JP2005016782A - 多室空気調和機の膨張弁制御方法 - Google Patents

多室空気調和機の膨張弁制御方法 Download PDF

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剛司 大平
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Abstract

【課題】多室空気調和機の冷房運転及び除湿運転において、接続されている複数の室内機の中に異なる能力ランクの室内機が存在しても、室内機の能力ランクに応じて室内膨張弁開度補正量を適正に配分することができ、室外機から最も離隔した室内機と最も近接した室内機に対し膨張弁補正値の配分を変えることにより能力の平均化を図ることができる多室空気調和機の膨張弁制御方法を提供すること。
【解決手段】冷房運転あるいは除湿運転時、圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を演算し、圧縮機から吐出される冷媒の温度を検知し、演算された冷媒過熱度と検知された冷媒吐出温度から運転中の全室内機の膨張弁開度増減分の合計を演算し、個々の室内機の熱交換器過熱度に基いて膨張弁操作量を演算し、膨張弁開度増減分の合計を個々の室内機の能力ランクに応じて配分し、配分された膨張弁開度増減分により膨張弁操作量を補正するようにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台の室内機を接続して冷房もしくは暖房サイクルを構成する多室空気調和機の膨張弁制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の多室空気調和機においては、圧縮機からの冷媒吐出温度により室内膨張弁の合計開度を決定し、室内熱交換器の冷媒過熱度もしくは室温と室温設定値との偏差の大きさに応じて決まる目標空調能力を設定し、この目標空調能力に対する現在の空調能力の比率の大小に応じて按分して個々の室内膨張弁への開度の増減分を決定している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−28983号公報(
、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の多室空気調和機においては、個々の室内機の過熱度の適正は判断できるものの、個々の室内機蒸発能力の合計である全体の蒸発能力、凝縮能力、圧縮機能力、減圧量等の冷凍サイクル全体のバランスを吐出温度だけで判断するのは困難であり、圧縮機吸入過熱度を適正に制御するのが困難であるという課題を有していた。また、決定した室内膨張弁の合計開度の配分においても、接続室内機の中に異なる能力ランクの室内機がある場合には、室温と室温設定値との偏差及び室内熱交換器の冷媒過熱度では判断できず、室内機能力に対する配分に課題があった。さらに、室内機間の配管長差が大きい場合、圧力損失に起因する能力格差が発生するという課題もあった。
【0005】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、多室空気調和機の冷房運転及び除湿運転において、接続されている複数の室内機の中に異なる能力ランクの室内機が存在しても、室内能力ランクに応じて室内膨張弁開度補正量を適正に配分することができ、室外機から最も離隔した室内機と最も近接した室内機に対し膨張弁補正値の配分を変えることにより能力の平均化を図ることができる多室空気調和機の膨張弁制御方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、能力可変型圧縮機と四方弁と室外熱交換器とを有する一つの室外機に対し、室内熱交換器と室内膨張弁とを有する複数の室内機が接続された多室空気調和機において、冷房運転あるいは除湿運転時、前記圧縮機に吸入される冷媒の温度と圧力を検知し、検知された冷媒温度と圧力から前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を演算し、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検知し、演算された冷媒過熱度と検知された冷媒吐出温度から運転中の全室内機の膨張弁開度増減分の合計を演算し、個々の室内機の室内熱交換器温度と配管温度を検知し、検知された室内熱交換器温度と配管温度に基いて個々の室内機の熱交換器過熱度を演算し、演算された熱交換器過熱度に基いて膨張弁操作量を演算し、前記膨張弁開度増減分の合計を個々の室内機の能力ランクに応じて配分し、配分された膨張弁開度増減分により前記膨張弁操作量を補正するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記膨張弁開度増減分の合計を個々の室内機の能力ランクに応じて配分するようにしたことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、運転中の全室内機の室内熱交換器温度と該室内熱交換器温度の平均値との差を演算し、前記室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正のときは、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第1の所定値を乗じるとともに、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第1の所定値より小さい第2の所定値を乗じる一方、前記室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正でないときは、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第3の所定値を乗じるとともに、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第3の所定値より大きい第4の所定値を乗じるようにしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる多室空気調和機を示しており、一つの室外機2に対し複数(図1では二つ)の室内機4a,4bが冷媒配管により接続されている。室外機2には、冷媒配管により順次接続された能力可変型圧縮機6と、四方弁8と、室外熱交換器10と、室外膨張弁12とが設けられる一方、各室内機4a,4bには、冷媒配管により順次接続された室内熱交換器14a,14bと室内膨張弁16a,16bとが設けられており、複数の室内機4a,4bは室外機2に対し並列に接続されている。
【0010】
また、室外機2には、室外熱交換器10に空気を送る室外ファン18と、圧縮機6から吐出された冷媒の温度を検知する吐出温度検知手段20と、圧縮機6に吸入される冷媒の温度及び圧力をそれぞれ検知する吸入温度検知手段22及び吸入圧力検知手段24とが設けられている。一方、室内機4a,4bには、室内熱交換器14a,14bに空気を送る室内ファン26a,26bと、室内熱交換器14a,14bの冷媒飽和温度(冷房・除湿運転の場合、蒸発温度)を検知する室内熱交換器温度検知手段28a,28bと、室内の配管温度(室内熱交換器出口温度)を検知する室内配管温度検知手段30a,30bとが設けられている。
【0011】
上記構成の本発明にかかる多室空気調和機において、冷房運転及び除湿運転時には、冷媒が図1に示される矢印方向に流れるように四方弁8は切り換えられる。
【0012】
実施の形態1.
図2は膨張弁制御動作のフローチャートを示しており、図1及び図2を参照しながら実施の形態1にかかる膨張弁制御方法について以下説明する。
【0013】
室外機2においては、まずステップS1において、能力可変型圧縮機6より吐出される吐出冷媒の温度を吐出温度検知手段20により検知し、ステップS2において、能力可変型圧縮機6に吸入される吸入冷媒の温度を吸入温度検知手段22により検知し、ステップS3において、能力可変型圧縮機6に吸入される吸入冷媒の圧力を吸入圧力検知手段24により検知する。
【0014】
