JP2005019834A - キャリアプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品チップを貫通穴に挿入する際に、高い挿入圧力を必要とせず、低い挿入圧力で挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができ、電子部品チップの破損や電極の剥がれなどの問題も生じず、しかも、安価で簡単な構造の金型を用いて容易に製造することができるキャリアプレートの提供を課題とする。
【解決手段】芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートにおいて、該貫通穴の開口部に面取りを施してなり、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998であることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートにおいて、該貫通穴の開口部に面取りを施してなり、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998であることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックコンデンサ等の電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布して電極を形成する際、該電子部品チップを扶持・保持するために用いるキャリアプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布して電極を形成する際に、複数の電子部品チップを効率良く処理できるようにするため、複数の貫通穴を設けたキャリアプレートが用いられている。このキャリアプレートは、一般に、芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ弾性的に扶持・保持するための貫通穴を有する。この貫通穴の穴径は、電子部品チップを安定して扶持・保持することができるように、電子部品チップの径より小さくなっており、そのため、電子部品チップを貫通穴に挿入するには、かなりの挿入圧力を必要とする。
したがって、従来のキャリアプレートは、その貫通穴に電子部品チップを挿入する際に、高い挿入圧力を加える必要があり、その結果、電子部品チップが破損しやすいという問題を抱えていた。
【0003】
また、図6は電子部品チップを従来のキャリアプレートの貫通穴に挿入する前の状態を示した断面説明図であるが、この図6に示したように、従来のキャリアプレート1の貫通穴4の穴径は、電極7を形成した電子部品チップ6の径よりも小さい。これにより、従来のキャリアプレートは、電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布するために、電子部品チップを貫通穴に押し込み、貫通穴を移動させて、キャリアプレートの反対面から電極を形成していない電子部品チップの端部を突出させると、電子部品チップと貫通穴の内面との摩擦により、電子部品チップの側面等に既に形成されていた電極が剥がれてしまうという問題も抱えていた。一般的に、電子部品チップのサイズが大きいほど、導電ペーストは厚めに塗布されるので、電子部品チップのサイズに比例して、電子部品チップの側面等に形成される電極は厚くなり、それに伴って貫通穴の内面と電子部品チップの摩擦は大きくなる。したがって、サイズが大きい電子部品チップは、上記したような、電極の剥がれの問題が深刻であった。
【0004】
このような不具合を改善したキャリアプレートとしては、電子部品チップを挿入する貫通穴の開口部の穴径を、電子部品チップを自由に受け入れる寸法とし、電子部品チップを保持する部分の貫通穴の穴径を、電子部品チップを弾性的に扶持・保持する寸法としたものが報告されている(特許文献1参照)。また、この特許文献1には、貫通穴の穴径を一段でなく、必要に応じて、多段で絞り込むと共に、大径部と小径部の繋がり部分に勾配を付与して、電子部品チップを滑らかに移動することができるようにした態様のキャリアプレートが示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−176990号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示されたキャリアプレートは、極めて複雑で高価な金型を使用しなければ、製造することができないという問題がある。通常、キャリアプレートを製造するには、まず、多数の貫通穴を有する剛性体プレートである芯材を金型にインサートし、芯材の貫通穴と金型のコアピンとの隙間に、弾性体を形成する樹脂を射出、注入するなどして充填する作業が行われる。その際、金型としては、芯材の貫通穴に対応した位置に、貫通穴より小径のコアピンを貫通穴の数と同数埋設したものが使用される。次に、充填した樹脂を硬化させた後、脱型時にコアピンを引き抜くことにより、少なくとも芯材表面の一部が弾性体で被覆された、多数の貫通穴を有するキャリアプレートが製造される。
ところが、特許文献1のキャリアプレートの貫通穴を形成するには、拡径部と小径部を有するコアピンが必要であり、さらに、大径部と小径部の繋がり部分に勾配を設けた場合は、拡径部と小径部の繋がり部分を滑らかな勾配としたコアピンが必要となる。このような複雑な構造のコアピンを多数本作製して、金型に埋設することは、非常に煩雑な作業であり、また、出来上がった金型は、極めて高価になるため、そのような金型を使用することは、到底実用的であるとは言えなかった。
【0007】
