、動物の患部の組織に適用または塗布する直前に両調製物を混合して本発明の接着剤とするのが好ましいが、(a)調製物に含まれる高分子ミセルまたは水溶性ポリマーのアルデヒド基と(b)調製物に含まれる水溶性ポリアミンポリマーのアミノ基との反応が進行し難いpH条件下では、該反応に適するpH条件に調整することを条件に、使用直前より相当前に混合していてもよい。
【0015】
他方、両調製物が個別に存在する場合の組み合わせ物とは、両調製物が、使用前にはそれぞれ独立した容器またはアプリケーターに充填された状態にあり、その後、患部の組織上、イン・サイチュー(in situ)で混合される態様を意味する。
【0016】
したがって、両調製物は、高分子ミセルもしくは水溶性ポリマー、好ましくは水性媒体(緩衝剤を含んでいてもよい水溶液、さらに、適用または塗布される組織および上記の反応の進行に悪影響を及ぼさない範囲で、水混和性の有機溶媒、例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を含んでいてもよい。)中に可溶化(もしくは溶解した)または分散させた状態にある。しかし、水性媒体中で、予じめ高分子ミセルを作製した後に得られる、例えば、凍結乾燥した状態にある高分子ミセルであるか、あるいは粉末状にある複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリマーも(a)調製物に包含される。また、(b)調製物も、(a)調製物と同様にポリアミンポリマーが水性媒体中に溶解または分散させた状態にあるか、あるいは粉末状にあってもよい。
【0017】
これらの調製物のいずれか一方または両方に、医薬注射剤を調製するときに常用される添加剤、単糖類、天然アミノ酸類、無機塩類、等を、本発明の目的に反しない限り、加えてもよい。さらに、適用する患部の組織に適する場合には、例えば、創傷治癒に有効な各種増殖因子(TGF−β、PDGF−AB、等)を含んでいてもよい。
【0018】
なお、本発明に従う接着剤は従来の接着剤について既に、常用されているアプリケーターを用いて、患部に適用でき、また、(a)調製剤と(b)調製剤とが個別に存在する場合は、患部に接する箇所で両製剤が一緒になりうる様式の、いずれか既知のアプリケーターを用いて患部に適用できる。
【0019】
(a)調製剤に含められる一般式(I)で表されるブロックコポリマーは、上述したような水性媒体中でそれらの分子が自己集成され、コア部が、主として疎水性セグメントからなり、そしてシエル部が、主として親水性セグメントからなる高分子ミセルを形成するものであれば、どのような親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントを含んでなるものであってもよい。これらのブロックコポリマーには、(親水性ポリマーセグメント)−(疎水性ポリマーセグメント)−(親水性ポリマーセグメント)からなる、所謂、ABA型(一般式(I)におけるpが2である。)ブロックコポリマーも包含される。本発明にいう「ポリマーセグメント」の語は、水性媒体中で高分子ミセルを形成することができる限り、一般的な「ポリマー」の概念に入らないで、「オリゴマー」の概念に相当するセグメントをも包含する意味で用いている。
【0020】
親水性ポリマーセグメントの一方の末端に存在するアルデヒド基は、ブロックコポリマーを製造する際のイニシエーターとして、例えばアセタール化ホルミル(換言すれば、保護されたアルデヒド基ともいえる。)化合物(例えば、アルコールを用いる(例えば、WO 96/33233または対応する米国特許第5,925,720号明細書参照。)か、また、適当な糖類を当該末端に導入するか、またはもともと糖残基を有するブロックコポリマー(例えば、WO 96/32434または対応する米国特許第5,973,069号明細書参照。)、例えば、マラプラード酸化(Malaprade oxidation)にかけ、糖残基をアルデヒド基に転化することにより、上記、少なくとも1個のアルデヒド基を有する親水性ポリマーセグメントを提供できる。また、かような糖類を適当に選ぶことにより、2個の以上のアルデヒド基を有する末端を提供することができる。
【0021】
かようなアルデヒド基を末端に含んでなる親水性ポリマーセグメント(一般式(I)の<H.philic>に相当する。)を構成するポリマー鎖としては、限定されるものでないが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、親水性ポリアクリル酸エステル、親水性ポリメタクリル酸エステル、親水性ポリアクリル酸アミド、親水性ポリメタクリル酸アミド、ポリリンゴ酸、デキストラン、プルラン、デキストラン硫酸、ポリサッカライド、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸および親水性ポリアミノ酸に由来するポリマー鎖が挙げられる。