次に、ステップS4において、ステップS3において検知された吸入冷媒圧力に基いて吸入圧力飽和温度を求め、この吸入圧力飽和温度とステップS2において検知された吸入温度に基いて吸入過熱度を演算する。さらに、ステップS5において、ステップS1において検出された吐出温度とステップS4において演算された吸入過熱度に基いて冷凍サイクル全体を適正にする室内膨張弁16a,16bの開度増減分の合計を演算するとともに、ステップS6において、そのときに運転中(以下、サーモオンと称す)の全ての室内機4a,4bの合計能力ランクを演算する。なお、能力ランクとは、各室内機の定格能力等に応じて適宜設定された数値であり、例えば馬力数や定格能力数値等で設定すればよく、要するに各室内機の能力の大小の比率を相対的に比較できるように設定されているものであればよい。
【0015】
その後、ステップS7において、ステップS5における演算値をそのときの全てのサーモオン室内機4a,4bの合計能力ランクで除して、室内機単位能力あたりの膨張弁補正値を求め室内機4a,4bに送信する。
【0016】
一方、個々の室内機4a,4bにおいては、まずステップS21において、室内熱交換器14a,14bの温度を室内熱交換器温度検知手段28a,28bにより検知し、ステップS22において、室内配管温度を室内配管温度検知手段30a,30bにより検知する。次にステップS23において、ステップS21において検知された室内熱交換器14a,14bの温度と、ステップS22において検知された室内配管温度に基いて熱交換器過熱度を求め、この熱交換器過熱度に基いて膨張弁操作量を演算する。
【0017】
さらに、ステップS24において、室内機4a,4bの各々が自己室内能力ランクを認識し、ステップS25において、室外機2より送信された室内機単位能力あたりの膨張弁補正値を認識し、ステップS26において、ステップS24において認識された自己室内能力ランクにステップS25において認識された室内機単位能力あたりの膨張弁補正値を乗じることにより自己室内能力ランクに相当する膨張弁補正値を演算し、ステップS27において、この膨張弁補正値をステップS23において演算された膨張弁操作量に加え目的とする膨張弁操作量を決定する。
【0018】
このようにして、個々の室内膨張弁16a,16bの開度制御を行うようにしたので、多室空気調和機の冷房運転及び除湿運転において、室外機2に接続された複数の室内機4a,4bの能力ランクが異なっても、室内能力ランクに応じて室内膨張弁16a,16bの開度補正量を適切に配分することができる。
【0019】
実施の形態2.
図3は膨張弁制御動作のフローチャートを示しており、図1及び図3を参照しながら実施の形態2にかかる膨張弁制御方法について以下説明する。
【0020】
上述した実施の形態1の室外機2において実行されるステップS1〜S7及び個々の室内機4a,4bにおいて実行されるステップS21〜S27については、本実施の形態2も略同じであるが、本実施の形態2では、ステップS7において求められた室内機単位能力あたりの膨張弁補正値は室内機4a,4bに送信されず、ステップS21において検知された室内熱交換器14a,14bの温度が室外機2に送信される点が異なっている。
【0021】
本実施の形態2の室外機2においては、ステップS8において、個々の室内機4a,4bから送信された室内熱交換器14a,14bの温度のうち最高の室内熱交換器の温度を認識し、ステップS9において、室内熱交換器14a,14bの温度の平均値を演算する。
【0022】
次のステップS10において、ステップS8において認識された最高の室内熱交換器の温度とステップS9において演算された室内熱交換器14a,14bの平均温度とを比較し、前者が後者より2K以上高いと判定されると(ステップS10の判定がYES)、ステップS11において、室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正かどうかが判定される。ステップS11において、室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正と判定されると(ステップS11の判定がYES)、ステップS12において、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に所定値(例えば、1.5)を乗じ、ステップS13において、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に所定値(例えば、0.5)を乗じる。
【0023】
一方、ステップS11において、室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正ではないと判定されると(ステップS11の判定がNO)、ステップS14において、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に所定値(例えば、0.5)を乗じ、ステップS15において、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に所定値(例えば、1.5)を乗じる。
【0024】
ステップS13あるいはステップS15における演算が終了すると、ステップS16に移行し、熱交換器温度が最高及び最低の室内機以外の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値をそのまま設定し、ステップS17において、ステップS12,S13,S16あるいはステップS14,S15,S16においてそれぞれ設定された膨張弁補正値を送信する。
【0025】
また、ステップS10において、室内熱交換器14a,14bの最高温度と平均温度との差が2K未満と判定された場合は(ステップS10の判定がNO)、ステップS17に移行し、室内機単位能力あたりの膨張弁補正値を室内機4a,4bに送信する。
【0026】
個々の室内機4a,4bにおいては、実施の形態1と同様、室外機2より送信された膨張弁補正値に基いて目的とする膨張弁操作量を決定する。
【0027】
すなわち、本実施の形態2においては、室外機2に接続された複数の室内機4a,4bの室内熱交換器間の温度差に基いて室内機間の配管長差を認識し、室外機2から最も離隔した室内機と最も近接した室内機に対し膨張弁補正値の配分を変えることにより個々の室内機4a,4bの能力の平均化を図ることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明によれば、多室空気調和の冷房運転及び除湿運転において、個々の室内機の熱交換器過熱度より決定した膨張弁操作量に、吐出温度と吸入過熱度から全サーモオン室内機の室内膨張弁開度の増減分を演算し、冷凍サイクル全体バランスを適正にできる値を全サーモオン室内機能力ランクで除すことにより単位能力あたりの補正値を算出し、さらに個々の室内機の能力ランクで乗ずることで室内機の中に異なる能力ランクの室内機が存在しても、室内機の能力ランクに応じて室内膨張弁開度補正量の配分を適正に行うことができる。
【0029】
また、接続室内機間における室内熱交換器温度の差異で室内機間の配管長を認識し、最遠室内機と最近室内機に対し膨張弁補正値の配分を変えることにより能力の平均化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多室空気調和機の冷凍サイクル図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる多室空気調和機の膨張弁制御方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる多室空気調和機の膨張弁制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 室外機、 4a,4b 室内機、 6 能力可変型圧縮機、 8 四方弁、 10 室外熱交換器、 12 室外膨張弁、 14a,14b 室内熱交換器、 16a,16b 室内膨張弁、 18 室外ファン、 20 吐出温度検知手段、 22 吸入温度検知手段、 24 吸入圧力検知手段、 26a,26b 室内ファン、 28a,28b 室内熱交換器温度検知手段、 30a,30b 室内配管温度検知手段。