そこで、本発明は、電子部品チップを貫通穴に挿入する際に、高い挿入圧力を必要とせず、低い挿入圧力で挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができ、また、電子部品チップの破損や電極の剥がれなどの問題も生じず、しかも、安価で簡単な構造の金型を用いて容易に製造することができるキャリアプレートの提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、貫通穴に改良を加えることにより、上記課題を解決できることを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のキャリアプレートは、芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートにおいて、該貫通穴の開口部に面取りを施してなり、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998であることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のキャリアプレートについて、その全体的外観の1例を示した斜視図である。図1に示すように、本発明のキャリアプレート1は、プレート状の芯材2とその表面を被覆してなる弾性体3とで形成され、複数の電子部品チップを1個ずつ弾性的に扶持・保持するための貫通穴4を有するものである。これらの点については、従来のキャリアプレートと実質的に同様である。
【0010】
芯材2は、補強のために弾性体3の内部に埋め込まれる部材であり、通常、多数の貫通穴4を設けた剛性プレートを用いる。芯材の材質としては、例えば、炭素鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル合金等が挙げられる。特にアルミニウム合金が、切削加工性、操作性、経済性の点で好適である。
【0011】
弾性体3は、電子部品チップを弾性的に扶持・保持する部材であり、芯材の一部又は全部の表面を被覆する。弾性体の材質としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、スチレンゴム等、一般的に使用されている弾性材料が挙げられる。特にミラブル型シリコーンゴム、付加型液状シリコーンゴムが、成形加工性、耐久性、耐熱性の点で好適である。
【0012】
貫通穴4は、電子部品チップを挿入する部分である。図2は、芯材2とそれを被覆してなる弾性体3からなる本発明のキャリアプレートの一部を拡大した縦断面図である。この図2に示したように、本発明のキャリアプレートは、貫通穴4の開口部に面取り5を施して、該開口部を拡径させ、貫通穴4の面取り5を施した開口部以外の部分は一定の径とする。本発明における貫通穴の構造は、このように簡単であるため、本発明のキャリアプレートを成形する際に用いる金型は、一定の径を有するストレートのコアピンを備えた金型でよく、特別な段付加工等を施した複雑な構造の金型である必要はない。したがって、本発明のキャリアプレートには、安価で簡単な構造の金型を用いて製造することができるという利点がある。
貫通穴の断面形状については、特に限定されず、円形、正方形、長方形、楕円形等、挿入する電子部品チップの断面形状に合わせて適宜決定すればよい。
【0013】
本発明の特徴は、貫通穴の開口部に面取りを設け、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998の条件を満足する構造を有する点にある。図3は、貫通穴の縦断面を例示した説明図である。この図3に示したように、Aは面取りを施した開口部以外の部分の径(内径)であり、Bは面取りを施して拡径した開口部の最大径(外径)である。また、Cは開口部を除いた貫通穴の長さであり、Dは貫通穴の端から端までの長さである。
これらのA、B、C、Dをそれぞれ測定して求めたA/BがO.99よりも大きい値、あるいはC/DがO.998よりも大きい値のときは、電子部品チップをキャリアプレートに挿入するために高い圧力が必要となり、その結果、電子部品チップが破損したり、電極塗布厚みの薄い小型の電子部品チップであっても、電極部分が削られてしまうという不具合が生じる。
また、A/BがO.50よりも小さい値、あるいはC/DがO.700よりも小さい値のときは、電極塗布厚みの厚い大型の電子部品チップであっても、これを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりするため、導電ペーストを塗布して電極を形成することが困難になる。
貫通穴の開口部に設ける面取りは、開口部の全面でなく、一部の面だけに設けてもよいが、全面に設けた方が、電子部品チップを均等に扶持・保持できるなどの点で好ましい。
【0014】
本発明のキャリアプレートの成形方法としては、コンプレッション成形、トランスファー成形、インジェクション成形等の方法を用いることができ、適宜選択される。いずれの成形方法においても、前述したように、多数の貫通穴を得るためには、貫通穴と同数のコアピンを埋設した金型が必要である。
また、本発明のキャリアプレートを成形するにあたり、前記芯材と弾性体の接着性を高めるために、予め、適したプライマー処理を施すこともできる。
【0015】
キャリアプレートの貫通穴の開口部に面取りを施す方法としては、例えば、貫通穴の穴径よりも、やや太径の剛性体を1個ずつ貫通穴に挿入し、弾性体に歪みを生じさせて貫通穴の開口部を拡径する方法、貫通穴の開口部のエッジ部分をドリルで1個ずつ削り取る方法、弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法が挙げられる。
これらの方法のうち、最も簡易で、効率的に面取りできる方法は、弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法である。平面研磨あるいは平面研削する方法としては、例えば、汎用的な平面研磨装置、平面研削盤、対向2軸研削装置、NCフライス盤等を用いる方法が例示される。
【0016】
弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法によって面取りが形成される原理は、例えば、平面研削盤を用いた場合で説明すると、高速回転させた砥石に、弾性体で被覆したキャリアプレートの表面を緩やかに押し付けながら弾性体を削ると、貫通穴のない平面部分よりも、貫通穴の表面のエッジ部分が比較的圧縮されて、非常に強く砥石が当たるため、貫通穴表面のエッジ部分における研削量が多くなるということによる。平面研磨でも同様の原理である。なお、図4に、キャリアプレート1の貫通穴の開口部エッジ部分を研削砥石8で削り取る方法の1例を示している。
【0017】
面取り寸法(面取りが形成される範囲)は、プレートに用いる弾性体の種類、砥石の種類、砥石の回転数、切り込み量等の条件を変えることにより適宜形成できる。
面取り寸法については、前記したように、該貫通穴の内径をA、面取りされた拡径寸法である該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径のある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998の条件を満足するようにする。かかる条件を満足することにより、電子部品チップに形成した電極を削り落としたり、電子部品チップを破損したりすることなく、低い挿入圧力で貫通穴内を貫通させることができ、また、弾性的に電子部品チップを確実に扶持・保持することができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に限定されるものではない。
【0019】
(実施例)
アルミニウム合金を縦180mm、横280mm、厚み10mmに切り出し、外周10mmを残して厚み方向に両面から2mmずつ切削して、切削した部位にφ2mmの貫通穴を縦30列、横50列、計1500個設けたプレート状の芯材を作製した。
次いで、前記芯材の貫通穴の位置と同位置になるべく配設したストレートのφ1mmコアピンを1500本有する金型に前記芯材をインサートし、液状シリコーンゴム(KE−1950−60A/B、信越化学工業社製、商品名)をインジェクション成形機にて射出して、120℃で30分かけて前記シリコーンゴムを硬化させた後、シリコーンゴムで被覆した芯材を金型から脱型した。
次いで、この芯材をオーブンに入れ、200℃で8時間かけて熱処理を行い、その後、平面研削盤(PSG−63EX、岡本工作機械社製、商品名)にセットし、砥石(19×80H2H、岡本工作機械社製、商品名)を用いて、粗研削O.15mm、及び仕上げ研削0.05mmをトラバース式で行い、トータルO.2mm研削して、貫通穴の開口部に面取りを施した。砥石の回転数は1500rpmに設定した。同様の条件にて反対面もO.2mm研削し、貫通穴の開口部に面取りを施して、厚み9.6mmのキャリアプレートを得た。
このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.76、C/D=0.915であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極7が形成された一辺が0.71mmで長さ1.5mmの電子部品チップ6を1500個、電極が形成された側から(図5(a)参照)、キャリアプレートの貫通穴内に挿入し(図5(b)参照)、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は3.8kgであり、破損した電子部品チップの数、電極の剥がれた電子部品チップの数は共に0個であった。
【0020】
(比較例1)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、平面研削する工程を除いた方法で作製したキャリアプレート、すなわち、φ1.0mmの貫通穴の開口部に面取りが施されてない状態のキャリアプレートを作製した。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された電子部品チップ1500個を、実施例と同様に、電極が形成された側からφ1.0mmのキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入庄力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれたチップの数量をカウントしたところ、挿入圧は10.2kg であり、破損した電子部品チップの数25個、電極の剥がれた電子部品チップの数165個であった。
【0021】
(比較例2)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、熱処理を施さない以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.991、C/D=0.941であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は6.9kgであり、破損した電子部品チップの数4個、電極の剥がれた電子部品チップの数21個であった。
【0022】
(比較例3)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、粗研削のみで0.2mmを研削した以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.49、C/D=0.875であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入したところ、電子部品チップを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりした。
【0023】