【0022】
他方、疎水性ポリマーセグメント(一般式(I)の<H.phobic>に相当する。)を構成するポリマー鎖としては、限定されるものでないが、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)−CO−ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、疎水性ポリエステル、ポリ(β−ベンジル L−アスパルテート)、ポリ(β−置換アスパルテート)、ポリ(γ−ベンジル L−グルタメート)、ポリ(γ−置換グルタメート)、ポリ(フェニルアラニン)、ポリ(ロイシン)、ポリ(イソロイシン)、疎水性ポリアミノ酸、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(テトラエチレンオキシド)、疎水性ポリエーテル、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、疎水性ポリ(メタクリレート)、疎水性ポリ(アクリレート)および疎水性ポリ(アクリルアミド)および疎水性ポリ(メタクリルアミド)に由来するポリマー鎖が挙げられる。かようなポリマー鎖は、ポリマー主鎖中のいずれかの部位、好ましくは<H.philic>と結合する側とは別の末端部に側鎖として少なくとも1個の架橋結合を形成しうる官能基を有することができる。これらの官能基は2つの官能基が架橋結合を形成しうるものであればいかなる基であってもよいが、例えば、エチレン系不飽和重合性基、メルカプト基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基が好ましい。なお、上記ポリマー鎖のうち、生分解性を有するエステル結合を有するものが、本発明の使用目的上好ましい。
【0023】
以上のごとき、少なくとも2種のセグメントを含んでなるブロックコポリマーは、いずれも公知の方法によって製造でき、それらのうち、好ましいものは、一般式(I)における、<H.philic>のアルデヒド基を除く部分が、ポリ(エチレンオキシド)のポリマー鎖を含んでなり、かつ、もし存在する場合には架橋結合を形成する官能基以外の<H.phobic>の部分が、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)およびポリ(γ−ブチロラクトン)からなる群より選ばれるポリマーのポリマー鎖を含んでなり、そしてLが単結合;直鎖もしくは分岐のC1−12アルキレン基;−NH−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−OCO−NH−および−NHCO−NH−からなる群より選ばれる1つの基がいずれか片方のもしくは両末端に存在するか、または該基によって中断されている直鎖もしくは分岐のC1−12アルキレン基である、ブロックコポリマーが挙げられる。さらに、特に好ましいブロックコポリマーとしては、一般式(I−a)
【0024】
【化7】
Figure 2005021454
【0025】
(上式中、XはOHC−または
【0026】
【化8】
Figure 2005021454
【0027】
を表し、
Yは式
【0028】
【化9】
Figure 2005021454
【0029】
または−(CH−を表し、かつ、ここでRおよびRは独立して水素原子またはメチル基であり、sは3〜5の整数であり、
mおよびnは独立して、10〜10,000の整数であり、
qおよびrは0または1〜12の整数であり、
tは0または1の整数であり、
Zは、rが0であるとき、水素原子、アセチル、アクリロイル、メタクリロイル、シンナモイル、アリルまたはビニルベンジルを表し、rが1〜20の整数であるとき、C1−6アルコキシカルボニルを表す)で表されるブロックコポリマーを挙げることができる。これらの特に好ましいブロックコポリマーは、例えば、上述のWO 91/33233またはWO 96/32434に記載されているか、あるいは記載されている方法によって得ることができる。また、これらのPCT国際公開公報には、該ブロックコポリマーから高分子ミセルの形成方法を記載されており、該ブロックコポリマー以外の本発明で使用するブロックコポリマーも、上記方法または当業者に周知の方法で高分子ミセルを形成できる。高分子ミセルを形成した後、例えば存在する場合には、架橋結合を形成できる官能基の反応[一般式(I−a)のポリマーにあっては、アクリロイル基等のラジカル重合]により、架橋を形成してもよい。該重合に際し、スチレン、アクリルエステル等の希釈モノマーを共存させてもよい。