Claims (3)

  1. 能力可変型圧縮機と四方弁と室外熱交換器とを有する一つの室外機に対し、室内熱交換器と室内膨張弁とを有する複数の室内機が接続された多室空気調和機において、
    冷房運転あるいは除湿運転時、前記圧縮機に吸入される冷媒の温度と圧力を検知し、検知された冷媒温度と圧力から前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を演算し、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検知し、演算された冷媒過熱度と検知された冷媒吐出温度から運転中の全室内機の膨張弁開度増減分の合計を演算し、個々の室内機の室内熱交換器温度と配管温度を検知し、検知された室内熱交換器温度と配管温度に基いて個々の室内機の熱交換器過熱度を演算し、演算された熱交換器過熱度に基いて膨張弁操作量を演算し、前記膨張弁開度増減分の合計を個々の室内機の能力ランクに応じて配分し、配分された膨張弁開度増減分により前記膨張弁操作量を補正するようにしたことを特徴とする多室空気調和機の膨張弁制御方法。
  2. 前記膨張弁開度増減分の合計を個々の室内機の能力ランクに応じて配分するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多室空気調和機の膨張弁制御方法。
  3. 運転中の全室内機の室内熱交換器温度と該室内熱交換器温度の平均値との差を演算し、前記室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正のときは、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第1の所定値を乗じるとともに、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第1の所定値より小さい第2の所定値を乗じる一方、前記室内機単位能力あたりの膨張弁補正値が正でないときは、熱交換器温度が最高の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第3の所定値を乗じるとともに、熱交換器温度が最低の室内機に対し室内機単位能力あたりの膨張弁補正値に第3の所定値より大きい第4の所定値を乗じるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の多室空気調和機の膨張弁制御方法。
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