(比較例4)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、仕上げ研削のみで0.2mmを研削した以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.86、C/D=0.999であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は5.3kgであり、破損した電子部品チップの数2個、電極の剥がれた電子部品チップの数7個であった。
【0024】
(比較例5)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、熱処理条件を230℃で24時間とした以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.66、C/D=0.699であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入したところ、電子部品チップを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりした。
【0025】
(評価)
以上の結果からわかるように、キャリアプレートの貫通穴の開口部に面取りを施し、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998とすると、電子部品チップに形成した電極を削り落としたり、電子部品チップを破損したりすることがなく、低い挿入圧力で貫通穴内に挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のキャリアプレートは、電子部品チップを貫通穴に挿入する際に、高い挿入圧力を必要とせず、低い挿入圧力で挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができ、また、電子部品チップの破損や電極の剥がれなどの問題も生じず、しかも、安価で簡単な構造の金型を用いて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャリアプレートについて、その全体的外観の1例を示した斜視図である。
【図2】キャリアプレートの一部を拡大した縦断面図である。
【図3】貫通穴の縦断面を例示した説明図である。
【図4】キャリアプレートの貫通穴の開口部エッジ部分を研削砥石で削り取る方法を示す説明図である。
【図5】(a)はキャリアプレートに電子部品チップを挿入する前の状態、(b)は電子部品チップをキャリアプレートの貫通穴内に挿入した状態を示す断面説明図である。
【図6】電子部品チップを従来のキャリアプレートの貫通穴に挿入する前の状態を示した断面説明図である。
【符号の説明】
1…キャリアプレート
2…芯材
3…弾性体
4…貫通穴
5…面取り
6…電子部品チップ
7…電極
8…研削砥石
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックコンデンサ等の電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布して電極を形成する際、該電子部品チップを扶持・保持するために用いるキャリアプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布して電極を形成する際に、複数の電子部品チップを効率良く処理できるようにするため、複数の貫通穴を設けたキャリアプレートが用いられている。このキャリアプレートは、一般に、芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ弾性的に扶持・保持するための貫通穴を有する。この貫通穴の穴径は、電子部品チップを安定して扶持・保持することができるように、電子部品チップの径より小さくなっており、そのため、電子部品チップを貫通穴に挿入するには、かなりの挿入圧力を必要とする。
したがって、従来のキャリアプレートは、その貫通穴に電子部品チップを挿入する際に、高い挿入圧力を加える必要があり、その結果、電子部品チップが破損しやすいという問題を抱えていた。
【0003】
また、図6は電子部品チップを従来のキャリアプレートの貫通穴に挿入する前の状態を示した断面説明図であるが、この図6に示したように、従来のキャリアプレート1の貫通穴4の穴径は、電極7を形成した電子部品チップ6の径よりも小さい。これにより、従来のキャリアプレートは、電子部品チップの端部に導電ペーストを塗布するために、電子部品チップを貫通穴に押し込み、貫通穴を移動させて、キャリアプレートの反対面から電極を形成していない電子部品チップの端部を突出させると、電子部品チップと貫通穴の内面との摩擦により、電子部品チップの側面等に既に形成されていた電極が剥がれてしまうという問題も抱えていた。一般的に、電子部品チップのサイズが大きいほど、導電ペーストは厚めに塗布されるので、電子部品チップのサイズに比例して、電子部品チップの側面等に形成される電極は厚くなり、それに伴って貫通穴の内面と電子部品チップの摩擦は大きくなる。したがって、サイズが大きい電子部品チップは、上記したような、電極の剥がれの問題が深刻であった。
【0004】
このような不具合を改善したキャリアプレートとしては、電子部品チップを挿入する貫通穴の開口部の穴径を、電子部品チップを自由に受け入れる寸法とし、電子部品チップを保持する部分の貫通穴の穴径を、電子部品チップを弾性的に扶持・保持する寸法としたものが報告されている(特許文献1参照)。また、この特許文献1には、貫通穴の穴径を一段でなく、必要に応じて、多段で絞り込むと共に、大径部と小径部の繋がり部分に勾配を付与して、電子部品チップを滑らかに移動することができるようにした態様のキャリアプレートが示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−176990号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示されたキャリアプレートは、極めて複雑で高価な金型を使用しなければ、製造することができないという問題がある。通常、キャリアプレートを製造するには、まず、多数の貫通穴を有する剛性体プレートである芯材を金型にインサートし、芯材の貫通穴と金型のコアピンとの隙間に、弾性体を形成する樹脂を射出、注入するなどして充填する作業が行われる。その際、金型としては、芯材の貫通穴に対応した位置に、貫通穴より小径のコアピンを貫通穴の数と同数埋設したものが使用される。次に、充填した樹脂を硬化させた後、脱型時にコアピンを引き抜くことにより、少なくとも芯材表面の一部が弾性体で被覆された、多数の貫通穴を有するキャリアプレートが製造される。