【0030】
高分子ミセルの形成には、上記ブロックコポリマーの2種以上の混合物を用いてもよく、またアルデヒド基を有するブロックコポリマーが少なくとも1重量%、好ましくは5重量含み、アルデヒド基を含まないだけで他の構造は類似するブロックコポリマーが残りを占める混合物であってもよい。
【0031】
本発明で使用する(a)調製物は、上記の高分子ミセルと一緒に、または高分子ミセルに代え、複数個のアルデヒド基を有する水溶性ビニル高分子、複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリサッカライドおよび複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリエーテルからなる群から選ばれる水溶性ポリマーを含めることができる。限定されるものでないが、該水溶性ビニル高分子の具体的なものとしては、ポリアリルアルデヒドを挙げることができ、該水溶性ポリサッカライドとしては、酸化デンプン(過ヨウ素酸による)、酸化セルロース(過ヨウ素酸による)、を挙げることができ、そして該水溶性ポリエーテルとしては、両末端アルデヒド化ポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0032】
(b)調製剤は、上記(a)調製剤に含められる高分子ミセルまたは水溶性ポリマーのアルデヒド基と反応しうるアミノ基を側鎖に有し、そして該アルデヒド基との反応の結果、水性媒体中でゲルを形成しうる水溶性ポリアミンポリマーを含んでなる。このようなポリアミンポリマーの具体的なものとしては、限定されるものでないが、ポリ(アリルアミン);ポリ(L−リシン);ポリ(D−リシン);ポリ(D,L−リシン);リシンとアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびサルコシンからなる群より選ばれるアミノ酸とに由来するアミノ酸残基を有するポリアミノ酸;一般式(II)
【0033】
【化10】
Figure 2005021454
【0034】
[上式中、RaおよびRbは独立して水素原子またはメチル基を表し、
Aは
【0035】
【化11】
Figure 2005021454
【0036】
を表し(ここで、RcはC1−12アルキル基を骨格とし、1個以上のNHを含む基である)、または
Bは
【0037】
【化12】
Figure 2005021454
【0038】
を表し(ここで、RdはC1−12アルキル基を表すか、C1−12アルキル基を骨格とし、1個以上の−COOHまたは−OHを含む基である。)、
xおよびyは、独立して3〜10,000である。]
で表されるポリ(ビニルアミン)またはポリ(エチレンイミン)を挙げることができる。
【0039】
本発明では、上述したとおり、ウイルスなどの感染が危惧される動物由来の成分を使用する必要はないが、安全性が確認できるのであれば、アルブミン;フィブリノーゲン;コラーゲン;ゼラチン;イムノグロブリンを上記のポリアミンポリマーとして使用することもできる。
【0040】
また、合成ポリアミンポリマーと同様に使用する際の安全性が担保できるキトサンおよびキトサン誘導体も、ポリアミンポリマーとして、都合よく使用できる。なお、本発明で「キトサン」と称する場合には、キチンからの脱アセチル化度が15%を超え、好ましくは50%を超えるものを意味する。この点で、通常70%程度以上脱アセチル化されたものがキトサンと称されているようである(例えば、Morimoto et al., Trends in Glycoscience and Glycotechnology Vol.14 No.78(2002)pp.205−222参照。)が、本発明では、通常とは異なる概念で「キトサン」の語を用いている。一方、高度の脱アセチル化度(例えば、70%以上)を有するものを再度アセチル化したものも、本発明にいう「キトサン」に包含される。しかし、脱アセチル化度が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上のキトサンが使用される。これらのキトサンは、水分散体を形成する微粒子状で使用することもできる。以上に記載したキトサンは天然のキチンから製造してもよいし、また市販されているものを用いることもできる(例えば、大日精化の製品カタログ参照。)。
【0041】