ところが、特許文献1のキャリアプレートの貫通穴を形成するには、拡径部と小径部を有するコアピンが必要であり、さらに、大径部と小径部の繋がり部分に勾配を設けた場合は、拡径部と小径部の繋がり部分を滑らかな勾配としたコアピンが必要となる。このような複雑な構造のコアピンを多数本作製して、金型に埋設することは、非常に煩雑な作業であり、また、出来上がった金型は、極めて高価になるため、そのような金型を使用することは、到底実用的であるとは言えなかった。
【0007】
そこで、本発明は、電子部品チップを貫通穴に挿入する際に、高い挿入圧力を必要とせず、低い挿入圧力で挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができ、また、電子部品チップの破損や電極の剥がれなどの問題も生じず、しかも、安価で簡単な構造の金型を用いて容易に製造することができるキャリアプレートの提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、貫通穴に改良を加えることにより、上記課題を解決できることを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のキャリアプレートは、芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートにおいて、該貫通穴の開口部に面取りを施してなり、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998であることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のキャリアプレートについて、その全体的外観の1例を示した斜視図である。図1に示すように、本発明のキャリアプレート1は、プレート状の芯材2とその表面を被覆してなる弾性体3とで形成され、複数の電子部品チップを1個ずつ弾性的に扶持・保持するための貫通穴4を有するものである。これらの点については、従来のキャリアプレートと実質的に同様である。
【0010】
芯材2は、補強のために弾性体3の内部に埋め込まれる部材であり、通常、多数の貫通穴4を設けた剛性プレートを用いる。芯材の材質としては、例えば、炭素鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル合金等が挙げられる。特にアルミニウム合金が、切削加工性、操作性、経済性の点で好適である。
【0011】
弾性体3は、電子部品チップを弾性的に扶持・保持する部材であり、芯材の一部又は全部の表面を被覆する。弾性体の材質としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、スチレンゴム等、一般的に使用されている弾性材料が挙げられる。特にミラブル型シリコーンゴム、付加型液状シリコーンゴムが、成形加工性、耐久性、耐熱性の点で好適である。
【0012】
貫通穴4は、電子部品チップを挿入する部分である。図2は、芯材2とそれを被覆してなる弾性体3からなる本発明のキャリアプレートの一部を拡大した縦断面図である。この図2に示したように、本発明のキャリアプレートは、貫通穴4の開口部に面取り5を施して、該開口部を拡径させ、貫通穴4の面取り5を施した開口部以外の部分は一定の径とする。本発明における貫通穴の構造は、このように簡単であるため、本発明のキャリアプレートを成形する際に用いる金型は、一定の径を有するストレートのコアピンを備えた金型でよく、特別な段付加工等を施した複雑な構造の金型である必要はない。したがって、本発明のキャリアプレートには、安価で簡単な構造の金型を用いて製造することができるという利点がある。
貫通穴の断面形状については、特に限定されず、円形、正方形、長方形、楕円形等、挿入する電子部品チップの断面形状に合わせて適宜決定すればよい。
【0013】
本発明の特徴は、貫通穴の開口部に面取りを設け、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998の条件を満足する構造を有する点にある。図3は、貫通穴の縦断面を例示した説明図である。この図3に示したように、Aは面取りを施した開口部以外の部分の径(内径)であり、Bは面取りを施して拡径した開口部の最大径(外径)である。また、Cは開口部を除いた貫通穴の長さであり、Dは貫通穴の端から端までの長さである。
これらのA、B、C、Dをそれぞれ測定して求めたA/BがO.99よりも大きい値、あるいはC/DがO.998よりも大きい値のときは、電子部品チップをキャリアプレートに挿入するために高い圧力が必要となり、その結果、電子部品チップが破損したり、電極塗布厚みの薄い小型の電子部品チップであっても、電極部分が削られてしまうという不具合が生じる。
また、A/BがO.50よりも小さい値、あるいはC/DがO.700よりも小さい値のときは、電極塗布厚みの厚い大型の電子部品チップであっても、これを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりするため、導電ペーストを塗布して電極を形成することが困難になる。