キトサン誘導体は、上述のキトサンから誘導され、本発明の目的に沿うものであれば、いかなる誘導体をも包含する。限定されるものでないが、このような誘導体の代表的なものとしては、上述の Morimoto et al., に記載されるようなキトサンの糖残基へ、部分的に側鎖として、糖残基を導入して誘導体(D−グルコール、D−ガラクトース、D−ラクトース、N−アセチル−D−グルコサミンのアリル化誘導体をアルデヒド基に変換した後、還元的アルキル化を行って得られるもの)、ポリエチレングリコールを導入した誘導体を挙げることができる。
【0042】
これらのポリアミンポリマーの分子量は、組み合わせて使用される(a)調製物中の高分子ミセルまたは水溶性ポリマーの種類、さらには、ポリアミンポリマー自体の種類によって至適の分子量が変動するので限定できないが、ポリ(アリルアミン)を例にすると、500〜500万、好ましくは30000〜500万の分子量のものが使用でき、ポリ(リシン)にあっては、1000〜500万、好ましくは3万〜500万の分子量のものが使用でき、約70〜85%脱アセチル化されたキトサンにあっては、キトサン純分0.5wt%、酢酸0.5wt%水溶液、20℃での粘度が5〜5000mPa・S、好ましくは100〜2000mPa・Sを示す分子量のものが使用できる。
【0043】
(a)調製物中の高分子ミセルまたは水溶性ポリマーと(b)調製物中のポリアミンポリマーとを組み合わせる場合の混合割合は、小規模のイン・ビトロ(in vitro)実験を行って、所期のゲルが形成する割合であれば、イン・ビボ(in vivo)でもほぼ同等の効果を得ることができるので、当業者または外科医は、容易に最適の使用割合を決定することができる。また、後述する実施例を参照できるが、例えば、一般式(I−a)で表されるブロックコポリマーと分子量が、15万のポリ(アリルアミン)を組み合わせる場合(ブロックコポリマー/ポリアミン)には、0.1〜100、であることができる。
【0044】
また、ゲル化に際しては、(a)調製物と(b)調製物のpHは4〜11、好ましくは4〜10に調節するのがよい。
【0045】
上述したように、(a)調製物と(b)調製物の組み合わせ物は、周囲温度またはヒトの体温付近の温度において、動物組織に迅速かつ、強く接着する。したがって、外科手術における組織接着剤として都合よく使用できるが、本発明の接着剤は、その他の組織もしくは細胞の固定等にも使用できる。
【0046】
本発明に従って、ゲルが形成される場合の概念図を図1に示す。図中、Xは高分子ミセルの親水性セグメントの末端に存在するアルデヒド基を表し、Yはポリアミンポリマーの側鎖に存在するアミノ基を表す。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を特定の具体例を挙げ、さらに説明するが、本発明をこれらに限定することを意図するものでない。
【0048】
高分子ミセルの製造例:
・使用したブロックコポリマー:
【0049】
【化13】
Figure 2005021454
【0050】
【化14】
Figure 2005021454
【0051】
・アセタール−PEG−PLAブロックコポリマー
PEG鎖分子量:5,500(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる)
PLA鎖分子量:4,000(H−NMRのPEGとの強度比から)
アセタール末端のPEG−PLAブロックコポリマー2.00gをN,Nージメチルアセトアミド5.0mLに溶解させ、水に対して1晩透析して(Spectrapor 6透析膜、分画分子量1,000を使用)、高分子ミセルを形成させた。ミセル液を回収し、塩酸により約pH2として室温で2時間反応させ、末端のアセタール基をアルデヒド基に変換させ、水酸化ナトリウム水溶液によって、pHを5.0に調節してから、水に対して1晩透析した。透明な高分子ミセル溶液を得た。(高分子末端が100%アルデヒド基の高分子ミセル)高分子ミセル溶液の濃度は、水分を蒸発させることにより上げ、蒸留水で希釈することによって下げた。
【0052】
また、この高分子ミセル溶液を凍結乾燥することによって、末端がアルデヒド基のブロックコポリマー(CHO−PEG−PLA)を単離した。このCHO−PEG−PLA77.5mgとアセタール末端のPEG−PLAブロックコポリマー(アセタール−PEG−PLA)705.0mgをN,Nージメチルアセトアミド2.0mLに溶解させ、水に対して1晩透析して(Spectrapor 6透析膜、分画分子量1,000を使用)、高分子末端が10%アルデヒド基の高分子ミセル溶液を得た。実施例1 マグネチックスターラーによる凝固実験
上記高分子ミセルの製造例に従って得た、末端アルデヒドの高分子ミセル溶液0.25mL(37℃)にポリアミン液0.25mL(37℃)をテフロンの撹拌子で撹拌しながら加え、その凝固の速度と硬さを観察した。 使用したポリアミンは、株式会社 日東紡スペシャリティケミカルズより入手したポリアリルアミン溶液であった。結果を下記の表−1にまとめて示す。
【0053】
【表1】
Figure 2005021454
【0054】
注) 凝固の速度の尺度:最大:1秒以内、大:2秒以内、中:2〜5秒、小:5秒以上
凝固の強さの尺度:大:ゲルを入れたガラス容器を逆さまにしてもゲルおよびテフロン被覆撹拌子(長さ10mm)が移動しない。
【0055】
中:ゲルを入れたガラス容器を逆さまにするとゲルがゆっくりと移動する。
【0056】
小:ゲルを入れたガラス容器を逆さまにするとゲルが速やかに(容器の端まで2cm程度を2秒未満で)移動する。
【0057】
表より、高分子ミセル溶液濃度が10%で、ポリアリルアミンの分子量が15万のものを用いると強度の高いゲルが形成されることがわかる(Run5〜9参照。)。Run4と5〜9の比較により、ポリアリルアミンのpHが7.0〜9.0の範囲であると素早く凝固することがわかる。これは、ポリアリルアミン側鎖が適切な−NHと−NH+Cl の比になっていると、ポリアリルアミンが反応により高分子ミセル同士を架橋することができ、ゲルが形成することを示す。Run6、7、11、12、16−18の比較により、この範囲の高分子ミセルおよびポリアリルアミン濃度ではゲルを形成することがわかる。さらにRun7、19−21の比較により、ポリアリルアミン分子量が1.5万以上で、分子量が大きいほど強いゲルが形成することもわかる。
実施例2:
実施例1における高分子ミセル溶液に代え、ブロックコポリマーのPEG鎖末端の10%がアルデヒド基で、残りの90%がアセタール基(1級アミンと反応しない)である高分子ミセルを用いる他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−2に示す。
【0058】
【表2】
Figure 2005021454
【0059】
表−2より、この場合も強い強度を有したゲルの形成が見られた。また、Run7、9(実施例1)と22、23の比較により、アルデヒド基が100%のミセルに比べて、10%がアルデヒド基のミセルはより高いpHで強固なゲルを形成することがわかる。実施例3:
実施例(?)におけるポリアリルアミンに代え、ポリ(L−リシン)[Sigma 社製 HBr塩 平均分子量70万、3万]を用いた他は、実施例の操作を繰り返した。結果を表−3に示す。
【0060】
【表3】
Figure 2005021454
【0061】
表−3のRun1〜3の比較により、ポリ(L−リシン)のpHが9.0〜10.0の範囲では素早く凝固することがわかる。また、Run2と5の比較により、ポリ(L−リシン)の濃度がゲル形成挙動に影響することがわかる。
実施例4
実施例1の操作に従うが、本例では、末端アルデヒドの高分子ミセル溶液0.25mL(室温)にポリアミン(和光純薬製:キトサン10またはキトサン100を使用)液0.25mL(室温)をテフロンの撹拌子で撹拌しながら加えた。さらにpHを高めるために7%炭酸ナトリウム水溶液を加えてその凝固の速度と硬さを観察した。結果を表−4に示す。
【0062】
【表4】
Figure 2005021454
【0063】
表より、高分子量のキトサンの場合にゲルが形成することがわかった。
実施例5 血液凝固計よる凝固実験(37℃)
Ssarstedt 社製の Biomatic B10 のセルに上記の高分子ミセルの製造例に従って得た、末端アルデヒドの高分子ミセル溶液0.25mL、ポリアミン液0.25mLの順番で加え、溶液の粘度変化を径時的に測定した。結果を表−5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 2005021454
【0065】
表−5における到達粘度の結果から、実施例1および2でゲルの形成が得られたすべての条件で、粘度が40mPa S 以上となり、ゲルを形成しない条件のものは40mPa S となった(これらのRUNでの測定域は2〜40mPa S)。
【0066】
粘度30(mPa S)に到達する時間の結果でポリアリルアミンの場合は、実施例2での凝固速度が「中」と観察された条件では、粘度30(mPa S)に到達する時間は3秒、凝固速度が「大」と観察された条件では、粘度30(mPa S)に到達する時間は2秒以内、凝固しなかったものは粘度30(mPa S)に到達しなかった。実施例3に従うポリ(L−リシン)の場合は、実施例1および2での凝固する条件では、ポリアリルアミンに比べて粘度が30(mPa S)に到達するのに3〜8秒と長い時間がかかった。