貫通穴の開口部に設ける面取りは、開口部の全面でなく、一部の面だけに設けてもよいが、全面に設けた方が、電子部品チップを均等に扶持・保持できるなどの点で好ましい。
【0014】
本発明のキャリアプレートの成形方法としては、コンプレッション成形、トランスファー成形、インジェクション成形等の方法を用いることができ、適宜選択される。いずれの成形方法においても、前述したように、多数の貫通穴を得るためには、貫通穴と同数のコアピンを埋設した金型が必要である。
また、本発明のキャリアプレートを成形するにあたり、前記芯材と弾性体の接着性を高めるために、予め、適したプライマー処理を施すこともできる。
【0015】
キャリアプレートの貫通穴の開口部に面取りを施す方法としては、例えば、貫通穴の穴径よりも、やや太径の剛性体を1個ずつ貫通穴に挿入し、弾性体に歪みを生じさせて貫通穴の開口部を拡径する方法、貫通穴の開口部のエッジ部分をドリルで1個ずつ削り取る方法、弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法が挙げられる。
これらの方法のうち、最も簡易で、効率的に面取りできる方法は、弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法である。平面研磨あるいは平面研削する方法としては、例えば、汎用的な平面研磨装置、平面研削盤、対向2軸研削装置、NCフライス盤等を用いる方法が例示される。
【0016】
弾性体の表面全体を平面研磨あるいは平面研削し、貫通穴の開口部のエッジ部分を削り取る方法によって面取りが形成される原理は、例えば、平面研削盤を用いた場合で説明すると、高速回転させた砥石に、弾性体で被覆したキャリアプレートの表面を緩やかに押し付けながら弾性体を削ると、貫通穴のない平面部分よりも、貫通穴の表面のエッジ部分が比較的圧縮されて、非常に強く砥石が当たるため、貫通穴表面のエッジ部分における研削量が多くなるということによる。平面研磨でも同様の原理である。なお、図4に、キャリアプレート1の貫通穴の開口部エッジ部分を研削砥石8で削り取る方法の1例を示している。
【0017】
面取り寸法(面取りが形成される範囲)は、プレートに用いる弾性体の種類、砥石の種類、砥石の回転数、切り込み量等の条件を変えることにより適宜形成できる。
面取り寸法については、前記したように、該貫通穴の内径をA、面取りされた拡径寸法である該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径のある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998の条件を満足するようにする。かかる条件を満足することにより、電子部品チップに形成した電極を削り落としたり、電子部品チップを破損したりすることなく、低い挿入圧力で貫通穴内を貫通させることができ、また、弾性的に電子部品チップを確実に扶持・保持することができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に限定されるものではない。
【0019】
(実施例)
アルミニウム合金を縦180mm、横280mm、厚み10mmに切り出し、外周10mmを残して厚み方向に両面から2mmずつ切削して、切削した部位にφ2mmの貫通穴を縦30列、横50列、計1500個設けたプレート状の芯材を作製した。
次いで、前記芯材の貫通穴の位置と同位置になるべく配設したストレートのφ1mmコアピンを1500本有する金型に前記芯材をインサートし、液状シリコーンゴム(KE−1950−60A/B、信越化学工業社製、商品名)をインジェクション成形機にて射出して、120℃で30分かけて前記シリコーンゴムを硬化させた後、シリコーンゴムで被覆した芯材を金型から脱型した。
次いで、この芯材をオーブンに入れ、200℃で8時間かけて熱処理を行い、その後、平面研削盤(PSG−63EX、岡本工作機械社製、商品名)にセットし、砥石(19×80H2H、岡本工作機械社製、商品名)を用いて、粗研削O.15mm、及び仕上げ研削0.05mmをトラバース式で行い、トータルO.2mm研削して、貫通穴の開口部に面取りを施した。砥石の回転数は1500rpmに設定した。同様の条件にて反対面もO.2mm研削し、貫通穴の開口部に面取りを施して、厚み9.6mmのキャリアプレートを得た。
このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.76、C/D=0.915であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極7が形成された一辺が0.71mmで長さ1.5mmの電子部品チップ6を1500個、電極が形成された側から(図5(a)参照)、キャリアプレートの貫通穴内に挿入し(図5(b)参照)、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は3.8kgであり、破損した電子部品チップの数、電極の剥がれた電子部品チップの数は共に0個であった。
【0020】
(比較例1)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、平面研削する工程を除いた方法で作製したキャリアプレート、すなわち、φ1.0mmの貫通穴の開口部に面取りが施されてない状態のキャリアプレートを作製した。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された電子部品チップ1500個を、実施例と同様に、電極が形成された側からφ1.0mmのキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入庄力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれたチップの数量をカウントしたところ、挿入圧は10.2kg であり、破損した電子部品チップの数25個、電極の剥がれた電子部品チップの数165個であった。