実施例6 マウスの腹部切開部位での凝固及び組織接着実験
マウスの腹部を麻酔下に切開し、腹膜を露出させ、そこに本接着剤を0.2〜1mL程度を滴下し、1分程度静置した後、凝固(ゲル形成)と腹膜への接着性を観察した。滴下は以下に述べる2つの方法を用いた。結果を表−6に示す。
(A法) 高分子ミセル液とポリアリルアミン液を等量混ぜ、その混合液をシリンジで腹膜に滴下した直後に、滴下位置に炭酸ナトリウム水溶液(7w/w%)を滴下する。
(B法) 高分子ミセル液とポリアリルアミン液を別々にシリンジに取り、ニプロ医工(株)製のボルヒール調整器にセットして、滴下する(これによって常に同量が滴下直前に混合される。)。
【0067】
【表6】
Figure 2005021454
【0068】
表−6より、高分子ミセルの高分子鎖のアルデヒド基の割合が10%、100%両方の場合で、A法とB法の両方法で、良好な腹膜への接着性及びゲル形成が見られた。腹膜への接着性は、アルデヒド基の割合が100%の高分子ミセルの場合の方が少し強かった。
【0069】
本発明に従う接着剤の腹膜組織への接着状況を示す図に代わる写真を図2(a)、(b)および(c)に示す。
【0070】
図2(a)は、RUN1によるゲル凝固を示す。2つの矢印で示した位置に透明のゲルが形成していることが観察される。同(b)は、RUN2によるゲル凝固を示す。2つの矢印の意味は(a)に同じ。同(c)は、RUN1によるゲル凝固を示す。色素でゲルの輪部を浮き出させている。2つの矢印の意味は(a)に同じ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う接着剤のゲル形成概念図である。
【図2】本発明に従う接着剤のマウスの腹膜上でのゲル形成および組織の接着を示す図に代わる写真である。

Claims (8)

  1. (a) 一般式(I)
    (<H.philic>−L−)<H.phobic>
    (上式中、<H.philic>は、L側の末端と異なるもう一方の末端に少なくとも1個のアルデヒド基(OHC−)を有する親水性ポリマーセグメントを表し、
    <H.phobic>は、L側の末端と異なるもう一方の末端もしくはいずれかの部位に架橋結合を形成しうる官能基を有するか、または有しない疎水性ポリマーセグメントを表し、
    Lは、<H.philic>と<H.phobic>を連結する単結合または連結基を表し、そしてpは整数1または2である。)で表されるブロックコポリマーに由来し、かつ、親水性ポリマーセグメントからシエル部分が形成され、そして疎水性ポリマーセグメントからコア部分が形成された高分子ミセル、あるいは複数個のアルデヒド基を有する水溶性ビニル高分子、複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリサッカライドおよび複数個のアルデヒド基を有する水溶性ポリエーテルからなる群から選ばれる水溶性ポリマーを含んでなる調製物、と
    (b) (a)に記載の高分子ミセルまたは水溶性ポリマーのアルデヒド基と反応しうるアミノ基を側鎖に有し、そして該アルデヒド基との反応の結果、水性媒体中でゲルを形成しうる水溶性ポリアミンポリマーを含んでなる調製物、との組み合わせ物を含んでなる動物組織のための接着剤。
  2. (a)の調製物が高分子ミセルを含んでなる請求項1に記載の接着剤。
  3. 一般式(I)における、<H.philic>のアルデヒド基を除く部分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、親水性ポリアクリル酸エステル、親水性ポリメタクリル酸エステル、親水性ポリアクリル酸アミド、親水性ポリメタクリル酸アミド、ポリリンゴ酸、デキストラン、プルラン、デキストラン硫酸、ポリサッカライド、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸および親水性ポリアミノ酸からなる群より選ばれるポリマーのポリマー鎖を含んでなり、かつ、もし存在する場合には架橋結合を形成する官能基以外の<H.phobic>の部分が、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)−CO−ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、疎水性ポリエステル、ポリ(β−ベンジル