【0021】
(比較例2)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、熱処理を施さない以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.991、C/D=0.941であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は6.9kgであり、破損した電子部品チップの数4個、電極の剥がれた電子部品チップの数21個であった。
【0022】
(比較例3)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、粗研削のみで0.2mmを研削した以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.49、C/D=0.875であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入したところ、電子部品チップを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりした。
【0023】
(比較例4)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、仕上げ研削のみで0.2mmを研削した以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.86、C/D=0.999であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入し、その際の挿入圧力と破損した電子部品チップの数量及び電極の剥がれた電子部品チップの数量をカウントしたところ、挿入圧力は5.3kgであり、破損した電子部品チップの数2個、電極の剥がれた電子部品チップの数7個であった。
【0024】
(比較例5)
実施例で示したキャリアプレートの製造工程のうち、熱処理条件を230℃で24時間とした以外は、実施例と同様にして、キャリアプレートを作製した。このキャリアプレートは、貫通穴の内径をA、貫通穴の外径をB、貫通穴の内径がある部分の長さをC、貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=0.66、C/D=0.699であった。
次いで、このキャリアプレートに、断面形状が正方形で、片側端面に電極が形成された一辺が0.71mmで長さが1.5mmの電子部品チップ1500個を、電極が形成された側からキャリアプレートの貫通穴内に挿入したところ、電子部品チップを弾性的に保持することができず、電子部品チップ自体が抜け落ちたり、曲がって挿入されたりした。
【0025】
(評価)
以上の結果からわかるように、キャリアプレートの貫通穴の開口部に面取りを施し、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998とすると、電子部品チップに形成した電極を削り落としたり、電子部品チップを破損したりすることがなく、低い挿入圧力で貫通穴内に挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のキャリアプレートは、電子部品チップを貫通穴に挿入する際に、高い挿入圧力を必要とせず、低い挿入圧力で挿入して、確実に電子部品チップを扶持・保持することができ、また、電子部品チップの破損や電極の剥がれなどの問題も生じず、しかも、安価で簡単な構造の金型を用いて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャリアプレートについて、その全体的外観の1例を示した斜視図である。
【図2】キャリアプレートの一部を拡大した縦断面図である。
【図3】貫通穴の縦断面を例示した説明図である。
【図4】キャリアプレートの貫通穴の開口部エッジ部分を研削砥石で削り取る方法を示す説明図である。
【図5】(a)はキャリアプレートに電子部品チップを挿入する前の状態、(b)は電子部品チップをキャリアプレートの貫通穴内に挿入した状態を示す断面説明図である。
【図6】電子部品チップを従来のキャリアプレートの貫通穴に挿入する前の状態を示した断面説明図である。
【符号の説明】
1…キャリアプレート
2…芯材
3…弾性体
4…貫通穴
5…面取り
6…電子部品チップ
7…電極
8…研削砥石
Claims (2)
- 芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートにおいて、該貫通穴の開口部に面取りを施してなり、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998であることを特徴とするキャリアプレート。
- 芯材とその表面を被覆してなる弾性体からなり、複数の電子部品チップを1個ずつ扶持・保持するための貫通穴を有するキャリアプレートの製造方法において、該貫通穴の開口部に面取りを施し、該貫通穴の内径をA、該貫通穴の外径をB、該貫通穴の内径がある部分の長さをC、該貫通穴の全長をDとしたとき、A/B=O.50〜O.99、かつ、C/D=0.700〜0.998となるようにすることを特徴とするキャリアプレートの製造方法。
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-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003184810A patent/JP2005019834A/ja active Pending
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