L−アスパルテート)、ポリ(β−置換アスパルテート)、ポリ(γ−ベンジル L−グルタメート)、ポリ(γ−置換グルタメート)、ポリ(フェニルアラニン)、ポリ(ロイシン)、ポリ(イソロイシン)、疎水性ポリアミノ酸、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(テトラエチレンオキシド)、疎水性ポリエーテル、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、疎水性ポリ(メタクリレート)、疎水性ポリ(アクリレート)、疎水性ポリ(アクリルアミド)および疎水性ポリ(メタクリルアミド)からなる群より選ばれるポリマーのポリマー鎖を含んでなる請求項2に記載の接着剤。
  4. 一般式(I)における、<H.philic>のアルデヒド基を除く部分が、ポリ(エチレンオキシド)のポリマー鎖を含んでなり、かつ、もし存在する場合には架橋結合を形成する官能基以外の<H.phobic>の部分が、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(L−乳酸−CO−グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)およびポリ(γ−ブチロラクトン)からなる群より選ばれるポリマーのポリマー鎖を含んでなり、そしてLが単結合;直鎖もしくは分岐のC1−12アルキレン基;−NH−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−OCO−NH−および−NHCO−NH−からなる群より選ばれる1つの基がいずれか片方のもしくは両末端に存在するか、または該基によって中断されている直鎖もしくは分岐のC1−12アルキレン基である請求項2に記載の接着剤。
  5. 高分子ミセルが、下記の一般式(I−a)
    Figure 2005021454
    (上式中、XはOHC−または
    Figure 2005021454
    を表し、
    Yは式
    Figure 2005021454
    または−(CH−を表し、かつ、ここでRおよびRは独立して水素原子またはメチル基であり、sは3〜5の整数であり、
    mおよびnは独立して、10〜10,000の整数であり、
    qおよびrは0または1〜12の整数であり、
    tは0または1の整数であり、
    Zは、rが0であるとき、水素原子、アセチル、アクリロイル、メタクリロイル、シンナモイル、アリルまたはビニルベンジルを表し、rが1〜20の整数であるとき、C1−6アルコキシカルボニルを表す)で表されるブロックコポリマーにより形成されたものである請求項1または2に記載の接着剤。
  6. 前記ポリアミンポリマーが、ポリ(アリルアミン);ポリ(L−リシン);ポリ(D−リシン);ポリ(D,L−リシン);リシンとアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびサルコシンからなる群より選ばれるアミノ酸とに由来するアミノ酸残基を有するポリアミノ酸;一般式(II)
    Figure 2005021454
    [上式中、RaおよびRbは独立して水素原子またはメチル基を表し、
    Aは
    Figure 2005021454
    を表し(ここで、RcはC1−12アルキル基を骨格とし、1個以上のNHを含む基である)、または
    Bは
    Figure 2005021454
    を表し(ここで、RdはC1−12アルキル基を表すか、C1−12アルキル基を骨格とし、1個以上の−COOHまたは−OHを含む基である。)、
    xおよびyは、独立して3〜10,000の整数である。
    で表されるビニル系のポリアミンポリマー;アルブミン;フィブリノーゲン;コラーゲン;ゼラチン;イムノグロブリン;キトサン;およびキトサン誘導体からなる群より選ばれるポリマー鎖を含んでなる請求項1〜5のいずれかの一に記載の接着剤。
  7. 前記ポリアミンポリマーが、ポリ(アリルアミン)、ポリ(L−リシン)、ポリ(D−リシン)、ポリ(D,L−リシン)、キトサンおよびキトサン誘導体からなる群より選ばれる請求項5に記載の接着剤。
  8. (a)の調製物と(b)の調製物が組織を接着することの必要なイン・サイチュー(in situ)で組み合わされる請求項1〜7のいずれかの一に記載の接着剤。
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